(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷凍サイクルは、複数の圧縮機の吐出冷媒を複数の凝縮器、複数の膨張弁、複数の受液器にそれぞれ通し、その各受液器を経た冷媒を互いに並列接続された複数の蒸発器に通して前記各圧縮機に戻す、
前記コントローラは、前記液面高さの検出の前に前記各受液器内の液冷媒の量を均一化する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の冷凍サイクル装置。
前記冷凍サイクルは、第1および第2圧縮機の吐出冷媒を第1および第2凝縮器、第1および第2膨張弁、第1および第2受液器、第1および第2蒸発器に通して前記第1および第2圧縮機に戻す、
前記バイパスは、前記第1受液器の所定の高さ位置に接続され、その接続部を通して流入する冷媒を前記第1圧縮機の吸込側に導く、
前記コントローラは、前記第2受液器内の液冷媒を満杯状態に設定し、かつ前記バイパスの導通により前記第1受液器内の液冷媒の液面高さを検出しながらその液面高さを所定高さに設定し、これら設定後の前記第1凝縮器における冷媒の過冷却量に応じて前記冷凍サイクルの冷媒量を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。
前記コントローラは、前記第2受液器内の液冷媒を満杯状態に設定し、かつ前記バイパスの導通により前記第1受液器内の液冷媒の液面高さを検出しながらその液面高さを所定高さに設定し、これら設定後の前記第1凝縮器における冷媒の過冷却量と予め定められた基準値との差に応じて前記冷凍サイクルの冷媒量の適否を判定する、
ことを特徴とする請求項6記載の冷凍サイクル装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[1]第1実施形態
以下、この発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。一実施形態として、空気調和機に搭載される冷凍サイクル装置を例に説明する。
図1に示すように、圧縮機1の吐出口に四方弁2を介して室外熱交換器3が配管接続され、その室外熱交換器3に電動膨張弁4、受液器(リキッドタンクともいう)5、および熱交換器(熱交換部)6を介してパックドバルブ7が配管接続される。このパックドバルブ7に複数の電動膨張弁31を介して複数の室内熱交換器32がそれぞれ配管接続され、これら室内熱交換器32にパックドバルブ8が配管接続される。各室内熱交換器32は、互いに並列接続された状態にある。そして、パックドバルブ8に上記四方弁2およびアキュームレータ9を介して圧縮機1の吸込口が配管接続される。これら配管接続により、ヒートポンプ式の冷凍サイクルが構成される。各室内熱交換器32は、室外熱交換器3に対して並列接続された状態にある。
【0013】
圧縮機1は、インバータ10の出力により動作するモータを密閉ケースに収めた密閉型で、アキュームレータ9を経た冷媒を吸込み、その吸込み冷媒を圧縮して吐出口から吐出する。インバータ10は、商用交流電源の電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数F(Hz)およびその所定周波数Fに応じたレベルの交流電圧に変換し出力する。
【0014】
冷房時は、矢印で示すように、圧縮機1から吐出された冷媒が四方弁2、室外熱交換器3、電動膨張弁4、受液器5、熱交換器6、パックドバルブ7、各電動膨張弁31を経て各室内熱交換器32に流入する。各室内熱交換器32から流出する冷媒は、パックドバルブ8、四方弁2、アキュームレータ9を通って圧縮機1に吸込まれる。この冷媒の流れにより、室外熱交換器3が凝縮器として機能し、各室内熱交換器32が蒸発器として機能する。暖房時は、四方弁2の流路が切換わることにより、圧縮機1から吐出された冷媒が四方弁2およびパックドバルブ8を経て各室内熱交換器32に流入する。各室内熱交換器32から流出する冷媒は、パックドバルブ7、熱交換器6、受液器5、電動膨張弁4、室外熱交換器3、四方弁2、アキュームレータ9を通って圧縮機1に吸込まれる。この冷媒の流れにより、各室内熱交換器32が凝縮器として機能し、室外熱交換器3が蒸発器として機能する。
【0015】
室外熱交換器3の近傍に室外ファン11が配置され、各室内熱交換器32の近傍にそれぞれ室内ファン33が配置される。圧縮機1の吐出口と四方弁2との間の高圧側配管に、高圧側圧力Pdを検知する圧力センサ12が取付けられる。室外熱交換器3と電動膨張弁4との間の配管における室外熱交換器3寄りの位置に、室外熱交換器3から流出する冷媒の温度Tcを検知する温度センサ(温度検知器)13が取付けられる。アキュームレータ9と圧縮機1の吸込口との間の低圧側配管に、低圧側圧力Psを検知する圧力センサ14が取付けられる。各室内熱交換器32の冷房時冷媒流入側となる位置に、各室内熱交換器32に流入する冷媒の温度Teiを検知する温度センサ(温度検知器)34がそれぞれ取付けられる。各室内熱交換器32の冷房時冷媒流出側となる位置に、各室内熱交換器32から流出する冷媒の温度Teoを検知する温度センサ(温度検知器)35がそれぞれ取付けられる。電動膨張弁4,31は、入力される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するパルスモータバルブ(PMV)である。
【0016】
受液器5のケース側面の所定高さの位置にバイパス配管(検知管ともいう)20の一端が接続され、そのバイパス配管20の他端が上記熱交換器6を経由して四方弁2とアキュームレータ9との間の低圧力側配管に接続される。受液器5内の液冷媒およびガス冷媒は、バイパス配管20の接続部(接続位置)より高い位置に存する場合に、バイパス配管20に流入する。
【0017】
バイパス配管20において、一端(受液器5との接続部)と熱交換器6との間の位置に減圧器たとえばキャピラリチューブ21が配設され、熱交換器6と他端(低圧側配管との接続部)との間の位置に開閉弁(二方弁)22が配設される。そして、バイパス配管20における開閉弁22と他端(低圧側配管との接続部)との間の位置に、バイパス配管20内の冷媒の温度Tgを検知する温度センサ(温度検知器)23が取付けられる。
【0018】
