特許第6102008号(P6102008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6102008ニトリル‐ブタジエンゴム、オイルおよび樹脂をベースとするゴム組成物を含む靴底
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102008
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ニトリル‐ブタジエンゴム、オイルおよび樹脂をベースとするゴム組成物を含む靴底
(51)【国際特許分類】
   A43B 1/10 20060101AFI20170316BHJP
   C08L 9/02 20060101ALI20170316BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20170316BHJP
   A43B 13/04 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A43B1/10
   C08L9/02
   C08L101/00
   A43B13/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-547875(P2014-547875)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公表番号】特表2015-506735(P2015-506735A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2012075604
(87)【国際公開番号】WO2013092429
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】1162355
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】ラポ−ブリュネ ソフィア
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3405719(JP,B2)
【文献】 特開2004−329518(JP,A)
【文献】 特開2013−28650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/10
A43B 13/04
C08L 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記:
・60〜100phrのニトリル−ブタジエンゴム;
・10phrと50phrの間の量の補強用充填剤;
・20℃よりも高いTgを有する炭化水素系樹脂、及びTgが−20℃よりも低い、20℃において液体である可塑剤を含む可塑化系;並びに
・架橋系、
を含むゴム組成物を含む靴底。
【請求項2】
前記ニトリル−ブタジエンゴムが、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(NBR)である、請求項1記載の靴底。
【請求項3】
前記可塑化系が、4phrと30phrの間の含有量Aの、20℃よりも高いTgを有する炭化水素系樹脂を含む、請求項1又は2記載の靴底。
【請求項4】
前記可塑化系が、4phrと30phrの間の含有量Bの、Tgが−20℃よりも低く、20℃において液体である可塑剤を含む、請求項1〜3の記載のいずれか1項記載の靴底。
【請求項5】
前記炭化水素系樹脂が、シクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C9留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、α‐メチルスチレンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜のいずれか1項記載の靴底。
【請求項6】
前記液体可塑剤が、植物油である、請求項記載の靴底。
【請求項7】
前記ゴム組成物が、前記ニトリル‐ブタジエンゴム以外の第2のジエンエラストマーも含む、請求項1〜のいずれか1項記載の靴底。
【請求項8】
前記ゴム組成物が、最大で20phrの前記第2ジエンエラストマーを含む、請求項記載の靴底。
【請求項9】
前記補強用充填剤が、カーボンブラック、シリカ、またはカーボンブラックとシリカの混合物を含む、請求項1〜のいずれか1項記載の靴底。
【請求項10】
補強用充填剤の含有量が、10phrと40phrの間の量である、請求項記載の靴底。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底およびそのような靴底の製造において使用することのできるゴム組成物に関する。本発明は、例えば、液体または固形異物、例えば、特にリノリウム(登録商標)材、ワニス塗りタイル、研磨石、金属表面から製造された合成フローリングのような天然または合成の極めて滑らかなコーティングによって自然に滑り易くなった床上で、特に、これらの表面が、液体(水、油、脂肪、血液、石鹸等)によって湿ったりまたは濡れたり或いは泥または氷で覆われたりさえしたときに、良好なグリップ性を必要とする靴、特に、作業靴、安全靴またはスポーツ靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴底は、知られている通り、多くのしばしば相反する技術的要件を満たさなければならない;これらの要件のうちには、種々の床品質上でのグリップ性、耐摩耗性、切欠抵抗性(notch resistance)、並びに合成および天然炭化水素の低吸収性がある。
【0003】
諸性質に関するこれらの妥協点は、特に、ニトリルゴムをベースとする新規な組成物を使用することによって得ることができる。ニトリルゴムは、炭化水素類を弱吸収する能力を有する。オイル製品に対する優れた耐性に加え、ニトリルゴムは、脂肪族溶媒、さらにまた、動物または植物油および油脂に対する好ましい挙動を有する。
【0004】
しかしながら、ニトリルゴムは、特に剛性である。ニトリルゴムの剛性を低めるには、充填剤含有量を減じるか或いは可塑剤含有量を増大させることが可能である。
しかしながら、ニトリルゴムの低オイル吸収能力によれば、導入し得る可塑剤の量は限られる。
【発明の概要】
【0005】
研究の続行中、本出願人は、特定の可塑剤の組合せと組合せたニトリル‐ブタジエンゴムを含み、靴底として使用するゴム組成物を見出した;この組成物は、上記の欠点を克服し、従って、種々の床上で良好なグリップ性を担保すると共に良好な耐摩耗性を保持することを可能にする。
【0006】
従って、本発明の第1の主題は、60〜100phrのニトリル−ブタジエンゴム、10phrと50phrの間の量の補強用充填剤、20℃よりも高いTgを有する炭化水素系樹脂、Tgが−20℃よりも低い、20℃において液体である可塑剤を含む可塑化系、および架橋系を含むゴム組成物を含む靴底に関する。
【0007】
