特許第6102060号(P6102060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102060
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/06 20060101AFI20170316BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 27/115 20170101ALI20170316BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   G11C17/00 633D
   G11C17/00 633E
   G11C17/00 633B
   H01L27/08 321E
   H01L27/08 321L
   H01L27/10 434
   H01L27/10 481
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-37267(P2012-37267)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-171612(P2013-171612A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100163832
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正通
(72)【発明者】
【氏名】汐留 俊介
(72)【発明者】
【氏名】松田 洋行
(72)【発明者】
【氏名】今井 保則
【審査官】 堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−214495(JP,A)
【文献】 米国特許第5973963(US,A)
【文献】 国際公開第2010/077233(WO,A1)
【文献】 特表2012−514379(JP,A)
【文献】 特開平11−176180(JP,A)
【文献】 特開2013−150219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/06
H01L 21/8238
H01L 27/092
H01L 27/10
H01L 27/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワード線の何れかに各々接続された複数の不揮発性メモリセルからなる不揮発性メモリセルアレイと、行アドレスに基づいてワード線の選択を行う行選択回路と、を含む半導体集積回路において、
前記行選択回路は、
与えられた行アドレスと予め定められたアドレスとが一致するか否かに応じて第1の論理信号を出力するゲート部と、
第1の高電位側電源ノードの電圧と低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第1の論理信号に応じて選択し、第2の論理信号として出力する第1レベルシフタと、
第2の高電位側電源ノードの電圧または前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第1の中間電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、高電位側論理信号として出力するとともに、前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第2の中間電圧または前記低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、低電位側論理信号として出力する第2レベルシフタと、
前記高電位側論理信号および前記低電位側論理信号に基づいて第3の高電位側電源ノードと前記低電位側電源ノードの何れか一方を選択してワード線に接続する選択手段と、
を有し、
前記第1レベルシフタは、
前記第2の論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第1の分離手段、
を有し、
前記第2レベルシフタは、
前記第2の高電位側電源ノードに各々のソースが接続され、相手のドレインが各々のゲートに接続された第1および第2のPチャネルトランジスタと、
前記第1および第2のPチャネルトランジスタの各ドレインに各々のソースが接続され、各々のゲートに第1のバイアス電圧が与えられることによって、前記高電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第1の中間電圧を下回らないように当該出力ノードを低電位側から分離する第2の分離手段として機能する第3および第4のPチャネルトランジスタと、
前記第2の中間電圧と前記低電位側電源ノードの電圧とが電源電圧として与えられる第1および第2のインバータであって、前記第2の論理信号を反転して出力する第1のインバータおよび前記第1のインバータの出力信号を反転して出力する第2のインバータと、
前記第3のPチャネルトランジスタのドレインと前記第1のインバータの出力ノードとの間に介挿される第1のNチャネルトランジスタおよび前記第4のPチャネルトランジスタのドレインと前記第2のインバータの出力ノードとの間に介挿される第2のNチャネルトランジスタであって、各々のゲートに第2のバイアス電圧が与えられることによって、前記低電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第3の分離手段として機能する第1および第2のNチャネルトランジスタと
記第3のPチャネルトランジスタに並列に接続された第3のNチャネルトランジスタおよび前記第4のPチャネルトランジスタに並列に接続された第4のNチャネルトランジスタであって、各々のゲートに与えられる第3のバイアス電圧によってオン/オフが切り替えられ、前記第2の分離手段によって前記高電位側論理信号の出力ノードを低電位側から分離しないときはオンとされ、逆に分離するときにはオフとされる第3および第4のNチャネルトランジスタと、
を有し、
前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電圧に基づいて前記高電位側論理信号を出力し、前記第2のインバータの出力信号に基づいて前記低電位側論理信号を出力する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記第2レベルシフタは、
所定の第4のバイアス電圧が各々のゲートに与えられることによって各々定電流源として動作する第5および第6のPチャネルトランジスタであって、前記第1のPチャネルトランジスタに並列に接続された第5のPチャネルトランジスタと、前記第2のPチャネルトランジスタに並列に接続された第6のPチャネルトランジスタと、
を有し、
前記第1のPチャネルトランジスタのドレイン電圧の低下を前記第5のPチャネルトランジスタの出力電流によって補償し、前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電圧の低下を前記第6のPチャネルトランジスタの出力電流によって補償する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
複数のワード線の何れかに各々接続された複数の不揮発性メモリセルからなる不揮発性メモリセルアレイと、行アドレスに基づいてワード線の選択を行う行選択回路と、を含む半導体集積回路において、
前記行選択回路は、
与えられた行アドレスと予め定められたアドレスとが一致するか否かに応じて第1の論理信号を出力するゲート部と、
第1の高電位側電源ノードの電圧と低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第1の論理信号に応じて選択し、第2の論理信号として出力する第1レベルシフタと、
第2の高電位側電源ノードの電圧または前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第1の中間電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、高電位側論理信号として出力するとともに、前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第2の中間電圧または前記低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、低電位側論理信号として出力する第2レベルシフタと、
前記高電位側論理信号および前記低電位側論理信号に基づいて第3の高電位側電源ノードと前記低電位側電源ノードの何れか一方を選択してワード線に接続する選択手段と、
を有し、
前記第1レベルシフタは、
前記第2の論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第1の分離手段、
を有し、
前記第2レベルシフタは、
前記高電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第1の中間電圧を下回らないように当該出力ノードを低電位側から分離する第2の分離手段と、
前記低電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第3の分離手段と、
前記第2の分離手段と並列に設けられるスイッチであって、前記第2の分離手段によって前記高電位側論理信号の出力ノードを低電位側から分離しないときはオンとされ、逆に分離するときにはオフとされるスイッチと、
を有する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
前記第2レベルシフタは、前記高電位側論理信号の出力ノードに対して電流を供給し、リーク電流による当該出力ノードの電圧降下を補償する補償手段をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記選択手段は、
前記高電位側論理信号がゲートに与えられるPチャネルトランジスタと前記低電位側論理信号の反転信号がゲートに与えられるNチャネルトランジスタとを並列接続したCMOSスイッチと、前記低電位側論理信号がゲートに与えられるNチャネルトランジスタとを前記第3の高電位側電源ノードと前記低電位側電源ノードとの間に直列に介挿してなり、
前記低電位側論理信号がゲートに与えられるNチャネルトランジスタのドレインと前記CMOSスイッチとの共通接続点の電圧をワード線に出力する
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