受液器5からバイパス配管20に流入する冷媒は、開閉弁22の開放時、キャピラリチューブ21に流れてそこで気化し易いように減圧され、続いて熱交換器6に流れてそこで冷凍サイクル配管の主流冷媒から熱を奪って蒸発し、開閉弁22を通って冷凍サイクルの低圧側配管に導かれる。
【0019】
圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、電動膨張弁4、受液器5、熱交換器6、パックドバルブ7、パックドバルブ8、アキュームレータ9、インバータ10、室外ファン11、圧力センサ12、温度センサ13、圧力センサ14、バイパス配管20、キャピラリチューブ21、開閉弁22、温度センサ23は、室外ユニットAに収容される。各電動膨張弁31、各室内熱交換器32、各室内ファン33、各温度センサ34、各温度センサ35は、複数の室内ユニットB1,B2,…Bnにそれぞれ収容される。これら室外ユニットAおよび室内ユニットB1,B2,…Bnにより、マルチタイプの空気調和機が構成される。
【0020】
室外ユニットAおよび室内ユニットB1〜Bnにコントローラ40が接続され、そのコントローラ40にリモートコントロール式の操作表示器50が接続される。操作表示器50は、空気調和機の運転条件設定用である。
【0021】
コントローラ40は、室外ユニットAおよび室内ユニットB1〜Bnを制御するとともに、バイパス配管20の導通により受液器5の液冷媒の液面高さを検出し、その検出結果に基づき冷凍サイクルの冷媒量を判定する。この判定手段として、コントローラ40は、過熱度制御部41、液面検知部42、検出部(第1検出部)43、検出部(第2検出部)44、判定部45、メモリ46を有する。
【0022】
過熱度制御部41は、冷房運転時、各電動膨張弁31の開度を制御することにより、各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを予め定められた設定値SHs一定となるように制御する。過熱度SHは、温度センサ34の検知温度(室内熱交換器32に流入する冷媒の温度)Teiと温度センサ35の検知温度(室内熱交換器32から流出する冷媒の温度)Teoとの差(=Teo−Tei)である。
【0023】
液面検知部42は、開閉弁22が開放しているとき、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達しているか否かを、バイパス配管20における温度センサ23の検知温度Tgに基づき検知する。温度センサ23は、バイパス配管20におけるキャピラリチューブ21、熱交換器6、開閉弁22を経た冷媒の温度Tgを検知する。
【0024】
受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達していない場合、ガス冷媒がバイパス配管20に流入する。バイパス配管20に流入したガス冷媒は、キャピラリチューブ21で減圧されて低温低圧となり、さらに熱交換器6で主流冷媒と熱交換して過熱度が大きくなる。このとき、温度センサ23の検知温度Tgは、設定値(蒸発温度)より所定値以上高い。液面検知部42は、この検知温度Tgに基づき、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達していないと判定する。
【0025】
受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部と同じまたはそれ以上に達した場合、液とガスの二相冷媒がバイパス配管20に流入する。バイパス配管20に流入した二相冷媒は、キャピラリチューブ21で減圧されて低温低圧となり、さらに熱交換器6で主流冷媒と熱交換する(過熱度なし)。このとき、温度センサ23の検知温度Tgは、上記設定値に近くてその設定値を中心とする所定範囲内に収まる。液面検知部42は、この検知温度Tgに基づき、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達していると判定する。
【0026】
検出部43は、当該冷凍サイクル装置の設置後の初期運転(冷房運転)時、各電動膨張弁31の開度を制御することにより各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを設定値SHs一定に維持しながら、電動膨張弁4に対する規定の開度制御を実行することで受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させ、その低下後(規定の開度制御の実行後)に開閉弁22を開放してバイパス配管20を導通させ、この導通により受液器5内の液冷媒の液面が上昇してバイパス配管20の接続部に達するまでの時間tに基づき、バイパス配管20が導通する直前における受液器5内の液冷媒の液面高さH1を検出する。
【0027】
検出部43の処理のうち、過熱度SHを設定値SHs一定に維持する制御は、過熱度制御部41の制御に依存する。検出部43の処理のうち、液面がバイパス配管20の接続部に達したかの判断は、液面検知部42の検知に依存する。
【0028】
検出部44は、上記初期運転の後の通常運転(冷房運転)時、定期的な判定タイミングにおいて、各電動膨張弁31の開度を制御することにより各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを設定値SHs一定に維持しながら、電動膨張弁4に対する規定の開度制御を実行することで受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させ、その低下後(規定の開度制御の実行後)に開閉弁22を開放してバイパス配管20を導通させ、この導通により受液器5内の液冷媒の液面が上昇してバイパス配管20の接続部に達するまでの時間tに基づき、バイパス配管20が導通する直前における受液器5内の液冷媒の液面高さH2を検出する。
【0029】
検出部44の処理のうち、過熱度SHを設定値SHs一定に維持する制御は、過熱度制御部41の制御に依存する。検出部44の処理のうち、液面がバイパス配管20の接続部に達したかの判断は、液面検知部42の検知に依存する。
【0030】
判定部45は、液面高さ検出部43の検出結果H1と液面高さ検出部44の検出結果H2との比較により、冷凍サイクルにおける冷媒の漏洩の有無を判定する。
【0031】
