(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
注出口を有する天板部と天板部周縁から垂下している筒状側壁とからなり容器口部に打栓する口栓本体と、注出口を覆い開閉可能に口栓本体とヒンジにより結合されたキャップとよりなる口栓において、
キャップ周縁と切断可能なブリッジによって繋げられた挿嵌片を設け、
口栓本体には挿嵌片を挿入する挿嵌孔を設け、
挿嵌孔に挿入された挿嵌片は挿嵌孔を構成する挿嵌壁に覆われた位置に留まり、
開栓によりブリッジが切断されると、挿嵌壁に連接して設けられた開口部隙間に挿嵌片が移動可能に設け、
筒状側壁の下端から第1ヒンジに連結し口栓本体の側面を覆って延びる帯部を設け、
帯部の他方の端部には、第2ヒンジを介してキャップを結合し、
帯部に覆われる筒状側壁の左右に凹部側脆弱部を設け、
帯部左右の側壁と天板との境とに天板側脆弱部を設け、
帯部に覆われる筒状側壁には、帯部と結合する係合爪を設けたことを特徴とする打栓口栓。
【背景技術】
【0002】
近年、液体用容器本体の材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂やガラス瓶が主に用いられる。しかし、これに用いられる口栓は、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリオキシペンテン等のオレフィン系樹脂や、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂やアクリロニトリルスチレン樹脂などのスチレン系樹脂が用いられている。このように、容器本体と、口栓との使用樹脂は異なっている場合がほとんどである。
【0003】
例えば、醤油の容器本体はポリエチレンテレフタレート樹脂であるが、口栓はポリエチレンであり、ドレッシングの容器本体はポリエチレンテレフタレート樹脂やガラス瓶であるが、口栓はポリエチレン、キャップはポリプロピレンである。このように、容器本体と、口栓との使用樹脂は異なっている場合がほとんどである。それは、ガラスやポリエチレンテレフタレートの容器本体は、内容物の保存性能が高く、量産性も高いが、それで製造した場合、口部は肉厚が厚い事もあり、この口部の寸法精度が非常に低い。その為、嵌合する口栓は、柔軟性がある樹脂で製造し、それを打栓等により押し込んで嵌合する事で、確実に容器と口栓の隙間を埋め、密封性を確保していた。又、ポリプロピレンのような結晶性の樹脂は、薄肉にして分子方向を合わせてできるヒンジが容易にできて、生産性が高く、口栓とキャップが一度に作成できるメリットも大きい。このようにして、使用材料は、容器本体と口栓との使用樹脂が異なった組み合わせで設計されて来た背景がある。
以上のような材質の選定によって、容器本体と口栓の材質を異なって製造される容器ではあるが、この容器の内容物を使い切り、容器を廃棄する場合、材料の違いから、各自治体の多くでは、分離して材料別に分別して廃棄するよう指導が行われている。
【0004】
ところで、近年、毒物混入など、犯罪防止の為、開封の有無を判別できるように、開封状態では、主に下記のように設計されている。
すなわち、ネジ式では、口栓の袴部分が開封時に切れて、容器の鍔下部分に残るように設計されている。また、打栓式では、口栓の容器鍔下の首部分に口栓本体が嵌合されて残り、開封の有無を判別できる。
このように、開封しても、口栓の一部を容器本体から簡単には外せない構造を作り、開封の有無が明確にする方法が採られていた。
その為、これを分離して材料別に分別できるようにする事は、カッター等の道具が必要であり、子供やお年寄りにとっては、使用材料別になるよう分離する事は面倒であり、怪我をする恐れもあった。
【0005】
文献1では、キャップ本体とヒンジで結合した蓋体のヒンジ反対側に有するフランジの
