(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近々に発生が予測される「南海トラフ大地震」に備え、地震対策及び津波対策として避難用のシェルターを付した住宅の開発を課題とする。平成24年8月29日内閣府発表で、南海トラフ巨大地震での津波による愛知県内の死亡予想者約6,400人、火災による死亡予想者約1,800人と出ており、近隣の静岡県においては95,000人に上る死亡予想者数である。平成15年の中央防災会議の想定と比べて平成25年の内閣府発表では、死者は13倍と大幅に増加している。津波による死者は23万人で全体の7割を占めている。地震・津波対策に対する意識は近年高まってきている。
【0003】
シェルターを基礎に固定する方式の発明が特許文献1〜4等に示すように種々提案されている。
【0004】
特許文献1の発明によれば、鉄筋コンクリートのシェルター6に、衝撃的水圧に耐える引き戸1と、耐圧マンホールを改良した覗き窓と補助避難のためのマンホール2を、壁・屋根に設置する発明が提案されている。
【0005】
特許文献2によれば、プレキャスト・プレストレストコンクリートを素材とし、全体の形状が船底を逆にした形状の低層系の建屋本体1を設けるに際し、該建屋本体1の基礎部を、地面を掘り下げ、高強度鉄筋コンクリートを素材とするベタ基礎2を設け、ベタ基礎2上に、複数個の免震装置3を介して、適宜の大きさに仕切られる格子状の枠体4aを形成し、これら各枠体4aによって仕切られた溝4b内に、埋戻土Xを充填した基礎スラブ4を設け、該基礎スラブ4上に前記建屋本体1を設ける免震構造とした発明が提案されている。
【0006】
特許文献3によれば、コンクリート基礎2に固着した地下シェルターであって、上方には脱出エントランス6を有し、下方には非コンクリート製の繊維強化プラスチック、カーボン繊維、ケプラー繊維、ポリカーボネートコンクリート、金属の内の1種又は2種以上からなるシェルター本体3を備え、脱出エントランス6とシェルター本体3の間には脱出ハッチ5と脱出チューブ20によってつながる地下シェルターを構成した発明が提案されている。
【0007】
特許文献4によれば、津波シェルター本体3の入り口2の天井最下部15より避難室3の床12を高くすることにより被災時の内部に侵入した海水面13が避難室3に入り込まず、酸素ボンベ又はエアーボンベの放出14により避難者16を保護する。避難室3の気密性が入り口扉8の開閉に左右されないので避難時に扉8を閉める必要がなく、脱出時に入り口2が塞がれる恐れがない。外壁に傾斜を付けることと津波シェルター1自体の十分な自重と地盤への固定5より津波の圧力や津波に押し流された瓦礫などの衝突18に耐える機能を有する発明が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術には、次のような不都合が指摘される。
【0010】
(1)コストや工期を削減すれば、安全性に課題を残すため、コストが高く工期が長いままとなっており、一般家庭にまでは普及していないという問題がある。平均所得金額(549万6千円)以下の世帯の割合は61.4%となっている。これらの層の人は賃貸住宅への居住が多数であり、将来の居住費の負担への不安を多く抱えている。そして、多くの人が土地を所有しておらず土地探しからのニーズが存在する。
【0011】
(2)地震への不安を持ちながら単なる耐震構造では不満足な方々の要求に応えることができる。南海トラフ大地震で発生する津波へのシェルター本体の安定性の対策、南海トラフ大地震で発生する津波への耐水圧性能の確保、そして、避難シェルター使用時に必要な安全性及び、良好な居住性の確保する必要がある。震災意識の高まりに伴い個人の家でもシェルターへの必要性は高まってきている。避難場所への到達時間を鑑みると、高齢者、幼児、身体不自由者のいる家庭においてニーズは高いものと思われる。
【0012】
(3)大型のものがほとんどであり、たとえば、シェルターの建築面積が10平米を超えると、市役所に確認申請を提出しなければならず、コストや労力が煩雑であるという問題がある。
【0013】
(4)東日本大震災を詳しく調べていくと、60cm以上地盤が沈下したというところがあって、そういう所で地下シェルターを築造してしまうと海の下に沈むので、地下埋設型のタイプは問題がある。
【0014】