なお、検出部43,44の処理のうち、受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させるための“規定の開度制御”とは、凝縮器として機能する室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCを通常運転用の目標値SCtより高い設定値“SCt+α”に定め、過冷却量SCが設定値“SCt+α”となるように電動膨張弁4の開度を絞る制御のことである。冷媒の過冷却量SCは、圧力センサ12の検知圧力Pdから換算される高圧側冷媒温度(飽和凝縮温度)Tdstと温度センサ13の検知温度Tcとの差(=Tdst−Tc)に相当する。
【0032】
受液器5内の液冷媒の液面高さは、各室内熱交換器32において過熱度一定制御を行っているとき、室外熱交換器3内の冷媒量と相関関係にある。つまり、電動膨張弁4の開度を絞ると、室外熱交換器3内の冷媒量が増えて、受液器5内の液冷媒の液面が低下する。電動膨張弁4の開度を増すと、室外熱交換器3内の冷媒量が減って、受液器5内の液冷媒の液面が上昇する。上記設定値“SCt+α”は、冷凍サイクルの運転が安定状態にある場合に、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部より下方まで確実に下降し得る値であって、予め実験や試運転により確かめられてメモリ46に記憶されている。
【0033】
検出部44の処理において、定期的な判定タイミングとは、数日に一度、一週間に一度、数週間に一度、一月に一度、数ヶ月に一度などそのいずれでもよく、当該冷凍サイクル装置が設置される場所やその環境などに応じて適宜に選定される。
【0034】
つぎに、コントローラ40が実行する制御を
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
コントローラ40は、冷房運転時、初期状態フラグfが“0”であるか否かを判定する(ステップ101)。初期状態フラグfは、当該冷凍サイクル装置の設置時など、ユーザや作業員による操作表示器50の所定のリセット操作に応じて“0”にリセットされる。
【0035】
初期状態フラグfが“0”の場合(ステップ101のYES)、コントローラ40は、初期運転であるとの判断の下に、冷凍サイクルの運転が安定状態にあるか否かを判定する(ステップ102)。安定状態とは、例えば、運転の積算時間が設定時間(10時間乃至50時間)以上という条件、各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHと設定値SHsとの差の絶対値が所定値未満という条件、圧縮機1の運転周波数(インバータ10の出力周波数)Fが設定値以上という条件など、これらいくつかの条件が共に満足された状態のことをいう。
【0036】
冷凍サイクルの運転が安定状態にない場合(ステップ102のNO)、コントローラ40は、ステップ101のフラグ判定に戻る。
【0037】
冷凍サイクルの運転が安定状態にある場合(ステップ102のYES)、コントローラ40は、受液器5内の液冷媒の液面高さを検出する(ステップ103)。すなわち、コントローラ40は、各電動膨張弁31の開度を制御することにより各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを設定値SHs一定に維持しながら、電動膨張弁4に対する規定の開度制御を実行することで受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させる。この低下後(規定の開度制御の実行後)、コントローラ40は、開閉弁22を開放してバイパス配管20を導通する。
【0038】
バイパス配管20が導通すると、受液器5内の上部に存するガス冷媒がバイパス配管20に流れ、それに伴い受液器5内の液冷媒の液面が上昇していく。コントローラ40は、バイパス配管20の導通を開始してから、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達するまでの時間tを、計測する。コントローラ40は、液面がバイパス配管20の接続部に達したかどうかを温度センサ23の検知温度Tgに基づき検知する。計測時間tは、
図3に示すように、液面高さが低いほど長くなり、液面高さが高いほど短くなる。
【0039】
コントローラ40は、計測時間tと液面高さとの相関関係に基づき、バイパス配管20が導通する直前における受液器5内の液冷媒の液面高さH1を検出する。そして、コントローラ40は、検出した液面高さH1を初期液面高さとしてメモリ46に記憶する(ステップ104)。
【0040】
初期液面高さH1の記憶に伴い、コントローラ40は、初期状態フラグfを“1”にセットし(ステップ105)、ステップ101のフラグ判定に戻る。
【0041】
初期状態フラグfが“1”の場合(ステップ101のNO)、コントローラ40は、初期運転後の通常運転であるとの判断の下に、定期的な判定タイミングの到来を監視する(ステップ106)。判定タイミングでない場合(ステップ106のNO)、コントローラ40は、ステップ101のフラグ判定に戻る。
【0042】
判定タイミングが到来したとき(ステップ106のYES)、コントローラ40は、冷凍サイクルの運転が安定状態にあるか否かを判定する(ステップ107)。安定状態とは、初期運転時と同様に複数の条件が共に満たされた状態のことをいう。冷凍サイクルの運転が安定状態にない場合(ステップ107のNO)、コントローラ40は、ステップ101のフラグ判定に戻る。
【0043】
冷凍サイクルの運転が安定状態にある場合(ステップ107のYES)、コントローラ40は、受液器5内の液冷媒の液面高さを検出する(ステップ108)。すなわち、コントローラ40は、初期運転時の液面高さ検出と同じく、各電動膨張弁31の開度を制御することにより各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを設定値SHs一定に維持しながら、電動膨張弁4に対する規定の開度制御を実行することで受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させる。この低下後(規定の開度制御の実行後)、コントローラ40は、開閉弁22を開放してバイパス配管20を導通させる。
【0044】
