特許第6102143号(P6102143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6102143-車両用装飾部品の組み付け構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102143
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】車両用装飾部品の組み付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-209659(P2012-209659)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-61860(P2014-61860A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 貞明
(72)【発明者】
【氏名】松尾 茂樹
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−126011(JP,A)
【文献】 特開2010−052458(JP,A)
【文献】 特開平09−039681(JP,A)
【文献】 特開2009−120029(JP,A)
【文献】 特開2013−241121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の一部を構成する装飾部品を他の部品に組み付ける車両用装飾部品の組み付け構造であって、
前記装飾部品の少なくとも一方の端部の裏面から突出して設けられた一対の爪部と、前記他の部品の上面に前記一対の爪部にそれぞれ対応して設けられた一対の開口穴と、を備え、
前記一対の爪部は、その頂部から側部までを斜めに切り欠いて面取りした少なくとも一以上の傾斜面部を有すると共に、前記装飾部品を組み付ける際に、前記傾斜面部が前記開口穴の縁部に接触しながらガイドされて、前記一対の爪部が前記一対の開口穴に嵌合され
前記一対の爪部は、前記一対の開口穴の開口と同一形状に形成された基部を有し、前記一対の爪部が前記一対の開口穴に嵌合されるとき、前記基部が前記開口穴に嵌合される
ことを特徴とする車両用装飾部品の組み付け構造。
【請求項2】
前記装飾部品は長尺状に形成されると共に、前記一対の爪部は前記装飾部品の長手方向における少なくとも一方の端部の裏面に間隔を隔てて設けられる請求項1記載の車両用装飾部品の組み付け構造。
【請求項3】
前記装飾部品は、その長手方向を車幅方向に向けて組み付けられるテールエンドトリムであり、
前記他の部品は、後部車室の左右側壁を形成すると共にその後方下端部をそれぞれ車幅方向の内側に突出形成された一対のクウォータロアトリムであり、
前記一対の爪部は、前記テールエンドトリムの長手方向における両端部の裏面から突出して設けられ、
前記一対の開口穴は、前記一対のクウォータロアトリムの後方下端部に突出形成された部分の上面に設けられる請求項2記載の車両用装飾部品の組み付け構造。
【請求項4】
前記開口穴は矩形状に形成されると共に、
前記傾斜面部は、矩形状に形成された前記開口穴の各辺に対応して設けられる請求項1から3の何れかに記載の車両用装飾部品の組み付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用装飾部品の組み付け構造に関し、特に、テールエンドトリムを左右一対のクウォータロアトリムに組み付ける車両用装飾部品の組み付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用装飾部品の組み付け構造として、例えば特許文献1には、テールエンドトリムをクウォータロアトリムに組み付ける構造が開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されている組み付け構造は、テールエンドトリムの前壁裏面に第1係合爪、上壁裏面に第2係合爪を設け、さらに、クウォータロアトリムにこれら第1係合爪及び第2係合爪に対応するガイド面が形成された第1係合孔と第2係合孔とを設けている。そして、初期状態からテールエンドトリムを第2係合爪の突出方向にスライド移動させるに伴って、第1係合爪が第1係合孔のガイド面によってガイドされ、第2係合爪の突出方向と直交する方向で第2係合爪の位置が決定されてから、第2係合爪と第2係合孔とが係合を開始するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−52446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1に開示された組み付け構造では、組み付けの際に第2係合爪と第2係合孔との係合を開始するには、テールエンドトリムをスライド移動させる必要があり、その分だけ組み付け工程数が増加、すなわち生産性を悪化させる可能性がある。