特許第6101868号(P6101868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6101868電気自動車またはハイブリッド車用の電力分配器およびこうした電力分配器用の分配器ハウジング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101868
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】電気自動車またはハイブリッド車用の電力分配器およびこうした電力分配器用の分配器ハウジング
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/00 20060101AFI20170313BHJP
   H01R 13/6592 20110101ALI20170313BHJP
【FI】
   H01R4/00 A
   H01R13/6592
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-526586(P2016-526586)
(86)(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公表番号】特表2016-525773(P2016-525773A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2014065172
(87)【国際公開番号】WO2015007744
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年3月15日
(31)【優先権主張番号】102013011874.3
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516017178
【氏名又は名称】レオニ ボルトネッツ−ジステーメ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ケット
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ハウシルト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン デーン
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−199644(JP,A)
【文献】 実開昭60−067681(JP,U)
【文献】 特開2000−294344(JP,A)
【文献】 特開2002−344190(JP,A)
【文献】 特開2002−010469(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0214049(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00
H01R 13/40〜13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ駆動システムを備えた電気自動車またはハイブリッド車用の電力分配器(2)であって、少なくとも1つの入力電源ライン(22A)が少なくとも2つの出力電源ライン(22B)に接続される接続空間(18)を備えた分配器ハウジング(4)を具備し、前記電源ライン(22A、22B)が、各々、ハウジング貫通ソケット(10A、10B)を介して前記接続空間(18)内に導入され、前記分配器ハウジング(4)が、導電性材料の2つのシェル(6A、6B)から作製された前記接続空間(18)を包囲する内側ハウジング(6)と、前記内側ハウジング(6)がシェルのように内部に位置する、絶縁材料の外側ハウジング(8)との2部品であり、前記電源ライン(22A、22B)の任意の遮蔽体が、各々、前記内側ハウジング(6)に導電的に接続されている、電力分配器(2)において、前記遮蔽体(28)が、前記内側ハウジング(6)に電気的に接続される遮蔽スリーブサブアセンブリ(42)と電気的に接触し、前記遮蔽スリーブサブアセンブリ(42)が、スリーブ(50)として形成された締付要素とともに下部スリーブ(44)を有し、前記遮蔽体(28)が、前記下部スリーブ(44)と前記締付要素との間で締め付けられ、前記内側ハウジングが、各々、前記遮蔽スリーブサブアセンブリ(42)が締め付けられる前記それぞれのハウジング貫通ソケット(10A、10B)を形成する接続部分を有し、前記スリーブ(44、50)のうちの少なくとも1つが、前記軸方向に作用する前記内側ハウジング(6)との形状適合を形成し、前記遮蔽スリーブサブアセンブリ(42)が、前記それぞれのハウジング貫通ソケット(10A、10B)において前記軸方向に固定され、これにより、両端において放射状に広がって、両方向に作用する形状適合を形成することを特徴とする電力分配器(2)
【請求項2】
前記内側ハウジング(6)が板金ハウジングである、請求項1に記載の電力分配器(2)。
【請求項3】
前記ハウジング貫通ソケット(10A、10B)を除いて、前記内側ハウジング(6)が完全に閉鎖されている、請求項1または2に記載の電力分配器(2)。
【請求項4】