複数のワード線の何れかに各々接続された複数の不揮発性メモリセルからなる不揮発性メモリセルアレイと、行アドレスに基づいて前記複数のワード線のうちの1本を選択する行選択回路と、を含む半導体集積回路において、
前記行選択回路は、
与えられた行アドレスと予め定められたアドレスとが一致するか否かに応じて第1の論理信号を出力するゲート部と、
第1の高電位側電源ノードの電圧と低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記ゲート部の出力信号に応じて選択し、第2の論理信号として出力する第1レベルシフタと、
第2の高電位側電源ノードの電圧または前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第1の中間電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、高電位側論理信号として出力するとともに、前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第2の中間電圧または前記低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、低電位側論理信号として出力する第2レベルシフタと、
前記高電位側論理信号および前記低電位側論理信号に基づいてワード線の選択を行う選択手段と、
を備え、
前記第1レベルシフタは、
前記第2の論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第1の分離手段、
を有し、
前記第2レベルシフタは、
前記高電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第1の中間電圧を下回らないように当該出力ノードを低電位側から分離する第2の分離手段と、
前記低電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第3の分離手段と、
を有し、
前記不揮発性メモリセルへのデータの書き込みを行う場合には、前記第2の高電位側電源ノードの電圧を前記第1の高電位側電源ノードの電圧よりも高くするとともに前記第1、第2および第3の分離手段による出力ノードの分離を行い、前記不揮発性メモリセルに記憶されたデータの消去を行う場合には、前記第2の高電位側電源ノードの電圧を前記第1の高電位側電源ノードの電圧と同じにし、さらに前記低電位側電源ノードの電圧を0または負の電圧にするとともに、前記第1、第2および第3の分離手段による出力ノードの分離を行い、前記不揮発性メモリセルからのデータの読み出しを行う際には、前記第1、第2および第3の分離手段による出力ノードの分離を行わず、かつ前記第2の高電位側電源ノードの電圧を前記第1の高電位側電源ノードの電圧と同じにする
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
前記第2レベルシフタは、
前記第2の高電位側電源ノードに各々のソースが接続され、相手のドレインが各々のゲートに接続された第1および第2のPチャネルトランジスタと、
前記第1および第2のPチャネルトランジスタの各ドレインに各々のソースが接続され、各々のゲートに第1のバイアス電圧が与えられることによって前記第2の分離手段として機能する第3および第4のPチャネルトランジスタと、
前記第2の中間電圧と前記低電位側電源ノードの電圧とが電源電圧として与えられる第1および第2のインバータであって、前記第2の論理信号を反転して出力する第1のインバータおよび前記第1のインバータの出力信号を反転して出力する第2のインバータと、
前記第3のPチャネルトランジスタのドレインと前記第1のインバータの出力ノードとの間に介挿される第1のNチャネルトランジスタおよび前記第4のPチャネルトランジスタのドレインと前記第2のインバータの出力ノードとの間に介挿される第2のNチャネルトランジスタであって、各々のゲートに第2のバイアス電圧が与えられることによって前記第3の分離手段として機能する第1および第2のNチャネルトランジスタと、
を備え、
前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電圧に基づいて前記高電位側論理信号を出力し、前記第2のインバータの出力信号に基づいて前記低電位側論理信号を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記第2レベルシフタは、
前記第3のPチャネルトランジスタに並列に接続された第3のNチャネルトランジスタおよび前記第4のPチャネルトランジスタに並列に接続された第4のNチャネルトランジスタであって、各々のゲートに与えられる第3のバイアス電圧によってオン/オフが切り替えられ、前記第2の分離手段によって前記高電位側論理信号の出力ノードを低電位側から分離しないときはオンとされ、逆に分離するときにはオフとされる第3および第4のNチャネルトランジスタをさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記第2レベルシフタは、
所定の第4のバイアス電圧が各々のゲートに与えられることによって各々定電流源として動作する第5および第6のPチャネルトランジスタであって、前記第1のPチャネルトランジスタに並列に接続された第5のPチャネルトランジスタと、前記第2のPチャネルトランジスタに並列に接続された第6のPチャネルトランジスタと、
を有し、
前記第1のPチャネルトランジスタのドレイン電圧の低下を前記第5のPチャネルトランジスタの出力電流によって補償し、前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電圧の低下を前記第6のPチャネルトランジスタの出力電流によって補償する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
複数のワード線の何れかに各々接続された複数の不揮発性メモリセルからなる不揮発性メモリセルアレイと、行アドレスに基づいて前記複数のワード線のうちの1本を選択する行選択回路と、を含む半導体集積回路において、
前記行選択回路は、
与えられた行アドレスと予め定められたアドレスとが一致するか否かに応じて第1の高電位側電源ノードの電圧または低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を選択し、第1の論理信号として出力するゲート部と、
第2の高電位側電源ノードの電圧または前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第1の中間電圧の何れか一方を前記第1の論理信号に応じて選択し、高電位側論理信号として出力するとともに、前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第2の中間電圧または前記低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第1の論理信号に応じて選択し、低電位側論理信号として出力するレベルシフタと、
第3の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記高電位側論理信号および前記低電位側論理信号に応じて選択し、ワード線に印加するための電圧として出力するバッファ回路と、
を有し、
前記レベルシフタは、
前記低電位側論理信号を反転して出力する第1のインバータと、
前記高電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第1の中間電圧を下回らないように当該出力ノードを低電位側から分離する第1の分離手段と、
前記低電位側論理信号の出力ノードの電圧が前記第2の中間電圧を超えないように当該出力ノードを高電位側から分離する第2の分離手段と、
を有し、
前記バッファ回路は、
前記高電位側論理信号がゲートに与えられる第1のPチャネルトランジスタと前記第1のインバータの出力信号がゲートに与えられる第1のNチャネルトランジスタとを並列接続したCMOSスイッチと、前記低電位側論理信号がゲートに与えられる第2のNチャネルトランジスタと、を前記第3の高電位側電源ノードと前記低電位側電源ノードとの間に直列に介挿してなり、
前記第2のNチャネルトランジスタのドレインと前記CMOSスイッチとの共通接続点が、ワード線に印加するための電圧の出力ノードとなっており、
前記不揮発性メモリセルへのデータの書き込みを行う場合には、前記第2および第3の高電位側電源ノードの電圧を同じにしつつ前記第1の高電位側電源ノードの電圧よりも高くするとともに前記第1および第2の分離手段による出力ノードの分離を行い、前記不揮発性メモリセルに書き込んだデータの検証を行う場合には、前記第3の高電位側電源ノードの電圧をデータ書き込み時よりも引き下げるとともに前記第1および第2の分離手段による出力ノードの分離を行い、前記不揮発性メモリセルからのデータの読み出し、消去または消去後の検証を行う場合には、前記第1および第2の分離手段による出力ノードの分離を行わず、かつ前記第2および第3の高電位側電源ノードの電圧を前記第1の高電位側電源ノードの電圧と同じにする
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
前記レベルシフタは、
前記第2の高電位側電源ノードに各々のソースが接続され、相手のドレインが各々のゲートに接続された第2および第3のPチャネルトランジスタと、
前記第2および第3のPチャネルトランジスタの各ドレインに各々のソースが接続され、各々のゲートに第1のバイアス電圧が与えられることによって前記第1の分離手段として機能する第4および第5のPチャネルトランジスタと、
前記第2の中間電圧と前記低電位側電源ノードの電圧とが電源電圧として与えられる第2および第3のインバータであって、前記第1の論理信号を反転して出力する第2のインバータおよび前記第2のインバータの出力信号を反転して出力する第3のインバータと、
前記第4のPチャネルトランジスタのドレインと前記第2のインバータの出力ノードとの間に介挿される第3のNチャネルトランジスタおよび前記第5のPチャネルトランジスタのドレインと前記第3のインバータの出力ノードとの間に介挿される第4のNチャネルトランジスタであって、各々のゲートに第2のバイアス電圧が与えられることによって前記第2の分離手段として機能する第3および第4のNチャネルトランジスタと、
を備え、