(5)津波により浮くタイプの移動式シェルターや地震による耐震シェルターでは、避難したその場所にとどまることができず、地震だけでなく、津波そして火災、土石流という二次災害にも耐えられず、そして、高齢者や障碍者の方々も安全に避難することができない。浮くタイプのシェルターでは津波の濁流の中で大きく揺れ居住性は安定しないと思われる。
【0015】
(6)公共機関や大型施設などの一定の場所に設置され、緊急時にそこまで移動しなければならない不利不便がある。昨今の自然災害(地震、津波、土石流等)に対して、高齢者・障碍者・幼児等は、指定された避難場所まで短時間に移動することは難しい。津波到達までに避難時間を確保できない場合に対応するため、緊急的に津波から逃れるシェルターが検討されている。高知県は南海トラフ巨大地震の発生に備え、室戸市内に津波避難シェルターを設置することとしている。室戸市内の集落の崖地に、トンネルと立て坑からなる施設を検討している状況が避難シェルターの現状である。自宅から避難場所まで10分以上かかることもあり、高齢者・障碍者などは更に時間がかかる。また、避難タワーなど自力で登ることは困難である。自宅隣接で浮くタイプのシェルターもあるが、津波に流された後の捜索は困難が予想される。
【0016】
(7)津波高さより高いところに避難することが前提で津波を被った時のことを想定していない。
【0017】
(8)収容人員は多いが、地域住民を全員避難できるかは疑問である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の諸課題に鑑みて、本発明は、コンクリート基礎に固着して用いるシェルター本体を備えた半地下式避難用シェルターであって、シェルター本体を二重構造とし、外側が鉄筋コンクリート製、内側が鉄板による円柱構造とし、シェルター本体外部にスロープを設け、シェルター本体が鉄筋コンクリート製の構造体であり、内部空間を円柱構造とし、前記シェルター本体の地上部に二重構造の防火鉄鋼製扉を備え、津波の圧力に耐える構造とし、さらに、前記コンクリート基礎が住宅のコンクリート基礎を連結
し、前記シェルター本体の天井面に吊り下げられ、前記内部空間内に昇降可能に設けられたジャッキと、該ジャッキを昇降させる回転具と、該ジャッキが下降した場合に受け止める受け金具と、を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、次の効果がある。
(1)住宅基礎、外構部と接合するためセットで建設しコストを抑えることができる。例えば、年収300万円台から400万円台の所得層の方々に賃貸住宅の家賃並みの価格で安全なシェルター付住宅を提供できるコストにしていくことができる。家の基礎と一体化した構造とすることでシェルター単体での建設よりコストダウンを図り普及を目指すことができる。住宅の庭に避難シェルターを付けた状態で販売が可能となる。これは平均的な建売住宅の住宅部分の販売価格に相当するものであり、避難シェルターという付加価値が付いた住宅は収益化の見込みがある。土地情報と住宅とシェルターをセットにし、住宅ローン返済額が明確となる。土地とシェルター付住宅とをセットにした価格、月々の住宅ローン返済額を明示することができる。展示場を作り、構造計算書を見せ、実際のシェルターを見学して決めることができる。こうした人へ土地情報も商品の一つとして考え、住宅と土地情報とシェルターをセットにして販売することが可能となる。一人でも多くの命を守るとの国家的な使命・役割にも貢献する発明である。
【0024】
(2)シェルター本体を小型にすることによって、シェルターの建築面積を小さくでき、市役所への確認申請を省略できることが可能であり、建築のための手間と労力を削減できる。
【0025】
(3)避難したその場所にとどまり、地震だけでなく、津波そして火災、土石流という二次災害にも耐えられ、そして、高齢者や障碍者の方々も安全に避難することができる、現代社会において必要性が高く、革新的でより安心できる性能を提供できる。
【0026】
(4)自宅などの個人宅に隣接しているため、緊急時に地上から中に出入りができ、すぐに避難できる。これに対し、従来術では、公共機関や大型施設などの一定の場所に設置され、緊急時にそこまで移動しなければならない。
【0027】
