(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101626
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】マグネトロン用電力供給装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20170313BHJP
H05B 6/68 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H05B6/68 320B
H02M3/28 U
H02M3/28 Q
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-519145(P2013-519145)
(86)(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公表番号】特表2013-533724(P2013-533724A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】GB2011001048
(87)【国際公開番号】WO2012007713
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】1011789.3
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507212067
【氏名又は名称】セラビジョン・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】キェル,リドストロム
【審査官】
▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−257613(JP,A)
【文献】
特開2008−283818(JP,A)
【文献】
特開2004−153944(JP,A)
【文献】
米国特許第05642268(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H05B 6/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・制御入力を有し、
通常の制御電圧、或いは通常から一の方向に逸脱した制御電圧が前記制御入力に供給されるときに、供給される直流電圧の特定の倍数で昇圧された電圧を生成し、
通常から他の方向に前記制御電圧が逸脱したときに、減少した倍数で昇圧された電圧を生成するように構成されるマグネトロン・スイッチングコンバータ電力回路すなわちMSCPCと、
・前記直流電圧、或いは、そこでの増加を加えた前記直流電圧を前記MSCPCに供給するように配置される直流電圧源と、
・前記マグネトロンを駆動するために、前記直流電圧源から前記MSCPCを通過する電力或いは電流を測定する手段と、
・前記マグネトロンの要求出力電力と、前記測定電力或いは電流と、の間の差の関数にしたがって、前記制御入力への前記制御電圧を前記MSCPCに供給するためのコンバータ制御手段と、
・前記増加を加えた前記直流電圧を前記MSCPCに供給させるために、前記制御電圧の前記一の方向への逸脱を前記直流電圧源に伝達する直流電圧制御手段と、
を備える電力供給装置であって、
上記の配置は、使用時に
・前記コンバータ制御手段が前記MSCPCに前記通常の制御電圧を供給するとき、前記MSCPCは前記直流電圧を供給され、前記マグネトロンを通常電力で動作させるために通常電力を供給し、
・前記コンバータ制御手段が前記他の方向へ逸脱した制御電圧を供給するとき、前記MSCPCは前記直流電圧を供給され、前記マグネトロンを通常電力よりも小さい電力で動作させるためにより小さい電力を供給し、
・前記コンバータ制御手段が前記一の方向へ逸脱した制御電圧を供給するとき、前記MSCPCは前記増加を加えた前記直流電圧を供給され、前記マグネトロンを通常電力よりも大きい電力で動作させるためにより大きい電力を供給する、
ことを特徴とする、マグネトロン用電力供給装置。
【請求項2】
前記制御電圧の逸脱を伝達するための前記直流電圧制御手段が、前記マグネトロンの電力を制御するための前記MSCPCに対し前記マグネトロンの要求出力電力を示す、マイクロプロセッサの電圧を生じさせるようにプログラムされたマイクロプロセッサであることを特徴とする、請求項1に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項3】
前記電力或いは電流測定手段が、前記MSCPCと直列の抵抗器であり、前記抵抗器の一端は接地され、他端は前記MSCPCに接続されることを特徴とする、請求項2に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項4】
前記コンバータ制御手段が、設定された方法によって前記直流電圧源を制御するようにプログラムされたマイクロプロセッサの調整であることを特徴とする、請求項2或いは請求項3に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項5】
