特許第6101586号(P6101586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6101586粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101586
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/32 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   G01G19/32
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-149063(P2013-149063)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-21806(P2015-21806A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100143926
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 公敏
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】原 洋
(72)【発明者】
【氏名】祝部 敦史
(72)【発明者】
【氏名】菱田 浩司
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−074577(JP,A)
【文献】 実開昭58−071123(JP,U)
【文献】 特開昭56−081424(JP,A)
【文献】 特開2011−020296(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/003935(WO,A1)
【文献】 実開昭61−135231(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/22 − 34
G01G 19/387− 393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料をそれぞれに貯留し、予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給する複数の計量供給機と、
これら複数の計量供給機から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部と、
前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部と、
該質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる制御部と、
を備えていることを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記所定の動作として、表示部への前記計量区分値の表示、出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納、及び該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別、のうちの少なくとも一つを実行させ、前記判別を実行させた場合において前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させることを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記制御部は、操作部から入力された任意の監視区分時間または任意の監視区分質量を前記所定区分として設定することを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記制御部は、前記質量検出部の検出値に基づいて、前記各計量供給機の単位時間当たりにおける供給量を変更制御することを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項5】
粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の計量供給機から予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給させて投入部に投入させ、複数種の粉粒体材料を配合する粉粒体材料の配合方法であって、
前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することを特徴とする粉粒体材料の配合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の粉粒体材料を配合する配合装置及び配合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数種の粉粒体材料を所定の配合比(質量比)になるように配合する配合装置(配合システム)が知られている。
例えば、下記特許文献1では、材料を定量排出可能な排出装置をそれぞれに設けた複数の材料貯留タンクと、これら材料貯留タンクの排出口先端から排出される材料を受け入れる単一の混合槽と、を備えた配合システムが提案されている。この配合システムは、各材料貯留タンクの質量を検出するロードセルをそれぞれに設け、各ロードセルの計量値を制御部によって監視し、各材料貯留タンクから排出される材料の排出量が予め設定された設定値になるように、同時に一定の排出速度で材料を排出させ、同時に排出を停止させるように各材料貯留タンクの排出装置を制御する構成とされている。この配合システムによれば、一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比が比較的に正確になるものではあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/003935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような配合システムを含み、従来の配合システム(配合装置)においては、例えば、バッチ計量の途中において、いずれかの材料貯留タンクの排出装置の排出量が粉粒体材料の閉塞や粒径の変化等によって一時的に増減等、変動することで計量途中における粉粒体材料の質量比がばらつくようなことが考えられ、更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認し得る粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の配合装置は、粉粒体材料をそれぞれに貯留し、予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給する複数の計量供給機と、これら複数の計量供給機から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部と、前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部と、該質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記制御部は、前記所定の動作として、表示部への前記計量区分値の表示、出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納、及び該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別、のうちの少なくとも一つを実行させ、前記判別を実行させた場合において前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させてもよい。
