(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記拡散部材の拡散部は、前記レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿って前記レンズ部材の焦点距離よりも離れた位置で、かつ、前記レンズ部材の焦点距離の略2倍の距離以内の位置に配置されている、請求項1に記載のプロジェクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のレーザ表示装置では、レーザ光は焦点位置では十分に絞られているのでレーザ光の焦点位置でのスポット径に対して結晶粉のピッチが相対的に大きくなると考えられる。この場合、レーザ光は結晶粉により拡散されにくくなるので拡散成分が少なくなり、その分、拡散成分の合成によりスペックルノイズのパターンが平均化されにくくなる。このため、スペックルノイズの低減効果が不十分になると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、レーザ光を十分に拡散させることによりスペックルノイズの十分な低減効果を得ることが可能なプロジェクタおよび投影用スクリーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面によるプロジェクタは、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部と、レーザ光発生部から照射されるレーザ光を走査させることにより画像を投影する投影部と、画像が投影される投影用スクリーンとを備え、投影用スクリーンは、投影部により走査されるレーザ光を分割する複数のレンズ部を含むレンズ部材と、レンズ部材に対向して配置され、レンズ部材により分割されたレーザ光が入射する入射面および入射面から入射したレーザ光を拡散させる
粒状の拡散部を有する拡散部材とを含み、拡散部材の拡散部は、レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも離れた位置に配置され
、拡散部材の拡散部は、拡散部材の厚み方向の中央よりも入射面と反対側の出射面側に設けられている。
【0008】
この発明の第1の局面によるプロジェクタでは、上記のように、レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも離れた位置に拡散部材の拡散部を配置することによって、焦点位置を通過して径が大きくなった状態のレーザ光を拡散部により拡散させることができるので、拡散部におけるレーザ光のスポット径に対して拡散部のピッチが相対的に大きくなるのを抑制することができる。これにより、レーザ光を拡散部により十分に拡散させることができるので、その拡散成分の合成により、スペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【0009】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、拡散部材の拡散部は、レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも離れた位置で、かつ、レンズ部材の焦点距離の略2倍の距離以内の位置に配置されている。このように構成すれば、拡散部材をレンズ部材の略2倍の距離よりも大きい(離れた)位置に配置する場合とは異なり、分割されたレーザ光が焦点位置を過ぎて径が広がることにより隣接するレーザ光が互いに重なるのを防止しながら、焦点位置を通過して径がある程度広がった状態のレーザ光を拡散部により拡散させることができる。これにより、レーザ光が互いに重なることに起因して投影用スクリーンに投影される画像の解像度が低下するのを抑制しながら、スペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【0010】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レンズ部材のレンズピッチは、レーザ光発生部から照射されるレーザ光の径の略1/3以下である。このように構成すれば、投影部により走査されたレーザ光を容易に小さく(3つ以上に)分割して、分割されたレーザ光を投影することができる。これにより、投影部により走査されたレーザ光がレンズ部のうちの一部に入射する場合に、レンズ部のうちの一部によって分割されるレーザ光が投影される領域と、隣接するレンズ部によって分割されるレーザ光が投影される領域との間のレーザ光が投影されない領域が生じることに起因して投影用スクリーンに投影される画像の解像度が低下するのを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レンズ部材は、少なくとも2つの異なる焦点距離を有するレンズ部が配列されて構成されている。このように構成すれば、異なる焦点距離を有するレンズ部により容易にレーザ光を異なる角度に分割することができるので、容易に、その拡散成分の合成によりスペックルノイズを効果的に低減することができる。
