(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明を実施するための形態について説明する。本発明に係る第一の実施形態は、着色画素を有する液晶表示装置用のカラーフィルタであって、少なくとも赤色、緑色、青色の着色画素を持つ。必要に応じてその他の色(例えば補色であるシアン、マゼンダ、黄色)の画素を有している。
【0020】
これらの画素に用いられる着色材料は特に制限はなく、公知の顔料あるいは染料を用いることができる。該カラーフィルタにおける着色材料は、顔料または染料の質量濃度は、好ましくは0.1%乃至50%、より好ましくは1%乃至45%、更に好ましくは10%乃至40%である。
【0021】
0.1%未満では、顔料濃度が薄いため、カラーフィルタとして十分な色の着色画素を形成するためには、着色画素の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点があり、50%を越えると、顔料や染料を分散化するための樹脂の量が少なくなり、不安定になり、顔料や染料の凝集による増粘やコントラストの低下(粗大粒子による光の散乱)の原因となる。
【0022】
公知の顔料としては、例えば、赤色顔料として、C.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等が挙げられるが、特にC.I.Pigment Red177、242、254が好適に用いられる。
【0023】
橙色顔料としては例えばC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられるが、C.I.Pigment Orange36が好適に用いられる。
【0024】
黄色顔料としては例えばC.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられるが、特にC.I. Pigment Yellow138、139、150が好適に用いられる。
【0025】
緑色顔料としては、例えばC.I.Pigment Green7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができるが、特にC.I.Pigment Green7、36、58が好適に用いられる。
【0026】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられるが、特にC.I. Pigment Blue1、15:4、15:6を用いることが
できる。
【0027】
また、紫色顔料として、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が用いられるが、特にC.I. Pigment Violet23が好適に用いられる。
【0028】
また、無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III)、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
【0029】
これまでに述べてきた顔料は、カラーフィルタの高透過率化を実現させるため、微細化処理されていることが好ましく、また一次粒子径が小さいことが好ましい。顔料の一次粒子径は、顔料を透過型電子顕微鏡で撮り、その写真の画像解析を行い算出した。ここで言う一次粒子径は、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表す。顔料の一次粒子径は、150nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは40nm以下である。また、一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。
【0030】
顔料の一次粒子径が上限値より大きい場合には、顔料による光散乱によって透過率が低下する。また、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。その結果、カラーフィルタの輝度、色特性が悪化する。
【0031】
顔料の一次粒子径を制御する手段としては、顔料を機械的に粉砕して一次粒子径を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の一次粒子径の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。
【0032】
以下にそれぞれの方法について説明するが、本発明に用いる着色組成物に含まれる顔料の一次粒子径の制御方法は、上記方法のいずれを用いてもよい。
【0033】
磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミルまたはニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などの磨砕剤およびそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この処理をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の一次粒子径の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に上記有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や顔料分散剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
【0034】
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために生産性が低下する。一般的には、顔料が1重量部に対して無機塩を1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部用いるのが良い。また、上記水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常は顔料1重量部に対して0.5〜30重量部の量で用いられる。上記磨砕法についてさらに具体的には、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径の顔料を得ることができる。
【0035】
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法で、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより一次粒子径の大きさが制御できる。一般に顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限られるが、例として濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
【0036】
本法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。硫酸濃度は特に限定されないが、95〜100重量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料に対して3〜10重量倍の硫酸を用いることが好ましい。
【0037】
なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0〜50℃が好ましく、これ以下では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。高温すぎると副反応が起こりやすくなる。注入される水の温度は1〜60℃が好ましく、この温度以上で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。これ以下の温度では凍結してしまう。注入にかける時間は顔料1部に対して0.1〜30分が好ましい。時間が長くなるほど一次粒子径は大きくなる傾向がある。
