特許第6101910号(P6101910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101910
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】コインホッパ
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   G07D1/00GBL
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-268229(P2013-268229)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125520(P2015-125520A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 元晴
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−048800(JP,A)
【文献】 特開2010−277558(JP,A)
【文献】 特開2005−316895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインを貯留するコイン容器と、
前記コイン容器の下側に配置されて前記コイン容器に貯留されたコインを落下させる複数の貫通孔と裏面側にコインを押動する突起とが形成された樹脂製の回転ディスクと、
円弧状の周壁と前記回転ディスクの貫通孔を介して落下したコインを支持する底とが形成された凹部を有し、その凹部において周壁に対してほぼ同軸に前記回転ディスクが配置される樹脂製のベースと、
前記ベース上に配置され、前記周壁の一端に連なる第1ガイド壁を有する第1ガイド部材と、
前記周壁の他端側に配置され、前記第1ガイド部材に接近する待機位置と前記第1ガイド部材から乖離する弾出位置とに弾性的に接離可能な第2ガイド部材と、
前記第2ガイド部材の前記待機位置から前記弾出位置への移動に関連してコインの払い出しを検知するコイン払出センサと、
前記ベースの前記凹部に連なり、前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材によって画定されるコイン通路と、
前記コイン通路の前記回転ディスクと反対側に設けられたコイン払出し口と、
を含み、
前記回転ディスクの回転に伴って、前記ベースの前記底に支持されたコインの周面が前記周壁および前記第1ガイド壁によって案内されつつ前記回転ディスクの突起により前記ベース上においてコインを移動させ、前記第1ガイド部材および前記第2ガイド部材の間にコインを押し込むことにより、前記待機位置から前記弾出位置に移動された前記第2ガイド部材によりコインを弾き出すと共に、前記コイン払出センサによりコインの払い出しを検知
前記第1ガイド部材は電気的に接地され、前記コイン払出し口まで延在する第2ガイド壁と、前記第1ガイド壁と前記第2ガイド壁との間に挿入され前記第2ガイド部材に向かって突出する突出部とを有し、
前記第2ガイド部材は、第1可動部材と、第2可動部材と、前記第1可動部材と前記第2可動部材とを接続する接続部材とを有し、
前記接続部材は、その略中央部において前記ベースに垂直な回動軸線を中心に回動可能に前記ベースに固定され、
前記第1可動部材は、前記接続部材の前記回動軸線に対して前記回転ディスク側において、前記突出部と対向して配置され、
前記第2可動部材は、前記回動軸線に対して前記コイン払出し口側において、前記第2ガイド壁と対向して配置され、
前記第1可動部材が前記待機位置から前記弾出位置に移動するとき、前記第2可動部材は前記第2ガイド壁から乖離する第1の位置から前記第2ガイド壁に接近する第2の位置に移動し、一方、前記第1可動部材が前記弾出位置から前記待機位置に移動するとき、前記第2可動部材は前記第2の位置から前記第1の位置に移動するように構成されたコインホッパにおいて
前記コインが前記コイン通路を移動するとき、前記第2可動部材は前記コイン通路の幅が前記コインの直径より僅かに大きくなる第3の位置に位置し
前記突出部及び前記第1可動部材によって前記コイン払出し口に向けて弾き出された前記コインは、前記第3の位置に位置する前記第2可動部材によって前記第2ガイド壁に向かって跳ね返され、前記コイン払出し口から払い出される直前まで前記第2ガイド壁と接触して除電されると共に、前記第2ガイド壁とほぼ平行な方向に向けて払い出される、
ことを特徴とするコインホッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材上に配置した回転ディスクの回転によってコインを1枚ずつ区分けして払い出すコインホッパに関し、特に回転ディスクの回転によって帯電したコインを除電するコインホッパに関する。
【背景技術】
【0002】
バルク状のコインを貯留するコイン容器と、前記コイン容器の下部に配置されるホッパベースと、ホッパベースの上面に配置され、複数の貫通孔が形成された回転ディスクと、を有し、コインが複数の貫通孔を介してホッパベース上に落下し、回転ディスクの回転に伴ってホッパベース上をコイン払出口まで搬送されて、コインが1枚ずつ分離されて払い出されるコインホッパが用いられている。
【0003】
この種のコインホッパでは、コイン容器、ホッパベース、回転ディスクなどの部品が合成樹脂で形成され、装置の軽量化、低コスト化などが図られている。そのため、回転ディスクによるコイン搬送過程において、コインは合成樹脂製の部分に擦られながら搬送されるので、払い出されるコインは帯電状態になる。コイン払出口の近傍には払い出されるコインの枚数を計数するためのカウンタが配置されており、帯電したコインがカウンタの近傍を通過する際にスパークなどが発生すると、カウンタが誤動作するなどの弊害が発生する。そのため、コインホッパから払い出されるコインの帯電状態を解消するための技術が各種提案されている。
