特許第6102256号(P6102256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本理化株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102256
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】酸性還元性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 29/04 20060101AFI20170316BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20170316BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20170316BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20170316BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20170316BHJP
   C08K 5/11 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C08L29/04 A
   C11D7/22
   C11D7/26
   C11D3/37
   C11D3/20
   C08K5/11
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-286296(P2012-286296)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-129429(P2014-129429A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191250
【氏名又は名称】新日本理化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伏見 一郎
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−258014(JP,A)
【文献】 特開2012−227291(JP,A)
【文献】 特開昭63−240452(JP,A)
【文献】 特開平04−136100(JP,A)
【文献】 特開2000−044996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 29/00−29/14
C08K 3/00−13/08
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス外装材又はアルミ外装材の錆を除去するための、シュウ酸、ポリビニルアルコール、水及び界面活性剤を含有する酸性還元性洗浄剤組成物であって、
該組成物中の、シュウ酸が0.01〜15重量%、ポリビニルアルコールが0.01〜15重量%であり、シュウ酸とポリビニルアルコールとの比率がシュウ酸1重量部に対して0.01〜3重量部の範囲であり、かつ、該組成物のpHが0.1〜4.0である、酸性還元性洗浄剤組成物。
【請求項2】
ステンレス外装材又はアルミ外装材が車両の外板である、請求項に記載の酸性還元性洗浄剤組成物。
【請求項3】
さらに、耐硬水性成分、キレート剤、pH調整剤、香料、消臭剤、除菌剤、防腐剤、粘度調整剤、溶剤、ビルダー、消泡剤、又は酸化防止剤を含有する、請求項1又は請求項2に記載の酸性還元性洗浄剤組成物。
【請求項4】
同一温度でのシュウ酸の水に対する溶解度を高める方法であって、ポリビニルアルコールをシュウ酸が含有する水溶液に、ポリビニルアルコールがシュウ酸1重量部に対して0.01〜3重量部の範囲で併存せしめることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性還元性組成物及びシュウ酸の水への可溶性を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、還元性を伴う洗浄剤としては、酸性フッ化アンモニウム、チオグリコール酸アンモニウム、シュウ酸、塩酸、希硫酸、スルファミン酸、クエン酸、グリコール酸等の還元性処理剤を1種で又は2種以上を適宜組み合わせて配合した洗浄剤が知られている(特許文献1〜4)。還元性処理剤により、例えば、酸化銅となった銅製品の酸化被膜を還元し汚れ成分を除去して元の金属光沢を取り戻したり、酸化鉄となった錆びた鉄製品の酸化被膜を還元し汚れ成分を溶して元の金属光沢を取り戻したりすることができる。
ところが、例えば、酸性フッ化アンモニウムは酸化被膜への反応性が高いものの、人体への影響が大きいという課題がある。塩酸は、刺激臭が大きく、鉄鋼やアルミニウムなどの金属は腐食を受ける。希硫酸は、鉄鋼類では水素を発生することから、閉鎖系での使用において危険性が指摘される。クエン酸、グリコール酸は、人体への影響は少ないが、酸化被膜への反応が遅く、反応性を高めるためには配合量を多くする必要がある。チオグリコール酸は、不快な臭気が著しい等の問題があった。近年、臭気及び人体への影響が少なく、還元性に優れるものとして、シュウ酸を主成分とするものが提案されている。
【0003】
しかしながらシュウ酸は、水100gに対して0℃では3.5gと低温時での溶解度が低いことから(非特許文献1)、寒期にシュウ酸が再結晶を起こして析出し、還元性が低下するという、低温安定性の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-249488号公報
【特許文献2】特開2010-024366号公報
【特許文献3】特開2010-065239号公報
【特許文献4】特開2011-032495号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】岩波 理化学事典 第3版(発行所:(株)岩波書店,611頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低温安定性に優れたシュウ酸を含有する酸性還元性組成物及び酸性洗浄剤組成物、並びにシュウ酸の水への可溶性を高めることにより、寒期においても安定した還元性能を有する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、シュウ酸を含有する水溶液にポリビニルアルコールを配合することにより、非特許文献1に記載のシュウ酸の水への溶解度を超えているにも拘わらず、シュウ酸の結晶が析出してこないことを見出した。特に驚くべきことは、そのポリビニルアルコールの配合量が非常に少ない領域でその効果が発揮する点であった。本発明は、当該知見に基づき完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は以下の項目の発明を提供する。