また、スライド移動により第2係合爪と第2係合孔との係合を開始させる構造が複雑になり、これら部品のコスト上昇を招く可能性もある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡素な構造で装飾部品を他の部品に容易に組み付けることができる車両用装飾部品の組み付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の車両用装飾部品の組み付け構造は、車体の装飾部品を他の部品に組み付ける車両用装飾部品の組み付け構造であって、前記装飾部品の少なくとも一方の端部の裏面から突出して設けられた一対の爪部と、前記他の部品の上面に前記一対の爪部にそれぞれ対応して設けられた一対の開口穴と、を備え、前記一対の爪部は、その頂部から側部までを斜めに切り欠いて面取りした少なくとも一以上の傾斜面部を有すると共に、前記装飾部品を組み付ける際に、前記傾斜面部が前記開口穴の縁部に接触しながらガイドされて、前記一対の爪部が前記一対の開口穴に嵌合されることを特徴とする。
【0008】
また、前記装飾部品は長尺状に形成されると共に、前記一対の爪部は前記装飾部品の長手方向における少なくとも一方の端部の裏面に間隔を隔てて設けられるものであってもよい。
【0009】
また、前記装飾部品は、その長手方向を車幅方向に向けて組み付けられるテールエンドトリムであり、前記他の部品は、後部車室の左右側壁を形成すると共にその後方下端部をそれぞれ車幅方向の内側に突出形成された一対のクウォータロアトリムであり、前記一対の爪部は、前記テールエンドトリムの長手方向における両端部の裏面から突出して設けられ、前記一対の開口穴は、前記一対のクウォータロアトリムの後方下端部に突出形成された部分の上面に設けられてもよい。
【0010】
また、前記開口穴は矩形状に形成されると共に、前記傾斜面部は、矩形状に形成された前記開口穴の各辺に対応して設けられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用装飾部品の組み付け構造によれば、簡素な構造で装飾部品を他の部品に容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る車両用装飾部品の組み付け構造において、組み付け前の状態を示す模式的な斜視図、(b)は組み付け後の状態を示す模式的な斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る装飾部品(テールエンドトリム)の左端部を裏面側から視た模式的な斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両用装飾部品の組み付け構造の左端部を裏面側から視た模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係る車両用装飾部品の組み付け構造を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の車両用装飾部品の組み付け構造は、長尺状のテールエンドトリム(装飾部品)2と、後部荷室の左側壁を形成する左側クウォータロアトリム(他の部品)3と、後部荷室の右側壁を形成する右側クウォータロアトリム(他の部品)4とを備えている。
【0015】
なお、図1中において、11は後部荷室の床面を形成するフロアパネル、12はフロアパネル11の上面に敷設されたフロアカーペットを示している。また、本実施形態の車両用装飾部品の組み付け構造は左右対称に構成されているため、右側に配置された構成(例えば、テールエンドトリム2の右半分、及び右側クウォータロアトリム4)については詳細な説明を省略する。
【0016】
左側クウォータロアトリム3は、例えば合成樹脂材料等で形成されており、何れも図示しない車両のフレームにクリップ等で固定されている。また、左側クウォータロアトリム3の後方下端部は、車幅方向の内側(荷室側)に向けて突出して形成されている(以下、この部分を後端突出部3aという)。
【0017】
さらに、この後端突出部3aの先端側には段差部が設けられ、この段差部には略矩形状に形成された一対の貫通穴5,6が設けられている。これら一対の貫通穴5,6は段差部の上面に車体前後方向に所定の間隔を隔てて配置されており、組み付け時には後述するテールエンドトリム2の一対の爪部7,8がそれぞれ嵌合される(図3参照)。
【0018】
テールエンドトリム2は、例えば合成樹脂材料等で形成されており、組み付け時には左側クウォータロアトリム3の後端突出部3aと右側クウォータロアトリム4の後端突出部4aとの間に架設される。このため、テールエンドトリム2の車幅方向(長手方向)の両端部には、図2,3に示すように、その裏面から所定の高さで突出して一対の貫通穴5,6にそれぞれ嵌合される一対の爪部7,8が車体前後方向(短手方向)に所定の間隔を隔てて設けられている。また、テールエンドトリム2は、その裏面側に長手方向に間隔を隔てて配置されて、組み付け時にフロアパネル11に固定される複数のクリップ(不図示)と、裏面側から突出形成されて、組み付け時にその頂部をフロアパネル11に当接させる複数の支持突起部2aとを備えている。