前記外側ハウジング(8)が、前記内側ハウジング(6)にオーバモールドすることにより、または別個の半体シェル(8A、8B)により形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項5】
前記外側ハウジング(8)および前記内側ハウジング(6)が各々、周回縁(14)を備えた2つの半体シェル(6A、6B、8A、8B)から構成されており、前記内側ハウジング(6)の前記縁が、好ましくは、前記外側ハウジング(8)の前記半体シェル(8A、8B)の間に位置する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項6】
それぞれの電源ライン(22A、22B)が、封止スリーブ(32)に挿入された封止要素(34)により、前記それぞれのハウジング貫通ソケット(10A、10B)を通して誘導される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項7】
前記封止スリーブ(32)がポット状に形成されている、請求項6に記載の電力分配器(2)。
【請求項8】
前記遮蔽スリーブサブアセンブリ(42)が、前記それぞれのハウジング貫通ソケット(10A、10B)において締め付けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項9】
前記スリーブが、圧着スリーブ(50)として形成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項10】
前記遮蔽スリーブサブアセンブリ(42)が、前記封止スリーブ(32)のスリーブ底部(38)の方向において前記封止要素(34)を密閉する放射状ウェブ(46)を有する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項11】
前記封止要素(34)が、前記スリーブ底部(38)と前記放射状ウェブ(46)との間に圧入される、請求項10に記載の電力分配器(2)。
【請求項12】
前記下部スリーブ(44)が、スリーブシャフト(48)とともに前記放射状ウェブ(46)を有し、それにより、前記下部スリーブ(44)が、前記電源ライン(22A、22B)のジャケットと前記締付要素との間に挿入される、請求項11に記載の電力分配器(2)。
【請求項13】
前記締付要素が、両端において広がった縁を有し、接続部分の形状の前記それぞれのハウジング貫通ソケット(10A、10B)が、これらの縁の間に位置する、請求項11または12に記載の電力分配器(2)。
【請求項14】
絶縁要素(54)、特に多部品絶縁要素(54)が、前記入力電源ライン(22A)が前記出力電源ライン(22B)に接続される前記接続空間(18)内に挿入されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電力分配器(2)。
【請求項15】
前記絶縁要素(54)が、前記絶縁要素(54)が前記内側ハウジング(6)内で形状適合により固定されるように、前記内側ハウジング(6)の少なくとも一部に対して相補的な形状である別個の成形要素として形成されている、請求項14に記載の電力分配器(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車またはハイブリッド車用の電力分配器とともに、こうした電力分配器用の分配器ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータ駆動システムを備えた電気自動車またはハイブリッド車では、駆動モータを含むいくつかの構成要素に高電圧が供給される。高電圧とは、本明細書では、たとえば、通常300Vから600Vの範囲である数100ボルトの電圧値を意味する。
【0003】
したがって、こうした自動車では、いくつかの異なる電圧消費体を、車載電流・電圧供給源、通常は蓄電池に、または発電機にも、対応する高電圧電源ラインによって接続する必要がある。接続されている構成要素が電流源または電圧源から遠くに離れている場合、電源ラインのために長い経路が必要である。高電圧およびそれらによって搬送される対応して高い電力のために、これらは、相対的にコストがかかり、重量があり、かつ相当の設置空間が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、本発明が解決を提案する問題は、こうした電気自動車またはハイブリッド車においてこうした高電圧電源ラインに対して可能な限り低い配線費用を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、本発明において請求されるように、好ましくは、電気モータ駆動システムを備えた電気自動車またはハイブリッド車に設置されるように設計された、高電圧電力分配器によって解決される。この場合、電力分配器は、接続空間を備えた分配器ハウジングを有し、接続空間内では、少なくとも1つの入力電源ラインが少なくとも2つの出力電源ラインに接続される。電源ラインは各々、ハウジング貫通ソケットを介して接続空間内に導入される。
【0006】
