特許第6101844号(P6101844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6101844-折り畳み自転車用の運搬装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6101844
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】折り畳み自転車用の運搬装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 1/12 20060101AFI20170313BHJP
   B62B 1/14 20060101ALI20170313BHJP
   B62K 15/00 20060101ALN20170313BHJP
【FI】
   B62B1/12
   B62B1/14
   !B62K15/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-80289(P2016-80289)
(22)【出願日】2016年4月13日
【審査請求日】2016年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】516111144
【氏名又は名称】南澤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】南澤 広之
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−230677(JP,A)
【文献】 実開昭50−047157(JP,U)
【文献】 特開2001−010570(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3057395(JP,U)
【文献】 特開2003−200873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00− 5/08
B62K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能なフレームと、
前記フレームの下端に設けた車輪と、
前記フレームと略平行な収納状態と前記フレームと略直交する使用状態との間で回動可
能に前記フレームの下端に取り付けた支持板と、
前記支持板の回動軸と交差する方向に並んで前記支持板の上面に設けられ、前記支持板
を前記使用状態に配置して折り畳んだ状態の自転車を収納したキャリーバッグを前記上面
に載せる際に前記キャリーバッグの下端を挟んで位置決めするとともに、前記支持板を前
記収納状態に配置して展開した前記自転車に取り付ける際に前記自転車と
の間に前記フレームを挟んで前記支持板を前記自転車に固定する2つの固定具と、
を有する運搬装置。
【請求項2】
前記支持板の前記上面と反対の下面に設けられ、前記自転車を取り出した後の前記キャ
リーバッグを収納する収納部をさらに有する、
請求項1の運搬装置。
【請求項3】
前記支持板を前記収納状態に配置して前記自転車に固定した状態で前記収納部の下方に
設けられ、前記収納部に収納した物の下端を支える支え部をさらに有する、
請求項2の運搬装置。
【請求項4】
前記フレームに設けられ、前記折り畳んだ状態の自転車を収納したキャリーバッグを拘
束する拘束手段をさらに有する、
請求項1乃至請求項3のいずれかの運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、折り畳み自転車を収納した状態のキャリーバッグを持ち運ぶとともに、折り畳み自転車を組み立てた後、キャリーバッグを折り畳み自転車に取り付けるための運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、折り畳み自転車を鉄道車両に乗せて持ち運ぶ場合、折り畳んだ自転車をキャリーバッグなどに収納する必要がある。近年、折り畳み自転車はサイズが小さくなって取扱いも容易になっているが、女性や子供が容易に持ち運べる程度の軽量化は進んでいない。
【0003】
このため、折り畳んだ自転車を収納する車輪付きケースが知られている。しかし、この車輪付きケースを用いた場合、降車駅で折り畳み自転車をケースから取り出した後、ケースを降車駅のロッカーなどに預ける必要があり、自転車に乗って別の駅に行ってもケースが無いのでそこから鉄道車両に乗ることができない。
【0004】