本発明、さらにまた、本発明の利点は、以下の説明および典型的な実施態様、さらにまたこれらの実施例に関連する図1〜3(これらの3つの図面においては、本発明に従う靴底の例を上から略図的に示している)に照らせば、容易に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】上から見た“星型トレッド”タイプの靴底1の製造の好ましい例、さらにまた、この靴族内での実施可能なブロック2の位置付けを極めて略図的に示している(特に、特定の縮尺によっていない)。
図2-3】図1に示した靴底が、エラストマー材料の基部を含み、その少なくとも1つの領域には、その下面から浮上って地面と接触する接触ブロック2を備えていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I. 使用する測定および試験法
本発明に従う靴底において使用するゴム組成物、さらにまた、これらの靴底自体は、硬化後、下記に示すようにして特性決定する。
【0010】
I‐1. 引張試験
試験標本の作成および測定を行うのに使用する手順は、規格ISO 37に従う。使用するダンベル型試験標本は、タイプ2である。
これらの試験は、弾性応力および破断点諸性質を測定することを可能にする。破断点伸び(%でのEB)および破壊応力(MPaでのBS)を測定する。これらの引張試験は、全て、フランス規格ISO 37に従い、温度(23±2℃)および湿度(50±5%相対湿度)の標準条件下に実施する。
【0011】
I‐2. ショアA硬度
硬化後の組成物のショアA硬度は、規格ISO 48に従って評価する。
【0012】
I‐3. 磨耗試験
磨耗試験は、Satra Technology Centre研究所のSATRA TM 174法(1994年)に従って実施する。この試験は、磨耗面上に塗付けたエラストマー組成物のサンプルのmm3で表す容積減を測定することからなる。
【0013】
I‐4. 炭化水素吸収性測定
ゴム組成物のサンプルが吸収した炭化水素の量を、Satra Technology Centre研究所のSATRA TM 63法(2009年)に従って測定する。炭化水素系溶媒の2,2,4−トリメチルペンタン中に23℃で24時間浸漬した後にサンプルがオイル吸収した量を測定する。
【0014】
I‐5. 摩擦係数の測定
摩擦係数の測定試験は、Satra Technology Centre研究所のSATRA TM 144法(2007年)に従って、靴底において実施する。
0.3と1.25の間の摩擦係数値においては、歩行者は、全く安全に移動し得る。0.3よりも低いと、歩行者がスリップするリスクが高過ぎ、1.25よりも高いと、グリップ性が高過ぎて、歩行者は関節問題を発症し得る。
【0015】
II. 発明の詳細な説明
本出願においては、知られている通り、
・用語“ジエンエラストマー”(または、区別することなく、“ジエンゴム”)は、
ジエンモノマー(1種以上) (即ち、2個の共役型または非共役型炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー(1種以上))に少なくとも1部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味することを意図する。
・用語“phr”は、エラストマー(数種のエラストマーが存在する場合は、エラストマー全体)の100質量部当りの質量部を意味する。
【0016】
さらにまた、本説明においては、他で明確に断らない限り、示す全ての百分率(%)は、質量%である;さらに、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、“a”よりも大きく“b”よりも小さい値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、“a”から“b”までに及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
【0017】
結果として、本発明に従う靴底は、60〜100phrのニトリル−ブタジエンゴム、10phrと50phrの間の量の補強用充填剤、20℃よりも高いTgを有する炭化水素系樹脂、Tgが−20℃よりも低い、20℃において液体である可塑剤を含む可塑化系、および架橋系を含むゴム組成物を含むという本質的な特徴を有する。
【0018】
II‐1. ニトリル‐ブタジエンゴム
本発明に従う靴底のゴム組成物は、60〜100phrのニトリル‐ブタジエンゴムを含む。
ニトリル‐ブタジエンゴムは、定義によれば、少なくとも1種のニトリルモノマーと少なくとも1種のニトリルモノマー、即ち、ニトリル官能基を担持するモノマーとをベースとするコポリマーである。
【0019】
ニトリル‐ブタジエンゴムは、その耐炭化水素特性について知られている。この耐性は、ニトリルモノマー対ブタジエンモノマーの比率の増大に従って増進する。好ましくは、上記ニトリルゴムは、25質量%と45質量%の間の量のニトリルモノマーを含む。
ニトリルモノマーは、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルアクリロニトリル、クロトノニトリル、2−ペンテノニトリルまたはこれらの化合物の混合物であり、これらのうちでは、アクリロニトリルが好ましい。
【0020】
55質量%と75質量%の間のブタジエン含有量においては、上記ニトリル‐ブタジエンゴムは、数層のエラストマー層を含む靴底の場合、取囲みゴム組成物による最適のグリップ性を有することが判明した;55質量%よりも低いと、グリップ性は、不十分であるとみなされている。
【0021】
適しているブタジエンモノマーは、特に、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル‐1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエンまたはこれらジエン類の混合物である。これらの共役ジエンのうちでは、好ましくは1,3−ブタジエンまたは2−メチル−1,3−ブタジエン、より好ましくは1,3−ブタジエンを使用する。
【0022】
もう1つの好ましい実施態様によれば、ニトリル‐ブタジエンゴムは、0℃〜−60℃の範囲内、より好ましくは−5℃〜−50℃の範囲内に含まれるガラス転移温度(Tg、ASTM D3418に従って測定)を有する。Tgは、特に、これらの温度範囲内に、上記ポリマー内に存在するブタジエンの量によって調整し得る。
【0023】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、上記ニトリルゴムは、NBRゴムである。従って、NBRは、10質量%と60質量%の間、好ましくは20質量%と50質量%の間、特に25質量%と45質量%の間のニトリルモノマー含有量を有する。NBRは、商業的に入手可能であって、特に、Lanxess社から品名Perbunam 3445Fとして販売されている;この製品は、ほぼ34質量%のアクリロニトリルを含む。
【0024】