最も単純な場合、したがって、電力分配器は、入力電源ラインを2つの出力電源ラインに接続する、たとえばY型またはさらにはT型分配器のように構成されている。より多くの入力電源ラインおよび出力電源ラインを備えた代替構成も同様に可能である。本質的に、蓄電池の正の基準電位等、1つの電位または1つの導体のみが、電力分配器内に導入され、出力電源ライン間で分配される必要がある。特に自動車では、負の基準電位への接続は、異なる接地接続によって達成されることが多い。しかしながら、別法として、たとえば、電力分配器における出力電源ラインの間の正の基準電位および負の基準電位それぞれに対して、2つの入力絶縁高電圧導体を分配する可能性がある。
【0007】
したがって、この電力分配器、特にY型電力分配器のように形成されたものにより、分散化して高電圧電力を分配し、したがって異なる構成要素に供給する可能性がある。このために、たとえば、1つの高電圧電源ラインのみが、車両の後部領域から前部領域まで誘導される必要があり、その後、そこで、電源ラインがさまざまな構成要素に接続するために電力分配器により2つの追加の電源ラインに分割される。したがって、自動車全体を通して二重経路は不要である。
【0008】
基本的に、電力分配器を3つ以上の電源ラインに分割するように設計する可能性もある。基本原理は同じままである。
【0009】
高電圧のために、車載電子回路網における干渉を回避するために、高電圧電源ラインに遮蔽体が設けられている。単純な設計と、同時に入力電源ラインおよび出力電源ラインの接続領域においてさえも頑強な遮蔽とを確保するために、本発明においてさらに請求されるように、分配器ハウジングは、2部品であり、互いに接合される導電性材料の2つのシェルから作製されている、自己支持型でありかつ接続空間を包囲する、シェル型内側ハウジングを備えており、それにより、入力電源ラインと出力電源ラインとの間の接続場所がEMCシールドされる。さらに、分配器ハウジングは、絶縁材料の外側ハウジングを有している。これは、特に環境から封止され、それにより、個々の電源ラインの導体端部がそれらの相互接続部にさらされる接続空間内に、湿気が浸透することができない。外側ハウジングは、シェルのような内側ハウジングをさらに含む。したがって、内側ハウジングは、好ましくは、その外壁が外側ハウジングの内壁に直接接するように位置している。2つのハウジングの輪郭および隆起は互いに適合されている。したがって、外側ハウジングは、好ましくは、内側ハウジングにぴったりと適合し、それを完全に密閉する。これは、環境に対する確実な封止を達成する。したがって、2つのハウジングは、一方が他方の中にシェルのように位置する。外側ハウジングを介する封止により、接続空間はまた、封止の目的でケースに入れられる必要はない。したがって、接続空間は、自由な空気充填内部空間である。
【0010】
電源ラインの任意の遮蔽体が、さらに、内側ハウジングに常に導電的に接続されている。したがって、遮蔽体は、中断なしに内側ハウジングを横切って連続的に合わせて接続されている。導電性内側ハウジングにより、電源ラインの接続領域は、確実に電気的に遮蔽される。分配器ハウジングの2部品設計により、電気的遮蔽と環境からの封止との2つの機能が互いに分離され、それにより、2つのハウジングを特にそれらの特定の機能に関して各々設計することができるという特別な利点がすでに達成される。ここで、内側ハウジングとは、接続空間の完全な電磁遮蔽を達成する接続空間のあらゆる容器および境界(bounding off)を意味する。
【0011】
可能な最も頑強かつ単純な構成に関して、内側ハウジングは、連続壁が設けられた、中実のハウジング、特に板金ハウジングである。内側ハウジングは、したがって、自己支持型であり、したがって、全体として分配器ハウジングの機械的安定性を確保し、または少なくともこれに著しく寄与する。好ましくは、内側ハウジングは、曲げられた板金部品、打抜き加工され曲げられた板金部品、または深絞り加工部品であり、それにより、単純かつ経済的な製造も確実になる。中実設計の代りに、その重量を低減させるために、内側ハウジングに開口部もまた設けられるか、または内側ハウジングが完全に格子のように設計され、それでもなお当然ながら剛性があり自己支持型である。
【0012】
接続空間へのハウジング貫通ソケットを除き、内側ハウジングは、意図的に完全に閉鎖されている。これは、優れたEMCシールドを達成する。
【0013】
第1の好ましい変形実施形態において請求されるように、外側ハウジングはオーバモールドプロセスによって形成される。オーバモールドとは、後に硬化する、最初は少なくとも粘性の変形可能化合物における内側ハウジングの任意の埋込みを意味する。したがって、「オーバモールド」は、特に改鋳を含む。したがって、内側ハウジングは、外側ハウジングを画定する射出成形または鋳造部品に埋め込まれる。したがって、内側ハウジングは、外側ハウジングに対するネガ型であるかのように形成される。
【0014】
1つの代替構成において請求されるように、外側ハウジングは、内側ハウジングの周囲に配置される、別個に製造され相互接続されたシェル部分の別個のかつ独立した部品として形成される。
【0015】
単純な設計のアセンブリに関して、外側ハウジングおよび/または内側ハウジングは、好ましくは、各々、2つの半体シェルから構成され、したがって、半体シェルは、半円筒(vaulted)構造を形成し、それらの間に接続空間を密閉する。半体シェルは、特に内側ハウジングの下部シェルおよび上部シェルが同一であるように、好ましくは同一部品である。
