(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101523
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20170313BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20170313BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J3/38 130
H02J9/06 120
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-53045(P2013-53045)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-180159(P2014-180159A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397058909
【氏名又は名称】エネサーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良介
(72)【発明者】
【氏名】石隈 悟
(72)【発明者】
【氏名】飯山 司郎
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌明
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−274981(JP,A)
【文献】
特開2011−222409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00− 7/12
7/34−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電要素と、
前記蓄電要素及び負荷に接続され、前記蓄電要素に対する充放電を制御するとともに前記負荷に前記蓄電要素の電力を供給する電力変換器と、
発電電力を前記負荷に供給又は前記発電電力を前記電力変換器を介して前記蓄電要素に供給する発電要素と、
前記蓄電要素の充電状態を検出する充電状態検出器と、
前記充電状態検出器により検出された充電状態に基づき、前記発電要素の発電電力が前記負荷の電力を超え且つ前記電力変換器が前記発電電力を取り込めない場合に前記発電電力を抑制又は前記発電要素を停止させる制御装置と、
商用電力系統と前記負荷と前記発電要素と前記電力変換器とを接続する第1スイッチと、
前記発電要素の発電電力を所定の交流電力に変換するパワーコンディショナとを備え、
前記制御装置は、前記充電状態検出器で検出された充電状態に基づき、出力電圧を変化させるための出力電圧指令を前記電力変換器に出力し、
前記電力変換器は、前記制御装置からの出力電圧指令により出力電圧を変化させ、
前記パワーコンディショナは、前記電力変換器により変化された出力電圧に基づき遮断又は再投入することを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
商用電力系統と前記負荷と前記発電要素と前記電力変換器とを接続する第1スイッチと、
前記発電要素の発電電力を所定の交流電力に変換するパワーコンディショナと、
一端が前記パワーコンディショナに接続され、他端が前記負荷と前記電力変換器と前記第1スイッチとに接続された第2スイッチとを備え、
前記制御装置は、前記充電状態検出器で検出された充電状態に基づき、前記第2スイッチをオフさせて前記パワーコンディショナを遮断又は前記第2スイッチをオンさせて前記パワーコンディショナを再投入することを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記蓄電要素の充電状態が充電状態上限判定値を超えているかどうかを判定する充電状態上限判定部と、
前記充電状態上限判定部の出力に基づき、前記蓄電要素の充電状態が前記充電状態上限判定値を超えている時間を計時し、計時された時間が上限継続時間を超えている場合には前記発電要素をオフするための信号を前記発電要素に出力する上限継続タイマと、
前記蓄電要素の充電状態が充電状態下限判定値未満であるかどうかを判定する充電状態下限判定部と、
前記充電状態下限判定部の出力に基づき、前記蓄電要素の充電状態が前記充電状態下限判定値未満である時間を計時し、計時された時間が下限継続時間を超えている場合には前記発電要素をオンするための信号を前記発電要素に出力する下限継続タイマと、
を備えることを特徴とする請求項2記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記蓄電要素の充電状態が充電状態上限判定値を超えているかどうかを判定する充電状態上限判定部と、
前記充電状態上限判定部の出力に基づき、前記蓄電要素の充電状態が前記充電状態上限判定値を超えている時間を計時し、計時された時間が上限継続時間を超えている場合には信号を出力する上限継続タイマと、