前記コンバータ制御手段が、
・前記マグネトロンの要求出力電力を示すマイクロプロセッサの電圧を生じさせるようにプログラムされたマイクロプロセッサと、
・帰還ループに配置され、前記測定手段からの電圧の、前記マグネトロンの電力を前記要求出力電力に制御するための前記マイクロプロセッサの電圧との比較にしたがって、前記制御入力への前記制御電圧を前記MSCPCに供給するように構成された集積回路と、
であることを特徴とする、請求項1に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項6】
前記電力或いは電流測定手段が、前記MSCPCと直列の抵抗器であり、前記抵抗器の一端は接地され、他端は前記MSCPCに、そして帰還抵抗器を介して、前記集積回路の入力に、接続されることを特徴とする、請求項5に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項7】
前記集積回路が、エラー信号増幅器として接続される演算増幅器であることを特徴とする、請求項5或いは請求項6に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項8】
前記集積回路が帰還コンデンサを伴う積分器として配置され、それによって、その出力電圧が、前記コンバータを制御するための電圧−周波数回路を制御するように構成されることを特徴とする、請求項5,請求項6或いは請求項7に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項9】
前記制御電圧の逸脱を伝達するための前記直流電圧制御手段が、前記集積回路の出力と前記直流電圧源の制御入力の間に設置されるハードウェア回路であり、当該回路は、
・必要な前記マグネトロン出力が通常か或いはより少ない場合、前記直流電圧源制御入力を前記集積回路出力から分離し、
・前記一の方向に逸脱した前記制御電圧、或いはそれに対応する信号を前記直流電圧源制御入力に伝達する、
ように構成され配置されることを特徴とする、請求項5〜8のうちいずれか1項に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【請求項10】
前記ハードウェア回路が、前記直流電圧源を制御する分圧器の中間点にバイアスをかけるように接続されるエミッタフォロワトランジスタ回路であり、前記トランジスタ回路は、通常よりも大きな電力が要求されるときにのみ、前記分圧器の分圧電圧を上昇させるようにバイアスをかけることを特徴とする、請求項9に記載のマグネトロン用の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマグネトロン用の電力供給装置に関連する。ただし、特にランプに電力を供給するマグネトロン用には限らない。
【背景技術】
【0002】
既知のマグネトロン用電力供給装置は、
・直流電流源によって駆動され、交流電流出力を生み出すように構成され、
・共振周波数を示すインダクタンスとキャパシタンス(「LC回路」)を含む共振回路と、
・前記LC回路の共振周波数よりも高い周波数の、スイッチングによる交流電流を生成するために、前記インダクタンスと前記キャパシタンスをスイッチングするスイッチング回路と、
を備えたコンバータと、
・前記出力交流電流を昇圧するための出力トランスと、
・昇圧された電圧を前記マグネトロンへ供給するための出力トランスの二次回路に接続される整流器と平滑回路と、
を備えたコンバータ回路を有する。
【0003】
本明細書において、我々はそのような回路を「マグネトロン・スイッチングコンバータ電力回路」或いはMSCPCと記載する。
【0004】
既知のマグネトロン用電力供給装置において、前記コンバータ用の前記直流電流源は、交流電流電源に接続されたときに、オームの法則に従った特性を示すことができるように、普通は(調整のために)力率補正(PFC)を含む。
【0005】
各前記PFC電圧源と各前記コンバータ、すなわち前記PFCの各段と前記コンバータの各段の双方は通常、高周波スイッチング素子である。すなわち、それらは電源周波数に対して高い周波数でスイッチングされる各電子スイッチを包含する。各段は双方で効率特性を有しているので、ある動作条件の下ではそれらの効率は下落する。
【0006】
前記PFC段の効率は、しだいに高くなる直流電圧を発生するように動作されるときに下落する。前記コンバータ段の効率は、その構成の共振周波数とかけ離れてより高いスイッチング周波数で動作されるとき、そして、その最大電流よりも、より少ない電流を発生させるときに下落する。
【0007】
低電圧における最大PFC効率と最大コンバータ効率が二分していることは、全体の電力供給効率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願PCT/GB2011/000920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、効率的な電力供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