バイパス配管20が導通すると、受液器5内の上部に存するガス冷媒がバイパス配管20に流れ、それに伴い受液器5内の液冷媒の液面が上昇していく。コントローラ40は、バイパス配管20の導通を開始してから、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達するまでの時間tを、計測する。コントローラ40は、液面がバイパス配管20の接続部に達したかどうかを温度センサ23の検知温度Tgに基づき検知する。
【0045】
コントローラ40は、計測時間tと液面高さとの相関関係(
図3)に基づき、バイパス配管20が導通する直前における受液器5内の液冷媒の液面高さH2を検出する。
【0046】
なお、ステップ103,108の液面高さ検出に際し、すでに、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部よりも下方に低下した状態にあることも考えられる。この場合でも、受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させるための“規定の開度制御”は実行される。“規定の開度制御”が実行されても、液面高さ検出に支障は生じない。
【0047】
コントローラ40は、検出した液面高さH2とメモリ46に記憶している初期液面高さH1とを比較することにより、冷凍サイクルにおける冷媒の漏洩の有無を判定する(ステップ109)。例えば、今回検出した液面高さH2が初期液面高さH1よりも低くてその差(変化量)が所定値以上の場合、コントローラ40は、冷凍サイクルの冷媒が漏洩していると判定する。今回検出した液面高さH2が初期液面高さH1を中心とする所定範囲内に収まっている場合、コントローラ40は、冷凍サイクルの冷媒が漏洩していないと判定する。
【0048】
なお、受液器5の容量は予め分かっているので、今回検出した液面高さH2が初期液面高さH1よりどれだけ低下したかの液面変化量が分かれば、その液面変化量から冷媒の漏洩量を検出することも可能である。この場合、温度センサ13の検知温度Tcあるいは圧力センサ12の検知圧力Pdから液冷媒の密度を算出し、算出した密度によって上記検出した漏洩量を補正することにより、漏洩量の検出精度を向上させることができる。
【0049】
判定結果が漏洩なしの場合(ステップ110のNO)、コントローラ40は、ステップ101のフラグ判定に戻る。
【0050】
判定結果が漏洩ありの場合(ステップ110のYES)、コントローラ40は、冷凍サイクルに冷媒の漏洩が生じている旨を例えば操作表示器50の文字表示やアイコン画像表示により、報知する(ステップ111)。この報知により、ユーザは、冷凍サイクルに冷媒の漏洩が生じていることを認識し、保守・点検を依頼することができる。なお、冷媒の漏洩が生じている旨を報知するのと同時に、上記検出される漏洩量を報知してもよい。
【0051】
この報知に伴い、コントローラ40は、圧縮機1を停止して以後の運転を禁止する(ステップ112)。この運転禁止により、冷媒が漏洩したまま運転が継続することがなくなり、冷凍サイクル機器への悪影響を回避することができる。
【0052】
以上のように、初期運転時の液面高さH1を検出して記憶し、かつ通常運転時の液面高さH2を定期的に検出し、両検出結果H1,H2を比較することにより、冷凍サイクルにおける冷媒の漏洩の有無を的確に検出することができる。
【0053】
液面検知および液面高さ検出に用いるバイパス配管20は、受液器5から流入するわずかな量の冷媒を冷凍サイクルの低圧側配管に戻すだけなので、受液器5が空にならない。従来のように、受液器内のすべての冷媒を室外熱交換器に移動すると、高圧側圧力が急上昇し、冷凍サイクル部品の寿命に悪影響を与えてしまうが、そのような不具合は生じない。また、従来のように、受液器内のすべての冷媒を室内熱交換器に移動すると、低圧側圧力が急低下したり、圧縮機1への液バックを生じ、圧縮機1が損傷を受けるおそれがあるが、そのような不具合も生じない。
【0054】
しかも、冷凍サイクルの運転が安定状態にあることを条件として液面高さ検出を行うので、外気温度や風量等の外乱にかかわらず、冷媒の漏洩の有無を精度よく検出することができる。
【0055】
[2]第2実施形態
図4に示すように、第1実施形態の室外ユニットAと同じ構成の2つの室外ユニットA1,A2が、互いに並列に配管接続される。この室外ユニットA1,A2に、室内ユニットB1,B2,…Bnが配管接続される。冷房運転時、室外ユニットA1,A2の各室外熱交換器3および各受液器5を経た冷媒が、室内ユニットB1,B2,…Bnの各室内熱交換器32に流れる。各室内熱交換器32を経た冷媒は、室外ユニットA1,A2に戻って各圧縮機1に吸込まれる。
【0056】
コントローラ40は、室外ユニットA1,A2および室内ユニットB1〜Bnを制御するとともに、各バイパス配管20の導通により各受液器5の液冷媒の液面高さを検出し、その検出結果に基づき冷凍サイクルの冷媒量を判定する。この判定手段として、コントローラ40は、過熱度制御部61、液面検知部62、検出部(第1検出部)63、検出部(第2検出部)64、判定部65、均一化部66、およびメモリ46を有する。
過熱度制御部61は、冷房運転時、各電動膨張弁31の開度を制御することにより、各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを予め定められた設定値SHs一定となるように制御する。
【0057】
液面検知部62は、各開閉弁22が開放しているとき、各受液器5内の液冷媒の液面が各バイパス配管20の接続部に達しているか否かを、各温度センサ23の検知温度Tgに基づき判定する。具体的は判定方法については、第1実施形態と同じである。
【0058】
検出部63は、当該冷凍サイクル装置の設置後の初期運転(冷房運転)時、各電動膨張弁31の開度を制御することにより各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを設定値SHs一定に維持しながら、室外ユニットA1において、電動膨張弁4に対する規定の開度制御を実行することで受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させ、この低下後(規定の開度制御の実行後)に開閉弁22を開放してバイパス配管20を導通させ、この導通により受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達するまでの時間tに基づき、バイパス配管20の導通直前における受液器5内の液冷媒の液面高さH1を検出する。