【0012】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レンズ部材は、少なくとも2つの異なるレンズピッチでレンズ部が配列されて構成されている。このように構成すれば、異なるレンズピッチで配列されたレンズ部により容易にレーザ光を異なる角度に分割することができるので、容易に、その拡散成分の合成によりスペックルノイズをより効果的に低減することができる。
【0013】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レンズ部材は、複数のレンズ部を含むマイクロレンズアレイである。このように構成すれば、マイクロレンズアレイにより、容易に、投影部により走査されるレーザ光を分割することができる。
【0014】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、拡散部材は、所定の方向にレーザ光を拡散させる指向性を有する指向性拡散シートである。このように構成すれば、レーザ光を全方位に拡散させる場合と異なり、表示方向側に向けてレーザ光を拡散させることができるので、過度の拡散により画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レンズ部材は、一方の面が凸レンズ状に突出するように形成されるとともに、他方の面が略平坦な平坦面を有するように形成され、拡散部材は、入射面が略平坦になるように形成されるとともに、入射面とは反対側の出射面近傍には拡散部が形成され、投影用スクリーンは、レンズ部材の平坦面と、拡散部材の入射面とが接合されて構成されている。このように構成すれば、レンズ部材に対する拡散部材の位置を安定して固定することができるので、拡散部がレンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも所定の距離分離れた位置に安定して配置することができる。
【0016】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、拡散部は、複数設けられ、複数の拡散部のピッチは、レンズ部材のレンズピッチよりも小さい。このように構成すれば、レンズ部材のレンズピッチに起因して投影用スクリーンに投影された画像が粗くなるのを抑制することができる。
【0017】
この発明の第2の局面による投影用スクリーンは、照射されるレーザ光を分割する複数のレンズ部を含むレンズ部材と、レンズ部材に対向して配置され、レンズ部材により分割されたレーザ光が入射する入射面および入射面から入射したレーザ光を拡散させる
粒状の拡散部を有する拡散部材とを含み、前記拡散部材の拡散部は、前記レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿って前記レンズ部材の焦点距離よりも離れた位置に配置され
、拡散部材の拡散部は、拡散部材の厚み方向の中央よりも入射面と反対側の出射面側に設けられている。
【0018】
この発明の第2の局面による投影用スクリーンでは、上記のように、レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも離れた位置に拡散部材の拡散部を配置することによって、焦点位置を通過して径が大きくなった状態のレーザ光を拡散部により拡散させることができるので、拡散部におけるレーザ光のスポット径に対して拡散部のピッチが相対的に大きくなるのを抑制することができる。これにより、レーザ光を拡散部により十分に拡散させることができるので、その拡散成分の合成によりスペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、レーザ光を十分に拡散させることによりスペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図6を参照して、本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100の構成について説明する。
【0022】
本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100は、
図1に示すように、透過型スクリーン1とプロジェクタ本体2とから主に構成されている。透過型スクリーン1には、プロジェクタ本体2から走査されたレーザ光が投影されるように構成されている。また、透過型スクリーン1は、プロジェクタ本体2によりレーザ光が走査されることによって、映像(画像)を表示可能なように構成されている。なお、透過型スクリーン1は、本発明の「投影用プロジェクタ」の一例である。
【0023】
透過型スクリーン1は、
図2および