先端下面に係止突起を起立設すると共に、キャップ本体の円弧状外周面上端縁に薄肉部を介してフランジ先端部に外側から対向位置すべく連設した円弧状の係合片に係止突起を乗り越えて内側から係止する係合凸起を設けた。そして、肉薄部による係合片のキャップ本体に対する連結を少なくとも係合片の両側端部と中央とで達成してなる不正開封防止ヒンジキャップを提案している。
しかし、このキャップは、キャップ本体と係合片止部が繋がっていた薄肉部の破断でしか、判断できない。もしこの係合片が薄肉でしか繋がっていないので、開封前は係合片止部が繋がっていた事を知らなかった場合は、開封しているか判断が着かない問題がある。
【0006】
文献2では、容器本体と打栓方式で勘合するヒンジキャップで、キャップ本体の下端からキャップ本体のスカート部を覆って延びる側壁が形成され、該側壁はヒンジ部を介して上蓋と連結されると共に、スカート部との間に互いに係合する係合部が形成されており、該側壁で覆われるキャップ本体のスカート部の係合部の内側で且つ側壁とキャップ本体との連結部の両側に弱化部が形成されて、上蓋をキャップ本体から開蓋し、該側壁の係合部を解除して、上蓋をキャップ軸方向上方に引き上げることにより、キャップ本体のスカート部に形成された弱化部が破壊され、容器口部から容易に取り外す事が可能なキャップである。
このキャップは、容器口部からキャップを外す時、上蓋を引き上げて、側壁の係合部を解除するので、ヒンジの部分を介して引っ張る行為にならざるを得ない。その為、ヒンジを中心に上蓋を回転して開閉する場合は耐久性もあるヒンジであっても、引っ張られ、弱化部を破壊する力が、ヒンジにも直接係ることになる。その為、使用されてすでに伸ばされかかったヒンジ部の方が、弱化部よりも弱かったりするケースが多くなり、ヒンジが先に破壊されてしまうケースが多々発生する問題がある。その場合、弱化部を破壊するには、持つ所が無くなっているので、カッターなどを使用するなど、面倒な作業になってしまう問題があった。
【0007】
文献3は、容器本体と打栓方式で嵌合するヒンジキャップである。キャップ本体の下端からキャップ本体の上端から下方に向かって延びているスリットにより内側側壁と外側側壁に分割され、内側側壁と外側側壁とは、該スリット部分で互いに対面しているが、下方部分及び両側部分では一体に連なっているヒンジキャップである。
このキャップも、ヒンジ構造の下に、外の部分と内の部分を設ける事により、金型での薄い部分形成された所が出来て、金型の冷却が困難な状況から、射出成形の成形サイクルが長くなり、コストアップの状態になる問題や、キャップの開閉を乱暴に行うと、脆弱部を切断してしまう可能性がある問題や、肉厚の薄いヒンジ下の内外構造部に脆弱部を設けているので、射出成形時に、ショートショットが起こりやすく、成形条件や成形樹脂の選定が限定され、使用樹脂範囲がせまくなる問題は同じように存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記問題に鑑みて、誰でも開封前と開封後の区別がつき、特にキャップを開けない状態でも、開封の有無を確認できる、バージン性を担保できる構造を有する口栓で、かつ、価格の上昇を招かない口栓である。
また、口栓と容器本体を分離するのに、分りやすく、失敗しにくく、手間を掛けないで解体できる口栓である事が、本明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1の打栓口栓は、注出口を有する天板部と天板部周縁から垂下している筒状側壁とからなり容器口部に打栓する口栓本体と、注出口を覆い開閉可能に口栓本体とヒンジにより結合されたキャップとよりなる口栓において、
キャップ周縁と切断可能なブリッジによって繋げられた挿嵌片を設け、
口栓本体には挿嵌片を挿入する挿嵌孔を設け、
挿嵌孔に挿入された挿嵌片は挿嵌孔を構成する挿嵌壁に覆われた位置に留まり、
