特許第6102160号(P6102160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6102160前方散乱およびビームブラー補正装置、前方散乱およびビームブラー補正方法ならびに前方散乱およびビームブラー補正プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102160
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】前方散乱およびビームブラー補正装置、前方散乱およびビームブラー補正方法ならびに前方散乱およびビームブラー補正プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20170316BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20170316BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H01L21/30 541M
   G03F7/20 504
   H01J37/305 B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-221319(P2012-221319)
(22)【出願日】2012年10月3日
(65)【公開番号】特開2014-75425(P2014-75425A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】合田 歩美
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−244165(JP,A)
【文献】 特開2010−098275(JP,A)
【文献】 特開2002−313693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響を補正する前方散乱およびビームブラー補正装置であって、
前記パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、前記基板および前記レジスト膜の材料情報と、前記レジストの材料種に対応するエネルギー閾値と、が入力される入力手段と、
前記パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する基本パターン抽出手段と、
前記基本パターンを構成する図形ごとに、前記電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を前記材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値と前記エネルギー閾値との関係から現像後の前記レジストの形状を予測するとともに、複数の前記後方散乱係数ごとに前記後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、前記基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する描画位置補正量算出手段と、
前記パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度を算出し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度に対応する前記後方散乱補正係数を選択する後方散乱補正係数選択手段と、
複数の前記後方散乱係数ごとに算出された前記描画位置補正量と、前記選択された前記後方散乱補正係数に基づいて、前記パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する図形の最適描画位置算出手段と、
前記最適描画位置と前記パターンデザイン情報とを共に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする前方散乱およびビームブラー補正装置。
【請求項2】
基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響を補正する前方散乱およびビームブラー補正方法であって、
前記パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、前記基板および前記レジスト膜の材料情報と、前記レジストの材料種に対応するエネルギー閾値と、が入力される入力工程と、
前記パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する基本パターン抽出工程と、
前記基本パターンを構成する図形ごとに、前記電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を前記材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値と前記エネルギー閾値との関係から現像後の前記レジストの形状を予測するとともに、複数の前記後方散乱係数ごとに前記後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、前記基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する描画位置補正量算出工程と、
前記パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度を算出し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度に対応する前記後方散乱補正係数を選択する後方散乱補正係数選択工程と、