【0004】
第1の従来技術として、多数の硬貨を収容する保留タンクと、該保留タンクに保留されていた硬貨が導入される硬貨導入口が複数設けられ、導入された硬貨を回転しながら外周側に押し出す円盤状の払出しローターと、該払出しローターの下側に配設され、前記硬貨導入口に導入された硬貨を上面で受けるプラスチック製のベースと、前記払出しローターから押し出された硬貨を払出し口の方向へ案内する金属製の案内部材と、前記払出し口から排出される硬貨を検出するカウントセンサとを有する払出し部と、前記保留タンク及び払出し部を支持する金属性の基台を具えた硬貨払出し装置であって、前記案内部材を電気的に接地させたことを特徴とするコインホッパが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
第2の従来技術として、コイン保留ボウルの底孔に配置された通孔付き回転ディスクによってコインを一枚ずつ区分けして、前記回転ディスクの下方に配置された樹脂製のスライドベース上をスライドさせ、前記回転ディスクの側方に固定状態に配置した第1ガイド及び前記第1ガイドに対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイドによって構成した出口開口に送り込んだ後、弾き出し位置まで移動された前記第2ガイドと第1ガイドとによって弾き出し、前記第2ガイドの前記コインによる移動に関連して移動する作用片の移動を前記ベースと電気的絶縁関係にある非導電性部材に取り付けられた電気的センサにより検知することにより前記コインの弾き出しを検知するコイン検知装置を備えたコインホッパであって、スライドベースの上面に密着させた金属製のスライドプレート、アース線、及びバネ片を介してコインに帯電した静電気をアースするコインホッパが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
第3の従来技術として、金属ベースプレートと、前記金属ベースプレートの表面へ上方から積み重ねられた合成樹脂製のローター受け盤と、前記ローター受け盤のローター受け入れ凹溝内へ嵌合され、回転駆動されてコイン収容ホッパー内のコインを払い出すコイン搬送用ディスクローターと、前記ローター受け入れ凹溝の下半部のフラットな溝底面にベースプレートの裏側から螺入する複数の固定ビスによって取り付けられ、前記コインの厚みとほぼ等しい厚みを有し、前記コインよりも硬い金属板から成る円弧状の縁取り補強面金と、を備えたコイン搬送用ディスクローターであって、前記縁取り補強面金を固定する前記固定ビスに電気的な接地アース線の端子が取り付けられており、前記ディスクローターによるコイン搬送過程において、コインが前記縁取り補強面金と接触し、前記縁取り補強面金の前記固定ビスと接地アース線を介して、ホッパー型コイン払出し装置の据付け台や遊技機へ電気的に接続配線されているコインホッパが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3738159号公報(段落番号0006〜0021 図1〜3)
【特許文献2】特開2010−277558号公報(段落番号0040〜0044 図4図8
【特許文献3】特許第3706838号公報(段落番号0070 図2〜3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コイン容器、ホッパベース、回転ディスクなどを合成樹脂などの非導電性材料で構成した場合、回転ディスクの高速回転によってコインが前記回転ディスクと擦れ合い、さらに、コイン搬送過程においてコインがホッパベース上を摺動され、払い出されるコインは帯電した状態になる。コイン払出口の近傍には払い出されるコインの枚数を計数するためのカウンタが配置されており、帯電した前記コインがカウンタの近傍を通過する際にスパークなどが発生すると、カウンタが誤動作するなどの弊害が発生するという問題がある。また、払い出されたコインが帯電していると、ユーザーが当該コインを使用する際に、ユーザーとコインとの間で放電現象が発生し、ユーザーに不快感を与えるという問題がある。
【0009】
第1の従来技術では、回転ディスク部から払出し口へとコインが払い出される際に、金属製の案内部材によって帯電したコインが除電される。しかしながら、コインは案内部材と可動ローラーとによって弾き出された後、払出し口から排出されるまでにコインがベースと擦れ合い、コインが帯電することがある。
【0010】
第2の従来技術では、回転ディスクによるコインの搬送中および回転ディスク部から払出し口へとコインが払い出される際に、帯電したコインが除電される。第2の従来技術では、コインが払出し口まで金属製のスライドプレートが敷設されているが、第1ガイドと第2ガイドとによって弾き出されたコインは金属製のスライドプレート上を摺動せずに、金属製のスライドプレート表面から僅かに浮いた状態で払い出されることがあり、この過程においてコインが帯電することがある。
【0011】
第3の従来技術では、回転ディスクによるコインの搬送中および回転ディスク部から払出し口へとコインが払い出される際に、帯電したコインが除電される。しかしながら、コインは案内部材と可動ローラーとによって弾き出された後、払い出されるまでにコインがベースと擦れ合い、コインが帯電することがある。
【0012】
また、第1乃至3の従来技術では、可動型ガイドと固定型ガイドとによってコインが弾き出される方向にばらつきが生じることがある。換言すれば、コインの弾き出し方向が必ずしも安定しないという難点ある。
【0013】
そこで、本発明は、コイン払出口からコインが払い出される直前にコインを確実に除電してコインを計数するカウンタの誤動作を抑制し、さらにコインの払い出し方向を安定させることができるコインホッパを提供することを目的とする。なお、ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明および添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、コインを貯留するコイン容器と、