(項1)シュウ酸及びポリビニルアルコールを含有する酸性還元性組成物。
(項2)酸性還元性組成物中の、シュウ酸が0.01〜15重量%、ポリビニルアルコールが0.01〜15重量%である、上記項1に記載の酸性還元性組成物。
(項3)シュウ酸とポリビニルアルコールとの比率は、シュウ酸1重量部に対して0.001〜5重量部の範囲である、上記項1又は項2に記載の酸性還元性組成物。
(項4)酸性還元性組成物のpHが0.1〜4.0である、上記項1〜3の何れかに記載の酸性還元性組成物。
(項5)ポリビニルアルコールがポリ酢酸ビニルを鹸化して得られたものである、上記項1〜4の何れかに記載の酸性還元性剤組成物。
(項6)ポリビニルアルコールの鹸化度が60〜100モル%である、上記項5に記載の酸性還元性組成物。
(項7)上記項1〜6の何れかに記載の酸性還元性組成物が界面活性剤を含有する、酸性還元性洗浄剤組成物。
(項8)ステンレス外装材又はアルミ外装材の錆を除去するための、上記項7に記載の酸性還元性洗浄剤組成物。
(項9)車両の外板の錆を除去するための、上記項7に記載の酸性還元性洗浄剤組成物。
(項10)車両が鉄道車両である、上記項9に記載の酸性還元性洗浄剤組成物。
(項11)さらに、耐硬水性成分、キレート剤、pH調整剤、香料、消臭剤、除菌剤、防腐剤、粘度調整剤、溶剤、ビルダー、消泡剤、又は酸化防止剤を含有する、上記項7〜10の何れかに記載の酸性還元性洗浄剤組成物。
(項12)ポリビニルアルコールをシュウ酸と併存せしめることを特徴とするシュウ酸の水に対する可溶性を高める方法。
(項13)ポリビニルアルコールの使用量が、シュウ酸1重量部に対して0.001〜5重量部の範囲である、上記項12に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の酸性還元性組成物及び酸性還元性洗浄剤組成物は、低温安定性に優れることから、寒冷地において還元性の低下を抑制できる。そしてポリビニルアルコールの使用量が少ないことから、廃液処理時に負荷の低減が期待できる。
また本発明のシュウ酸の水に対する可溶性を高める方法は、非常に簡便な方法であり、低温時のシュウ酸の水への可溶性を高めることができるので、種々の用途における低温安定性の向上への寄与が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の酸性還元性組成物は、シュウ酸及びポリビニルアルコールを含有してなる組成物である。
【0011】
本発明に係るシュウ酸は、シュウ酸(無水)やシュウ酸・二水和物などが使用でき、特に制限はなく、公知の方法で製造したものや、市販品、試薬等で入手できるものも使用できる。主な供給者として、三菱ガス化学(株)、宇部興産(株)などが挙げられる。
【0012】
本発明に係るポリビニルアルコールは、公知の方法で製造したものや、市販品、試薬等で入手できるものなどを使用できる。ポリビニルアルコールは、一般的にはポリ酢酸ビニルを鹸化して製造される。なおポリビニルアルコールが、ポリ酢酸ビニルが共重合可能な成分との共重合体(変性ポリビニルアルコール)であっても、本発明の効果を奏する限り、該態様であっても良い。
ポリビニルアルコールは、鹸化の度合い(鹸化度)の違いにより、完全鹸化型と部分鹸化型に大別される。本発明では完全鹸化型のポリビニルアルコールを使用することが最も好ましい。部分鹸化型のポリビニルアルコールを使用する場合には、好ましくは鹸化度が60〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは98〜100モル%が推奨される。
ポリビニルアルコールの重合度としては、好ましくは300〜5000、より好ましくは500〜3500が推奨される。
主な供給者として、クラレ(株)、日本合成化学工業(株)、日本酢ビ・ポバ-ル(株)などが挙げられる。
【0013】
本発明の酸性還元性組成物に含有するシュウ酸及びポリビニルアルコールの組成比は、酸性還元性組成物中の組成比として、シュウ酸の含有量は好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%が推奨され、またポリビニルアルコールの含有量は好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜6重量%が推奨される。
シュウ酸とポリビニルアルコールとの比率は、シュウ酸1重量部に対して、ポリビニルアルコールは好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部が推奨される。
これらの推奨範囲おいて、本発明の効果がより安定的に発揮される。
【0014】
本発明の酸性還元性組成物には、本質的に水を含有している。前記水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水、地下水などが例示されるが、好ましくは蒸留水又はイオン交換水が推奨される。なお水道水及び地下水を使用する場合は、好ましくは硬度200ppm以下、より好ましくは50ppm以下が推奨される。
【0015】
本発明の酸性還元性組成物のpHは、金属の酸化皮膜や錆などの除去速度・除去時間の観点から、好ましくは0.1〜4.0、より好ましくは0.3〜3.0が推奨される。
【0016】
本発明に係る酸性還元性洗浄剤組成物は、酸性還元性組成物に界面活性剤が必須成分として配合してなるものである。
界面活性剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%が推奨される。
【0017】
前記界面活性剤としては、好ましくはノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が推奨される。より具体的には、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエ-テル、ポリオキシアルキレンアルケニルエ-テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ-テル等が例示される。それらの中でも、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物が推奨される。
【0018】
一般式(1)
【化1】

〔式中、Rは、炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族基又は一般式(2)
【化2】

[式中、Rは、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。]で表されるp-アルキルフェニル基を表す。Rは、エチレン基又はプロピレン基を表す。nは、平均付加モル数を表し、3〜100を示す。〕
で表される。