また、もう1つの特定の実施態様によれば、本発明に従う靴底のゴム組成物は、上記ニトリル‐ブタジエンゴム以外の少なくとも1種の第2ジエンエラストマーも含む;この任意構成成分としてのエラストマーは、0〜40phrの含有量で、好ましくは0〜20phrの含有量で存在する。
【0025】
上記第2ジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー (SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー (BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー (SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー (SBIR)、およびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる。
【0026】
さらに好ましくは、上記第2ジエンエラストマーは、天然ゴム、ポリブタジエンおよびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれる。
これらの第2ジエンエラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列またはミクロ序列エラストマーであり得、分散液中または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤或いは官能化剤によってカップリングおよび/または星型枝分れ化或いは官能化し得る。
【0027】
以下は、特に適している:4%と80%の間の1,2−単位含有量(モル%)を有するポリブジエンまたは80%よりも多いシス−1,4−単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、0℃と−70℃の間、特に−10℃と−60℃の間のTg (ガラス転移温度、ASTM D3418に従い測定)、5質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のスチレン含有量、4%と75%の間のブタジエン成分1,2−結合含有量(モル%)および10%と80%の間のトランス−1,4−結合含有量(モル%)を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のTgを有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および−25℃と−50℃の間のTgを有するコポリマー。
【0028】
もう1つの特定の実施態様によれば、上記第2ジエンエラストマーは、イソプレンエラストマーである。イソプレンコポリマーのうちでは、特に、イソブテン/イソプレン(ブチルゴム;IIR)、イソプレン/スチレン(SIR)、イソプレン/ブタジエン(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレン(SBIR)の各コポリマーが挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス‐1,4‐ポリイソプレンである;これらの合成ポリイソプレンのうちでは、好ましくは、90%よりも多い、さらに好ましくは98%よりも多いシス‐1,4‐結合含有量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。
【0029】
II‐2. 補強用充填剤
上記靴底は、もう1つの本質的な特徴として、10phrと50phrの間、好ましくは10phrと40phrの間の量の補強用充填剤(カーボンブラックおよび/またはシリカのような補強用無機充填剤)を含む。10phrよりも少ないと、靴底の固着性が不十分であると判断されており、50phrよりも多いと、靴底が過度に剛性になるリスクが存在する。
【0030】
ゴム物品、特に、靴底またはタイヤの製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの補強用充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、シリカのような補強用無機充填剤、またはこれら2つのタイプの充填剤のブレンド、特に、カーボンブラックとシリカとのブレンドを使用することができる。
【0031】
全てのカーボンブラック、特に、“タイヤ級”ブラックが、カーボンブラックとして適している。さらに詳細には、後者のうちでは、例えばN115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラックのような、100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック(ASTM級)、或いは、目標とする用途次第では、より高級シリーズのブラック類(例えば、N660、N683またはN722)が挙げられる。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、イソプレンエラストマー中に既に混和させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
【0032】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO‐A‐2006/069792号、WO‐A‐2006/069793号、WO‐A‐2008/003434号およびWO‐A‐2008/003435号に記載されているような官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0033】
用語“補強用無機充填剤”とは、本特許出願においては、定義によれば、カーボンブラックに対比して“白色充填剤”、“透明充填剤”として或いは“非黒色充填剤”としてさえも知られており、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、ゴム物品の製造を意図するゴム組成物を補強し得る、換言すれば、通常のタイヤ級カーボンブラックとその補強役割において置換わり得る任意の無機または鉱質充填剤(その色合およびその由来(天然または合成)にかかわらない)を意味するものと理解すべきである;そのような充填剤は、一般に、知られている通り、その表面でのヒドロキシル(−OH)基の存在に特徴を有する。
【0034】
補強用無機充填剤を供給する物理的状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な高密度化形のいずれの形状であれ重要ではない。勿論、補強用無機充填剤は、種々の補強用無機充填剤、特に、下記で説明するような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤の混合物も意味することも意図する。
【0035】
