特許第6101954号(P6101954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101954
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】液状化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   A45D34/04 515Z
   A45D34/04 515C
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-177201(P2012-177201)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-33864(P2014-33864A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 行一
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−018315(JP,U)
【文献】 特開平09−272560(JP,A)
【文献】 実開平03−103014(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B65D 51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を収容する収容部及び当該収容部に繋がる開口頚部を備えた容器本体と、前記開口頚部に着脱自在に装着される蓋部と、前記開口頚部の内周側に装着された筒状の扱き部材と、前記蓋部に設けられ当該蓋部が前記容器本体の前記開口頚部に装着されたときに前記扱き部材の筒孔を通して前記容器本体の前記収容部内に進入する軸部及び当該軸部の先端に設けられ前記液状化粧料に浸漬する塗布体を備えた塗布具と、を具備した液状化粧料容器において、
前記扱き部材は、
前記塗布具に付着した余分な液状化粧料を扱き掻き取るための掻き取り部と、
前記掻き取り部より前記収容部側に設けられ、当該扱き部材の前記筒孔を開閉するための逆流防止弁と、を具備し、
前記掻き取り部は、
前記扱き部材の内周面から内側に張り出し、当該扱き部材の軸線に直交する面に対し斜めで一方向に向かって傾斜する傾斜壁と、
この傾斜壁に設けられ前記塗布具の通過を可能とする開口と、を備え、
前記傾斜壁の開口周縁が、前記塗布具の通過の際に当該塗布具を扱き、
前記逆流防止弁は、前記塗布具の通過を可能とするように当該塗布具に接触しながら前記筒孔を開とし、前記塗布具が引き抜かれると前記筒孔を閉とし、
前記逆流防止弁は、前記扱き部材の前記筒孔を閉としたときに、前記扱き部材の前記筒孔を形成している内周面との間の一部に隙間を有し、前記隙間により、前記傾斜壁及び前記開口を有する前記掻き取り部の上方側と、収容部側とが連通することを特徴とする液状化粧料容器。
【請求項2】
前記掻き取り部は、前記逆流防止弁の前記隙間に向かって下り傾斜とされていることを特徴とする請求項記載の液状化粧料容器。
【請求項3】
前記掻き取り部の前記傾斜壁は、前記扱き部材の内周面との間の一部に隙間を有することを特徴とする請求項1又は2記載の液状化粧料容器。
【請求項4】
前記傾斜壁の前記隙間は、当該傾斜壁の傾斜方向下側の周縁に設けられていることを特徴とする請求項記載の液状化粧料容器。
【請求項5】
前記傾斜壁の前記隙間は、当該傾斜壁の傾斜方向上側の周縁に設けられていることを特徴とする請求項記載の液状化粧料容器。
【請求項6】