また、本発明において、前記制御部は、操作部から入力された任意の監視区分時間または任意の監視区分質量を前記所定区分として設定してもよい。
また、本発明において、前記制御部は、前記質量検出部の検出値に基づいて、前記各計量供給機の単位時間当たりにおける供給量を変更制御してもよい。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の配合方法は、粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の計量供給機から予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給させて投入部に投入させ、複数種の粉粒体材料を配合する粉粒体材料の配合方法であって、前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法は、上述のような構成としたことで、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の配合方法の一例を実行する本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の配合装置の一例を模式的に示す概略システム構成図である。
図2】(a)は、同配合装置の概略制御ブロック図、(b)は、同配合装置において実行される基本動作の一例を模式的に示す概略タイムチャートである。
図3】同配合装置において実行される基本動作の一例を模式的に示す概略フローチャートである。
図4】同配合装置において実行される基本動作の他例を模式的に示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、図1では、材料や空気が流通する管路等を実線にて模式的に示している。また、図2(b)の概略タイムチャートでは、各機器のON/OFF動作等を模式的に示している。
【0012】
図1は、本実施形態に係る粉粒体材料の配合方法を実行する装置の一例としての本実施形態に係る粉粒体材料の配合装置の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る粉粒体材料の配合装置1は、粉粒体材料をそれぞれに貯留し、予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給する複数の計量供給機10,20,30と、これら複数の計量供給機10,20,30から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部としての投入貯留部45と、これら複数の計量供給機10,20,30のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部12,22,32と、を備えている。本実施形態では、配合装置1は、第1計量供給機10と第2計量供給機20と第3計量供給機30とからなる3つの計量供給機を備えている。また、配合装置1は、当該配合装置1の各部を制御する制御部としてのCPU41を備えた制御盤40(図2(a)参照)を備えている。
【0013】
上記のような構成とすれば、粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の計量供給機10,20,30から予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給させて投入貯留部45に投入させ、複数種の粉粒体材料を配合することができるので、攪拌手段等による混合を必要とすることなく混合された状態で配合することができる。これにより、例えば、攪拌手段等によって混合した場合に分離し易かったり、粉化や破断等し易かったりする材料等を配合したり、粉化による飛散等が好ましくない材料等を配合したりする配合装置(配合方法)として好適なものとなる。
【0014】
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、ガラス繊維等のガラス材料、金属材料、半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
また、粉粒体材料としては、例えば、合成樹脂成形品を成形する場合には、ナチュラル材(バージン材)や粉砕材、マスターバッチ材、各種添加剤等が挙げられる。本実施形態では、下流側の成形機9において、ガラス繊維を含有する樹脂成形品(ガラス繊維強化プラスチック)を成形する態様としており、第1計量供給機10にナチュラル材等からなる主材、第2計量供給機20にマスターバッチ材、第3計量供給機30にガラス繊維(グラスファイバー)をそれぞれ貯留させ、これらを同期的にバッチ計量供給して配合する態様としている。
【0015】
この配合装置1は、図1に示すように、各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料を、投入貯留部45を介して射出成形機9等の供給先に供給する構成とされている。また、本実施形態では、当該配合装置1は、射出成形機9上に直接的に設置された例を示しており、材料タンク等の材料元から各計量供給機10,20,30に輸送された複数種の粉粒体材料を配合して供給先としての射出成形機9に供給する粉粒体材料の配合供給システムに組み込まれた例を示している。
射出成形機9は、詳細な説明は省略するが、配合装置1の投入貯留部45を介して材料投入口から投入された粉粒体材料を、スクリューを配設したシリンダ内で溶融させ、その溶融させた1ショット分の樹脂をシリンダ先端のノズルから金型(不図示)内に射出させて、樹脂成形品(ガラス繊維強化樹脂成形品)を成形する構成とされている。
【0016】
なお、供給先9としては、合成樹脂成形品(ガラス繊維強化樹脂成形品)を成形する射出成形機に限られず、他の材料用の射出成形機としてもよく、または種々の材料用の押出成形機や圧縮成形機等の他の成形機を供給先9とする態様としてもよい。