・制御入力を有し、通常の制御電圧、或いは通常から一の方向に逸脱した制御電圧が前記制御入力に供給されるときに、供給される直流電圧の特定の倍数で昇圧された電圧を生成し、通常から他の方向に前記制御電圧が逸脱したときに、減少した倍数で昇圧された電圧を生成するように構成されるマグネトロン・スイッチングコンバータ電力回路すなわちMSCPCと、
・前記直流電圧、或いは、そこでの増加を加えた前記直流電圧を前記MSCPCに供給するように配置される直流電圧源と
・前記マグネトロンの要求出力電力と、前記測定電力或いは電流と、の間の差の関数にしたがって、前記制御入力への前記制御電圧を前記MSCPCに供給するためコンバータ制御手段と、
・要求マグネトロン電力と、前記測定電力或いは電流と、の間の差の関数にしたがって、制御電圧を前記MSCPCに供給するためのコンバータ制御手段と、
・
前記増加を加えた前記直流電圧を前記MSCPCに供給させるために、前記制御電圧の前記一の方向への逸脱を前記直流電圧源に伝達する直流電圧制御手段と、
を備える電力供給装置であって、
上記の配置は、使用時に
・前記コンバータ制御手段が前記MSCPCに前記通常の制御電圧を供給するとき、前記MSCPCは前記直流電圧を供給され、前記マグネトロンを通常電力で動作させるために通常電力を供給し、
・前記コンバータ制御手段が前記他の方向へ逸脱した制御電圧を供給するとき、前記MSCPCは前記直流電圧を供給され、前記マグネトロンを通常電力よりも弱い電力で動作させるためにより弱い電力を供給し、
・前記コンバータ制御手段が前記一の方向へ逸脱した制御電圧を供給するとき、前記MSCPCは
増加を加えた直流電圧を供給され、前記マグネトロンを通常電力よりも高い電力で動作させるためにより高い電力を供給する、
マグネトロン用電力供給装置が提供される。
【0011】
前記制御電圧の逸脱を伝達する前記直流電圧制御手段が、設定された方法で前記電力供給装置を制御するようにプログラムされたマイクロプロセッサである可能性があることが予想される。しかしながら好適な実施例において、前記制御電圧の逸脱を伝達する前記直流電圧制御手段(DCVCM)は、前記コンバータ用の前記制御電圧から前記電圧源用の前記制御電圧を得るハードウェア回路である。具体的には、前記DCVCMは前記コンバータ制御手段の出力と前記直流電圧源制御入力の間に設置され、前記回路は、
・前記必要マグネトロン出力が通常か或いはより少ない場合、前記直流電圧源制御入力を前記コンバータ制御手段の出力から分離し、
・効果がない方向に逸脱した前記制御電圧、或いはそれに対応する信号を前記直流電圧源制御入力に伝達する、
ように構成され、配置される。
【0012】
好適な実施例において、前記コンバータ制御手段は、
・前記マグネトロンの要求出力電力を示す直流電圧制御手段の出力信号を生じさせるようにプログラムされたマイクロプロセッサ、
・帰還ループに配置され、前記測定手段からの電圧の、前記マグネトロンの電力を前記要求電力に制御するための前記マイクロプロセッサの電圧との比較にしたがって、制御信号を前記MSCPCに供給するように構成された集積回路、
である。
【0013】
好適には、前記測定手段は、前記MSCPC電流が流れ、比較電圧を発生させる抵抗器である。
【0014】
好適なハードウェア回路は前記電圧源を制御する分圧器の接続点に接続されるトランジスタ回路であり、前記トランジスタ回路は、通常電力よりも大きい電力が必要になったときにのみ、分圧器にかかるバイアスを上昇させる。
【0015】
本発明の理解を手助けするために、ここで一例として、そして、図面に準拠して特定の実施例を記述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にしたがった電力供給装置の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、マグネトロン用電力供給装置1は、PFC直流電圧源2とHV(高圧)コンバータ3を有する。前記電圧源は駆動される電源であり、配線5における電源電圧より高く、コンデンサ4に平滑される直流電圧を前記HVコンバータに供給する。前記HVコンバータは、トランス6にスイッチングによる交流電流を供給する。前記トランスはより高圧な交流電流を整流器7に供給し、同様に高圧でマグネトロンに電力供給される、配線8におけるアノード電圧を前記マグネトロンに供給する。前記電圧源と前記コンバータは95%かそれ以上の程度の効率を有する。そうは言うものの、全体の効率の実際と同程度に各構成要素が効率的になる条件の下で、電力供給装置が動作することが望ましい。特に前記マグネトロンに電力供給される照明においてそうである。前記マグネトロンは起動時に起動期間の終了までその出力を維持するように、通常よりも大きな電力を必要とする。これを提供するのが本発明であり、同時に通常動作時の効率性を提供するのに向けられている。前記効率性は通常動作時に最も効率的な条件で前記電圧源と前記HVコンバータの両方を実行することによって達成される。