(5)住居に隣接し、短時間で避難できる。例えば、自宅に隣接しているため緊急時でも1分から3分で避難できる。公共の避難場所まで避難するのに困難な高齢者・障碍者・幼児を抱える家庭において安心感が増す。これらの避難弱者に対して、自宅などの個人宅に隣接設置が出来る避難シェルターを提供し、高齢者・障碍者・幼児の方たちでも、地震警報発生から3分以内に避難でき、津波に対しては水没をしても3日間は酸素等、生命維持に必要なものを確保できるものとし、安全・安心に暮らせる環境を提供する。
【0028】
(6)沿岸部地域にお住まいか今後お住まいの人、或いは、居住を希望されている人に対して津波の心配を解消した安心・安全な住宅を提供することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の設置された敷地の平面図である。
【
図2】(a)は本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の平面図、(b)は同じく内部構造を示す正面図である。
【
図3】(a)本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の正面図、(b)はシェルター本体3の鉄板の正面図、(c)本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の背面図である。
【
図4】同じく半地下式避難用シェルター1の鉄鋼製扉が開放した状態の外部からの斜視図である。
【
図5】同じく半地下式避難用シェルター1の異なる別の形態の鉄鋼製扉が開放した状態の内部からの斜視図である。である。
【
図6】同じく半地下式避難用シェルター1のジャッキ10、吊り下げ具11、受け金具13a,13bを示す縦断面図である。
【
図7】同じく半地下式避難用シェルター1の平面図である。
【
図8】同じく半地下式避難用シェルター1の受け金具の斜視図である。
【
図9】本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の斜路RCスラブ、シェルター鋼管の検討、安定計算の図表である。
【
図10】本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の設計地耐力の算定、津波荷重時の津波による浸水の想定を示す図表である。
【
図11】本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1の地反力に対する検討を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜
図3に示す通り、本発明実施形態の半地下式避難用シェルター1は、コンクリート基礎2に固着して用いるシェルター本体3を備えた半地下式避難用シェルター1であって、半地下式避難用シェルター1の周囲コンクリートの鉄筋と、コンクリート基礎2の鉄筋と、住宅100のベタ基礎101の鉄筋を連結させるものである。これにより、想定されている南海トラフ大地震の震度7での液状化現象による沈下を防止する。例示としては、土地40坪、1F床面積15坪、2F床面積15坪、延べ床面積30坪を挙げて説明する。コンクリート基礎2の厚みは、150mmである。住宅100の他、敷地内には、駐車場200を設け自動車201の区画を設けてある。また、庭300に半地下式避難用シェルター1を設け、周囲には、適宜、フェンス400を設けてある。
【0031】
シェルター本体3は鉄筋コンクリート製の構造体であり、シェルター本体3の外部両側にスロープ3aを設けている。スロープ3aには残土が設けられ、表面をコンクリートで被覆してある。シェルター本体3は複数本のH型鋼材3bで補強してある。地上部に開口部4を設け、開口部4を開閉する二重構造の防火鉄鋼製扉である外扉5と内扉6を設け、津波の圧力に耐える構造としている。裏面にH型鋼材7aを連結した防護壁7を開口部4に脱着自在に設ける。土間鉄筋コンクリート8を地表部に設けてあり、厚みは150mmが例示される。内部空間9を円柱構造とし、内部空間9は床板3cで仕切られ、2階構造となっており、行き来ができるように開口3dを設けている。シェルター本体3の鉄筋コンクリートの両側の壁面(スロープ3aと接する壁面)には垂直方向に二対設け、このH型鋼材3bの溝に2枚の鉄板3f(