前記蓄電要素の充電状態が充電状態下限判定値未満であるかどうかを判定する充電状態下限判定部と、
前記充電状態下限判定部の出力に基づき、前記蓄電要素の充電状態が前記充電状態下限判定値未満である時間を計時し、計時された時間が下限継続時間を超えている場合には信号を出力する下限継続タイマと、
前記上限継続タイマからの信号に基づき、出力電圧を上昇させるための出力電圧指令を前記電力変換器に出力し、前記下限継続タイマからの信号に基づき、出力電圧を一定電圧にするための出力電圧指令を前記電力変換器に出力する出力電圧指令演算部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項5】
蓄電要素と、
前記蓄電要素及び負荷に接続され、前記蓄電要素に対する充放電を制御するとともに前記負荷に前記蓄電要素の電力を供給する電力変換器と、
発電電力を前記負荷に供給又は前記発電電力を前記電力変換器を介して前記蓄電要素に供給する発電要素と、
前記蓄電要素の充電状態を検出する充電状態検出器と、
前記充電状態検出器により検出された充電状態に基づき、前記発電要素の発電電力が前記負荷の電力を超え且つ前記電力変換器が前記発電電力を取り込めない場合に前記発電電力を抑制又は前記発電要素を停止させる制御装置と、
商用電力系統と前記負荷と前記発電要素と前記電力変換器とを接続する第1スイッチと、
前記発電要素の発電電力を所定の交流電力に変換するパワーコンディショナとを備え、
前記制御装置は、前記充電状態検出器で検出された充電状態に基づき、出力周波数を変化させるための出力周波数指令を前記電力変換器に出力し、
前記電力変換器は、前記制御装置からの出力周波数指令により出力周波数を変化させ、
前記パワーコンディショナは、前記電力変換器により変化された出力周波数に基づき遮断又は再投入することを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記蓄電要素の充電状態が充電状態上限判定値を超えているかどうかを判定する充電状態上限判定部と、
前記充電状態上限判定部の出力に基づき、前記蓄電要素の充電状態が前記充電状態上限判定値を超えている時間を計時し、計時された時間が上限継続時間を超えている場合には信号を出力する上限継続タイマと、
前記蓄電要素の充電状態が充電状態下限判定値未満であるかどうかを判定する充電状態下限判定部と、
前記充電状態下限判定部の出力に基づき、前記蓄電要素の充電状態が前記充電状態下限判定値未満である時間を計時し、計時された時間が下限継続時間を超えている場合には信号を出力する下限継続タイマと、
前記上限継続タイマからの信号に基づき、出力周波数を上昇させるための出力周波数指令を前記電力変換器に出力し、前記下限継続タイマからの信号に基づき、出力周波数を一定周波数にするための出力周波数指令を前記電力変換器に出力する出力周波数指令演算部と、
を備えることを特徴とする請求項5記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記蓄電要素に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記蓄電要素の電圧を検出する電圧検出器と、
前記蓄電要素の温度を検出する温度検出器を備え、
前記充電状態検出器は、前記電流検出器で検出された電流と前記電圧検出器で検出された電圧と前記温度検出器で検出された温度とに基づいて前記蓄電要素の充電状態を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用系統と連系する分散型電源を備えた電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電装置や風力発電装置などの再生可能エネルギー導入の要求が高まっている。しかし、再生可能エネルギーを大規模発電システムへ導入するためには、時間とコストがかかるため、一般家庭やオフィスビルなどの分散型電源(マイクログリッド)の普及が進められている。
【0003】
太陽光発電システムは、比較的小規模の発電容量でも、他の再生可能エネルギーの発電方式に比べてコストや発電効率の点で有利であり、容易にマイクログリッドシステムに導入できる。
【0004】
しかし、太陽光発電は昼間しか発電できず、季節や天候などによって、発電量が変動するため、マイクログリッドシステムに導入する場合、蓄電要素を用いた電力補償装置が併用されている。
【0005】
図11は、従来の電力供給システムの構成ブロック図である。この電力供給システムは、商用系統電源1、高速スイッチ(高速SW)2、電力変換器3、蓄電要素4、パワーコンディショナ(PCS)5、太陽光発電装置(PV)6、重要負荷7を備える。
【0006】
商用系統電源1には高速スイッチ2を介して重要負荷7が接続され、商用系統電源1から系統電力が重要負荷7に供給される。高速スイッチ2と重要負荷7との間には電力変換器3とパワーコンディショナ5とが接続されている。電力変換器3には蓄電要素4が接続され、パワーコンディショナ5には太陽光発電装置6が接続されている。