【0018】
前記HVコンバータはそれ自身が効率的なので、前記マグネトロンに供給される電力を前記HVコンバータに供給され通過する電力に近づけるという妥当な予測において、前記HVコンバータは通過する電流を測定することによって制御され得る。後でより詳細に説明するが、ほとんどの動作状況中においてそうであるように、前記マグネトロンに供給される前記電圧は一定にとどまると見なす場合には、結果的に、前記コンバータを流れる電流は低い値の抵抗器を通過することができ、前記マグネトロンに供給される電流と、そしてもちろん前記マグネトロンに供給される電力と、の測定器としてのマイクロプロセッサに、前記抵抗器の両端の電圧が給電されるだろう。
【0019】
しかしながら、この実施例において、HVコンバータの制御の改良を記載した、2011年6月17日付の、我々の同時係属の国際特許出願PCT/GB2011/000920号の好適な実施例のように、低い値の抵抗器9の両端の電圧は、演算増幅器として統合された、集積化したエラー信号増幅器10の一側の入力に供給される。前記マイクロプロセッサ12は、前記演算増幅器の他側の入力に、要求電力に対応する前記要求電流を示す信号を提供する。前記演算増幅器は積分、帰還コンデンサ14を有し、前記HVコンバータ用の周波数制御回路15に、入力部品15
1,15
2,15
3を介して、要求電流を示す電圧を伝達する。前記マイクロプロセッサは、配線16上の、前記電圧源電圧を示す入力を受けて、目下の要求電力にしたがって要求電流を算出する。マグネトロン・スイッチングコンバータ電力回路とも呼ばれる前記コンバータは、各スイッチ17と、前記トランス6の一次巻線を含む各LC部品18を有する。前記マグネトロンに直流アノード電圧を供給するために、前記トランスの二次巻線20は整流器21に給電する。前記トランスの巻数比は、前記マグネトロンに最適なアノード電圧を供給するような比である。一般的に10:1の比で通常のマグネトロンの動作に対して3.5kVを供給する。
【0020】
前記HVコンバータの配線16への入力に対する反応は以下の通りである。
・前記コンバータと前記測定抵抗器を流れる電流を最大に制御するように、通常の制御電圧、すなわち通常時、マグネトロンの全出力動作に適した電圧が前記コンバータに供給されるとき、通常の高電力で前記マグネトロンを動作させるために、通常の高電圧及び電力を前記マグネトロンに供給する。前記高電圧は前記電圧源の電圧を前記トランスの巻数比倍したものである。
・前記コンバータの周波数を上昇させ、前記コンバータの電流を降下させるように、通常の制御電圧よりも高い電圧が前記コンバータに供給されるとき、通常電力よりも少ない電力を前記マグネトロンに供給する。名目上の電圧は変化せず、通常直流電圧が前記コンバータに供給される。しかし、前記コンバータの誘導成分は電流を妨げ減少させ、前記マグネトロンへの電力を減少させる。前記コンバータを通常電力よりも少ない電力で動作することは、最も効率的な状態から遠ざかって前記コンバータを動作させる事態をまさに引き起こす。
・通常制御電圧よりも低い電圧が前記コンバータに供給されるとき、通常最大電流よりも大きくは伝達できない。しかしながら、下記のように、通常制御電圧よりも大きな電圧は前記直流電圧源の出力電圧を増大させ、それによって、前記コンバータは通常の電圧及び電力よりも大きな電圧及び電力を前記マグネトロンに供給する。
【0021】
前記直流電圧源はPFCインダクタ22を有し、当該PFCインダクタ22は集積回路24の制御の下でトランジスタスイッチ23によってスイッチングされる。それは、前記電圧源が可変直流電圧を供給することを可能にするインダクタである。入力整流器25は電源電圧を整流するために設置される。前記電圧源の出力電圧は監視され、分圧器26によって前記集積回路に帰還される。
【0022】
本発明に基いて、制御回路27によって前記HVコンバータに供給される前記要求電圧の制御す必要となるように、この帰還電圧は変更される。
【0023】
前記HVコンバータは、前記LC共振周波数の上の近い周波数で動作するとき、最も効率的になる。一般的に、前記LC共振周波数は50kHzで、前記コンバータは52kHzと55kHzの間で動作する。前記HVコンバータは通常のマグネトロン運用と電力のために、この範囲の下限で動作する。下限の周波数よりも上での動作は、前記マグネトロンによって駆動される照明の減光に関して、コンバータ電流とマグネトロン電力を低下させるように要求されるかもしれないので、効率の低下を引き起こす。そのような動作では、(前記電圧源の電圧制御用の)前記制御回路は動作不能であり、前記電圧源によって生成される前記電圧を変更しない。このことは、効率性において一つの低下のみを引き起こし、PFC電圧源の効率の低下を伴うHVコンバータの効率の低下を悪化させることを回避する。
【0024】
起動時(特に寒い屋外環境での起動のとき)にマグネトロンは大きな電圧と電力を必要とする。また、マグネトロンの寿命が近付いて大きな電圧が必要とされるかもしれないとき、或いは、冷却の悪化によって熱をもって動作するとき、マグネトロンへの大きな電力が必要とされる。これは、前記HVコンバータをその最大の電流と効率で、そして、一時的に増大する電圧で維持することによって与えられる。この動作のために、前記制御回路は前記分圧器26からの前記帰還電圧を変更する働きをする。