【0019】
車体後方側に位置する爪部7は、貫通穴5の開口と略同一形状に形成された基部7aと、基部7aの表面に車幅方向に延在する1枚の第1板部7bと、基部7aの表面に車体前後方向に延在する略三角形状の4枚の第2板部7cとを備えている。なお、図示の関係上、図2中において4枚の第2板部7cのうち、車体前方側の2枚は破線で示されている。
【0020】
第1板部7bの下端両角部には、斜めに切り欠いて面取りした一対の第1傾斜面部7dが形成されている。また、第2板部7cには、基部7aから第1板部7bの側部に向けて斜めに切り欠いて面取りした第2傾斜面部7eが形成されている。すなわち、爪部7が貫通穴5に挿入されると、第1板部7bの第1傾斜面部7dが貫通穴5の開口縁部に接触し、かつ、第2板部7bの第2傾斜面部7eが貫通穴5の開口縁部に接触してガイドされ、その後、基部7aが貫通穴5に嵌合されることで、組み付け時の位置決めを正確かつ容易に行えるように構成されている(図3参照)。
【0021】
車体前方側に位置する爪部8は、貫通穴6の開口と略同一形状に形成された基部8aと、横断面矩形枠体の四角柱状に形成された柱部8bと、柱部8bの角部から車幅方向に延在する4枚の第3板部8cと、柱部8bの角部から車体前後方向に延在する4枚の第4板部8dとを備えている。なお、図示の関係上、図2中において4枚の第4板部8dのうち、車体前方側の2枚は破線で示されている。
【0022】
第3板部8cの下端角部には、斜めに切り欠いて面取りした第3傾斜面部8eが形成されている。また、第4板部8dには、基部8aから柱部8bの側部に向けて斜めに切り欠いて面取りした第4傾斜面部8fが形成されている。すなわち、爪部8が貫通穴6に挿入されると、第3板部8cの第3傾斜面部8eが貫通穴6の開口縁部に接触し、かつ、第4板部8dの第4傾斜面部8fが貫通穴6の開口縁部に接触してガイドされ、その後、基部8aが貫通穴6に嵌合されることで、組み付け時の位置決めを正確かつ容易に行えるように構成されている(図3参照)。
【0023】
次に、本実施形態に係る車両用装飾部品の組み付け構造による作用効果を説明する。
【0024】
テールエンドトリム2を左側クウォータロアトリム3(及び右側クウォータロアトリム4)に組み付ける際は、テールエンドトリム2の両端部の裏面に設けられた一対の爪部7,8を、後端突出部3a(及び、後端突出部4a)の段差部に形成された貫通穴5,6と嵌合させる。ここで、本実施形態の車両用装飾部品の組み付け構造は、貫通穴5と対応する爪部7に車幅方向に臨む2個の第1傾斜面部7d及び、車体前後方向に臨む4個の第2傾斜面部7eを設けている。また、貫通穴6と対応する爪部8に車幅方向に臨む4個の第3傾斜面部8e及び、車体前後方向に臨む4個の第4傾斜面部8fを設けている。
【0025】
すなわち、組み付けの際に、爪部7の貫通穴5への挿入を開始すると、車幅方向の2個の第1傾斜面部7dが貫通穴5の開口縁部に接触してガイドされると共に、車体前後方向の4個の第2傾斜面部7eが貫通穴5の開口縁部に接触してガイドされる。また、同様に、爪部8の貫通穴6への挿入を開始すると、車幅方向の4個の第3傾斜面部8eが貫通穴6の開口縁部に接触してガイドされると共に、車体前後方向の4個の第4傾斜面部8fが貫通穴6の開口縁部に接触してガイドされる。その後、爪部7,8が貫通穴5,6にさらに挿入されると、爪部7の基部7aが貫通穴5に嵌合して位置合わせされ、かつ、爪部8の基部8aが貫通穴6に嵌合して位置合わせされるように構成されている。
【0026】
したがって、本実施形態の車両用装飾部品の組み付け構造によれば、テールエンドトリム2を左側クウォータロアトリム3(及び右側クウォータロアトリム4)に組み付ける際の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
【0027】
また、テールエンドトリム2と左側クウォータロアトリム3(及び右側クウォータロアトリム4)とが正確に位置決めされることで、これら部品間における隙間の発生を防止することが可能となり、品質確保や組み付け後の見栄えを効果的に向上することができる。
【0028】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0029】
例えば、他の部品に組み付けられる装飾部品はテールエンドトリム2に限定されず、サイドトリム等の他の装飾部品であってもよい。また、爪部7,8の形状や、傾斜面部7d,7e,8e,8fの個数は、上述の実施形態に限定されず、貫通穴5,6の開口形状等に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
2 テールエンドトリム(装飾部品)
3 左側クウォータロアトリム(他の部品)
4 右側クウォータロアトリム(他の部品)
5,6 貫通穴(開口穴)
7,8 爪部
7d 第1傾斜面部
7e 第2傾斜面部
8e 第3傾斜面部
8f 第4傾斜面部
図1
図2
図3