(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面部と、載頭錐形の凹部が前記平面部から押し出されて形成された多数の突起とを有する通気型枠シートを、下地板とラス網との間に、前記凹部の載頭部が前記下地板に向くように配設し、前記ラス網の上からモルタルを塗布し、前記下地板と前記モルタルの層との間に通風層を形成する外壁通気工法、で使用するラス網取付金具であって、
前記通気型枠シートの前記凹部の形状に沿った形状に形成され、通気型枠シートの上に配置される前記ラス網の網目を通して前記凹部に挿入される挿入部と、
前記挿入部の端部から前記ラス網の面に略沿う方向に延出し、前記挿入部が前記凹部に挿入されるときに前記ラス網を構成する線材を前記ラス網の上から押え付ける延出部と、
を備え、
前記ラス網取付金具は、前記ラス網と前記ラス網取付金具とを固定する固定手段を有しておらず、前記延出部を折り曲げることなく前記ラス網を構成する線材を前記ラス網の上から押え付ける、
ことを特徴とするラス網取付金具。
前記挿入部と前記延出部は、1本又は複数本の金属線材を折り曲げて形成されると共に、前記挿入部が前記凹部に挿入される前において、前記延出部を含む面と、前記ラス網の面とがなす角度は、0度以上30度以下となるように形成され、
前記挿入部が前記凹部に挿入されるとき、前記延出部は、前記金属線材の弾性によって、前記ラス網を構成する線材を前記ラス網の上から押え付ける、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラス網取付金具。
前記挿入部と前記延出部は、1枚又は複数枚の帯状金属板を折り曲げて形成されると共に、前記挿入部が前記凹部に挿入される前において、前記延出部を含む面と、前記ラス網の面とがなす角度は、0度以上30度以下となるように形成され、
前記挿入部が前記凹部に挿入されるとき、前記延出部は、前記帯状金属板の弾性によって、前記ラス網を構成する線材を前記ラス網の上から押え付ける、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラス網取付金具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るラス網取付金具の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
(1)モルタル外壁の構造
図1は、本発明の一実施形態に係るラス網取付金具30を使用するモルタル外壁100の構造例を示す図である。モルタル外壁100は、
図1に示すように、外壁の内側から順に、下地板10、通気型枠シート20、ラス網40、ラス網取付金具30、及びモルタル層50を備えた構造となっている。
【0014】
下地板10は、例えば、木製の合板や発泡性樹脂板である。厚みのある発泡性樹脂板を下地板10として使用すると、断熱効果を得ることができる。
【0015】
通気型枠シート20は、
図1に示すように(
図2(a)も参照)、載頭錐形の凹部22が平面部23から押し出されて形成された突起21を多数有するシートである。この通気型枠シート20は、例えばPET樹脂等で形成される。
【0016】
ラス網40は、モルタル外壁工法に使用される部材であり、金属線材等で形成される網である。ラス網40をモルタル層50の内側に設けることにより、モルタル層50の固定を容易にすると共、モルタル層50にヒビが入りにくくしている。
【0017】
ラス網取付金具30は、通気型枠シート20とラス網40とを下地板10に固定するための金具である。ラス網取付金具30の具体的な構造や作用については後述する。
【0018】
モルタル層50は、粘状のモルタルを、ラス網40の上からコテ等で塗布することのよって形成される。
【0019】
(2)通気型枠シート及びラス網
図2(a)〜(c)は、通気型枠シート20の形状例を示す図である。
図2(a)は平面図を示し、
図2(b)及び(c)はX−X’断面図及びY−Y’断面図を夫々示している。
【0020】
前述したように、通気型枠シート20は、載頭錐形の凹部22が平面部23から押し出されて形成された突起21を多数有している。突起21の高さや間隔は特に限定するものではないが、突起21の高さは、例えば、12〜20mm程度である。また、各突起21の間隔は、例えば、50〜150mm程度である。