図3に示すように、複数のレンズ部111を含むマイクロレンズアレイ11と、レーザ光を拡散させる複数の拡散部121を有する指向性拡散シート12とから主に構成されている。また、マイクロレンズアレイ11と、指向性拡散シート12とは、スペーサ(図示せず)を介して、所定の間隔を隔てて配置されている。なお、マイクロレンズアレイ11は、本発明の「レンズ部材」の一例である。また、指向性拡散シート12は、本発明の「拡散部材」の一例である。
【0024】
マイクロレンズアレイ11(レンズ部111)は、
図4に示すように、所定の焦点距離D1を有するように構成されている。具体的には、マイクロレンズアレイ11(レンズ部111)のX2方向側から入射するレーザ光(入射光)は、マイクロレンズアレイ11に入射する際に屈折される。また、マイクロレンズアレイ11(レンズ部111)のX1方向側から外部に出射するレーザ光(出射光)は、レンズ部111により屈折される。この入射光と出射光の交点112の軌跡が、光学上の主面113として定義される。また、主面113とレンズ部111の回転対称軸に一致する光軸114との交点は、光学上の主点115として定義される。そして、主点115と焦点116との距離が、焦点距離D1として定義される。また、マイクロレンズアレイ11は、所定の焦点距離D1(たとえば、0.5mm)を有するように構成されている。また、マイクロレンズアレイ11は、ガラスやプラスチックなどにより構成されている。
【0025】
ここで、第1実施形態では、マイクロレンズアレイ11は、
図2および
図3に示すように、一方(X1方向)の面117が複数の凸部119を有するように形成されるとともに、他方(X2方向)の面118が略平坦状に形成されている。レンズ部111は、X1方向側の面117の凸部119により凸レンズ状に形成されている。また、マイクロレンズアレイ11のX2方向の面118は、プロジェクタ本体2から出射されたレーザ光が入射するように構成されている。また、マイクロレンズアレイ11は、隣接するレンズ部111のレンズピッチがW1になるように構成されている。また、マイクロレンズアレイ11は、不規則な(六角形を構成する6つの辺がすべて同じ長さではない)六角形形状の複数のレンズ部111(
図5参照)が配列されて構成されている。また、マイクロレンズアレイ11は、複数のレンズ部111が平面視において隙間なく敷き詰められて(平面充填されて)構成されている。このマイクロレンズアレイ11は、隣接するレンズ部111のレンズピッチがW1になるように複数のレンズ部111の凸部119が形成されている。
【0026】
また、第1実施形態では、マイクロレンズアレイ11は、
図2および
図3に示すように、レンズ部111のレンズピッチW1が後述する赤色LD23、青色LD24および緑色LD25(
図6参照)から照射されるレーザ光の径W2の略1/3以下になるように構成されている。たとえば、レンズ部111のレンズピッチW1は、略0.1mmであり、赤色LD23、青色LD24および緑色LD25から照射されるレーザ光の径W2は、略0.6mmになるように構成されている。
【0027】
また、第1実施形態では、複数のレンズ部111は、
図2および
図3に示すように、スキャナミラー28(
図6参照)により走査されるレーザ光を分割するように構成されている。また、
図2に示すように、レンズ部111の凸部119の全体にレーザ光が入射する(レーザ光が焦点116を基準に対称になるように指向性拡散シート12に投影される)場合には、レーザ光は直進する方向に均等に3つに分割された状態で絞られる。また、
図3に示すように、レンズ部111の凸部119の一部にレーザ光が入射する(レーザ光が焦点116を基準に点対称になるように指向性拡散シート12に投影される)場合には、レーザ光は不均等に分割された状態で絞られる。この場合、指向性拡散シート12には、レーザ光が投影されない領域が生じる。
【0028】
指向性拡散シート12は、
図2および
図3に示すように、マイクロレンズアレイ11よりも表示方向側(X1方向側)に配置されている。また、指向性拡散シート12は、入射したレーザ光を表示方向側(X1方向側)に拡散させる指向性を有している。また、指向性拡散シート12は、X1方向側から入射した光(たとえば、室内の照明光)を表示方向側(X1方向側)に向けて拡散させない指向性を有する。また、指向性拡散シート12は、たとえば、プラスチックなどにより構成されている。
【0029】
また、第1実施形態では、指向性拡散シート12は、
図2および
図3に示すように、マイクロレンズアレイ11に対向して配置され、レンズ部111により分割されたレーザ光が入射する入射面122および入射面122から入射したレーザ光を拡散させる拡散部121を含む。また、拡散部121は、指向性拡散シート12の表示方向側(X1方向側)の表面近傍に複数設けられている。また、拡散部121は、たとえば、ビーズ、空孔および屈折率界面などにより構成されている。また、拡散部121は、指向性拡散シート12の任意の位置に配置可能なように構成されている。また、複数の拡散部121のZ方向のピッチW3(たとえば、50μm)は、レンズ部111のレンズピッチW1よりも十分小さくなるように構成されている。