【0016】
オーバモールドされた変形の場合もまた、内側ハウジングは2つの半体シェルから構成されている。意図的に、半体シェルは、周回(encircling)縁があるように構成され、内側ハウジングの縁は、好ましくは、外側ハウジングの半体シェルの間に、特に外側ハウジングのそれぞれの縁の間に位置するか、またはオーバモールドされた変形において鋳造材料によって密閉される。これは、内側ハウジングの確実な固定とともに単純なアセンブリも達成する。外側ハウジングは、好ましくは、固有に剛性のプラスチックハウジングであり、これも同様に自己支持型である。
【0017】
接続空間への個々の電源ラインの緊密な導入を確実にするために、これらは、好ましくは、封止され、それぞれのハウジング貫通ソケットを通して誘導される。意図的に、このために、封止要素が、ハウジング貫通ソケット内に、特に分配器ハウジングの半体シェルの間に配置される。
【0018】
直接封止の代りに、1つの好ましい変形では、間接的な封止が構成され、そこでは、封止要素が挿入されている封止スリーブが提供される。ここでは、電源ラインは、封止要素を通して誘導されかつ封止要素によって封止される。封止スリーブは、さらに、ハウジング貫通ソケットの内壁に対する封止を確保する。このように、分離された封止は、したがって、封止スリーブおよび封止要素の2つの別個の部品により、一方では、それぞれの電源ラインの外側周辺部から、他方では、それぞれのハウジング貫通ソケットの内壁から達成される。したがって、材料選択、寸法等は、特定の材料、特に、一方では電源ラインのケーブルジャケット、他方ではハウジング貫通ソケットの金属に最適に適合させることができる。したがって、封止スリーブおよび封止要素は、好ましくは、異なる材料からも作成される。
【0019】
意図的に、封止スリーブは、全体として、環状スリーブ底部およびスリーブ覆い(envelope)を備えた幾分かポット形状であるように形成される。封止要素は、スリーブ覆いによって覆われる空間内に位置する。さらに、環状覆いは、好ましくは、環状スリーブ底部に隣接し、ケーブルジャケットと当接しかつケーブルジャケットをその円周に沿って封止する。したがって、断面で見た段状構成は、電源ラインおよびハウジング貫通ソケット両方から封止スリーブによってすでに封止を達成する。同時に、封止要素に対して受入空間が生成される。
【0020】
内側ハウジングとの遮蔽体の確実な電気的接触に関して、遮蔽体は、まず、遮蔽スリーブサブアセンブリと接触し、遮蔽スリーブサブアセンブリは、さらに、内側ハウジングに電気的に接続される。したがって、遮蔽スリーブサブアセンブリは、一方では、それぞれの電源ラインの遮蔽に対して安全かつ確実な電気的接続を確保し、他方ではかつ同時に、所望の連続遮蔽を確実にするために、内側ハウジングへの確実な電気的接続を確保する。
【0021】
意図的に、遮蔽スリーブサブアセンブリは、それぞれのハウジング貫通ソケットに、特に締め付けることによって配置される。遮蔽スリーブサブアセンブリは、特に、封止要素の接続空間に面している側に形成される。内側ハウジングのハウジングシェルの間の締付により、信頼性の高い電気的接続が確実になる。特に、遮蔽スリーブサブアセンブリはまた、幾分か変形する。好ましくは、遮蔽スリーブサブアセンブリは、この目的で接触ばねを有し、それは、内側ハウジングに対してばね状に押圧される。
【0022】
遮蔽スリーブサブアセンブリの領域において、内側ハウジングは、ケーブルが誘導されるそれぞれの接続部分を有している。接続部分の設計により、遮蔽スリーブサブアセンブリの部分的な半径方向の締付が確実になる。
【0023】
意図的に、遮蔽スリーブサブアセンブリは、締付要素、特に圧着要素として形成される締付要素とともに、下部スリーブを備え、遮蔽体は、下部スリーブと締付要素のとの間で締め付けられる。したがって、締付要素は、さらにスリーブとして形成される。下部スリーブは、好ましくは、ジャケットと遮蔽体の裏返された部分領域との間に配置される。そして、遮蔽体自体は、下部スリーブと締付要素との間で直接締め付けられる。
【0024】
この代りに、シールドの接触のために、かつ外側でジャケットに締付要素を締め付けるために、遮蔽体の下で端面における下部スリーブを電源ライン内に挿入する可能性もある。下部スリーブは、概して、締付要素に対する受面を提供する。
【0025】
それぞれのハウジング貫通ソケットにおける遮蔽スリーブサブアセンブリの締付構成により、サブアセンブリは、少なくともわずかにしか変形しない。
【0026】
さらに、遮蔽スリーブサブアセンブリは、好ましくは、封止スリーブのスリーブ底部の方向に封止要素を密閉する、周回する環状放射状ウェブを備えている。この放射状ウェブは、たとえば、封止要素を介して確実な封止が達成されるように、封止要素を環状スリーブ底部に対して押圧する。
【0027】
好ましくは、放射状ウェブは、スリーブシャフトが隣接する、下部スリーブの一部であり、それにより、下部スリーブは、電源ラインのケーブルジャケットと締付要素との間に挿入される。このように、特に確実かつ有効なシールド接触が達成される。
【0028】