図3(b)参照)を挿入し固定してある。防護壁7は鉄板であり、裏面にH型鋼材7aが固定してあり、外表面は防水塗装仕上げである。円弧形状の突出部3eが半地下式避難用シェルター1の背面側に突出している。
【0032】
シェルター本体3を二重構造とし、外側領域が鉄筋コンクリート3g、内側領域が鉄板3hによる円柱構造とする。
【0033】
寸法例は、例えば、防護壁7、鉄板3fの厚みは9mm、外扉5、内扉6の厚みは75mmである。半地下式避難用シェルター1の長さ6430mm(シェルター本体3の長さ1550mm、スロープ3aの長さ2515mm)、地上高さ1550mm、横幅1600mm、突出部3eの突出長さ360mm、700mmである。シェルター本体3の壁の鉄筋コンクリートの厚さ、土間鉄筋コンクリート8の厚さは150mm、スロープ3aの角度は30度、内部空間9の内径は1400mm、高さ2800mm(1F高さ1400mm、地下高さ1370mm、床板3cの厚み30mm)が例示される。内部空間9内に大人4人まで収容可能である。収容人数を多くする際には、拡張や増設が可能である。
【0034】
防火鉄鋼製扉である外扉5と内扉6は、水密性と耐衝撃性能を持った強度とする。内部には防火用に砂を封入してある。
【0035】
図4〜
図5に開口部4、外扉5、内扉6等の一例を例示する。外扉5は天井には設けない。それは重量があるので、人では持ち上げることが困難だからである。けがを防止するためである。
【0036】
内扉6は外扉5と同様な構造で、内側に開閉する構造の扉のドア式構造である。
【0037】
内扉6は、これに代えて、スライド式構造の扉に替えてもよい。例えば、
図5は別の変更形態を示し、外扉5は蝶番5a(ここでは2軸蝶番である)で外側に開閉しロック5bでロックする構造の扉であり、内扉6はスライド式構造の扉であり、左右にスライドするスライド板6a、カム6bを備えた軸6cをハンドル6dで回動することでスライド板6aをロックする偏心回動ロック式の構造である。
【0038】
半地下式避難用シェルター1は、外扉5及び内扉6が水深20メートルで水圧200kN/m
2に耐えうるように設計される。台風・竜巻にも耐えうる。外扉5及び内扉6により、耐激突性能、津波による激突物の衝撃に耐えうるために2重扉構造にし、内側から心張棒を設置し、耐衝撃性を高めている。
【0039】
図6〜
図8に示す通り、ジャッキ10は天井面3iに設けられ、ワイヤ11aを備えた吊り下げ部11で吊り下げられた構造であり、ワイヤ11aと回転具12とが連動する構造である。ハンドル式の回転具12を時計方向又は反時計方向に回転しつづけることで、ジャッキ10が上昇又は下降が可能である。ジャッキ10は通常は天井面3i付近に配置されているが、所定高さまで下降することができ、ジャッキ10の両端部が受け金具13a,13bに嵌合する。受け金具13aは外扉の内側壁面に設けられ、受け金具13bは、対向する壁面に設けてある。また、受け金具13a,13bにはジャッキ10の各端部を受け入れて支持するための凹溝を設けてある。瓦礫で半地下式避難用シェルター1が埋まった場合、回転具12を回転させて、ジャッキ10を受け金具13a,13bまで下降させて、ジャッキ10を作動させることで、防火鉄鋼製扉である外扉5を開くことができる。
【0040】
半地下式避難用シェルター1の設計例を
図9〜
図11に示す。シェルター本体の構造としては、シェルター本体3の鉛直荷重時、津波荷重時を計算した本体の設計、本体3設置時の基礎を鉛直荷重時の計算を基に行う。津波荷重時の計算に基づき、本体周りのコンクリート打ち及び周辺基礎との連結をおこなう。なお、津波波圧算定式は津波防災地域づくり法告示等の新ガイドラインに従って、算出した。基礎の計算は、道路標識に使用される基礎の土中埋め込み式基礎の計算式に従って算出した。
【0041】
建築面積は建築確認申請が不要な10m
2以内(たとえば9m
2)に設定することが好ましい。シェルター本体3のサイズは、1人当たり1.5m
3の必要空間として換算とする。一般家族用4人の収容とする。4人×1.5m
3=6.0m
3となる。既設建物や収容人数などの条件によってシェルター本体のサイズの変更が可能である。
【0042】
建物の屋外に埋設する場合を示したが建物の屋内に設置する場合にも適用可能である。
【0043】
シェルター本体3の平面的な設置場所は、玄関すぐ横、前庭など避難時に飛び込み易い場所を選定する。敷地が広い場合は、建築物基礎以外の既設コンクリート構造物に接合する。この理由は、津波のモーメントに対抗するために少しでも対抗力をもたせるためである。