【0038】
顔料の一次粒子径の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合を考慮しつつ行うことができ、さらにはこのとき分散体としての流動性も確保できることからより好ましい。
【0039】
ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、下記に示す色素誘導体や樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を併用することもできる。また、一次粒子径制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることができる。
【0040】
特殊な析出法としてロイコ法がある。フラバントロン系、ペリノン系、ペリレン系、インダントロン系等の建染染料系顔料は、アルカリ性ハイドロサルファイトで還元すると、キノン基がハイドロキノンのナトリウム塩(ロイコ化合物)になり水溶性になる。この水溶液に適当な酸化剤を加えて酸化することにより、水に不溶性の一次粒子径の小さな顔料を析出させることができる。
【0041】
合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法である濾過が困難になるため、通常、二次凝集が起きやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。さらに、顔料の一次粒子径を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
【0042】
染料は、特に限定しないが公知の有機溶剤に可溶な染料を使用することができる。
上記公知の染料としては、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64‐91102号公報、特開平1‐94301号公報、特開平6‐11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6‐35183号公報、特開平6‐51115号公報、特開平6‐194828号公報等に記載の色素が挙げられる。
【0043】
これらの染料としては、酸性染料、油溶性染料、分散染料、反応性染料、直接染料等が挙げられる。例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。具体的には、これまでに例示した染料のほかに、カラーインデックス番号で以下のものが挙げられる。
【0044】
C.I.AcidGreen25、27、C.I.AcidBlue22、25、40、78、92、113、129、167、230、C.I.AcidYellow17、23、25、36、38、42、44、72、78、C.I.SolventYellow2、3、7、12、13、14、16、18、19、21、25、25:1、27、28、29、30、33、34、36、42、43、44、47、56、62、72、73、77、79、81、82、83、83:1、88、89、90、93、94、96、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、141、143、145、146、157、160:1、161、162、163、167、169、172、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、190、191、C.I.SolventBlue2、3、4、5、7、18、25、26、35、36、37、38、43、44、45、48、51、58、59、59:1、63、64、67、68、69、70、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、124、128、129、132、136、137、138、139、143、C.I.SolventGreen1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35、C.I.BasicGreen3、4、C.I.BasicBlue3、7、9、17、41、66、C.I.BasicViolet1、3、18、39、66、C.I.BasicYellow11、23、25、28、41、C.I.DisperseBlue3、24、79、82、87、106、125、165、183、C.I.DisperseViolet1、6、12、26、27、28、C.I.DisperseYellow3、4、5、7、23、33、42、60、64、C.I.SolventOrange1、2、3、4、5、7、11、14、20、23、25、31、40:1、41、45、54、56、58、60、62、63、70、75、77、80、81、86、99、102、103、105、106、107、108、109、110、111、112、113、C.I.SolventRed1、2、3、4、8、16、17、18、19、23、24、25、26、27、30、33、35、41、43、45、48、49、52、68、69、72、73、83:1、84:1、89、90、90:1、91、92、106、109、110、118、119、122、124、125、127、130、132、135、141、143、145、146、149、150、151、155、160、161、164、164:1、165、166、168、169、172、175、179、180、181、182、195、196、197、198、207、208、210、212、214、215、218、222、223、225、227、229、230、233、234、235、236、238、239、240、241、242、243、244、245、247、248、C.I.SolventViolet2、8、9、11、13、14、21、21:1、26、31、36、37、38、45、46、47、48、49、50、51、55、56、57、58、59、60、61、C.I.Solvent Brown1、3、4、5、12、20、22、28、38、41、42、43、44、52、53、59、60、61、62、63、C.I.SolventBlack3、5、5:2、7、13、22、22:1、26、27、28、29、34、35、43、45、46、48、49、50、C.I.AcidRed6、11、26、60、88、111、186、215、C.I.BasicRed1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.DirectRed4、23、31、75、76、79、80、81、83、84、149、224、C.I.DirectGreen26、28、C.I.DirectBlue71、78、98、106、108、192、201、C.I.DirectViolet51、C.I.DirectYellow26、27、28、33、44、50、86、142、C.I.DirectOrange26、29、34、37、72、C.I.SulphurRed5、6、7、C.I.SulphurGreen2、3、6、C.I.SulphurBlue2、3、7、9、13、15、C.I.SulphurViolet2、3、4、C.I.SulphurYellow4、C.I.VatRed13、21、23、28、29、48、C.I.VatGreen3、5、8、C.I.VatBlue6、14、26、30、C.I.VatViolet1、3、9、13、15、16、C.I.VatYellow2、12、20、33、C.I.VatOrange2、5、11、15、18、20、C.I.AzoicCouplingComponent2、3、4、5、7、8、9、10、11、13、32、37、41、48、C.I.ReactiveRed8、22、46、120、C.I.ReactiveBlue1、2、7、19、C.I.ReactiveViolet2、4、C.I.ReactiveYellow1、2、4、14、16、C.I.ReactiveOrange1、4、7、13、16、20、C.I.DisperseRed4、11、54、55、58、65、73、127、129、141、196、210、229、354、356、C.I.DisperseOrange13、29、30である。