また、このような成形機等の前段等に設置される一時貯留部としてのチャージホッパーなどを供給先9としてもよく、さらには、粉粒体材料を空気輸送するための材料輸送管路の一端を投入貯留部45に接続し、この材料輸送管路の他端に接続される捕集器等を供給先9としてもよい。また、このように空気輸送する態様では、供給先9を単一とする態様に限られない。例えば、材料輸送管路を分岐させ、それぞれの材料輸送管路の他端に捕集器を接続した構成とすることで、これら複数の捕集器を供給先9とするようにしてもよい。
【0017】
各計量供給機10,20,30は、本実施形態では、概ね同様の構成とされている。
これら計量供給機10,20,30は、粉粒体材料をそれぞれに貯留する貯留部13,23,33(第1貯留部13、第2貯留部23及び第3貯留部33)を備えている。これら各貯留部13,23,33は、ホッパー状乃至はタンク状とされており、各貯留部13,23,33を囲むように設けられた外枠フレーム11,21,31にそれぞれ支持されている。図例では、各貯留部13,23,33をそれぞれに支持する外枠フレーム11,21,31を各計量供給機10,20,30に設けた例を示している。
【0018】
また、本実施形態では、各計量供給機10,20,30の質量検出部12,22,32(第1質量検出部12、第2質量検出部22及び第3質量検出部32)を、各貯留部13,23,33内に位置するように設けている。各貯留部13,23,33の対向する両側壁に、対向方向に見て略一致する位置となるように各側壁を貫通する開口を設け、これら両側の開口と干渉(接触)しないように、かつ各貯留部13,23,33を貫通して略水平方向に延びる支持フレームを各外枠フレーム11,21,31に架け渡すように設けた構成とし、これら支持フレーム上に、各質量検出部12,22,32を設置した構成としている。また、各貯留部13,23,33の両側の開口に、略水平方向に延びかつ両側壁間に架け渡されるように設けられた被支持フレームを固定した構成とし、これら被支持フレームをそれぞれの支持フレーム上の質量検出部12,22,32(の検出部)によって支持させた構成としている。
【0019】
つまり、各貯留部13,23,33は、各支持フレームを含む各外枠フレーム11,21,31とは非接触な言わば縁切りされた状態で、各質量検出部12,22,32を介して外枠フレーム11,21,31に支持されている。また、このような構成により、各貯留部13,23,33(各計量供給機10,20,30)の荷重が各質量検出部12,22,32に掛かり、各貯留部13,23,33(各計量供給機10,20,30)の質量の検出を可能としている。
これら質量検出部12,22,32は、図2(a)に示すように、信号線等を介してCPU41(制御盤40)に接続されている。
各貯留部13,23,33(各計量供給機10,20,30)に粉粒体材料が貯留されていない状態の質量検出部12,22,32の検出値が貯留量(質量)ゼロとなる。
【0020】
なお、各質量検出部12,22,32は、各貯留部13,23,33(各計量供給機10,20,30)の重心または重心近傍部位に位置するように配置するようにしてもよい。また、各質量検出部12,22,32としては、ロードセルとしてもよく、その他、種々のセンサー等を採用するようにしてもよい。また、支持フレームや被支持フレームとしては、上向きや下向き開口形状の鋼材からなるものとしてもよく、帯板状や筒形状等とされたものとしてもよい。
また、このように各質量検出部12,22,32を各貯留部13,23,33内に位置するように設けた態様に代えて、各質量検出部12,22,32を各貯留部13,23,33外に位置するように設けた態様としてもよい。各質量検出部12,22,32としては、その他、各計量供給機10,20,30にそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量の検出が可能なものであればよい。
【0021】
また、各貯留部13,23,33の下部には、各貯留部13,23,33に貯留された粉粒体材料を投入貯留部45に向けて切り出す切出部14,24,34(第1切出部14、第2切出部24及び第3切出部34)が設けられている。本実施形態では、これら切出部14,24,34を、モーター等の回転駆動部16,26,36(第1回転駆動部16、第2回転駆動部26及び第3回転駆動部36)によって回転駆動されるスクリュー15,25,35を備えたスクリュー式の切出部(スクリューフィーダ)としている。
これら回転駆動部16,26,36は、図2(a)に示すように、信号線等を介してCPU41(制御盤40)に接続されており、詳細については後述するが所定プログラムに従って作動制御がなされる。
また、各切出部14,24,34は、各回転駆動部16,26,36の単位時間当たりの回転数(モーターの回転速度、モーターへの動作出力)を変更することで、単位時間当たりに切り出す切出量(切出能力)の変更が可能とされている。つまり、各計量供給機10,20,30は、各切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36の単位時間当たりにおける回転数を変更することで、各切出部14,24,34の切出能力を変更し、これにより、単位時間当たりに供給する供給量(供給能力)の変更が可能とされている。
【0022】
各貯留部13,23,33の下端部には、これら切出部14,24,34の各スクリュー15,25,35の軸方向に沿って延び、投入貯留部45上に向けて突出する筒状のトラフ(供給筒)が設けられている。これらトラフの先端開口が後記する投入貯留部45の漏斗状部46に臨むように設けられている。なお、図1では、第1計量供給機10を、投入貯留部45から離間させた位置に設けたように図示しているが、実際には、この第1計量供給機10を含む各計量供給機10,20,30は、単一の投入貯留部45を囲むように設置されている。また、図例では、各トラフの先端が基端よりも上方位置となるようにこれらを傾斜させた構造とした例を示しているが、粉粒体材料の自重落下方向に対して略直交する水平方向に延びるように各トラフを設けた構造としてもよい。
また、各切出部14,24,34は、単位時間当たりに切り出し可能な切出量(切出可能能力)が互いに異なるものとしてもよい。例えば、各切出部14,24,34のスクリュー15,25,35の径やピッチ、羽根形状、条数などを適宜、異ならせ、各切出部14,24,34における切出可能能力を異ならせるようにしてもよい。各切出部14,24,34における切出可能能力は、各計量供給機10,20,30から計量供給される粉粒体材料の質量比や当該配合装置1に要求される配合能力(一バッチ計量供給に要する時間当たりの一バッチ計量質量)等に応じて適宜、設定される。
【0023】