【0007】
太陽光発電装置6は、太陽光により発電し、発電量をパワーコンディショナ5に出力する。パワーコンディショナ5は、太陽光発電装置6の発電電力(直流電力)を所定の交流電力に変換して重要負荷7又は電力変換器3に供給する。電力変換器3は、鉛蓄電池などの蓄電要素4に対する充放電を制御する。
【0008】
以上の構成によれば、系統連系時には、高速スイッチ2をオンし、商用系統電源1と太陽光発電装置6とにより重要負荷7に電力を供給する。このとき、電力変換器3は、蓄電要素4に充放電を行うことにより、太陽光発電装置6の発電電力の変動を吸収して系統連系点の電圧及び周波数の変動を抑制している。また、夜間、太陽光発電が行われないときには、コストが安い深夜電力により蓄電要素4を満充電にして、昼間の最大電力需要時の電力ピークカット制御も行う。
【0009】
一方、商用系統電源1が異常時には、高速スイッチ2をオフし、電力変換器3を一定電圧一定周波数(CVCF)制御して、蓄電要素4から無瞬断で重要負荷7に電力を供給する。また、日中、太陽光発電装置6の発電電力も重要負荷7へ供給される。
【0010】
また、CVCF制御中に、重要負荷7の電力消費が少なく、太陽光発電装置6の電力が増加し、太陽光発電装置6の電力が重要負荷7の消費電力を超えた場合には、自動的に蓄電要素4が充電される。そして、蓄電要素4が満充電状態に近づくと、蓄電要素4の直流電圧が上昇して、保護レベルの電圧まで達することがある。
【0011】
なお、従来の技術として、特許文献1に記載された重要負荷の自立運転制御システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−10412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、
図11に示す電力供給システムでは、電力変換器3はCVCF制御されているため、パワーコンディショナ5との連系点電圧及び周波数は一定電圧、一定周波数に保持される。このため、パワーコンディショナ5が遮断する前に電力変換器3が直流電圧の過電圧を検出して電力変換器3がアラーム停止してしまう。このため、蓄電要素4による重要負荷7への電力供給が停止する。また、パワーコンディショナ5も単独運転検出が動作するため、太陽光発電装置6から重要負荷7への電力供給も停止してしまう。
【0014】
さらに、電源を再起動するためには、停電状態での起動回路が必要となる。この場合には、非常用電源や人手による起動操作が必要となる。
【0015】
本発明は、蓄電要素の充電状態が上昇したときパワーコンディショナが停止する条件を成立させ蓄電要素による重要負荷への電力供給を継続できる電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電力供給システムは、蓄電要素と、前記蓄電要素及び負荷に接続され、前記蓄電要素に対する充放電を制御するとともに前記負荷に前記蓄電要素の電力を供給する電力変換器と、発電電力を前記負荷に供給又は前記発電電力を前記電力変換器を介して前記蓄電要素に供給する発電要素と、前記蓄電要素の充電状態を検出する充電状態検出器と、前記充電状態検出器により検出された充電状態に基づき、前記発電要素の発電電力が前記負荷の電力を超え且つ前記電力変換器が前記発電電力を取り込めない場合に前記発電電力を抑制又は前記発電要素を停止させる制御装置と
、商用電力系統と前記負荷と前記発電要素と前記電力変換器とを接続する第1スイッチと、前記発電要素の発電電力を所定の交流電力に変換するパワーコンディショナとを備え、前記制御装置は、前記充電状態検出器で検出された充電状態に基づき、出力電圧を変化させるための出力電圧指令を前記電力変換器に出力し、前記電力変換器は、前記制御装置からの出力電圧指令により出力電圧を変化させ、前記パワーコンディショナは、前記電力変換器により変化された出力電圧に基づき遮断又は再投入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御装置が充電状態検出器により検出された充電状態に基づき、発電要素の発電電力が負荷の電力を超え且つ電力変換器が発電電力を取り込めない場合に発電電力を抑制又は発電要素を停止させる。より具体的には、制御装置は、蓄電要素の充電状態が上昇したときには、パワーコンディショナをが停止する条件を成立させて発電電力を抑制又は発電要素を停止させて蓄電要素による負荷への電力供給を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1の電力供給システムの構成ブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1の電力供給システムに設けられた制御装置の詳細な構成ブロック図である。
【