前記逆流防止弁は、前記扱き部材の一部とヒンジ結合することにより、前記筒孔の開閉を可能とすることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の液状化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化粧料を塗布するための液状化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマスカラ等の液状化粧料を収容する液状化粧料容器として、容器内外を連通する開口頚部の内周面に、筒状の扱き部材を装着し、開口頚部に着脱される蓋部を当該開口頚部から取り外し、蓋部に設けられ容器内に延出する塗布具(塗布体及び当該塗布体を先端に備える軸部)を容器内から引き抜く際に、扱き部材に設けられた掻き取り部の開口周縁で、塗布具に付着した余分な液状化粧料を扱き掻き取る液状化粧料容器が知られている。このような液状化粧料容器にあっては、塗布具が容器内から引き抜かれると、扱き部材の掻き取り部の開口を通して容器内外が連通したままの状態となり、液状化粧料が空気と接触して当該液状化粧料の変質や蒸発を招来し、また、例えば容器が倒れた場合等に容器内の液状化粧料が扱き部材の掻き取り部の開口を通して容器外に漏出してしまうという問題が生じる。
【0003】
そこで、このような問題が生じないように、以下の特許文献1には、扱き栓(扱き部材)の下端で扱き体(掻き取り部)より下の位置に逆止弁を設け、軸及び塗布体(塗布具)が容器内から引き抜かれると、逆止弁が閉となり、容器内外の連通を遮断する技術が開示されている。また、以下の特許文献2には、払拭部材(扱き部材)の扱き部(掻き取り部)より下の位置に、多葉弁又は弁蓋を設け、塗布具が容器内から引き抜かれると、多葉弁又は弁蓋が閉となり、容器内外の連通を遮断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−280669号公報
【特許文献2】実公平6−2607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2にあっては、掻き取り部において塗布具から掻き取った液状化粧料が、掻き取り部を構成する開口の周辺や上下面にダマになって付着して滞留し、液状化粧料を収容する収容部内の液状化粧料の量が減ってしまうと共に、付着し滞留した液状化粧料の性状が変化し、この性状が変化した液状化粧料が塗布具の使用の際に当該塗布具に付いて塗布に供されるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、掻き取り部での液状化粧料の付着・滞留を防止でき、且つ、塗布具が容器内から引き抜かれている間に容器内から液状化粧料が漏出することを防止でき、加えて、掻き取り部で扱き掻き取った液状化粧料を収容部内に容易に返送できる液状化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による液状化粧料容器は、液状化粧料を収容する収容部及び当該収容部に繋がる開口頚部を備えた容器本体と、開口頚部に着脱自在に装着される蓋部と、開口頚部の内周側に装着された筒状の扱き部材と、蓋部に設けられ当該蓋部が容器本体の開口頚部に装着されたときに扱き部材の筒孔を通して容器本体の収容部内に進入する軸部及び当該軸部の先端に設けられ液状化粧料に浸漬する塗布体を備えた塗布具と、を具備した液状化粧料容器において、扱き部材は、塗布具に付着した余分な液状化粧料を扱き掻き取るための掻き取り部と、掻き取り部より収容部側に設けられ、当該扱き部材の筒孔を開閉するための逆流防止弁と、を具備し、掻き取り部は、扱き部材の内周面から内側に張り出し、当該扱き部材の軸線に直交する面に対し斜めで一方向に向かって傾斜する傾斜壁と、この傾斜壁に設けられ塗布具の通過を可能とする開口と、を備え、傾斜壁の開口周縁が、塗布具の通過の際に当該塗布具を扱き、逆流防止弁は、塗布具の通過を可能とするように当該塗布具に接触しながら筒孔を開とし、塗布具が引き抜かれると筒孔を閉とし、逆流防止弁は、扱き部材の筒孔を閉としたときに、扱き部材の筒孔を形成している内周面との間の一部に隙間を有し、隙間により、傾斜壁及び開口を有する掻き取り部の上方側と、収容部側とが連通することを特徴としている。
【0008】