前記コイン容器の下側に配置されて前記コイン容器に貯留されたコインを落下させる複数の貫通孔と裏面側にコインを押動する突起とが形成された樹脂製の回転ディスクと、
円弧状の周壁と前記回転ディスクの貫通孔を介して落下したコインを支持する底とが形成された凹部を有し、その凹部において周壁に対してほぼ同軸に前記回転ディスクが配置される樹脂製のベースと、
前記ベース上に配置され、前記周壁の一端に連なる第1ガイド壁を有する第1ガイド部材と、
前記周壁の他端側に配置され、前記第1ガイド部材に接近する待機位置と前記第1ガイド部材から乖離する弾出位置とに弾性的に接離可能な第2ガイド部材と、
前記第2ガイド部材の前記待機位置から前記弾出位置への移動に関連してコインの払い出しを検知するコイン払出センサと、
前記ベースの前記凹部に連なり、前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材によって画定されるコイン通路と、
前記コイン通路の前記回転ディスクと反対側に設けられたコイン払出し口と、
を含み、
前記回転ディスクの回転に伴って、前記ベースの前記底に支持されたコインの周面が前記周壁および前記第1ガイド壁によって案内されつつ前記回転ディスクの突起により前記ベース上においてコインを移動させ、前記第1ガイド部材および前記第2ガイド部材の間にコインを押し込むことにより、前記待機位置から前記弾出位置に移動された前記第2ガイド部材によりコインを弾き出すと共に、前記コイン払出センサによりコインの払い出しを検知
前記第1ガイド部材は電気的に接地され、前記コイン払出し口まで延在する第2ガイド壁と、前記第1ガイド壁と前記第2ガイド壁との間に挿入され前記第2ガイド部材に向かって突出する突出部とを有し、
前記第2ガイド部材は、第1可動部材と、第2可動部材と、前記第1可動部材と前記第2可動部材とを接続する接続部材とを有し、
前記接続部材は、その略中央部において前記ベースに垂直な回動軸線を中心に回動可能に前記ベースに固定され、
前記第1可動部材は、前記接続部材の前記回動軸線に対して前記回転ディスク側において、前記突出部と対向して配置され、
前記第2可動部材は、前記回動軸線に対して前記コイン払出し口側において、前記第2ガイド壁と対向して配置され、
前記第1可動部材が前記待機位置から前記弾出位置に移動するとき、前記第2可動部材は前記第2ガイド壁から乖離する第1の位置から前記第2ガイド壁に接近する第2の位置に移動し、一方、前記第1可動部材が前記弾出位置から前記待機位置に移動するとき、前記第2可動部材は前記第2の位置から前記第1の位置に移動するように構成されたコインホッパにおいて
前記コインが前記コイン通路を移動するとき、前記第2可動部材は前記コイン通路の幅が前記コインの直径より僅かに大きくなる第3の位置に位置し
前記突出部及び前記第1可動部材によって前記コイン払出し口に向けて弾き出された前記コインは、前記第3の位置に位置する前記第2可動部材によって前記第2ガイド壁に向かって跳ね返され、前記コイン払出し口から払い出される直前まで前記第2ガイド壁と接触して除電されると共に、前記第2ガイド壁とほぼ平行な方向に向けて払い出される、
ことを特徴とするコインホッパである。
【0015】
本発明の第1の態様のコインホッパでは、ベースや回転ディスクが樹脂で形成されているため、コイン搬送中にコインが帯電されるが、第1ガイド部材が電気的に接地されているため、帯電したコインは第1ガイド部材と接触することにより除電される。
【0016】
また本発明の第1の態様のコインホッパでは、第1ガイド部材はベース端部まで延在する第2ガイド壁を有し、第1ガイド部材に対し待機位置および弾出位置に弾性的に接離可能であり、第1ガイド部材と協働してコインを弾き出す第1可動部材と、第1可動部材と連動する第2可動部材とを有する第2ガイド部材を備えている。さらに、第1ガイド部材と第2ガイド部材の第1可動部材とによって弾き出されたコインの移動は、第1ガイド部材と第2ガイド部材、詳細には第1ガイド部材の第2ガイド壁と第2ガイド部材の第2可動部材とによって規制される。換言すれば、コインがコイン通路を通過する過程において、第2可動部材は待機位置まで戻りきらず、第2ガイド壁と第2可動部材との距離がコインの直径より僅かに大きくなる状態に位置するように構成される。すなわちコインはコインの直径とほぼ同じ幅のコイン通路を通過される。したがって、コインが第2ガイド壁に接触して第2可動部材側に反射されても、第2可動部材に接触して第2ガイド壁に向かって跳ね返されるため、コインは第2ガイド壁と接触しつつ、第2ガイド壁と略平行な方向に払い出される。すなわち、コインは払い出される直前まで第1ガイド部材と接触して除電されるため、帯電した状態でコインが払い出される割合が低減される。さらに、コインが払い出される方向がばらつく割合が低減される。
【0017】
本発明の第2の態様は、前記コイン払出センサは略全面を導電性のブラケットで覆われ、前記ブラケットが電気的に接地されることを特徴とする第1の態様に記載のコインホッパである。
【0018】
本発明の第2の態様のコインホッパでは、コイン払出センサを電気的に接地した金属板で覆うことにより、帯電したコインがコイン払出センサに与える影響が低減される。換言すれば、コイン払出センサの誤作動が抑制される。
【0019】
本発明の第3の態様は、前記周壁の少なくとも一部に、導電性を有する周壁形成部材が配置されることを特徴とする本発明の第2の態様に記載のコインホッパである。
【0020】
本発明の第4の態様は、前記第1ガイド部材と前記周壁形成部材とが電気的に接続され、前記周壁形成部材を介して前記第1ガイド部材が電気的に接地されることを特徴とする本発明の第3の態様に記載のコインホッパである。
【0021】