なお、各切出部14,24,34としては、上記のような切出手段としてのスクリュー15,25,35を備えたスクリューフィーダに限られず、モーター等の回転駆動部16,26,36とこれに回転される切出手段とを備え、回転駆動部16,26,36の回転数を変更することで単位時間当たりにおける切出量(供給量)の変更が可能とされたものであればどのようなものでもよい。例えば、周面に材料を収容する凹部(マス部)を有した回転体を回転させることで切り出すマスフィーダー(ロータリーフィーダー)や、径方向に複数の回転羽を突設した回転体を回転させることで切り出すロータリーバルブを切出部として採用するようにしてもよい。または、上面に材料を収容する凹部(マス部)等を有した回転テーブルを回転させ、排出口から切り出すテーブルフィーダーや、貯留部の排出口に近接して設置したテーブルを回転させ、スクレーパーでテーブル上の材料をかき出して切り出すミニテーブルフィーダー等を切出部として採用するようにしてもよく、その他の切出部を採用するようにしてもよい。さらには、このような回転駆動部16,26,36の回転数を変更することで単位時間当たりにおける供給量の変更が可能とされたものに限られず、振動フィーダーの振動やスライドダンパーの開度等を調整することで、単位時間当たりにおける供給量の変更が可能とされた切出部14,24,24を採用するようにしてもよい。
【0024】
また、各貯留部13,23,33の上方には、捕集器17,27,37(第1捕集器17、第2捕集器27及び第3捕集器37)がそれぞれに設置されている。
これら捕集器17,27,37は、各貯留部13,23,33にそれぞれの荷重が掛からないように言わば縁切りされた状態で外枠フレーム11,21,31にそれぞれ支持されている。
また、各捕集器17,27,37の下端には、それぞれの排出口を開閉するスライドダンパー等のダンパーが設けられている。これらダンパーと各貯留部13,23,33の上端の投入口とを、蛇腹管(フレキシブルホース)等によって連結することで、各貯留部13,23,33上に各捕集器17,27,37を縁切り状に設置する態様としてもよい。または、各貯留部13,23,33の投入口に干渉(接触)しないように、各捕集器17,27,37の排出管を挿入したような態様等としてもよい。
【0025】
各貯留部13,23,33における粉粒体材料の貯留レベル(貯留量)が所定の下限レベル(下限値)を下回れば、その捕集器17,27,37のダンパーが開放され、当該捕集器17,27,37から貯留部13,23,33に粉粒体材料の補給がなされる。上記下限レベル(下限値)は、適宜の材料センサーやレベル計等によって検出するようにしてもよいが、上記した質量検出部12,22,32によって検出するようにしてもよい。なお、各捕集器17,27,37のダンパーの開閉は、CPU41によって制御される。
このような各貯留部13,23,33への粉粒体材料の投入や各切出部14,24,34による粉粒体材料の切り出しに伴い、各計量供給機10,20,30における各質量検出部12,22,32の検出値(質量)が増減する。
【0026】
また、各捕集器17,27,37には、末端が材料タンクや乾燥機(乾燥ホッパー)等の材料元にそれぞれ接続されそれぞれの材料元からの粉粒体材料を輸送する材料輸送管2,3,4がそれぞれに接続されている。これら捕集器17,27,37への材料輸送態様(材料補給態様)としては、材料輸送管2,3,4を介したものに限られず、どのような態様としてもよい。図例では、第1捕集器17及び第2捕集器27に材料元からの粉粒体材料を空気輸送する空気輸送手段を設けた例を示している。このような空気輸送手段としては、各捕集器17,27にそれぞれに接続され各捕集器17,27内の空気を吸引する吸引管5,6と、輸送空気源としての材料輸送用の吸引ブロワー8と、各吸引管5,6を切り替えて吸引ブロワー8の吸込み側に連通させる輸送空気切替弁7と、を備えたものとしてもよい。また、この場合、各捕集器17,27に粉粒体材料の有無や貯留レベル(貯留量)を検出する検出手段を設け、この検出手段の検出に基いてCPU41の制御によって粉粒体材料の輸送制御がなされるものとしてもよい。または、所定の輸送時間が経過するまで吸引ブロワー8を作動させる態様としてもよい。
【0027】
また、第3捕集器37へは、空気輸送手段以外の輸送手段によって粉粒体材料を輸送する態様としている。例えば、本実施形態のように、第3計量供給機30の計量供給対象を、ガラス繊維とした場合には、粉塵飛散防止等の観点からチューブ内のスパイラルを回転させて粉粒体材料を輸送するチューブコンベア等の、CPU41によって輸送制御が可能な輸送手段を採用するようにしてもよく、その他の輸送手段を採用するようにしてもよい。または、この第3捕集器37へも上記同様の空気輸送手段によって輸送する態様としてもよい。この場合は、この第3捕集器37に接続した吸引管を、上記した輸送空気切替弁7を介して切り替え可能に吸引ブロワー8に連通させる態様としてもよい。また、空気輸送態様としては、吸引輸送に限られず、材料元の排出部等に、輸送空気源としての圧縮機等からの圧縮空気を供給することで空気輸送管路を介して粉粒体材料を圧送する態様としてもよい。また、単一の輸送空気源を用いて各材料元からの粉粒体材料を各捕集器17,27(,37)へ切り替えて輸送する態様に限られず、各捕集器17,27(,37)毎に輸送空気源を設け、個別に空気輸送し得る態様としてもよい。
【0028】
また、例えば、各貯留部13,23,33に所定レベル(所定量)となるまで粉粒体材料を繰り返し補給し、所定レベル(所定量)となれば、次の材料要求が各貯留部13,23,33からなされるまで各捕集器17,27,37に粉粒体材料を保留させておくような輸送制御がなされるものとしてもよい。
さらには、各捕集器17,27,37への粉粒体材料の補給は、粉粒体材料を空気輸送して補給する態様やチューブコンベア等の他の輸送手段によって補給する態様に限られず、材料元の排出部等から自重落下させて補給する態様としてもよい。この場合は、捕集器を設けずに、各貯留部13,23,33に直接的に補給する態様としてもよい。
また、各捕集器17,27,37(各貯留部13,23,33)への輸送補給制御を、当該配合装置1のCPU41によって実行させる態様に代えて、上記空気輸送手段や他の輸送手段等に信号線等を介して別途、輸送補給制御部としてのCPU等を接続し、これによって上記輸送補給制御を実行させる態様としてもよい。この場合は、このCPUに各貯留部13,23,33からの材料要求信号を出力させるようにすればよい。
【0029】
投入貯留部45は、上記した各切出部14,24,34のトラフのそれぞれの先端部を受け入れる空間を有し、下部が下方に向かうに従い先細り状とされた漏斗状部46と、この漏斗状部46の下端に連設されたシュート部47とを備えている。
各切出部14,24,34(各計量供給機10,20,30)から同期的にこの投入貯留部45の漏斗状部46に向けて計量供給された粉粒体材料は、適度に混合がなされた状態で漏斗状部46を経てシュート部47に至る。
シュート部47は、その下端開口が射出成形機9の材料投入口に連通されており、シュート部47に貯留された粉粒体材料を自重によって言わば垂れ流し状に射出成形機9に供給する構成とされている。なお、このような態様に代えて、投入貯留部(投入部)45に投入された粉粒体材料が、上記した種々の輸送手段と同様の輸送手段によって供給先に向けて輸送される態様としてもよい。