このような液状化粧料容器によれば、扱き部材の掻き取り部は、扱き部材の内周面から内側に張り出し、当該扱き部材の軸線に直交する面に対し斜めで一方向に向かって傾斜する傾斜壁に、塗布具の通過を可能とする開口を設け、この傾斜壁の開口周縁が、塗布具の通過の際に当該塗布具に付着した余分な液状化粧料を扱き掻き取る構成のため、掻き取り部に残った液状化粧料は、傾斜壁の傾斜に従い当該傾斜壁を伝って流れ落ちる。このため、掻き取り部での液状化粧料の付着・滞留を防止できる。また、このように塗布具が容器本体内から引き抜かれ使用者により塗布に供されると、扱き部材において掻き取り部より収容部側に設けられた逆流防止弁が扱き部材の筒孔を閉とするため、この間(塗布具が容器本体内から引き抜かれている間)に、容器本体内から液状化粧料が漏出(逆流)することを防止できる。そして、このように塗布具が容器本体内から引き抜かれている状態では、扱き部材の筒孔を閉としている逆流防止弁と傾斜壁との間の領域に、掻き取り部からの液状化粧料が流れ落ち、この状態で蓋部が開口頚部に装着されると、逆流防止弁は、塗布具が通過し得るように当該塗布具に接触しながら筒孔を開とするため、逆流防止弁と傾斜壁との間の領域の液状化粧料は収容部内に戻される。このため、掻き取り部で扱き掻き取った液状化粧料を収容部内に容易に返送できる。
【0009】
また、逆流防止弁は、扱き部材の筒孔を閉としたときに、扱き部材の筒孔を形成している内周面との間の一部に隙間を有し、隙間により、傾斜壁及び開口を有する掻き取り部の上方側と、収容部側とが連通しているため、傾斜壁を伝って逆流防止弁と傾斜壁との間の領域に流れ落ちた液状化粧料は、蓋部が開口頚部に装着されていなくても、閉じている逆流防止弁の隙間を通して戻され、収容部内に素早く且つ容易に返送できる。
【0010】
また、掻き取り部は、逆流防止弁の隙間に向かって下り傾斜とされていると、掻き取り部の液状化粧料は、傾斜壁を伝い逆流防止弁の隙間に向かって流れ落ち、当該隙間を通して戻され、収容部内に一層素早く且つ容易に返送できる。
【0011】
また、掻き取り部の傾斜壁は、扱き部材の内周面との間の一部に隙間を有していると、塗布具が開口を通過する際に、傾斜壁が変形しやすく、塗布具を扱きやすくなる。
【0012】
また、傾斜壁の隙間は、当該傾斜壁の傾斜方向下側の周縁に設けられていると、傾斜壁上面の液状化粧料は、傾斜壁を伝い当該傾斜壁の傾斜方向下側の周縁に設けられている隙間を通して戻され、逆流防止弁と傾斜壁との間の領域に素早く且つ容易に返送できる。また、この場合は、上記逆流防止弁の隙間が、傾斜壁の隙間と軸線方向に並んでいる(対向している)のが好ましい。このような構成を採用した場合、傾斜壁上面の液状化粧料は、傾斜壁の隙間、逆流防止弁の隙間を通して戻され、収容部内に一層素早く且つ容易に返送できる。
【0013】
また、傾斜壁の隙間は、当該傾斜壁の傾斜方向上側の周縁に設けられていると、逆流防止弁と傾斜壁との間の領域の液状化粧料は、隙間が傾斜壁の傾斜方向下側の周縁に設けられている場合に比して、流れ出る流路が長くなり容器本体外へ漏出し難くなる。また、この場合は、上記逆流防止弁の隙間が、軸線方向視において傾斜壁の隙間と軸線周りに180°離れた位置に位置している(対向していない)のが好ましい。このような構成を採用した場合、収容部内の液状化粧料の流れ出る流路が曲がりくねって一層長くなり容器本体外へ一層漏出し難くなる。
【0014】
ここで、上記開閉作用を効果的に奏する逆流防止弁の構成としては、具体的には、扱き部材の一部とヒンジ結合することにより、筒孔の開閉を可能とする構成が挙げられる。これにより、逆流防止弁を簡易に構成できる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、掻き取り部での液状化粧料の付着・滞留を防止でき、且つ、塗布具が容器本体内から引き抜かれている間に容器本体内から液状化粧料が漏出することを防止でき、加えて、掻き取り部で扱き掻き取った液状化粧料を収容部内に容易に返送できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図である。
図2図1の液状化粧料容器にあって塗布具が掻き取り部の開口を通過する状態を示す縦断面図である。
図3図1の液状化粧料容器にあって塗布具が容器本体内から引き抜かれているときの容器本体を示す縦断面図である。
図4図1図3中の扱き部材を示す斜視図である。
図5図1図3中の扱き部材を示す正面図である。
図6図5に示す扱き部材の平面図である。