開栓によりブリッジが切断されると、挿嵌壁に連接して設けられた開口部隙間に挿嵌片が移動可能に設けたことを特徴とする打栓口栓である。
【0011】
また、本発明の請求項
1の打栓口栓は、筒状側壁の下端から第1ヒンジに連結し口栓本体の側面を覆って延びる帯部を設け、
帯部の他方の端部には、第2ヒンジを介してキャップを結合し、
帯部に覆われる筒状側壁の左右に凹部側脆弱部を設け、
帯部左右の側壁と天板との境とに天板側脆弱部を設け、
帯部に覆われる筒状側壁には、帯部と結合する係合爪を設けたことを特徴とする打栓口栓である。
【0012】
本発明の請求項
2の打栓口栓は、挿嵌片を設けたキャップ周縁のブリッジにフランジが連結している事を特徴とする打栓口栓である。
【0013】
本発明の請求項
3の打栓口栓は、挿嵌片表面に開封を示す表示を設けた事を特徴とする打栓口栓である。
【0014】
本発明の請求項
4の打栓口栓は、挿嵌片の幅に対し、挿嵌爪幅を小さくした事を特徴とする打栓口栓である。
【0015】
本発明の請求項
5の打栓口栓は、帯部側面に抜け止めの突起を設け、帯部によって覆われる筒状
側壁の凹部を帯部の突起に沿った形状の係合壁にした事を特徴とする打栓口栓である。
【0016】
本発明の請求項
6の打栓口栓は、天板側脆弱部は、帯部左右の側壁と天板との境界長さの半分以上を脆弱部とした事を特徴とする打栓口栓である。
【0017】
本発明の請求項
7の打栓口栓は、帯部は、側壁との接合部近傍において、挿嵌爪の幅に相当する孔を設けた事を特徴とする打栓口栓である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の打栓口栓は、開封するには、単に一度閉めたキャップの蓋を引き上げれば開封し、キャップがしまった状態でも、その開封の有無を明確に残す事ができる。
そして、その場合、開封などの文字や記号、色などで表示できるので、いたずらや悪意の開封が行われた場合、分りやすい効果がある。
また、本発明の口栓を解体する時は、筒状側壁凹部の嵌合突起で帯部と筒状側壁が嵌合した嵌合を外し、その帯部を引っ張るだけで、容易に容器口元から口栓を外す事ができる。この為、ナイフなどの道具も必要ではなく、簡単に、かつ、迅速に分離処理できる。
ヒンジ部を支える帯部は、側壁に嵌合爪で固定されているので、落下などで破損しにくく、ヒンジ及びヒンジ周辺におけるトラブルが少ない。
しかも、極端に薄肉にしなければならないようなところが無いので、射出成形がしやすく、成形材料や成形条件の幅が広く、安定して成形できるので、樹脂選定の範囲も広く気を使わなくて済み、生産性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の
参考形態例の打栓口栓のを使用した液体用容器の外観図である。
【
図2】本発明の
参考形態例の打栓口栓をヒンジ側から見た外観図である。
【
図3】本発明の
参考形態例の打栓口栓における成形直後で使用前のヒンジ側から見た外観図である。
【
図4】本発明の
参考形態例の打栓口栓における成形直後で使用前の挿嵌孔側から見た外観図である。
【
図5】本発明の
参考形態例の打栓口栓における成形直後で使用前の断面図である。
【
図6】本発明の
参考形態例の打栓口栓において、ヒンジを閉じる直前の状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の
参考形態例の打栓口栓において、ヒンジを初回に閉めた状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の
参考形態例の打栓口栓において、ヒンジを初回に閉めた状態を示す外観図である。
【
図9】本発明の
参考形態例の打栓口栓において、キャップを初回に開きかけた状態の断面図である。
【
図10】本発明の
参考形態例の打栓口栓において、一度閉じたキャップを再度開いた状態の断面図である。
【
図11】一度閉めた本発明の