【0059】
検出部63の処理のうち、過熱度SHを設定値SHs一定に維持する制御は、過熱度制御部61の制御に依存する。検出部63の処理のうち、液面がバイパス配管20の接続部に達しかの判断は、液面検知部62の検知に依存する。
【0060】
検出部64は、上記初期運転の後の通常運転(冷房運転)時、定期的な判定タイミングにおいて、各電動膨張弁31の開度を制御することにより各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを設定値SHs一定に維持しながら、室外ユニットA1において、電動膨張弁4に対する規定の開度制御を実行することで受液器5内の液冷媒の液面をバイパス配管20の接続部より下方に低下させ、この低下後(規定の開度制御の実行後)に開閉弁22を開放してバイパス配管20を導通させ、この導通により受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達するまでの時間tに基づき、バイパス配管20の導通直前における受液器5内の液冷媒の液面高さH2を検出する。
【0061】
検出部64の処理のうち、過熱度SHを設定値SHs一定に維持する制御は、過熱度制御部61の制御に依存する。検出部64の処理のうち、液面がバイパス配管20の接続部に達しかの判断は、液面検知部62の検知に依存する。
【0062】
判定部65は、検出部63の検出結果H1と検出部64の検出結果H2との比較により、冷凍サイクルにおける冷媒の漏洩の有無を判定する。
【0063】
均一化部66は、検出部63,64による液面高さ検出の前に、室外ユニットA1,A2における各受液器5内の液冷媒の量を均一化する。具体的には、均一化部66は、各受液器5内の液面が各バイパス配管20の接続部に達しているか否かを液面検知部62の判定結果から認識し、各受液器5の少なくとも1つにおいて液面が接続部に達していない場合に、全ての受液器5内の液冷媒の液面が各バイパス配管20の接続部とほぼ同じ位置となるように各電動膨張弁4の開度を制御する。
他の構成は第1実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0064】
コントローラ40が実行する制御を
図5のフローチャートを参照しながら説明する。なお、
図5において、
図2と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
コントローラ40は、初期運転において、冷凍サイクルの運転が安定状態にある場合(ステップ101のYES、ステップ102のYES)、各受液器5内の液冷媒の量を均一化するための均一化運転を実行し(ステップ201)、この均一化運転の実行後に室外ユニットA1における受液器5内の液冷媒の液面高さを検出する(ステップ103)。
【0066】
また、コントローラ40は、初期運転後の通常運転において(ステップ101のNO)、かつ判定タイミングにおいて(ステップ106のYES)、冷凍サイクルの運転が安定状態にある場合(ステップ107のYES)、各受液器5内の液冷媒の量を均一化するための均一化運転を実行し(ステップ202)、この均一化運転の実行後に室外ユニットA1における受液器5内の液冷媒の液面高さを検出する(ステップ108)。
【0067】
均一化運転において、コントローラ40は、各受液器5内の液冷媒の液面が各バイパス配管20の接続部に達しているか否かを判定する。
【0068】
均一化運転において、各受液器5の全ての液面が各バイパス配管20の接続部に達していないと判定した場合、コントローラ40は、各受液器5の全ての液面が各バイパス配管20の接続部に達するまで、各電動膨張弁4の開度を増して各受液器5内の液冷媒を増やす。
【0069】
均一化運転において、室外ユニットA1における受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達し、かつ室外ユニットA2における受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達していない場合、コントローラ40は、室外ユニットA1において、電動膨張弁4の開度を絞って受液器5内の液冷媒を減らし、受液器5内の液面がバイパス配管20の接続部より下方に下がったところで電動膨張弁4の開度を増して受液器5内の液冷媒を増やす。この開度制御により、室外ユニットA1における受液器5内の液冷媒の液面が、バイパス配管20の接続部とほぼ同じ位置に維持される。
【0070】
均一化運転において、コントローラ40は、室外ユニットA2における受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達するまで、電動膨張弁4の開度を増して受液器5内の液冷媒を増やす。この開度増に際し、コントローラ40は、均一化を速めるべく、室外ユニットA2側の電動膨張弁4の開度変化量を、室外ユニットA1側の電動膨張弁4の開度変化量より大きくする。
【0071】
均一化運転において、室外ユニットA2における受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達し、かつ室外ユニットA1における受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達していない場合、コントローラ40は、室外ユニットA2において、電動膨張弁4の開度を絞って受液器5内の液冷媒を減らし、受液器5内の液面がバイパス配管20の接続部より下方に下がったところで電動膨張弁4の開度を増して受液器5内の液冷媒を増やす。この開度制御により、室外ユニットA2における受液器5内の液冷媒の液面が、バイパス配管20の接続部とほぼ同じ位置に維持される。
【0072】
均一化運転において、コントローラ40は、室外ユニットA1における受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達するまで、電動膨張弁4の開度を増して受液器5内の液冷媒を増やす。この開度増に際し、コントローラ40は、均一化を速めるべく、室外ユニットA1側の電動膨張弁4の開度変化量を、室外ユニットA2側の電動膨張弁4の開度変化量より大きくする。
