【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、上記欠点を少なくとも部分的に改善することを目的とする。そのため、本発明は、基材(好ましくは走行する基材)上に粒子を堆積させる方法に関する。該方法は、(a)基材に対向して配置された粒子出口を有する移動領域に設けられたキャリア液上に浮かぶ粒子の緻密フィルムを形成する工程と、(b)移動領域において、粒子の緻密フィルム上に材料を堆積する工程と、(c)材料で被覆された粒子の緻密フィルムを、粒子出口を介して基材上に移す工程と、(d)材料に付着した前記フィルムの粒子が取り除かれるように材料を除去することで、前記基材上に移された前記フィルム内に少なくとも1つの凹部を形成する工程とを含む。
【0011】
即ち、本発明は、基材上への3段階の堆積の後に粒子配列フィルムの構造形成を行うことを可能とする、単純で効果的な解決策を提供する。この方法では液体輸送装置を使用し、そのため該方法は起こり得る操作ミス及び/又は材料堆積ミスに対して耐性がある。粒子がキャリア液上に存在し、基材上に堆積させる前であれば、実際にミスが起こった場合、後者は容易に補正できる。
【0012】
概して、本発明は非常にフレキシブルに実施できる。
【0013】
構造形成工程は、例えば、その構造に異なる粒子及び/又は物体を一体化すること、或いは単に粒子が存在しない凹部を残すことを目的とする。
【0014】
ここで、少なくとも1つのパターン(例えば、閉鎖又は開放された点又はコード)が形成されるように、上記材料を堆積させる場合がある。コードは、その直径にもよるが、他の線に結合されうる。或いは、上記パターンは表面パターンであってもよく、例えば円盤状、四角形状、その他、所望の凹部を形成するのに適した形状を有しうる。
【0015】
もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、異なるパターンを粒子フィルム上に交互に形成しうる。
【0016】
凹部に載置可能な物体のうち、シリコンチップ、マイクロバッテリー、有機エレクトロニクス部品、金属部品、光電池、バッテリーセル、及びバッテリーマイクロセルに言及する。これらの物体を用いると、例えばセンサー等のハイブリッド機器の製造がとりわけ可能になる。
【0017】
更に、凹部を他の粒子で満たす際には、後者は、例えば組成及び/又はサイズが、事前にキャリア液上に形成したフィルムの粒子とは異なるのが好ましい。この場合、特に勾配を有するフィルムの形成が可能となる。
【0018】
上記材料は重合性化合物を含み、粒子の緻密フィルム上に材料を堆積させた後に重合性化合物を重合させるのが好ましい。
【0019】
このような重合性材料の使用は、液体輸送装置を用いた粒子移動にも完全に適応する。特に、この塗布工程において、いかなる重合性材料も、フィルム中の粒子の濃度の違いにも対応できる。
【0020】
上記材料を重合させると、1つ又は幾つかの固体パターンが形成される。固体パターンは、その後、該パターンに付着した粒子と共に除去される。
【0021】
本発明の範囲から逸脱することなく、類似の機能を示す他の種の材料を用いてもよい。
【0022】
重合性化合物を含む材料を用いる好適な例では、当業者に公知の適当な技術(好ましくは熱的又は光学的技術)を用いて重合を行う。重合は、工程(c)に先立って完全に又は部分的に行うか、或いは工程(c)の後に開始する。いずれの場合も、重合後には、実質的に全ての粒子が材料に接触し十分に付着する。これにより、材料を除去する際に、該材料が粒子を基材から取り去る。本発明の範囲から逸脱することなく、パターンの縁部にある幾つかの粒子が基材上に残存しうる。
【0023】
重合した材料の除去は、適当な道具を用いた手動での剥離作業又は自動的な剥離作業によって行うのが好ましい。
【0024】
移動領域から基材上に移す際の歪みに対応するために、粒子に接触付着した材料は、重合されているか否かに関わらず、十分な柔軟性を有するのが好ましい。
【0025】
必要に応じて、得られたコード/スパイクの直径は、数十ミクロンから数ミリメートルでありうる。
【0026】
上記材料は液体又はスラリー状に見えることが好ましい。
【0027】
上記材料は疎水性であることが好ましく、また重合した固体状態にあることも好ましい。
【0028】
概して、特にキャリア液が水ではない場合を想定すると、上記材料はキャリア液と混和できない。
【0029】
上記材料はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、及び/又はポリウレタン樹脂を含むのが好ましい。
【0030】
緻密フィルムの粒子の大寸法と、後に基材上のフィルムの凹部に収容される物体の大寸法との比率は、好ましくは10
4〜10
8である。例えば、緻密フィルムを形成する粒子は1nm〜500μm程度の大寸法を有しうる。一方、物体は約30cm以下の大寸法を有しうる。
【0031】
緻密フィルムの粒子は、直径約1μmのシリカビーズであることが好ましい。一方で、フィルムは不均一でありうる。即ち、フィルムはサイズが異なるビーズを含みうる。