【0045】
これらの染料は、所望の分光スペクトルを発現させるために、単独で用いる事も、2種類以上組み合わせて用いる事もできる。
【0046】
本発明のカラーフィルタの着色画素を形成するために用いる着色組成物には、顔料担体としてバインダーポリマー及び樹脂の前駆体(以下、モノマー)を含有する。
【0047】
バインダーポリマーは、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0048】
バインダーポリマーは、着色組成物中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂とその前駆体との混合物をバインダーポリマーとして用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
【0049】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸
樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。中でも透明性の観点からアクリル系樹脂が好適に用いられる。
【0050】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。
【0051】
また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0052】
透明樹脂を生成するモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して用いることができる。
【0053】
光重合性化合物としては、公知のもの、市販のものを特に制限なく用いることができる。特に3官能以上のアクリルあるいはメタクリルモノマーが好適に用いられる。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びウレタンアクリレートをトリメチロールプロパントリアクリレートを用いて多官能化したものなどが好適に用いられる。
【0054】
本発明に係る着色画素を形成するための着色組成物には熱硬化性化合物を用いることもできる。熱硬化性化合物を用いることで、耐薬品、耐環境性を付与することができる。熱硬化性化合物としては、エポキシ、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート化合物などが挙げられる。中でもエポキシ化合物、メラミン並びにメラミンを縮合したメラミン化合物、及びイソシアネート化合物並びにイソシアネート基をブロック剤で保護したブロックイソシアネート化合物が好適である。何れも熱反応性官能基は一分子あたり二つ以上ある多官能化合物が好ましく、より好ましくは四官能以上の化合物である。
【0055】
エポキシ化合物は特に制限なく使用することができ、公知のものから選択することができる。エポキシ基の数は特に制限はないが、二つ以上の官能基を有するものが好ましく、より好ましくは4官能以上である。例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド3000、EHPE‐3150(ダイセル化学工業株式会社製)、AK601、EPPNシリーズ(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
【0056】
メラミンは特に制限なく使用することができ、公知のメラミンから選択することが出来る。例えば以下にメラミン化合物を例示する。
【0057】
【化1】
[式中、R
1、R
2、R
3はそれぞれ水素原子、メチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基、R
4、R
5、R
6はそれぞれメチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基であるが、R
1からR
6はアルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基であることがより好ましい。]
二種類以上の繰り返し単位を組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。また、上記以外に1,3,5‐トリアジン環を有する化合物で例えば特開2001‐166144公報に記載のものを使用することができる。また以下示す化合物も好んで用いられる。
【0058】
【化2】
[R
7からR
14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり、水素原子であることが特に好ましい。]
さらには、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物、または酸無水物とを反応させてなるメラミン化合物であり、該メラミン化合物の質量平均分子量が2500以上かつ固形分酸価が60mgKOH/g以下であるとより好適である。
【0059】
従来のメラミン樹脂を多量に配合すると、感光性樹脂組成物の感度が低下して、十分な硬化に必要な露光時間が長くなり、生産性が悪くなるという問題があった。さらに、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が悪化し、現像速度が適度に調整できず現像時間が長くなることや、逆に現像速度が速すぎて塗膜が基板から剥がれやすくなるといった不具合を生じることから、メラミン樹脂の添加量には限度があり、十分な熱硬化性樹脂の効果を発揮させることが難しくなる。
【0060】
イソシアネート化合物は特に制限なく使用することができ、公知のものから選択することができる。イソシアネート基の数は特に制限はなく、脂肪族、芳香族あるいは脂環式のモノあるいはジイソシアネート、トリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0061】
イソシアネートは反応性が高いため、ポッドライフを考慮すれば、イソシアネート基をブロック化剤で保護したブロックイソシアネートが好適である。ブロックイソシアネートは、イソシアネート基に対して、フェノール基、イミダゾール基、ピラゾール基、オキシム基、ラクタム基、アルコール基などを有するブロック化剤を用いてイソシアネート基をブロックした化合物が挙げられる。
【0062】
当該ブロック化剤としては、上記水溶性ビニル系樹脂が水溶液中において安定で、100℃から200℃程度でイソシアネート基のブロックが外れるものであればいずれでもよく、フェノール基を含有するサリチル酸メチル、イミダゾール基を含有するイミダゾール、ピラゾール基を含有する3,5−ジメチルピラゾール、オキシム基を含有するメチルエチルケトンオキシム、ラクタム基を含有するε‐カプロラクタム、アルコール基を含有するエチルヘキサノールなどが挙げられるが、この限りではない。例えば、BURNOCK DB−980K(株式会社DIC社製)、デュラネート TPA‐B80E(旭化成ケミカルズ社製)、KA‐1000(三洋化成社製)などが挙げられる。