前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電圧に基づいて前記高電位側論理信号を出力し、前記第3のインバータの出力信号に基づいて前記低電位側論理信号を出力する
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体集積回路。
【請求項12】
前記レベルシフタは、
前記第4のPチャネルトランジスタに並列に接続された第5のNチャネルトランジスタおよび前記第5のPチャネルトランジスタに並列に接続された第6のNチャネルトランジスタであって、各々のゲートに与えられる第3のバイアス電圧によってオン/オフが切り替えられ、前記第1の分離手段によって前記高電位側論理信号の出力ノードを低電位側から分離しないときはオンとされ、逆に分離するときにはオフとされる第5および第6のNチャネルトランジスタをさらに有する
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体集積回路。
【請求項13】
前記レベルシフタは、
所定の第4のバイアス電圧が各々のゲートに与えられることによって各々定電流源として動作する第6および第7のPチャネルトランジスタであって、前記第2のPチャネルトランジスタに並列に接続された第6のPチャネルトランジスタと、
前記第3のPチャネルトランジスタに並列に接続された第7のPチャネルトランジスタと、
を有し、
前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電圧の低下を前記第6のPチャネルトランジスタの出力電流によって補償し、前記第3のPチャネルトランジスタのドレイン電圧の低下を前記第7のPチャネルトランジスタの出力電流によって補償する
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数系統の電源電圧により動作する半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路では、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;金属−酸化膜−半導体構造のトランジスタ。以下、単にトランジスタという。)等の素子の微細化に伴って素子の耐圧が低下しており、半導体集積回路の電源電圧を下げる必要が出てきている。例えば、素子の加工技術が350nm程度のとき、半導体集積回路の電源電圧は3V〜5Vであったが、加工技術が130nm、65nmと微細化が進むにつれて、素子の耐圧が下がり、半導体集積回路の電源電圧は1.8V、1.2Vと下がってきている。
【0003】
しかしながら、液晶やセンサ等を駆動するアナログ回路を含むシステムでは、アナログ回路を動作させるために3V電源あるいは5V電源等が必要である。このため、この種のアナログ回路を含むLSIチップを構成する場合、微細化された内部回路は1.2V等の低電圧電源にて動作させ、アナログ回路や入出力インタフェース回路は3V〜5Vで駆動させる等の多電源構成とすることが必要になっている。
【0004】
また、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)に代表される不揮発性メモリは、電源を切っても情報が消えないことから、多くの用途に用いられている。しかし、この種の不揮発性メモリは、データの書き込みや消去に高電圧が必要である。従って、この種の不揮発性メモリでも多電源構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−140211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、高速動作が必要であり、素子数が多いために微細化技術が必要なロジック回路等は、酸化膜の薄い低耐圧トランジスタにより構成し、入出力インタフェース回路や高電圧回路は酸化膜が厚い高耐圧トランジスタにより構成していた。
【0007】
このように従来技術の下では、微細化に対応した標準トランジスタのほかに、高耐圧のトランジスタを作る必要があった。このため、酸化膜厚を複数種類作り変えてトランジスタを作る必要があり、工程数が多く、高価なプロセスとなっていた。また、複雑な製造工程となるため、歩留まりにも注意を払う必要があった。また、プロセスが高価であり、かつ、歩留まりが低いため、製品の価格が高くなるという問題があった。
【0008】
また、不揮発性メモリ単体からなる製品を作る場合は、単にメモリの価格が高くなる問題のみが生じるが、不揮発性メモリとロジック回路やアナログ回路とを同一のチップに混載するような、いわゆるエンベデッド(Embedded)製品の場合は、さらに重要な問題が発生する。すなわち、メモリを構成する微細な標準トランジスタに加えて、酸化膜の厚い高耐圧トランジスタを構成するために、プロセスの熱工程が変更となり、メモリを構成する標準トランジスタの特性が変わってしまうという問題も起こる。特にメモリのセンスアンプ等のアナログ回路はトランジスタ特性にセンシティブであり、トランジスタの特性が変わると、その都度、チューニングする必要が生じる。このため、多くのアナログIPを保有している半導体メーカーでは、大きなロスとなる問題が生じる。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、複数系統の電源により動作する半導体集積回路を標準CMOSプロセスにより構成することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、複数のワード線の何れかに各々接続された複数の不揮発性メモリセルからなる不揮発性メモリセルアレイと、行アドレスに基づいてワード線の選択を行う行選択回路と、を含む半導体集積回路において、前記行選択回路は、与えられた行アドレスと予め定められたアドレスとが一致するか否かに応じて第1の論理信号を出力するゲート部と、第1の高電位側電源ノードの電圧と低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第1の論理信号に応じて選択し、第2の論理信号として出力する第1レベルシフタと、第2の高電位側電源ノードの電圧または前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第1の中間電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、高電位側論理信号として出力するとともに、前記第2の高電位側電源ノードの電圧と前記低電位側電源ノードの電圧との中間の第2の中間電圧または前記低電位側電源ノードの電圧の何れか一方を前記第2の論理信号に応じて選択し、低電位側論理信号として出力する第2レベルシフタと、前記高電位側論理信号および前記低電位側論理信号に基づいて第3の高電位側電源ノードと前記低電位側電源ノードの何れか一方を選択してワード線に接続する選択手段と、を有することを特徴とする半導体集積回路、を提供する。
【0011】
ここで、上記選択手段の構成例としては、前記高電位側論理信号がゲートに与えられるPチャネルトランジスタと前記低電位側論理信号の反転信号がゲートに与えられる第1のNチャネルトランジスタとを並列接続したCMOSスイッチと、前記低電位側論理信号がゲートに与えられる第2のNチャネルトランジスタとを第3の高電位側電源と前記低電位側電源との間に直列に介挿し、前記CMOSスイッチと前記第2のNチャネルトランジスタのソースとの共通接続点の電圧をワード線に出力する構成が考えられる。本発明によれば、上記Pチャネルトランジスタのゲートには、第2の高電位側電源ノードの電圧または第2の高電位側電源ノードの電圧と低電位側電源ノードの電圧との中間の第1の中間電圧の何れか一方が印加されるため、当該Pチャネルトランジスタのゲート−基板間に加わる電圧を緩和することができる。また、本発明によれば、上記第1および第2のNチャネルトランジスタの各々のゲートには、第2の高電位側電源ノードの電圧と低電位側電源ノードの電圧との中間の第2の中間電圧または低電位側電源ノードの電圧の何れか一方が印加されるため、これらNチャネルトランジスタのゲート−基板間に加わる電圧を緩和することができる。また、本発明によれば、ゲート部の出力信号を第1レベルシフタによってレベルシフトして第2レベルシフタに与える。このとき、第2レベルシフタを構成する各トランジスタのゲート耐圧を超えないようにレベルシフトするようにすれば、第2レベルシフタを構成する各トランジスタのゲート破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】各種の電源電圧に対応したMOS集積回路におけるトランジスタの酸化膜厚と、その酸化膜の限界耐圧を示す図である。
図2】標準CMOSプロセスにより製造されたCMOS回路の構成を示す断面図である。
図3】ドレインおよびソースの両方のLDD領域を広げて耐圧を向上させた高耐圧CMOS回路の構成例を示す断面図である。
図4】ドレインのLDD領域のみを広げて耐圧を向上させた高耐圧CMOS回路の構成例を示す断面図である。
図5】フローティングゲート型の不揮発性メモリセルの構成を示す断面図である。
図6】同不揮発性メモリセルの動作を示す図である。
図7】同不揮発性メモリセルにより構成された不揮発性メモリセルアレイの構成を示す回路図である。
図8】この発明の一実施形態である不揮発性メモリの一部である行選択のための行選択回路の構成を示す回路図である。
図9】同行選択回路の構成要素であるメインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの構成を示す回路図である。
図10】同メインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの動作を示す図である。
図11】本実施形態の行選択部の構成要素であるサブデコーダ50の回路図である。
図12】同サブデコーダ50の動作を示す図である。
図13】メインデコーダの変形例を示す図である。
図14】サブデコーダの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<この発明において利用する高耐圧化技術>
この発明の実施形態では、CMOS回路において一般的に用いられている高耐圧化技術を利用する。そこで、この発明の実施形態の説明に先立ち、このCMOS回路の高耐圧化技術について説明する。
【0014】
図1は各種の電源電圧に対応したMOS集積回路におけるトランジスタの酸化膜厚と、その酸化膜の限界耐圧(ゲート酸化膜がある時間で破壊する電圧)を示すものである。通常、10年間の動作保証が可能なMOS集積回路を実現するためには、酸化膜に印加される電界を5MeV(メガエレクトロンボルト)程度に設定するが、酸化膜に印加可能な電界の上限値はおおよそ8MeVに設定している。