【0073】
このような均一化運転の実行により、室外ユニットA1,A2における冷媒の不均衡を解消することができる。よって、複数の室外ユニットA1,A2を有するマルチタイプの空気調和機であっても、室外ユニットA1,A2の各受液器5における液冷媒の液面高さをそれぞれ精度よく検出できる。ひいては、冷凍サイクルにおける冷媒の漏洩の有無を的確に検出することができる。
【0074】
なお、各受液器5における液冷媒の液面を上下させる手段としては、各電動膨張弁4の開度制御に限らず、各室外ファン11の回転数制御を行ってもよい。各電動膨張弁4の開度制御と各室外ファン11の回転数制御とを組み合わせてもよい。
【0075】
各受液器5における液冷媒の液面を上下させる手段としては、各バイパス配管20を導通しているときの各開閉弁22の開放時間を調節してもよい。液面がバイパス配管20の接続部に達している状態で開閉弁22の開放時間を長くすれば、受液器5からバイパス配管20に流入する液冷媒の量が増し、その分だけ受液器5内の液冷媒の液面を下げることができる。
【0076】
[3]第3実施形態
図6に示すように、複数の室外ユニットA1,A2,…Anが、互いに並列に配管接続される。これら室外ユニットA1,A2,…Anに、室内ユニットB1,B2,…Bnが配管接続される。これら室外ユニットA1,A2,…Anおよび室内ユニットB1,B2,…Bnにより、マルチタイプの空気調和機が構成される。
【0077】
室外ユニットA1は、第1実施形態の室外ユニットAと同じ構成であり、親機として機能する。室外ユニットA2〜Anは、熱交換器6、バイパス配管20、キャピラリチューブ21、開閉弁(二方弁)22、温度センサ23を有していない点だけ第1実施形態の室外ユニットAと異なる構成であり、子機として機能する。子機である室外ユニットA2〜Anの受液器5の容量は、親機である室外ユニットA1の受液器5の容量よりも小さい。
【0078】
冷房運転時、室外ユニットA1〜Anの各室外熱交換器3および各受液器5を経た冷媒が、室内ユニットB1〜Bnの各室内熱交換器32に流れる。各室内熱交換器32を経た冷媒は、室外ユニットA1〜Anに戻って各圧縮機1に吸込まれる。
【0079】
コントローラ40は、室外ユニットA1〜Anおよび室内ユニットB1〜Bnを制御するとともに、バイパス配管20の導通により受液器5の液冷媒の液面高さを検出し、その検出結果に基づき冷凍サイクルの冷媒量を判定する。この判定手段として、コントローラ40は、過熱度制御部71、液面検知部72、過冷却量検出部73、液面制御部74、判定部75、およびメモリ46を有する。
【0080】
過熱度制御部71は、冷房運転時、各電動膨張弁31の開度を制御することにより、各室内熱交換器32における冷媒の過熱度SHを予め定められた設定値SHs一定となるように制御する。
【0081】
液面検知部72は、開閉弁22が開放しているとき、受液器(第1受液器)5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達しているか否かを、バイパス配管20における温度センサ23の検知温度Tgに基づき検知する。
【0082】
過冷却量検出部73は、冷房運転時、各室外熱交換器(第1および第2凝縮器)3における冷媒の過冷却量SCを検出する。冷媒の過冷却量SCは、圧力センサ12の検知圧力Pdから換算される高圧側冷媒温度(飽和凝縮温度)Tdstと温度センサ13の検知温度Tcとの差(=Tdst−Tc)に相当する。
【0083】
液面制御部74は、室外ユニットA2〜Anにおける各受液器(第2受液器)5内の液冷媒を満杯状態に設定し、かつバイパス配管20の導通により室外ユニットA1における受液器(第1受液器)5内の液冷媒の液面高さを検出しながらその液面高さを所定高さに設定する。具体的には、液面制御部74は、室外ユニットA2〜Anにおける各受液器(第2受液器)5内の液冷媒を満杯状態に設定するべく、室外ユニットA2〜Anの室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCを予め定められた設定値SCfに設定する。設定値SCfは、室外ユニットA2〜Anの受液器5内の液冷媒が満杯状態となり得る値である。上記所定高さは、例えば受液器5とバイパス配管20との接続部の高さである。液冷媒の液面高さの検出は、液面検知部72の検知に依存する。
【0084】
判定部75は、各室内熱交換器32の過熱度SHが設定値SHs一定に制御され、室外ユニットA2〜Anの受液器5内の液冷媒が満杯状態に設定され、室外ユニットA1の受液器5内の液冷媒の液面が所定高さに設定された状態で、室外ユニットA1の室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCに応じて冷凍サイクルの冷媒量を判定する。具体的には、判定部75は、室外ユニットA1の室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCと予め定められた基準値SCsとの差分ΔSC(=SC−SCs)に基づき、冷凍サイクルの冷媒量の適否(正常・不足・過剰)を判定する。
【0085】
なお、冷媒量の適否は、過冷却量SCに加えて、室外ユニットA1の電動膨張弁4の開度、室外ユニットA1の圧縮機1の周波数、或いは室内ユニットB1〜Bmの電動膨張弁31の合計開度などの運転パラメータを考慮して判定されてもよい。
【0086】
過冷却量の基準値SCsは、空気調和機の設置直後などに実施される試運転モードでの動作時において、上記過冷却量検出部73により検出されてコントローラ40のメモリ46に記憶される。上記試運転モードにおいては、各室外熱交換器3を凝縮器として機能させるとともに各室内熱交換器32を蒸発器として機能させる冷房運転が実施される。当該冷房運転は、上記過熱度制御部71および上記液面制御部74の制御の下で実施される。すなわち、室内ユニットB1〜Bmの室内熱交換器32の過熱量SHが設定値SHsとなり、子機である室外ユニットA2〜Anの室外熱交換器3の過冷却量SCが設定値SCfとなり、且つ親機である室外ユニットA1の受液器5内の液冷媒の液面高さがバイパス配管20の接続部の高さとなる。この運転条件下においては、室外ユニットA2〜Anの受液器5が満液となる。