図2(a)〜(c)では、突起21の配置パターンを碁盤目状(四角配列)としているが、これに限定するものではなく、例えば三角配列の配置パターンでもよい。
【0021】
粘状のモルタルを塗布する(コテ等で塗布する)と、粘状モルタルは、ラス網取付金具30及びのラス網40隙間を通って突起21の凹部22に充填される。凹部22に充填されたモルタルが乾燥すると、この乾燥モルタルは、モルタル層50を下地板10に対して支持する脚として機能する。突起21の数に応じた多数の脚がモルタル層50と下地板10の間に形成されることにより、モルタル層50の平面度を維持しつつモルタル層50の強度を高めることができる。
【0022】
一方、この脚と脚の間には空間が形成され、この空間が、空気が縦、横、斜めの自由な方向に流れる通気層25となる。この通気層25により、モルタル層50や下地板10の表面や内部に生じる湿気を除去することができる。
【0023】
通気型枠シート20は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、塩化ビニル、PET樹脂等のプラスチック類を用いて作製することができる。通気型枠シート20の厚み等は特に限定するものではないが、質量が200〜800g/m
2であることが好ましい。質量が200g/m
2に満たない場合には、強度が低すぎて、モルタル(或はコンクリート)を塗り付けたときに突起21の形状を維持できなくなる。一方、質量が200g/m
2を超える場合には、通気型枠シート20自体が重過ぎ、運搬作業や取付作業が不便となるほか、下地板10へ固定する際に下方にずり落ちる原因となる。
【0024】
図2(d)は、ラス網40の構造例を示す図である。
図2(d)に示すように、ラス網40は、横方向の複数の金属線材41と、縦方向の複数の金属線材42とで、碁盤目状の網を構成している。横方向の複数の金属線材41と、縦方向の複数の金属線材42とは、互いに交差する位置で、例えば、スポット溶接等によって接合される。
【0025】
ラス網40の網目の形状は、例えば、略正方形となるように形成される。ここで、網目とは、横方向の金属線材41と縦方向の金属線材42とで囲まれる個々の隙間のことを言う。網目の形状が正方形の場合、横方向の金属線材41の間隔Dxと、縦方向の金属線材42の間隔Dyは等しくなり(Dx=Dy)、各網目の縦横の寸法もDx(=Dy)となる。
【0026】
網目の間隔及び寸法は、通気型枠シート20の凹部22の間隔及び寸法に基づいて決定される。具体的には、ラス網40を通気型枠シート20に重ねたとき、通気型枠シート20の夫々の凹部の中心が、ラス網40の夫々の網目の中心と合致し、かつ、夫々の凹部の径がラス網40の網目の縦横の寸法よりも若干小さくなるように、網目の間隔及び寸法が決定される。
【0027】
図3(a)及び
図3(b)は、ラス網40を通気型枠シート20の上に重ねて、その上から見た図である。
図3(a)は、通気型枠シート20の凹部22が四角配列の場合の例である。この場合、通気型枠シート20の夫々の凹部22とラス網40の夫々の網目とは、1対1に対応する。一方、
図3(b)は、通気型枠シート20の凹部22が三角配列の場合の例である。この場合、通気型枠シート20の夫々の凹部22が、ラス網40の夫々の網目の1つ置きに配置されることになる。
【0028】
図3(a)及び(b)に示すように、通気型枠シート20の凹部22の配列が四角配列或いは三角配列のいずれの配列であっても、全ての凹部22の中心と網目の中心とは一致している。このため、ラス網を構成する金属線材41、42と通気型枠シート20の凹部22とが互いに干渉することが無い。この結果、後述するように、本発明に係る外壁施工方法では、通気型枠シート20に上にラス網40を重ね、ラス網40の上から、その網目を通して、ラス網取付金具30を通気型枠シート20の凹部22に挿入することが可能となる。
【0029】