意図的に、遮蔽スリーブサブアセンブリは、軸方向に固定して、かつ好ましくはそれぞれのハウジング貫通ソケットにおいて形状適合(form fit)して保持される。軸方向とは、本明細書では、挿入方向、すなわち、ハウジング貫通ソケットの長手方向を意味する。形状適合固定は、本明細書では、内側ハウジングと2つのスリーブのうちの少なくとも一方、好ましくは圧着スリーブとの間で達成される。このために、スリーブは、好ましくは一方向において作用する形状適合のために少なくとも一端において、好ましくは両方向において作用する形状適合のために両端において、放射状に広がるかまたはフレア状になっている。フレア状縁は、軸方向において、両方向に作用する形状適合を形成するように接続部分の形状でハウジング貫通ソケットの内縁面とともに外縁面を越えて突出する。
【0029】
望ましい変更形態では、絶縁要素が、ハウジングの接続空間内に挿入され、特に、別個の独立した構造部品として形成されている。これは、特に射出成形部品である。この絶縁要素は、入力電源ラインと出力電源ラインとの間の接続場所を密閉する。
【0030】
絶縁要素は、好ましくは、いくつかの部分、たとえば基体および閉鎖部品から構成され、それにより、絶縁要素が開放されたとき、電源ラインが容易に挿入され、その後、閉鎖部品を適所に押し込むことにより、電源ラインを絶縁要素内に確実に封入することができる。絶縁要素の2つの部品は、たとえばスナップ接続により合わせて接合される。
【0031】
意図的に、絶縁要素は、内側ハウジングの少なくとも一部に対して相補的な形状を有するような全体構成を有している。形状は、絶縁要素が全体として内側ハウジングに形状適合によって挿入され、この形状適合により、少なくとも一方向、好ましくは全方向において固定されるように、選択される。
【0032】
特に、内側ハウジングは、この目的で、部分領域に隆起または窪みを有し、相補的に、絶縁要素は窪みまたは隆起を有している。意図的に、絶縁要素は、ラインの長手方向およびそれに対して垂直な方向両方において内側ハウジングの2つのシェル部分によって、形状適合によって保持される。このように、全体として、絶縁要素は、定義された位置において固定して取り付けられる。絶縁要素により、2つの電源ラインの間の接続および接触場所が保護され、特に、それらは、確実に互いに対して分離されかつ絶縁される。同様の導電性内側ハウジングからの絶縁分離はまた、このように確実に達成される。
【0033】
上述した問題は、本発明によって請求されるように、請求項13の特徴を備えたこうした電力分配器用の分配器ハウジングによってさらに解決される。電力分配器に関して示される利点および好ましい実施形態もまた、それに従って分配器ハウジング自体にも適用される。
【0034】
実例としての実施形態について、図によって以下より詳細に説明するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】断面図での高電圧電力分配器の斜視図である。
図2】上部ハウジングシェルが取り除かれている、図1による電力分配器の正面図である。
図3】電力分配器の分配器ハウジングの外側ハウジングの組立分解斜視図である。
図4】電源ラインが挿入されているハウジング貫通ソケットの領域における断面図の拡大した特徴部分である。
図5】遮蔽スリーブサブアセンブリが端部に配置されている電源ラインの断面図の特徴部分である。
図6】ハウジングが開放されている第2変形による電力分配器の斜視図である。
図7図6において請求されるような電力分配器の絶縁要素が設置されているハウジングの一部である。
図8】第2変形において説明されているようなハウジング貫通ソケットの領域における断面図の特徴部分である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図において、同一の作用の部分には同じ参照番号が与えられている。
【0037】
図1および図2に示す高電圧電力分配器2は、分配器ハウジング4を備えており、分配器ハウジング4は、内側ハウジング6とともに、内側ハウジング6をシェルのように封入する外側ハウジング8を有している。2つのハウジング6、8自体さらに、2つの半体シェルによってそれぞれ、すなわち、上部シェル6A、8Aおよび下部シェル6B、8Bによって形成されている。内側ハウジング6の2つの半体シェル6A、6Bは、曲げられた板金部品として形成され、合わせて、ハウジング貫通ソケット10A、10Bにおいてのみ開放されている完全に密閉された金属内側ハウジング6を形成している。内側ハウジング6は、外側ハウジング8によって完全に密閉されており、外側ハウジング8は内側ハウジング6の輪郭に従い、したがって、内側ハウジング6に対して実質的にぴったりと嵌まる。外側ハウジング8は、非導電性材料、特にプラスチックから作製されている。半体シェル8A、8Bは、特に、射出成形部品として作製されている。外側ハウジングの絶縁特性により、外部環境に対する内側ハウジング6の絶縁もまた確実になり、それにより、たとえば、感電死に対する保護に関する、対応する安全要件もまた観察される。
【0038】
実例としての実施形態では、電力分配器2は、全体として、Y型分配器のように形成されている。基本的に、T型またはくし形等、他の分配器形状も可能である。電力分配器2は、その一方の端面に入力ハウジング貫通ソケット10Aと、反対側の端面に2つの出力ハウジング貫通ソケット10Bとを有している。少なくとも外側ハウジング8は、ハウジング貫通ソケット10A、10Bの領域に貫通接続部分を形成している。
