(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101839
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】太陽光モジュール用鳥類着地防止装置
(51)【国際特許分類】
H02S 30/00 20140101AFI20170313BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20170313BHJP
【FI】
H02S30/00
H02S20/10 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-46061(P2016-46061)
(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-201979(P2016-201979A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0049318
(32)【優先日】2015年4月7日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516049951
【氏名又は名称】サムヤン エスエヌイー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュ ヨン
【審査官】
佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−145451(JP,A)
【文献】
特開2007−231639(JP,A)
【文献】
特開2014−143993(JP,A)
【文献】
実開平02−046577(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3047196(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3085967(JP,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2014−0014892(KR,A)
【文献】
韓国公開実用新案第20−2011−0001868(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−10/40、30/00−99/00
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の太陽電池を具備して電力を発生させる太陽光モジュールの上縁の一側終端部に上部に突出するようにはさみ結合可能であり、所定の傾斜角度で太陽光モジュールを傾斜させて設置する構成において、下端部(111)から中段部(112)までその中心線に対して対称に分岐する傾斜(110a)をなし、中段部(112)から上端部(113)まで柱状に形成され、その柱状部分が略鉛直に配置されるように構成される太陽光モジュールの上縁に結合可能な第1支柱棒(110)と;
前記第1支柱棒(110)と同じ形状を有して前記第1支柱棒(110)の設置位置に対向する太陽光モジュールの上縁の他側終端部にはさみ結合または、ねじ結合される第2支柱棒(120)と;
前記第1支柱棒と第2支柱棒の突出高さより相対的に低い高さで前記太陽光モジュールの上縁と平行した方向に前記第1支柱棒と第2支柱棒を連結するクロムワイヤーまたはサス(SUS)中の選択されたいずれか一つの材質で構成された鳥類着地防止ワイヤー(140)と;
前記第1支柱棒(110)と第2支柱棒(120)の中間位置で上部に突出して前記鳥類着地防止ワイヤー(140)をかけることができる溝131が形成された第3支柱棒(130)を含んでなる、太陽光モジュール用鳥類着地防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光モジュール用鳥類着地防止装置に関するもので、より詳細には太陽光モジュールの上端に設置して鳥類が太陽光モジュールに着地することを防止することによって、鳥類の排泄物によって太陽光モジュールが汚染されることを防止することができる太陽光モジュール用鳥類着地防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電のための太陽電池は、シリコンや各種化合物から出発、ソーラーセル(Solar cell)の形態となると、電気を発生することができるようになる。しかし、一つのセル(cell)では十分な出力を得ることができないので、それぞれのセルを直列あるいは並列状態に連結しなければならないが、このように連結された状態を「太陽光モジュール(solar module)」と呼ぶ。
【0003】
太陽光モジュールを構成するシリコンセルの場合、一度作られると品質が半永久的で、薄膜セルの場合も膜自体が強固に結合されるので、効率にさほど影響を及ぼさない。したがって、モジュールの連結方式(直列あるいは並列)、温度条件などの環境により効率が異なって現れる。直列に太陽電池が連結される場合、出力の異なるセルが一つ混ざることになれば、低い電流側に全体の電流が調整され、同じ条件で並列連結すると、低い電圧側に全体の電圧が調整されるなどの異なる特性が発現する。太陽光パネルのうち、最も広く普及されている形態は平面型であり、平面型の太陽光パネルに太陽光が照射されると光電変換の可能な太陽光波長を利用して、パネル内に配置されたソーラーセルがDC電圧を出力することになる。
【0004】
このような太陽光モジュールの効率が低下する理由としては、セルの均一性、ホットスポット(hot spot・ソーラーセルの特定の部分のみ温度が高い場合)、排熱不均一、温度、モジュール表面の汚染、モジュールの老化など、様々な理由がある。
【0005】
例えば、鳥類が太陽光モジュールの上部に着地する場合、
図1に示した通り、前記太陽光モジュールが鳥類の排泄物で汚染される恐れがある。鳥類の排泄物には多量の尿酸が含まれている。尿酸(尿素、urea)とは、鳥類が蛋白質を消化・分解して排泄する窒素の主要形態を意味する。前記尿酸が太陽光モジュールに付いているとパネルを腐食させ、前記排泄物は太陽光セルへの太陽光の入射を妨害して太陽光モジュールの発電効率を低下させるという、問題点がある。
【0006】
このような問題を解決するための従来技術に係る方法としては、
図2aおよび