図7図5に示す扱き部材の下面図である。
図8図6のVIII-VIII矢視図である。
図9図8のIX-IX矢視図である。
図10図6のX-X矢視図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す斜視図である。
図12図11に示す扱き部材の下面図である。
図13図11に示す扱き部材の縦断面図であり、図8に対応する図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す平面図である。
図15図14のXV-XV矢視図である。
図16】本発明の第4実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す平面図である。
図17図16のXVII-XVII矢視図である。
図18】本発明の第5実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0018】
図1図10は、本発明の第1実施形態を、図11図13は、本発明の第2実施形態を、図14及び図15は、本発明の第3実施形態を、図16及び図17は、本発明の第4実施形態を、図18は、本発明の第5実施形態を各々示すものであり、先ず、図1図10に示す第1実施形態を説明する。
【0019】
図1は、第1実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図、図2は、塗布具が掻き取り部の開口を通過する状態を示す縦断面図、図3は、塗布具が容器本体内から引き抜かれているときの容器本体を示す縦断面図、図4図10は、扱き部材を示す各図であり、図1に示すように、本実施形態の液状化粧料容器100は、使用者により液状化粧料Lを被塗布部である顔等に塗布するときに用いられるものである。液状化粧料Lは、ここでは、特に好適であるとして、リップグロスとされているが、例えばマスカラやネイルオイル等の他の液状化粧料であっても勿論良く、種々の液状化粧料を採用できる。
【0020】
液状化粧料容器100は、液状化粧料Lを収容する容器本体1と、この容器本体1に着脱自在に装着された塗布具付きキャップである蓋部2と、を概略具備している。
【0021】
容器本体1は、ここでは、硬い樹脂製又は金属製とされ、液状化粧料Lを収容するための収容部3と、この収容部3の上部に一体に連設され当該収容部3に繋がる開口頚部4と、を備える。収容部3は、有底円筒状に構成されその内部に液状化粧料Lを収容し、開口頚部4は、収容部3より小径の円筒状に構成されて同軸に配置されると共に、収容部3の上端部の縮径する段差部(所謂肩部)12を介して繋がり、その筒内が収容部3内に連通する構成とされている。
【0022】
開口頚部4には、その外周面に、蓋部2を着脱自在に螺合するための雄螺子5が形成されている。また、開口頚部4には、蓋部2の後述する塗布具11に付着している余分な液状化粧料Lを扱き掻き取るための円筒状の扱き部材20(詳しくは後述)が圧入により装着されている。
【0023】
蓋部2は、有底円筒状に構成され、その開口端側の内周面に、開口頚部4の外周面の雄螺子5に螺合する雌螺子7を備えている。そして、蓋部2は、その雌螺子7を雄螺子5に螺合することで、容器本体1に対して着脱自在に装着される。
【0024】
この蓋部2には、塗布具11が設けられている。この塗布具11は、蓋部2内から容器本体1の収容部3側(図示下方)に突出する軸部9と、この軸部9の先端に設けられた塗布体10と、を備えている。
【0025】
軸部9は、蓋部2より小径の円柱体を成し、扱き部材20の筒孔を通過可能とされている。
【0026】
塗布体10は、ここでは、リップグロス用のチップとされている。なお、液状化粧料Lをマスカラとした場合には、塗布体10としてマスカラブラシ等を用いることができ、また、液状化粧料Lをネイルオイルとした場合には、塗布体10としてチップを用いることができ、さらに、液状化粧料Lに応じて、塗布体として、例えば、筆穂、ブラシ、刷毛、コーム等の種々のアプリケータを用いることができる。
【0027】
