(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部は、前記換気装置本体の前記本体フランジ部の前記係止部に係止された状態で、前記換気装置本体が天井に固定されていない場合に、前記換気装置本体の前記本体フランジ部と前記天井との間に隙間を空ける構造を有した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の換気装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の換気装置としての浴室換気乾燥暖房装置の実施の形態について説明する。
[浴室換気乾燥暖房装置の構成例]
図1は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房装置1Aの一例を示す全体構成図、
図2は、本実施の形態の浴室換気乾燥暖房装置1Aの一例を示す断面図、
図3は本実施の形態の浴室換気乾燥暖房装置1Aの分解斜視図である。
【0014】
本実施の形態の浴室換気乾燥暖房装置1Aは、
図1〜
図3に示すように、装置本体10が浴室100の天井100aに形成された開口部100bに設置される。浴室換気乾燥暖房装置1Aは、空気が吸い込まれる吸込口グリル11aおよび空気が吹き出される吹出口グリル11bを備えたフロントパネル11が装置本体10の下面に取り付けられ、フロントパネル11が浴室100の天井100aに露出する。
【0015】
浴室100の天井100aに設置された浴室換気乾燥暖房装置1Aは、排気ダクト12が接続される。排気ダクト12は、図示しない建物の外壁101に設置された屋外グリル12aと接続される。
【0016】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、副吸込ダクト13が接続される。副吸込ダクト13は、他室である洗面脱衣所102の天井に102aに設置された副吸込口グリル13aと接続される。なお、副吸込ダクト13は複数設けても良い。例えば、2つの副吸込ダクト13を用いた場合、一方の副吸込ダクト13を洗面脱衣所102に設置し、他方の副吸込ダクト13をトイレに設置する。このとき、洗面脱衣所102とトイレの両方から空気が吸い込まれる構成としても良いし、どちらか一方から空気が吸い込まれる構成としても良い。
【0017】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、浴室100の空気を、装置本体10の吸込口グリル11aから吸い込んで、排気ダクト12を介して屋外に排気すると共に、他室である洗面脱衣所102の空気を、副吸込口グリル13aから副吸込ダクト13を介して吸い込んで、排気ダクト12を介して屋外に排気する換気ファン2を備える。
【0018】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、浴室100の空気を、装置本体10の吸込口グリル11aから吸い込んで、装置本体10の吹出口グリル11bから浴室100に吹き出す循環ファン3と、循環ファン3で吹出口グリル11bから浴室100に吹き出される空気の温度を制御するヒータ4を備える。
【0019】
換気ファン2は、送風手段である換気送風手段の一例で、軸方向から空気を吸い込み、遠心方向に吹き出す遠心ファンで構成される。換気ファン2は、
図2に示すように、多翼の羽根車20と、羽根車20を回転させる換気ファンモータ21と、風路を形成する換気ファンケース22を備える。
【0020】
換気ファン2は、羽根車20の軸方向から空気が吸い込まれ、羽根車20の遠心方向に沿った側方に向けて空気が吹き出される換気ファン吹出風路22aが、換気ファンケース22により形成される。
【0021】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、循環ファン3の上側に換気ファン2が配置される構成で、換気ファン2において、羽根車20の軸方向に沿った換気ファンケース22の上面に、空気が吸い込まれる換気ファン吸込口22bが形成される。
【0022】
循環ファン3は、送風手段である循環送風手段の一例で、換気ファン2と同様に遠心ファンで構成される。循環ファン3は、
図2に示すように、多翼の羽根車30と、羽根車30を回転させる循環ファンモータ31と、風路を形成する循環ファンケース32を備える。
【0023】
循環ファン3は、羽根車30の軸方向から空気が吸い込まれ、羽根車30の遠心方向に沿った側方に向けて空気が吹き出される循環ファン吹出風路32aが、循環ファンケース32により形成される。