参考形態例の打栓口栓を開口し、再度閉めた状態で、挿嵌孔側から見た外観図である。
【
図12】一度閉めた本発明の
参考形態例の打栓口栓を開口し、再度閉めた状態で、嵌合孔近傍の断面図である。
【
図14】本発明の容易に分離できる打栓口栓をヒンジ側から見た外観図である。
【
図15】本発明の容易に分離できる打栓口栓における成形直後で使用前の外観図である。
【
図16】本発明の容易に分離できる打栓口栓における成形直後で使用前の断面図である。
【
図17】本発明の容易に分離できる打栓口栓において、第一ヒンジを閉じて帯部を筒状側壁に係合した状態を示す断面図である。
【
図18】本発明の容易に分離できる打栓口栓における帯部を筒状側壁に嵌合した状態の断面図で、3つの方法を示した図である。
【
図19】本発明の容易に分離できる打栓口栓のキャップを初回に閉めた状態のバネヒンジ部で切断した断面図である。
【
図20】本発明の容易に分離できる打栓口栓のキャップを初回に閉めた状態の
図14のA面で切断した断面図である。
【
図21】一度閉めてあった本発明の容易に分離できる打栓口栓を開口し始める状態の断面図である。
【
図22】一度閉めてあった本発明の容易に分離できる打栓口栓を開口した状態の断面図である。
【
図23】一度閉めた本発明の容易に分離できる打栓口栓を開口した状態で、第2ヒンジ側から見た外観図である。
【
図24】一度閉めた本発明の容易に分離できる打栓口栓を開口した状態で、挿嵌孔側から見た外観図である。
【
図25】容器に嵌合した状態で、一度閉めた本発明の容易に分離できる打栓口栓を開口した状態の断面図である。
【
図26】本発明の容易に分離できる打栓口栓の脆弱部を表記した外観図である。
【
図27】容器本体に打栓した本発明の容易に分離できる打栓口栓において、分離の手順1で、口栓の側壁に設けた係合爪や凹部と帯部との係合を外した状態を示す断面図である。
【
図28】容器本体に打栓した本発明の打栓口栓において、分離の手順2で、帯部を引っ張り上げ、帯部に覆われる筒状側壁凹部の左右に設けた凹部側脆弱部を破断した状態を示す外観図である。
【
図29】容器本体に打栓した本発明の打栓口栓において、分離の手順2で、帯部を引っ張り上げ、帯部に覆われる筒状側壁凹部の左右に設けた凹部側脆弱部を破断した状態を示す断面図である。
【
図30】容器本体に打栓した本発明の打栓口栓において、分離の手順3で、帯部をさらに引き上げ、凹部左右の筒状側壁と天板との境とに設けた天板側脆弱部を破断した状態を示す外観図である。
【
図31】容器本体に打栓した本発明の打栓口栓において、分離の手順4で、帯部をさらに引き上げ、容器本体口部の内側に打栓されている口栓のボトルインナーリングを引き上げている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の打栓口栓1の実施の形態例について、図を用いて詳細に説明する。
実施形態例に使用される容器本体2は、
図1に示すように、通常のボトルで、射出パリソンを延伸ブロー成形したボトルや、通常のブローボトル、紙や金属箔やプラスチックなどを積層した紙容器に融着した口部を持つものであってもかまわない。これらの容器で、打栓して口栓を嵌合可能にした容器である。座屈強度が低い容器の場合は、口元21近傍に打栓圧力を受ける為の鍔22が設けられている事が好ましい。
打栓口栓1は、
図2に示すように、口栓本体3とキャップ4がヒンジ5により繋がって、開閉可能になっている。
【0021】
図3,
図4、
図5は、成形直後で、使用前の状態を示している。口栓本体3は、注出口91を有する天板部9と天板部周縁から垂下している筒状側壁7とで構成されている。
そして、天板部9には注出口91となる閉鎖板92と、それを開口させる為のプルリング93、排出時の液ダレ防止用の周状突起94、容器と嵌合するボトルインナーリング95、コンタクトリング96、さらに上面に、キャップとの位置合わせ等になる凸設リング97が設けられている。