【0044】
シェルター本体3の中に酸素ボンベが用意してある。酸素を吹き出すことで、中の気圧が上がっていく。
【0045】
このシェルター内の酸素容量では、酸素呼吸が持たないので、事前に搭載してある酸素ボンベからの酸素供給を行う。酸素ボンベについては、収容人数、子供、大人などの条件によって異なるので、シェルター内部に滞在できるための容量を確保する。
【0046】
適切な酸素濃度の確保のため、半地下式避難用シェルター1内部の安全・安心な居住性を保つために必要な酸素、二酸化炭素の濃度が室内の濃度計で分かるようにし、適切な基準値でなくなった場合には備え付けの酸素缶を噴射することで酸素濃度の調整を行う事を可能にしている。二酸化炭素も同様に濃度調整も可能にしていく。ここでの目標値シェルター内部の酸素濃度19%である。必要な装置としては、酸素供給器具セット、気圧調整器具、二酸化炭素低減器具セット等である。
【0047】
シェルター本体3の内部の気体の圧力を抜く減圧弁も備えている。水道のパーツも備えている。二酸化炭素の増え過ぎを防止するため、二酸化炭素を消石灰水溶液又はゼオライトで吸着して二酸化炭素を減らすようにしてある。太陽光発電パネルにより蓄電池が満タンになっているので、その蓄電池が消石灰のポンプを駆動させ続けるように構成している。
【0048】
外部を見るモニターが複数(ここでは2か所)設けている。夜中にモニター見ても真っ暗なので、温度計を外に設置しモニターできる。外気温、内気温度、酸素ゲージ等、ppmや二酸化炭素の濃度を所定時間(たとえば30分)おきに記入できる。真冬の場合、津波が浸入して来たら外気温度計の温度が上がるので、津波が来たのが夜中でもわかる。
【0049】
シェルター本体3内に携帯電話、衛星電話、トランシーバー等の通信機能を備えている。簡易トイレ、AED、防災グッズ等も備える。
【0050】
つぎに工事方法について説明する。基本的に、建築工事に於いて床や下地の撤去が完了していることを前提とする。本体を設置するにあたって地面に縦横の外周ともに半地下式避難用シェルター
1本体の外部寸法よりも大きい寸法で掘り下げる。深さは、コンクリート基礎2と土圧の関係があるために一定とはならないが、前記算定式に基づいて、掘削を行う。事前調査の場合によっては、土留工事を行う必要となる場合がある。もし必要となれば、土留工事も同時に進める。
【0051】
人力掘削及び超小型の掘削機を使用して所定の深さまで彫り上げる。掘削作業中は、建物の本体の挙動に注意を払いながら作業を進める。特に掘削深度には、注意を要する。掘削完了後は、エンジン式プレートにて転圧を行い、続いて砕石を敷きならす。砕石の材料は、再生骨材のJIS規格 RC25を使用する。砕石の敷均し後は、エンジンプレートにて転圧を行って平坦化を図る。
【0052】
続いて、コンクリート基礎2の築造を行う。コンクリート基礎2の鉄筋と、住宅100のベタ基礎101と鉄筋で連結してから、コンクリートを打設する。コンクリート材料は、普通ポルトランドセメントを使用する。工事日程の短縮が必要な場合は、早強コンクリートを使用して硬化時間の短縮を行う。基本的には現場施工である。コンクリート基礎2の上に表面保護コンクリートを打設する。コンクリート材料は、普通ポルトランドセメントでよい。
【0053】
コンクリート基礎2はスクリューパイルのような羽つきの鋼管杭を、強度を強くするため、地中に打設することが好ましい。これにより、半地下式避難用シェルター1を支持するだけではなく、倒れないようにすることができる。
【0054】
コンクリートが硬化後に施工するシェルター本体3の施工を行う。現場施工の場合には鉄筋を構築してからコンクリートを打設する。シェルター本体3を二重構造とし、外側領域が鉄筋コンクリート3g、内側領域が鉄板3hによる円柱構造を築造する。鉄板3fは、水圧に対抗できるように溶接を行うものとした。シェルター本体3のスロープ3aと隣接する側の鉄筋に二対のH型鋼材3bの間隔を開けて連結し、コンクリートを打設し、H型鋼材3bの半分を埋め込んで固定する。一対のH型鋼材3bで形成される溝に鉄板3fを差し込んで固定する。
【0055】
シェルター本体3は現場施工であるが、工場製造のプレキャストコンクリートとしてもよい。この部品は、重量があるのでトラッククレーンにて、搬入する。先行して