複数の前記後方散乱係数ごとに算出された前記描画位置補正量と、前記選択された前記後方散乱補正係数に基づいて、前記パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する図形の最適描画位置算出工程と、
前記最適描画位置と前記パターンデザイン情報とを共に出力する出力工程と、
を含んだことを特徴とする前方散乱およびビームブラー補正方法。
【請求項3】
基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響をコンピュータを用いて補正する前方散乱およびビームブラー補正方法であって、
前記パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、前記基板および前記レジスト膜の材料情報と、前記レジストの材料種に対応するエネルギー閾値と、が入力される入力工程と、
前記パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する基本パターン抽出工程と、
前記基本パターンを構成する図形ごとに、前記電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を前記材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値と前記エネルギー閾値との関係から現像後の前記レジストの形状を予測するとともに、複数の前記後方散乱係数ごとに前記後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、前記基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する描画位置補正量算出工程と、
前記パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度を算出し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度に対応する前記後方散乱補正係数を選択する後方散乱補正係数選択工程と、
複数の前記後方散乱係数ごとに算出された前記描画位置補正量と、前記選択された前記後方散乱補正係数に基づいて、前記パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する図形の最適描画位置算出工程と、
前記最適描画位置と前記パターンデザイン情報とを共に出力する出力工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする前方散乱およびビームブラー補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期性のあるパターンを作製する際に、電子線描画工程において発生する、前方散乱およびビームブラーの効果を考慮して、最適な描画図形の位置を計算する、前方散乱およびビームブラー補正装置、前方散乱およびビームブラー補正方法ならびに前方散乱およびビームブラー補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用フォトマスクやナノインプリントのモールドなど、パターン位置精度と解像度の高さが必要とされる微細加工技術には、電子線描画による電子線リソグラフィが主な手法として用いられる。近年は特に微細で周期的なパターンを大面積に形成することが求められている。
【0003】
基板上に形成されたレジスト膜にマスクパターンを描画して、現像し、レジストパターンを形成する電子線リソグラフィの描画工程において、レジストに照射した電子線が、レジストや基板内で弾性散乱して広がり、描画図形以外の領域にも影響を与えることが知られている。この影響により、描画図形の周辺の図形で、前記の電子線の広がりとかぶっている部分では、オーバードーズ(設定値以上の露光量)で描画したことと同等になり、設計パターンとのずれが生じる。この電子線散乱による広がりは2種類ある。1つは、電子線が入射されてレジスト内を通過しつつ弾性散乱し、半径数nm(ナノメートル)程度の広がりで高いエネルギーを持つ前方散乱であり、もう1つは、レジストを通過した電子が基板内で弾性散乱し、レジストに再入射することが要因で、前方散乱よりも広い範囲に広がり、低いエネルギーを持つ後方散乱である。
【0004】
上記の後方散乱の影響する範囲は、例えば50keV以上の高加速電圧の電子ビームで描画した場合に、半径約10μm以上の広い範囲となる。しかも、半径約10μm以内の領域では、後方散乱に起因する露光量の増加がパターン図形に依存せず、単位区画内のパターン面積密度に基づいて均一化されていることが知られている。
【0005】
後方散乱によるパターン形成精度の悪化を防ぐため、上記の後方散乱の特徴を利用して、既に様々な補正方法が考えられている。
【0006】
後方散乱は広い範囲に影響を及ぼすが、一方で前方散乱やビームブラー(Beam Blur:ビームぼけ)は、狭い範囲に影響を及ぼし、特に微細なパターンを形成するとき、パターン形成精度に悪影響を与える。
【0007】
電子線描画方法としては、スポットビーム電子線描画法、可変成型電子線描画法が代表的であるが、いずれも電子線を均一な電流密度で照射することはできず、クーロン力などによって電子線が広がり、ビームブラーが発生する。パターン同士が隣接する場合、レジストに照射したビームはこのビームブラーによって広がり、隣接するパターンに影響を与えることが問題となっている。
前方散乱についても、ビームブラーと同様で、隣接するパターンが影響し合い、パターン形成精度を悪化させる要因となっている。
【0008】