本発明の第3および第4の態様のコインホッパでは、コインはコインの周面をベースの凹部の周壁に接触させながら回転ディスクに押動されるため、凹部の周壁の少なくとも一部を電気的に接地することで、回転ディスクに押動される過程においても、コインが除電される。
【0022】
なお、本明細書で使用する「コイン」は、通貨であるコインの他、ゲーム機のメダルやトークン等の代用貨幣または類似のものを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のコインホッパの斜視図である。
図2】本発明のコインホッパのコイン容器を外した状態の分解斜視図である。
図3】本発明のコインホッパの底面側の斜視図である。
図4】本発明のコインホッパのコイン容器を外した状態の斜視図である。
図5】本発明のコインホッパのホッパベースの表面側の平面図である。
図6】本発明のコインホッパのホッパベースの表面側の分解斜視図である。
図7】本発明のコインホッパのホッパベースの裏面側の平面図である。
図8】本発明のコインホッパのホッパベースの裏面側の分解斜視図である。
図9】本発明のコインホッパのコイン送り通路部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1乃至8を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1乃至4は本発明の第1の実施の形態におけるコインホッパ100を示す斜視図である。図5はホッパベース106の表面202側の平面図であり、図6はホッパベース106の表面202側の分解斜視図である。図7はホッパベース106の裏面203側の平面図であり、図8はホッパベース106の裏面203側の分解斜視図である。図9はコイン送り通路部の拡大平面図である。
【0025】
図1乃至6に示すように、本発明の実施の形態のコインホッパ100は、基台102と、払い出す前の複数個のコインを貯留するコイン容器104と、基台102上で傾斜面状に形成されたホッパベース106と、ホッパベース106とコイン容器104の底部開口部160との間に配置された回転ディスク108と、を備えている。
【0026】
コイン容器104を図1乃至4を参照して説明する。コイン容器104は、少なくとも1枚以上のコインCをバラ積み状態に貯留する機能を有する。コイン容器104の底部開口部160は、後述するホッパベース106の表面202に形成された円形凹部204とほぼ同一径の円筒状であって、ホッパベース106の表面202に対し直交方向に延びている。底部開口部160の上端部は四角形状に拡大する貯留部162が形成され、上端はコイン投入開口部164になっている。コイン容器104の貯留部162と底部開口部160は傾斜壁166によって接続され、その上に乗ったコインCは、重力によって自然滑落し、下方の回転ディスク108上に落下される。本発明の実施例のコイン容器104は非導電性の合成樹脂で構成されている。
【0027】
基台102を図1乃至4を参照して説明する。基台102は非導電性の合成樹脂で構成されている。基台102は其々が互いに平行に配置された第1側壁112および第2側壁114と、第3側壁116および第4側壁118とによって囲まれた中空部(図示せず)を有する矩形筒状に形成されている。前記中空部は回転ディスク108を駆動させる駆動手段やコイン払出し検出手段360などが配置されている。
【0028】
基台102の上部は前記矩形筒状の短辺方向に傾斜した斜面状に形成されている。第1側壁112および第2側壁114のいずれか一方に、該側壁から前記上部より上方に延在する一対の係合部140が形成されている。係合部140には矩形上の貫通孔が形成されており、後述するホッパベース106に形成された突起部と係合されることで、基台102の上部にホッパベース106が保持される。
【0029】
基台102の底面124は、導電性の平板によって形成されている。本発明の実施の形態においては、底面124は金属板で形成されているが、少なくとも底面124を構成する材料が導電性を有していれば、導電性樹脂等で構成されても構わない。
【0030】
第1側壁112の底面124側の略中央部に略コ字状の切欠が設けられ、コインホッパ100を把持するための把持部126が形成されている。
【0031】
第2側壁114の下部にコ字状の切欠128が形成されている。切欠12には底面124と直角の関係を有し、かつ、底面124と一体的に形成された金属板130が設置されている。金属板130の略中央には矩形上の貫通孔132が設けられている。貫通孔132には、回転ディスク108の駆動手段やコイン払出し検出手段などに接続されるワイヤーハーネス13が嵌め込まれている。
【0032】
第4側壁118の下部に矩形上の貫通孔136が形成されている。貫通孔136には底面124に直角の関係を有し、かつ、底面124と一体的に形成された金属板138が配置されている。本発明の実施例では、基台102は非導電性の合成樹脂で構成されているが、金属などの導電性材料で構成されても構わない。
【0033】
ホッパベース106を図5乃至8を参照して説明する。本発明の実施例のホッパベース106は、基台102及びコイン容器104と同様に非導電性の合成樹脂で構成されている。基台102の上部に、所定の厚みを有し、基台102の斜面状の上部と略同じサイズの矩形上のホッパベース106が配置される。ホッパベース106の表面202の略中央部には回転ディスク108が配置される円形凹部204が形成されている。円形凹部204の中心には裏面203まで貫通する第1軸孔208が形成されている。円形凹部204の周壁212はホッパベース106の短辺側のいずれか一方が除去され、略C字状に形成されている。円形凹部204の周壁212の少なくとも勾配の下半分には、周壁212に沿ってホッパベース106を貫通しない溝218が形成されている。溝218には、円形凹部204の底面206から少なくともコインCの厚み以上突出するように金属板で構成さえた周壁形成部材222が挿入されている。周壁形成部材222の回転ディスク108の正転方向FRの上流側端部224は、円形凹部204より外部側に突出し、第1アース線400および第3アース線404に接続された第1アース端子406と共にホッパベース106に螺着されている。他方、周壁形成部材222の回転ディスク108の正転方向FRの下流側端部226は、円形凹部204の外側で切欠部220の底面244に沿うように構成されている。下流側端部226は、底面244に、下流側端部226、第1ガイド部材300、後述するコイン送り通路の上部を覆うカバー部材142の順番に、ホッパベース106に螺着される。このように構成されることで、第1ガイド部材300から下流側端部226と周壁形成部材222と上流側端部224とを経由して第1アース端子406まで電気的にも接続される。