図2bに示した通り、太陽光モジュールの上縁に鳥類が着地できないように尖がった鳥類着地防止棒を設置する方法が利用されている。太陽光パネルの周辺に針金などを利用した鳥類着地防止棒を別途設置して、鳥類の排泄物による被害を減少させている。しかし、従来技術でのような、尖った鉄の針を利用した鳥類着地防止棒は外見がよくなく、鳥類着地防止棒に鳥類が刺されて死んだり、点検整備の職員が怪我をしたりする場合も発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国10-2013-0125221号公報(出願番号:10-2012-0048795、発明の名称:水上太陽光モジュール用鳥類接近防止装置およびこれを利用した水上太陽光モジュール)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は太陽光モジュールの上端縁に鳥類が着地することを防止できる太陽光モジュール用鳥類着地防止装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、機構的構成が簡単な太陽光モジュール用鳥類着地防止装置を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、設置費用が安価な太陽光モジュール用鳥類着地防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置は、複数個の太陽電池を具備して電力を発生させる太陽光モジュールの上縁の一側終端部に上部に突出するように結合可能であり、下端部から中段部までその中心線に対して対称に傾斜をなし、中段部から上端部まで柱状に形成され、太陽光モジュールの上縁にはさみ結合または、ねじ結合可能な第1支柱棒と;前記第1支柱棒の設置位置に対向する太陽光モジュールの上縁の他側終端部に上部に突出するようにはさみ結合または、ねじ結合可能であり、下端部から中段部までその中心線に対して対称に傾斜をなし、中段部から上端部まで柱状に形成される第2支柱棒と;前記第1支柱棒と第2支柱棒の突出高さより相対的に低い高さで前記太陽光モジュールの上縁と平行した方向に前記第1支柱棒と第2支柱棒を連結するクロムワイヤーまたはサス(SUS)中の選択されたいずれか一つの材質で構成された鳥類着地防止ワイヤーと;前記第1支柱棒と第2支柱棒の中間位置で上部に突出して前記鳥類着地防止ワイヤーをかけることができる溝が形成された第3支柱棒を含んでなることを構成の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置は次のような効果が期待できる。
【0013】
第1、太陽光モジュールの上端縁に比べて相対的に薄いため、鳥類が着地することを防止することができる。
【0014】
第2、比較的簡単な構成からなるため、設置過程が単純で設置費用が安価である。
【0015】
第3、鳥類着地防止ワイヤーがクロムワイヤーまたはサス(SUS)中のいずれか一つからなるため、使用寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の構成を示した例示図。
【
図2a】従来技術に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の構成を示した例示図。
【
図2b】従来技術に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の構成を示した例示図。
【
図3】本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の一実施例に係る構成を示した例示図。
【
図4】本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の第1支柱棒および第3支柱棒の構成を示した例示図。
【
図5】本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の第3支柱棒の形状を示した例示図。
【
図6】本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の他の実施例に係る構成を示した例示図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3は本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の一実施例に係る構成を示した例示図である。
【0018】
図3に図示された通り、本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置100は、複数個の太陽電池11を具備して電力を発生させる太陽光モジュール10の上縁の一側終端部に上部に突出するように結合可能な第1支柱棒110と;前記第1支柱棒110の設置位置に対向する太陽光モジュール10上縁の他側終端部に上部に突出するように結合可能な第2支柱棒120と;前記第1支柱棒110と第2支柱棒120の中間位置で上部に突出するように結合可能な第3支柱棒130と;前記第1〜第3支柱棒110,120,130の突出高さより相対的に低い高さで前記太陽光モジュール10上縁と平行した方向に前記第1〜第3支柱棒110,120,130を連結する鳥類着地防止ワイヤー140を含んでなる。
【0019】
第1支柱棒〜第3支柱棒110,120,130の材質は外部接触環境と反応して変質および破壊されて腐食することを防止できる材質の金属を使用した方が好ましい。腐食を防止するためにステンレスのような合金を使用するか、腐食に強い材料で表面を被覆するか、耐食性の良いアルミニウム、またはサス(SUS;日本工業規格によるSteel Use Stainless)を使用する方法も可能である。
【0020】
互いに対向する位置に設置される第1支柱棒110および第2支柱棒120は同じ形状を有する。その形状を見ると、
図4に図示された通り、下端部111から中段部112までその中心線に対して対称に傾斜面110aが形成されている。中段部112から上端部113まで柱状をなしている。
【0021】
図5に図示された通り、第3支柱棒130の上端部には前記鳥類着地防止ワイヤー140をかけることができる溝131が形成されている。
【0022】
第1支柱棒〜第3支柱棒110,120,130は太陽光モジュール10の上縁にねじ結合で連結された方が好ましく、このような結合のために各支柱棒110,120,130にはねじ結合のための穴が形成されることは言うまでもない。
【0023】
本発明で使われた鳥類着地防止ワイヤー140はピアノ線のように弾性が良いワイヤーを使用した方が好ましい。例えば、クロムワイヤーまたはサス(SUS)中のいずれか一つを使用すると周辺の湿気によって表面に錆がつくことを防止でき、その使用寿命が一般の針金と比べて長く、交替周期が長くなるのでメンテナンスに要される費用を節減することができる。
【0024】
図6は本発明に係る太陽光モジュール用鳥類着地防止装置の他の実施例に係る構成を示した例示図である。
図3の実施例と異なる点は第1支柱棒と第3支柱棒ははさみ150により太陽光モジュールの上縁に結合可能な点である。
【符号の説明】
【0025】
10 太陽光モジュール
11 太陽電池
100 太陽光モジュール用鳥類着地防止装置
110 第1支柱棒
110a 傾斜面
111 下端部
112 中段部
113 上端部
120 第2支柱棒
130 第3支柱棒
131 溝
140 鳥類着地防止ワイヤー
150 はさみ