【0024】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、換気ファンケース22および循環ファンケース32の側方に浴室吸込風路23が形成され、装置本体10の下面に、浴室吸込風路23を介して換気ファン吸込口22bと連通した換気吸込口22cが形成される。
【0025】
さらに、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、換気ファンケース22および循環ファンケース32の上方に他室吸込風路24が形成され、装置本体10の一の側面に、他室吸込風路24を介して換気ファン吸込口22bと連通した単一の副吸込口22dが形成される。
【0026】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、装置本体10の他の側面に、換気ファン2の換気ファン吹出風路22aと連通した排気吹出口22eが形成される。
【0027】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、装置本体10の下面の一部が循環ファンケース32の下面で構成され、循環ファン3において、羽根車30の軸方向に沿った循環ファンケース32の下面である装置本体10の下面に、空気が吸い込まれる循環ファン吸込口32bが形成される。
【0028】
また、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、循環ファン3において、循環ファンケース32の下面である装置本体10の下面に、循環ファン吹出風路32aと連通して空気が吹き出される循環ファン吹出口32cが形成され、循環ファン吹出口32cの内側にヒータ4が設けられる。
【0029】
ヒータ4は加熱手段の一例で、本例ではPTCヒータで構成される。浴室換気乾燥暖房装置1Aは、ヒータ4が通電されることで発熱し、循環ファン吹出口32cから吹き出される空気を加熱する。
【0030】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、装置本体10の側面および上面を覆う形状の金属ケース5を備える。浴室換気乾燥暖房装置1Aは、樹脂材料で構成された換気ファンケース22および循環ファンケース32が金属ケース5で覆われている。装置本体10の下端部には、外方向に張り出した本体フランジ部14が装置本体10の周方向に沿って枠状に形成されている。
【0031】
本体フランジ部14下面には、装置本体10を天井100aに施工する際に装置本体10を仮止めするための仮止め部材60が設けられている。仮止め部材60は、係止部の一例であり、装置本体10を開口部100bに差し込んだときに、本体フランジ孔から突き出した副吸込ダクトジョイント50下面の突出片54を係止することで、副吸込ダクトジョイント50や排気ダクトジョイント40に装置本体10を仮止めする。仮止め部材60の詳細については後述する。
【0032】
金属ケース5と、換気ファンケース22および循環ファンケース32の側面との間、金属ケース5と、換気ファンケース22の上面との間に形成される連通した空間で、浴室吸込風路23が形成される。また、金属ケース5と、換気ファンケース22および循環ファンケース32の上面との間に形成される連通した空間で、他室吸込風路24が形成される。
【0033】
浴室換気乾燥暖房装置1Aは、換気吸込口22cと循環ファン吸込口32bが、フロントパネル11の吸込口グリル11aと繋がり、循環ファン吹出口32cが、フロントパネル11の吹出口グリル11bと繋がる。
【0034】
副吸込ダクトジョイント50が接続される装置本体10の側面とは反対側の側面に形成される装置本体10の排気吹出口22eには、排気ダクトジョイント40が取り付けられている。排気ダクトジョイント40は、排気ダクト接続部材の一例であり、施工時に天井100aの開口部100bの浴室側の開口縁に配置され、装置本体10の天井100aへの取り付けにより天井100aに固定される。排気ダクトジョイント40には、排気ダクト12が接続される。
【0035】
装置本体10の副吸込口22dには、副吸込ダクトジョイント50が取り付けられている。副吸込ダクトジョイント50は、吸込ダクト接続部材の一例であり、施工時に開口部100bの開口縁の位置にフランジ部53を介して仮止めされ、装置本体10の天井100aへの取り付けにより天井100aに固定される。副吸込ダクトジョイント50には、副吸込ダクト130が接続される。
【0036】
これにより、浴室換気乾燥暖房装置1Aは、浴室100と、洗面脱衣所102が、装置本体10内の浴室吸込風路23および他室吸込風路24と、副吸込ダクト13を介して繋がる風路構成となっている。なお、換気装置としての浴室換気乾燥暖房装置1Aは、送風手段として循環ファンと換気ファンを独立して備えた構成としたが、風路を切り替えるダンパ等を備えることで、1つのファンで換気送風手段と循環送風手段を実現する構成でも良い。また、換気のみを行う構成でも良い。