【0030】
また、シュート部47には、当該シュート部47内の粉粒体材料の貯留レベルの低下を検出し、材料要求信号(材料無し信号)を出力する材料センサー(レベル計)48が設けられている。この材料センサー(下限センサー)48は、信号線等を介してCPU41に接続されており、この材料センサー48の材料要求信号に基づいて、CPU41によって上述の各切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36の作動制御がなされ、各計量供給機10,20,30からの計量供給が開始される。そして、所定の一バッチ計量供給が終了すれば、回転駆動部16,26,36が停止される。また、図例では、シュート部47に、満レベルを検出する材料センサー(レベル計)49を設けており、この材料センサー(上限センサー)49の検出がなされるまで一バッチ計量供給を繰り返し実行する態様としてもよい。なお、このような上限センサー49を設けずに、予め設定された回数の一バッチ計量供給を実行させる態様としてもよい。また、この上限センサー49が材料有りを検出すれば、所定の一バッチ計量供給を終了させることなく直ちに計量供給を停止させる態様としてもよい。また、図例では、シュート部47を、筒形状とした例を示しているが、タンク状乃至はホッパー状とされたものとしてもよい。また、このシュート部47には、その下流側の射出成形機9における少なくとも1ショット分の粉粒体材料の貯留がなされ、または、複数ショット分の貯留がなされるものとしてもよい。
【0031】
制御盤40は、当該配合装置1の適所や、側方等に設置されている。
この制御盤40は、図2(a)に示すように、CPU41と、このCPU41に信号線等を介してそれぞれ接続された、各種設定などを設定、入力したり、表示したりするための表示部及び操作部を構成する表示・操作パネル43と、この表示・操作パネル43の操作により設定、入力された設定条件や入力値、上記した各動作や後記する各動作等を実行するための制御プログラムなどの各種プログラム、予め設定された各種動作条件、各種データテーブル等が格納され、各種メモリ等から構成された記憶部42と、異常を報知する報知部44と、を備えている。
【0032】
CPU41は、クロックタイマー等の計時手段や演算処理部等を備え、上記した各機器を制御し、所定のプログラムに従って、上記した材料元から当該配合装置1への粉粒体材料の輸送補給動作、当該配合装置1の配合(計量)動作等を実行させる。
また、CPU41は、上記した各質量検出部12,22,32の検出値に基づいて、各計量供給機10,20,30から計量供給された所定区分M2(図2(b)参照)毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる構成とされている。
【0033】
上記のような構成とすることで、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認することができる。
つまり、バッチ計量の途中における所定区分M2毎の各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値の適否を確認することができる。また、例えば、計量区分値が質量のみであった場合にも、所定区分M2毎の各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料の質量に基づいて質量比を算出等することでバッチ計量途中の所定区分M2毎の質量比の適否を確認することができる。
これにより、複数種の粉粒体材料の配合管理をバッチ計量の途中における所定区分M2毎に行うことができ、適切な質量比の配合材料を用いて成形品を成形することで、成形品の均質性を向上させることができる。また、成形品の均質性の証明として利用することもできる。
【0034】
本実施形態では、CPU41は、上記所定の動作として、表示部としての表示・操作パネル43への上記計量区分値の表示、出力可能なように記憶部42への計量区分値の格納(蓄積)、及び計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別、のうちの少なくとも一つを実行させ、上記判別を実行させた場合において計量区分値が上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させる構成とされている。
【0035】
表示・操作パネル43への表示を実行させる態様とすれば、所定区分M2毎における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方を表示・操作パネル43において確認することができ、バッチ計量の途中における所定区分M2毎の質量比の適否を言わばリアルタイム的に確認することができる。
また、出力可能なように記憶部42への格納を実行させる態様とすれば、記憶部42に格納された所定区分M2毎の質量データ及び質量比データの両方または一方を読み出し、表示・操作パネル43において表示させたり、図示しないプリンター(印刷装置)から印字させたりすることで、バッチ計量の途中における所定区分M2毎の質量比の適否を事後的にも確認することができる。
また、後記する基本動作の一例のように、計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別を実行させ、計量区分値が上下限範囲外であれば異常報知を実行させる態様とすれば、質量比が不適切であったことをより明確に認識させることができる。
また、後記する基本動作の他例のように、計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別を実行させ、計量区分値が上下限範囲外であれば計量停止を実行させる態様とすれば、質量比が不適切であったことを計量停止により認識させることができる。また、これによれば、質量比が不適切な配合材料を廃棄する場合には、廃棄量を効果的に低減させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、CPU41は、操作部としての表示・操作パネル43から入力された任意の監視区分時間または任意の監視区分質量を所定区分M2として設定する構成とされている。このような構成とすれば、表示・操作パネル43から入力された監視区分時間または監視区分質量を、所定区分M2とできる。これにより、配合される粉粒体材料の種類や質量比、一バッチ量、成形態様等に応じて、監視すべき一バッチ計量の途中における区分を柔軟に設定することができる。例えば、配合材料から成形された成形品が品質管理工程等において所定の分割単位で配合割合等のチェックがなされるような場合には、その分割単位に応じた時間や質量等を、所定区分M2として設定するようなこともできる。また、本実施形態のように、射出成形機を配合材料の供給先9とした場合には、後記するように射出成形機9のスクリューの1ピッチに充填される粉粒体材料の質量に概ね見当たった値を所定区分M2として設定するようなこともできる。これにより、成形品の均質性をより効果的に証明することができる。