描画するパターンの微細化と共に、パターン同士の距離は短くなってきている。ビームブラーや前方散乱の広がりは数nm〜数十nmであり、その広がりの範囲にあるパターン同士は影響し合い、広がりの重なり部分では目標とする設計パターンに必要な露光量よりも多く露光されたことと同じ現象が起きる。その結果、パターン同士の距離が近いほどビームブラーや前方散乱による影響が大きくなり、パターン同士が近づいて見えるように寸法や位置が変化する。
【0009】
前方散乱の補正方法として、隣接するショット間の距離と、それに応じてショット形状の辺の位置を補正する、補正量のテーブルを作成する方法が考えられている。
この方法は、各ショットの隣接するショットに面する辺を平行移動させた補正ショットデータを作成し、その補正ショットデータを使って後方散乱補正を行い、それを元に描画を行う補正方法である。(下記特許文献1参照)
【0010】
また、周期性を有する複数パターンの露光を行う露光方法において、周期性に対応したパターンが配置形成されたマスクを用いて、被露光基板を相対的に移動させつつ露光を行い、周期的なパターンを形成する方法が考えられている。この方法を用いれば、荷電粒子ビーム描画を用いて大面積かつ高精度に微細パターンを作成する必要はない。(下記特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−60054号公報
【特許文献2】特許3961707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のショット間の距離と辺の位置のテーブルを作成する方法では、パターン寸法や露光量によって変化する前方散乱およびビームブラーの影響には対応できない。前方散乱およびビームブラーの大きさにも因るが、設計パターンの寸法が大きい場合と小さい場合では、周囲のパターンに及ぼす影響の大きさが異なる。また、露光量によっても影響の大きさは異なる。パターン寸法、露光量、ショット間距離に関する補正量のテーブルを作成するには、手間と時間を要する。
【0013】
上記の転写する際にマスクを移動させつつ転写する方法では、高精度なパターンを大面積に描画する必要がないので、最適な露光量、パターン寸法、パターン位置などを全てシミュレーションで計算し、パターンデータを作成し、そのデータを基に描画したマスクを用いて上記の方法で転写すれば、高精度なパターンを形成することができる。しかし、この方法では、1つのチップに対して複数回露光することが必要になり、スループットが悪化する。また、転写されたパターンの合わせ精度について、高い精度が要求される。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するものであり、大面積に周期性を持つパターンを電子線描画する場合に、後方散乱補正には影響を与えず、前方散乱やビームブラーによる影響を考慮した最適な描画パターンの位置を計算する。これをもとにパターンを作成することで、前方散乱およびビームブラーの影響を低減し、レジストパターンの位置と、目標とする設計上のパターン位置とのずれを軽減することができる、前方散乱およびビームブラー補正装置、前方散乱およびビームブラー補正方法、ならびに前方散乱およびビームブラー補正プログラムと、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
高精度で高解像度の微細パターンが要求される中で、後方散乱と、前方散乱およびビームブラーの影響を同時に補正することが求められている。つまり、数十nm〜数百nmのパターンひとつずつと、10μm以上の大面積に広がる後方散乱と、異なるスケールを同時に考慮し、補正を行う必要がある。また、微細化に伴い、描画するパターンの数は増加しているが、全てのパターンに対して時間を掛けずに最適な描画パターンの位置を計算する必要がある。
【0016】
本発明は、半導体や半導体用フォトマスクの一部、ナノインプリント用モールド、光学関連素子、バイオチップなど大面積に周期性をもつパターンを電子線描画するときに、高精度、高解像度で形成するための描画パターン位置を簡単に算出するためのものである。
【0017】
上記の課題に鑑み、本発明に係る前方散乱およびビームブラー補正装置は、基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響を補正する前方散乱およびビームブラー補正装置であって、前記パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、前記基板および前記レジスト膜の材料情報と、前記レジストの材料種に対応するエネルギー閾値と、が入力される入力手段と、前記パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する基本パターン抽出手段と、前記基本パターンを構成する図形ごとに、前記電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を前記材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値と前記エネルギー閾値との関係から現像後の前記レジストの形状を予測するとともに、複数の前記後方散乱係数ごとに前記後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、前記基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する描画位置補正量算出手段と、前記パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度を算出し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度に対応する前記後方散乱補正係数を選択する後方散乱補正係数選択手段と、複数の前記後方散乱係数ごとに算出された