【0037】
[装置本体下面の構成例]
次に、装置本体10の下面側の構成の一例について説明する。
図4は、装置本体10の下面側の構成の一例を示している。
図4に示すように、装置本体10下面の副吸込ダクトジョイント50側の本体フランジ部14には、副吸込ダクトジョイント50の突出片54が挿入される本体フランジ孔18と、突出片56が挿入される本体フランジ孔19とがそれぞれ形成されている。装置本体10下面の排気ダクトジョイント40側の本体フランジ部14には、排気ダクトジョイント40の突出片が挿入される本体フランジ孔18が形成されている。
【0038】
また、装置本体10の本体フランジ部14の下面には、仮止め部材60を装着するための収容部15が設けられている。収容部15は、副吸込ダクトジョイント50および排気ダクトジョイント40のそれぞれの配置位置に対応した位置に設けられ、仮止め部材60を所定のスライド長で保持することが可能な凹部により構成されている。
【0039】
図5は、収容部15の構成の一例を示している。
図5に示すように、収容部15は、挿脱口16と保持部15aとガイド溝17とを有している。挿脱口16は、仮止め部材60を収容部15に装着したり、仮止め部材60を収容部15から取り外ししたりするための部位であり、仮止め部材60の外径よりも若干大きな開口径からなる。
【0040】
保持部15aは、仮止め部材60のスライド部63,64(
図6参照)間の幅よりも狭くなるように互いに内側に延出して設けられ、仮止め部材60のスライド部63,64を保持することで仮止め部材60の装置本体10からの落下を防止する。
【0041】
ガイド溝17は、収容部15を構成する凹部側壁であって本体フランジ部14の長さ方向(短手方向)に沿って形成され、仮止め部材60のスライド部63,64をスライド可能に支持する。なお、ガイド溝17の入口側にロック機構を設け、ガイド溝17に挿入した仮止め部材60の挿脱口16側へのスライドを規制することで、仮止め部材60が収容部15から外れないようにすることもできる。
【0042】
[仮止め部材の構成例]
次に、仮止め部材60の構成の一例について説明する。
図6(A)は仮止め部材60の構成の一例を示す斜視図であり、
図6(B)はその平面図であり、
図6(C)はその側面図であり、
図6(D)はその正面図である。なお、図中紙面右側を仮止め部材60の前方とし、左側を後方とする。また、図中紙面の上側を仮止め部材60の上面とするが、本体フランジ部14への取り付け時には、仮止め部材60が上下反転された状態で本体フランジ部14に取り付けられる。
【0043】
図6(A)〜
図6(D)に示すように、仮止め部材60は、例えば樹脂材料により所定形状に形成された成型体であって、仮止め部材本体61と挿入部62とスライド部63,64と操作部65と受け部66とを備えている。なお、受け部66については後述する。
【0044】
仮止め部材本体61は、所定の厚みを有した細長の直方体形状からなり、本体フランジ部14の収容部15に収容可能な大きさに選定される。挿入部62は、仮止め部材本体61の先端面に、基端部から先端部に向かって径が徐々に小さくなるように形成され、先細り形状となっている。挿入部62の外径は、少なくとも副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53に設けられた突出片54の孔55(
図7参照)の径よりも小さくなるように選定され、突出片54の孔55に挿脱可能な構成となっている。
【0045】
スライド部63,64は、片持ちの弾性体であって、一端部が仮止め部材本体61の左右の側面部前方のそれぞれに取り付けられ、他端部が仮止め部材本体61の側面部と一定間隔を隔てて後方に向かって延在した自由端となっている。スライド部63,64は、収容部15のガイド溝17に縮めた状態で係合され、フランジ部53の長さ方向に沿ってスライドする。そのため、スライド部63,64には、内側に押される力に抗した弾性力が働くことで、仮止め部材60がガイド溝17の所定位置にて弾性支持される。
【0046】
操作部65は、仮止め部材60をスライドさせる際にユーザーが把持するための部位であり、仮止め部材本体61の上面後部側に設けられている。本例では、操作部65は、施工者が把持し易いように、仮止め部材本体61の上面から例えば略半円形状に突出した形状に形成されている。
【0047】
[副吸込ダクトジョイントの構成例]
次に、副吸込ダクトジョイント50の構成の一例について説明する。