【0087】
室内ユニットB1〜Bmの室内熱交換器32の過熱度SH、室外ユニットA2〜Anの室外熱交換器3の過冷却量SC、および室外ユニットA1〜Anの受液器5内の液冷媒の液面高さを上記試運転モードにおける冷房運転と同様に設定することにより、主に室外ユニットA1の室外熱交換器3の過冷却量SCと基準値SCsとの比較によって冷凍サイクル内の冷媒量を判定することが可能となる。
【0088】
コントローラ40は、定期的な判定タイミングが到来したこと、或いは操作表示器50等により処理の開始が指示されたことをトリガとして、冷媒量判定モードに移行する。定期的な判定タイミングとは、数日に一度、一週間に一度、数週間に一度、一月に一度、数ヶ月に一度などそのいずれでもよく、当該冷凍サイクル装置が設置される場所やその環境などに応じて適宜に選定される。
【0089】
冷媒量判定モードにおいてコントローラ40が実行する制御を
図7のフローチャートに示す。
冷媒量判定モードが開始されると、先ずコントローラ40は、室内ユニットB1〜Bmの電動膨張弁31の開度を調整することにより、室内ユニットB1〜Bmの過熱度SHを目標値SHsで一定となるように制御する(ステップS11)。
【0090】
ステップS11の後、コントローラ40は、子機である室外ユニットA2〜Anの室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCが設定値SCf一定となるように室外ユニットA2〜Anを制御する(ステップS12)。例えばコントローラ40は、室外ユニットA2〜Anのいずれかにおいて、圧力センサ12の検知圧力Pdから換算される飽和凝縮温度Tdstと温度センサ13の検知温度Tcとに基づき検出される過冷却量SCが設定値SCfよりも大きい場合には、その室外ユニットの室外ファン(第2ファン)11の送風量を減らすか或いは電動膨張弁(第2膨張弁)4の開度を増すことにより、過冷却量SCを設定値SCfまで下げる。また、コントローラ40は、室外ユニットA2〜Anのいずれかにおいて、上記のように検出される過冷却量SCが設定値SCfよりも小さい場合には、その室外ユニットの室外ファン(第2ファン)11の送風量を増すか或いは電動膨張弁(第2膨張弁)4の開度を減らすことにより、過冷却量SCを設定値SCfまで上げる。室外ユニットA2〜Anにおいて過冷却量SCが設定値SCfに一定となったとき、室外ユニットA2〜Anの受液器5内の液冷媒は満杯状態となる。
【0091】
室外ファン11の送風量および電動膨張弁4の開度の少なくとも一方を制御することで、受液器5内の液冷媒を満杯状態に設定できる。
【0092】
ステップS12の後、コントローラ40は、親機である室外ユニットA1の受液器5内の液冷媒の液面高さを、バイパス配管20の接続部の位置に制御する(ステップS13)。この処理において、コントローラ40は、受液器5内の液冷媒の液面がバイパス配管20の接続部に達しているか否かを温度センサ23の検知温度Tgに基づいて判定しつつ、受液器5内の液冷媒を増減させ、液面をバイパス配管20の接続部の位置で停止させる。受液器5内の液冷媒は、室外ユニットA1の室外ファン(第1ファン)11の送風量を減らすか或いは電動膨張弁(第1膨張弁)4の開度を増すことにより増やすことができ、室外ユニットA1の室外ファン(第1ファン)11の送風量を増すか或いは電動膨張弁(第1膨張弁)4の開度を減らすことにより減らすことができる。
【0093】
ステップS13の後、コントローラ40は、親機である室外ユニットA1の圧力センサ12の検知圧力Pdから換算される飽和凝縮温度Tdstと温度センサ13の検知温度Tcとに基づき、室外ユニットA1の室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCを検出する(ステップS14)。さらに、コントローラ40は、ステップS14にて検出した過冷却量SCと基準値SCsとの差分ΔSC(=SC−SCs)を算出する(ステップS15)。
【0094】
ステップS15の後、コントローラ40は、差分ΔSCに基づき冷凍サイクルの冷媒量の適否を判定する(ステップS16)。差分ΔSCが冷媒量正常とみなせる所定範囲内の値である場合(ステップS16の“正常”)、コントローラ40は当該フローチャートに示す処理を終了する。
【0095】
差分ΔSCが上記所定範囲を下回る場合、冷媒量が不足(または漏洩)しているとの判定の下に(ステップS16の“不足”)、コントローラ40は冷媒量不足(または冷媒漏洩)を報知する(ステップS17)。また、差分ΔSCが上記所定範囲を上回る場合、冷媒量が過剰であるとの判定の下に(ステップS16の“過剰”)、コントローラ40は冷媒量過剰を報知する(ステップS18)。ステップS17或いはステップS18の後、コントローラ40は当該フローチャートに示す処理を終了する。
【0096】
ステップS17,S18における報知は、例えば室外ユニットA1に設けられた表示器或いは操作表示器50の表示により行われる。また、コントローラ40がネットワークを介して遠隔監視システム等の外部システムに接続されている場合、当該外部システムに冷媒不足或いは冷媒過剰を送信することにより、ステップS17,S18における報知が行われてもよい。
【0097】
以上のように、子機である室外ユニットA2〜Anの受液器5内の液冷媒を満杯状態に設定した状態で冷媒量の適否を判定することにより、これら受液器5内の液冷媒の液面高さの不均衡が是正される。よって、冷媒量の適否の判定精度を高めることができる。
【0098】
子機である室外ユニットA2〜Anに熱交換器6、バイパス配管20、キャピラリチューブ21、開閉弁22、温度センサ23を設ける必要がない。したがって、室外ユニットA2〜Anの構成を簡素化できる。
【0099】
子機である室外ユニットA2〜Anの受液器5は、親機である室外ユニットA1の受液器5よりも容量が小さい。したがって、室外ユニットA2〜Anの受液器5内の液冷媒を満杯状態とするための制御に要する時間を短縮できる。
【0100】
室内ユニットB1〜Bmの室内熱交換器32における冷媒の過熱度を設定値SHsに保つことで、室内ユニットB1〜Bm内の冷媒量が基準値SCsの取得時と概ね同一となる。したがって、冷媒量の適否の判定精度を高めることができる。