【0034】
円形凹部204の前記略C字状の切欠部側のホッパベース106の側面にコインCの厚みより僅かに大きい高さと直径よりも大きい幅を有する矩形状のスリットからなるコイン払出し口242が形成されている。円形凹部204とコイン払出し口242との間には、回転ディスク108で1枚ずつ分離されたコインCをコイン払出し口242へと送り出すコイン通路240が形成されている。一方、ホッパベース106の裏面203側には、回転ディスク108を回転させる駆動力を発生される駆動モーター252と、駆動モーター252の回転数を減速させる減速機254と、回転ディスク108から放出されるコインを計数するコイン払出し検出手段360が配置されている。
【0035】
回転ディスク108を図5及び6を参照して説明する。円形凹部204の直径より僅かに小さい直径を有する回転ディスク108が配置される。円形凹部204の中心部には、円形凹部204の底面206からホッパベース106の裏面203側まで貫通する第1軸孔208が形成されている。円形凹部204の裏面203側には、回転ディスク108を駆動させる駆動力を提供する駆動モーター252と、回転ディスク108を所定の回転数で回転させるために駆動モーター252で発生した駆動力を減速させる減速機254と、減速機254で所定の回転数まで減速した駆動力を回転ディスクに伝動する回転軸256が配置される。回転軸256は貫通孔136を通してホッパベース106を貫通している。
【0036】
回転ディスク108は、中心部に回転ディスク108を表面258から裏面260まで貫通する第2軸孔262が形成されている。第2軸孔262には、ホッパベース106を裏面203側から貫通した回転軸256が挿入される。回転ディスク108はワッシャーを介して回転軸256に螺着されている。駆動モーター252に動力が加えられると、ホッパベース106の表面202と垂直な関係を有し、かつ、回転ディスク108および回転軸256の中心を通る第1回転軸線L1の周りを回転軸256の回転に伴って回転ディスク108が回転する。
【0037】
回転ディスク108の表面258側の中央部には、表面258から突出した角錐形の攪拌体264が形成されている。攪拌体264の頭頂部は傾斜面266に形成されている。攪拌体264および後述する貫通孔268等の回転ディスク108の表面258に形成された構造物によって、回転ディスク108の回転に伴い回転ディスク108の直上に位置するコインCが攪拌される。本発明の実施の形態では、攪拌体264は角錐形に形成されているが、円錐形に形成されても構わないし、別体の錐形、円柱形、角柱形等の攪拌体などを回転ディスク108上に取り付ける形にしても構わない。
【0038】
攪拌体264の周囲に、第1回転軸線L1を中心とした同心円上に中心を有する貫通孔268が複数個設けられている。貫通孔268の側面、少なくとも回転ディスクの回転方向後方に位置する側面、は回転ディスク108の裏面260から表面258にかけて直径が連続的に大きくなるようにテーパー270が形成されている。コイン容器104に保留されたコインCがテーパー270によって貫通孔268に誘導され、貫通孔268を介してコインCがホッパベース106の円形凹部204の底面206上に落下される。底面206上に落下されたコインCは、回転ディスク108の正転方向FRへの回転によって1枚ずつ分離されながら、回転ディスク108の裏面260に形成された押動部272の押動面274によって所定の出口まで円形凹部204の底面206上を押動される。押動部272は各貫通孔268の間で裏面260から突出して形成されている。押動部272の押動面274は回転ディスク108の中心、すなわち第1回転軸線L1、から放射状にのびるインボリュート曲線に沿って形成されている。押動部272には後述の規制体228が通過のための隙間276が形成されている。
【0039】
回転ディスク108の貫通孔268から落下したコインCが円形凹部204の底面206上を摺動する際のコインCと底面206との間の摩擦係数を低減するために、第1回転軸線L1を中心とした円形の凹溝210が少なくとも1以上形成されている。
【0040】
円形凹部204下方側の底面206と周壁212との境部には、コインの摺動などによって生じるゴミなどの微小な異物が除去されるために、ホッパベース106を貫通する異物除去孔214が形成されている。
【0041】
周壁212が除去された箇所において、回転ディスク108によってコインCが搬送される円形凹部204から分岐し、ホッパベース106の端部に形成されたコイン払出し口242まで延在するコイン通路240が形成されている。コイン通路240の底面244は、円形凹部204の底面206の延在する平面と同一平面に形成されている。
【0042】
コイン通路240を図5乃至8を参照して説明する。コイン通路240の回転ディスク108側の両側部には、固定型の第1ガイド部材300と可動型の第2ガイド部材330が配置されている。
【0043】