図7(A)は副吸込ダクトジョイント50の構成の一例を示す斜視図であり、
図7(B)はその正面図であり、
図7(C)その底面図であり、
図7(D)はその右側面図であり、
図7(E)はその左側面図である。
【0048】
図7(A)〜
図7(E)に示すように、副吸込ダクトジョイント50は、ジョイント本体51と接続口52とフランジ部53と突出片54,56とを有している。ジョイント本体51は、装置本体10の側面と略同一の大きさを有する板金等から構成されている。接続口52は、円筒状をなし、ジョイント本体51の外面部に取り付けられている。
【0049】
フランジ部53は、ジョイント本体51の下端部から外方向に突出するようにして形成され、施工時に装置本体10の本体フランジ部14に重ね合わされる。本例においてフランジ部53は、フランジ部53の幅方向の両端部のそれぞれが中央部よりも張り出した形状となっている。
【0050】
突出片54は、保持部の一例であり、本体フランジ部14の本体フランジ孔18に対応した位置(
図4参照)であって、かつ、フランジ部53下面から突出して設けられている。本例において突出片54は、フランジ部53の張り出した部分の内側が下方に折り曲げ加工(切起こし)されることで形成される。突出片54は、本体フランジ部14の本体フランジ孔18に挿入して重ね合わせたときに、本体フランジ部14下面から所定の長さだけ突出する長さに選定される。突出片54には、本体フランジ部14に設けられた仮止め部材60が挿脱される孔55が形成されている。孔55の径は、少なくとも仮止め部材60の挿入部62の外径よりも大きくなるように選定される。このように、突出片54は、本体フランジ部14の本体フランジ孔18に挿入することで装置本体10の位置合わせ部材として機能すると共に、装置本体10を副吸込ダクトジョイント50に保持するための保持機能を有する。
【0051】
突出片56は、本体フランジ部14の本体フランジ孔19に対応した位置(
図4参照)であって、かつ、フランジ部53下面から突出して設けられている。突出片56は、本体フランジ部14を本体フランジ孔19に挿入して重ね合わせたときに、本体フランジ部14下面から所定の長さだけ突出する長さに選定される。このように、突出片56は、本体フランジ部14の本体フランジ孔19に挿入することで、装置本体10の位置合わせ部材として機能する。
【0052】
なお、排気ダクトジョイント40については、副吸込ダクトジョイント50と略同一の構成および機能を有するため、詳細な説明は省略するが、副吸込ダクトジョイント50と同様に、ジョイント本体と接続口とフランジ部と突出片とを備えている。
【0053】
[装置本体の施工工程例]
次に、本発明に係る浴室換気乾燥暖房装置1Aを天井100aに取り付ける際の施工工程の一例について説明する。
図8(A)〜
図8(F)は、浴室換気乾燥暖房装置1Aを天井100aに取り付ける際の施工工程の一例を示している。
図9および
図10は、施工時の副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53および装置本体10の本体フランジ部14の状態を示している。
【0054】
まず、副吸込ダクト13を副吸込ダクトジョイント50に差し込み、その接続部をアルミテープにより巻くことで、副吸込ダクト13を副吸込ダクトジョイント50に固定する。続けて、
図8(A)に示すように、副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53を仮止め用孔が開いている浴室100側の天井面に突き当て、副吸込ダクトジョイント50の丸孔にねじを差し込んでねじ止め(仮止め)する。このとき、副吸込ダクトジョイント50が垂直となるように天井100aに固定する。
【0055】
次に、アルミテープ等を用いて排気ダクトジョイント40に排気ダクト12を接続した後、排気ダクトジョイント40を装置本体10の排気吹出口22eに取り付けて、装置本体10と一体化する。このとき、
図8(B)に示すように、排気ダクトジョイント40は、装置本体10の上方にスライドさせた状態とする。
【0056】
次に、
図8(C)に示すように、排気ダクトジョイント40等が取り付けられた装置本体10を天井100aまで持ち上げて、排気ダクト12側から開口部100bに差し込み、装置本体10のもう一方側も開口部100bに差し込む。このとき、排気ダクトジョイント40を装置本体10に対して上方位置にスライドさせているので、装置本体10のもう一方側が天井100aに接触することはない。
【0057】
次に、
図8(D)に示すように、装置本体10を水平姿勢にした状態で、装置本体10を副吸込ダクトジョイント50側に突き当てる。これにより、取り付けの際の位置ずれを防止できる。