そして、蓋部2が容器本体1の開口頚部4に螺子5,7の螺合により装着されると(蓋部2が締められると)、軸部9は、扱き部材20の筒孔を通して容器本体1の収容部3内に進入し、塗布体10は、収容部3に貯留されている液状化粧料Lに浸漬する構成とされている。
【0028】
扱き部材20は、弾性材より成る一体成形品であり、例えば、TPU、TPE、ゴム材、軟質PP、軟質PE、シリコンゴム、軟質エラストマー等から成形される。この扱き部材20は、好ましくは一体成形品であるが、二体成形品であっても良い。そして、扱き部材20は、略円筒状を呈し、その上端に円環状の鍔部19を有する。
【0029】
鍔部19は、その下端面が開口頚部4の上端面に当接することで、扱き部材20のそれ以上下方への移動を阻止する。この鍔部19上には、蓋部2が容器本体1の開口頚部4に装着されたときに、蓋部2の内側の面18と密着する気密用の環状突起15が設けられている(図5図8図10参照)。
【0030】
また、扱き部材20は、その下部側の外周面に円環状の段差部13を有する(図5図8図10参照)。この段差部13は、開口頚部4の内周面より拡径して容器本体1の収容部3内に位置し容器本体1の段差部12の内面16に対して軸線方向に係合し(対面し)、これにより、扱き部材20のそれ以上上方への移動を阻止する抜け止めとして機能する。
【0031】
斯くの如く、扱き部材20は、その上部側の鍔部19と下部側の段差部13とにより、開口頚部4を上下から挟む構成とされている。
【0032】
ここで、特に本実施形態の扱き部材20は、図1及び図4図10に示すように、筒孔内で底部寄りの下部に掻き取り部21を備えると共に、底部に逆流防止弁26を備える。
【0033】
掻き取り部21は、扱き部材20の内周面から内側に張り出し、当該扱き部材20の軸線に直交する面に対し斜めに傾斜する傾斜壁22と、この傾斜壁22に設けられ塗布具11の通過を可能とする開口23と、を有する構成とされている。
【0034】
開口23は、平面視(軸線方向視)において円形を成し軸線方向に貫通する孔23aと、この孔23aの周面で周方向に90°離間した位置からそれぞれ外方に向かって直線状に延び軸線方向に貫通する4本のスリット23bと、により構成される(図6及び図8図10参照)。そして、傾斜壁22の開口周縁24が、塗布具11の通過の際に当該塗布具11を扱くように機能する。
【0035】
逆流防止弁26は、扱き部材20の筒孔を開閉するためのもので、円板状に形成され、扱き部材20の一部とヒンジ29により結合されている(図4図7及び図8参照)。このヒンジ29は、下面視において1/4円程度の円弧状を成し、傾斜壁22の傾斜方向上側の位置に対向する位置に設けられている。そして、逆流防止弁26は、ヒンジ29が有する弾発力により当該ヒンジ29を支点として、扱き部材20の筒孔を底側から蓋し塞ぐように構成される。なお、ヒンジ29を肉厚とすることで弾発力をより強くし、扱き部材20の筒孔を閉とするのが好ましい。
【0036】
このように逆流防止弁26は、扱き部材20の一部とヒンジ結合することにより構成されているため、簡易に構成できる。
【0037】
そして、逆流防止弁26は、ヒンジ29を支点として、塗布具11の通過を可能とするように当該塗布具11に接触しながら扱き部材20の筒孔を開とし、塗布具11が引き抜かれるとヒンジ29の弾発力により扱き部材20の筒孔を閉とするように機能する。
【0038】
次に、上記液状化粧料容器100を使用する場合について説明する。
【0039】
先ず、使用者は、図1に示す状態から、蓋部2を回し螺子5,7の螺合を解除しながら引き上げ、当該蓋部2を容器本体1から取り外す。
【0040】
このとき、図2に示すように、扱き部材20の掻き取り部21の開口23を蓋部2の塗布具11が通過し(図6参照)、弾性材より成る傾斜壁22の開口周縁24が捲り上げられながら当該開口周縁24により、塗布具11の特に塗布体10に付着した余分な液状化粧料Lが扱き掻き取られる。
【0041】
この状態で、掻き取り部21に残った液状化粧料Lは、傾斜壁22の傾斜に従い当該傾斜壁22を伝って流れ落ち、掻き取り部21での液状化粧料Lの付着・滞留を防止できる。
【0042】
