特許第6101680号(P6101680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101680
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170313BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170313BHJP
【FI】
   F21S8/10 330
   F21S8/10 380
   F21S8/10 370
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-503448(P2014-503448)
(86)(22)【出願日】2013年2月20日
(86)【国際出願番号】JP2013000937
(87)【国際公開番号】WO2013132764
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-52236(P2012-52236)
(32)【優先日】2012年3月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 淳
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−95516(JP,U)
【文献】 実開昭58−169601(JP,U)
【文献】 特開2001−67905(JP,A)
【文献】 特開2010−135198(JP,A)
【文献】 特開2006−66176(JP,A)
【文献】 特開2004−265697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源の前方に配置され、前記複数の光源から発せられる光が透過する透明カバーと、
水平線に対して所定角度上方から前記透明カバーを通して灯具内に入射する光のうち、前記複数の光源に到達する照射量を低減させる遮光構造と、を備え
前記複数の光源は発光ダイオードであり、
前記遮光構造は、前記複数の光源と前記透明カバーとの間に配置される少なくとも一部が透光性を有するインナーレンズであり、
前記インナーレンズは、
光源ごとに設けられ、それぞれが、対応する光源の光軸であって略水平方向に延びる光軸との交線近傍に位置する複数の透光部を有し、
前記複数の透光部以外の部分が着色されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記複数の透光部にはそれぞれ、対応する光源から発せられる光を配光制御するレンズ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
複数の光源と、
前記複数の光源の前方に配置され、前記複数の光源から発せられる光が透過する透明カバーと、
水平線に対して所定角度上方から前記透明カバーを通して灯具内に入射する光のうち、前記複数の光源に到達する照射量を低減させる遮光構造と、を備え
前記複数の光源は発光ダイオードであり、
前記遮光構造は、前記複数の光源と前記透明カバーとの間に配置される非透光部材であり、
前記非透光部材は、光源ごとに設けられ、それぞれが、対応する光源の光軸であって略水平方向に延びる光軸との交線近傍に位置し、対応する光源から発せられる光を通過させる空間を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
記非透光部材は、光源ごとに設けられ、対応する光源から前記所定角度上方に延びる線と交差する位置まで対応する光源の上方に延びる複数の延在部を備えることを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数の光源は、1つの基板上に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に車両の後部に設置される灯具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
他車両のドライバーや歩行者に自車両の存在をより明確に視認させるために、昼間時に点灯するデイタイムランニングランプやクリアランスランプが知られている。このような灯具は、車両の前部だけでなく後部にも設置されることが多い。安全性の向上のために、この種の灯具の視認性を高めることが求められている。
【0003】
特許文献1には、径方向外方へ向けて光輝部が徐々に大きくなる列状光輝部群を生成する一方、略同じサイズの小さい光輝部が鎖状に配列された列状光輝部群が生成された扇形反射領域を有する車両用標識灯が開示されている。これによると、光り方にメリハリが付くため、後続車のドライバー等に対する被視認性が向上するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−216455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、デイタイムランニングランプやクリアランスランプには、白色透明のカバーが取り付けられている。このような白色透明のカバーは太陽光をほとんど吸収しないので、朝日または夕日が灯具に当たると、灯具内部に太陽光が入射してリフレクタ等によって反射されるために、灯具自体の光源が点灯しているか否かを後続車のドライバーが認識しづらくなるという問題がある。このため、将来的に、擬似太陽光を車両用灯具に照射した状態で、光源の非点灯時と点灯時とで所定の輝度差を確保するよう規制する法規が制定される可能性がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の後部に設置される灯具に太陽光が当たっているときの、後続車のドライバーによる灯具光源の点灯状態の視認性を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の車両用灯具は、光源と、光源の前方に配置され、該光源から発せられる光が透過する透明カバーと、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光のうち、光源に到達する照射量を低減させる遮光構造と、を備える。
【0008】
この態様によると、光源に到達する光の照射量を低減させる遮光構造を設けることで、灯具内部で反射される太陽光と光源から発せられる光とが重なり合うことがなくなり、光源の点灯の有無を判別しやすくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の後部に設置される灯具に太陽光が当たっているときの、後続車のドライバーによる灯具光源の点灯状態の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図2】第2の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図3】第3の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図4】第4の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図5】第5の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図6】第6の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図7】第7の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図8】第8の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図9】第9の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
図10】第10の実施例に係る車両用灯具の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の実施形態.