【0039】
半体シェル6A、6Bおよび8A、8Bは、各々、水平の分離面に延在している周回縁14を有している。上部シェル6Aは、その縁14が内側ハウジング6の下部シェル6Bの対応する縁14の全面にあるように位置している。外側ハウジング8の縁14は、いわば、それらの間に内側ハウジング6のこの縁領域をはさみ付ける。ハウジングシェル6A、6B、8A、8Bは、好適な締結手段によって合わせて締結されている。実例としての実施形態では、これは、ねじ締結によって行われる。このために、外側ハウジング8はねじボス16を有しており、その中に、締結ねじが取付状態で挿入される。
【0040】
特に図1に示すように、縁14は、その周囲に封止縁15を有し、それは、内側ハウジング6の縁14を越えて突出し、それにより、内側ハウジング6は全体的に完全に密閉されている。外側ハウジング8の2つの半体シェル8A、8Bは、それらの封止縁15が互いに接して封止するように位置している。必要な場合は、封止縁15の間に追加の封止要素を導入することも可能である。
【0041】
内側ハウジング6は、湾曲した半体シェル6A、6B内に接続空間18を画定しており、その中に、電源ライン22A、22Bのライン導体20が導入され、接続要素24によって電気的に互いに接合されている。実例としての実施形態では、入力電源ライン22Aは、2つの出力電源ライン22Bに接続されている。例では、各場合、2導体電源ライン22A、22Bが、2つのライン導体20で表され、入力電源ライン22Aの各ライン導体20は、それぞれの出力電源ライン22Bの1つのライン導体20にそれぞれ接続されている。接続要素24は、たとえば、圧着要素または溶接接触要素として構成されている。
【0042】
電源ライン22A、22Bは、各々、ライン導体20に加えて、それを密閉する内部絶縁体26と、順に内部絶縁体26を包囲する遮蔽体28と、最後に外側のケーブルジャケット30とを有している。遮蔽体28は、特に、金属遮蔽編組体として形成されている。
【0043】
電源ライン22A、22Bを接続空間18に封止挿入するために、2部品封止構成が、それぞれのハウジング貫通ソケット10A、10Bに挿入される。すなわち、実例としての実施形態では、これは、特に図4によって示すような、封止要素34を収容する封止スリーブ32から構成されている。
【0044】
本明細書では、封止スリーブ32は、封止要素34が内部に設置されるポット状座部を画定している。それは、ケーブル長さ方向に延在する中空円筒状シャフト36を有し、中空シャフト36は、その接続空間18から離れる方向に面する側において環状スリーブ底部38と隣接している。そして、この環状スリーブ底部38には、スリーブ状環状ウェブ40が隣接している。したがって、全体として、断面で見る封止スリーブ32は、段状であり、中空シャフト36および環状ウェブ40はケーブル長さ方向に延在し、スリーブ底部38はケーブル長さ方向に対して垂直な横方向に延在している。環状ウェブ40は、ケーブルジャケット30に接して位置しそれを封止している。同時に、中空シャフト36は、その外側が、外側ハウジング8のそれぞれのハウジング貫通ソケット10A、10Bの内側と接するように位置している。
【0045】
封止要素34は、次に、スリーブシャフト36の内側とケーブルジャケット30との間で締め付けられており、それにより、確実な封止が達成される。図4から分かるように、封止要素34全体がOリングとして形成されており、Oリングは、その内側およびその外側両方に個々の波状隆起および窪みがあるように形成され、それにより、個々の封止ウェブが形成されている。封止要素34は、シリコーン等の好適な封止材料から構成されている。封止スリーブ32の材料は、好ましくはこれとは異なり、特に、外側ハウジング8との確実な封止に適合されている。
【0046】
上述した封止構成の代りに、封止要素は、ケーブルジャケット30とそれぞれのハウジング貫通ソケット10A、10Bの内壁との間に、すなわち、ケーブルジャケット30と分配器ハウジング4、特に外側ハウジング8との間に、直接配置される。
【0047】
特にこの構成では、絶縁材料の閉鎖キャップが、挿入接続部分を形成するそれぞれのハウジング貫通ソケット10A、10Bの上にかぶせられ、たとえばラッチにより分配器ハウジング4に固定され、特に張力軽減を確保するために、ケーブルジャケット30に、好ましくは後側にさらに固定される。固定するために、閉鎖キャップは、たとえばその後側に保持および固定ウェブを有し、それは、軸方向に延在し、ケーブルジャケット30を部分的にのみ封止する。この保持ウェブの周囲に、ケーブルクリップ等の固定要素が通される。
【0048】
金属製の内側ハウジング6は、全体的に、接続空間18における接続領域のEMCシールドに役立つ。連続的な遮蔽を達成するために、電源ライン22A、22Bのそれぞれの遮蔽体28との内側ハウジング6の確実な電気的接触が必要である。これを確保するために、特に図5または図4において顕著であるように、それぞれの電源ライン22A、22Bに遮蔽スリーブサブアセンブリ42が固定される。
【0049】