【0019】
ポリオキシアルキレン化合物は、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族アルコールに又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を有するp-アルキルフェノールに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加反応した態様の化合物である。
【0020】
前記直鎖状脂肪族アルコールとしては、具体的には、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール(カプリルアルコール)、n-ウンデカノール、n-ドデカノール(ラウリルアルコール)、n-トリデカノール、n-テトラデカノール(ミリスチルアルコール)、n-ペンタデカノール、n-ヘキサデカノール(セチルアルコール)、n-ヘプタデカノール、n-オクタデカノール(ステアリルアルコール)、n-ノナデカノール、n-イコサノール、n-ヘンイコサノール、n-ドコサノール、オレイルアルコールが例示される。これらの中でも、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール(カプリルアルコール)、n-ウンデカノール、n-ドデカノール(ラウリルアルコール)、n-トリデカノール、n-テトラデカノール(ミリスチルアルコール)、n-ペンタデカノール、n-ヘキサデカノール(セチルアルコール)、n-ヘプタデカノール、n-オクタデカノール(ステアリルアルコール)が好ましく、特にn-デカノール(カプリルアルコール)、n-ウンデカノール、n-ドデカノール(ラウリルアルコール)、n-トリデカノール、n-テトラデカノール(ミリスチルアルコール)が好ましい。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせることができる。
【0021】
分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、具体的には、6-メチル-1-ヘプタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-メチル-1-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、7-メチル-1-オクタノール、2-ノナノール、3-ノナノール、2-メチル-1-オクタノール、3-メチル-1-オクタノール、4-メチル-1-オクタノール、5-メチル-1-オクタノール、6-メチル-1-オクタノール、2-エチル-1-ヘプタノール、2,4-ジメチル-1-ヘプタノール、2,5-ジメチル-1-ヘプタノール、4,6-ジメチル-1-ヘプタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、2,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、2-デカノール、3-デカノール、2-メチル-1-ノナノール、2-エチル-1-オクタノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、2,7-ジメチル-1-オクタノール、2,6-ジメチル-2-オクタノール、2,4-ジメチル-1-オクタノール、3,7-ジメチル-1-オクタノール、3,6-ジメチル-3-オクタノール、4-メチル-2-プロピル-1-ヘキサノール、5-メチル-2-プロピル-1-ヘキサノール、2-(1-メチルエチル)-4-メチル-1-ヘキサノール、2-(1-メチルエチル)-5-メチル-1-ヘキサノール、8-メチル-2-デカノール、2,4,6-トリメチルオクタノール、ジメチルノナノール、10-メチルウンデカノール、2-エチルデカノール、2-メチル-3-tert-ブチルヘプタン-1-オ-ル、2-メチルドデカノール、10-メチル-1-ドデカノール、2,6,10-トリメチルウンデカノール、1,3,5,7-テトラメチルデカノール、5-ブチル-5-デカノール、13-メチルテトラデカノール、3,7-ジメチルトリデカノール、13-メチルペンタデカノール、5-ブチル-5-ドデカノール、1.1-ジメチルペンタデカノール、2-ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、15-メチルヘプタデカノール、4-メチルオクタデカノール、9,13-ジメチルヘプタデカノール、2-オクチルドデカノール、2,4,4,6,6,8,8,10,10-ノナメチルウンデカノール、18-メチルイコサノール、2-メチルヘニコサノールが例示される。これらの中でも、6-メチル-1-ヘプタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-メチル-1-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、7-メチル-1-オクタノール、2-ノナノール、3-ノナノール、2-メチル-1-オクタノール、3-メチル-1-オクタノール、4-メチル-1-オクタノール、5-メチル-1-オクタノール、6-メチル-1-オクタノール、2-エチル-1-ヘプタノール、2,4-ジメチル-1-ヘプタノール、2,5-ジメチル-1-ヘプタノール、4,6-ジメチル-1-ヘプタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、2,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、2-デカノール、3-デカノール、2-メチル-1-ノナノール、2-エチル-1-オクタノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、2,7-ジメチル-1-オクタノール、2,6-ジメチル-2-オクタノール、2,4-ジメチル-1-オクタノール、3,7-ジメチル-1-オクタノール、3,6-ジメチル-3-オクタノール、4-メチル-2-プロピル-1-ヘキサノール、5-メチル-2-プロピル-1-ヘキサノール、2-(1-メチルエチル)-4-メチル-1-ヘキサノール、2-(1-メチルエチル)-5-メチル-1-ヘキサノール、8-メチル-2-デカノール、2,4,6-トリメチルオクタノール、ジメチルノナノール、10-メチルウンデカノール、2-エチルデカノール、2-メチル-3-tert-ブチルヘプタン-1-オ-ル、2-メチルドデカノール、10-メチル-1-ドデカノール、2,6,10-トリメチルウンデカノール、1,3,5,7-テトラメチルデカノール、5-ブチル-5-デカノール、13-メチルテトラデカノール、3,7-ジメチルトリデカノール、13-メチルペンタデカノール、5-ブチル-5-ドデカノール、1.1-ジメチルペンタデカノール、2-ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、15-メチルヘプタデカノールが好ましく、特に8-メチル-1-ノナノール、2-デカノール、3-デカノール、2-メチル-1-ノナノール、2-エチル-1-オクタノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、2,7-ジメチル-1-オクタノール、2,6-ジメチル-2-オクタノール、2,4-ジメチル-1-オクタノール、3,7-ジメチル-1-オクタノール、3,6-ジメチル-3-オクタノール、4-メチル-2-プロピル-1-ヘキサノール、5-メチル-2-プロピル-1-ヘキサノール、2-(1-メチルエチル)-4-メチル-1-ヘキサノール、2-(1-メチルエチル)-5-メチル-1-ヘキサノール、8-メチル-2-デカノール、2,4,6-トリメチルオクタノール、ジメチルノナノール、10-メチルウンデカノール、2-エチルデカノール、2-メチル-3-tert-ブチルヘプタン-1-オ-ル、2-メチルドデカノール、10-メチル-1-ドデカノール、2,6,10-トリメチルウンデカノール、1,3,5,7-テトラメチルデカノールが好ましい。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせることができる。
【0022】
前記p-アルキルフェノールとしては、具体的には、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ペンチルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ウンデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノールが例示される。これらの中でも、炭素数6〜12のp-アルキルフェノールが好ましく、特にオクチルフェノール、ノニルフェノールが好ましい。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせることができる。
【0023】
上記の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族アルコール又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を有するp-アルキルフェノールは、市販品、試薬や公知の合成方法で調製したもの等が使用できる。
【0024】
上記ポリオキシアルキレン化合物は、市販品、試薬や公知の合成方法で製造したものなどが使用できる。
【0025】
ポリオキシアルキレン化合物の製造方法としては、特に限定がなく従来公知の方法が広く使用できる。例えば、イソデシルアルコール、デカノール、ラウリルアルコール、ノニルフェノール等の脂肪族アルコール又はp-アルキルフェノールに、触媒存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシドを反応させることにより容易に得ることができる。得られたポリオキシアルキレン化合物は、通常、付加モル数の分布がありそのまま用いることもできるが、精密蒸留等の分離操作により、所望の付加モル数に分離して使用することもできる。
【0026】
一般式(1)に記載のnは、脂肪族アルコール又はp-アルキルフェノールに付加反応させたエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの平均付加モル数を表す。具体的には、nは好ましくは3〜100の範囲であり、より好ましくは4〜80の範囲であり、特に好ましくは5〜60の範囲が推奨される。
【0027】
ポリオキシアルキレン化合物のHLBは、グリフィン法によって算出されたものである。HLBとして、好ましくは10〜18の範囲、より好ましくは11〜17の範囲、特に好ましくは12〜15の範囲が推奨される。
【0028】
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、α-オレフィンスルホン酸及びその塩、アルカンスルホン酸及びその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アルキルサルフェート、アルキルジフェニルジスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸及びその塩などのスルホン酸誘導体等が例示される。
【0029】
本発明の酸性還元性洗浄剤組成物の形態は、液状、高粘度状又はゲル状でも目的に応じて適宜選択することができるが、通常液状の形態で使用される。
【0030】
本発明の酸性還元性洗浄剤組成物の使用方法としては、金属の酸化皮膜や錆などを除去する目的でこれまでに使用してきた方法を適宜選択して採用することができる。
手順として、まずはシュウ酸濃度を決定する必要がある。金属の酸化皮膜や錆の状態が酷い場合、比較的シュウ酸濃度の高い態様で使用することが推奨され、また金属の酸化皮膜や錆の状態に応じて適宜水で希釈して使用することができる。より具体的に例示すれば、金属の酸化皮膜や錆の状態が酷くない被洗浄物に対してシュウ酸濃度10%の酸性還元性洗浄剤組成物を使用する場合、機械洗浄のときには50〜100倍程度に希釈して使用することが推奨され、また手洗い洗浄のときには2〜20倍程度に希釈して使用することが推奨される。本発明の酸性還元性洗浄剤組成物の使用にあたっては、材質に与える影響を考慮して、希釈倍率、洗浄温度、洗浄時間、洗浄の仕方などの使用条件を適宜選択して使用することが望ましい。
洗浄操作としては、通常の洗浄剤の使用の仕方と同様に、希釈した又は原液の酸性還元性洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布又は噴霧し、布若しくはスポンジを用いた手拭き、ブラシを用いたブラッシング、機械装置を用いた機械洗浄などの仕方が例示される。また汚染が非常に酷い場合は、被洗浄物を酸性還元性洗浄剤組成物に浸漬し、またはゲル状の酸性還元性洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布しておき、汚染の程度にもよるが、10分〜数時間程度放置した後、布若しくはスポンジを用いた手拭きやブラッシングなどにより洗浄する仕方なども例示される。そして洗浄操作は、被洗浄物を洗浄した後、被洗浄物を水により濯ぐことにより完了する。濯ぎに使用される水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水、地下水などが適宜選択し使用できる。なお水道水及び地下水は好ましくは硬度200ppm以下、より好ましくは50ppm以下が推奨される。
【0031】