【0063】
以上の熱硬化性化合物はバインダーポリマーと一体となっていても良い。例えば、エポキシ基やイソシアネート基などがバインダーポリマー中の単位構造として組み込まれてい
るものである。どのような形で組み込まれていても構わないが例として、アクリル樹脂に組み込む例を示す。
【0064】
アクリル樹脂にエポキシ基を導入する例としては、エポキシ基を持つアクリルモノマーとして、グリシジルアクリレートやグリシジル(メタ)クリレート、又はビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2‐エポキシ‐4-ビニルシクロヘキサン(セロキサイド2000 Z ダイセル化学工業社製)などを用いる方法が挙げられる。
【0065】
イソシアネート基またはブロックイソシアネート基を導入する例としては、これらの官能基をもつアクリルモノマーとして2−イソシアトエチル(メタ)クリレート(カレンズMOI 昭和電工社製)やカレンズMOI‐EG(昭和電工社製)、ブロックイソシアネート基を含有するメタクリル酸2‐(0‐[1′‐メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM 昭和電工社製)などを用いる方法が挙げられる。これらの熱硬化性化合物と顔料分散樹脂一体の化合物は前述の熱硬化性化合物と合わせて用いることもできる。
【0066】
これら熱硬化性化合物の含有量は、着色組成物の固形分中で5質量%乃至50質量%が好適である。より好ましくは5%乃至40%であり、更に好ましくは10質量%乃至40質量%である。熱硬化性化合物が5質量%未満では熱硬化性化合物の量が少なすぎるため、カラーフィルタの製造工程におけるポストベーク工程において十分に着色画素が十分に硬化しないため、その後の透明導電膜の成膜工程における加熱(スパッタリング中の加熱やその後のアニールのための加熱)の際に着色画素が熱により収縮し、透明導電膜との間で応力が発生してシワの発生やクラックの発生の原因となる。
【0067】
一方、熱硬化性化合物の含有量が50質量%を超えると、透明導電膜の成膜工程における加熱によって熱硬化性化合物が熱反応し、それに伴う黄変によって透過率の低下がおきる。さらに、多くの熱硬化性化合物はフォトリソ工程における現像性を考慮した分子設計になっていない(具体的にはアルカリ可溶性を付与するための酸性基を持っていない等)、感光性着色組成物として用いる際には現像性が劣り、残渣などの原因となる。
【0068】
本発明に係るカラーフィルタの着色画素を形成するために用いる着色組成物には、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布するために1種または2種類以上の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、着色組成物を塗布する際の塗布性、乾燥性、膜厚均一性、濡れ性などの観点から粘度、表面張力、沸点、溶解度パラメータなどを考慮して選択される。
【0069】
例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、1-エトキシ-2-プロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチルベンゼン、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤などが挙げられるが、これらに限らない。有機溶剤は、着色組成物中の色材の合計100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0070】
本発明に係るカラーフィルタの着色画素を形成するために用いる着色組成物は、感光性
組成物でも構わない。例えば、前述のカラーフィルタ用着色組成物にさらに、少なくとも1種の光重合開始剤、及び少なくとも1種の光重合性化合物を用いたカラーフィルタ用着色感光性組成物である。
【0071】
光重合開始剤としては、4‐フェノキシジクロロアセトフェノン、4‐t‐ブチル‐ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1‐(4‐イソプロピルフェニル)‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4-モルフォリノフェニル)‐ブタン‐1‐オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4‐フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’‐テトラ(t‐ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2‐メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4‐ジイソプロピルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、2,4,6‐トリクロロ‐s‐トリアジン、2‐フェニル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐メトキシフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2,4‐ビス(トリクロロメチル)‐6‐スチリル‐s‐トリアジン、2‐(ナフト‐1‐イル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(4‐メトキシ‐ナフト‐1‐イル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2,4‐トリクロロメチル‐(ピペロニル)‐6‐トリアジン、2,4‐トリクロロメチル(4’‐メトキシスチリル)‐6‐トリアジンなどのトリアジン系化合物、1,2‐オクタンジオン,1‐〔4-(フェニルチオ)‐,2‐(O‐ベンゾイルオキシム)〕、O‐(アセチル)‐N‐(1‐フェニル‐2‐オキソ‐2‐(4’‐メトキシ‐ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミンなどのオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィン系化合物、9,10‐フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノンなどのキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物などが用いられる。
【0072】
これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤は、着色組成物中の顔料の合計100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
【0073】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるか、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸エチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2‐ジメチルアミノエチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N‐ジメチルパラトルイジン、4,4’‐ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’‐ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0074】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多