遮蔽スリーブサブアセンブリ42は、下部スリーブ44を備え、それは、ケーブル長さ方向に延在するスリーブシャフト48とともに、横方向に延在する放射状ウェブ46を有している。下部スリーブ44は、スリーブシャフト48がケーブルジャケット30に接するように位置している。放射状ウェブ46は、半径方向に突き出ており、設置状態では、封止要素34が圧入されるスリーブ底部38に向かって受入空間を囲んでいる。
【0050】
さらに、遮蔽スリーブサブアセンブリ42は、圧着スリーブ50を備え、それは、遮蔽体28の中間層として、スリーブシャフト48に対して外側から圧着され、すなわち、スリーブシャフト48の上に締め付けられている。これにより、遮蔽体28と圧着スリーブ50との間の確実かつ信頼性の高い接触が達成される。圧着スリーブ50は、最後に、内側ハウジング6に導電的に接合される。このために、圧着スリーブ50は、たとえば、その端面にそれぞれの湾曲したばねトングを有し、それにより、圧着スリーブ50は、内側ハウジング6のそれぞれの半体シェル6A、6Bの縁52に対して押圧される。全体として、外側ハウジング8の2つのシェル8A、8Bが、設置中に互いに対して固定されるとき、内側ハウジング6の2つの半体シェル6A、6Bは、信頼性の高い電気的接触を確実にするために、圧着スリーブ50に対して固定される。
【0051】
特に図4および図5において顕著であるように、圧着スリーブは、両端にフレア状の周回縁52を有している。半体シェル6A、6Bは、ハウジング貫通ソケット10A、10Bとして、挿入方向または軸方向に延在する挿入接続部分を形成する。これは、外側は外縁面に、内側は内側ハウジング拡大部に隣接している。圧着スリーブ50は、この挿入接触部分の2つの縁52の間のその中間領域において、すなわち、2つの半体シェル6A、6Bによって締め付けられる。縁52は、各々、その2つの端部において形状適合して挿入接続部分を把持し、それに直接当接する。このように、遮蔽スリーブサブアセンブリ42は、それぞれのハウジング貫通ソケット10A、10Bにおいて固定して保持される。
【0052】
さらに、遮蔽スリーブサブアセンブリ42は、その設計により、それぞれの電源ライン22A、22Bの張力軽減の役割も果たす。本明細書では、有効な張力軽減は、特に、一方では内側ハウジング6の遮蔽スリーブサブアセンブリ42の軸方向固定と、ケーブルジャケット30へのその圧力嵌めおよび好ましくは形状適合接続とによって、達成される。圧着の結果として、ケーブルジャケット30は、好ましくは変形し、それにより、軸方向に作用するケーブルジャケット30との形状適合が形成される。
【0053】
設置中、以下のように進められる。すなわち、接合されているそれぞれの電源ライン22A、22Bが、端部においてそれらの絶縁体を剥ぎ取られる。これにより、それぞれのライン導体20が露出する。ケーブルジャケット30は、遮蔽体28を切断することなく部分的な領域において除去される。次に、遮蔽体28が約180°裏返される前に、ケーブルジャケット30の上で下部スリーブ44が押し付けられ、それにより、下部スリーブ44は、スリーブシャフト48の円周側に当接する。次に、圧着スリーブ50がスリーブシャフト48を横切って引っ張られ、その後、圧着プロセスによりスリーブシャフト48に締め付けられる。
【0054】
図6図8は、電力分配器2の第2変形実施形態を示す。特に図6および図7において明らかであるように、この第2変形は、特に、追加の絶縁要素54の配置によって特徴付けられる。この絶縁要素54の内側で、入力電源ライン22Aと出力電源ライン22Bとの間で導電性接続が発生する。別の特徴的な機能は、ハウジング貫通ソケット10A、10Bの領域における構成を含む。
【0055】
内側ハウジング6および外側ハウジング8を備えた分配器ハウジング4の構成は、基本的に、第1変形実施形態から変化しておらず、したがって、それを参照する。したがって、内側ハウジング6は、この場合もまた2つの板金シェル6A、6Bから構成され、それらは、たとえば深絞り加工部品として形成され、それらの間に、自由内部空洞を画定する完全に閉鎖された接続空間18を密閉する。
【0056】
図7の図から、2つのハウジング6、8のシェル6A、6B、8A、8Bがシェルのように互いに入れ子になっているということが、この場合もまた理解することができる。したがって、外側ハウジングのシェル8A、8Bは、内側ハウジングのシェル6A、6Bと同じ輪郭を有し、したがって、これらのシェル6A、6Bに対して直接適用される。図6および図7の変形実施形態では、周回縁14は制限ウェブ56をさらに有し、それに対して、内側ハウジング6の同様の周回縁14の外側輪郭が形状適合により当接し、それにより適所に固定される。
【0057】