前記描画位置補正量と、前記選択された前記後方散乱補正係数に基づいて、前記パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する図形の最適描画位置算出手段と、前記最適描画位置と前記パターンデザイン情報とを共に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記の課題に鑑み、本発明に係る前方散乱およびビームブラー補正方法は、基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響を補正する前方散乱およびビームブラー補正方法であって、前記パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、前記基板および前記レジスト膜の材料情報と、前記レジストの材料種に対応するエネルギー閾値と、が入力される入力工程と、前記パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する基本パターン抽出工程と、前記基本パターンを構成する図形ごとに、前記電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を前記材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値と前記エネルギー閾値との関係から現像後の前記レジストの形状を予測するとともに、複数の前記後方散乱係数ごとに前記後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、前記基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する描画位置補正量算出工程と、前記パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度を算出し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度に対応する前記後方散乱補正係数を選択する後方散乱補正係数選択工程と、複数の前記後方散乱係数ごとに算出された前記描画位置補正量と、前記選択された前記後方散乱補正係数に基づいて、前記パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する図形の最適描画位置算出工程と、前記最適描画位置と前記パターンデザイン情報とを共に出力する出力工程と、を含んだことを特徴とする。
【0019】
上記の課題に鑑み、本発明に係る前方散乱およびビームブラー補正プログラムは、基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響をコンピュータを用いて補正する前方散乱およびビームブラー補正方法であって、前記パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、前記基板および前記レジスト膜の材料情報と、前記レジストの材料種に対応するエネルギー閾値と、が入力される入力工程と、前記パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する基本パターン抽出工程と、前記基本パターンを構成する図形ごとに、前記電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を前記材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値と前記エネルギー閾値との関係から現像後の前記レジストの形状を予測するとともに、複数の前記後方散乱係数ごとに前記後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、前記基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する描画位置補正量算出手段と、前記パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度を算出し、それぞれの前記領域における前記描画面積密度に対応する前記後方散乱補正係数を選択する後方散乱補正係数選択工程と、複数の前記後方散乱係数ごとに算出された前記描画位置補正量と、前記選択された前記後方散乱補正係数に基づいて、前記パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する図形の最適描画位置算出工程と、前記最適描画位置と前記パターンデザイン情報とを共に出力する出力工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大面積に周期性を持つパターンを電子線描画する場合に、後方散乱補正には影響を与えず、前方散乱やビームブラーによる影響を考慮した最適な図形描画位置を計算することができる。これをもとにパターンを作成することで、前方散乱およびビームブラーの影響を低減し、レジストパターン位置と、目標とする設計上のパターン位置とのずれを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態を示すものであり、前方散乱およびビームブラー補正装置の構成の一例を示すブロック図
図2】本発明の実施形態を示すものであり、大面積描画部分とパターンデザインの一部拡大の一例を表すブロック図
図3】本発明の実施形態を示すものであり、パターンデザインを構成する1周期の範囲と基本パターンの例を表す図
図4】本発明の実施形態を示すものであり、パターンデザインの例を表す図
図5】本発明の実施形態を示すものであり、基本パターンを表す図
図6】本発明の実施形態を示すものであり、基本パターンの配置を表す図