本発明の第1の実施形態は、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通して灯具内に入射する太陽光のうち、光源に到達する照射量を低減させる遮光構造を灯具内に設けることで、光源点灯時の視認性を向上させる。
【0012】
図1は、第1の実施例に係る車両用灯具10を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。車両用灯具10は、車両後部に設置される灯具であり、図1中の左方が車両後方に対応する。車両用灯具10は、例えばデイタイムランニングランプ(DRL)またはクリアランスランプ(CLL)である。
【0013】
車両用灯具10では、車両後方に開口するランプボディ13と、開口部を覆うように配置された白色透明樹脂製の透明カバー12とによって灯室15が形成されている。灯室15内には、基板14上に搭載された複数の光源16が設けられる。光源16は、例えば発光ダイオード(LED)である半導体発光素子で構成される。基板14に隣接して、透光性を有する樹脂製のインナーレンズ18が配置される。インナーレンズ18のうち、光源16の発光面に対面する部分には、光源16から発せられる光を配光制御(例えば屈折または拡散)するレンズ部19が形成されている。光源16から発せられた光は、レンズ部19による配光制御を受けた後、透明カバー12を透過して車両後方に照射される。
【0014】
透明カバー12とインナーレンズ18の間には、非透光性の複数のエクステンション2、4、6が配置される。このエクステンション2、4、6は、水平線に対して所定の角度αだけ上方から灯具内に入射する光(図中に実線矢印で示す)が、光源16に直接当たらないように遮光する役割を有する。角度αは、例えば、照り返しにより車両用灯具内の光源の発光が特に見づらくなる朝日または夕日時の太陽の角度に合わせて設定され、好ましくは10°〜15°である。この目的のために、エクステンション2、4、6は、光源16から所定の角度αだけ上方に延びる線(図中に点線で示す)と交差する位置まで、インナーレンズ18付近から透明カバー12に向けて延びる延在部2a、4a、6aをそれぞれ有している。
【0015】
実施例1に係る車両用灯具10では、透明カバー12とインナーレンズ18との間に延在するエクステンション2、4、6を設けることで、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通して灯具内に入射する太陽光のうち、光源16の近傍に到達する光の照射量を低減させることができる。したがって、インナーレンズ等によって反射される太陽光と、光源から発せられる光とが重なり合うことがなく、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0016】
図2は、第2の実施例に係る車両用灯具20を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。なお、図2以降、同一の参照符号が付された部材は、同様の構造および機能を有することを表しており、それらについての詳細な説明は省略する。
【0017】
第2の実施例では、第1の実施例と同様に、光源16が搭載された基板14とインナーレンズ22とが灯室15内に設けられているが、非透光性のエクステンションは設けられていない。代わりに、インナーレンズ22のうち、各光源16を通り略水平方向に延びる光軸Axとの交線近傍に位置するレンズ部24を除き、透明カバー12に面する側が非透光性の塗料で塗装されている。この塗装によって、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光のうち、光源16の近傍に到達する光の照射量が低減される。したがって、インナーレンズ等によって反射される太陽光と、光源から発せられる光との重なり合いが小さくなり、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0018】
図3は、第3の実施例に係る車両用灯具30を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。この実施例では、第1の実施例と同様に、透明カバー12とインナーレンズ18との間にエクステンション32、34、36が配置されている。しかし、エクステンション32、34、36は透明カバー12に向けて延在しておらず、各光源16を通り略水平方向に延びる光軸Axとの交線近傍に開口部を形成しているだけである。これらのエクステンションによって、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光のうち、光源16に到達する光の照射量を低減することができる。したがって、インナーレンズ等によって反射される太陽光と、光源から発せられる光との重なり合いが小さくなり、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる
【0019】
なお、第1または第3実施例におけるエクステンションは、樹脂の生地色のままでもよいし、反射を抑える塗装が施されていてもよい。
【0020】
図4は、第4の実施例に係る車両用灯具40を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。第4の実施例では、ハロゲンランプまたはディスチャージランプなどの、LEDと比較して奥行きのあるバルブ42を光源として使用している。
【0021】
灯室15内には、バルブ42から発せられる光をバルブ42とは反対側(車両後方側)に向けて反射させる反射面が内面に形成されたリフレクタ44が配置される。リフレクタ44の反射面は、光軸Axを中心軸とする略回転放物曲面として形成され、回転放物曲面の焦点にバルブ42の発光点が位置している。
【0022】