コンクリート基礎2に埋めてあるエントランス定着アンカーに合わせて据え付ける。据え付け後は、ナットにて締め付けを行う。ナットの締め付け作業は、すべてのナットが均一になるように、トルク式レンチを使用する。
【0056】
次にシェルター本体3の両側に残土とセメントを混ぜあわせた土を積み上げ、表面にコンクリートを打設し、スロープ3aを築造する。
【0057】
次に開口部4に防火鉄鋼製扉である外扉5を取り付ける。内扉6は事前に内部空間9に入れておき、後で取付施工する。
【0059】
半地下式避難用シェルター1は、避難したその場所にとどまり、地震だけでなく、津波そして火災、土石流という二次災害にも耐えられ、そして、高齢者や障碍者の方々も安全に避難することができる、現代社会において必要性が高く、革新的でより安心できる性能を提供できる。
【0060】
建築コストや工期を削減しながら安全なシェルターを提供することができる。また、小型にすることができ、シェルターの建築面積を小さくでき、市役所への確認申請を省略できることが可能であり、建築のための手間と労力を削減できる。さらに地上から防火鉄鋼製扉である外扉5、内扉6を開けて、中に出入りができる。金額を高くすれば、開口部4を大きくできる。バリアフリー構造として、板を下にひいて身障者等を収容できる。
【0061】
住宅基礎、外構部と接合するためセットで建設しコストを抑えることができる。例えば、年収300万円台から400万円台の所得層の方々に賃貸住宅の家賃並みの価格で安全なシェルター付住宅を提供できるコストにしていくことができる。また、例えば、建築費用が300万円を切る程度のコスト削減が可能である。補助金も活用すればより削減できる。住宅100の基礎101と一体化した構造とすることでシェルター単体での建設よりコストダウンを図り普及を目指すことができる。例えば、延べ床面積33坪の住宅の庭に避難シェルターを付けた状態で1600万円台での販売が可能となる。これは平均的な建売住宅の住宅部分の販売価格に相当するものであり、避難シェルターという付加価値が付いた住宅は収益化の見込みがある。そして、何よりも、一人でも多くの命を守るとの国家的な使命・役割にも貢献するものである。さらに、こうした人へ土地情報も商品の一つとして考え、住宅と土地情報とシェルターをセットにして販売することが可能となる。
【0062】
シェルター本体3を小型にすることによって、シェルターの建築面積を小さくでき、市役所への確認申請を省略できることが可能であり、建築のための手間と労力を削減できる。
【0063】
半地下式避難用シェルター1は、自宅などの住宅100に隣接しているため、緊急時に地上から中に出入りができ、すぐに避難できる。緊急時でも1分から3分で避難できる。高齢者・障碍者・幼児の方たちでも、地震警報発生から3分以内に避難でき、津波に対しては水没をしても、少なくとも3日間は酸素等、生命維持に必要なものを確保できるものとし、安全・安心に暮らせる環境を提供することができる。
【0064】
特に、沿岸部地域に居住、今後、居住する人、或いは、居住を希望されている人に対して津波の心配を解消した安心・安全な住宅を提供することができる。
【0065】
耐水圧性能が2気圧(水深20m相当)であり、シェルターが水没した時を想定して酸素等の空気調整機能を持つので、例えば、大人4人でも、少なくとも3日間はシェルター内で暮らせる食糧、水を保管できる。
【0066】
がれきで
半地下式避難用シェルター1が埋まった場合、内部空間9にジャッキ10を入れてある。ジャッキ10の力で防火鉄鋼製扉である外扉5を開くことができる。
【0067】
プレキャストコンクリートであると、仮枠を作ってわざわざ外す手間や廃棄代金を省略できる。
コストや工期の削減、津波へのシェルター本体の安定性の対策、南海トラフ大地震で発生する津波への耐水圧性能の確保、避難シェルター使用時に必要な安全性及び、良好な居住性、避難時間の短縮化を目的とする。
シェルター本体3は鉄筋コンクリート製の構造体であり、シェルター本体3の外部両側にスロープ3aを設けている。スロープ3aには残土が設けられ、表面をコンクリートで被覆し、シェルター本体3は複数本のH型鋼材3bで補強し、地上部に開口部4を設け、開口部4を開閉する二重構造の防火鉄鋼製扉である外扉5と内扉6を設け、津波の圧力に耐える構造とする。