(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定手段は、前記重み付けされた光の強さを示す情報と予め定められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、前記ユーザの睡眠障害の危険性を判定する請求項1に記載の情報処理装置。
前記重み算出手段は、前記記憶手段に記憶されている睡眠情報に基づいて、前記ユーザの入眠時間帯のずれ、起床時間帯のずれ、及び睡眠の乱れの回数を算出し、前記ずれの時間又は前記乱れの回数が予め定められた基準より大きい場合に、睡眠リズムに応じた重みを大きくする請求項1〜5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0013】
<睡眠障害判定システム100の構成>
図1は、本実施形態の睡眠障害判定システム100の全体構成例を示す図である。
睡眠障害判定システム100は、ユーザ(
図1においてUで示す)の網膜に入射する光の強さを示す情報に基づいて、ユーザの睡眠障害の危険性を判定し、判定結果及び睡眠障害の抑制に向けたアドバイス情報を提供するシステムである。睡眠障害判定システム100は、
図1に示すように、眼鏡型デバイス1と、リスト端末2と、携帯端末3と、サーバ装置4と、を備えて構成されている。眼鏡型デバイス1及びリスト端末2は、それぞれ携帯端末3と無線により通信接続可能である。また、携帯端末3とサーバ装置4は、通信ネットワークNを介して通信接続可能である。通信ネットワークNは、例えば、インターネット回線であり、各装置がインターネット回線に接続するための無線LAN(Local Area Network)や移動体通信網等の回線網を含む。なお、眼鏡型デバイス1、リスト端末2、携帯端末3の台数は、1:1:1で対応していれば特に限定されない。
【0014】
<眼鏡型デバイス1の構成>
眼鏡型デバイス1は、ユーザに装着される眼鏡型のデバイスであり、ユーザの網膜に入射する光の強さを光の波長帯別に測定し、携帯端末3に送信する眼鏡型の光センサ装置である。
【0015】
図2は、眼鏡型デバイス1の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、眼鏡型デバイス1は、制御部10、光センサ11、計時部12、記憶部13、通信部14等を備えて構成され、各部はバス15により接続されている。
【0016】
制御部10は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備えて構成される。制御部10のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出し、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムに従って、後述する光測定処理を始めとする各種処理を実行する。
【0017】
光センサ11は、眼鏡のレンズに相当する部分に設けられ、眼鏡型デバイス1を装着したユーザの網膜に入射する光の強さ(cd)を測定し、測定結果を制御部10に出力する。光センサ11は、光フィルタを備えており、短波長(約420〜約495nm)、中波長(約495〜約590nm)、長波長(約590〜695nm)の波長帯別に光の強さを測定する。
【0018】
計時部12は、RTC(Real Time Clock)等により構成され、現在日時を計測して制御部10に出力する。
【0019】
記憶部13は、不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部13は、光センサ11における測定結果を記憶するための光情報記憶部130を有する。
【0020】
通信部14は、無線通信モジュール等により構成され、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等の所定の無線通信回線を介して携帯端末3等の外部装置と接続し、データ送受信を行う。
【0021】
<リスト端末2の構成>
リスト端末2は、ユーザの腕等に装着され、加速度及びユーザの心拍数を測定し、測定結果に基づきユーザが睡眠しているか否かを示す睡眠情報を生成し、生成した睡眠情報を携帯端末3に送信する装置である。
【0022】
図3は、リスト端末2の機能構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、リスト端末2は、制御部20、加速度センサ21、心拍計22、計時部23、記憶部24、通信部25等を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
【0023】
制御部20は、図示は省略するが、CPU、RAM、ROMを備えて構成される。制御部20のCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出し、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムに従って、後述する睡眠情報生成処理を始めとする各種処理を実行する。
【0024】
加速度センサ21は、3軸の加速度センサであり、加速度を検出し制御部20に出力する。
心拍計22は、ユーザの1分間当たりの心拍数を測定し、測定結果を制御部20に出力する。
【0025】
計時部23は、RTC等により構成され、現在日時を計測して制御部20に出力する。
【0026】
記憶部24は、不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部24は、睡眠情報を記憶するための睡眠情報記憶部240を有する。
【0027】
通信部25は、無線通信モジュール等により構成され、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の所定の無線通信回線を介して携帯端末3等の外部装置と接続し、データ送受信を行う。
【0028】
<携帯端末3の構成>
携帯端末3は、眼鏡型デバイス1から測定結果のデータを取得し、所定の重み付けを行った上でサーバ装置4に送信するとともに、リスト端末2から睡眠情報を取得し、取得した睡眠情報をサーバ装置4に送信する情報処理装置である。また、サーバ装置4から受信した睡眠障害の危険性の判定結果や判定結果に応じたアドバイス情報を表示する。携帯端末3としては、スマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Data Assistants)、携帯用PC(Personal Computer)等が適用可能である。