【0015】
図2は標準CMOSプロセスにより製造されたCMOS回路の構成を示す断面図である。このCMOS回路では、ホットエレクトロンの発生を抑えて、トランジスタの信頼性を向上させるために、LDD(Lightly Doped Drain;低濃度ドレイン)構造を採用している。このLDD構造は、ソース、ドレインとチャネルの間に低濃度の不純物領域を設けて、ここに高電界が集中しないようにした構造である。LDD構造のトランジスタを形成するためには、トランジスタのゲートの側壁にサイドウォール(一般的には酸化膜)を付加して、このサイドウォールの付加されたゲートをマスクとして、n−或いはp−をインプランテーションにより注入する。この場合、トランジスタをセルフアラインで製造することができ、トランジスタの所要面積の増加はない。図2に示す構成により例えばゲート耐圧が5VのCMOS回路を実現する場合、酸化膜を約90Å(オングストローム)くらいの膜厚とし、経時破壊耐圧(TDDB:Time Dependent Dielectric Breakdown)を6V程度に設定する。この場合、ドレイン耐圧(Breakdown)は、7V程度になる。
【0016】
図3は、図2に示すCMOS回路のドレインおよびソースの両方の耐圧を向上させたHVDMOS(High Voltage Drain Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの構成例を示す断面図である。この高耐圧CMOS回路では、図2におけるLDD領域(nあるいはpの領域)を広く取っている。このようにすることにより、ドレイン耐圧を容易に10V以上に向上させることができる。しかしながら、この構成は、ゲートと拡散領域を十分広く取る必要があり、レイアウト面積が大きくなるという欠点はある。この図3に示すように、ドレインおよびソースの両方のLDD領域を広げたPチャネルトランジスタおよびNチャネルトランジスタの構造は、両側高耐圧構造と呼ばれる。
【0017】
図4は、図2に示すCMOS回路の各チャネルのトランジスタのドレイン側のLDD領域のみを広げた高耐圧構造を採用したHVDMOSトランジスタの構成例を示す断面図である。この構成例は、図3の構成例よりも面積増加が抑えられる利点がある。この図4に示すPチャネルトランジスタおよびNチャネルトランジスタの構造は、片側高耐圧構造と呼ばれる。なお、片側高耐圧構造のトランジスタを利用して回路の高耐圧化を図る技術は例えば特許文献1に開示されている。
【0018】
<本発明の実施形態における不揮発性メモリの構成>
図5はこの発明の実施形態において不揮発性メモリセルとして用いられるNチャネルフローティングゲートトランジスタの構成を示す断面図である。図5に示すように、Nチャネルフローティングゲートトランジスタは、基板(図5に示す例ではPwell)に形成されたソースおよびドレイン間の領域とゲートとの間の酸化膜中にフローティングゲートFGが配置された構成となっている。
【0019】
図6図5に示す不揮発性メモリセルの動作を示す図である。書き込み時(Program、図6ではProgと略記)は、例えばデータ“1”を書き込むべき不揮発性メモリセルであるNチャネルフローティングゲートトランジスタのドレインにビット線BITを介して電圧VD=5Vを、ソースに電圧VS=0Vを、ゲートにワード線WLを介して電圧VG=10Vを、Pwellに0Vを印加する。この結果、フローティングゲートFGに電子が注入され、Nチャネルフローティングゲートトランジスタの閾値電圧が上昇し、データ“1”の書き込まれた状態となる。ここで、データ“1”の書き込みの行われなかったNチャネルフローティングゲートトランジスタは、フローティングゲートFGに電子が注入されておらず、閾値電圧が低く、データ“0”を記憶した状態となっている。
【0020】
消去時(Erase)は、Nチャネルフローティングゲートトランジスタのドレイン電圧VD、ソース電圧VS、Pwellの電圧を10Vとし、ゲート電圧VGを0Vあるいはマイナス電圧とする。この結果、フローティングゲートFGからPwellに電子が引き抜かれ、消去が行われる(すなわち、データ“0”を記憶した状態とされる)。
【0021】
読み出し時(Read)は、Nチャネルフローティングゲートトランジスタのドレイン電圧VDを0.6V、ソース電圧VSおよびPwellの電圧を0V、ゲート電圧VGを3V〜5Vとし、そのときビット線BITを介して流れるドレイン電流を判定することにより、Nチャネルフローティングゲートトランジスタがデータ“1”または“0”のいずれを記憶しているかを判定する。ここで、ドレイン電圧VDを0.6V程度の低電圧にするのは、誤書き込みを防ぐためである。
【0022】
図7はこの発明の実施形態において用いられる不揮発性メモリセルアレイの構成を示す回路図である。この不揮発性メモリセルアレイは、図5に示す不揮発性メモリセルを行列状に配列してなるものである。図7に示す例では、行方向に配線されたワード線WLi(i=0〜m)および列方向に配線されたビット線BITj(j=0〜n)の各交差点に対応させて不揮発性メモリセルであるNチャネルフローティングゲートトランジスタが各々配置されている。
【0023】
ここで、第i行のワード線WLiには第i行のn+1個のNチャネルフローティングゲートトランジスタの各ゲートが接続されている。また、第j列のビット線BITjには第j列のm+1個のNチャネルフローティングゲートトランジスタの各ドレインが接続されている。そして、図示の例では、隣り合う2行(例えば第0行と第1行、…、第m−1行と第m行)の各Nチャネルフローティングゲートトランジスタは共通のソースを有しており、この共通のソースには共通ソース線を介してソース電圧VSが供給されるようになっている。
【0024】
<実施形態>
図8はこの発明の実施形態である不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)の一部である行選択(すなわち、ワード線Wiの選択)のための行選択回路の構成例を示す図である。図8においてワード線WLi(i=0〜m)は図7に示す不揮発性メモリセルアレイに接続されている。不揮発性メモリは、図7に示す不揮発性メモリセルアレイにおけるn+1本のビット線BITj(j=0〜n)のなかから列アドレスの示す1本のビット線BITjを選択する列選択回路を有しているが、その図示は省略されている。
【0025】
図8に示すように、この行選択回路は、ワード線WLi(i=0〜m)の各々に対して1つずつ接続されたm+1個の選択スイッチ40−pk(p=0〜h、k=0〜3:ただし、4×(h+1)=m+1)と、選択スイッチ40−p0、40−p1、40−p2および40−p3に対して1つずつ設けられるメインデコーダ100−p(p=0〜h)と、サブデコーダ50とを含んでいる。
【0026】
より詳細に説明すると、本実施形態では、行アドレスADDの例えば上位桁(以下、アドレスADDA)に基づいてh+1個のメインデコーダ100−pのうちの何れか1つが選択状態となり、選択状態となったメインデコーダ100−pは当該メインデコーダ100−pに接続されている4個の選択スイッチ40−pk(k=0〜3)に対して信号Mpを与える。図8では詳細な図示は省略したが、メインデコーダ100−p(p=0〜h)に接続されている4個の選択スイッチ40−pk(k=0〜3)の各々は信号線Fk(k=0〜3)を介してサブデコーダ50に接続されている。つまり、1本の信号線Fkにはh+1個の選択スイッチ40−pk(p=0〜h)が接続されている。サブデコーダ50には行アドレスADDの例えば下位桁(以下、アドレスADDB)が与えられ、サブデコーダ50は当該アドレスADDBに基づいて4本の信号線Fk(k=0〜3)のうちの何れか1本を選択し、データ書き込み等の状況に応じた電圧(図6の電圧VG)を印加する。そして、メインデコーダ100−pから信号Mpを与えられた4個の選択スイッチ40−pk(k=0〜3)のうち、サブデコーダ50により選択された信号線Fkに接続されているものが選択状態となり、当該選択スイッチ40−pkに接続されているワード線WLiにデータ書き込み等の状況に応じた電圧(図6の電圧VG)が印加されるのである。
【0027】
<メインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの構成>
図9は、メインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの構成例を示す図である。なお、図9には、メインデコーダ100−0と、このメインデコーダ100−0に接続されている4個の選択スイッチ40−0k(k=0〜3)のうちの選択スイッチ40−00および40−03の構成が示されている。図9に示すように、メインデコーダ100−pは、論理ゲート38、第1レベルシフタLS1、および第2レベルシフタLS2により構成されている。
【0028】
論理ゲート38の出力端子は第1レベルシフタLS1(より正確には、第1レベルシフタLS1内のインバータ37)に接続されている。論理ゲート38には、第1の高電位側電源ノードの電圧VD3(=3V)と第1の低電位側電源ノードの電圧VSS(=0V)とが与えられるとともに、行アドレスADDAが与えられる。論理ゲート38は、与えられた行アドレスADDAが予め定められたアドレスと一致した場合には、Lレベル(VSS、すなわち、0V)の論理信号を出力し、逆に、与えられた行アドレスADDAが予め定められたアドレスと一致しない場合にはHレベル(VD3、すなわち、3V)の論理信号を出力する。
【0029】
第1レベルシフタLS1は、前述したインバータ37の他に、Pチャネルトランジスタ35および36と、Nチャネルトランジスタ31、32、33、および34とを含んでいる。第1レベルシフタLS1において、インバータ37の入力ノードN11と電圧VBBM(VBBM<VD3)が与えられる第2の低電位側電源ノードとの間には、Pチャネルトランジスタ35、Nチャネルトランジスタ33およびNチャネルトランジスタ31が直列に介挿されている。また、インバータ37の出力ノードN12と上記第2の低電位側電源ノードとの間には、Pチャネルトランジスタ36、Nチャネルトランジスタ34およびNチャネルトランジスタ32が直列に介挿されている。Pチャネルトランジスタ35および36の各々のゲートには、バイアス電圧として0Vが常に与えられる。Pチャネルトランジスタ35および36の各々のドレインには、Nチャネルトランジスタ33および34の各ドレインが接続されている。Nチャネルトランジスタ33および34の各々のゲートにはバイアス電圧BIAS5が与えられる。