シリカ質タイプの鉱質充填剤、特にシリカ(SiO2)、またはアルミナ質タイプの鉱質充填剤、特にアルミナ(Al2O3)は、補強用無機充填剤として特に適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/gであるBET比表面積とCTAB比表面積を有する任意の沈降またはヒュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)としては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;または、出願 WO 03/16837号に記載されているような高比表面積を有するシリカ類が挙げられる。
【0036】
使用する補強用無機充填剤は、特にシリカである場合、好ましくは45m2/gと400m2/gの間、より好ましくは60m2/gと300m2/gの間のBET比表面積を有する。
【0037】
知られている通り、無機補強用充填剤をジエンエラストマーにカップリングさせるためには、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学的および/または物理的性質の満足し得る結合をもたらすことを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)、特に、二官能性のオルガノシラン類またはポリオルガノシロキサン類を使用する。
特に、例えば、出願WO 03/002648号(またはUS 2005/016651号)およびWO 03/002649号(またはUS 2005/016650号)に記載されているような、その特定の構造に応じて“対称”または“非対称”と称するシランポリスルフィド類を使用する。
【0038】
特に適しているのは、以下の定義に限定されることなく、下記の一般式(I)に相応する“対称”と称するシランポリスルフィドである:
(I) Z‐A‐Sx‐A‐Z
[式中、xは、2〜8(好ましくは2〜5)の整数であり;
Aは、二価の炭化水素系基(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、特にC1〜C10、特にC1〜C4アルキレン、特にプロピレン)であり;
Zは、下記の式の1つに相応する:
【化1】

(式中、R1基は、置換されているかまたは置換されてなく、互いに同一または異なるものであって、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキルまたはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、特にC1〜C4アルキル基、特にメチルおよび/またはエチル)を示し;
R2基は、置換されているかまたは置換されてなく、互いに同一または異なるものであって、C1〜C18アルコキシルまたはC5〜C18シクロアルコキルシル基(好ましくはC1〜C8アルコキシルおよびC5〜C8シクロアルコキシルから選ばれる基、さらにより好ましくはC1〜C4アルコキシル、特にメトキシルおよびエトキシルから選ばれる基)を示す]。
【0039】
上記式(I)に相応するアルコキシシランポリスルフィド類の混合物、特に、通常の商業的に入手可能な混合物の場合、“x”指数の平均値は、好ましくは2と5の間の、より好ましくはほぼ4の分数である。しかしながら、本発明は、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x = 2)によっても有利に実施し得る。
【0040】
さらに詳細には、シランポリスルフィドの例としては、例えば、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドのようなビス((C1〜C4)アルコキシル(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)が挙げられる。これらの化合物のうちでは、特に、TESPTと略記し式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2を有するビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、またはTESPDと略記し式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2を有するビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを使用する。また、好ましい例としては、特許出願WO 02/083782号(またはUS 2004/132880号)に記載されているような、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)、より具体的には、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
【0041】
上記アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤としては、特に、特許出願WO 02/30939号(またはUS 6 774 255号)およびWO 02/31041号(またはUS 2004/051210号)に記載されているような、二官能性POS (ポリオルガノシロキサン)類またはヒドロキシシランポリスルフィド類(上記式VIIIにおいて、R2 = OH)、或いは、例えば、特許出願WO 2006/125532号、WO 2006/125533号およびWO 2006/125534号に記載されているような、アゾジカルボニル官能基を担持するシランまたはPOS類が挙げられる。
【0042】
本発明に従うゴム組成物においては、カップリング剤の含有量は、好ましくは4phrと12phrの間、より好ましくは4phrと8phrの間の量である。
【0043】
当業者であれば、この項において説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として、もう1つの性質、特に、有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤が、シリカのような無機層によって被覆されているか或いはその表面に官能性部位、特に、ヒドロキシル部位を含んでいて、上記充填剤とエラストマー間の結合を形成するのにカップリング剤の使用を必要とすることを条件として使用することができることを理解されたい。
【0044】
II‐3. 可塑剤
本発明に従う靴底の組成物は、下記を含む可塑化系を含むという他の本質的な特徴を有する:
・20℃よりも高いTgを有する炭化水素系樹脂;
・Tgが−20℃よりも低い、20℃において液体である可塑剤。
【0045】
好ましくは、上記可塑化系は、4phrと30phrの間の含有量Aの、20℃よりも高いTgを有する炭化水素系樹脂を含む。
好ましくは、上記可塑化系は、4phrと30phrの間の含有量Bの、Tgが−20℃よりも低くて20℃において液体である可塑剤を含む。
さらにより好ましくは、含有量AおよびBの総計は、8phrと40phrの間の量である。