図7】本発明の実施形態を示すものであり、基本パターンの蓄積エネルギー分布を表す図
図8】本発明の実施形態を示すものであり、後方散乱による蓄積エネルギーを計算するための描画パターンを表す図
図9】本発明の実施形態を示すものであり、後方散乱による蓄積エネルギー分布を表す図
図10】本発明の実施形態を示すものであり、描画面積密度と後方散乱補正係数の関係を表す図
図11】本発明の実施形態を示すものであり、従来法と補正後適切な描画位置を適用したときの蓄積エネルギー分布の比較を表す図
図12】本発明の実施形態を示すものであり、従来法と補正後適切な描画位置を適用したときの図形の中心位置の比較を表す図
図13】本発明の実施形態を示すものであり、従来法と補正後適切な描画位置を適用したときの設計寸法との差分の合計の比較を表す図
図14】本発明の実施形態を示すものであり、後方散乱補正係数と図形の描画位置補正量の関係を表す図
図15】本発明の実施形態を示すものであり、図4のパターンにおいて、従来法と補正後適切な描画位置を適用したときの図形の中心位置の比較を表す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態による前方散乱およびビームブラーの補正装置100について図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態による前方散乱およびビームブラーの補正装置100の構成を示す概略ブロック図である。
図1に示す通り、前方散乱およびビームブラーの補正装置100は、入力部(入力手段)101と、記憶部(記憶装置)102と、周期性パターンにおける基本パターンの抽出部(基本パターン抽出手段)103と、後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量の算出部(描画位置補正量算出手段)104と、パターンデザインに対する後方散乱補正係数の選択部(後方散乱補正係数選択手段)105と、パターンデザインを構成する図形ごとの最適な描画位置の算出部(描画位置算出手段)106と、出力部(出力手段)107とを備える。
【0023】
当該後方散乱補正装置100はコンピュータの構成を備えており、基板上に形成されたレジスト膜に電子線を用いて周期性を有するパターンデザインを描画する電子線リソグラフィの描画時に生じる前方散乱およびビームブラーの影響を補正する前方散乱およびビームブラー補正プログラムとの協調により、上記の各部が構成される。なお、前方散乱およびビームブラーの補正装置100を専用のLSIなどのハードウェアのみからなる構成としてもよい。
【0024】
なお、本実施の形態において、前方散乱およびビームブラー補正装置100は、シミュレーションを使って図形の最適描画位置を求めて使用する例について説明するが、本発明の利用方法はこれに限らない。例えば、実際に電子線リソグラフィによりレジストパターンを形成し、その結果から図形の最適描画位置を決定しても良い。また、本実施形態において、数値計算に利用する数値やパラメータは最低限必要な要素の一例であり、これ以外の要素を用いて図形の最適描画位置を取得するものであってもよい。
【0025】
入力部101は、前方散乱およびビームブラー補正装置100によって利用される情報の入力を受け付け、記憶部102に記憶させる。この入力部101には、パターンデザインの形状を示すパターンデザイン情報と、複数の描画面積密度にそれぞれ対応する複数の後方散乱補正係数と、基板およびレジスト膜の材料情報と、レジストの材料種に対応するエネルギー閾値Ethと、が入力される。なお、これらの詳細については後述する。当該入力部101は、前方散乱およびビームブラー補正装置100の外部からの送信データを受信する送受信インタフェース、外部記憶装置からデータが入力される入力インタフェース、ディスプレイ、キーボード、マウス、タブレットなどを用いたマンマシンインタフェースなどの、入力装置を用いて構成することができる。
【0026】
記憶部102は、入力部101から入力された情報を記憶する。この記憶部102は、入力部101から入力されるパターンデザイン情報、後方散乱補正係数、材料情報、エネルギー閾値Ethを記憶する。当該記憶部102は、RAM、フラッシュメモリ記憶装置、磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置などの記憶装置を用いて構成することができる。
【0027】
周期性パターンにおける基本パターンの抽出部103では、パターンデザイン情報に基づいて、前記周期性を有するパターンデザインから一周期分の基本パターンを示す基本パターン情報を抽出する。基本パターンの抽出部103では、記憶部102に記憶されたパターンデザインに基づき、図2のように大面積描画部1の範囲の全面にパターン2がデザインされているとすると、図3のパターン3のように基本パターンを取得する。図3の4は1周期の範囲を表す。周期性パターンは、基本パターンの軸対称、回転対称を含む。取得した基本パターンは、後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量算出部104に出力される。
【0028】