これに対して、従来から用いられているラス網の多くは、通気型枠シート20の凹部22の配列を考慮することなく製作されている。このため、通気型枠シート20とラス網を重ねたとき、ラス網の網目の中心位置と通気型枠シート20の凹部の中心位置とは必ずしも一致していなかった。また、ラス網の金属線材と通気型枠シート20の凹部22とが互いに干渉する領域が存在していた。このため、従来の外壁施工方法では、特許文献1、2の
図1、
図2に記載されるように、通気型枠シート20の凹部にラス網取付金具を先に挿入し、その後、ラス網取付金具の上からラス網を取り付けるという工法にせざるを得なかった。
【0030】
(3)ラス網取付金具
図4(a)〜
図4(c)は、本発明に係るラス網取付金具30の外観例を示す斜示図である。
【0031】
図4に示すように、ラス網取付金具30は、挿入部31と延出部32、33とを有している。挿入部31と延出部32、33は、例えば、1本の金属線材を折り曲げて形成される。
【0032】
挿入部31は、通気型枠シート20の凹部22の側方断面の形状に概ね沿った形状に形成される。ラス網取付金具30のうちの挿入部31の部分は、通気型枠シート20の上に配置されたラス網40の網目を通して、通気型枠シート20の凹部22に挿入される。
【0033】
延出部32、33は、挿入部31の夫々の上端部から、ラス網40の面に略沿う方向に延出する。延出部32、33は、ラス網取付金具30の挿入部31が通気型枠シート20の凹部22に挿入されるとき、ラス網40を構成する金属線材41及び42の少なくとも一方を、ラス網40の上から押え付ける。
【0034】
ラス網取付金具30の挿入部31の底部には、
図4(b)に示す座金(ワッシャー)34が、例えば、スポット溶接によって接合される。
図4(c)は、座金34が接合されたラス網取付金具30の外観斜示図である。
【0035】
図5(a)及び(b)は、ラス網取付金具30の構造例を示す正面図及び平面図である。
図5(a)に示すように、ラス網取付金具30は、その挿入部31が通気型枠シート20の凹部22に挿入される前において、延出部32、33を含む面が、ラス網40の面と並行ではなく所定の下げ角θをもつように折り曲げられている。つまり、延出部32、33が、ラス網40と並行な面から、所定の下げ角θだけ下方に折り曲げられている。下げ角θの範囲は、例えば、0度以上30度以下である。
【0036】
なお、特許文献1〜3に開示される従来のラス網取付金具には、ラス網取付金具とラス網とを互いに固定するための固定手段(例えば、引用文献1、2の
図4に示されるフック部や、引用文献3の
図3等に示されるワイヤラス交点接合部)が設けられている。これに対して、本発明に係るラス網取付金具30には、ラス網取付金具30とラス網40とを互いに固定する固定手段が設けられていない点に特徴がある。
【0037】
図6及び
図7は、ラス網取付金具30を用いて、通気型枠シート20及びラス網40を、下地板10に固定する方法を示す図である。
【0038】
図6に示すネジ60は、ラス網取付金具30、通気型枠シート20及びラス網40を、下地板10に固定するためのネジであり、ラス網取付金具30の座金34を貫通する。
【0039】
図7(a)は、ラス網取付金具30を取り付ける前の状態を示す側面図である。ラス網取付金具30の取り付け前に、下地板10の上に通気型枠シート20を載置し、さらにその上からラス網40を載置する。
【0040】
図7(b)は、ラス網取付金具30によって、通気型枠シート20とラス網40を下地板10に取り付けた後の状態を示す図である。ラス網取付金具30の挿入部31を、ラス網40の網目を通して、通気型枠シート20の凹部22に挿入する。その後、ネジ60を、座金34を通して、通気型枠シート20の凹部22を貫通させて下地板10にねじ込む。ネジ60のねじ込みによって、ラス網取付金具30の延出部32、33は、ラス網40を構成する金属線材を上から押さえ付け、ネジ60だけで、通気型枠シート20とラス網40の双方を下地板10に固定することができる。
【0041】
また、ラス網取付金具30の延出部32、33は、下げ角θをもってラス網40に当接した後、ネジ60のねじ込みによって上側に押し上げられ、ねじ込み後は延出部32、33の面とラス網40の面とはほぼ平行になる。このとき、下げ角θに起因する、ラス網取付金具30の金属線材の弾性によって、ラス網40に対して下地板方向の押しつけ力Fが働き、ラス網40と通気型枠シート20を、より安定かつ強固に下地板10に固定することができる。