【0030】
Nチャネルトランジスタ33のソースは、Nチャネルトランジスタ31のドレインとNチャネルトランジスタ32のゲートの共通接続ノードN7に接続されており、Nチャネルトランジスタ34のソースは、Nチャネルトランジスタ32のドレインとNチャネルトランジスタ31のゲートの共通接続ノードN8に接続されている。図9に示すように、この共通接続ノードN8には、第2レベルシフタLS2(より正確には、第2レベルシフタLS2に含まれるインバータ17)が接続される。詳細については後述するが、本実施形態では、電圧VD3、BIAS5、およびVBBM、さらに、後述するVPP,BIAS1〜BIAS4、VDN、VD5を図10に示すように設定することで、不揮発性メモリセルへのデータの書き込み、消去、読み出し等が実現される。ここで、電圧VPPは第2レベルシフタLS2における高電位側電源ノード(以下、第2の高電位側電源ノード)の電圧であり、電圧VD5は電圧VPPと電圧VBBMの中間の第1の中間電圧であり、電圧VDNも電圧VPPと電圧VBBMの中間の第2の中間電圧(本実施形態では、VBBM<VDN≦VD3)である。
【0031】
本実施形態の第1レベルシフタLS1は、論理ゲート38の出力信号をレベルシフトし、電圧VBBMをLレベル、第2の中間電圧VDNをHレベルとする第2の論理信号に変換して第2レベルシフタLS2に供給する役割を果たす。詳細については後述するが、不揮発性メモリセルへのデータ書き込み或いは消去を行う際には、バイアス電圧BIAS5は、Nチャネルトランジスタ33および34の閾値電圧Vthnだけ電圧VDNから高い電圧に設定される。このため、データの書き込み或いは消去の際にNチャネルトランジスタ33は、ソースの接続されたノードN7の電圧が電圧VDNよりも高くなろうとすると、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧Vthnよりも小さくなってOFFとなる。また、Nチャネルトランジスタ34は、ノードN8の電圧がVDNよりも高くなろうとすると、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧Vthnよりも小さくなってOFFとなる。つまり、データの書き込み或いは消去を行う場合、Nチャネルトランジスタ33および34は、ノードN7およびN8の電圧がVDNを超えないように、これらノードを高電位側から分離する分離手段の役割を果たすのである。
【0032】
第2レベルシフタLS2は、第1レベルシフタLS1の出力信号に基づいて、高電位側論理信号MHB、低電位側論理信号MLBおよび低電位側論理信号MLBを反転した低電位側反転論理信号MLを生成して選択スイッチ40−pk(k=0〜3)の各々に与える。ここで、高電位側論理信号MHBの電圧レベルは第1の中間電圧VD5から第2の高電位側電源ノードの電圧VPP(VD5<VPP)までであり、低電位側論理信号MLBの電圧レベルは第2の低電位側電源ノードの電圧VBBMから第2の中間電圧VDN(VBBM<VDN≦VD3)までである。本実施形態では、高電位側論理信号MHB、低電位側論理信号MLBおよび低電位側反転論理信号MLの組み合わせが前述した信号Mpとして用いられる。
【0033】
第2レベルシフタLS2は、図9に示すように、Pチャネルトランジスタ11、12、13、14、19および20と、Nチャネルトランジスタ15、16、21および22と、インバータ17、18、23、24、および25を含んでいる。インバータ17、18、23、24および25はいずれもCMOSインバータである。インバータ17、18、24および25には、電圧VDNおよび電圧VBBMが電源電圧として与えられ、インバータ23には、電圧VPPおよび電圧VD5が電源電圧として与えられる。本実施形態では、インバータ23の出力電圧が高電位側論理信号MHBとして、インバータ24の出力電圧が低電位側論理信号MLBとして、インバータ25の出力電圧が低電位側反転論理信号MLとして各々出力される。
【0034】
第2レベルシフタLS2において、Pチャネルトランジスタ11および12は、5Vのゲート耐圧を有するトランジスタである。このPチャネルトランジスタ11および12は、第2の高電位側電源ノード(電圧VPPが与えられる電源ノード)に各々のソースが接続されている。そして、Pチャネルトランジスタ11および12は、各々のゲートに相手のドレインが接続されている。Pチャネルトランジスタ13および14は、いずれもドレインのLDD領域のみが広がった片側高耐圧構造のトランジスタである。Pチャネルトランジスタ13は、Pチャネルトランジスタ11のドレインとPチャネルトランジスタ12のゲートの共通接続ノードN1にソースが接続されている。また、Pチャネルトランジスタ14は、Pチャネルトランジスタ12のドレインとPチャネルトランジスタ11のゲートの共通接続ノードN2にソースが接続されている。このノードN2にはインバータ23が接続されている。
【0035】
Pチャネルトランジスタ13および14の各ゲートにはバイアス電圧BIAS2が与えられる。図10に示すように、バイアス電圧BIAS2は、不揮発性メモリセルへのデータ書き込み或いは消去を行う際には、第1の中間電圧VD5からPチャネルトランジスタ13および14の閾値電圧Vthpだけ低下した電圧に設定される。データの書き込み或いは消去の際に、ノードN1の電圧が電圧VD5よりも低くなろうとすると、Pチャネルトランジスタ13はゲート−ソース間電圧が閾値電圧Vthpよりも小さくなってOFFとなる。また、Pチャネルトランジスタ14は、ノードN2の電圧が電圧VD5よりも低くなろうとすると、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧Vthpよりも小さくなってOFFとなる。このように、Pチャネルトランジスタ13および14は、データの書き込み或いは消去を行う際にノードN1およびN2の電圧がVD5を下回らないように、これらノードを低電位側から分離する分離手段の役割を果たす。
【0036】
Nチャネルトランジスタ15および16は、各々のドレインがPチャネルトランジスタ13および14の各ドレインに各々接続されている。また、Nチャネルトランジスタ15のソースはインバータ17の出力ノードN5に、Nチャネルトランジスタ16のソースはインバータ18の出力ノードN6に各々接続されている。インバータ18の出力ノードN6には、さらにインバータ24が接続されており、インバータ24の出力ノードはインバータ25に接続されている。Nチャネルトランジスタ15および16の各ゲートにはバイアス電圧BIAS4が与えられる。データの書き込み或いは消去を行う場合、バイアス電圧BIAS4は電圧VDNと同じ値にセットされる。Nチャネルトランジスタ15および16は、データの書き込み或いは消去を行う際にノードN5およびN6の電圧がVDNを超えないように、これらノードを高電位側から分離する分離手段の役割を果たす。
【0037】
Pチャネルトランジスタ19は、そのソースおよびドレインがPチャネルトランジスタ11のソースおよびドレインに各々接続されている。つまり、Pチャネルトランジスタ19はPチャネルトランジスタ11と並列に接続されている。また、Pチャネルトランジスタ20は、そのソースおよびドレインがPチャネルトランジスタ12のソースおよびドレインに各々接続されている。つまり、Pチャネルトランジスタ20はPチャネルトランジスタ12と並列に接続されている。Pチャネルトランジスタ19および20の各ゲートにはバイアス電圧BIAS1が与えられる。このバイアス電圧BIAS1は電圧VPPからPチャネルトランジスタ19および20の閾値電圧Vthpだけ電圧VSS(=0V)側にシフトした電圧である。
【0038】
このバイアス電圧BIAS1がゲートに与えられるPチャネルトランジスタ19および20には僅かなドレイン電流が流れ、定電流源として機能する。このように定電流源として機能するPチャネルトランジスタ19および20が設けられていないと、ノードN1およびN2の電圧はリーク電流により降下する虞がある。しかし、本実施形態では、Pチャネルトランジスタ19および20の各々のドレイン電流がノードN1およびN2に流れ込むことにより、リーク電流に伴うノードN1およびN2の電圧降下が補償される。つまり、Pチャネルトランジスタ19および20は、リーク電流によるノードN1およびN2の電圧降下を補償する補償手段の役割を果たす。なお、本実施形態では、リーク電流によりノードN1およびN2の電圧が降下することを防止するため、各々定電流源として機能するPチャネルトランジスタ19および20をノードN1およびN2の各々に接続した。しかし、定電流源として他の回路を用いても良く、またリーク電流が問題とならない範囲でPチャネルトランジスタ19および20の代わりに単なる抵抗を用いても良い。
【0039】
Nチャネルトランジスタ21はPチャネルトランジスタ13と並列に接続されており、Nチャネルトランジスタ22はPチャネルトランジスタ14と並列に接続されている。Nチャネルトランジスタ21および22は、各々片側高耐圧構造のトランジスタであり、各々のゲートにはバイアス電圧BIAS3が印加される。図10に示すように、バイアス電圧BIAS3はデータ書き込み時には0Vに、データ消去時には−5Vに、データ読み出し時には3Vにセットされる。すなわち、Nチャネルトランジスタ21および22はデータ書き込み時および消去時にはオフとされ、データ読み出し時にはオンとされる。つまり、Nチャネルトランジスタ21および22は、Pチャネルトランジスタ13および14によるノードN1およびノードN2の分離を行う場合にはオフにされ、分離を行わない場合にはオンとされるスイッチとして機能する。詳細については後述するが、Nチャネルトランジスタ21および22をオンにすると、第2レベルシフタLS2は動作電圧が3Vの通常のレベルシフタとして機能する。
【0040】
選択スイッチ40−pkは、Pチャネルトランジスタ41と、Nチャネルトランジスタ42および43を含んでいる。ここで、Pチャネルトランジスタ41は、電圧VPPが与えられるNwellに形成されており、Nチャネルトランジスタ42および43は、電圧VBBMが与えられるPwellに形成されている。Pチャネルトランジスタ41とNチャネルトランジスタ42は、いずれもドレインとソースの両方のLDD領域が広がった高耐圧構造のトランジスタである。Pチャネルトランジスタ41とNチャネルトランジスタ42は、信号線Fkとワード線WLi(i=4×p+k)との間に並列に介挿されており、Pチャネルトランジスタ41のゲートには高電位側論理信号MHB(=VPPまたはVD5)が与えられ、Nチャネルトランジスタ42のゲートには低電位側反転論理信号MLが与えられる。つまり、Pチャネルトランジスタ41とNチャネルトランジスタ42は、高電位側論理信号MHBおよび低電位側反転論理信号ML(=VDNまたはVBBM)に応じて信号線Fkとワード線WLiとの接続/非接続を切り換えるCMOSスイッチとして機能する。Nチャネルトランジスタ43は、ワード線WLiを選択的に電源VBBMに接続するトランジスタであり、ゲートには低電位側論理信号MLB(=VDNまたはVBBM)が与えられる。