【0030】
また、第1実施形態では、指向性拡散シート12の拡散部121は、
図2および
図3に示すように、マイクロレンズアレイ11の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってレンズ部111の焦点距離D1よりも離れた位置で、かつ、マイクロレンズアレイ11の焦点距離D1の略2倍の距離以内の位置に配置されるように構成されている。具体的には、指向性拡散シート12の拡散部121は、マイクロレンズアレイ11の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってマイクロレンズアレイ11の焦点距離D1の略2倍の距離(たとえば、1mm)の位置に配置されるように構成されている。
【0031】
また、
図2および
図3に示すように、マイクロレンズアレイ11の光学上の主面113に対して光軸114に沿って焦点距離D1よりも離れた位置では、拡散部121のピッチW3は、レーザ光の径W2に対して、相対的に広くなる。また、透過型スクリーン1は、マイクロレンズアレイ11により分割されたレーザ光が指向性拡散シート12の拡散部121で拡散されるように構成されている。また、本願発明者は、マイクロレンズアレイ11により分割されたレーザ光(レーザ光の各成分)が交差する角度θが大きい(マイクロレンズアレイ11による絞り込みが大きい)方がより効果的にスペックルノイズを低減させることを確認した。
【0032】
次に、
図6を参照して、プロジェクタ本体2の構成について説明する。プロジェクタ本体2は、映像入力インターフェース21を介して、入力される映像を透過型スクリーン1に投影するように構成されている。プロジェクタ本体2は、映像処理部22と、赤色のレーザ光を出力可能な赤色レーザダイオード(赤色LD)23と、青色のレーザ光を出力可能な青色レーザダイオード(青色LD)24と、緑色のレーザ光を出力可能な緑色レーザダイオード(緑色LD)25と、レーザ制御部26と、レーザドライバ27とを備えている。赤色LD23、青色LD24および緑色LD25は、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するように構成されている。また、プロジェクタ本体2は、1つのスキャナミラー28と、スキャナミラー制御部29と、スキャナミラー28を駆動するスキャナミラードライバ30と、RGB(赤緑青)レーザ光の有する階調を検出する光検出器31とをさらに備えている。また、プロジェクタ本体2の光学系としては、赤色LD23、青色LD24、緑色LD25、スキャナミラー28および光検出器31の他に、2つのハーフミラー32および33と、レンズ34とが設けられている。赤色LD23、青色LD24および緑色LD25は、本発明の「レーザ光発生部」の一例である。
【0033】
映像処理部22は、入力された映像信号に基づいて、所定の時間間隔でビデオ信号データをレーザ制御部26に送信するように構成されている。これにより、レーザ制御部26は、ある所定の走査位置における画素(画像形成要素)情報を認識することが可能となる。
【0034】
スキャナミラー28は、スキャナミラードライバ30により駆動され、所定の振れ角で振動可能な小型の振動ミラー素子である。スキャナミラー28は、赤色LD23、青色LD24および緑色LD25から照射されるレーザ光を走査させることにより画像を投影するように構成されている。また、スキャナミラー制御部29は、映像処理部22において認識されたある所定の走査位置における画素情報に基づいて、スキャナミラードライバ30を制御するように構成されている。つまり、スキャナミラー28は、スキャナミラー制御部29による制御に基づいて、投影範囲全体にわたってジグザグに(Z方向の高さ位置をずらしながらY方向を往復するように(
図1参照))RGBレーザ光を走査するように振動させられるように構成されている。なお、スキャナミラー28は、本発明の「投影部」の一例である。
【0035】
また、光検出器31は、赤色LD23、青色LD24および緑色LD25からのレーザ光を検出可能に配置されている。また、光検出器31は、レーザ制御部26と接続されており、検出されたレーザ光の階調をレーザ制御部26に出力するように構成されている。また、レーザ制御部26は、光検出器31から入力された階調に基づいて、走査位置における画素情報と比較して正しい階調か否かを判断するとともに、正しい階調でない場合には、正しい階調になるように赤色LD23、青色LD24および緑色LD25の出力(輝度)を調整するように構成されている。
【0036】
次に、プロジェクタ本体2の光学系の構成について説明する。