【0042】
図8は、複数のラス網取付金具30によって、通気型枠シート20とラス網40とを下地板10に固定した状態を例示する図である。
図8に示したように、ラス網取付金具30は、通気型枠シート20の凹部22の全てに挿入、固定する必要はなく、所定の間隔で間引きして挿入してよい。
図8の例では、縦横共に、2つずつ空けた間隔でラス網取付金具30を挿入し、固定している。
【0043】
図9は、ラス網取付金具の他の実施形態を示す図である。
図9(a)に示すラス網取付金具30aは、2本の金属線材を折り曲げて構成される。具体的には、
図4(a)に示した形状のラス網取付金具30を2つ製作し、これら2つのラス網取付金具30を、夫々の挿入部31の底部で互いに直交させて接合する。この接合は、例えば、スポット溶接で行われる。そして、接合部の上にさらに座金34を、同じくスポット溶接を用いて接合する。
図9(a)に示すラス網取付金具30aは、4方向に延びる4つの延出部32、32、33、33を有し、これらの中央に、挿入部31が配置されることになる。
【0044】
図9(b)に示すラス網取付金具30bは、1枚の帯状金属板を4カ所折り曲げて形成されるものである。折り曲げた金属板の両端が延出部32、33に相当し、中央の窪んだ部分が、挿入部31に相当する。
【0045】
なお、
図9(b)に示した折り曲げ後の帯状金属板を2枚用意し、これらを、各中央の窪んだ部分で互いに直交するように接合してもよい。
【0046】
図10も、ラス網取付金具の他の実施形態を示す図である。
図10に示すラス網取付金具30cは、
図4に示すラス網取付金具30と同様に、1本の金属線材を折り曲げて構成される。但し、前述したラス網取付金具30、30a、30bは、ネジ60を用いて通気型枠シート20及びラス網40を、下地板10に固定するタイプであるのに対して、
図10に示すラス網取付金具30cは、ステープル70を用いて通気型枠シート20及びラス網40を、下地板10に固定するタイプとなっている。
【0047】
したがって、
図10に示すラス網取付金具30cは、挿入部31の底部に座金34を有していない。一方、使用するステープル70の規格にも依るが、ラス網取付金具30cの平行する線材の間隔は、ステープル70の幅よりも小さくなるように設定されている。なお、ステープル70は、U字型の釘であり、汎用品として広く流通しているものである。
【0048】
図11は、ラス網取付金具30cとステープル70を用いて、通気型枠シート20及びラス網40を、下地板10に固定する方法を示す図である。ステープル70を、ラス網取付金具30cの平行する線材を跨いで、例えば、汎用のステープルタッカ等の工具を用いて下地板10側に打ち込むことにより、通気型枠シート20及びラス網40を下地板10に容易に固定することができる。
【0049】
なお、ラス網取付金具30cの金属線材の弾性によって、ラス網40に対して下地板方向の押しつけ力Fが働き、ラス網40と通気型枠シート20を、より安定かつ強固に下地板10に固定することができるという効果は、前述した各実施形態のラス網取付金具30、30a、30bと同様である。
【0050】
上述したように、本発明の各実施形態のラス網取付金具30、30a、30b、及び30cは、金属線材や、帯状金属板を単純に折り曲げるだけで形成できるため、加工に要する時間が少なくて済み、材料コストのみならず、加工コストも低減することができる。
【0051】
また、ラス網取付金具30、30a、30b、30cとラス網40とを互いに固定するフック部等の固定手段を有していない。このことも、ラス網取付金具30の形状のシンプル化、及びコスト低減に多きく寄与している。
【0052】
(4)ラス網取付金具を用いた外壁施工方法
図12は、上述したラス網取付金具30を用いた外壁施工方法の手順を示すフローチャートである。また、
図13は、同じくラス網取付金具30を用いた外壁施工方法の説明図である。
【0053】
以下、
図12及び
図13を用いて、本発明の外壁施工方法を説明する。なお、ラス網取付金具30a、30b、30cについても、同様の外壁施工方法となるが、以下ではラス網取付金具30を例に挙げて説明する。