【0025】
(前記電圧源の電圧制御用の)前記制御回路は、電流制御の演算増幅器から前記電圧を活用する。この電圧が通常の電流とマグネトロン電力に対応するレベルであるか、さらにこのレベルより実際には上で、より高いHVコンバータ周波数とより少ないマグネトロンへの電流に対応する、より高い電圧である間は、前記制御回路は動作しない。前記マイクロプロセッサが通常より大きなHVコンバータ電流を必要としているとき、前記演算増幅器の出力は減少する。前記HVコンバータは動作周波数の下限であって、最大電流であり、対処できない。前記低下した電圧は前記電圧源に伝達され、該電圧源は前記電圧源によって生じる前記電圧を増大させることによって対処でき、そのようにする。アノード電圧を増大させるという形で前記マグネトロンへの電力を増大させる効果を有し、該増大したアノード電圧が前記アノード電流を(前記HVコンバータ電流とは異なり)増大させる。
【0026】
前記制御回路は、ベースに基準電圧が配線32で供給されるトランジスタ31を備える。コレクタは分圧器26の中間点に接続され、該中間点は前記帰還点である。エミッタは前記演算増幅器の出力に抵抗器33を介して接続される。
【0027】
この実施例の詳しい各部品の数値は以下の通りである。
・ 直列電流測定抵抗器 100mΩ、すなわち0.1Ω
・ 帰還抵抗器R5 470Ω
・ 電圧制御抵抗器33 100kΩ
・ 分圧抵抗器26
1 2MΩ
・ 分圧抵抗器26
2 13kΩ
・ 入力抵抗器15
1 18kΩ
・ 入力コンデンサ15
2,15
3 470pF
・ 積分コンデンサ14 470nF
エミッタ電圧はベース電圧によって決定され、前記エミッタ電圧がより低い。前記エミッタ電圧が前記演算増幅器の出力電圧と等しくなるように、ベース配線32における前記基準電圧が設定されるとき、分圧をかき乱すような電流は前記抵抗器33を流れない。したがって、コレクタ電圧は単に前記分圧器によって決定され、該分圧器は同様に前記PFC電圧源に通常直流電圧を生じさせ、通常の方法で上述の電源電圧を強化する。これが通常の状態である。言い換えれば、前記ベース電圧は、前記エミッタ電圧を、通常の(そして実のところ最大の)HVコンバータ電流と通常のマグネトロン電力に対応する前記演算増幅器電圧に等しくするように設定される。
【0028】
前記演算増幅器の出力が増大し、前記コンバータの周波数を増大させることによって前記マグネトロン電力を減少させる外部制御信号に応えて、前記アノード電流を減少させる場合、増大した電圧は前記電圧源用の分圧器から分離され、前記トランジスタのベース−エミッタ接合は逆バイアスされる。
【0029】
前記演算増幅器の出力が減少し、前記HVコンバータが前記通常電圧で供給することができるよりも大きなマグネトロン電力を要求される場合、前記抵抗器33の両端に、電流が流れ得るような一方向の電位差が生じる。前記分圧器26の接点における電圧は低下し、前記電圧源の前記集積回路は配線5に生じる電圧を上昇させ、該上昇は分圧接合電圧を上向きに回復させる効果を有する。前記回路は、増大した電圧が前記マグネトロンに供給される状態で安定する。これが照明の始動時に要求される場合、通常電力はしばらくしてから回復する。マグネトロンの寿命が近付いたために要求される場合、増大した電力は維持される。前記マグネトロンが過度の電力を要求されているように見える程度まで悪化したならば、前記マイクロプロセッサは、図示していない手段によって前記電力供給装置をオフに切り換えるであろう。
【0030】
前記マイクロプロセッサが、制御回路の媒介を介してではあるが、前記PFC電圧源を制御することが正しく理解されるであろう。
【0031】
本発明は上述の実施例の詳細に制限されるものではない。例えば、前記マイクロプロセッサが、一定に、或いは少なくとも前記分圧値に対して、前記電圧源集積回路への前記制御電圧を維持し、そして、始動時、或いは、他の異常に高い電力が要求されるときにのみ、(線間電圧5を増大させるために)制御電圧を減少させる、ようにプログラムされてもよい。
【0032】
また、2011年6月17日付の、我々の同時係属の国際特許出願PCT/GB2011/000920号には、付随して前記HVコンバータ電流を調整することによって、前記マグネトロン電力がリプル周期中ずっと一定に維持されることができるように、前記直流電圧源からの電圧に含まれるリプルを補償する第2実施例が記載されている。これは、前記演算増幅器の測定入力と前記直流電圧源の間に抵抗器を接続することによって達成される。この改良は本発明においても同様になし得る。
【符号の説明】
【0033】
2:直流電圧源
9:直列抵抗器(電力或いは電流測定手段)
12:マイクロプロセッサ(直流電圧制御手段)
12:マイクロプロセッサ(コンバータ制御手段)
24:集積回路(コンバータ制御手段)
26:分圧器
31:トランジスタ(ハードウェア回路)