【0037】
また、本実施形態では、CPU41は、各質量検出部12,22,32の検出値に基づいて、各計量供給機10,20,30の単位時間当たりにおける供給量を変更制御する構成とされている。つまり、本実施形態では、ロスインウエイト方式(減算質量式)にて、各計量供給機10,20,30の貯留部13,23,33において減少した質量が計量供給されたものとみなし、その質量変化を監視しながら一バッチ計量供給が終了した時点における計量供給機10,20,30毎の計量供給された粉粒体材料が所定質量となるように、各計量供給機10,20,30の回転駆動部16,26,36をフィードバック制御するようにしている。このような構成とすれば、例えば、各計量供給機10,20,30の切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36の回転数と単位時間当たりにおける供給量との対応関係を示す予め設定された検量データに基づき、設定された質量比になるように回転数を設定するようなものと比べて、配合精度を向上させることができる。
【0038】
表示・操作パネル43は、複数の操作キーを備えている。図例では、各種事前設定項目を設定、入力するための設定キー(設定操作部)や、所定区分M2の入力を受け付ける所定区分入力キー(所定区分入力操作部)、報知リセットキー(報知リセット操作部)などを備えている。なお、この表示・操作パネル43に、計量に先立ち各切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36を作動させて各切出部14,24,34に粉粒体材料を事前充填させるための入力を受け付ける充填キー(充填操作部)などを設けるようにしてもよい。
この表示・操作パネル43としては、各操作キーを構成する操作ボタンやテンキー、キーボード等の入力部を配置したものとしてもよいが、操作性の観点から各種モードに合わせて画面表示が切り替わるタッチパネル式とされたものとしてもよい。また、このような表示・操作パネル43を制御盤40に設けた態様に代えて、または加えて、CPU41に有線乃至は無線等で接続された携帯情報端末等を含む外部端末を表示部及び操作部として把握するようにしてもよい。
【0039】
記憶部42には、表示・操作パネル43において設定、入力等された各種データが格納される。この記憶部42には、例えば、表示・操作パネル43から入力された一バッチ計量目標質量M1や、一バッチ計量目標時間、それぞれの計量供給機10,20,30から計量供給される粉粒体材料毎の質量比(目標質量比)、所定区分M2等が格納される。
また、例えば、各切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36を、所定のテスト回転数(例えば最大回転数)で所定時間が経過するまでまたは所定量が切り出されるまで回転させて粉粒体材料を切り出させた際における粉粒体材料毎のテスト回転数における切出能力(単位時間当たりにおける供給量)及び落差量(回転駆動部16,26,36停止後に落下した粉粒体材料の質量)を記憶部42に格納させるようにしてもよい。この場合、各切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36を所定のテスト回転数で所定時間が経過するまでまたは所定量が切り出されるまで回転させて粉粒体材料を切り出させるテストモードを実行させるための入力を受け付けるテストキー(テスト操作部)等を、表示・操作パネル43に設けておくようにしてもよい。また、複数回のテストを実行させて平均値を初期データとして記憶部42に格納させておく態様としてもよい。また、このような所定のテスト回転数における切出能力や落差量に基いて算出された任意の回転数で回転させた場合の切出能力や落差量を記憶部42に格納させておく態様としてもよい。また、このような切出能力や落差量は、当該配合装置1が後記する定常運転モードで稼動される際に、随時、実測データに基づいて補正され、記憶部42のデータの更新がなされるものとしてもよい。この場合、過去複数回の一バッチ計量の移動平均値に基づいて補正、更新するようにしてもよい。
また、このような記憶部42を制御盤40に設けた態様に代えて、または加えて、CPU41に有線乃至は無線等で接続される携帯情報端末等を含む外部記憶装置を、記憶部42として把握するようにしてもよい。
【0040】
報知部44としては、アラームやエラーメッセージ等を出力するスピーカ等としてもよい。このような異常報知態様に代えて、または加えて表示部としての表示・操作パネル43を報知部とし、アラームやエラーメッセージ等を表示させて異常を報知する態様としてもよい。さらには、報知部44としての光源を点灯や点滅等させることで異常を報知する態様としてもよい。このような報知部44としては、ユーザーに対して異常を認識させ得るものであれば、どのようなものでもよい。
なお、このような報知部44を制御盤40に設けた態様に代えて、または加えて、CPU41に有線乃至は無線等で接続される携帯情報端末等を含む外部の報知手段を、報知部44として把握するようにしてもよい。
【0041】
次に、上記構成とされた本実施形態に係る粉粒体材料の配合装置1において実行される基本動作(配合方法)の一例を、図2(b)及び図3に基づいて説明する。
まず、上記したような各種事前設定項目を、表示・操作パネル43をして入力させ、各種設定値を記憶部42に格納させる。
本例では、当該配合装置1によって一バッチで計量供給され、配合される粉粒体材料の質量(一バッチ計量値)が所望する値となるように、一バッチ計量目標質量M1を入力させ、格納させるようにしている。この一バッチ計量目標質量M1は、例えば、本実施形態のように供給先を射出成形機9とした場合には、1ショット分の質量と略同質量としてもよい。なお、以下では便宜的に一バッチ計量目標質量M1を2000gとする。
また、一バッチ計量供給を実行する一バッチ計量目標時間を入力させ、格納させるようにしてもよい。例えば、この一バッチ計量目標時間を、60秒とすれば、当該配合装置1の一バッチ計量供給実行時における配合能力は、120kg/hとなる。
なお、これら一バッチ計量目標質量M1や一バッチ計量目標時間は、下限値及び上限値を予め格納させておき、下限値を下回る入力や上限値を超える入力の受付を不可としてもよい。
【0042】