【0046】
上記液体可塑剤は、20℃で液体である;上記液体可塑剤は、“低Tg”可塑剤として説明される、即ち、上記液体可塑剤は、−20℃よりも低い、好ましくは−40℃よりも低いTgを有する。
【0047】
任意の増量剤オイル、ジエンエラストマーに対するその可塑化特性について知られている任意の液体可塑剤を使用し得る。周囲温度(20℃)において、これらの可塑剤またはこれらのオイル類は、おおよそ粘稠であり、特に周囲温度において本来固体である可塑化用炭化水素系樹脂と対比して、液体(即ち、注釈すれば、最終的にその容器の形を取る能力を有する物質)である。
【0048】
液体ジエンポリマー、ポリオレフィンオイル、パラフィン系オイル、DAE (留出物芳香族系抽出物(Distillate Aromatic Extract))オイル、MES (中度抽出溶媒和物(Medium Extracted Solvate))オイル、TDAE(処理留出物芳香族系抽出物(Treated Distillate Aromatic Extract))オイル、RAE (残留芳香族抽出物(Residual Aromatic Extract))オイル、TRAE (処理残留芳香族抽出物(Treated Residual Aromatic Extract))オイルおよびSRAE (安全残留芳香族抽出物(Safety Residual Aromatic Extract))オイル、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤、スルホネート可塑剤およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる液体可塑剤は、特に適している。1つのさらに好ましい実施態様によれば、液体可塑剤は、MESオイル、TDAEオイル、植物油およびこれらオイル類の混合物からなる群から選ばれる。さらにより好ましくは、上記液体可塑剤は、植物油である。
【0049】
本発明の好ましい実施態様によれば、液体可塑剤、特に、石油は、非芳香族タイプである。液体可塑剤は、その液体可塑剤が、可塑剤総質量に対して、3質量%未満の多環式芳香族化合物の含有量(IP 346法に従うDMSO中での抽出物によって測定した)を示す場合に、非芳香族として説明される。このことに関しては、好ましくは、MESオイル、TDAEオイル、パラフィン系オイルおよびこれらのオイルの混合物からなる群から選ばれる液体可塑剤を使用し得る。また、低含有量の多環式化合物を含むRAEオイル、TRAEオイル、SRAEオイルまたはこれらのオイルの混合物も、石油として適している。
【0050】
もう1つの特定の実施態様によれば、液体可塑剤は、テルペン誘導体である;例としては、特に、Yasuhara社からの製品Dimaroneを挙げることができる。
【0051】
また、例えば、ポリブテン;ポリジエン、特に、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンとイソプレンのコポリマー、ブタジエンまたはイソプレンとスチレンのコポリマー;およびこれら液体ポリマーの混合物からなる群から選ばれる液体ポリマーのような、オレフィン類またはジエン類の重合から得られる液体ポリマーも適している。そのような液体ポリマーの数平均モル質量は、好ましくは500g/モル〜50000g/モル、より好ましくは1000g/モル〜10000g/モルの範囲内である。特に、例えば、Sartomer社からのRicon製品を挙げることができる。
【0052】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、液体可塑剤は、植物油である。好ましくは、アマニ油、ベニバナ油、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油、ナタネ油、ヒマシ油、キリ油、マツ油、ヒマワリ油、ヤシ油、オリーブ油、ココナツ油、ピーナツ油およびグレープシードオイル、並びにこれらのオイルの混合物からなる群から選ばれるオイル、特に、ヒマワリ油を使用する。この植物油、特に、ヒマワリ油は、より好ましくは、オレイン酸リッチのオイルである、即ち、この植物油に由来する脂肪酸(数種存在する場合は、脂肪酸全体)は、オレイン酸を、少なくとも60%に等しい質量画分で、さらにより好ましくは少なくとも70%に等しい、特に80%以上の質量画分で含む。
【0053】
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、上記液体可塑剤は、エーテルである;例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを挙げることができる。
【0054】
また、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤、スルホネート可塑剤およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる液体可塑剤も適している。カルボン酸、リン酸またはスルホン酸の各トリエステルおよびこれらトリエステルの混合物からなる群から選ばれるトリエステルは、特に適している。カルボン酸エステル可塑剤の例としては、特に、トリメリテート、ピロメリテート、フタレート、1,2‐シクロヘキサンジカルボキシレート、アジペート、アゼレート、セバケート、グリセリントリエステルおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる化合物を挙げることができる。上記トリエステルのうちでは、好ましくは、不飽和C18脂肪酸、即ち、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびこれらの酸の混合物からなる群から選ばれる脂肪酸から主として(50質量%よりも多く、より好ましくは80質量%よりも多くにおいて)なるグリセリントリエステルを挙げることができる;さらに好ましくは、合成または天然いずれの由来であれ、使用する脂肪酸は、60質量%よりも多くにおいて、さらにより好ましくは70質量%よりも多くにおいてオレイン酸をからなる。高オレイン酸含有量を有し、天然または合成由来のそのようなトリエステル(トリオレアート)は、周知である;トリエステル類は、例えば、出願WO 02/088238号において、タイヤ用のトレッドにおける可塑剤として説明されている。ホスフェート可塑剤としては、12個と30個の間の炭素原子を含むホスフェート可塑剤、例えば、リン酸トリオクチルを挙げることができる。
【0055】
上記可塑化用炭化水素系樹脂は、20℃よりも高いTgを有する。
“樹脂”なる名称は、本特許出願においては、定義によれば、特に上述した液体可塑剤とは対照的に、周囲温度(20℃)において固体である化合物に対して使用される。
【0056】