後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量算出部104は、基本パターンを構成する図形ごとに、電子線を露光したときに前記レジストに蓄積される蓄積エネルギーの分布を材料情報を用いて算出し、各部における蓄積エネルギーの値とエネルギー閾値との関係から現像後のレジストの形状を予測するとともに、複数の後方散乱係数ごとに後方散乱による蓄積エネルギー分布を予測して、基本パターンを構成する図形ごとの描画位置補正量を複数の前記後方散乱係数ごとに算出する。描画位置補正量算出部104は、基本パターン抽出部103で取得した、周期性パターンを構成する基本パターンの情報と、記憶部102に記憶されている、描画面積密度に対する後方散乱補正係数の情報を取得する。そして、後方散乱補正係数に対応する描画面積密度のときの、基本パターンを構成する図形の描画位置補正量を計算する。具体的には、電子線散乱シミュレーションにて記憶部102に記憶されている基板材料とレジスト材料の情報を元に、基本パターンを構成する図形(図3の場合は図形5、6、7)を電子線露光したときにレジストに蓄積される蓄積エネルギー分布を計算する。記憶部102に記憶されているエネルギー閾値Ethの情報から、ポジ型レジストの場合はEthより高い部分はリソグラフィ後に現像され、ネガ型レジストの場合はEthより低い部分が現像される部分として、シミュレーションで得られる蓄積エネルギー分布から現像後のレジスト形状を予測する。エネルギー閾値Ethはレジスト特有のパラメータであり、レジスト種により異なるため、あらかじめ実験などで求めて入力部101に入力する。後方散乱の影響によって増加するエネルギーの大きさは、描画面積密度に比例する。この後方散乱の影響の度合いで、基本パターンを構成する図形同士も影響し合い、パターンの中心位置がずれる。そこで、後方散乱の大きさに依存して変化する図形の最適描画位置を、前記図形ごとの蓄積エネルギーと、前記エネルギー閾値Ethと、前記後方散乱による蓄積エネルギーの情報を使って計算する。後方散乱補正係数は、後方散乱の大きさの情報を含む。上記で計算した図形の描画位置補正量と後方散乱補正係数の値を関連付け、後方散乱補正係数に対応する図形の描画位置補正量を、前掲の最適描画位置算出部106に出力する。
【0029】
パターンデザインに対する後方散乱補正係数選択部105は、パターンデザインを任意の領域に分割し、それぞれの領域における描画面積密度を算出し、それぞれの領域における描画面積密度に対応する後方散乱補正係数を選択する。後方散乱補正係数選択部105は、記憶部102に記憶されたパターンデザインと、後方散乱補正係数を取得する。デザインを任意の大きさの区画で区切り、それぞれの区画の描画面積密度を計算し、前記描画面積密度に対応した後方散乱係数を選択し、前記区画内のパターンの最適露光量を計算する。なお、最適露光量は上記の方法以外で決定しても良い。前記区画内のパターン位置と、対応する後方散乱補正係数の情報を、図形の最適描画位置算出部106に出力する。
【0030】
図形の最適描画位置算出部106は、複数の後方散乱係数ごとに算出された描画位置補正量と、選択された後方散乱補正係数に基づいて、パターンデザインを構成する図形ごとに最適描画位置を算出する。図形の最適描画位置算出部106では、パターンデザインに対する後方散乱補正係数選択部105から、パターンの設計上の位置と対応する後方散乱補正係数を取得し、後方散乱補正係数に対する図形の最適描画位置算出部104から、後方散乱補正係数の値に対応する図形の描画位置補正量を取得する。前記取得したパターンの後方散乱補正係数の情報を使って図形の描画位置補正量を求め、前記パターンを構成する図形の最適描画位置を取得する。前記パターンを構成する図形の最適描画位置と、前記後方散乱補正係数を出力部107に出力する。
【0031】
出力部107は、最適描画位置とパターンデザイン情報とを共に出力する。出力部107は、記憶部102に記憶されているパターンの位置を取得し、前記図形の最適描画位置と後方散乱係数の情報と共に出力する。出力部107は、外部のコンピュータやメモリ等と接続された出力インタフェースなどの出力装置を用いて構成することができる。
【0032】
前記図形の最適描画位置を用いて記憶部102に記憶されたパターンデザインを描画することで、前方散乱およびビームブラーの影響を軽減した、レジストパターンを作成することができる。
【0033】
なお、上述の前方散乱およびビームブラー補正装置100の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいう「コンピュータシステム」とは、CPUおよび各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。また、「コンピュータシステム」は、WWW(インターネット)環境システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例を示す。
本実施例では、ポジ型レジストを用いるが、本発明はネガ型レジストにも適応できる。
最初に、入力部101に描画パターンデザインを入力する。入力されたパターンデザインは、記憶部102に記憶される。図4に今回実施例に用いたパターンデザインを示す。図4のパターンは図1に示すような大面積描画の一部を表す。図4(a)(b)(c)から、パターンデザインが周期性を持つパターンから構成されていることがわかる。
【0035】
次に、基本パターンの抽出部103では、記憶部102から取得したデザインパターンの情報から、周期性を持つパターンデザインを構成する基本パターンを取得する。図4の場合、図5のような基本パターンが得られる。これらの基本パターンの情報を、後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量算出部104に出力する。
【0036】
後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量算出部104では、シミュレーションを使って図形の描画位置補正量を取得する。今回はシミュレーションを用いるが、実験によって図形の描画位置補正量を求めて用いても良い。
【0037】