図3】実施例1の電力供給システムに設けられた制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例2の電力供給システムの構成ブロック図である。
【
図5】本発明の実施例2の電力供給システムに設けられた出力電圧制御装置の詳細な構成ブロック図である。
【
図6】実施例2の電力供給システムに設けられた出力電圧制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例3の電力供給システムの構成ブロック図である。
【
図8】本発明の実施例3の変形例の電力供給システムの構成ブロック図である。
【
図9】本発明の実施例3の電力供給システムに設けられた出力周波数制御装置の詳細な構成ブロック図である。
【
図10】実施例3の電力供給システムに設けられた出力周波数制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】従来の電力供給システムの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の電力供給システムを図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1の電力供給システムの構成ブロック図である。実施例1の電力供給システムは、蓄電要素4の充電状態(SOC:state of charge)を監視し、充電状態がしきい値を超えたときに、パワーコンディショナ5を遮断して、蓄電要素4による重要負荷7への電力供給を継続し、充電状態が低下した場合にはパワーコンディショナ5を再投入して、太陽光発電装置6の発電電力により重要負荷7への電力供給を継続することを特徴とする。
【0021】
この電力供給システムは、マイクログリッド向け太陽光発電連系システムであり、商用系統電源1、高速スイッチ(高速SW)2、電力変換器3、蓄電要素4、パワーコンディショナ(PCS)5、太陽光発電装置(PV、発電要素に対応)6、重要負荷7、電流検出器8、電圧検出器9、温度検出器10、充電状態検出器11、制御装置12、スイッチ13を備える。即ち、
図1に示す電力供給システムは、
図11に示す電力供給システムの構成に対して、さらに、電流検出器8、電圧検出器9、温度検出器10、充電状態検出器11、制御装置12、パワーコンディショナ5に直列に接続されたスイッチ13を設けたことを特徴とする。
【0022】
電流検出器8は、蓄電要素4に流れる電流を検出し、検出された電流を充電状態検出器11に出力する。電圧検出器9は、蓄電要素4の直流電圧を検出し、検出された直流電圧を充電状態検出器11に出力する。温度検出器10は、蓄電要素4の温度を検出し、検出された温度を充電状態検出器11に出力する。
【0023】
蓄積要素4の充電状態は、蓄積要素4に蓄積された電荷量Qに関係し、この電荷量Qは、蓄積要素4の電圧に比例する。また、電荷量Qは、蓄積要素4に流れる電流の積分にも関係する。また、電荷量Qは、蓄積要素4の温度にも関係している。このため、充電状態検出器11は、電流検出器8で検出された電流値と電圧検出器9で検出された直流電圧値と温度検出器10で検出された温度値とに基づき蓄積要素4の充電状態を検出する。
【0024】
制御装置12は、充電状態検出器11で検出された蓄積要素4の充電状態に基づき、スイッチ13をオフさせるためのスイッチオフ信号及びスイッチ13をオンさせるためのスイッチオン信号を生成してスイッチ13に出力する。即ち、制御装置12は、充電状態検出器11で検出された蓄積要素4の充電状態に基づき、太陽光発電装置6の発電電力が重要負荷7の電力を超え且つ電力変換器3が発電電力を取り込めない場合に太陽光発電装置6を停止させる。
【0025】
制御装置12は、図示しないが、中央処理装置(CPU)とメモリとで構成され、
図2に示すように、充電状態上限判定部21、充電状態下限判定部22、上限継続タイマ23、下限継続タイマ24とを備えている。
【0026】
充電状態上限判定部21は、蓄電要素4の充電状態が充電状態上限判定値HDを超えているかどうかを判定し、蓄電要素4の充電状態が充電状態上限判定値HDを超えている場合には、充電状態上限判定出力信号を上限継続タイマ23に出力する。上限継続タイマ23は、充電状態上限判定部21から出力される充電状態上限判定出力信号の出力されている時間、即ち、蓄電要素4の充電状態が充電状態上限判定値HDを超えている時間を計時し、計時された時間が上限継続時間HTを超えている場合には、スイッチ13をオフするためのスイッチオフ信号をスイッチ13に出力して、スイッチ13をオフさせる。
【0027】
充電状態下限判定部22は、蓄電要素4の充電状態が充電状態下限判定値LD未満かどうかを判定し、蓄電要素4の充電状態が充電状態下限判定値LD未満である場合には、充電状態下限判定出力信号を下限継続タイマ24に出力する。下限継続タイマ24は、充電状態下限判定部22から出力される充電状態下限判定出力信号の出力されている時間、即ち、蓄電要素4の充電状態が充電状態下限判定値LD未満である時間を計時し、計時された時間が下限継続時間LTを超えている場合には、スイッチ13をオンするためのスイッチオン信号をスイッチ13に出力して、スイッチ13をオンさせる。