このため、車輪付きケースを自転車の前カゴとして取り付け可能としたものが知られている。この場合、自転車に乗って別の駅に行っても、前カゴを取り外して車輪付きケースとして利用でき、鉄道車両に乗ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−82426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の車輪付きケースは、折り畳み自転車を折り畳んだ状態の外形やサイズに合わせて設計するため、折り畳み自転車の種類毎に専用の車輪付きケースを製造する必要がある。
【0007】
また、上述した車輪付きケースは、折り畳んだ状態の自転車を収納可能な大きさを有するため、自転車の前カゴとして取り付けた場合、サイズが大きく、重量もあり、ハンドルがとられて運転に支障をきたす虞がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、違う種類の折り畳み自転車に兼用でき、軽量・コンパクトで取扱いが容易な、折り畳み自転車用の運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の運搬装置の一態様は、伸縮可能なフレームと、フレームの下端に設けた車輪と、フレームと略平行な収納状態とフレームと略直交する使用状態との間で回動可能にフレームの下端に取り付けた支持板と、支持板の回動軸と交差する方向に並んで支持板の上面に設けられ、支持板を使用状態に配置して折り畳んだ状態の自転車を収納したキャリーバッグを上面に載せる際にキャリーバッグの下端を挟んで位置決めするとともに、支持板を収納状態に配置して展開した自転車に当該運搬装置を取り付ける際に自転車との間にフレームを挟んで支持板を自転車に固定する2つの固定具と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、違う種類の折り畳み自転車に兼用でき、軽量・コンパクトで取扱いが容易な、折り畳み自転車用の運搬装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る運搬装置を使用状態にした斜視図である。
図2図2は、図1の運搬装置に折り畳んだ自転車を収納したキャリーバッグを取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1の運搬装置を収納状態に折り畳んだ状態の斜視図である。
図4図4は、図3の運搬装置を展開した状態の自転車に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る運搬装置100を示す概略斜視図である。また、図2は、折り畳んだ自転車を収納した状態のキャリーバッグ200を図1の運搬装置100に取り付けた状態を示す概略斜視図である。また、図3は、運搬装置100を折り畳んだ状態を示す概略斜視図である。さらに、図4は、展開して組み立てた自転車300に折り畳んだ状態の運搬装置100を取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【0013】
運搬装置100は、段階的に伸縮可能なフレーム10と、フレーム10の下端に取り付けた2つの車輪20と、支持板30と、2つの固定具41、42と、を有する。支持板30は、フレーム10と略平行な収納状態(図3に示す状態)とフレーム10と略直交する使用状態(図1に示す状態)との間で回動可能にフレーム10の下端に取付けられている。つまり、支持板30は、回動軸32を介してフレーム10の下端近くに取付けられている。支持板30は、図1の使用状態に回動した姿勢で図示しない固定爪によってフレーム10に固定され、フレーム10に対する回動が禁止される。
【0014】
2つの固定具41、42は、回動軸32と交差する方向に並んで互いに離間して、支持板30の上面31に取付けられている。本実施形態では、支持板30の上面31に6つの矩形ブロック33a、33b、34a、34b、35a、35bを設け、回動軸32に沿った横方向の中央の2つのブロック34a、34bの上に固定具41、42をそれぞれ取り付けた。支持板30を図3に示す収納状態に配置したとき、6つのブロックの間にフレーム10が入れ子状に配置され、支持板30の上面31がフレーム10に略接触し、中央のブロック34a、34bに取り付けた固定具41、42がフレーム10の反対側に突出する。
【0015】
また、支持板30の下面36側であって回動軸32から離間した端部近くには、支持板30の当該端部を支える脚部37が設けられている。運搬装置100は、図1に示す使用状態で、フレーム10の下端が地面に当接し且つ支持板30の脚部37が地面に当接しており、自立している。この運搬装置100を移動させる際には、ハンドル12を把持してフレーム10を斜めに傾けることで、2つの車輪20が地面に接触して、脚部37が地面から浮いて、フレーム10の下端が地面から離れる。
【0016】