本発明の酸性還元性洗浄剤組成物には、本発明の効果を奏する範囲で、耐硬水性成分、キレート剤、pH調整剤、香料、消臭剤、除菌剤、防腐剤、粘度調整剤、溶剤、ビルダー、消泡剤、シュウ酸以外の還元成分(除錆成分)、酸化防止剤などの各種添加剤を、所望の目的に応じて適宜配合量を調整して、配合することができる。
【0032】
耐硬水性成分としては、例えば、スルファミン酸及びその塩、メタンスルホン酸及びその塩、イセチオン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、α-オレフィンスルホン酸及びその塩、アルカンスルホン酸及びその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アルキルサルフェート、アルキルジフェニルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等のスルホン酸誘導体、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、ポリスチレンスルホン酸及びその塩、アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸共重合物及びその塩等ポリマ-誘導体などが例示される。
耐硬水性成分の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%が推奨される。
【0033】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラアミノ六酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、L-アスパラギン酸−N,N−二酢酸、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、グルコン酸塩、3-ヒドロキシ-2,2−イミノジコハク酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ホスホンブタントリカルボン酸、およびそれらの酸の一部或いは全てがアルカリ金属、アンモニウム等の塩などが例示される。
キレート剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。
【0034】
pH調整剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン等のアルカノールアミン類、2-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパンノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオ-ル等のアミノアルコール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類などが例示される。
pH調整剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%が推奨される。
【0035】
香料としては、天然香料、合成香料、食品香料などが例示される。天然香料としては、アカシア油、アニスシード油、アビエス油、アプシンス油、アルモンドビッター油、アンゲリカ油、アンブレットシード油、イノンド油、イランイラン油、イリス油、ういきょう油、ウィンターグリーン、ウォームウッド油、エストラゴン油、エレミ油、オークモス油、オコチア油、オニオン油、オポパナックス油、オランダセリ油、オリス油、オリバナム油、オレンジ油、カシア油(桂油、桂皮油)、カシー油、カナンガ油、カミツレ油、カモミル油、ガヤックウッド油、カヤプテ油、カラシ油、カラムス油、ガーリック油、カルダモン油、ガルバナム油、黄ずいせん油、キャラウエー油、苦へんとう油、クミン油、クラリーセージ油、グレープフルーツ油、クローブ油、ローレル葉油、コエンドロ油、コスタス油、コランダー油、サンダルウッド油、シダーウッド油、シトロネラ油、ジャスミン油、ショウガ油、しょうぶ根油、ジル油、ジンジャー油、ジンジャークラス油、シンナモン油、すいせん油、スターアニス油、スパイク油、スペアミントオイル、セージ油、ゼラニウム油、タイム油、タンジェリン油、チュベローズ油、テレビン油、ナーシサス油、ナツメグ油、ニオガヨモギ油、にくずく油、ネロリ油、パイン油、パセリ油、バジル油、バーチ油、パチュリ油、ハッカ油、バラ油、パルマローザ油、白檀油、ヒヤシンス油、ベイ油、ベイ葉油、ベチバー油、ペニーロイヤル油、ヘノポジ油、ペパーミント油、ベリラ油、芳油、芳しょう葉油、ホップ油、ポライ油、ミモザ油、ミルテ油、ミルトル油、ミル油、ミント油、メース油、ユーカリ油、ライム油、ラバンジン油、ラベンダー油、リセアキュベバ油、リナロエ油、レモングラス油、レモン油、ローズウッド油、ローズマリー油、ローズ油、ロベージ油等が挙げられる。合成香料としては、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、d-リモネン、ジペンテン、テルピノーレン、アロオシメン、オシメン、p-サイメン、β-カリオフィレン、青葉アルコール、3-オクテノール、9-デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトネロール、l-シトロネロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、アロシメロール、ミルセノール、α-ピネオール、抱水テルピン、l-メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、ボルニルメトキシシクロヘキサノール、メロリドール、ファルネソール、サンタロール、イソ・イ・スーパー、サンダロール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β-フェニルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、α-アミルシンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、β-フェニルエチルジメチルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、β-フェニルエチルメチルエチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、フェニルグリコール、tert-ブチルシクロヘキサノール、アニソール、p-アセチルアニソール、ジフェニルオキサイド、ジメチルハイドロキノン、p-クレゾールメチルエーテル、アネトール、ジヒドロアネトール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール、ベンジルイソオイゲノール、サフロール、イソサフロール、β-ナフトールメチルエーテル、β-ナフトールエチルエーテル、バニトロープ、n-ヘプチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、n−ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、ドデシルアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、n−トリデシルアルデヒド、n-テトラデシルアルデヒド、n-ヘキサデシルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラ−ル、ペリラアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、サイクラメンアルデヒド、p-tert-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロトロパアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、γ-ウンデカラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ-ノニルラクトン、p-メチル-β-フェニルグリシド酸エチル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、リラール、マイラックアルデヒド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、メチル-n-アミルケトン、エチル-n-アミルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、メチル-n-ノニルケトン、メチルヘプテン、ジアセチル、l-カルボン、d-カルボン、メントン、d-プレゴン、ピペリトン、しょう脳、メチルセドリン、アセトフェノン、p-メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジリデンアセトン、メチルナフチルケトン、ヨノン、ダマスコン、ダマセノン、メチルヨノン、イロン、マルトール、エチルマルトール、ヒドキシフラン、ネロン、ヒドロキシフェニルブタノン、アニシルアセトン、ジャスモン、ヒドロジャスモン、ヌートカトン、ムスコン、ジベトン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、12-オキサヘキサデカノリド、11-オキサヘキサデカノリド、10-オキサヘキサデカノリド、ムスクキシロール、ムスク・ケトン、ムスク・アンブレット、ムスク・チベテン、モスケン、ファントリド、セレストリド、トラセオライド、ベルサリド、トナリド、ガラクソリド、ローズオキサイド、オキサイドケトン、3,3,6-トリメチル-6-ビニルテトラヒドロピラン、ジヒドロメチルペンテニルピラン、リナロールオキサイド、シネオール、ビシクロジヒドロホモファルネシルオキサイド、フェニルエチルイソアミルエーテル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニル、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸メンチル、酢酸ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸メチルフェニルカルビニル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、酢酸イソオイゲノール、酢酸ミルセニル、酢酸第3級ブチルシクロヘキシル酢酸ジヒドロテルピニル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸シンナミル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、酪酸ゲラニル、酪酸リナリル、イソ酪酸リナリル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸シトロネリル、イソ酪酸ベンジル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸ゲラニル、イソ吉草酸ベンジル、イソ吉草酸シンナミル、ヘプチンカルボン酸メチル、ヘプチンカルボン酸イソアミル、ヘプチンカルボン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、オクチンカルボン酸メチル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、β−メチルメルカプトプロピオン酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンナミル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸アリル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、メチルアンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジャスモン酸メチル、合成オークモス、安息香酸、桂皮酸、フェニル酢酸、ヒドロ桂皮酸、クマリン、インドール、スカトール、2-メチルテトラヒドロキノリン、6-メチルキノリン、6-メチルテトラヒドロキノリン、7−メチルキノリン、イソブチルキノリン、6-イソプロピルキノリン、テトラメチルピラジン、アセチルピロール、ゲラニルトリル、ブロムスチール、酢酸トリクロルメチルフェニルカルビニル、フルフリルメルカプタン等が挙げられる。
香料の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%が推奨される。
【0036】
消臭剤としては、植物精油、植物抽出液、二酸化塩素などの化学物質などが例示され、より具体的には、ローズ油、スズラン油、キンモクセイ油、ジャスミン油、レモン油、クチナシ油、ミント油、バイオレット油等の芳香剤、シンナミックアルデヒド、バニリン、ヘリオトロピン、クマリン、カルボン、カナファー、ボネオール等のマスキング剤、テレピン油、丁子油、桂皮油、シダー油、オレンジ油、レモン油、橙皮油等の中和型消臭剤などが挙げられる。
消臭剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%が推奨される。
【0037】
除菌剤としては、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、活性セッケンなどが挙げられる。
除菌剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%が推奨される。
【0038】