【0028】
次に、このように構成された実施例1に係る電力供給システムの動作を
図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0029】
まず、スイッチ13をオフさせる場合には、充電状態充電判定部21は、蓄電要素4の充電状態が充電状態上限判定値HDを超えているかどうかを判定する(ステップS1)。蓄電要素4の直流電圧が充電状態上限判定値HDを超えている場合には、上限継続タイマ23は、蓄電要素4の充電状態が充電状態上限判定値HDを超えている時間を計時し、計時された時間が上限継続時間HTを超えているかどうかを判定する(ステップS3)。
【0030】
計時された時間が上限継続時間HTを超えている場合には、スイッチオフ信号をスイッチ13に出力する(ステップS5)。これにより、スイッチ13がオフしてパワーコンディショナ5が遮断される。停電が発生した状態で、CVCF制御で蓄電要素4から重要負荷7へ電力供給中に、太陽光発電装置6の発電電力が余剰になった場合でも、充電状態が危険な電圧まで上昇する前にパワーコンディショナ5を遮断させることができる。
【0031】
一方、ステップS1において蓄電要素4の充電状態が充電状態上限判定値HDを超えていない場合又はステップS3において計時された時間が上限継続時間HTを超えていない場合、即ち、パワーコンディショナ5を再投入する場合には、充電状態下限判定部22は、蓄電要素4の充電状態が充電状態下限判定値LD未満かどうかを判定する(ステップS7)。
【0032】
蓄電要素4の充電状態が充電状態下限判定値LD未満である場合には、下限継続タイマ24は、蓄電要素4の充電状態が充電状態下限判定値LD未満である時間を計時し、計時された時間が下限継続時間LTを超えているかどうかを判定する(ステップS9)。
【0033】
計時された時間が下限継続時間LTを超えている場合には、スイッチオン信号をスイッチ13に出力する(ステップS11)。これにより、スイッチ13がオンしてパワーコンディショナ5が再投入され、重要負荷7が増えて充電状態が低下した場合でも、太陽光発電装置6から重要負荷7に電力供給を継続することができる。
【0034】
なお、充電状態上限判定値HDと充電状態下限判定値LDとは、個別に設定できるため、スイッチ13を頻繁にオンオフさせたくない場合には、スイッチ13のヒステリシス動作を容易に行うことができる。また、上限継続タイマ23、下限継続タイマ24を設けることで、瞬間の電圧変動やノイズなどによりスイッチ13が誤動作することを防止することができる。
【0035】
また、スイッチ13は、太陽光発電系統の主幹回路に一括で1つ設ければ良いので、複数のパワーコンディショナ5を設置し、各々のパワーコンディショナ5の遮断条件が異なる場合でも、一つの設定で全てのパワーコンディショナ5が遮断できるため、パワーコンディショナ5の個別での遮断制御を行う必要はない。
【実施例2】
【0036】
図4は、本発明の実施例2の電力供給システムの構成ブロック図である。
図4に示す実施例2の電力供給システムは、
図11に示す電力供給システムの構成に対して、さらに、電流検出器8、電圧検出器9、温度検出器10、充電状態検出器11、出力電圧制御装置14を設けたことを特徴とする。
【0037】
出力電圧制御装置14は、充電状態検出器11で検出された充電状態に基づき、出力電圧を変化させるための出力電圧指令を演算し、この出力電圧指令を電力変換器3に出力する。
【0038】
図5は、本発明の実施例2の電力供給システムに設けられた出力電圧制御装置の詳細な構成ブロック図である。出力電圧制御装置14は、図示しないが、中央処理装置(CPU)とメモリとで構成され、充電状態上限判定部21、充電状態下限判定部22、上限継続タイマ23、下限継続タイマ24、出力電圧指令演算部25とを備えている。充電状態上限判定部21、充電状態下限判定部22、上限継続タイマ23、下限継続タイマ24は、実施例1に係る電力供給システムにおいて説明したので、省略する。
【0039】
出力電圧指令演算部25は、上限継続タイマ23からの信号に基づき、出力電圧を上昇させるための出力電圧指令を電力変換器3に出力し、下限継続タイマ24からの信号に基づき、出力電圧を一定電圧にするための出力電圧指令を電力変換器3に出力する。
【0040】
次に、このように構成された実施例2に係る電力供給システムの動作を
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
なお、ステップS1,S3,S7,S9の処理は、
図3に示す実施例1のフローチャートで説明したので、ここでは、その説明は省略する。
【0042】