官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4‐ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4‐ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4‐ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6‐トリメルカプト‐s‐トリアジン、2‐(N,N‐ジブチルアミノ)‐4,6‐ジメルカプト‐s‐トリアジンなどが挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの含有量は、着色組成物中の顔料の合計100重量部に対して、0.05〜100重量部が好ましく、好ましくは0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0075】
光重合性化合物は、光照射により光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合し得る化合物である。光重合性化合物としては、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
【0076】
光重合性化合物としては、公知の光重合性化合物を特に制限なく、用いることができる。光重合性化合物としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有し、常圧下での沸点が100℃以上である化合物が好ましい。(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい。感度と高硬化の観点から、前記光重合性化合物が多官能(メタ)アクリル化合物であることが更に好ましい。
【0077】
光重合性化合物の例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化したものなどが挙げられる。
【0078】
本発明に係るカラーフィルタの着色画素を形成するために用いる着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために、貯蔵安定剤を含有させることができ、また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤などの密着向上剤を含有させることもできる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t‐ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩などが挙げられる。
【0079】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β‐メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン類、β‐(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類などが挙げられる。
【0080】
本発明に係るカラーフィルタは、着色画素23上に透明なオーバーコート層24を有する。オーバーコート層24に用いる樹脂組成物は前述の着色画素23を形成するために用いる着色組成物の顔料担体としてバインダーポリマー及び樹脂の前駆体(以下、モノマー)と同様である。
【0081】
バインダーポリマーは、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成する光重合性化合物はモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0082】
オーバーコート層24に用いる樹脂組成物について、40℃から200℃の間で少なくとも3点以上応力値を測定し、横軸に温度、縦軸に応力をプロットしたときの傾きの値の絶対値は、0.15以下である。但し、温度の単位は摂氏であり、応力の単位はMPaである。
【0083】
この傾きの絶対値は樹脂組成物から得られる塗膜の熱膨張係数に比例しており、熱膨張係数が小さいほど、カラーフィルタや液晶表示装置を製造する際の熱プロセスによる膨張が小さく、このオーバーコート層の上に形成される透明電極にかかるストレスが小さい。
【0084】
横軸に温度、縦軸に応力をプロットしたときの傾きの値の絶対値、すなわち熱膨張係数は、塗膜の架橋密度を高めることで小さくすることが可能である。そのような塗膜を得るためには、樹脂組成物中に熱硬化性化合物を含むことが望ましい。その含有量は、固形分中の重量比率で10%以上が好ましく、より好ましくは20%以上である。
【0085】
熱硬化性化合物としては、前述の着色画素に用いることができるものと同様である。特に好ましいのは、メラミン化合物、エポキシ化合物である。
【0086】
オーバーコート層を形成する樹脂組成物は前述の活性エネルギー線硬化性樹脂を含有することで光硬化性を有していても良い。塗布性を持たせるための有機溶剤についても、着色組成物と同様である。
【0087】
樹脂組成物の温度-応力の関係の測定は、A.Brenner and S.Senderoff:J.Res.Natl.Bur.Stand.42,105(1949)や特開平10‐253821特開2000‐329921に記載されているシリコン基板の曲率半径の変化を測定する方法を参考に応力を求める。
【0088】
曲率半径の測定方法には触針式の測定器を用いる方法や、レーザー光源14を用いた光てこ方式が挙げられるが、いずれの方法を用いても構わない。本発明では応力の温度依存性を測定する必要があるため、シリコンウエハ12は加熱ステージ11上に置いて測定す
る。
図1に光てこ法を用いた場合の装置の概念図を示す。
【0089】
樹脂組成物の応力は、シリコンウエハ12上に樹脂組成物の塗膜13を形成し、塗膜形成前後での曲率半径から下記の式を用いて算出する。
【0090】
σ=Eh
2/6(1−ν)rt 式1
σ:応力
E:シリコン基板のヤング率
h:シリコン基板の厚さ
ν:シリコン基板のポアソン比
r:シリコン基板の有効曲率半径(下記の式2で算出する)
t:樹脂組成物の塗膜の膜厚
r=r
1r
2/(r
1−r
2) 式2
r
1:樹脂組成物を用いた塗膜形成前のシリコンウエハの曲率半径
r
2:樹脂組成物を用いた塗膜形成後のシリコンウエハの曲率半径
測定に用いるシリコンウエハ12の大きさ、厚さ、結晶形については特に制限はない。シリコンウエハ12の曲率半径を測定した後、シリコンウエハ上に着色組成物の塗膜13を作成する。塗膜の膜厚は該樹脂組成物を用いてカラーフィルタを作成する際の膜厚にあわせることが望ましい。樹脂組成物をシリコンウエハ12上に塗布した後、該樹脂組成物を生産ラインで使用することを想定した条件にて、プリベーク、露光、ポストベークを実施する。このポストベークまで実施した基板の曲率半径を測定する。さらに加熱ステージ11で加熱しながら該シリコンウエハ12の曲率半径を測定する。測定した曲率半径から上記算出式を用いて応力値を計算する。
【0091】