第1ガイド部材300は略L字状の金属プレートで形成されている。第1ガイド部材300の回転ディスク108側の第1ガイド壁302は、コインCが円形凹部204の周壁212と連なり、第2ガイド部材330に向けて誘導されるように構成されている。第1ガイド壁302の第2ガイド部材330側の端部の突出部306は、第1ガイド壁302の一部を1辺とした略三角形状に形成され、第1ガイド壁302の先端で形成される角部は円状に丸みを帯びた突出部306が形成されている。突出部306のコイン払出し口242側には、ホッパベース106の端部まで延在する第2ガイド壁304が形成されている。第2ガイド壁304は突出部306のコイン払出し口242側の1辺と連続的、かつ、コイン通路240の幅が一定になるように略矩形状に形成されている。第2ガイド壁304は第2ガイド部材330に対して突出部306よりも遠方に形成されている。換言すると、突出部306と第2ガイド部材330側のコイン通路240の側面との幅よりも、第2ガイド壁304とコイン通路240の前記側面との幅のほうが大きくなるように、突出部306が突出し、第2ガイド壁304が後退するように第1ガイド部材300は形成されている。
【0044】
第2ガイド部材330は第1可動部材332と、第2可動部材336と、第1可動部材332と第2可動部材336とを接続する接続部材340とを含んで構成されている。第1ガイド部材300の突出部306に対向する位置にホッパベース106を貫通する弧状のガイド孔334が形成され、第1可動部材332はホッパベース106の裏面203側からガイド孔334に挿入されている。第1可動部材332はガイド孔334に挿入された状態で往復稼働されるように構成されている。ガイド孔334の第1ガイド部材300側の端部と第1ガイド部材300と反対側の端部が第1可動部材332のストッパとして機能される。
【0045】
コイン払出し口242近傍に第2可動部材336が設けられている。第2可動部材336は、ホッパベース106に形成された弧状貫通孔338に、ホッパベース106の裏面203側から挿入されている。第2可動部材336は弧状貫通孔338に挿入された状態で往復駆動されるように構成されている。換言すると、弧状貫通孔338の第1ガイド部材300側の端部と第1ガイド部材300と反対側の端部が第2可動部材336のストッパとして機能される。
【0046】
第1可動部材332と第2可動部材336とはホッパベース106の裏面203側において、接続部材340を介して接続されている。接続部材340は断面形状が略菱形状の角柱部材により構成されている。第1可動部材332と第2可動部材336とを結ぶ直線(図示せず)上の略中央部に接続部材340を貫通する第2軸孔342が設けられている。接続部材340は第2軸孔342を介してホッパベース106の裏面203側から螺着されている。接続部材340は第2軸孔342の中心を通る第2回軸線L2を軸として回動されるように構成さえている。すなわち、第1可動部材332および第2可動部材336は第2回軸線L2を軸として回動される。
【0047】
第1可動部材332は第1ガイド部材300の突出部306に近づく方向に図示されないバネなどの弾性体で常時付勢されている。すなわち、第1可動部材332は常態ではガイド孔334の第1ガイド部材300側である第1待機位置SP1に保持される。第1待機位置SP1に位置する第1可動部材332と第1ガイド部材300の突出部306との間の距離は、払い出されるコインCの直径より僅かに小さくなるように構成されている。一方、払い出されるコインCによって第1可動部材332が押動されると、第1可動部材332は第1ガイド部材300から遠ざかり、第1弾出位置MP1に移動される。第1弾出位置MP1に位置する第1可動部材332と第1ガイド部材300の突出部306との間の距離は、少なくとも払い出されるコインCの直径とほぼ同等あるいは若干大きくなるように構成されている。なお、本発明の実施の形態において、第1可動部材332はローラーで構成されているが、これに限らず円柱状のロッドなどコインCの移動を妨げないものであれば構わない。
【0048】
第2可動部材336は第1可動部材332と接続部材340によって接続されているため、第1可動部材332の動きに連動して第2可動部材336は移動される。すなわち、第1可動部材332が第1待機位置SP1に保持される時は、第2可動部材336は弧状貫通孔338の第1ガイド部材300と反対側の端部である第2待機位置SP2に保持される。一方、第1可動部材332が第1弾出位置MP1に移動される時、弧状貫通孔338の第1ガイド部材300側の端部である第2移動位置MP2に移動される。第2可動部材336は、コインCが第1ガイド部材300の第2ガイド壁304と第2可動部材336との間を通過する際、第2ガイド壁304と第2可動部材336との距離がコインCの直径よりほぼ同じもしくは若干大きくなる第2中間位置MP4に位置するように構成されている。
【0049】
また、本発明の実施の形態において、第2可動部材336は不正防止部材としての機能を有している。前述のとおり、第1可動部材332が第1弾出位置MP1に移動される時、第2可動部材336は第2移動位置MP2に位置される。したがって、コイン払出し口242から棒状部材などを差し込み、第1可動部材332を第1弾出位置MP1へと押し込み、コインCを不正に払い出させようとしても、第2可動部材336によって前記棒状部材が押され、第1可動部材332の押し込みが阻害される。
【0050】
なお、本発明の実施の形態において、第2可動部材336は円柱状のロッドで構成されているが、これに限らずローラー、角部を丸み面取りした角柱、楕円柱などコインCの移動を妨げないものであれば構わない。
【0051】