図6に示すように、ハーフミラー32は、青色のレーザ光と緑色のレーザ光とが直角に交差する位置に配置されている。このハーフミラー32は、青色のレーザ光を透過するとともに、緑色のレーザ光を反射するように構成されている。また、ハーフミラー33は、ハーフミラー32を通過した青色のレーザ光および緑色のレーザ光と赤色のレーザ光とが直角に交差する位置に配置されている。ハーフミラー33は、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の一部を光検出器31側に反射させるとともに、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の一部以外の残りをレンズ34側に透過させるように構成されている。また、ハーフミラー33は、赤色のレーザ光の一部を光検出器31側に透過させるとともに、赤色のレーザ光の一部以外の残りをレンズ34側に反射させるように構成されている。また、レンズ34は、赤色のレーザ光、青色のレーザ光および緑色のレーザ光の光軸を揃えて所定の階調を有するRGBレーザ光にする機能を有する。また、レンズ34において光軸が揃えられたRGBレーザ光は、スキャナミラー28により反射されることによって投影範囲に向けて走査されるように構成されている。
【0037】
第1実施形態では、上記のように、マイクロレンズアレイ11の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってマイクロレンズアレイ11の焦点距離D1よりも離れた位置に指向性拡散シート12の拡散部122を配置することによって、焦点位置を通過して径が大きくなった状態のレーザ光を拡散部122により拡散させることができるので、拡散部122におけるレーザ光のスポット径に対して拡散部122のピッチが相対的に大きくなるのを抑制することができる。これにより、レーザ光を拡散部122により十分に拡散させることができるので、その拡散成分の合成によりスペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【0038】
第1実施形態では、上記のように、拡散部122を、マイクロレンズアレイ11の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってマイクロレンズアレイ11の焦点距離D1の略2倍の距離の位置に配置する。これにより、分割されたレーザ光が焦点位置を過ぎて径が広がることにより隣接するレーザ光が互いに重なるのを防止しながら、焦点位置を通過して広がった状態のレーザ光を拡散部122により拡散させることができる。その結果、レーザ光が互いに重なることに起因して画像の解像度が低下するのを抑制しながら、スペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【0039】
第1実施形態では、上記のように、マイクロレンズアレイ11のレンズピッチW1が赤色LD23、青色LD24および緑色LD25から照射されるレーザ光の径の略1/6になるようにマイクロレンズアレイ11を構成する。これにより、スキャナミラー28により走査されたレーザ光を容易に小さく分割して、分割されたレーザ光を投影することができる。その結果、スキャナミラー28により走査されたレーザ光がレンズ部111のうちの一部に入射する場合に、レンズ部111のうちの一部によって分割されるレーザ光が投影される領域と、隣接するレンズ部111によって分割されるレーザ光が投影される領域との間のレーザ光が投影されない領域が生じることに起因して画像の解像度が低下するのを抑制することができる。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、複数のレンズ部111を含むマイクロレンズアレイ11によりレンズ部材を構成する。これにより、マイクロレンズアレイ11により、容易に、スキャナミラー28により走査されるレーザ光を分割することができる。
【0041】
第1実施形態では、上記のように、所定の方向にレーザ光を拡散させる指向性を有する指向性拡散シート12により拡散部材を構成する。これにより、表示方向側に向けてレーザ光を拡散させることができるので、過度の拡散により画像の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0042】
第1実施形態では、上記のように、マイクロレンズアレイ11のレンズピッチW1よりも小さくなるように複数の拡散部122のピッチW3を構成する。このように構成すれば、マイクロレンズアレイ11のレンズピッチW1に起因して、画像が粗くなるのを抑制することができる。
【0043】
(第2実施形態)
以下、
図7を参照して、本発明の第2実施形態によるプロジェクタ200の構成について説明する。
【0044】
この第2実施形態では、マイクロレンズアレイ11と、指向性拡散シート12とを、スペーサにより、所定の間隔を隔てて配置した第1実施形態と異なり、マイクロレンズアレイ41と、指向性拡散シート42とを直接接合する構成の透過型スクリーン101を含むプロジェクタ200について説明する。なお、マイクロレンズアレイ41は、本発明の「レンズ部材」の一例である。また、指向性拡散シート42は、本発明の「拡散部材」の一例である。また、透過型スクリーン101は、本発明の「投影用スクリーン」の一例である。