ステップS3において、計時された時間が上限継続時間HTを超えている場合には、出力電圧指令演算部25は、上限継続タイマ23からの信号に基づき、出力電圧を上昇させるための出力電圧指令を電力変換器3に出力する(ステップS4)。電力変換器3は、出力電圧指令演算部25からの出力電圧指令により出力電圧を上昇させる。パワーコンディショナ5は、電力変換器3の上昇された出力電圧に基づき遮断する。これにより、実施例1に係る電力供給システムの効果と同様な効果が得られる。
【0043】
次に、ステップS9において、計時された時間が下限継続時間LTを超えている場合には、出力電圧指令演算部25は、下限継続タイマ24からの信号に基づき、出力電圧を一定電圧にするための出力電圧指令を電力変換器3に出力する(ステップS10)。電力変換器3は、出力電圧指令演算部25からの出力電圧指令により出力電圧を一定電圧にさせる。パワーコンディショナ5は、電力変換器3の一定電圧に基づき再投入される。これにより、実施例1に係る電力供給システムの効果と同様な効果が得られる。
【0044】
また、パワーコンディショナ5の保護機能を用いてパワーコンディショナ5を遮断させるため、スイッチや配線などを必要としない。
【実施例3】
【0045】
図8は、本発明の実施例3の変形例の電力供給システムの構成ブロック図である。
図8に示す実施例3の変形例の電力供給システムは、
図11に示す電力供給システムの構成に対して、さらに、電流検出器8、電圧検出器9、温度検出器10、充電状態検出器11、出力周波数制御装置15を設けたことを特徴とする。
【0046】
出力周波数制御装置15は、充電状態検出器11検出された充電状態に基づき、出力周波数を変化させるための出力周波数指令を演算し、この出力周波数指令を電力変換器3に出力する。
【0047】
図9は、本発明の実施例3の電力供給システムに設けられた出力周波数制御装置の詳細な構成ブロック図である。出力周波数制御装置15は、図示しないが、中央処理装置(CPU)とメモリとで構成され、充電状態上限判定部21、充電状態下限判定部22、上限継続タイマ23、下限継続タイマ24、出力周波数指令演算部26とを備えている。
【0048】
出力周波数指令演算部26は、上限継続タイマ23からの信号に基づき、出力周波数を上昇させるための出力周波数指令を電力変換器3に出力し、下限継続タイマ24からの信号に基づき、出力周波数を一定周波数にするための出力周波数指令を電力変換器3に出力する。
【0049】
次に、このように構成された実施例3に係る電力供給システムの動作を
図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
なお、ステップS1,S3,S7,S9の処理は、
図3に示す実施例1のフローチャートで説明したので、ここでは、その説明は省略する。
【0051】
ステップS3において、計時された時間が上限継続時間HTを超えている場合には、出力周波数指令演算部26は、上限継続タイマ23からの信号に基づき、出力周波数を上昇させるための出力周波数指令を電力変換器3に出力する(ステップS6)。電力変換器3は、出力周波数指令演算部26からの出力周波数指令により出力周波数を上昇させる。パワーコンディショナ5は、電力変換器3により上昇された出力周波数に基づき遮断する。これにより、実施例1に係る電力供給システムの効果と同様な効果が得られる。
【0052】
次に、ステップS9において、計時された時間が下限継続時間LTを超えている場合には、出力周波数指令演算部26は、下限継続タイマ24からの信号に基づき、出力周波数を一定周波数にするための出力周波数指令を電力変換器3に出力する(ステップS12)。電力変換器3は、出力周波数指令演算部26からの出力周波数指令により出力周波数を一定周波数にさせる。パワーコンディショナ5は、電力変換器3の一定周波数に基づき再投入される。これにより、実施例1に係る電力供給システムの効果と同様な効果が得られる。
【0053】
また、パワーコンディショナ5の保護機能を用いてパワーコンディショナ5を遮断させるため、スイッチや配線などを必要としない。
【0054】
なお、実施例1乃至3の電力供給システムでは、充電状態検出器11は、電流検出器8での電流検出値と電圧検出器9での電圧検出値と温度検出器10での温度検出値とに基づいて充電状態を検出したが、例えば、充電状態検出器11は、電流検出器8での電流検出値と電圧検出器9での電圧検出値とに基づいて充電状態を検出しても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 商用系統電源
2 高速スイッチ(高速SW)
3 電力変換器
4 蓄電要素
5 パワーコンディショナ(PCS)
6 太陽光発電装置(PV)
7 重要負荷
8 電流検出器
9 電圧検出器
10 温度検出器
11 充電状態検出器
12 制御装置
13 解列スイッチ
14 出力電圧制御装置
15 出力周波数制御装置
21 充電状態上限判定部
22 充電状態下限判定部
23 上限継続タイマ
24 下限継続タイマ
25 出力電圧指令演算部
26 出力周波数指令演算部