以上が本実施形態のメインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの構成である。
【0041】
<メインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの動作>
次いで、メインデコーダ100−pおよび選択スイッチ40−pkの動作を説明する。
<書き込み時(Program)の動作>
まず、データ書き込み時の動作について説明する。図10に示すように、データ書き込みの際には、VPP=10V、VD3=3V、VD5=5V、VBBM=0V、VDN=3V、BIAS1=VPP−Vthp、BIAS2=VD5−Vthp、BIAS3=0V、BIAS4=3V、BIAS5=VDN(3V)+Vthnに設定される。
【0042】
アドレスADDAが予め定められたアドレスに一致すると、論理ゲート38の出力はLレベル(0V)になる。したがって、第1レベルシフタLS1のノードN11の電圧はLレベル(0V)になり、同ノードN12の電圧はHレベル(VD3、すなわち、3V)になる。第1レベルシフタLS1において、Pチャネルトランジスタ35および36のゲート電圧は0Vである。したがって、Pチャネルトランジスタ35はオフになる一方、Pチャネルトランジスタ36はオンになり、ノードN10の電圧はVD3(3V)になる。ノードN10の電圧は3Vであり、Nチャネルトランジスタ34のゲート電圧はVDN(3V)+Vthnであるから、Nチャネルトランジスタ34はオンになり、ノードN8の電圧は3Vになる。したがって、Nチャネルトランジスタ31はオンになる。一方、Nチャネルトランジスタ33はその接続先のPチャネルトランジスタ35がオフであるため、オフになり、ノードN7の電圧は0Vになる。
【0043】
第2レベルシフタLS2では、BIAS1=VPP−Vthpに設定されるため、Pチャネルトランジスタ19および20が定電流動作し、リーク電流によるノードN1およびN2の電圧低下が防止される。本動作例では、バイアス電圧BIAS3=0VがNチャネルトランジスタ21および22のゲートに印加されるため、トランジスタ21および22はオフになる。また、Pチャネルトランジスタ13および14のゲートに印加されるバイアス電圧BIAS2はVD5−Vthpであるため、ノードN1(或いはN2)の電圧がVD5より低くなろうとすると、Pチャネルトランジスタ13(或いは14)はオフになり、ノードN1(或いはノードN2)の電圧はVD5以上に維持される。また、本動作例では、Nチャネルトランジスタ15および16の各々のゲートにバイアス電圧BIAS4=3V(=VDN)が印加されるため、ノードN5(或いはN6)の電圧が上昇し3Vに達すると、Nチャネルトランジスタ15(或いは16)はオフになり、ノードN5およびN6の電圧は3V(=VDN)以下に維持される。
【0044】
本動作例では、第1レベルシフタLS1のノードN8の電圧は3V(すなわち、Hレベル)であり、インバータ17および18には高電位側電源電圧VDN(=3V)および低電位側電源電圧VBBM(=0V)が供給されるため、ノードN5の電圧はLレベル(0V)、ノードN6の電圧はHレベル(3V)となる。ノードN5の電圧が0Vとなるため、Nチャネルトランジスタ15はオンになり、ノードN3の電圧も0Vとなる。また、ノードN1の電圧はPチャネルトランジスタ13によってVD5(=BIAS2+vthp=5V)に維持される。ノードN6の電圧は3Vとなるため、Nチャネルトランジスタ16はオフになる。このとき、Pチャネルトランジスタ12および14はともにオンになるため、ノードN2およびノードN4の電圧はともに10V(=VPP)になる。
【0045】
前述したように、ノードN2に接続されたインバータ23は、電圧VPP(=10V)と電圧VD5(=5V)の間で動作する。本動作例では、ノードN2の電圧(すなわち、インバータ23への入力電圧)はHレベル(10V)なので、インバータ23の出力電圧はLレベル(5V)となる。一方、ノードN6に接続されているインバータ24、およびインバータ24の出力ノードに接続されているインバータ25は、電圧VDN(本動作例では、3V)と電圧VBBM(本動作例では、0V)の間で動作する。そして、本動作例では、ノードN6の電圧は3Vなので、インバータ24の出力はLレベル(0V)、インバータ25の出力はHレベル(3V)となる。従って、高電位側論理信号MHBがLレベル(5V)となってPチャネルトランジスタ41がオンになり、低電位側反転論理信号MLがHレベル(3V)となってNチャネルトランジスタ42がオンになり、低電位側論理信号MLBがLレベル(=VBBM=0V)となってNチャネルトランジスタ43がオフとなり、選択スイッチ40−pkは選択状態となる。一方、アドレスADDAが予め定められたアドレスと一致しないときは、動作は逆となり、高電位側論理信号MHBがHレベル(=VPP=10V)となってPチャネルトランジスタ41がオフになり、低電位側反転論理信号MLがLレベル(=VBBM=0V)となってNチャネルトランジスタ42がオフとなり、低電位側論理信号MLBがHレベル(=VDN=3V)となってNチャネルトランジスタ43がオンとなり、選択スイッチ40−pkは非選択状態となる。
【0046】
ここで、選択スイッチ40−0p(p=0〜3)が選択状態であり、かつサブデコーダ50によって信号線F0が選択されている場合(詳細については後述するが、信号線F0の電圧は10Vとされ、その他の信号線F1、F2およびF3の電圧が0Vとされる場合)、選択スイッチ40−00ではPチャネルトランジスタ41およびNチャネルトランジスタ42がオン、Nチャネルトランジスタ43がオフとなる。この場合、Pチャネルトランジスタ41およびNチャネルトランジスタ42からなるCMOSスイッチは、信号線F0の10Vの電圧を殆ど低下させることなくワード線WL0に伝達する。また、信号線F1、F2およびF3の電圧は0Vなので、ワード線WL1、WL2およびWL3の電圧は0Vとなる。この状態でデータ書き込み対象の不揮発性メモリセルに接続されたビット線BITiに5Vの電圧を、ソース線に0Vの電圧を、Pwellに0Vの電圧を与えると、同不揮発性メモリへのデータ“1”の書き込みが行われる。なお、アドレスADDAが予め定められたアドレスと一致しない場合には、Pチャネルトランジスタ41およびNチャネルトラジスタ42はオフ、Nチャネルトランジスタ43がオンとなるので、信号線F0〜F3の電圧如何によらず、ワード線WL0〜WL3は電圧は0Vとなり、これらワード線に接続された不揮発性メモリセルへのデータ“1”の書き込みは行われない。
【0047】
本動作例においてゲート耐圧に注意する必要があるトランジスタは、Pチャネルトラジスタ13および14、インバータ23を構成するトランジスタ、Pチャネルトランジスタ41、Nチャネルトランジスタ42および43である。Pチャネルトランジスタ13および14の各々のゲートには5V−Vthpの電圧が印加される。したがって、NWellが10Vになっても、Pチャネルトランジスタ13および14のゲート耐圧は問題ない。また、インバータ23を構成するNチャネルトランジスタおよびPチャネルトランジスタの各々のゲートに与えられる電圧の振幅は5Vであるので、これらトランジスタについてもゲート耐圧は問題ない。Pチャネルトランジスタ41についても、ゲート電圧が5V、NWellに印加される電圧が10Vなので、ゲート耐圧は問題ない。そして、Nチャネルトランジスタ42および43のゲートに印加される電圧の振幅は3Vなのでゲート耐圧は問題ない。このように本実施形態によれば、ゲート耐圧の低いMOSトランジスタを用いて10Vの高電圧を制御することができる。
【0048】
<消去時(Erase)の動作>
データ消去を行う場合、図10に示すように、VPP=3V、VD3=3V、VD5=0V、VBBM=−5V、VDN=0V、BIAS1=VPP−Vthp(=3V−Vthp)、BIAS2=VD5−Vthp(=0V−Vthp=−Vthp)、BIAS3=−5V(=VBBM)、BIAS4=0V、BIAS5=VDN+Vthn(=0V+Vthn=Vthn)に設定される。フラッシュメモリの場合、データの消去は全ての不揮発性メモリセルのデータを一括して消去する「一括消去」である。したがって、本実施形態の不揮発性メモリにおいて、データの消去を行う場合は、全てのワード線WLiを選択し各ワード線WLiに消去レベルの電圧(本実施形態では、−5V)を印加する必要がある。
【0049】
本実施形態では、メインデコーダ100−pの各々論理ゲート38に対して消去信号を与え、全ての論理ゲート38を非選択(Hレベル出力)にする。すると、第1レベルシフタLS1のノードN11の電圧はHレベル(VD3=3V)に、同ノードN12の電圧はLレベル(0V)になる。このとき、Pチャネルトランジスタ35および36のゲートにはゲート電圧として0Vが与えられる。一方、Nチャネルトランジスタ33および34のゲートに与えられるバイアス電圧BIAS5はVDN(0V)+Vthnに設定されている。このため、Pチャネルトランジスタ35およびNチャネルトランジスタ33はオンになり、ノードN9の電圧は3Vに、ノードN7の電圧は0Vになる。ノードN7の電圧が0V、VBBM=−5VであるためNチャネルトランジスタ32はオンになるが、Pチャネルトランジスタ36はオフになり、ノードN8の電圧は−5V(=VBBM)となる。
【0050】
本動作例では、第2レベルシフタLS2のインバータ17および18は電圧VDN(=0V)と電圧VBBM(=−5V)との間で動作する。インバータ17の入力電圧はLレベル(−5V)であるため、インバータ17の出力(すなわち、ノードN5の電圧)はHレベル(0V)に、インバータ18の出力(すなわち、ノードN6の電圧)はLレベル(−5V)になる。したがって、インバータ24の出力はHレベル(0V)に、インバータ25の出力はLレベル(−5V)になり、低電位側反転論理信号MLの電圧はLレベル(−5V)に、低電位側論理信号MLBの電圧はHレベル(0V)になる。
【0051】