防腐剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ソーダ、ソルビン酸、ホウ酸、クロルキシレノール、レゾルシン、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、チモール、ヒノキチール、チオキソロン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール等が例示される。
防腐剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.005〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%が推奨される。
【0039】
粘度調整剤としては、ポリオキシエチレン(平均付加モル数:60)セトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、ポリオキシエチレン(60)セチルステアリルジエーテル等のポリエーテル型増粘剤、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(150)、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(150)ペンタエリスリット、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(160)ソルビタン、ポリオキシエチレン(120)ジオイレン酸メチルグルコシド等のポリエーテルエステル型増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム等の水溶性高分子型増粘剤、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機塩型増粘剤などが例示される。
粘度調整剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%が推奨される。
【0040】
溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、炭化水素系溶剤、アンモニア水、グリコール類、グリコールエーテル類などが例示される。アルコール系溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム系溶剤、γ-ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、グルセリン、キシリトール、ソルビトール等の低分子多価アルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグルコール系溶剤などが例示される。
溶剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは1〜15重量%が推奨される。
【0041】
ビルダーとして、有機ビルダーや無機ビルダーなどが挙げられる。有機ビルダーとしては上記pH調整剤で例示したアルカノールアミン類などが例示される。また無機ビルダーとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などが例示される。
ビルダー配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5〜7重量%が推奨される。
【0042】
消泡剤としては、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルジョン型、自己乳化型等のシリコーン系消泡剤、界面活性剤、ポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤などが例示される。
消泡剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.001〜0.5重量%、より好ましくは0.003〜0.1重量%が推奨される。
【0043】
シュウ酸以外の還元成分(除錆成分)としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、イセチオン酸、イタコン酸、コハク酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、ブタンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、蟻酸、酢酸、及びそれらの塩等が例示される。
シュウ酸以外の還元成分の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%が推奨される。
【0044】
酸化防止剤としては、例えば、ノルジヒドログアヤレチン酸、グアヤク脂、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、α−トコフェロール(ビタミンE)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩、次亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸カリウムなどの次亜硫酸塩、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナリリウム、アスコルゴン酸カリウムなどのアスコルビン酸塩、チオソルビトール、塩酸システイン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩、没食子酸、没食子酸ナトリウム、ピロガロール、タンニン酸、柿渋、グリオキサール、酒石酸、ヒドロキノン、ロンガリット、サリチル酸、グルコン酸、ピロカテコール、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、コハク酸、スルホサリチル酸、トリグリコール酸などが例示される。
酸化防止剤の配合量は、酸性還元性洗浄剤組成物中の組成比として、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%である。
【0045】
本発明の酸性還元性洗浄剤組成物は、寒期においても低温安定性が良好であり、除錆性が高い。このような特性を有するので、ステンレス外装材、ステンレス製の流し台、鉄道車両の外板(ステンレス車両、アルミニウム車両等)などの塗装面又は金属面の錆又は付着した錆を除去するのに好適に用いることができる。特に、迅速に錆を除去する必要がある、鉄道車両の外板等の塗装面または金属面の錆又は付着した錆を除去するための除錆洗浄剤として好適である。
【0046】