リフレクタ44の上側の壁面は、バルブ42の発光点から所定の角度αだけ上方に延びる線(図中に点線で示す)と交差する位置まで透明カバー12側に向けて延びる延在部44aを有している。この延在部44aによって、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通してリフレクタ44内に入射する太陽光の照射量を低減することができる。
【0023】
リフレクタ44の開口側には、複数のスリット48が形成された遮光部46を有する非透光部材をさらに配置してもよい。この場合、バルブ42から発せられた光をスリット48に向けて反射させるとともに、リフレクタ内に入射した太陽光を遮光部46に向けて反射させるように、リフレクタ44の反射面が構成される。これによって、バルブ42から出射した光はスリットを通過して車両後方に照射されるのに対し、リフレクタで反射された太陽光は車両後方に向けて出射されなくなる。
【0024】
以上説明したように、第4の実施例によると、リフレクタ44内に侵入する太陽光を軽減するとともに、リフレクタ44の反射面で反射された太陽光が車両後方に向けて出射されないようにすることで、太陽光とバルブから発せられる光との重なり合いが小さくなり、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0025】
図5は、第5の実施例に係る車両用灯具50を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。この実施例では、図4と同様に、灯室15内にバルブ42とリフレクタ54とが配置されている。リフレクタ54の内側の反射面のうち、リフレクタ54内に侵入した太陽光が反射される部分には、光を拡散する拡散構造(例えば、シボ、ローレットなど)56が形成されており、反射光が後続車のドライバーの目に入る方向以外の方向に拡散されるようになっている。これによって、バルブから発せられる光と太陽光の反射光との重なり合いが小さくなり、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0026】
第2の実施形態.
本発明の第2の実施形態は、水平線に対して所定角度上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光の少なくとも一部を、光源の光軸を含む所定の角度範囲以外の方向に反射させる反射構造を灯具内に設けることで、光源点灯時の視認性を向上させる。
【0027】
図6は、第6の実施例に係る車両用灯具60を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。
【0028】
車両用灯具60は、車両後方に開口するランプボディ13と、開口部を覆うように配置された白色透明樹脂製の透明カバー12とによって灯室15が形成されている。灯室15内には、段差を有する基板62上に搭載された複数の光源16が設けられる。光源16は、例えば発光ダイオード(LED)である半導体発光素子で構成される。基板62に隣接して、透光性を有する樹脂製のインナーレンズ64が配置される。インナーレンズ64のうち、光源16の発光面に対面する部分には、光源から発せられる光を配光制御(例えば屈折または拡散)するレンズ部66が形成されている。光源16から発せられた光は、レンズ部66による配光制御を受けた後、透明カバー12を透過して車両後方を照射する。
【0029】
インナーレンズ64の隣合うレンズ部66の間は、水平線に対して所定の角度αだけ上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光(図中に実線矢印で示す)の向きに対して略垂直になるように傾けられた反射部68で接続されている。角度αは、例えば、照り返しにより車両用灯具の発光が特に見づらくなる朝日または夕日時の太陽の角度に合わせて設定され、好ましくは10°〜15°である。この反射部68は、灯具内に入射した太陽光を、入射方向と略同様の方向に反射させる。したがって、インナーレンズ64によって反射される太陽光と、光源16から発せられる光とが重なり合うことがなく、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0030】
なお、反射部68の角度は、灯具内に入射する光線の向きに対して略垂直の方向に限られず、後続車のドライバーの目に入る所定の角度範囲β以外の方向に太陽光を反射させる角度であれば、任意の角度でよい。この所定の角度範囲βは、例えば、光源の光軸Axに対し上下15°の範囲である。
【0031】
図7は、第7の実施例に係る車両用灯具70を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。
【0032】
第7の実施例では、光源16が搭載された基板62とインナーレンズ64とに加えて、インナーレンズ64のレンズ部66以外の部分に隣接してエクステンション72が配置される。このエクステンション72は、水平線に対して所定の角度αだけ上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光(図中に実線矢印で示す)の向きに対して略垂直になるように傾けられるとともに、透明カバー12側に反射面が形成されている。反射面は、例えばアルミ蒸着等により形成され、この反射面が灯具内に入射した太陽光を入射方向と略同様の方向に反射させる。したがって、エクステンション72の反射面によって反射される太陽光と、光源16から発せられる光とが重なり合うことがなく、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0033】
図8は、第8の実施例に係る車両用灯具80を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。この実施例では、平坦な基板14上に搭載された複数の光源16と、基板14に隣接して、透光性を有する樹脂製のインナーレンズ82とが灯室15内に配置されている。インナーレンズ82のうち、光源16の発光面に対面する部分には、光源から発せられる光を配光制御(例えば屈折または拡散)するレンズ部84が形成されている。光源16から発せられた光は、レンズ部84による配光制御を受けた後、透明カバー12を透過して車両後方を照射する。