上記基本パターン抽出部103から取得した情報から、基本パターンを構成する図形の配置と寸法を取得する。図5に示すように図形9、10、11に分けられ、それぞれ図形m1、m2、m3とする。それぞれの寸法は縦400nm、横40nm、200nm、80nmで、配置は図6に示すように基本パターンの中心を(0,0)としたx−y座標で表すと、それぞれの図形の中心は(−180、0)、(−20、0)、(160、0)である。
上記図5図6における図形の寸法・配置の情報と、記憶部102に記憶されている基板材料やレジスト材料の情報を用いてシミュレーションを行う。シミュレーションでは、電子線散乱した場合にレジストに蓄積されるエネルギーの値を計算する。それぞれの図形についてシミュレーションを行うと、図7が得られる。図7では、図形ごとの蓄積エネルギー分布と、それらを合成した分布を表す。蓄積エネルギー分布は基板に水平方向の分布を表し、レジスト深さ方向には規格化している。レジストパターン寸法は、合成した蓄積エネルギー分布と記憶部102に記憶されているエネルギー閾Ethから計算される。
上記蓄積エネルギー分布の計算方法と同じ方法で、後方散乱による蓄積エネルギーの影響を計算する。図8のパターンを任意の露光量で描画したときの蓄積エネルギー分布から、パターンで囲まれた未露光部分の蓄積エネルギー分布は図9のように求められる。分布の中心付近の値から、後方散乱の影響による蓄積エネルギーの値が求められる。
【0038】
記憶部102に記憶されている後方散乱補正係数と、前記後方散乱の影響による蓄積エネルギーの値と、前記図形ごとの蓄積エネルギー分布(図7)から、後方散乱補正係数に対応する図形の最適な描画位置を計算する。
記憶部102に記憶されている描画面積密度に対する後方散乱補正係数を図10に示す。図10では、描画面積密度が50%のときの最適露光量を1としている。
描画面積密度が10%のときの蓄積エネルギー分布と、図形m1、m2、m3の位置を最適化した場合の蓄積エネルギー分布を図11に示す。図形位置の最適化は、設計位置と閾値エネルギーEthから予想されるレジストパターンの位置のずれが小さくなるように、最小二乗法を用いて計算したが、他の方法を用いてもよい。図11から、位置補正の有無で蓄積エネルギー分布がずれているのがわかる。
次に、描画面積密度に対する、図形m1〜m3の中心位置の、位置補正の有無による違いを図12に示す。図12では、設計上の中心位置と、レジストパターンの中心位置の差分を表す。位置補正が無い場合、図形の中心位置は描画面積密度に対して変化する。一方、位置補正がある場合、m1〜m3の中心位置は描画面積密度に関わらず、差分0nmで重なっていて、設計通りであることがわかる。
位置補正の有無によるレジストパターンの寸法と設計寸法の違いを図13に示す。図13はそれぞれの図形の設計寸法とのずれの合計を比較した結果を表す。図13から、図形の中心位置を補正しても、レジストパターンの寸法はほとんど変わらないことがわかる。
後方散乱補正係数に対する図形位置の補正量を図14に示す。取得した後方散乱補正係数に対する図形の位置補正量を、図形の最適描画位置算出部106に出力する。
【0039】
デザインパターンの後方散乱補正係数の選択部105では、記憶部102に記憶されているパターンデザインと、後方散乱係数の情報を取得する。取得したパターンデザインを任意の大きさの区画で区切り、前記区画内の描画面積密度を計算する。前記描画面積密度に対応する後方散乱係数を選択し、前記区画内のパターンに適応する。
図4の場合、描画面積密度は(a)12.8%、(b)25.6%、(c)51.2%である。後方散乱補正係数は(a)1.36、(b)1.21、(c)0.99である。
前記パターンの設計位置と、後方散乱係数の情報を、図形の最適描画位置算出部106に出力する。
【0040】
最適描画位置算出部106では、前記パターンの設計位置に対する後方散乱補正係数の情報と、前記後方散乱補正係数に対する図形の最適描画位置(図14)の情報を取得する。取得した後方散乱係数に対する図形の最適描画位置(図14)から、前記パターンの後方散乱係数に対応する図形の最適描画位置を取得する。図4の場合、最適描画位置は
(a)m1=−1.49、m2=−0.14、m3=1.61、
(b)m1=−1.46、m2=−0.14、m3=1.58、
(c)m1=−1.40、m2=−0.14、m3=1.53
である。単位はnmである。取得した前記最適描画位置を、前記パターンの設計位置と共に出力部107に出力する。
【0041】
出力部107から出力された描画位置を元に、電子線描画を行う。図4に前記最適露光位置を適用したときに得られた結果を図15に示す。図15は従来法と描画位置補正を適用したときの図形の中心位置の比較を表す。図15から、従来法よりも描画位置補正を適用することで、より設計に近い位置に描画できた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば半導体や半導体用フォトマスクの一部、ナノインプリント用モールド、光学関連素子、バイオチップなど大面積に周期性をもつパターンの作製に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
100……前方散乱およびビームブラー補正装置
101……入力部(入力手段)
102……記憶部(記憶装置)
103……基本パターン抽出部(基本パターンの抽出手段)
104……後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量算出部(後方散乱補正係数に対する図形の描画位置補正量算出手段)
105……パターンデザインに対する後方散乱補正係数選択部(パターンデザインに対する後方散乱補正係数選択部)
106……最適描画位置算出部(最適描画位置算出手段)
107……出力部(出力手段)
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