筒状側壁7には、キャップ4のフランジ421に設けた挿嵌片422を収納する挿嵌孔8、内側に容器の口部と嵌合する嵌合突起74が設けられている。
そして、挿嵌孔8の外壁には、挿嵌爪4221が係止する開口部81が設けられている。
【0022】
ヒンジはダブルヒンジになっていて、中央のバネヒンジ51と、左右のヒンジ52から構成された図になっているが、このダブルヒンジは、図示したミラーヒンジだけではなく、バタフライヒンジなど他の3点ヒンジであっても、又、単に通常のひとつのヒンジから構成されるヒンジであってもかまわない。
なお、天板部9の内部やその液漏れ防止等に基づく構造は、異なっていてもかまわない。キャップ側にも、キャップインナーリング411があるが、口栓本体側の形状に合わせたものであれば、コンタクトリングがなくても、他の方式でもかまわない。
【0023】
キャップ4は、キャップ天板41とキャップ側壁42からなり、天板41にはキャップインナーリング411が設けられ、キャップ側壁42にはフランジ421とその下面に挿嵌片422がブリッジ423によって連結されている。フランジ421は、ブリッジ423を破断するのに、ブリッジを引き上げる力で破断させるので、破断する力が出しやすいように、ブリッジ423の根元に、指が掛かりやすいように設ける。そして、挿嵌片422には先端に挿嵌爪4221が設けられ、挿嵌壁82の開口部81に挿嵌し、一度挿入された挿嵌片422が完全に挿嵌孔8から抜け出ないようにしている。
【0024】
図6は、キャップ4を閉めかけている状態で、
図7、
図8は、キャップ4を閉め終えた状態を示している。この状態で容器本体2に打栓口栓を打栓して、嵌合する。
キャップ4を閉めると、挿嵌片422は挿嵌孔8に入り込まれるが、挿嵌爪4221は挿嵌壁82に設けられた開口部81の下端に嵌合し、抜けられないようになる。また、挿嵌爪4221の上側の嵌合片表面4222は、挿嵌壁82で隠れ、見えない状態にする。従って、開口部81上側の側面壁82高さは、挿嵌片表面4222の高さとブリッジ421の高さの合計にしておく。
フランジ421にブリッジ423で連結された挿嵌片422先端の側面に、挿嵌爪4221が設けられている。他方、挿嵌孔8の外側に膨らんだ挿嵌壁82があり、その中央下側には開口部81が設けられ、キャップを閉めた時、挿嵌爪4221がこの開口部81に嵌まり、挿嵌片422は挿嵌孔から抜け出せない。
口栓本体3の凸設リング97には嵌合突起971が設けられ、それに対応して、キャップ側は、フランジ421の根元近傍のキャップ側壁42に嵌合凹部424が設けられ、挿嵌片422が挿嵌孔72に入り込んで、ブリッジ423が離れた後でも、キャップ4が口栓本体3に嵌合して固定できるように設計されている。
この嵌合突起971や嵌合凹部424は、全周囲に設けてもかまわないが、本図面では、挿嵌部近傍に設けた例を示した。
【0025】
図9は、
図8のように閉じたキャップ4を、再度開こうとしている状態で、キャップを開こうとすると、挿嵌孔8の開口部81上端に嵌合した挿嵌爪4221が引っかかって抜けず、その為、ブリッジ423部分が破断し、挿嵌片422は挿嵌孔8における下端の隙間84に落下する。
【0026】
次に、
図10、
図11、
図12で示すように、キャップ4と挿嵌片422は分離し、挿嵌片422は挿嵌孔8の下端の隙間84に落下する。すると、今まで隠された挿嵌片422の挿嵌片表面4222が開口部81から見えるようになる。
図13で示すように、挿嵌片表面4222には彫刻で「開封」、「済」「開」といったような文字や記号などを彫刻したり、口栓本体の色と違えて、色入れや印刷、箔押しなど、又はそれらを組み合わせて、一度開封された事が明確に示す事が出来る。
その為、この容器のバージン性が失われた事が表明され、キャップを開けなくても、開封した事を明確に分りやすく表示され、明確に分るようになる。