或いは、支持板30の下面36側で4つの角部近くにそれぞれ車輪を設けて、運搬装置100を4つの車輪によって自立可能としてもよい。この場合、支持板30の端部を支える脚部37は不要となる。
【0017】
また、運搬装置100は、折り畳んだ自転車を収納した状態のキャリーバッグ200を図2に示すように運搬装置100に縛り付けるためのベルト50を有する。ベルト50は、図1に示すように運搬装置100のフレーム10に固設したベルト51と、図2に示すようにキャリーバッグ200の表面側に配置されるベルト52と、を含む。ベルト50は、キャリーバッグ200を運搬装置100に拘束する拘束手段として機能する。本実施形態では、ベルト50を2つのベルト51、52に分割したが、必ずしも分割する必要はなく、いかなるものであってもよい。本実施形態では、ベルト52は、長さを調節するアジャスター54を備えているため、大きさや形の異なる複数種類のキャリーバッグ200を縛り付けることができる。また、キャリーバッグ200の表面側に配置されるベルト52は、キャリーバッグ200付の運搬装置100を持ち上げる際の把持部53を有する。
【0018】
また、運搬装置100は、図3に示す収納状態に折り畳んで図4に示すように自転車300に取付けられる。このとき、フレーム10を間に挟んで支持板30の上面31側に突出した2つの固定具41、42を自転車300の前フレーム301に固定する。
【0019】
運搬装置100は、図4に示すように、自転車300を取り出した後のキャリーバッグ200’を収納する収納ネット60(収納部)、および収納ネット60の下方に設けた支え片70(支え部)を有する。収納ネット60および支え片70は、支持板30の裏面(下面36)側に取り付けられている。収納ネット60には、折り畳んだキャリーバッグ200’の他に例えばペットボトルなどを収納可能であり、支え片70は、収納ネット60に収納した物の下端を支えて落下を防止するよう機能する。
【0020】
以下、上述した運搬装置100の取り扱い方法について説明する。
図2に示す状態から折り畳み自転車300を使用可能な図4に示す状態にする場合、まず、キャリーバッグ200の表面側のベルト52をフレーム10側のベルト51と分離してキャリーバッグ200と運搬装置100を分離する。この状態を図1に示す。キャリーバッグ200に収納した自転車300は、図4に示す状態に展開して組み立てる。折り畳み自転車300の展開および折り畳み方法についての説明は省略する。言い換えると、本実施形態の運搬装置100は、タイプの異なる種々の折り畳み自転車を運搬可能であるため、特定の自転車についての説明は省略する。
【0021】
次に、運搬装置100を図1に示す使用状態から図3に示す収納状態に折り畳む。このとき、フレーム10を縮めて支持板30を収納状態に回動させる。この状態を図3に示す。すると、支持板30の上面31に設けた6つのブロック33a、33b、34a、34b、35a、35bの間にフレーム10が入れ子状に配置され、支持板30がフレーム10と略平行に配置される。
【0022】
この後、折り畳んだ状態の運搬装置100を自転車300に取り付ける。このとき、支持板30の下面36側に設けた支え片70を図4に示す状態に突出させる。支え片70は、手動により回動させる。運搬装置100を自転車300に取り付ける際には、自転車300の前フレーム301に2つの固定具41、42を固定する。このとき、2つの固定具41、42が上下に並ぶため、運搬装置100が自重によって下方に回動することがない。
【0023】
そして、最後に、自転車300を取り出した空のキャリーバッグ200’を小さく折り畳んで、支持板30の下面側に設けた収納ネット60内に収納する。この状態で、運搬装置100およびキャリーバッグ200’を自転車300に固定でき、キャリーバッグ200’や運搬装置100が運転の邪魔になることがない。
【0024】
一方、図4の状態から運搬装置100を使用状態に展開して折り畳み自転車300を運搬装置100に取り付ける場合、まず、運搬装置100の収納ネット60から空のキャリーバッグ200’を取り出して、2つの固定具41、42による固定状態を解除し、自転車300から運搬装置100を分離する。折り畳み自転車300は、折り畳んでキャリーバッグ200’内へ収納する。
【0025】
この後、運搬装置100を図3の収納状態から図1の使用状態に展開して組み立てる。このとき、支持板30をフレーム10と直交する使用状態まで回動し、図示しない固定爪によって支持板30のフレーム10に対する回動を禁止し、フレーム10を所望する流さに伸長させる。この状態を図1に示す。
【0026】