【0045】
第2実施形態によるプロジェクタ200では、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射する赤色LD23、青色LD24および緑色LD25と、赤色LD23、青色LD24および緑色LD25から照射されるレーザ光を走査させることにより画像を投影するスキャナミラー28と、画像が投影される透過型スクリーン101とを備えている。
【0046】
また、透過型スクリーン101は、
図7に示すように、スキャナミラー28により走査されるレーザ光を分割する複数のレンズ部413を含むレンズ部材41と、レンズ部材41に対向して配置され、レンズ部材41により分割されたレーザ光が入射する入射面421および入射面421から入射したレーザ光を拡散させる拡散部423を有する拡散部材42とを含む。また、マイクロレンズアレイ41は、一方(X2方向)の面411が凸レンズ状に突出するように形成されるとともに、他方(X1方向)の面が略平坦な平坦面412を有するように形成されている。また、マイクロレンズアレイ41は、所定の焦点距離D1を有するように構成されている。また、マイクロレンズアレイ41は、隣接するレンズ部413のレンズピッチがW1になるように構成されている。
【0047】
また、指向性拡散シート42は、
図7に示すように、入射面421(X1方向の面)が略平坦になるように形成されている。また、指向性拡散シート42の入射面421とは反対側(X1方向側)の出射面422近傍には、拡散部423が形成されている。また、透過型スクリーン101は、マイクロレンズアレイ41の平坦面412と、指向性拡散シート42の入射面421とが接合されて構成されている。また、マイクロレンズアレイ41と、指向性拡散シート42とは、たとえば、紫外線接着剤などを用いて接合されている。
【0048】
また、複数の拡散部423は、
図7に示すように、レンズ部材41の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってレンズ部材41の焦点距離D1よりも離れた位置に配置されるように構成されている。また、拡散部材42の入射面421は、レンズ部材41の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってレンズ部材41の焦点距離D1よりもレンズ部材41側に配置されるように構成されている。また、複数の拡散部423は、隣接する拡散部423のピッチがW3になるように構成されている。
【0049】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0050】
第2実施形態では、上記のように、マイクロレンズアレイ41の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってマイクロレンズアレイ41の焦点距離D1よりも離れた位置に指向性拡散シート42の拡散部423を配置することによって、焦点位置を通過して径が大きくなった状態のレーザ光を拡散部423により拡散させることができるので、拡散部423におけるレーザ光のスポット径に対して拡散部423のピッチが相対的に大きくなるのを抑制することができる。これにより、レーザ光を拡散部423により十分に拡散させることができるので、その拡散成分の合成により、スペックルノイズの十分な低減効果を得ることができる。
【0051】
第2実施形態では、上記のように、平坦面412を有するようにマイクロレンズアレイ41を形成し、入射面421が略平坦になるとともに、出射面422近傍には拡散部423を形成するように指向性拡散シート42を構成し、マイクロレンズアレイ41の平坦面412と、指向性拡散シート42の入射面421とを接合するように構成する。これにより、拡散部423をマイクロレンズアレイ41の光学上の主面113に対して光軸114に沿ってマイクロレンズアレイ41の焦点距離D1よりも所定の距離分離れた位置に安定して配置することができる。
【0052】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
上記第1および第2実施形態では、マイクロレンズアレイ(レンズ部材)部を、平面視で不規則な(六角形を構成する6つの辺がすべて同じ長さではない)六角形形状のレンズ部を平面視において隙間なく敷き詰めて(平面充填して)形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、不規則な六角形形状以外の、不規則な多角形形状のレンズ部を平面視において隙間なく敷き詰めてレンズ部材を形成してもよい。また、本発明では、不規則な六角形形状以外の、正多角形形状(たとえば、平面視で略正方形(四角形を構成する4つの辺が略同じ長さの正方形)形状(