上記の方法で算出した温度-応力プロットの傾きは、式3に示すように熱応力の値に相当し、熱膨張係数に比例している。(参考文献:山寺秀哉 豊田中央研究所R&DレビューVol.34,No.1,P19〜24(1999)
σ=σ
0+σ
TT 式3
σ
0:0℃における内部応力
σ
T:熱応力
T:測定温度
σ
T=(E
f/1−ν
f)(α
f−α
s) 式4
E
f:塗膜のヤング率
ν
f:塗膜のポアソン比
α
f:塗膜の熱膨張係数
α
s:シリコンウエハの熱膨張係数
樹脂組成物のヤング率、ポアソン比は樹脂組成物の組成によらずほとんど変らないと言え、シリコンウエハの熱膨張係数も定数と考えることができることから、熱応力は塗膜の熱膨張係数に比例していると考えられる。
【0092】
樹脂画素の熱膨張係数が大きいとITOのスパッタ、焼成時あるいはその後の工程における加熱のときのオーバーコート層の熱膨張量に大きくなる。オーバーコート層の熱膨張係数と比較して、ITOの熱膨張係数は1桁小さいため、オーバーコート層の膨張に対してITOが追随できず、ITOの破断やシワが生じていると推測される。樹脂組成物の熱膨張係数は3×10
−5〜4×10
−5程度であり、ITOの熱膨張係数は7.2×10
−6である(特開平6‐067015)。
【0093】
樹脂組成物の温度-応力の傾きつまり熱膨張性は塗膜内の架橋性に影響を受ける。つま
り、樹脂組成物中の架橋性モノマーの含有量や架橋性モノマーの二重結合等量により制御することが可能である。温度-応力の傾きを大きく(熱膨張性を高く)するには、架橋性モノマーの含有量を増やし、用いる架橋性モノマーの二重結合当量を小さくすればよい。二重結合当量が小さいモノマーの例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)やペンタエリスリトールテトラアクリレート、などが挙げられる。
【0094】
一方、傾きを小さく(熱膨張性を低く)するには、架橋性モノマーの含有量を減らし、用いるモノマーの二重結合当量を大きいものにすると良い。二重結合当量が大きいモノマーとしてはカプロラクトン変性DPHA(例えば、日本化薬社製DPCA30,DPCA60,DPCA120)やウレタンアクリレートモノマー(例えば、新中村化学社製U‐6HA、U‐6LPA、UA‐110HAなど)が挙げられる。
【0095】
本実施形態に係るカラーフィルタにおいて、着色画素23は、好ましくは0.1μmないし5.0μm、より好ましくは0.5μmないし4.0μm、更に好ましくは1.0μmないし3.5μmの膜厚を有する。すなわち、本発明に係わる青色画素23Bをフォトリソグラフィー法で形成する場合、膜厚が0.1μm未満であると画素の形成が困難になり、また、膜厚が5μmより厚くなると、着色組成物を塗膜13として塗布形成するのが困難となるためである。
【0096】
本実施形態に係るカラーフィルタは、透明基材上に、上述したカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色塗膜からなる着色画素23を具備するものである。さらに着色画素23上にオーバーコート層24を有し、その上に透明電極が形成されている。
即ち、
図2に示すように、カラーフィルタは、ガラス等の透明基板21上に、遮光膜であるブラックマトリクス22、及び着色画素23を備えている。着色画素23は、上述した青色着色組成物を用いて形成された青色画素23B、赤色画素23R、及び緑色画素23Gからなる。その上にオーバーコート層24が形成され、その上に透明電極25を形成する。
【0097】
透明基材としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、本発明に係わるカラーフィルタを液晶表示装置に組み込む場合、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0098】
各色着色画素23の形成は、例えば、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等により行うことができる。
【0099】
印刷法による各色着色画素23の形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0100】
インクジェット法を用いたカラーフィルタの製造方法として、透明基材21であるガラス基板上にブラックマトリクス22を形成し、インクジェット印刷装置を用いてブラックマトリクス22の開口部にインクを付与して着色部を形成する方法が提案されている。更に、この方法において、インクが所定の開口部に正確に充填され、隣接する着色部間でインクが混じり合う混色が発生しないように、ブラックマトリクス22を構成する材料にフ
ッ素化合物やケイ素化合物等の撥水材を含ませてもよい。
【0101】
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式がある。また、インクジェット装置におけるインクの粒子化周波数は、5〜100KHz程度である。また、インクジェット装置におけるノズル径は5〜80μm程度が望ましい。また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いることが出来る。
【0102】
インクジェット法により着色部パターンを形成した後は、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用して、加熱処理し、着色層パターンを形成する。インクジェット法によれば、複数色のインキを同時に塗布することが出来ることから、簡易なプロセスで安価にカラーフィルタを製造することが可能である。
【0103】
フォトリソグラフィー法により各色着色画素23を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板21上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するパターン露光用フォトマスクを介して膜に紫外線露光を行う。
【0104】
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。着色組成物の現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法などを適用することができる。
【0105】
なお、紫外線露光時の膜の感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂などを塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0106】
電着法は、透明基板21上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色着色画素23を透明電極25の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
【0107】
転写法は、剥離性の転写ベースシートあるいは転写胴の表面に、あらかじめ着色画素23を形成しておき、この着色画素23を所望の透明基板21に転写させる方法である。
【0108】
透明基板21あるいは反射基板上に各色着色画素23を形成する前に、あらかじめブラックマトリックス22を形成しておくと、表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックス22としては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜を用いることもできる。
【0109】