また、各計量供給機10,20,30からそれぞれに計量供給する粉粒体材料毎の質量比(目標質量比)を入力させ、格納させる。例えば、第1計量供給機10から計量供給する主材の質量比(目標質量比)を60%、第2計量供給機20から計量供給するマスターバッチ材の質量比(目標質量比)を10%、第3計量供給機30から計量供給するガラス繊維の質量比(目標質量比)を30%等としてもよい。つまり、この場合、第1計量供給機10から一バッチ計量供給で計量供給される主材の一バッチ目標質量が1200g、第2計量供給機20から一バッチ計量供給で計量供給されるマスターバッチ材の一バッチ目標質量が200g、第3計量供給機30から一バッチ計量供給で計量供給されるガラス繊維の一バッチ目標質量が600gとなる。
なお、一バッチ計量目標質量M1及び一バッチ計量目標時間の両方を入力させて格納させる態様に限られず、これらのうちの一方を入力させる態様とし、他方については、初期設定等されたものとしてもよい。
【0043】
また、所定区分を入力させ、格納させる。本例では、表示・操作パネル43から入力された監視区分質量M2を所定区分としている。この監視区分質量M2は、一バッチ計量目標質量M1を更に細分化した質量とされている。例えば、本実施形態のように供給先を射出成形機9とした場合には、この監視区分質量M2を、射出成形機9のスクリューの1ピッチに充填される粉粒体材料の質量に概ね見合った質量としてもよい。なお、以下では便宜的に監視区分質量M2を360gとする。
また、各計量供給機10,20,30の貯留部13,23,33に粉粒体材料を貯留させる。また、適宜、上記したテストモードを実行させる。
【0044】
上記のような準備が整えば、スタンバイ状態となり、粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の計量供給機10,20,30から予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給させて投入貯留部45に投入させ、複数種の粉粒体材料を配合する定常運転モードの実行が可能となる。この定常運転モードでは、例えば、上記のように投入貯留部45の材料センサー48から材料要求信号が出力されれば、一バッチ計量供給が実行される。
つまり、図2(b)に示すように、各計量供給機10,20,30の回転駆動部16,26,36を同時に起動させて計量供給を開始させる。これにより、各貯留部13,23,33に貯留された粉粒体材料が減少し、各質量検出部12,22,32における検出値(質量値)が小さくなる。この際、一バッチ計量供給が終了した時点における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料がそれぞれ所定質量となるように、かつ計量供給が同時に終了するように(つまり、回転駆動部16,26,36の停止が同時になされるように)、各計量供給機10,20,30の回転駆動部16,26,36の回転数が上記した切出能力に基いて設定され、原則的には略一定の回転数で各回転駆動部16,26,36の作動制御がなされる。また、上記した落差量を加味して回転数を設定するようにしてもよい。
【0045】
また、本動作例では、これら質量検出部12,22,32の検出値を、所定の微小時間毎に監視し、一バッチ計量供給が終了した時点における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料が所定質量となるように、かつ計量供給が同時に終了するように、各回転駆動部16,26,36の回転数を変更制御するようにしている。上記微小時間としては、例えば、0.05秒〜0.5秒程度としてもよく、0.1秒としてもよい。
また、各回転駆動部16,26,36の回転数の変更制御は、供給量が急激に変動しないように、PID制御等によって実行するようにしてもよい。
【0046】
また、本動作例では、図2(a)及び図3に示すように、一バッチ計量供給の実行中に、各計量供給機10,20,30から計量供給された所定区分(監視区分質量)M2毎の計量区分値の適否の確認を可能とする所定の動作を実行するようにしている。
本動作例では、図3に示すように、前回監視区分計量値からの計量値(初回の場合には一バッチ計量供給開始時点からの計量値)が監視区分質量M2以上となれば(ステップ100)、各計量供給機10,20,30における計量値から計量供給機10,20,30毎の計量区分値としての質量比を算出する(ステップ101)。この前回監視区分計量値からの計量値(初回の場合には一バッチ計量供給開始時点からの計量値)が監視区分質量M2以上であるか否かの判別は、各質量検出部12,22,32の検出値を参照してなされる。
つまり、ステップ100,101においては、前回監視区分計量値(初回の場合には起動時)からの各計量供給機10,20,30から計量供給される粉粒体材料の総質量が360gになれば、当該監視区分質量M2の区間において各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の計量値(質量)に基づき、当該監視区分質量M2の区間における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比を算出する。
【0047】
そして、本動作例では、所定の動作として、当該監視区分質量M2の区間における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比が所定の上下限範囲内であるか否かの判別を実行するようにしている(ステップ102)。この上下限は、複数の計量供給機10,20,30に共通の予め設定された値としてもよく、計量供給機10,20,30毎に設定、つまり、粉粒体材料毎に事前に設定されたものとしてもよく、更には、表示・操作パネル43から入力可能とされたものとしてもよい。このような上限値及び下限値は、当該配合装置1に要求される配合精度等に応じて適宜、設定可能である。
【0048】
また、本動作例では、当該監視区分質量M2の区間における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比が上記上下限範囲外であれば、異常報知を実行させるようにしている(ステップ103)。この異常報知は、例えば、所定時間が経過するまで継続させるようにしてもよいが、本動作例では、上記した表示・操作パネル43の報知リセットキー等を介したリセット操作がなされるまで異常報知を継続させるようにしている(ステップ104)。また、図2(b)では、一バッチ計量供給開始から2番目の監視区分質量M2の区間において異常があり、その次の3番目の監視区分質量M2の区間において異常報知を開始させるような態様とした例を示している。
このようなステップ100〜ステップ102は、一バッチ計量供給が完了するまで監視区分質量M2毎になされる(ステップ105)。
そして、一バッチ計量供給が完了すれば(ステップ105)、各計量供給機10,20,30における最終計量値から計量供給機10,20,30毎の最終質量比を算出する(ステップ106)。つまり、一バッチ計量供給において各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の最終計量値(最終質量)に基づき、一バッチ計量供給において各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の最終質量比を算出する。