【0032】
物体は0.2cmを超える大寸法を有するのが好ましく、30cm未満であることが好ましい。後者の数値は、堆積フィルムの幅に応じて変わりうる。実際、物体の最大寸法は、最終的に得られるフィルムの幅に近い値でありうる。本発明の範囲から逸脱することなく、マイクロメートルサイズ又はナノメートルサイズの物体も使用できる。
【0033】
フィルムに一体化される物体の幾つかの例は上述したが、この物体はいかなる形状も有しうる。物体は平面状である必要は無く、任意の曲率半径(例えば5cm未満)を有してよく、また更に連結用パッドを結合してもよい。また、フィルム中の粒子の形状は、一様であることが好ましいが、変更しうる。
【0034】
本発明では、例えば、検出素子(粒子等)を有するセンサー、1つ以上のエネルギー回収システム(光電池、圧電フィルム、燃料電池)、エネルギー貯蔵システム(マイクロバッテリー)、情報管理システム(シリコンチップ)、通信システム(無線自動識別(RFID)チップ)、電気的接続素子(導電トラック)、電子部品(レジスタ、コンデンサ)、溶接要素(母材)等の、複合デバイスの製造についても着目する。これらの機器に要求される物体は、除去された材料に替えて堆積フィルム上に配置される。必要に応じて、複数の物体が積層される。
【0035】
また、粒子の緻密フィルムの概念は、例えば、サチン・キンゲ(Sachin Kinge)、「表面及び界面における自己集合性ナノ粒子(Self−Assembling Nanoparticles at Surfaces and Interfaces)」、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ケミカルフィジックス・アンド・フィジカルケミストリー(ChemPhysChem)、2008年、9、20〜42に開示されている。この緻密フィルムは、当業者に公知の技術(例えば、圧縮、双極子間相互作用、及び/又は磁場等)によって、キャリア液表面に形成されうる。
【0036】
双極子間相互作用の技術は、四面体、立方体、又は八面体のようなファセットを有する粒子に用いられる。このような形状の場合、双極子間相互作用が粒子の組織化に重要な役割を担う。ファセット間の極性差により、粒子内部に双極子モーメントが生じる。
【0037】
磁場組織化技術は、強磁場中で強い粒子間相互作用を引き起こすことによって配列可能な磁性ナノ粒子に用いられる。
【0038】
圧縮技術については、特に、ルシオ・アイザ(Lucio Isa)ら、「液液界面におけるコロイド自己集合による粒子リソグラフィー(Particle Lithography from Colloidal Self−Assembly at Liquid−Liquid Interfaces)」、ACSNANO、第4巻、第10号、5665−5670、2010年、マルクス・レッチェ(Markus Retsch)、「空気/水界面における自己集合を利用した大面積移動可能コロイド単層膜の形成(Fabrication of Large−Area, Transferable Colloidal Monolayers Utilizing Self−Assembly at the Air/Water Interface)」、マクロモレキュラー・ケミストリー・アンド・フィジックス(Macromol. Chem. Phys.)、2009年、210、230−241、及びマリア・バルドソバ(Maria Bardosova)、「ラングミュア・ブロジェット法によるシリカ球からのコロイドフォトニック結晶の作製(The Langmuir−Blodgett Approach to Making Colloidal Photonic Crystals from Silica Spheres)」、アドバンスド・マテリアルズ(Adv. Mater.)、2010年、22、3104−3124により知られている。
【0039】
この圧縮技術は、CA2,695,449に記載の傾斜路を用いた方法も包含する。即ち、本発明の方法では、特に粒子の流通に傾斜路を用いる。傾斜路は移動領域の入口に取り付けられ、上記キャリア液も傾斜路上を流動する。
【0040】
通常の条件下では、粒子配列に要するエネルギーの一部は、キャリア液及び粒子を輸送するための上記傾斜路によってもたらされる。水平面上のキャリア液をポンプによって流動させる等、他の手法を用いてもよい。水平面の下流部は、粒子を移動させるための領域である。或いは、ポンプに替えてファンを用いる。移動させる粒子がキャリア液上に浮遊している状態で、ファンを用いてキャリア液表面に気流を付与する。上記のとおり、本発明の範囲から逸脱することなく、他の手法を用いてよい。例えば、いわゆるラングミュア・ブロジェット法を用いて粒子を圧縮加工してよい。
【0041】
上記方法において、基材上に移動させた後、粒子の基材への堆積及び付着を促進するための熱アニーリング工程を行うのが好ましい。
【0042】
本発明の他の利点及び特性は、以下の非限定的な詳細な説明から明らかになるであろう。
【0043】
以下、添付図面を参照して説明する。