図8参照)、平面視で略正六角形(六角形を構成する6つの辺が略同じ長さの六方形)形状(
図9参照)など)のレンズ部を平面視において隙間なく敷き詰めてレンズ部材を形成してもよい。また、本発明では、
図10に示すように、平面視でレンチキュラ形状のレンズ部を平面視において隙間なく敷き詰めてレンズ部材を形成してもよい。また、本発明では、
図11に示すように、複数の異なる大きさのレンズ部を平面視において隙間なく敷き詰めてレンズ部材を形成してもよい。
【0055】
上記第1および第2実施形態では、拡散部をマイクロレンズアレイ(レンズ部材)の光学上の主面に対して光軸に沿ってマイクロレンズアレイの焦点距離の略2倍の位置に配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、レンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも離れた位置であれば、拡散部をレンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離の略2倍の距離よりも小さい(近い)位置に配置してもよい。
【0056】
上記第1および第2実施形態では、マイクロレンズアレイ(レンズ部材)のレンズピッチを、レーザ光の径の略1/6になるように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、レンズ部材のレンズピッチを、レーザ光の径の略1/3未満略1/10以上のレンズピッチに構成してもよい。また、レーザ光の径の略1/6未満略1/10以上に、レンズ部材のレンズピッチを構成することが好ましい。このように構成すれば、レンズ部材のレンズピッチに起因して投影用スクリーンに投影された画像が粗くなる(ざらつく)のを抑制しながら、投影部により走査されたレーザ光がレンズ部のうちの一部に入射する場合に、レンズ部のうちの一部によって分割されるレーザ光が投影される領域と、隣接するレンズ部によって分割されるレーザ光が投影される領域との間のレーザ光が投影されない領域が生じることに起因して投影用スクリーンに投影される画像の解像度が低下するのを抑制することができる。
【0057】
上記第1および第2実施形態では、焦点距離が一定であるレンズ部を配列してマイクロレンズアレイ(レンズ部材)を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図12に示すように、少なくとも2つの異なる焦点距離を有するレンズ部702および703を配列してレンズ部材を構成してもよい。
【0058】
上記第1および第2実施形態では、レンズピッチが一定であるレンズ部を配列してマイクロレンズアレイ(レンズ部材)を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、少なくとも2つの異なるレンズピッチを有するレンズ部を配列してレンズ部材を構成してもよい。たとえば、
図11に示すように、3つの異なるレンズピッチを有するレンズ部材602、603および604を配列してレンズ部材を構成してもよい。
【0059】
上記第1および第2実施形態では、拡散部材の一例として、指向性拡散シートを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、指向性拡散シート以外の、たとえば、乳白色半透明板などの体積拡散板およびすりガラスなどの表面拡散板などの拡散部材であってもよい。
【0060】
上記第1および第2実施形態では、指向性拡散シート(拡散部材)のX1方向側の表面近傍に拡散部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図13に示すように、最もレンズ部材に近い距離に配置される拡散部がレンズ部材の光学上の主面に対して光軸に沿ってレンズ部材の焦点距離よりも離れた位置に設けられれば、拡散部を拡散部材の内部の任意の位置に設けてもよい。
【0061】
上記第1および第2実施形態では、一方の面が凸レンズ状に突出するように形成されたマイクロレンズアレイ(レンズ部材)を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、両方の面が凸レンズ状に突出するように形成されたレンズ部材であってもよい。
【0062】
上記第1および第2実施形態では、レンズ部材の一例として、マイクロレンズアレイを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のレンズ部により形成されるマイクロレンズアレイに限らず、レーザ光を分割する機能を有していればマイクロレンズアレイ以外のレンズ部材であってもよい。
【0063】
上記第1および第2実施形態では、投影用スクリーンの一例として、透過型スクリーンを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、反射型スクリーンなど、透過型スクリーン以外の投影用スクリーンであってもよい。