このようにして、使用者により塗布具11が容器本体1内から引き抜かれ塗布に供されている間にあっては、図3に示すように、逆流防止弁26がヒンジ29の弾発力により扱き部材20の筒孔を閉とするように閉じるため(逆流防止弁26が閉じるため)、容器本体1内から液状化粧料Lが漏出することを防止できる。特に、塗布具11が容器本体1内から引き抜かれている間において容器本体1が倒れても、上述のように、逆流防止弁26により液状化粧料Lの漏出を防止できるため、このような場合に効果的である。
【0043】
また、このように塗布具11が容器本体1内から引き抜かれている状態では、扱き部材20の筒孔を閉としている逆流防止弁26と傾斜壁22との間の領域Aに、掻き取り部21(傾斜壁22)からの液状化粧料Lが流れ落ちる。
【0044】
そして、使用者が、塗布体10に付着した液状化粧料Lの塗布を終え、蓋部2を取り出し時とは逆方向に回し螺子5,7を螺合させながら当該蓋部2が開口頚部4に装着されると、図1に示すように、逆流防止弁26は、塗布具11が通過し得るように当該塗布具11に接触しながら筒孔を開とするため、逆流防止弁26と傾斜壁22との間の領域Aの液状化粧料Lは収容部3内に戻され、従って、掻き取り部21で扱き掻き取った液状化粧料Lを収容部3内に容易に返送できる。
【0045】
このように、本実施形態の液状化粧料容器100によれば、掻き取り部21での液状化粧料Lの付着・滞留を防止でき、且つ、塗布具11が容器本体1内から引き抜かれている間に容器本体1内から液状化粧料Lが漏出することを防止でき、加えて、掻き取り部21で扱き掻き取った液状化粧料Lを収容部3内に容易に返送できる。
【0046】
図11は、本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す斜視図、図12は、図11に示す扱き部材の下面図、図13は、図11に示す扱き部材の縦断面図であり、図8に対応する図である。
【0047】
この第2実施形態の扱き部材30が第1実施形態の扱き部材20と違う点は、第1実施形態の逆流防止弁26を、扱き部材の内周面との間の一部に隙間37を有する逆流防止弁36に代えた点である。
【0048】
隙間37は、ヒンジ29を除く部分に設けられ、逆流防止弁36が扱き部材30の筒孔を閉としているときに(逆流防止弁36が閉じているときに)、下面視において3/4円程度の円弧状の隙間を成すように設けられている。
【0049】
このような第2実施形態によれば、逆流防止弁36は、扱き部材30の筒孔を閉としたときに、扱き部材30の内周面との間の一部に隙間37を有しているため、傾斜壁22を伝って逆流防止弁36と傾斜壁22との間の領域Aに流れ落ちた液状化粧料Lは、蓋部2が開口頚部4に装着されていなくても、閉じている逆流防止弁36の隙間37を通して戻され、収容部3内に素早く且つ容易に返送できる。
【0050】
また、掻き取り部21(傾斜壁22)は、隙間37に向かって下り傾斜とされているため、掻き取り部21の液状化粧料Lは、傾斜壁22を伝い逆流防止弁36の隙間37に向かって流れ落ち、当該隙間37を通して戻され、収容部3内に一層素早く且つ容易に返送できる。
【0051】
図14は、本発明の第3実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す平面図、図15は、図14のXV-XV矢視図である。
【0052】
この第3実施形態の扱き部材40が第2実施形態の扱き部材30と違う点は、第2実施形態の傾斜壁22を、扱き部材の内周面との間の一部に隙間25を有する傾斜壁32に代えた点である。そして、この傾斜壁32及び隙間25、上記開口23により掻き取り部31が構成されている。
【0053】
隙間25は、傾斜壁32の傾斜方向下側の周縁に設けられ、平面視において1/4円程度の円弧状の隙間を成すように設けられている。
【0054】
このような第3実施形態によれば、傾斜壁32は、扱き部材40の内周面との間の一部に隙間25を有しているため、塗布具11が掻き取り部31の開口23を通過する際に、傾斜壁32(掻き取り部31)が変形しやすく、塗布具11を扱きやすくなっている。
【0055】