次にコイン払出し検出手段360を図7及び8を参照して説明する。コイン払出し検出手段360はカウントセンサ362と被検出部材364とで構成されている。カウントセンサ362は、ホッパベース106の裏面203側、かつ接続部材340の側方にブラケット372を介して取り付けられている。本発明の実施の形態では、カウントセンサ362は少なくとも一対の発光素子368と受光素子370を含んで構成されている。カウントセンサ362は接続部材340側にコ字状切欠366が形成されている。コ字状切欠部366の一方の面には発光素子368が配置され、発光素子368の対面には受光素子370が配置されている。本発明の実施の形態では、発光素子368から照射された光線は常時受光素子370で受光されている。換言すると、常態では受光素子370は図示されない制御部に受光信号を出力し続けている。
【0052】
被検出部材364は非透光性の板状部材で形成されている。被検出部材364はカウントセンサ362のコ字状切欠部366に進退可能な高さで、接続部材340の第2軸孔342部からカウントセンサ362側に突出するよう構成されている。被検出部材364は常態では、発光素子368から受光素子370への光線を遮らないように、カウントセンサ362のコ字状切欠部366から退出している。一方、コインCが払い出される時、換言すると第1可動部材332がコインCによって第1弾出位置MP1に移動される時は、被検出部材364は第1可動部材332の動きに連動してカウントセンサ362のコ字状切欠部366に進入する方向に移動する。カウントセンサ362のコ字状切欠部366に進入した被検出部材364によって前記光線が遮られることになるので、受光素子370から受光信号が出力されなくなる。したがって、前記制御部で受光信号が検出されなくなり、コインCが払い出されたことが検出される。
【0053】
なお、本発明の実施の形態では、受光素子370で常時受光している前記光線を被検出部材364で遮断することで、コインCの払出しを検出しているが、常態で受光素子370の前記光線の受光を遮断し、コインCの払出し時に受光素子370で光線を受光されるように構成しても構わない。また、カウントセンサ362は、マイクロスイッチや磁気センサなどで構成しても構わない。
【0054】
カウントセンサ362は、導電性材料からなる第1ブラケット部材374および第2ブラケット部材376から構成されるブラケット372で全面を覆われている。ブラケット372には、カウントセンサ362のコ字状切欠部366に被検出部材364が進退可能なように、コ字状切欠部366に該当する箇所に切欠が設けられている。ブラケット372は第1アース線400及び第2アース線402が接続された第2アース端子408と共にホッパベース106の裏面203側に螺着されている。そのため、分離、搬送途中に帯電したコインCがカウントセンサ362の近傍を通過し、コインCとカウントセンサ362との間にスパークなどが発生しても、ブラケット372および、第1アース線400と第2アース線402とのいずれか一方を介して除電されるため、カウンタが誤動作を起こす可能性を低減することが可能となる。
【0055】
本発明の実施の形態のコインホッパ100での、コインCの払出し動作に関して説明する。大量のコインCがコイン容器104に貯留される。コインCは回転ディスク108の回転によって、回転ディスク108上のコインCは攪拌されながら、回転ディスク108の貫通孔268を通過して円形凹部204の底面206上に落下される。底面206上に落下されたコインCは回転ディスク108の回転により1枚ずつに分離されながら、回転ディスク106の裏面260側に形成された押動部272によって、コイン通路240に向けて押動される。コイン通路240近傍まで搬送されたコインCは、押動部272によって、第1ガイド部材300の第1ガイド壁302に沿って押動され、第2ガイド部材330の第1待機位置SP1に位置する第1可動部材332に当接する。その後、コインCはさらに押動部272によってコイン通路240側に押動されつつ、コインCによって第1可動部材332が付勢力に逆らい第1弾出位置MP1に向けて移動される。第1可動部材332が第1弾出位置MP1に移動された時、換言すると第1ガイド部材300の突出部306と第1可動部材332との間の距離がコインCの直径と同等あるいは僅かに大きくなった時に、コインCの面内方向の最大部が通過される。第1ガイド部材300の突出部306と第1可動部材332との間をコインCの直径部が通過した後、第1可動部材332は付勢力に対抗する方向にかかっていた力から解放されるため、第1可動部材332は付勢力によって第1待機位置SP1に復帰しようとする。そのため、第1ガイド部材300の突出部306と第1可動部材332とによってコインCは挟まれ、コインCは第1可動部材332に働いている付勢力によってコイン通路240の第1ガイド部材300の第2ガイド壁304に向けて弾き出される。
【0056】
図9に示されるように、第1ガイド部材300の突出部306と第1可動部材332とにより弾き出されたコインCが第1ガイド部材300の第2ガイド壁304に接触する時、第1可動部材332は第1待機位置SP1まで戻りきらずに第1中間位置MP3に位置するように構成されている。換言すると、コインCが第2ガイド壁304に接触する時、第2ガイド壁304に相対する第2可動部材336は第2待機位置SP2まで戻りきっておらず、第2移動位置MP2と第2待機位置SP2との間で、かつ、第2ガイド壁304と第2可動部材336との距離がコインCの直径とほぼ同等もしくは僅かに大きくなる第2中間位置MP4に位置するように構成されている。すなわち、コイン通路240は第2ガイド壁304と第2可動部材336とによって、コインCの直径とほぼ同等もしくは僅かに大きい幅となるため、コインCが第1ガイド部材300の第2ガイド壁304と接触して第2ガイド部材330に向けて跳ね返されても、第2可動部材336によってコインCの跳ね返りが抑制され、第2ガイド壁304とほぼ平行な方向に向けてコイン払出し口242から払い出される。
【0057】