【0027】
従って、再度このキャップを閉めた状態では、
図11のように、挿嵌片の挿嵌表面4222が開封の表記を明示するようになる。
また、このように、挿嵌片が外れた後でも、
図12に示すように、キャップ4は嵌合凹部424が嵌合突起971と嵌合する為、閉じて固定できるので、問題は出ない。
挿嵌片422は、
図13で示すように、挿嵌爪4221は挿嵌片422の幅よりも小さな幅で設計され、挿嵌片表面4222には開封などの彫刻と色入れなどが施される。挿嵌爪4221の幅を狭くするのは、挿嵌孔8は挿嵌爪4221が挿入される時の厚みよりも、孔の縦幅801が確実に狭く、無理嵌合で挿入される為、挿嵌壁82が変形して通り易くする為である。このようにする事で、挿嵌壁82は中央の下端に開口している事もあり、中央がいくらかフリー状態になっているので、挿嵌爪4221の厚み分を変形させ、挿嵌できる。
もちろん、挿嵌片422の挿入側端面には角を取ったり丸めたりして、挿入しやすくしておく事が望ましい。挿嵌孔8の内面角も、丸めて、破損しにくいようにしておく事が好ましい。
また、ブリッジ423は、フランジ側で切断される事が好ましいので、フランジ側の太さを細くしたり、反対側の挿嵌片側に丸みを付けたりしておくなどの対策を採っておく事が望ましい。
また、挿嵌片422が開口部81よりも充分大きく、開口部81から抜け落ちないような大きさにしておく必要がある。
本発明の打栓口栓は、以上のようなものである。
【0028】
また、本発明品は、廃棄する場合、容器本体と口栓の材質が違うので、分離して廃棄する事が好ましい。そこで、次に分離が容易な機能を追加した打栓口栓1について説明する。この口栓は、
図14に示すように、口栓本体3とキャップ4が第一ヒンジ53、帯部6と第2ヒンジ5により繋がって、開閉可能になっている。
口栓本体3の筒状側壁7の一部には凹部71を設け、帯部6が収納できるようにしてある。この帯部6は、筒状側壁の下端と第1ヒンジで連結し、帯部の他端にはキャップと第2ヒンジで連結している。そして、凹部71に設けられた係合爪711と帯部6の係合孔61とが係合して、通常の使用では帯部6は筒状側壁に収まっている。
【0029】
打栓口栓1は、成形された状態では、
図15、
図16に示すように、帯部6は筒状側壁7の凹部71から離れている。
口栓本体3は、注出口91を有する天板部9と天板部周縁から垂下している筒状側壁7とで構成されている。
そして、天板部9に
図3、
図4と同じく閉鎖板92、プルリング93、周状突起94、ボトルインナーリング95、コンタクトリング96、凸設リング97が設けられ、閉鎖板92と天板部9は注出口脆弱線98で繋がっている。
筒状側壁7には、
図4、
図5と同じように、帯部6や係合爪711の他、キャップ4のフランジ421に設けた挿嵌片422を収納する挿嵌孔8、内側に容器の口部と嵌合する嵌合突起
74が設けられている。
そして、挿嵌孔8の外壁には、挿嵌爪4221が係止する開口部81が設けられている。
【0030】
帯部6中央には係合爪711と係合する係合孔61とが設けられており、
帯部6の下端には喰い切り用の下端孔62と左右の第1ヒンジ53とが設けられており、帯部6上端にはキャップと連結する第2ヒンジが設けられている。
第2ヒンジはダブルヒンジになっていて、中央のバネヒンジ51と、左右のヒンジ52から構成された図になっているが、このダブルヒンジも、図示したミラーヒンジだけではなく、バタフライヒンジなど他の3点ヒンジであっても、又、単に通常のひとつのヒンジから構成されるヒンジであってもかまわない。
なお、天板部9の内部やその液漏れ防止等に基づく構造は、異なっていてもかまわない。キャップ側にも、キャップインナーリング411があるが、口栓本体側の形状に合わせたものであれば、コンタクトリングがなくても、他の方式でもかまわない。
【0031】