また、傾斜壁32の隙間25は、当該傾斜壁32の傾斜方向下側の周縁に設けられているため、傾斜壁32上面の液状化粧料Lは、傾斜壁32を伝い当該傾斜壁32の傾斜方向下側の隙間25を通して戻され、逆流防止弁36と傾斜壁32との間の領域Aに素早く且つ容易に返送できる。また、逆流防止弁36の隙間37が、傾斜壁32の隙間25と軸線方向に並んでいるため(対向しているため)、傾斜壁32上面の液状化粧料Lは、傾斜壁32の隙間25、逆流防止弁36の隙間37を通して戻され、収容部3内に一層素早く且つ容易に返送できる。
【0056】
図16は、本発明の第4実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す平面図、図17は、図16のXVII-XVII矢視図である。
【0057】
この第4実施形態の扱き部材50が第3実施形態の扱き部材40と違う点は、第3実施形態の傾斜壁32を、傾斜方向上側の周縁のみに隙間35を有する傾斜壁42に代えた点である。そして、この傾斜壁42及び隙間35、上記開口23により掻き取り部41が構成されている。
【0058】
このような第4実施形態によれば、傾斜壁42は、扱き部材40の内周面との間の一部に隙間35を有しているため、塗布具11が掻き取り部41の開口23を通過する際に、第3実施形態と同様に、傾斜壁42(掻き取り部41)が変形しやすく、塗布具11を扱きやすくなっているという作用・効果に加えて、傾斜壁42の隙間35は、当該傾斜壁42の傾斜方向上側の周縁に設けられているため、逆流防止弁36と傾斜壁42との間の領域Aの液状化粧料Lは、隙間25が傾斜壁32の傾斜方向下側の周縁に設けられている第3実施形態に比して、流れ出る流路が長くなり容器本体1外へ漏出し難くできる。また、この場合は、逆流防止弁36の隙間37が、軸線方向視において傾斜壁42の隙間35と軸線周りに180°離れた位置に位置しているため(対向していないため)、収容部3内の液状化粧料Lの流れ出る流路がステップ状に曲がりくねって一層長くなり容器本体1外へ一層漏出し難くできる。
【0059】
なお、第3、第4実施形態においては、逆流防止弁36を、扱き部材の内周面との間の一部に隙間37を有する逆流防止弁36としているが、第1実施形態で説明した隙間を有しない逆流防止弁26であっても良い。
【0060】
図18は、本発明の第5実施形態に係る液状化粧料容器の扱き部材を示す平面図である。
【0061】
この第5実施形態の扱き部材60が第1、第2実施形態の扱き部材20,30と違う点は、開口23に代えて、平面視において十字状を成し軸線方向に貫通するスリットのみから成る開口33を用いた点である。
【0062】
このような開口33を用いても、その開口周縁34により、塗布具11の通過の際に、塗布具11に付着した余分な液状化粧料Lを扱き掻き取ることができる。なお、開口33は、第3、第4実施形態の扱き部材40,50に対しても勿論適用可能である。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、好ましいとして、容器本体1を硬い樹脂製又は金属製としているが、容器本体1の収容部3を変形可能な弾性体としスクイーズ性を有するものとしても良い。このような液状化粧料容器では、塗布具を収容部内から引き抜いた状態で、スクイーズ性を有する収容部を使用者が手で持って押してしまうと、当該収容部内の液状化粧料が押圧され扱き部材の筒孔を通して容器外に漏出してしまうため、上記実施形態の構成を採用し漏出を防止するのが特に有効である。
【符号の説明】
【0064】
1…容器本体、2…蓋部、3…収容部、4…開口頚部、9…軸部、10…塗布体、11…塗布具、20,30,40,50,60…扱き部材、21,31,41…掻き取り部、22、32,42…傾斜壁、23,33…開口、24,34…開口周縁、25,35…傾斜壁の隙間、26,36…逆流防止弁、37…逆流防止弁の隙間、29…ヒンジ、100…液状化粧料容器、A…逆流防止弁と傾斜壁との間の領域、L…液状化粧料。
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