次に、払い出されるコインCの帯電防止対策に関して説明する。コインCは、回転ディスク108の258と接触しながら攪拌され、円形凹部204の底面206上とコイン通路240上とを摺動される。これらの過程においてコインCは帯電される。本発明の実施例のコインポッパー100は、ホッパベース106の円形凹部204の側面部に周壁形成部材222が配置され、周壁形成部材222の上流側端部224が第1アース線400に接続されている。さらに、周壁形成部材222の下流側端部226と第1ガイド部材300とが接触した状態でホッパベース106に螺着されているため、第1ガイド部材300は周壁形成部材222を介して第1アース線400と電気的に接続されている。回転ディスク108で押動されるコインCは、押動される際の遠心力あるいは自重により、周壁形成部材222に接触した状態で第1ガイド部材300に向けて搬送される。すなわち、コインCは周壁形成部材222を介して除電されながら回転ディスク108で搬送される。コイン通路240に到達したコインCは、第1ガイド部材300および第2ガイド部材330によって第1ガイド部材300に向けてはじき出られる。そして、コインCは第1ガイド部材300の第2ガイド面304に衝突した後、コイン払出し口242から払い出される。したがって、コインCが第2ガイド面304に衝突した際に、コインCは除電される。
【0058】
コインCの帯電は、コイン払出し検出手段360のカウントセンサ362に誤作動を起こさせるなどの影響を与えうる。そのため、カウントセンサ362は被検出部材364が挿入される一部を除いて全面を金属板で構成されたブラケット372で覆われている。そのため、第1可動部材332などのカウントセンサ362近傍の部材を介して、帯電されたコインCからカウントセンサ362に対して放電されても、ブラケット372によって保護される。ブラケット372は第1アース線400と第2アース線402に接続された第2アース端子408と共にホッパベース106に螺着されている。第1アース端子406と第2アース端子408とは第1アース線400によって接続されている。したがって、周壁形成部材222とブラケット372とは第1アース線400を介して電気的に接続されている。
【0059】
第2アース端子408に接続されている第2アース線402の他方の端部は、ワイヤーハーネス134に接続されている。ワイヤーハーネス134に接続されるコネクタ(図示せず)の1線をアース線とすることで、帯電されたコインCはワイヤーハーネス134を介して除電される。一方、第1アース端子406に接続された第3アース線404は、第1アース端子406と反対側の端部に第3アース端子410が接続されている。第3アース端子410は外部接続端子412と共に、基台102の金属板で構成された底面124に螺着されている。コインホッパ100を設置する図示されない装置に設けられたアース部材に外部接続端子412あるいは底面124が接続されることで、帯電したコインCが除電される。すなわち、本発明の実施の形態のコインホッパ100では、コインCの攪拌、搬送、払出し中に帯電したコインCの除電は、まず、コインCと第1ガイド部材300や周壁形成部材222が接触することにより、帯電されたコインCから第1ガイド部材300や周壁形成部材222へ放電される。次いで、周壁形成部材222の上流側端部224に接続された第1〜第3アース線400、402、404を介して、第2アース線402が接続されるワイヤーハーネス134、第3アース線404が接続される基台102の底面124、底面124に固定される外部接続端子412の少なくとも何れかに接続された外部のアース部材から除電される。したがって、コインCは除電された状態でコイン払出し口242から払い出される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、パチスロ等のスロットマシンを一例とするコインを使用する遊技機、両替機、自動販売機、券売機などのコイン処理装置との組み合わせで好適に利用できる。
【符号の説明】
【0061】
100 コインホッパ
102 基台
104 コイン容器
106 ホッパベース
108 回転ディスク
112 第1側壁
114 第2側壁
116 第3側壁
118 第4側壁
124 底面(金属板)
126 把持部
128 切欠
130 金属板(第2側面)
132 貫通孔
134 ワイヤーハーネス
136 貫通孔
138 金属板(第4側面)
140 係合部
142 カバー部材
144 支持部材
160 底部開口部
162 貯留部
164 コイン投入開口
166 傾斜壁
202 表面
204 円形凹部
206 底面
208 第1軸孔
210 凹溝
212 周壁
214 異物除去孔
218 溝
220 切欠部
222 周壁形成部材
224 上流側端部
226 下流側端部
228 規制体
240 コイン通路
242 コイン払出し口
244 底面
252 駆動モーター
254 減速機
256 転軸
258 表面
260 裏面
262 第2軸孔
264 攪拌体
266 傾斜面
268 貫通孔
270 テーパー
272 押動部
274 押動面
276 隙間
300 第1ガイド部材
302 第1ガイド壁
304 第2ガイド壁
306 突出
330 第2ガイド部材
332 第1可動部材
334 ガイド孔
336 第2可動部材
338 弧状貫通孔
340 接続部材
342 第2軸孔
360 コイン払出し検出手段
362 カウントセンサ
364 部材
366 コ字状切欠
368 発光素子
370 受光素子
372 ブラケット
374 第1ブラケット部材
376 第2ブラケット部材
400 第1アース線
402 第2アース線
404 第3アース線
406 第1アース端子
408 第2アース端子
410 第3アース端子
C コイン
L1 第1回転軸線
L2 第2回転軸線
FR 正転方向
SP1 第1待機位置
SP2 第2待機位置
MP1 第1弾出位置
MP2 第2移動位置
MP3 第1中間位置
MP4 第2中間位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9