炭化水素系樹脂は、当業者にとって周知のポリマーであって、本質的には炭素と水素をベースとするが他のタイプの原子も含み得る;これらの樹脂は、特に、ポリマーマトリックス中で可塑剤または粘着付与剤として使用し得る。炭化水素系樹脂は、使用する含有量において、真の希釈剤として作用するように、意図するポリマー組成物と本来混和性(即ち、相溶性)である。炭化水素系樹脂は、例えば、R. Mildenberg、M. ZanderおよびG. Collin (New York, VCH, 1997, ISBN 3‐527‐28617‐9)による“Hydrocarbon Resins”と題した著作物に記載されており、その第5章は、炭化水素系樹脂の特にゴムタイヤ分野の用途に当てられている(5.5. "Rubber Tires and Mechanical Goods")。炭化水素樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族であり得、或いは脂肪族/芳香族タイプ、即ち、脂肪族および/または芳香族モノマーをベースとし得る。炭化水素系樹脂は、石油系(その場合、石油樹脂の名称で知られている)または石油系でない天然または合成物であり得る。炭化水素系樹脂のTgは、好ましくは30℃よりも高く、特に30℃と95℃の間である。
【0057】
また、知られているとおり、これらの炭化水素系樹脂は、これらの樹脂が加熱したときに軟化し、従って、成形することができる点で、熱可塑性樹脂とも説明し得る。また、炭化水素系樹脂は、軟化点または軟化温度によっても定義し得る。炭化水素系樹脂の軟化点は、一般に、そのTg値よりも約50〜60℃高い。軟化点は、規格ISO4625 (環球法)に従って測定する。マクロ構造(Mw、MnおよびPI)は、以下で示すようなサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定する。
【0058】
注釈すれば、SEC分析は、例えば、溶液中の巨大分子を、それら分子のサイズに従い、多孔質ゲルを充填したカラムによって分離することからなる;巨大分子は、それら分子の流体力学的容積に従い分離し、最大嵩高物が最初に溶出する。分析すべきサンプルを、前もって、適切な溶媒、即ち、テトラヒドロフラン中に、1g/リットルの濃度で単純に溶解する。その後、溶液を、0.45μmの有孔度を有するフィルターにより、装置に注入する前に濾過する。使用する装置は、例えば、以下の条件に従う“Waters Alliance”クロマトグラフィー系である:溶出溶媒 テトラヒドロフラン;温度 35℃;濃度 1g/リットル;流量 1ml/分;注入容量 100μl;ポリスチレン標準によるムーア較正;直列の3本“Waters”カラムセット(“Styragel HR4E”、“Styragel HR1”および“Styragel HR 0.5”);操作用ソフトウェア(例えば、“Waters Millenium”)を備え得る示差屈折計(例えば、“Waters 2410”)による検出。
【0059】
ムーア較正は、低PI (1.2よりも低い)を有し、既知のモル質量を有し、分析すべき質量範囲に亘る1連の市販ポリスチレン標準によって実施する。質量平均モル質量(Mw)、数平均モル質量(Mn)および多分散性指数(PI = Mw/Mn)を、記録したデータ(モル質量の質量による分布曲線)から推定する。本特許出願において示されたモル質量についての全ての値を、そのようにして、ポリスチレン標準によって描いた較正曲線と対比する。
【0060】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記炭化水素系樹脂は、下記の特徴の少なくともいずれか1つ、より好ましくは全てを有する:
・20℃よりも高い(特に30℃と100℃の間の)、より好ましくは30℃より高い(特に30℃と95℃の間の)Tg;
・50℃よりも高い(特に50℃と150℃の間の)軟化点;
・400g/モルと2000g/モルの間、好ましくは500g/モルと1500g/モルの間の数平均モル質量(Mn);
・3よりも低い、好ましくは2よりも低い多分散性指数(PI) (注釈:PI = Mw/Mn;Mwは質量平均モル質量である)。
【0061】
そのような炭化水素系樹脂の例としては、シクロペンタジエン(CPDと略記する)のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPDと略記する)のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C9留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、α‐メチルスチレンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる炭化水素系樹脂を挙げることができる。上記のコポリマー樹脂のうちでは、さらに詳細には、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、(D)CPD/C9留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれるコポリマー樹脂を挙げることができる。
【0062】
用語“テルペン”は、この場合、知られている通り、α‐ピネンモノマー、ベータ‐ピネンモノマーおよびリモネンモノマーを包含する。好ましくは、リモネンモノマーを使用する;この化合物は、知られている通り、3種の可能性ある異性体の形で存在する:L‐リモネン(左旋性鏡像体)、D‐リモネン(右旋性鏡像体)或いはジペンテン、即ち、右旋性鏡像体と左旋性鏡像体のラセミ体混合物。ビニル芳香族モノマーとして適するのは、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、オルソ‐メチルスチレン、メタ‐メチルスチレン、パラ‐メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert‐ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンおよびC9留分(または、より一般的にはC8〜C10留分)に由来する任意のビニル芳香族モノマーである。
【0063】
さら具体的には、(D)CPDホモポリマー樹脂、(D)CPD/スチレンコポリマー樹脂、ポリリモネン樹脂、リモネン/スチレンコポリマー樹脂、リモネン/D(CPD)コポリマー樹脂、C5留分/スチレンコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる樹脂を挙げることができる。
【0064】
上記樹脂は、全て、当業者にとって周知であり、商業的に入手可能であって、例えば、ポリリモネン樹脂に関しては、DRT社から品名Dercolyteとして販売されており;C5留分/スチレン樹脂またはC5留分/C9留分樹脂に関しては、Neville Chemical Company社から品名Super Nevtacとして、Kolon社から品名“Hikorez”として、またはExxon Mobil社から品名Escorezとして;或いは、Struktol社から品名40 MSまたは60 NS (芳香族および/または脂肪族樹脂の混合物)として;或いは、Spa Comaredo社から品名Resin ROM 10Rとして転売されて、Slantsy Russie社から販売されている。