【0054】
まず、
図12のステップST100において、下地板10の上に、通気型枠シート20を載置し、さらにその上からラス網40を載置する(
図13(a)参照)。
【0055】
次に、ステップST200で、ラス網40の上から、ラス網40の網目を通して、ラス網取付金具30の挿入部31を通気型枠シート20の凹部22に挿入する(
図13(b)参照)。
【0056】
さらに、ステップST300で、ラス網取付金具30の挿入部22の底部を、ネジ60により、通気型枠シート20の凹部22を貫通して下地板10に固定する。このネジ固定により、ラス網40の金属線材がラス網取付金具30の延出部32、33によって下地板方向に抑え付けられ、通気型枠シート20とラス網40とが下地板10に固定される。
【0057】
1つのラス網取付金具30の固定が終わると、次のラス網取付金具30を、所定の間隔で固定する。この作業を、ラス網40全体の取り付けが完了するまで繰り返す(ステップST400、
図13(c))。
【0058】
このようにして、下地板10全体に対して、通気型枠シート20とラス網40の固定作業が行われる。その後、ラス網40の上から、モルタルを塗布する(ステップST500)ことにより(
図13(d))、外壁施工が完了する。
【0059】
上述した外壁施工方法の作業工程を、特許文献1、2に記載されている従来の作業工程と比較してみる。
【0060】
従来の作業工程では、特許文献1、2の
図2に示されるように、下地板の上に通気型枠シート20を載置した後、ラス網取付金具を通気型枠シートの凹部に挿入して、ラス網取付金具を、ステープルやネジによって下地板に固定していた。そして、全てのラス網取付金具を固定した後、ラス網取付金具の上からラス網を覆う。その後、ラス網取付金具のフック部を折り曲げて、ラス網をラス網取付金具に固定していた。フック部を折り曲げてラス網取付金具とラス網とを固定する作業は手作業であり、また、この作業は、全てのラス網取付金具に対して行う必要がある。このため、ラス網取付金具とラス網との固定作業に多くの時間を要していた。
【0061】
これに対して、本発明の外壁施工方法では、ラス網取付金具30により、通気型枠シート20とラス網40とを、ネジ60のみで一括して固定する方法としている。このため、ラス網取付金具のフック部を折り曲げてラス網40に固定するという、従来の工程が不要となり、現場での作業工程が従来に比べて大幅に短縮されることになる。
【0062】
一方、特許文献3が開示する外壁施工方法は、ラス網取付金具とラス網との固定作業を、工場等で予め行っておき、現場での作業工程を短縮するものである。しかしながら、特許文献3が開示する外壁施工方法は、ラス網取付金具とラス網との固定作業の場所を、現場から工場等に移したに過ぎず、ラス網取付金具とラス網との固定作業自体は依然として必要である。
【0063】
これに対して、本発明の外壁施工方法では、ラス網取付金具とラス網との固定作業自体を不要とするものであり、工場と現場をスルーして見たときの全体の作業工程が大幅に短縮される。
【0064】
以上説明してきたように、本発明に係るラス網取付金具、及びラス網取付金具を用いた外壁施工方法によれば、外壁施工に必要な部材の作成工程と現場での作業工程とを含めた全体工程を短縮することができる。この結果、外壁施工全体のコストを低減することができる。
【0065】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【解決手段】本発明に係るラス網取付金具は、通気型枠シートを、下地板とラス網との間に配設し、前記ラス網の上からモルタルを塗布し、前記下地板と前記モルタルの層との間に通風層を形成する外壁通気工法、で使用するラス網取付金具であって、前記通気型枠シートの凹部の形状に沿った形状に形成され、通気型枠シートの上に配置される前記ラス網の網目を通して前記凹部に挿入される挿入部と、前記挿入部の端部から前記ラス網の面に略沿う方向に延出し、前記挿入部が前記凹部に挿入されるときに前記ラス網を構成する線材を前記ラス網の上から押え付ける延出部と、を備え、前記延出部は、前記ラス網と前記延出部とを互いに固定する固定手段を有しない、ことを特徴とする。