キャップ4は、キャップ天板41とキャップ側壁42からなり、天板41にはキャップインナーリング411が設けられ、キャップ側壁42にはフランジ421とその下面に挿嵌片422がブリッジ423によって連結されている。フランジ421は、ブリッジ423を破断するのに、ブリッジを引き上げる力で破断させるので、破断する力が出しやすいように、ブリッジ423の根元に、指が掛かりやすいように設ける。そして、挿嵌片422には先端に挿嵌爪4221が設けられ、挿嵌壁82の開口部81に挿嵌し、一度挿入された挿嵌片422が完全に挿嵌孔8から抜け出ないようにしている。
本発明の分離が容易な打栓口栓は、以上のようなものである。
【0032】
図14、
図17は、打栓口栓1の帯部6を凹部71に収納した状態を示すものである。帯部6の中央に設けた係合孔61に、凹部71の中央に設けた係合爪711が係合し、第1ヒンジ53のヒンジ効果で,帯部6は凹部71に固定される。
さらに、断面の
図18の(18a)(18b)(18c)で示すように、帯部6の側面はテーパーなどの抜け止めの突起を設け、それに合わせて凹部71の側面も帯部側面の形状
に合わせる事で、より帯部6は凹部71に密着固定され、第2ヒンジの開閉によるぐらつきや振れが収まるようにする事で、使用中のヒンジの破損が無くなり、使いやすくなる。
【0033】
図19、
図20は、キャップ4を閉めた状態を示している。この状態で容器本体2に打栓口栓を打栓して、嵌合する。
挿嵌片422は挿嵌孔8との関係は、
図7、
図8で示したものと同様である。
図20で示すように、筒状側壁7と天板部9との境には、天板側脆弱部31が設けられている。
図20では外側から肉を盗んだ脆弱部になっているが、コンタクトリング96を避ければ、内側から盗んだ天板側脆弱部31も可能である。この天板側脆弱部31は、筒状側壁7と天板部9との境全周の半分以上を脆弱部にする事が好ましい。脆弱部が境全周の半分以上であると、嵌合突起
74がその突起分を周方向で抜けて、簡単に容器本体2口元21から打栓口栓1が抜けやすくなる。
【0034】
図21は、
図19のように閉じたキャップを、再度キャップ4を開こうとしている状態で、
図9と同様、キャップを開こうとすると、挿嵌孔8の開口部81上端に嵌合した挿嵌爪4221が抜けず、その為、ブリッジ423部分が破断し、挿嵌片422は挿嵌孔8における下端の隙間84に落下する。
【0035】
次に、
図22、
図23、
図24で示すように、キャップ4と挿嵌片422は分離し、挿嵌片422は挿嵌孔8の下端の隙間84に落下する。すると、今まで隠された挿嵌片422の挿嵌片表面4222が開口部81から見えるようになる。
挿嵌片表面4222には彫刻で「開封」、「済」「開」といったような文字や記号などを彫刻したり、口栓本体の色と違えて、色入れや印刷、箔押しなど、又はそれらを組み合わせて、一度開封された事が明確に示す事が出来る。
その為、この容器のバージン性が失われた事が表明され、キャップを開けなくても、開封した事を明確に分りやすく表示され、明確に分るようになる。
【0036】
従って、再度このキャップを閉めた状態では、
図24のように、挿嵌片の挿嵌表面4222が開封の表記を明示するようになる。
また、このように、挿嵌片が外れた後でも、キャップ4は嵌合凹部424が嵌合突起971と嵌合する為、閉じて固定できるので、問題は出ない。
【0037】
一度開封した容器は、通常の使用では、
図10、
図25のように嵌合している。
プラスチックの容器などにおいて、使用材料を節約する為、胴部の肉厚を減らした事で、容器本体の座屈強度が小さい場合は、
図1に示すように、口元21の根元に鍔22を設け、打栓圧力を受けられるようにしておく。
容器本体2の口元21の外側全周囲に嵌合する口元突起211が設けられ、打栓口栓側の嵌合突起
74と嵌合し、口元内面壁はボトルインナーリング95とコンタクトリング96が嵌合している。このことで、容器本体2と打栓口栓1が嵌合し、液留めを確実にできるようにしている。