そして、折り畳んだ状態の自転車300を収納したキャリーバッグ200を運搬装置100の支持板30の上面31に載置する。このとき、キャリーバッグ200の下端を2つの固定具41、42の間に挿入して2つの固定具41、42で挟み、キャリーバッグ200の下端を位置決めする。本実施形態では、支持板30の上面31に設けた6つのブロック33a、33b、34a、34b、35a、35bの間にキャリーバッグ200の下端を挿入して位置決めする。
【0027】
最後に、運搬装置100のフレーム10に固設したベルト51とキャリーバッグ200の表面側に配置したベルト52を連結してキャリーバッグ200を運搬装置100に縛り付ける。この状態を図2に示す。
【0028】
以上のように、本実施形態によると、折り畳み自転車300を折り畳んで収納したキャリーバッグ200を運搬装置100に縛り付けて持ち運びするため、種類の異なる折り畳み自転車に兼用でき、利便性を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態によると、折り畳み自転車300を展開して組み立てて使用する際に、運搬装置100を自転車の前フレーム301に固定できるとともに、折り畳み自転車300を収納していた空のキャリーバッグ200’を運搬装置100の収納ネット60内に収納することができ、運転者が運搬装置100やキャリーバッグ200’を背負う必要がなく運転し易い。
【0030】
また、本実施形態によると、図1に示す使用状態に展開した運搬装置100に折り畳み自転車300を折り畳んで収納したキャリーバッグ200を取り付ける際に、キャリーバッグ200の下端を2つの固定具41、42の間に挟んで位置決めすることができ、キャリーバッグ200の取付作業を容易且つ確実にできる。
【0031】
さらに、本実施形態によると、キャリーバッグ200の下端を2つの固定具41、42の間に挟んで保持するため、キャリーバッグ200を運搬装置100に取付けて持ち運ぶ際にも、キャリーバッグ200の下端を安定して保持することができ、信頼性を高めることができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を超えることなく任意に変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、支持板30の上面31に複数のブロック33a、33b、34a、34b、35a、35bを取り付けて、中央の2つのブロック34a、34bの上に固定具41、42をそれぞれ取り付けた場合について説明したが、これに限らず、ブロック33a、33b、34a、34b、35a、35bを設けずに固定具41、42を支持板30の上面31に直接取り付けてもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、収納状態に折り畳んだ運搬装置100を展開した折り畳み自転車300の前フレーム301に取り付けた場合について説明したが、これに限らず、運搬装置100の取り付け位置は任意に変更することができる。
【0034】
また、上述した実施形態では、折り畳んだ状態の自転車300を収納したキャリーバッグ200をベルト50を用いて運搬装置100に縛り付ける場合について説明したが、これに限らず、支持板30に固設した2つの固定具41、42によってキャリーバッグ200の下端をしっかりと保持固定できれば、ベルト50を省略することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10…フレーム、 12…ハンドル、 20…車輪、 30…支持板、 31…上面、32…回動軸、33a、33b、34a、34b、35a、35b…ブロック、36…下面、 37…脚部、 41、42…固定具、 50、51、52…ベルト、 53…把持部、 54…アジャスター、 60…収納ネット、 70…支え片、 100…運搬装置、 200、200’…キャリーバッグ、 300…折り畳み自転車、 301…前フレーム。
【要約】
【課題】違う種類の折り畳み自転車に兼用でき、軽量・コンパクトで取扱いが容易な、折り畳み自転車用の運搬装置を提供する。
【解決手段】運搬装置100は、伸縮可能なフレーム10と、フレーム10の下端に設けた車輪20と、フレーム10の下端に回動可能に取り付けた支持板30と、支持板の回動軸32と交差する方向に並んで支持板30の上面31に設けた2つの固定具41、42と、を有する。固定具41、42は、支持板30を使用状態に配置して折り畳んだ状態の自転車300を収納したキャリーバッグ200を上面31に載せる際にキャリーバッグ200の下端を挟んで位置決めするとともに、支持板30を収納状態に配置して展開した自転車300に当該運搬装置100を取り付ける際に自転車300との間にフレーム10を挟んで支持板30を自転車300に固定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4