【0065】
II‐4. 各種添加剤
また、上記靴底のエラストマー組成物は、例えば、化学オゾン劣化防止剤または酸化防止剤のような保護剤;粘着付与樹脂;補強用樹脂;メチレン受容体または供与体;イオウまたはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドのいずれかをベースとする架橋系;加硫促進剤;または加硫活性化剤のようなタイヤ用のゴム組成物において慣用的に使用されている通常の添加剤の全部または1部も含み得る。
【0066】
また、上記靴底組成物は、カップリング剤を使用する場合のカップリング活性化剤、無機充填剤を使用する場合の無機充填剤の被覆用薬剤、或いは、知られている通り、ゴムマトリックス中での充填剤の分散性を改良し且つ組成物の粘度を低下させることによって、未硬化状態における加工性を改良することのできるより一般的な加工助剤も含有し得る;これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シランまたはヒドロキシシラン、ポリオール、ポリエーテル、アミンまたはヒドロキシル化もしくは加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
【0067】
I‐5. ゴム組成物の製造
本発明に従う靴底において使用する組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の2つの連続する製造段階、即ち、110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階)、並びに、その後の典型的には110℃よりも低い、例えば、40℃と100℃の間の低めの温度まで機械加工する第2段階(“生産”段階)を使用して製造することができ、この仕上げ段階において架橋系を混入する。
【0068】
そのような組成物の製造方法は、例えば、下記の段階を含む:
・ミキサー内で、少なくとも80〜100phrのニトリル‐ブタジエンゴム中に、第1段階(“非生産”段階)において、10phrと50phrの間の量の補強用充填剤、可塑化用樹脂および液体可塑剤を、110℃と190℃の間の最高温度に達するまで混合物全体を熱機械的に混練することによって混和する段階(例えば、1回以上);
・混合物全体を100℃よりも低い温度に冷却する段階;
・その後、第2段階(“生産”段階)において、架橋系を混入する段階;
・混合物全体を110℃よりも低い最高温度まで混練する段階。
【0069】
例えば、上記非生産段階は、1回の熱機械工程で実施し、その間に、先ず、全ての必要なベース構成成分(ニトリル‐ブタジエンゴム、補強用充填剤)を、標準の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入し、次いで、その後、例えば1〜2分間の混錬後、架橋系を除いた、可塑剤、任意構成成分としての充填剤被覆用のさらなる薬剤または任意構成成分としてのさらなる加工助剤を導入する。この非生産段階における総混錬時間は、好ましくは1分と15分の間の時間である。
【0070】
そのようにして得られた混合物を冷却した後、架橋系を、この場合は、オープンミルのような開放ミキサー内に導入し、低温(例えば、40℃と100℃の間の温度)に維持する。その後、混ぜ合せた混合物を、数分間、例えば、2分と15分の間の時間混合する(生産段階)。
【0071】
架橋系自体は、好ましくは、イオウと、一次加硫促進剤、特に、スルフェンアミドタイプの促進剤とをベースとする。この加硫系に、各種既知の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等が加わって来て、上記第1非生産段階中および/または上記生産段階中に混和する。イオウ含有量は、好ましくは、0.5phrと3.0phrの間の量であり、また、一次促進剤の含有量は、好ましくは、0.5phrと5.0phrの間の量である。
【0072】
(一次または二次)促進剤としては、イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾールタイプの促進剤およびその誘導体、並びにチウラムおよびジチオカルバミン酸亜鉛タイプの促進剤を使用することができる。これらの促進剤は、さらに好ましくは、2‐メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(“MBTS”と略記する)、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”と略記する)、N,N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”と略記する)、N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”と略記する)、N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”と略記する)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(“ZBEC”と略記する)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。好ましくは、スルフェンアミドタイプの一次促進剤を使用する。
【0073】
その後、得られた最終組成物は、例えば、シート(このシートから靴底の形に切取る)または特に実験室での特性決定のためのプラークの形にカレンダー加工する。
本発明は、未硬化状態(即ち、硬化前)および硬化状態(即ち、架橋または加硫後)双方の上述した靴底に関する。
【0074】
II‐6. 本発明に従う靴底
従って、上記のゴム組成物は、任意のタイプの靴底において、特に、“星型トレッド”タイプの彫刻を有する作業靴底(特許出願WO 2010/040755号に記載されている)において使用する。この靴底は、特に、安全またはスポーツ靴として使用し得る。
【0075】
図1は、上から見た“星型トレッド”タイプの靴底1の製造の好ましい例、さらにまた、この靴底内での実施可能なブロック2の位置付けを極めて略図的に示している(特に、特定の縮尺によっていない)。
【0076】
図2および3においては、上略図的に示した靴底は、エラストマー材料の基部を含み、その少なくとも1つの領域には、その下面から浮上って地面と接触する接触ブロック2を備えている。
【0077】
図2においては、上記靴底の縦方向Lと横方向lに対して同じパターン配向手法が維持されるならば、各々6点星型形状のブロック2は、全て、双方向で主として縱方向に配向した2個のステム3とこれも双方向で横方向に配向している1個のステム4を有することに注目されたい。
【0078】