本発明のシュウ酸の水に対する可溶性を高める方法は、ポリビニルアルコールをシュウ酸と併存せしめることにより容易に達成することができる。このとき、ポリビニルアルコールの使用量は、シュウ酸1重量部に対して、ポリビニルアルコールは好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部が推奨される。この推奨範囲おいて、本発明の効果がより安定的に発揮される。
この方法により、同一温度でのシュウ酸の水への可溶化量を多くすることができる。また見方を変えると、この方法により低温での保存安定性を高めることができる。
なお非特許文献1によれば、シュウ酸の水への溶解度(g/100g)は、3.5(0℃)、9.5(20℃)、21.5(40℃)、61.1(60℃)と記載されている。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、各例における物理特性及び化学特性は以下の方法により評価した。
【0048】
[低温安定性(可溶性)]
評価用サンプルを0℃及び−5℃で30日間保管して低温安定性(可溶性)を評価した。
評価方法は、評価用サンプルの外観を目視で観察し、沈殿物(シュウ酸)の析出の有無で判断した。沈殿物が無いとき、その貯蔵温度におけるシュウ酸の水への可溶性があることを示し、又比較例と比較して沈殿物の差異がある場合には可溶性が高まったと評価される。このような評価のとき、低温安定性が向上したことを意味する。
【0049】
[除錆性]
材質および試薬
テストピース:ステンレスSUS-304 6×8cm
鉄粉(ナカライテスク(株)製)
塩化ナトリウム(ナカライテスク(株)製)
ノニオン系界面活性剤:ポリオキシエチレン(平均付加モル数:8)ポリオキシプロピレン(平均付加モル数:4) ポリオキシエチレン(平均付加モル数:4)オレイルエーテル(商品名;リカノンEP−200,新日本理化(株)製)
キムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)
テストピース作成方法
テストピースをアルカリ性洗剤により十分洗浄処理し、アセトン洗浄後、乾燥し、小数点第4桁まで秤量(A)した。次に、テストピースを食塩(5重量%)とノニオン系界面活性剤(1重量%)含有の水溶液で濡らしたキムワイプで空気が入らないように覆い、0.3〜0.4gの鉄粉(100メッシュ)をふりかけ、ミクロスパチュラを用いてできる限り均一にならし、食塩(5重量%)とノニオン系界面活性剤(1重量%)含有の水溶液をスプレーし、再度均一化を行った。その後、室温下、72時間放置し発錆させた。発錆したテストピースよりキムワイプを取り除き、水洗し、24時間風乾して、小数点第4桁まで秤量(B)した。
試験液の調製方法
評価用サンプルを−5℃で30日間保管後、シュウ酸が析出しているサンプルについては、ろ過を行い、そのろ液を試験液とした。シュウ酸が析出していない評価用サンプルについては、そのまま試験液とした。
試験方法
試験液を水道水で50倍希釈し、その希釈した試験液にテストピースを25℃で40分間浸漬後、1分間流水により水洗、12時間風乾し、小数点第4桁まで秤量(C)した。本試験を2回行い、それぞれ下記式から除錆率を算出し、それらの値の平均値を酸性還元性洗浄剤組成物の除錆率とした。
除錆率(%)={(B)−(C)}×100/{(B)−(A)}
【0050】
[実施例1〜6,比較例1〜2]
表1に記載の所定量(g)のシュウ酸・二水和物及びポリビニルアルコールに残部としてイオン交換水を加えて合計100gとして評価用サンプル(本発明の酸性還元性組成物又は本発明外の組成物)を調製した。その評価用サンプルはシュウ酸を溶解させて均一透明の状態としてから、貯蔵温度0℃及び−5℃で30日間保管した。その評価結果を表1に示した。
【0051】
[実施例7〜11,比較例3〜7]
表2に記載の組成比(重量部)の本発明の酸性還元性洗浄剤組成物及び本発明外の洗浄剤組成物を調製した。それらの組成物のpH、低温安定性及び除錆率の評価結果を表2に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
<化合物の略称等>
シュウ酸
シュウ酸・二水和物:三菱ガス化学(株)製,純度99.5%
ポリビニルアルコール
PVA-1:ゴーセノールNH-18(日本合成化学工業(株)製,完全鹸化型,粘度25〜30mPa・s)
PVA-2:ゴーセノールNH-11(日本合成化学工業(株)製,完全鹸化型,粘度13〜15mPa・s)
界面活性剤
ドデシルベンゼンスルホン酸:ネオペレックス GS(商品名,花王(株)製)
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム:エレミノール MON-2(商品名,三洋化成工業(株)製)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A):ポリオキシエチレン(平均付加モル数:10)デシルエーテル(商品名;ファインサーフ D-1310,HLB:14.7,青木油脂工業(株)製)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B):ポリオキシエチレン(平均付加モル数:7)デシルエーテル(商品名;ファインサーフ D-1307,HLB:13.2,青木油脂工業(株)製)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C):ポリオキシエチレン(平均付加モル数:8.5)イソデシルエーテル(商品名;ファインサーフ D-85,HLB14.0,青木油脂工業(株)製)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(D):ポリオキシエチレン(平均付加モル数:5)ヘキシルエーテル(商品名;Emulan HE50,BASF社製)
溶剤
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名;ブチルジグリコール,日本乳化剤(株)製)
グリセリン:濃グリセリンS(商品名,新日本理化(株)製)
ソルビトール:ソルビトールSP(商品名,物産フードサイエンス(株)製)
シュウ酸以外の還元成分
リンゴ酸:DL−リンゴ酸(扶桑化学工業(株)製)
グリコール酸(デュポン(株)製)
防腐剤:フェノキシエタノール(三洋化成工業(株)製)
耐硬水性成分:スルファミン酸(扶桑化学工業(株)製)
pH調整剤:ジエタノールアミン(シェルケミカルズジャパン(株)製)
粘度調整剤:キサンタンガム(商品名;ケルザンASXT,三昌(株)製)
消泡剤:シリコーン・エマルジョン(商品名;DK Q1-1247,東レ・ダウコーニング(株)製)
香料:d−リモネン(日本テルペン化学(株)製)
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の酸性還元性組成物及び酸性還元性洗浄剤組成物は、低温安定性に優れ、除錆性も高く、ステンレス、アルミニウム等を外装材とする鉄道車両等の車両に対して好適に使用することができる。