図7の図から、ハウジング貫通ソケット10A、10Bが接続部分のように形成されていることがさらに容易に分かる。シェル部品6A、6B、8A、8Bの各々は、それぞれの半体部分を有している。外側ハウジング8の接続部分は、電源ライン22A、22Bの方向において内側ハウジング6の接続部分を越えて突き出ている。特に図6においてもかつ図8の断面図からも分かるように、Oリングとして形成された封止要素34は、外側ハウジング8の突出する接続部分領域に設置される。同時に、遮蔽スリーブサブアセンブリ42もまた、少なくとも部分的に内側ハウジング6の接続部分の領域に配置され、この接続部分の内側で締め付けられる。特に図8において顕著であるように、内側ハウジング6、すなわちそれぞれのシェル6A、6Bは、接続部分を形成するために、半径方向に後退し、幾分か内側に湾曲している。この接続部分領域では、半径方向の押圧および締付力が遮蔽スリーブサブアセンブリ42にかけられ、それにより、これは、この接続部分の内側で確実に締め付けられる。半径方向締付により、本明細書では、遮蔽体28(図8には示さず)、遮蔽スリーブサブアセンブリ42および内側ハウジング26の間に特に優れた電気的かつ永久的に確実な接触がもたらされる。
【0058】
図8では、明確にするために、電源ライン22A、22Bは描かれていない。
【0059】
実例としての実施形態における絶縁要素54は、2つの要素、すなわち、互いに噛み合う基体54Aおよびカバー部分54Bから構成されている。したがって、基体54Aは、接続されている電源ライン22A、22Bに対する2つの別個の受入空間を画定するチャンバを形成する。したがって、これらのチャンバ内に電源ライン22A、22Bを容易に挿入することができる。挿入された後、カバー部分54Bはチャンバを閉鎖し、それにより、たとえば、接続要素24との接触場所が、絶縁されかつこれらのチャンバ内部で互いに分離されて配置される。
【0060】
実例としての実施形態では、チャンバは、電源ライン22A、22Bの延長方向に対して垂直に互いに重なって配置される。絶縁要素54は、内側ハウジング6の内側で適所に固定される。このために、絶縁要素54は、好ましくは、内側ハウジング6と形状適合によって接続される。意図的に、シェル6A、6Bとの形状適合は、電源ライン22A、22Bの延長方向およびそれに対して垂直な方向両方に形成される。
【0061】
実例としての実施形態において延長方向に形状適合を形成するために、内側ハウジング6、すなわち2つのシェル6A、6Bの各々は、縁に隆起58を有し、それは、絶縁要素54の対応する窪み60と係合する。このために、絶縁要素54は、縁に突出領域を有している。絶縁要素54は、各側における形状適合により2つのハウジングシェル6A、6Bの各々と意図的に接合され、特に、一方の縁側において各シェル6A、6Bに対してこうした窪み60を有している。形状適合接続は、絶縁要素54の対向する側の両方で発生する。
【0062】
長手方向延長に対して垂直な絶縁要素54の固定のために、絶縁要素は、シェル6A、6Bに対して各々上方または下方に湾曲したタブ62を有している。これらは、対応して形成された凹部と係合し、またはシェル6A,6Bに対して弾性的に固定される。
【0063】
特に図6および図8において顕著であるように、各場合において、キャップ要素64がハウジング貫通ソケット10A、10Bの領域に形成され、そこにそれぞれの電源ライン22A、22Bが通される。キャップ要素は、プラスチック要素であり、一方ではスリーブとしてそれぞれの電源ライン22A、22Bを、他方では外側ハウジング8のそれぞれの接続部分を密閉する。キャップ要素64により、たとえば、張力軽減もある。このために、キャップ要素64は、一方ではそれぞれの電源ライン22A、22Bと、他方では外側ハウジング8と固定される。外側ハウジング8への固定は、好ましくは、ラッチ要素によるスナップ接続によって行われる。
【0064】
電源ライン22A、22Bを固定するために、キャップ要素64は締結部分66を有し、それは、限られた角度範囲のみ周回するように形成されている。この締結部分66の領域において、最終設置状態で、ケーブルクリップ(図8を参照)等、固定要素68が配置され、それは、この場所で、電源ライン22A、22Bを締結部分66に締め付ける。
【0065】
全体として、本明細書に記載した電力分配器2は、入力電源ライン22Aからいくつかの出力電源ライン22Bへの電力分配を実施し、外部環境に対する封止とともに確実な高い電気的EMCシールドを達成する。電力分配器2は、分配器ハウジング4を備えた単純かつ頑強な設計によって特徴付けられる。
【0066】
最終設置状態にある電力分配器2は、特に、電気自動車またはハイブリッド車のような、電気モータ駆動システムが装備された車両に配置される。
【符号の説明】
【0067】
2 電力分配器
4 分配器ハウジング
6 内側ハウジング
8 外側ハウジング
6A、8A 上部シェル
6B、8B 下部シェル
10A 入力ハウジング貫通ソケット
10B 出力ハウジング貫通ソケット
14 縁
15 封止縁
16 ねじボス
18 接続空間
20 ライン導体
22A 入力電源ライン
22B 出力電源ライン
24 接続要素
26 内部絶縁体
28 シールド
30 ケーブルジャケット
32 封止スリーブ
34 封止要素
36 中空シャフト
38 スリーブ底部
40 環状ウェブ
42 遮蔽スリーブサブアセンブリ
44 下部スリーブ
46 放射状ウェブ
48 スリーブシャフト
50 圧着スリーブ
52 縁
54 絶縁要素
54A 基体
54B カバー部分
56 制限ウェブ
58 隆起
60 窪み
62 タブ
64 キャップ要素
66 締結部分
68 固定要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8