透明導電膜の材料は特に制限なく公知のものを用いることができる。中でも特にITOが好適に用いられる。透明導電膜の多くはスパッタ法などでカラーフィルタ上に成膜されるが、多くは加熱しながら成膜するか、成膜後にアニール工程が必要となる。透明導電膜
を成膜する際の加熱は、スパッタリングの際に同時に加熱する方法(加熱スパッタリング)とスパッタリング後の後加熱する方法(アニーリング)があると前述したが、この両方を用いる方法もある。即ち、加熱スパッタリングにより透明導電膜を形成し、その後にさらにアニールングを実施する方法である。
【0110】
本発明に係わるカラーフィルタを表示装置に組み込む場合、前記の透明基板あるいは反射基板上に電極(薄膜トランジスター:TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に着色画素を形成することもできる。電極基板上に着色画素を形成することにより、開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0111】
本発明に係るカラーフィルタには、必要に柱状スペーサーなどを形成して構わない。
【実施例】
【0112】
以下に、本発明の実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PR254」は「C.I.PigmentRed254」を、「PB15:6」は「C.I.PigmentBlue15:6」であり、以下に染料及び顔料の製造例を示す。
【0113】
<着色組成物>
カラーフィルタ作製に用いる着色組成物を着色するための着色剤には以下のものを使用した。
【0114】
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)。
【0115】
緑色顔料:C.I.Pigment Green 58 ((株)DIC社製「Phthalocyanine Green A110」; G‐1)。
【0116】
青色顔料:C.I.Pigment Blue 15:6(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)。
【0117】
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow150(LANXESS社製「YELLOW PIGMENT E4GN」; Y‐1)。
【0118】
赤色顔料(R‐1)は下記組成を反応させ得た。
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254 100部
(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB‐CF」)
色素誘導体(D‐1) 10部粉砕した食塩 1000部ジエチレングリコール 120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
【0119】
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R-1)を得た。得られた顔料の平均粒子径は25nmであった。
【0120】
色素誘導体(D‐1)の構造式を化3に示す。
【0121】
【化3】
赤色顔料(R‐2)は下記組成を反応させ得た。
アントラキノン系赤色顔料PR177 100部(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)
色素誘導体(D‐2) 8部粉砕した食塩 700部エチレングリコール 180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。
【0122】
この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R‐2)を得た。得られた顔料の平均粒子径は30nmであった。
【0123】
色素誘導体(D‐2)の構造式を化4に示す。
【0124】
【化4】
青色顔料(B‐1)は下記組成を反応させ得た。
青色顔料 200部(C.I.PigmentBlue15:6、東洋インキ製造社製「LIONOLBLUEES」)
塩化ナトリウム 1600部ジエチレングリコール(東京化成社製) 100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部のソルトミリング処理顔料(青色顔料B‐1)を得た。
【0125】
アクリル樹脂溶液(P‐1)は下記組成を反応させ得た。
実施例及び比較例で用いたバインダーポリマー溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0126】
反応容器に
シクロヘキサノン 370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で
メタクリル酸(MAA) 20.0部メチルメタクリレート(MMA) 10.0部ベンジルメタクリレート(BzMA) 55.0部2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 15.0部2,2’-アゾビスイソブチロニトリル 4.0部の混合物を1時間かけて滴下し、重合反応を行った。
【0127】
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、
アゾビスイソブチロニトリル 1.0部を
シクロヘキサノン 50部に溶解させた溶液を加え、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約20000であった。
【0128】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液(P‐1)を調製した。
【0129】
顔料分散体は、表1に示す組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体を作製した。
【0130】
【表1】
表1に示す材料の詳細を下記に示す。
分散剤 : アクリル系分散剤(ビックケミー社製BYK‐2001)有機溶剤 : シクロヘキサノンである。
【0131】
色素誘導体(D‐3)の構造式を化5に示す。
【0132】
【化5】
色素誘導体(D‐4)の構造式を化6に示す。
【0133】
【化6】
着色組成物は、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、
顔料分散体 PR‐1: 22.5質量部顔料分散体 PR‐2: 22.5質量部アクリル樹脂溶液(P‐1): 1.5質量部モノマー(M−1): 5.1質量部(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、東亞合成社製アロニックスM402)
光重合開始剤: 1.0質量部(チバガイギー社製「イルガキュア‐379」)
光増感剤: 0.2質量部(日本化薬社製「KAYACURE DET‐X」)
有機溶剤:(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 47.2質量部5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物(PR‐1)を得た。
【0134】
顔料分散体、光重合開始剤、光増感剤について下記表3に記載のものを用いた以外は、比較例3と同様にして緑色着色組成物RG‐1、青色着色組成物RB‐1を得た。なお、表3では、比較例3係る着色組成物も併せて示した。
【0135】
【表2】
【実施例1】
【0136】