【0058】
次に、
図8(E)に示すように、排気ダクトジョイント40のツメ41が天井100aの天井板に引っ掛かっていることを確認した後に、装置本体10を上方にスライドさせる。このとき、
図9に示すように、副吸込ダクトジョイント50の突出片54が装置本体10の本体フランジ孔18に対向した位置になると共に、突出片56が装置本体10の本体フランジ孔19に対向した位置になる。
【0059】
次に、
図8(F)に示すように、装置本体10を上方にスライドさせていき排気ダクトジョイント40および副吸込ダクトジョイント50のそれぞれに差し込み、装置本体10の本体フランジ部14を副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53等に重ね合わせる。この重ね合わせにより、
図10に示すように、フランジ部53の突出片54が装置本体10の本体フランジ部14の本体フランジ孔18から突き出し、フランジ部53の突出片56が本体フランジ部14の本体フランジ孔19から突き出す。排気ダクトジョイント40側についても、同様に、突出片が本体フランジ部14の本体フランジ孔18から突き出す。これにより、装置本体10の天井100aへの取り付けの際の位置ずれを確実に防止できると共に、装置本体10が正確な位置におさまっているか否かを簡易に確認できる。
【0060】
次に、装置本体10を排気ダクトジョイント40および副吸込ダクトジョイント50のそれぞれに差し込んだら、装置本体10を排気ダクトジョイント40および副吸込ダクトジョイント50のそれぞれに仮止めする。以下では、副吸込ダクトジョイント50に装置本体10を仮止めする場合について説明する。
【0061】
図11(A)および
図12(B)は、装置本体10の仮止め時における仮止め部材60の動作の一例を示している。
図11(A)に示すように、フランジ部53の突出片54が本体フランジ部14の本体フランジ孔18から突き出していることを確認したら、本体フランジ部14の仮止め部材60の操作部65を把持し、
図11(B)に示すように、仮止め部材60を突出片54側にスライドさせることで、挿入部62を突出片54の孔55に挿入させる。これにより、突出片54が仮止め部材60に係止されることで、装置本体10を副吸込ダクトジョイント50を介して天井100aに仮止めすることができる。
【0062】
なお、排気ダクトジョイント40についでも副吸込ダクトジョイント50の場合と同様に、仮止め部材60を突出片の孔に挿入することで、装置本体10を排気ダクトジョイント40を介して天井100aに仮止めすることができる。
【0063】
[装置本体ネジ止め忘れ防止構造]
次に、装置本体10を仮止め部材60を用いて仮止めした後に、装置本体取付ネジ110(
図3参照)により装置本体10を天井100aに固定していない場合に、装置本体10を天井100aに固定していないことを施工者に認識させる、本体ネジ止め忘れ防止構造について説明する。本例では、装置本体ネジ止め忘れ防止構造として、装置本体10と天井100aとの間に隙間Sを空ける構造を採用した。
【0064】
図7(E)に示したように、突出片54に形成される孔55は長孔で構成され、その孔55の長手の開口径W2は仮止め部材60の挿入部62の外径W1(
図6(D))よりも大きく選定されている。この孔55の開口径W2と挿入部62の外径W1との差(隙間)だけ、装置本体10が副吸込ダクトジョイント50に対して下方に下がるようになっている。
【0065】
仮止め部材60には、
図6に示したように、装置本体10が副吸込ダクトジョイント50に対して下がったときに、突出片54の孔55の下端縁を支持するための受け部66が設けられている。受け部66は、例えば、挿入部62の上面部を切り欠いて形成される。なお、排気ダクトジョイント40側の突出片や仮止め部材60の構成等については、上述した副吸込ダクトジョイント50と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
図12は、装置本体10を副吸込ダクトジョイント50および排気ダクトジョイント40の両方に仮止めした後に、装置本体10を天井100aに固定していない場合の装置本体10の状態を示している。
図13は、副吸込ダクトジョイント50側の仮止めの状態を示している。
【0067】
図12および
図13に示すように、装置本体10を仮止めした後に手を離すと、副吸込ダクトジョイント50側では、フランジ部53の突出片54に長孔の孔55が設けられているので、装置本体10の副吸込ダクトジョイント50側が副吸込ダクトジョイント50に対して下方に傾いて下がる。これにより、装置本体10の副吸込ダクトジョイント50側の本体フランジ部14と天井100aとの間に隙間S1が形成される。このとき、