前述したように、消去時にNチャネルトランジスタ15および16の各々のゲートに印加されるバイアス電圧BIAS4は0Vである。Nチャネルトランジスタ15のソース(すなわち、ノードN5)の電圧は0VなのでNチャネルトランジスタ15はオフになる。このとき、Pチャネルトランジスタ11および13はともにオンになるため、ノードN1およびノードN3の電圧はともに3V(=VPP)になる。一方、ノードN6の電圧は−5VなのでNチャネルトランジスタ16はオンになり、ノードN4の電圧は−5Vになる。また、Pチャネルトランジスタ14のゲートにはバイアス電圧BIAS2(=VD5(本動作例では0V)−Vthp)が印加されるため、ノードN2の電圧はPチャネルトランジスタ14によって0Vに維持される。つまり、インバータ23の出力(高電位側論理信号MHB)はHレベル(3V)となる。したがって、選択スイッチ40−pkの各々においてPチャネルトランジスタ41およびNチャネルトランジスタ42はオフとなり、Nチャネルトランジスタ43はオンになる。その結果、全てのワード線WLiは第2の低電位側電源ノードに接続され、その電圧は−5Vになる。なお、信号線F0〜F3の電圧は0V(非選択)または3V(選択)の何れであっても良い。
【0052】
このように全てのワード線WLiに−5Vの電圧が印加されるため、全てのビット線BITiと全てのデータ線とPwellに10Vの電圧を印加すれば、全ての不揮発性メモリセルのデータが消去される(図6参照)。
【0053】
<読み出し時(Read)の動作>
図10に示すようにデータ読み出しの際には、VPP=3V、VD3=3V、VD5=0V、VBBM=0V、VDN=3V、BIAS1=3V、BIAS2=0V、BIAS3=3V、BIAS4=3V、BIAS5=3V(=VDN=VD3)+Vthnに設定される。
【0054】
前述したように、アドレスADDAが予め定められたアドレスと一致すると、論理ゲート38の出力はLレベル(0V)となり、ノードN11の電圧はLレベル(0V)に、ノードN12の電圧はHレベル(VD3=3V)になる。本動作例では、データ書き込み時と同様にVBBM=0V、BIAS5=3V+Vthnに設定されるため、ノードN7の電圧はLレベル(0V)に、ノードN8の電圧はHレベル(3V)になる。
【0055】
一方、第2レベルシフタLS2では、Pチャネルトランジスタ19および20の各々のソースに印加される電圧は3V(=VPP)であり、同ゲートに印加されるバイアス電圧BIAS1も3Vであるため、Pチャネルトランジスタ19および20はともにオフになる。本動作例では、Nチャネルトランジスタ15および16の各々のゲートにバイアス電圧BIAS4=3Vが印加され、Nチャネルトランジスタ15および16はともにオンになり、Nチャネルトランジスタ21および22の各々のゲートにバイアス電圧BIAS3=3Vが印加され、Nチャネルトランジスタ21および22もともにオンになる。その結果、高電位側論理信号MHBの電圧はLレベル(0V)に、低電位側論理信号MLBの電圧はLレベル(0V)に、低電位側反転論理信号MLの電圧はHレベル(3V)になる。つまり、この場合は、第2レベルシフタLS2は、3V動作の通常のレベルシフタとして動作する。
【0056】
高電位側論理信号MHBの電圧はLレベル(0V)、低電位側論理信号MLBの電圧はLレベル(0V)、低電位側反転論理信号MLの電圧はHレベル(3V)であるため、選択スイッチ40−pkのPチャネルトランジスタ41およびNチャネルトランジスタ42は各々オンになり、Nチャネルトラジスタ43はオフとなる。したがって、前述した読み出し動作の場合と同様に信号線F0〜F3の内、サブデコーダ50によって選択されたものがワード線WLiに接続される。
【0057】
また、アドレスADDAが予め定められたアドレスと一致しない場合には、高電位側論理信号MHBの電圧はHレベル(3V)、低電位側論理信号MLBの電圧はHレベル(3V)、低電位側反転論理信号MLの電圧はLレベル(0V)となり、Pチャネルトランジスタ41およびNチャネルトランジスタ42はオフに、Nチャネルトランジスタ43はオンになる。その結果、全てのワード線WLiの電圧はVBBM(=0V)になる。なお、読出しモードから一気に消去モードへ転移させると、第2の低電位側電源ノードの電圧VBBMが0Vから−5Vに切替えられることになるが、その切り替えるタイミングによっては、一時的に各トランジスタのゲートに過大に電圧が印加される場合も有り得る。また、切り替え時のオーバーシュートにより各トランジスタのゲートに一時的に過大電圧が印加される場合も有り得る。そこで、図10に示すErase1およびErase2の2つの遷移過程を用意し、Read→Erase1→Erase2→Eraseといった具合に、Erase1およびErase2の2つの遷移過程を経由してReadモードからEraseモードへ切り替えるようにしても良い。
【0058】
<サブデコーダ50の構成および動作>
次いでサブデコーダ50の構成を説明する。
サブデコーダ50は、図11に示すデコーダ部DEC1、第3レベルシフタLS3およびバッファBUF1を信号線Fk(k=0〜3)の各々に対して1組、すなわち、合計4組み有している。デコーダDEC1は論理ゲート64とインバータ63を含んでいる。論理ゲート64にはアドレスADDBが与えられる。このアドレスADDBと予め定められたアドレスとが一致する場合には、論理ゲート64の出力はLレベル(VSS=0V)となり、一致しないときはHレベル(VD3=3V)となる。図11に示すように、論理ゲート64の出力はインバータ63による論理反転を経て第3レベルシフタLS3に与えられる。
【0059】
図11に示すように、第3レベルシフタLS3はPチャネルトランジスタ51、52、53、54、59および60と、Nチャネルトランジスタ55、56、61および62と、インバータ57および58とを含んでいる。図11図9とを対比すれば明らかなように、第3レベルシフタLS3の構成はメインデコーダ100−pの第2レベルシフタLS2の構成と近似している。より詳細に説明すると、Pチャネルトランジスタ51、52、53,54、59および60の各々は第2レベルシフタLS2のPチャネルトランジスタ11、12、13、14、19および20の各々に対応し、Nチャネルトランジスタ55、56、61および62の各々は第2レベルシフタLS2のNチャネルトランジスタ15、16、21および22の各々に対応する。そして、インバータ57および58は第2レベルシフタLS2のインバータ17および18に対応する。つまり、第3レベルシフタLS3は、第2レベルシフタLS2からインバータ23、24および25を除いた構成となっている。図11に示すように、本実施形態では、第3レベルシフタLS3のノードN1の電圧が高電位側論理信号FHBとして、同ノードN5の電圧が低電位側論理信号FLBとして、同ノードN6の電圧が低電位側反転論理信号FLとしてバッファBUF1に与えられる。
【0060】
バッファBUF1は、Pチャネルトランジスタ65およびNチャネルトランジスタ66からなるCMOSスイッチとNチャネルトランジスタ67とを高電位側電源ノード(電圧VWLのノード:以下、第3の高電位側電源ノード)と低電位側電源ノード(電圧VSSのノード)との間に直列に介挿して構成されている。第3レベルシフタLS3の高電位側電源ノードの電圧がVPPであったのに対してバッファBUF1の高電位側電源ノードの電圧をVWLとしたのは、書き込み(Program)、書き込みの検証(Program Verify)、消去(Erase)、および消去の検証(Erase Verify)の各動作を行う際に、ワード線WLiに印加する電圧をその動作内容に応じて種々変える必要があるからである。
【0061】
図11に示すように、Pチャネルトランジスタ65およびNチャネルトランジスタ67は、片側高耐圧構造のトランジスタであり、Nチャネルトランジスタ66は両側高耐圧構造のトランジスタである。Pチャネルトランジスタ65のゲートには高電位側論理信号FHBが、Nチャネルトランジスタ66のゲートには低電位側反転論理信号FLが、Nチャネルトランジスタ67のゲートには低電位側論理信号FLBが各々与えられる。そして、上記CMOSスイッチとNチャネルトランジスタ67のドレインの共通接続点(すなわち、Pチャネルトランジスタ65のドレインおよびNチャネルトランジスタ66のソースとNチャネルトランジスタ67のドレインの共通接続点)に信号線Fkが接続されている。
【0062】
本実施形態では、電圧VPP、VWL、VD3、VSS、BIAS1〜BIAS4を図12に示すように設定することで、不揮発性メモリセルへのデータの書き込み、書き込みの検証、読み出し、消去、および消去の検証が実行される。例えば、書き込み(Program)時には、VPP=VWL=10V、VD3=3V、VSS=0V、BIAS1=10V−Vthp、BIAS2=5V−Vthp、BIAS3=0V、BIAS4=3Vに設定される。この場合、アドレスADDBが予め定められたアドレスと一致すると、ノードN8(インバータ57の入力ノード)の電圧はHレベル(3V)になるので、ノードN5の電圧はLレベル(0V)に、ノードN6の電圧はHレベル(3V)になる。すなわち、低電位側論理信号FLBはLレベル(0V)に、低電位側反転論理信号FLはHレベルに(3V)になる。また、ノードN3の電圧は0Vに、ノードN1の電圧(高電位側論理信号FHB)はLレベル(5V)となる。したがって、バッファBUF1のPチャネルトランジスタ65およびNチャネルトランジスタ66はオンになり、Nチャネルトランジスタ67はオフとなる。その結果、Pチャネルトランジスタ65のドレイン、Nチャネルトランジスタ66のソースおよびNチャネルトランジスタ67のドレインの共通接続点に接続された信号線Fkの電圧はHレベル(=VWL=10V)になる。
【0063】
一方、アドレスADDBが予め定められたアドレスと一致しない場合は、ノードN8の電圧はLレベル(0V)となるので、低電位側論理信号FLBはHレベル(3V)に、低電位側反転論理信号FLはLレベル(0V)となる。また、高電位側論理信号FHBはHレベル(10V)となる。したがって、バッファBUF1のPチャネルトランジスタ65およびNチャネルトランジスタ66はオフに、Nチャネルトランジスタ67はオンとなる。その結果、Pチャネルトランジスタ65のドレインおよびNチャネルトランジスタ66のソースとNチャネルトランジスタ67のドレインとの共通接続点に接続された信号線Fkの電圧はLレベル(VSS=0V)になる。なお、書き込みの検証(Program Verify)動作においては、この状態で、電圧VWLを4V〜5V程度に変化させ、これによりメモリセルの状態が確認される。
【0064】
次いで、読み出し(Read)時の動作を説明する。なお、消去(Erase)および消去の検証(Erase Verify)時もほぼ同じ動作なので、代表して読み出しの場合を説明する。不揮発性メモリセルからのデータ読み出しを行う場合、VPP=VWL=3V、VD3=3V、VSS=0V、BIAS1=3V、BIAS2=0V、BIAS3=3V、BIAS4=3Vに設定される。このとき、アドレスADDBが予め定められたアドレスと一致すると、ノードN8の電圧は3Vとなり、ノードN5の電圧は0Vに、ノードN6の電圧は3Vになる。すなわち、低電位側論理信号FLBはLレベル(0V)に、低電位側反転論理信号FLはHレベル(3V)になる。また、ノードN3の電圧は0Vになり、高電位側論理信号FHBもLレベル(0V)となる。したがって、バッファBUF1のPチャネルトランジスタ65およびNチャネルトランジスタ66はオンに、Nチャネルトランジスタ67はオフになる。その結果、Pチャネルトランジスタ65のドレインおよびNチャネルトランジスタ66のソースとNチャネルトランジスタ67のドレインとの共通接続点に接続された信号線Fkの電圧はHレベル(VWL=3V)になる。
【0065】
一方、アドレスADDBが予め定められたアドレスと一致しない場合、ノードN8の電圧はLレベル(0V)となるので、低電位側論理信号FLBはHレベル(3V)に、低電位側反転論理信号FLはLレベル(0V)になる。また、高電位側論理信号FHBはHレベル(3V)になる。したがって、バッファBUF1のPチャネルトランジスタ65およびNチャネルトランジスタ66はオフに、Nチャネルトランジスタ67はオンとなり、信号線Fkの電圧はLレベル(0V)になる。消去時の動作は当該読み出し時の動作と全く同じである。なお、消去の場合、メインデコーダ100−pについての動作説明でも述べたが、メインデコーダ100−pが全て非選択となるので、サブデコーダ50の出力(信号線Fkの電圧)は3Vでも良く、また0Vでも良い。また、消去の検証は、この状態で電圧VWLを0.8V〜2Vの範囲の最適な値に設定し、メモリセルの消去状態を確認する動作である。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、データの書き込み時および消去時に高い耐圧を要求されるトランジスタについても酸化膜の膜厚が厚いものを用いる必要はなく、不揮発性メモリにおける行選択回路を安価な標準CMOSプロセスにより構成することが可能になる。
【0067】
<その他の実施形態>
以上本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態を以下のように変形しても良い。
(1)上記実施形態のメインデコーダ100−pは、4本のワード線WLiに対して1組の割合で第1レベルシフタLS1および第2レベルシフタLS2(以下、両者を纏めて「メインデコーダのレベルシフタ」と呼ぶ)を有していた。しかし、図9に示す構成では、メインデコーダのレベルシフタを構成する素子数が多く、メインデコーダ100−pの回路面積が大きくなる虞がある。このような不具合を回避する方策としては、メインデコーダを図13に示すように構成することが考えられる。以下、図13を参照しつつ本変形例のメインデコーダについて説明する。
【0068】
図13には、ワード線WLiの本数が1024本であり、アドレスADDAには6ビットのアドレスを、アドレスADDBには4ビットのアドレスを各々割り当てる場合について例示されている。図13の符号60−0〜60−11は、アドレスADDAにより選択されるプリデコーダ(図9の論理ゲート38に対応する)である。本変形例では、6ビットのアドレスを2ビットづつ3グループ(A,B,C)に分ける。そして、グループAの2ビットでプリデコーダ60−0〜60−3の何れか1つを指定し、グループBの2ビットでプリデコーダ60−4〜60−6の何れか1つを指定し、グループCの2ビットでプリデコーダ60−7〜60−11の何れか1つを指定する。図13に示すように本変形例のメインデコーダでは、各プリデコーダに対して1個づつ(すなわち、合計12個)のレベルシフタが設けられる。
【0069】
図13のレベルシフタ61−q(q=0〜11)は、上述したメインデコーダのレベルシフタからインバータ24を除いた構成となっている。レベルシフタ61−qの各々が出力する高電位側論理信号mhbは前述した高電位側論理信号MHBに対応し、同低電位側論理信号mlbは前述した低電位側論理信号MLBに対応する。従って、高電位側論理信号mhbを伝送する高電位配線は12本必要であり、低電位側論理信号mlbを伝送する低電位配線も12本必要である(図13参照)。論理デコード回路62−r(r=0〜63)の各々は、高電位側論理信号をデコードする論理ゲートNANDHと低電位側論理信号をデコードする論理ゲートNANDLと、論理ゲートNANDLの出力を反転して出力するインバータINVLにより構成される。論理ゲートNANDHには、グループA、BおよびCから夫々1つずつ高電位側論理信号mhbが与えられ、論理ゲートNANDLには、グループA、BおよびCから夫々1つずつ低電位側論理信号mlbが与えられる。前述したように、グループA、グループBおよびグループCの各グループには各々4個のプリデコーダおよびレベルシフタが対応する。このため、本変形例では4×4×4=64個の論理デコード回路62−r(r=0〜63)が設けられている。
【0070】
図13に示すように、論理デコード回路62−rからは、選択部63−rを制御するための各種論理信号MHBr、MLBrおよびMLrが出力される。一方、サブデコーダ50には、4ビット分のアドレスADDBが入力される。従って、本変形例のサブデコーダ50の出力信号線はF0〜F15の16本となる。選択部63−rの各々は16個の選択スイッチ40を含んでいる。したがって、ワード線WLiの本数は、WL0〜WL1023の1024本となる。本変形例の論理デコード回路62−rおよび選択部63−r(r=0〜63)は、レベルシフタ61−q(q=0〜11)の各々から出力される高電位側論理信号および低電位側論理信号に基づいて1024本のワード線のうちの1つを選択して信号線Fkに接続する選択手段の役割を果たす。このような構成にすると、64個必要なレベルシフタが12個に削減できるため、面積の縮小が実現できる。なお、本変形例において行アドレスに6ビット(1024本=1K)を用いたのは、図示しない列線を鑑みて、1024本が特性的にも最適と考えられるためである。大容量メモリを設計する場合には、1024本のワード線を基本単位(1グループ)とし、このグループを複数セット設けるようにすれば良い。
【0071】
(2)上記実施形態では、1本の信号線Fkに対して1つの第3レベルシフタLS3を用いてサブデコーダ50を構成した。しかし、サブデコーダを構成する第3レベルシフタLS3の数を削減することで回路面積を縮小しても良い。変形例(1)と同様に、ワード線WLiの本数が1024本であり、アドレスADDAには6ビットのアドレスを、アドレスADDBには4ビットのアドレスを各々割り当てる場合(すなわち、サブデコーダの出力信号線数が16本の場合)には、サブデコーダを図14に示すように構成すれば良い。
【0072】
すなわち、変形例(1)と同様に、アドレスADDBを2ビットずつ2つのグループに分け、前者のグループにはプリデコーダ70−s(s=0〜3)およびレベルシフタ71−s(s=0〜3)を割り当て、後者のグループにはプリデコーダ70−s(s=4〜7)およびレベルシフタ71−s(s=4〜7)を割り当てる。なお、プリデコーダ70−s(s=0〜7)の各々は図11のデコード部DEC1に対応し、レベルシフタ71−s(s=0〜7)の各々は同第3レベルシフタLS3に対応する。ただし、本変形例のレベルシフタ71−sでは、ノードN6(図11参照)の電圧が低電位側反転論理信号として出力されない点が第3レベルシフタLS3と異なる。
【0073】
本変形例のサブデコーダでは、レベルシフタ71−sは合計8個であるため、各レベルシフタ71−sから出力される高電位側論理信号fhbを伝送するための高電位配線は8本必要であり、同低電位側論理信号flbを伝送するための低電位配線も8本必要となる。本変形例ではアドレスADDBを2ビットずつ分けた2つのグループの各々にはレベルシフタ71−sが4個ずつ含まれるため、4×4=16個の論理デコード回路72−k(k=0〜15)が必要となる。そして、論理デコード回路72−kの出力FHB,FLB、FLはバッファBUFkに与えられる。このバッファBUFkは図11のバッファBUF1に対応する。つまり、図14の論理デコード回路72−kおよびバッファBUFk(k=0〜15)は、高電位側電源ノード(VWL)の電圧と低電位側電源ノード(VSS)の電圧の何れか一方をレベルシフタ71−s(s=0〜7)の各々から出力される高電位側論理信号および低電位側論理信号に応じて選択し、ワード線に印加するための電圧として信号線Fkに出力する出力回路の役割を果たす。16本の信号線Fkを設ける場合、図11に示す構成では16個のレベルシフタLS3を設ける必要があったが、本変形例によればレベルシフタの数を8個に削減でき、回路面積を縮小することができる。
【0074】
(3)上記実施形態では、電圧VD5の他に電圧VDNを発生させたが、電圧VDNと電圧VD5を同じ電圧にしてもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、Pチャネルトランジスタ13および14として高耐圧化のために片側高耐圧構造のトランジスタを用いたが、これに代えて、両側高耐圧構造のトランジスタを用いてもよい。同様に、Nチャネルトランジスタ21および22についても両側高耐圧構造のトランジスタを用いてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100−p(p=0〜h)…メインデコーダ、38,64…論理ゲート、LS1…第1レベルシフタ、LS2…第2レベルシフタ、40−pk(p=0〜h、k=0〜3)…選択スイッチ、50…サブデコーダ、DEC1…デコード部、LS3…第3レベルシフタ、BUF1…バッファ、11,12,13,14,19,20,35,36,41,51,52,53,54,59,60,65…Pチャネルトランジスタ、15,16,21,22,31,32,33,34,42,43,55,56,61,62,66,67…Nチャネルトランジスタ、17,18,23,24,25,37,57,58,63…インバータ。
図1
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