【0034】
インナーレンズ82の光源側の面には、レンズ部84が形成されている部分を除き、多数のステップ86が形成されている。これらのステップは、水平線に対して所定の角度αだけ上方から灯具内に入射し、その後インナーレンズ82内に入射する光を、上述の所定の角度範囲β以外の方向に反射させるように設計されている。これにより、インナーレンズ82に入射した太陽光の内部反射光と、光源16から発せられる光とが重なり合うことがなく、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0035】
図9は、第9の実施例に係る車両用灯具90を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。第9の実施例では、ハロゲンランプまたはディスチャージランプなどの、LEDと比較して奥行きのあるバルブ42を光源として使用している。
【0036】
灯室15内には、バルブ42から発せられる光をバルブ42とは反対側(車両後方側)に向けて反射させる反射面が内面に形成されたリフレクタ92が配置される。リフレクタ92の反射面は、光軸Axを中心軸とする略回転放物曲面として形成され、回転放物曲面の焦点にバルブ42の発光点が位置している。
【0037】
リフレクタ92の開口側には、複数のスリット96が形成された反射面94を有する非透光部材が配置される。反射面94は、水平線に対して所定の角度αだけ上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光(図中に実線矢印で示す)の向きに対して略垂直になるように傾けられている。この反射面94は、灯具内に入射した太陽光を、入射方向と略同様の方向に反射させる。また、リフレクタ92の反射面は、バルブ42から発せられた光をスリット96に向けて反射させるように構成されている。したがって、反射面94によって反射される太陽光と、バルブ42から発せられる光とが重なり合うことがなく、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。
【0038】
図10は、第10の実施例に係る車両用灯具100を、光軸を含む鉛直平面で切断した様子を示す模式的な断面図である。
【0039】
第10の実施例では、光源102と透明カバー12との間にエクステンション104が配置される。このエクステンション104は、透明カバー12側に凸面を有する曲面106a、106bの中心に凹部108が形成されており、この凹部108の中央に形成された穴108a内に光源102が配置される。エクステンション104の透明カバー12側の面には、例えばアルミ蒸着等により反射面が形成されている。光源102から発せられた光は凹部108から前方に照射され、この部分のみが発光しているように観察される。凹部108を形成することで、水平線に対して所定角度αだけ上方から透明カバーを通して灯具内に入射する光(図中に実線矢印で示す)のうち、光源102の近傍に到達する光の照射量が低減される。
【0040】
エクステンション104の上側反射部106aは、灯具内に入射した太陽光を上向きに反射させるような形状に形成されている。また、エクステンション104の下側反射部106bは、灯具内に入射した太陽光を下向きに反射させるような形状に形成されている。したがって、エクステンション104の反射面によって反射される太陽光と、光源102から発せられる光とが重なり合うことがなく、後続車のドライバーが光源の点灯状態を判別しやすくなる。なお、エクステンション104の上側反射部106aおよび下側反射部106bで反射される光の角度は、後続車のドライバーの目に入る所定の角度範囲β以外の方向であれば、任意の角度でよい。この所定の角度範囲βは、例えば光源の光軸Axに対し上下15°の範囲である。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、車両後部に設置される車両用灯具において、所定の角度で灯具内に侵入する太陽光が光源近傍に直接当たらないように遮蔽する遮蔽構造を設けたり、または、所定の角度で灯具内に侵入する太陽光を、後続車のドライバーの目に入る所定の角度範囲以外の方向に反射する反射構造を設けるようにした。これによって、車両用灯具に太陽光が当たっている場合でも、後続車のドライバーから灯具光源の点灯状態を視認しやすくなり、安全性が向上する。
【0042】
本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
【0043】
また、上述の各実施例は、互いに矛盾しない限り、任意のものを組み合わせて使用することができる。
【0044】
上述の各実施例において、透明カバーを白色透明でなくスモークレンズにしてもよい。これにより、太陽光の反射量を低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
2、4、6、32、72 エクステンション、 2a、4a、6a、44a 延在部、 10、20、30、40、50、60、70、80、90、100 車両用灯具、 12 透明カバー、 16 光源、 18、22、64、82 インナーレンズ、 42 バルブ、 44、54、92 リフレクタ、 46 遮光部、 48、96 スリット、 68、94、106a、106b 反射部、 86 ステップ。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、車両の後部に設置される灯具に太陽光が当たっているときの、後続車のドライバーによる灯具光源の点灯状態の視認性を高めることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10