【0101】
[4]第4実施形態
第4実施形態は、冷媒量判定モードの処理の一部が第3実施形態と異なる。第3実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0102】
コントローラ40は、
図8に示すように、過熱度制御部71、液面検知部72、過冷却量検出部73、液面制御部74、判定部75、メモリ46に加えて、凝縮圧力検出部76を有する。
【0103】
凝縮圧力検出部76は、室外ユニットA1における冷媒の凝縮圧力を検出する。凝縮圧力は、室外ユニットA1の圧力センサ12が検出する圧力Pdに基づき、配管に応じた圧力損失を考慮して換算することができる。
【0104】
判定部75は、冷媒量判定モード時に凝縮圧力検出部76が検出した凝縮圧力Pdaと、試運転モード時に凝縮圧力検出部76が検出した凝縮圧力Pdsとに基づいて、冷媒量判定モード時の液冷媒の密度と試運転モード時の液冷媒の密度との比(密度比という)を算出する。そして、判定部75は、算出した密度比に基づいて過冷却量の差分ΔSCを補正し、補正した差分ΔSC(補正差分ΔSCcという)に基づいて冷凍サイクルの冷媒量の適否を判定する。
【0105】
凝縮圧力Pdaの下での液冷媒の密度をρa、凝縮圧力Pdsの下での液冷媒の密度をρsとすると、以下の式(I)の比例関係が成り立つ。
ρa/ρs∝Pda/Pds …(I)
補正差分ΔSCcは、以下の式(II)にて表される。
ΔSCc=ρa/ρs×ΔSC=α×Pda/Pds×ΔSC …(II)
ここに、αは式(I)の比例関係を表す比例定数である。
【0106】
冷媒量判定モードにおいてコントローラ40が実行する制御を
図9のフローチャートに示す。
ステップS21〜S25は、第3実施形態におけるステップS11〜15と同様である。ステップS25の後、コントローラ40は、上記の式(II)に基づき差分ΔSCを補正して補正差分ΔSCcを算出する(ステップS26)。
【0107】
ステップS26の後、コントローラ40は、補正差分ΔSCcに基づき冷凍サイクルの冷媒量の適否を判定する(ステップS27)。補正差分ΔSCcが冷媒量正常とみなせる所定範囲内の値である場合(ステップS27の“正常”)、コントローラ40は当該フローチャートに示す処理を終了する。
【0108】
補正差分ΔSCcが上記所定範囲を下回る場合、冷媒量が不足(または冷媒漏洩)しているとの判定の下に(ステップS27の“不足”)、コントローラ40は冷媒量不足を報知する(ステップS28)。また、補正差分ΔSCcが上記所定範囲を上回る場合、冷媒量が過剰であるとの判定の下に(ステップS27の“過剰”)、コントローラ40は冷媒量過剰を報知する(ステップS29)。ステップS28或いはステップS29の後、コントローラ40は当該フローチャートに示す処理を終了する。ステップS28,S29における報知は、ステップS17,S18と同様の方法で行うことができる。
【0109】
室外ユニットA1の室外熱交換器3における冷媒の過冷却量SCが同一であっても、当該冷媒の量は密度ρに応じて変化する。したがって、冷媒量判定モード及び試運転モードそれぞれの動作時における液冷媒の密度ρa,ρsが異なる場合には、過冷却量の差分ΔSCに基づく冷媒量の判定に誤差が生じ得る。これに対し、本実施形態のように密度比ρa/ρs(=α×Pda/Pds)にて差分ΔSCを補正すれば上記誤差が低減され、冷媒量の判定精度を高めることができる。
【0110】
[5]第5実施形態
第5実施形態は、第4実施形態における密度比ρa/ρsを冷媒の蒸発圧力に基づいて算出する点が、第4実施形態と異なる。第3,第4実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0111】
コントローラ40は、
図10に示すように、凝縮圧力検出部76に代えて蒸発圧力検出部77を有する。
【0112】
蒸発圧力検出部77は、室外ユニットA1における冷媒の蒸発圧力を検出する。蒸発圧力は、室外ユニットA1の圧力センサ14が検出する圧力Psに基づき、配管に応じた圧力損失を考慮して換算することができる。
【0113】
判定部75は、冷媒量判定モード時に蒸発圧力検出部77が検出した蒸発圧力Psaと、試運転モード時に蒸発圧力検出部77が検出した蒸発圧力Pssとに基づいて、冷媒量判定モード時の液冷媒の密度と試運転モード時の液冷媒の密度との比(密度比という)を算出する。そして、判定部75は、当該密度比に基づき過冷却量の差分ΔSCを補正し、補正した差分ΔSC(補正差分ΔSCcという)に基づいて冷凍サイクルの冷媒量の適否を判定する。
【0114】
蒸発圧力Psaの下での液冷媒の密度をρa、蒸発圧力Pssの下での液冷媒の密度をρsとすると、以下の式(III)の比例関係が成り立つ。
ρa/ρs∝Psa/Pss …(III)
補正差分ΔSCcは、以下の式(IV)にて表される。
ΔSCc=ρa/ρs×ΔSC=β×Psa/Pss×ΔSC …(IV)
ここに、βは式(III)の比例関係を表す比例定数である。
【0115】
冷媒量判定モードにおける制御は、
図9のフローチャートを用いて説明した流れと同様である。但しステップS26において、コントローラ40は、上記の式(IV)に基づき差分ΔSCを補正して補正差分ΔSCcを算出する。
【0116】
本実施形態のように蒸発圧力に基づいて密度比ρa/ρsを算出し、過冷却量の差分ΔSCを補正する場合であっても、第4実施形態と同様に冷媒量の判定精度を高めることができる。
【0117】
[6]変形例
上記各実施形態では、空気調和機に搭載される冷凍サイクル装置について説明したが、給湯機等の他の機器に搭載される冷凍サイクル装置においても同様に実施可能である。
【0118】
上記各実施形態では、バイパス配管20、キャピラリチューブ21、開閉弁22及び温度センサ23を用いて室外ユニットA1の受液器5内の液冷媒の液面を検知されるとしたが、他の方法により液面が検知されてもよい。例えば、受液器5内の液面に浮かせたフロートと、受液器5に対して固定的に設けられたスイッチとを備え、上記フロートにより上記スイッチをオン/オフするフロート式センサを用いて液面が検出されてもよい。
【0119】
その他、上記各実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。