オーバーコート用樹脂組成物は次の反応により得た。シクロヘキサノン37g、ジエチレングリコールジメチルエーテル52gをサンプル瓶に入れた。攪拌しながら、エポキシ樹脂;ESF‐300(新日鐡化学(株)製:ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂でエポキシ当量231g/eq)6g、エポキシ樹脂;EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製:脂環式固形エポキシ樹脂で、分子中のエポキシ基数9個、エポキシ当量170g/eq)2g、エポキシ樹脂;EOCN‐1020(日本化薬(株)製オルソクレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量200g/eq)14gを加え、完全に溶解させエポキシ化合物(EP)を調製した。
【0137】
硬化剤として無水トリメリット酸を20g加え、十分に攪拌溶解した後、硬化促進剤としてジメチルシクロヘキシルアミンを0.10g加えた。更に、シランカップリング剤(チッソ社製S‐510)3.0g、界面活性剤(住友スリーエム社製;フロラードFC‐430)0.12gを加えて十分に攪拌、溶解後、これをろ過して、オーバーコート層形成用樹脂組成物を得た。
【0138】
アクリル樹脂、モノマー、光重合開始剤について、表3に記載したものを用いた以外は実施例1と同様に実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2、比較例3の樹脂組成物を得た。なお、表3には実施例1の樹脂組成物についても記載した。
【0139】
【表3】
表3に示す材料の詳細は、
アクリル樹脂:P‐1
モノマー:M‐1
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、東亞合成社製アロニックスM402)光重合開始剤:(チバガイギー社製「イルガキュア−379」)
界面活性剤:1%ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400
(商品名:トーレシリコーン社製)
有機溶剤:シクロヘキサノン
である。
【0140】
<応力の測定>
樹脂組成物の応力の測定方法について記載する。測定装置は薄膜ストレス測定装置(Tencor Instruments社製 FLX2328)を使用した。測定に用いるシリコンウエハは、直径4インチ、厚さ525μm、ミラー指数[111]のウエハを使用した。
【0141】
まず、シリコンウエハのみの曲率半径を測定した。次いで、焼成後の膜厚が2.0μmになるよう着色組成物をスピンコータにて塗布した。その後乾燥し、230℃のオーブンで30分焼成した。次に、薄膜ストレス測定装置の加熱ステージを40℃に設定してシリコンをセットし、5分間ならした後、昇温速度15℃/分、測定間隔1分で、40℃から230℃の範囲で応力値を測定した。実施例1、実施例2及び実施例3、比較例1、比較例2及び比較例3に記載の樹脂組成物の測定結果を
図3に温度-応力の関係として示す。
【0142】
表4には、それぞれの温度-応力プロットの傾きを示した。なお、230℃未満の温度で応力値がゼロになった場合、ゼロに達する前までの傾きの値を採用した。
【0143】
【表4】
<ガラス上密着性評価>
上記の実施例1〜3、比較例1〜3のオーバーコート材料を用いて、ガラス上に仕上がり2.5μmとなるようにスピンコート法により塗膜し、90℃で2分間乾燥した。
【0144】
オーバーコート層形成用のフォトマスクを介して高圧水銀灯の光を100mJ/cm
2照射した。尚、フォトマスクとガラス基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。その後、上記した着色層の作製と同様の現像液を用いて現像をした。水洗を施したのち、230℃30分焼成してガラス基板上にオーバーコート層を形成した。
【0145】
<密着性の評価>
上記実施例1〜3および比較例1〜3を用いてで得られたガラス上のオーバーコート層ついて密着性を評価した。JIS‐K‐5600‐5‐6に準じて分類0から5に分類した。カラーフィルタ用透明電極層は分類0あるいは1であることが望ましく、さらに望ましくは分類0である。評価結果を表5に示す。
【0146】
【表5】
<カラーフィルタの作成方法>
赤色着色組成物RR‐1、緑色着色組成物RG‐1、青色着色組成物RB‐1を用いてカラーフィルタを作製した。まず、赤色着色組成物RR‐1を、硬化後の膜厚が2.5μmとなるように、スピンコート法によりブラックマトリクスを形成してあるガラス基板に塗布し、乾燥した後、ネガ像を有するフォトマスクを介して超高圧水銀ランプを用いて紫外線で露光した。その後、23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。その後、クリーンオーブン中で、230℃で30分のポストベークを行い、赤色着色パターンを有するガラス基板を得た。その後、緑色着色組成物RG‐1を用いて同様に緑色着色パターンを得る。さらに青色着色組成物RB‐1を用いて青色着色パターンを得た。
【0147】
カラーフィルタの作成方法にて示した手順によって得られたカラーフィルタにオーバーコート層として、実施例1に記載の樹脂組成物をスピンコート法で、膜厚2.0μmに仕上がるように塗布した。100℃のホットプレートで2分間乾燥し、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを実施した。
【0148】
次に、該カラーフィルタを、ITOスパッタ装置にてITOを作成した。スパッタリング装置にて、ITOターゲットを用い室温で、Ar:400SCCM、O2:0.2SCCM導入してガス圧を0.67Paに調圧したのち、3.5W/cm
2の出力をかけてITO膜を成膜した。膜厚は150nmとした。その後、230℃のオーブンにて熱処理を行い目的の特性をもったITO膜を得た。以上の手順により得たカラーフィルタを実施例4とする。
【0149】
同様の手順によって得られたカラーフィルタに、それぞれ実施例2、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3に記載した樹脂組成物をもちいてオーバーコート層を形成、ITOを製膜した。以上の手順によって得られたオーバーコート層とITOが製膜されたカラーフィルタについて、ITO断裂の評価を行った。
【0150】
<ITO断裂の評価>
実施例1〜3、比較例1〜3のカラーフィルタを走査型電子顕微鏡にて観察した。ITOに断裂がみられるかで評価を実施した。ITOの断裂が見られる場合を×、見られない場合を○として判定し、表6に記載した。
【0151】
【表6】
<ITOシワの評価>
上記実施例および比較例で得られたカラーフィルタについて透明電極層のシワ、ムラおよび密着性を評価した。シワ、ムラについては、Naランプ下で目視により、シワおよびムラがある場合を×、ない場合を○とした。
【0152】
<カラーフィルタ密着性評価>
上記実施例1〜3および比較例1〜3を用いてで得られたガラス上のオーバーコート層ついて密着性を評価した。JIS‐K‐5600‐5‐6に準じて分類0から5に分類した。カラーフィルタ用透明電極層は分類0あるいは1であることが望ましく、さらに望ま
しくは分類0である。
【0153】
モノマー/樹脂の比率が0.6〜0.9の間、応力が0.15以下である実施例1〜3ではガラス密着性、カラーフィルタ密着性、ITO断裂、ITOシワの発生が無いカラーフィルタ基板を得ることが可能となる。
【0154】
一方、モノマーの比率が1.0以上である比較例1、比較例2はガラス密着性、カラーフィルタ密着性が悪く、ITOクラックも発生している。逆に比率が低い比較例3はガラス密着性、カラーフィルタ密着性は良好であるが、ITOシワの発生が確認された。