【0049】
そして、一バッチ計量供給において各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の最終質量比が所定の上下限範囲内であるか否かの判別を実行する(ステップ107)。この上限値及び下限値は、上記同様、当該配合装置1に要求される配合精度等に応じて適宜、設定可能であり、上記した監視区分質量M2の区間における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比の適否を判別するための上限値及び下限値と同じ値としてもよく、異なる値としてもよい。
一バッチ計量供給において各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の最終質量比が上記上下限範囲内であれば、一バッチ計量供給動作を終了する(ステップ107)。一方、一バッチ計量供給において各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の最終質量比が上記上下限範囲外であれば、上記同様、リセット操作がなされるまで異常報知を実行し、リセット操作がなされれば、一バッチ計量供給動作を終了する(ステップ107〜ステップ109)。
【0050】
なお、本動作例では、異常があった区間の次の区間において異常報知を開始させたような態様としているが、一バッチ計量供給が完了した時点において異常報知を実行するようにしてもよい。
また、例えば、上記した監視区分質量M2の区間における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比の適否を判別するための上限値及び下限値を、複数段階設定しておき、それぞれの段階において異常報知を実行させる態様としてもよい。この場合、それぞれの段階における異常報知の態様を異ならせるようにしてもよい。
また、図4に示すように、ステップ102において、監視区分質量M2の区間における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比が上記上下限範囲外であれば、異常報知を実行させる態様に代えて(または加えて)、計量停止を実行させるようにしてもよい(ステップ203)。つまり、この場合は、不適切と判別すれば、以後の計量動作が行われず、配合済み材料を効果的に減少させることができる。
【0051】
また、上記動作例では、計量区分値を、所定区分(監視区分質量M2の区間)における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量比とした例を示しているが、これに代えて、または加えて、所定区分(監視区分質量M2の区間)における各計量供給機10,20,30から計量供給された粉粒体材料毎の質量を計量区分値としてもよい。
また、上記動作例では、所定の動作として、計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別を実行させ、計量区分値が上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させる態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。このような態様に代えて、または加えて、計量区分値を表示・操作パネル43等に表示させたり、計量区分値を出力可能なように記憶部42等に格納させたりする態様としてもよい。計量区分値を表示させる場合には、所定区分が経過する毎に、例えば、所定時間が経過するまで表示させたりするような態様等としてもよい。
さらには、射出成形機等の供給先9に、計量区分値を送信し、計量区分値の適否の確認が可能なように供給先9において上記のような動作や他の動作を実行させるような態様等としてもよい。
【0052】
また、上記動作例では、所定区分を、表示・操作パネル43等の操作部から入力された監視区分質量M2とした例を示しているが、任意の監視区分時間としてもよい。この場合は、上記動作例におけるステップ100において、前回監視区分時間終了時点からの経過時間(初回の場合には一バッチ計量供給開始時点からの経過時間)が監視区分時間以上であるか否かの判別を実行するようにすればよい。また、例えば、所定区分を、一バッチ計量目標時間または一バッチ計量目標質量値を複数に均等割(例えば、6分割等)したものとしてもよい。また、この分割数を表示・操作パネル43等の操作部から入力可能な態様としてもよい。
また、上記動作例のように、均等割りしない態様とした場合には、一バッチ計量供給完了時点における総計量値を監視する態様に加え、最終の所定区分から計量完了時点までの余りの区分(図2(b)における6番目に相当する区分)についても同様に、計量区分値の適否の確認が可能なように、上記のような動作を実行させる態様としてもよい。または、余りの区分については、上記のようなステップ100〜102を実行しない態様としてもよい。
【0053】
また、上記動作例では、落差量を加味し、各計量供給機10,20,30の回転駆動部16,26,36を原則的に略一定の回転数で作動させる態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、落差量による誤差を低減させるために、一バッチ計量供給の終了間際における各計量供給機10,20,30の回転駆動部16,26,36の回転数を減少させるような作動態様としてもよい。
また、本実施形態では、各質量検出部12,22,32の検出値に基づいて、各計量供給機10,20,30の単位時間当たりにおける供給量を変更制御する態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、各計量供給機10,20,30の切出部14,24,34の回転駆動部16,26,36の回転数と単位時間当たりにおける供給量との対応関係を示す予め設定された検量データ等に基づき、設定された質量比になるように各回転駆動部16,26,36の回転数を設定するような態様としてもよい。
また、本実施形態では、3つの計量供給機10,20,30を備えた配合装置1を例示しているが、少なくとも2つの計量供給機を備えたものとしてもよい。
また、本発明に係る粉粒体材料の配合方法は、上記した配合装置1を用いて実行する態様に限られず、その他、種々の配合装置を用いて実行が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 粉粒体材料の配合装置
10 第1計量供給機
12 質量検出部
20 第2計量供給機
22 質量検出部
30 第3計量供給機
32 質量検出部
41 CPU(制御部)
42 記憶部
43 表示・操作パネル(表示部、操作部)
44 報知部
45 投入貯留部(投入部)
M2 監視区分質量(所定区分)
図1
図2
図3
図4