図3に関しては、図2の彫刻を有するブロック2は、3および4のような6個のステムを含み、ブロック2の中心8から外側に向って放射状に延びている3本のスリット5によって3個の基本スラブ7に分割されていることが分かる。これらのスリット5の各々は、ブロック2をその近隣ブロックから隔てている溝6中に、ブロック2の主要部上の2個の隣接ステム3および4の接点に位置する凹部9において開口している。各基本スラブ7自体は、シェブロン形状に配置された2個の隣接ステム3または4を含む。
【実施例】
【0079】
III. 本発明の実施例
III‐1. 組成物の製造
以下の試験を次の方法で実施する:上記ニトリル‐ブタジエンゴム、上記補強用充填剤、上記可塑剤、さらにまた、加硫系を除いた各種他の成分を、初期容器温度が約80℃である密閉ミキサーに連続して導入する(最終充填率:約80容量%〜95容量%)。その後、熱機械的加工(非生産段階)を1工程で実施する;この段階は、155℃の最高“落下”温度に達するまで合計でおよそ3〜5分間続く。そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、その後、イオウとスルフェンアミドタイプの促進剤を30℃のミキサー(ホモ・フィニッシャー)内で混入し、全てを適切な時間(例えば、5分と12分の間の時間)混合する(生産段階)。
【0080】
その後、そのようにして得られた組成物をその物理的または機械的性質の測定のためのゴムのプラーク(2〜3mmの厚さ)または薄シートの形にカレンダー加工するか、或いは靴底の形に押出加工する。
【0081】
III‐2. ゴム試験
以下の試験により、種々の表面積と接触する本発明に従う靴底の優れた機械的性質、グリップ性、炭化水素吸収抵抗性および耐摩耗性を実証する。
これらの試験の必要のために、靴底用の5通りのゴム組成物、即ち、本発明に従う3通り(以下、C.3〜C.5で示す)および本発明に従わない2通り(対照組成物、以下、C.1およびC.2で示す)を、上記で示したようにして製造した。これら組成物の配合(phrで示す)は、下記の表1に示している。
【0082】
上記ゴム組成物は、全て、100phrのNBRと20phrのシリカをベースとする。
組成物C.1は、通常の対照組成物であり、可塑剤として、10phrの液体パラフィンを含む。10phrは、滲出現象を観察する可能性なしでNBRエラストマー中に混和させることのできる液体パラフィンの最高量である。組成物C.2は、もう1つの対照組成物であり、10phrのオレイン酸ヒマワリ植物油である異なる可塑剤を含む。
【0083】
組成物C.3〜C.5は、本発明に従うエラストマー組成物であり、2種類の可塑剤、即ち、液体可塑剤(85質量%のオレイン酸を含有する10phrのヒマワリ油)と、それぞれ5phr、15phrおよび30phrの可塑化用炭化水素系樹脂(C5/C9樹脂)との混合物を含む。これらの組成物においては、可塑剤の合計量は10phrよりも多いが、滲出現象は観察されていない。
硬化(加硫)後のこれら組成物の性質は、下記の表2に要約している。
【0084】
先ずは最初に、組成物C.3〜C.5は、硬化後、対照組成物C.1およびC.2の破壊特性も高い破壊特性(破断点伸び EBおよび破壊応力 BS)を示していることに注目されたい;上記の高い破壊特性は、これら組成物の機械的性質における改良の、当業者が認識している指標である。
【0085】
本発明に従う組成物C.3〜C.5のショアA硬度の測定は、2つのタイプの可塑剤、即ち、液体可塑剤と炭化水素系樹脂の組合せの使用により、対照組成物C.1およびC.2の値よりも低い値を示している。そのような値は、可塑剤の上記組合せが、混合物中に実際に混和していると共に靴底の可塑剤の外に向っての滲出現象を発生させていないという事実を立証している。
【0086】
さらにまた、容積減測定の結果は、組成物C.3およびC.4が150よりも低い値を有することを示している;この値は、Satra Technology Centre研究所によって定義された靴底磨耗に関する許容し得る限界値を代表する。150よりも低い容積減測定値を有するこれらの組成物は、全て、50よりも高いショアA硬度を有している。
組成物C.5は、150mm3よりもはるかに高い容積減値を有しており、過度の磨耗を立証している。この組成物は、靴底の製造において必要とする基準を満たしていない。
【0087】
炭化水素吸収測定を、組成物C.1〜C.5において実施した。これらの組成物は、2の吸収係数を有している;この吸収係数は、この値が、Satra Technology Centre研究所が許容限界として推奨する値12よりもはるかに低いことから、低い炭化水素吸収性を代表している。
【0088】
III‐3. 靴底における試験
この試験は、“星型トレッド”タイプの彫刻を含み、エラストマー組成物C.1〜C.5によって製造し、種々の表面と接触する本発明に従う靴底間の摩擦係数の測定を可能にする。試験は、3mmの高さを有し且つ2.1mm深さの切込みを含む彫刻ブロックを有する靴底において実施した。
【0089】
表面のタイプにかかわらず、摩擦係数は、全て、少なくとも0.3に等しいかまたはそれよりの高く(下記の表3参照)、上記靴底のこれら各種表面上での良好なグリップ性を示していることに注目されたい。
【0090】
要するに、これらの試験の結果は、ニトリル‐ブタジエンゴムと、2種類の可塑剤、即ち、液体可塑剤および樹脂の特定の含有量での混合物とをベースとするエラストマー組成物の使用が、種々の床面上で良好なグリップ性を有すると共に良好な耐摩耗性および低炭化水素吸収性を保持する靴底を得ることを可能にしていることを実証している。
【0091】
表1
(1) NBR (Lanxess社からのNBR (Perbunan 3445F);
(2) シリカ (Evonik社からのUltrasil VN3 GR);
(3) TESTPカップリング剤 (Degussa社からのSi69);
(4) オレイン酸ヒマワリ油 (Novance社からのLubrirob Tod 1880);
(5) 高Tg C5/C9樹脂 (Spa Comaredo社からのROM 10R):
(6) DPG = ジフェニルグアニジン (Flexsys社からのPerkacit DPG);
(7) イソブチルメチルスチレンフェノール (Eliokem社からのWingtay S);
(8) Stearine (Uniquema社からのPristerene);
(9) 酸化亜鉛 (工業級;Umicore社から);
(10) N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド (Flexsys社からのSantocure CBS);
(11) ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛 (Performance Additives社からのPerkacit ZBEC)。
【0092】
表2
【0093】
表3
【符号の説明】
【0094】
1 靴底
2 ブロック
3,4 ステム
5 スリット
6 溝
7 基本スラブ
8 ブロックの中心
9 ステムの接点
図1
図2
図3