図13に示すように、仮止め部材60の受け部66によって、突出片54の孔55の下側開口縁が支持される。
【0068】
また、排気ダクトジョイント40側では、排気ダクトジョイント40が天井100aに固定されていないと共に、装置本体10と天井100aとの間には若干の隙間が空いているので、装置本体10の自重により下方に傾いて下がる。このとき、排気ダクト12の下面が天井100a裏面に載った(引っ掛かった)状態となるので、装置本体10が傾いた所定の位置で止まる。これに加えて、排気ダクトジョイント40側は仮止めされているので、フランジ部53の突出片54に設けられた長孔により、装置本体10が排気ダクトジョイント40に対して傾いて下がる。これにより、装置本体10の排気ダクトジョイント40側の本体フランジ部14と天井100aとの間にも隙間S1よりも大きい隙間S2が形成される。
【0069】
施工者は、この隙間S1,S2を見ることで、装置本体10が天井100aに固定されていないことを知ることができる。また、フロントパネル11を装置本体10に押し当てた際に、隙間S1,S2を把握することができるので、装置本体10が天井100aに固定されていないことを知ることができる。
【0070】
[副吸込ダクトジョイン側のみに仮止め機能を設けた場合]
上述した実施の形態では、副吸込ダクトジョイント50および排気ダクトジョイント40の両方に仮止め機能を設けたが、副吸込ダクトジョイント50のみに仮止め機能を設けることもできる。
図14は、装置本体10を副吸込ダクトジョイント50に仮止めした後に、装置本体10を天井100aに固定していない場合の装置本体10の状態を示している。
【0071】
図14に示すように、副吸込ダクトジョイント50に装置本体10を仮止めした後に手を離すと、副吸込ダクトジョイント50側では、フランジ部53の突出片54に長孔の孔55が設けられているので、装置本体10が副吸込ダクトジョイント50に対して下方に下がった位置で止まる。これにより、装置本体10の副吸込ダクトジョイント50側の本体フランジ部14と天井100aとの間には隙間S3が形成される。
【0072】
また、排気ダクトジョイント40側では、排気ダクトジョイント40が天井100aに固定されていないと共に、装置本体10と天井100aとの間には若干の隙間が空いているので、装置本体10が下方に傾いて下がる。このとき、排気ダクト12の下面が天井100a裏面に引っ掛かった状態となるので、装置本体10が所定の傾いた位置で止まる。
【0073】
さらに、排気ダクトジョイント40側には仮止め機能がないので、装置本体10がその自重により排気ダクトジョイント40に対して若干スライドして下方に下がるが、排気ダクトジョイント40との摺動抵抗により装置本体10が排気ダクトジョイント40の所定位置にて停止する。これにより、装置本体10の排気ダクトジョイント40側の本体フランジ部14と天井100aとの間にも隙間S4が形成される。排気ダクトジョイント40側の隙間S4は、副吸込ダクトジョイント50側の隙間S3よりも広い隙間となっている。
【0074】
これにより、施工者は、この隙間S3,S4を見ることで、装置本体10が天井100aに固定されていないことを知ることができる。また、フロントパネル11を装置本体10に押し当てた際に、隙間S3,S4を把握することができるので、装置本体10が天井100aに固定されていないことを知ることができる。
【0075】
[一室タイプの浴室換気乾燥暖房装置を用いた場合]
上述した実施の形態では、浴室100や洗面脱衣所102等の複数の室の換気等を行う浴室換気乾燥暖房装置1Aを用いたが、浴室100の1室のみの換気等を行う浴室換気乾燥暖房装置1Bにも本実施の形態に係る仮止め機能を適用することができる。
【0076】
ここで、1室タイプの浴室換気乾燥暖房装置1Bは、浴室100のみの換気を行うので、洗面脱衣所102等の換気を行うための副吸込ダクトジョイント50等は設けられていない。そのため、上述した仮止め機能は、装置本体10の排気ダクトジョイント40側の一方側のみに設けられる。この排気ダクトジョイント40は、上述したように、装置本体10の側面10aに設けられた図示しないガイド部に対してスライド可能に取り付けられると共に、浴室100側の天井100aにネジ等の締結部材により取り付けられる。
【0077】
図15は、1室タイプの浴室換気乾燥暖房装置1Bを用いた場合であって、装置本体10を排気ダクトジョイント40に仮止めした後に、装置本体10を天井100aに固定していない場合の装置本体10の状態を示している。