【0038】
容器の内容物を使い終わり、容器や打栓口栓を廃棄する時は、打栓口栓1と容器本体2とは材料が異なる場合が多いので、口栓と容器本体を分解し、分けて各々の材料別に廃棄するようにする。
図15の破線は、本発明の打栓口栓の脆弱部を示している。すなわち、口栓本体3の天板部6と筒状側壁7との境の天板側脆弱部31と、筒状側壁7における凹部71左右の凹部側脆弱部32を設けている。天板側脆弱部31は、口栓本体の天板部9と筒状側壁7との境の内、凹部71近傍を含む半分以上を脆弱部にする。半分以上脆弱部にすると、嵌合している容器本体
2の口元突起211と嵌合突起
74との嵌合部分の残りがすり抜けるように、口栓全体が変形してずれ、抵抗がほとんど無く、口栓を抜く事ができる。凹部側脆弱部32は、
図18の(18a)で示したように、凹部外側の開口幅より
小さめにして、脆弱部を破断させる力に抵抗が無い様にするか,(18b)、(18c)のように、凹部外側に脆弱部を設けて、係合には問題が出にくいようにする。
【0039】
口栓と容器本体を分解は、
図26〜
図31の順で行われる。
まず、
図26、
図27で示すように、帯部6の係合孔61と係合爪711の係合を外し、帯部6を凹部71から外す。さらに、
図28、
図29で示すように、帯部を外側に引き出す事で、凹部側脆弱部32を切断する。
次に、
図30で、天板部9を引き上げることで、天板側脆弱部31を破断し始め、さらに天板部9を引き上げ、口栓本体の天板部9と筒状側壁7との境の内、凹部近傍を含む半分近くまで破断させていく。ここまで天板側脆弱部が破断すると、嵌合突起74が容器口元の突起211から抜けながら、
図31のように、ボトルインナーリング95も容器口元21から抜けて、打栓口栓1を容器本体2から分離する事ができる。
このように凹部71の左右それぞれの2箇所が脆弱部で構成されている事で、容易に段階的に分解が可能であり、また、口栓を容器の口元に打栓する時、圧縮する力になるので、破損しないで嵌合ができる。
【0040】
本発明の打栓口栓を製造するには、射出成形で行う。第2ヒンジ51,第1ヒンジ53のヒンジ2箇所に、ブリッジ423や、注出口脆弱部98、天板側脆弱部31、凹部側脆弱部32など、薄肉部分が多く成形しづらいが、
図16のように第1ゲート11、第2ゲート12のように多点ゲートで成形する事で、樹脂充填が容易になる。
【0041】
本発明の打栓口栓は、プルリング93を使用する場合、引っ張り強度も高い必要があり、かつ、天板側脆弱部31、凹部側脆弱部32それぞれの脆弱部やブリッジ423では一定の引張り強度で破断する多様な特質を持っている必要がある。特に、ヒンジキャップなので、溶融時の流動性(MIF)も高い必要がある。そこで、嵌合口栓の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂で、単一樹脂でもかまわないが、出来る限りそれらの共重合樹脂である事が好ましい。内容物や使用環境にもよるが、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル酸共重合樹脂などを添加した混合樹脂でもかまわない。実際に使用する場合は、各種樹脂を用いて成形した後、容器本体に嵌合し、充填予定の内容物を使用して、環境ストレスクラッキング試験を実施し、判断する。
【0042】
本発明の打栓口栓は、以上の様なもので、キャップを開かなくても、開封の有無が容易に判断できるメリットがあると共に、容器と口栓を分解するのにナイフなどの道具が必要ではなく、分解に大きな力が要らないので、だれでも簡単に分解が出来る口栓である。
また、本発明の打栓口栓は通常の射出成形が可能で量産性も高い。その上、打栓式の口栓なので、キャッピングマシンも回転動作が必要でないので、容器の内容物を充填する機械も安価に作成できるなど、メリットが大きい。