図15に示すように、排気ダクトジョイント40に装置本体10を仮止めした後に手を離すと、排気ダクトジョイント40側では、フランジ部53の突出片に設けられた長孔により、装置本体10が排気ダクトジョイント40に対して下方にスライドして下がる。これにより、装置本体10の本体フランジ部14と天井100aとの間に隙間S5が形成される。
【0078】
また、排気ダクトジョイント40が接続される装置本体10の側面10aとは反対側の側面10bでも、装置本体10と天井100aとの間に設けられる隙間により、装置本体10が下方に傾いて下がるが、装置本体10の側面10bが天井100aの開口縁に当たることで所定の位置で止まる。これにより、装置本体10の本体フランジ部14と天井100aとの間にも隙間S6が形成される。排気ダクトジョイント40側の隙間S6は、副吸込ダクトジョイント50側の隙間S5よりも広い隙間となっている。
【0079】
これにより、施工者は、この隙間S5,S6を見ることで、装置本体10が天井100aに固定されていないことを知ることができる。また、フロントパネル11を装置本体10に押し当てた際に、隙間S5,S6を把握することができるので、装置本体10が天井100aに固定されていないことを知ることができる。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態によれば、施工に必要な副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53に孔55を有する突出片54を設け、装置本体10の本体フランジ部14に仮止め部材60を設けることで、従来のように、取付枠やばね材金具等を用いることなく、副吸込ダクトジョイント50に装置本体10を仮止めすることができる。排気ダクトジョイント40についても同様に、突出片を設けているので、排気ダクトジョイント40に装置本体10を仮止めすることができる。
【0081】
これにより、取付枠を天井100aに取り付ける際のネジ等の削減による施工時間の短縮を図ることができる。また、取付枠等を用いる必要がないので、浴室換気乾燥暖房装置1Aの重量を軽くすることができると共に、その分コストダウンを図ることができる。
【0082】
また、浴室100側から仮止め部材60を操作して、装置本体10を副吸込ダクトジョイント50や排気ダクトジョイント40に仮止めすることができるので、メンテナンス時の天井100aからの装置本体10の取り出しや再施工を容易に行うことができる。これにより、施工者の作業の手間を省くことができるので、施工時間の短縮を図ることができる。
【0083】
さらに、従来では、本体取付用ネジが天井100aにネジ止めされていなくても、仮止め部材で施工できてしまうため、本体取付用ネジの締め忘れが起こす場合があった。これに対し、本実施の形態によれば、装置本体10を仮止め部材60等を用いて仮止めした後に、装置本体取付ネジ110により装置本体10を天井100aに固定していない場合に、装置本体10を天井100aに固定していないことを施工者に認識させる、装置本体ネジ止め忘れ防止構造を備えているので、装置本体10が天井100aにねじ止めされていないことを確実に知ることができる。これにより、施工不良等を確実に回避することができる。
【0084】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上述した実施の形態では、副吸込ダクトジョイント50や排気ダクトジョイント40に孔55を有する突出片54を設け、装置本体10にスライド可能な仮止め部材60を設けることで仮止め機能を実現したが、これに限定されることはない。
【0085】
例えば、副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53に仮固定金具を設け、本体フランジ部14に金具用孔を設け、仮固定金具を金具用孔に挿入して回転させることで、装置本体10を仮固定金具によって天井100aに仮止めするようにしても良い。また、副吸込ダクトジョイント50のフランジ部53等にバネ部材を設け、本体フランジ部14にバネ用孔を設け、撓ませたバネ部材をバネ用孔に挿入させた後に開くことで、装置本体10をバネ仮固定金具によって天井100aに仮止めするようにしても良い。排気ダクトジョイント40についても副吸込ダクトジョイント50と同様の構成を採用できる。
【0086】
また、上記実施の形態では、副吸込ダクトジョイント50および排気ダクトジョイント40の両方に仮止め機能を設けたが、何れか一方のダクトジョイントに仮止め機能を設けるようにしても良い。さらに、上記実施の形態とは逆に、副吸込ダクトジョイント50や排気ダクトジョイント40のフランジ部53に仮止め部材を設け、本体フランジ部14に副吸込ダクトジョイント50側に突出する突出片を設けることもできる。