【0029】
図4に、携帯端末3の構成例を示す。
図4に示すように、携帯端末3は、制御部30、操作部31、表示部32、計時部33、記憶部34、通信部35等を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0030】
制御部30は、CPU、RAM、ROMを備えて構成される。制御部30のCPUは、ROMや記憶部34に記憶されているプログラムを読み出し、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムに従って、後述する重み付け処理を始めとする各種処理を実行する。制御部30は、重み付け処理を実行することにより、重み付け手段として機能する。また、制御部30は、通信部35との協働により光情報取得手段、睡眠情報取得手段、光情報送信手段として機能する。
【0031】
操作部31は、表示部32の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネル等を有し、手指やタッチペン等で押下された位置を検出し、その位置情報を操作情報として制御部30に出力する。
【0032】
表示部32は、LCD等により構成され、制御部30からの表示制御信号に従って、各種表示を行う。表示部32は、出力手段として機能する。
【0033】
計時部33は、RTC等により構成され、現在日時を計測して制御部30に出力する。
【0034】
記憶部34は、不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部34には、制御部30で実行される各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0035】
通信部35は、無線通信モジュール等により構成され、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の所定の無線通信回線を介して眼鏡型デバイス1やリスト端末2等の外部装置と接続し、データ送受信を行う。また、通信部35は、無線LAN等を介して通信ネットワークNに接続し、サーバ装置4と通信接続し、データ送受信を行う。
なお、携帯端末3は、その他、移動体通信網による通話機能等を備えていてもよい。
【0036】
<サーバ装置4の構成>
サーバ装置4は、ユーザの睡眠障害の危険性を判定するための情報処理装置である。具体的には、携帯端末3から送信されたデータ(光の強さを示す情報、睡眠情報)を受信して保存するとともに、保存したデータに基づいて睡眠障害の危険性を判定し、判定結果及び判定結果に応じたアドバイス情報を携帯端末3に送信する。
【0037】
図5は、サーバ装置4の機能構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、サーバ装置4は、制御部40、操作部41、表示部42、計時部43、記憶部44、通信部45等を備えて構成され、各部はバス46により接続されている。
【0038】
制御部40は、図示は省略するが、CPU、RAM、ROMを備えて構成される。制御部40のCPUは、ROMや記憶部43に記憶されているプログラムを読み出し、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムに従って、後述する判定処理、学習処理を実行する。制御部40は、後述する判定処理を実行することにより、判定手段として機能するとともに、通信部45と協働して判定結果送信手段として機能する。また、サーバ装置4は、学習処理を実行することにより、重み算出手段として機能する。
【0039】
操作部41は、カーソルキー等の各種機能キー、文字キー、テンキー等を有するキーボードを備え、ユーザによる各キーの押下入力を受け付けてその操作情報を制御部40に出力する。また、操作部41は、表示部42の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネル等を有し、手指やタッチペン等で押下された位置を検出し、その位置情報を操作情報として制御部40に出力する構成としてもよい。
【0040】
表示部42は、LCD等により構成され、制御部40からの表示制御信号に従って、各種表示を行う。
計時部43は、RTC等により構成され、現在日時を計測して制御部40に出力する。
【0041】
記憶部44は、磁気記録媒体を有するHDD(Hard Disk Drive)、不揮発性の半導体
メモリ等により構成される。記憶部44には、制御部40で実行されるシステムプログラムや各種処理プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されている。制御部40は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0042】
また、記憶部44には、ユーザ情報データベース440、受信データベース441、重みγ記憶部442、閾値T記憶部443、判定テーブル444等が設けられている。
ユーザ情報データベース440は、携帯端末3のユーザのユーザ情報を格納するためのデータベースである。例えば、ユーザ情報データベース440は、「ユーザ名」、「ユーザID」、「パスワード」の各フィールドを有する。これらのユーザ情報データベース440における登録内容は、例えば、携帯端末3からサーバ装置4にアクセスして登録することができる。
【0043】
受信データベース441は、携帯端末3から受信したデータを格納するためのデータベースである。例えば、受信データベース441は、「ユーザID」、「時刻」、「睡眠情報」、「光情報」の各フィールドを有する。「ユーザID」フィールドは、送信元の携帯端末3のユーザのユーザIDを格納する。「時刻」フィールドは、リスト端末2で睡眠情報生成のための測定(加速度及び心拍数)が行われた時刻を格納する。「睡眠情報」フィールドは、「時刻」フィールドの時刻にユーザが睡眠していたか否かを示す情報を格納する。「光情報」フィールドは、重み付けされた光の強さを示す情報(後述するyの値)を格納する。
【0044】
重みγ記憶部442は、ユーザIDに対応付けて、そのユーザの睡眠情報に基づいて算出された重みγを記憶する。閾値T記憶部443は、ユーザIDに対応付けて、そのユーザの睡眠情報に基づいて算出され閾値Tを記憶する。
【0045】
判定テーブル444は、後述する判定処理における判定基準を格納したテーブルである。判定テーブル444は、
図6に示すように、「y/T」、「判定」、「アドバイス」の各フィールドを有する。「y/T」フィールドは、後述する判定処理で算出されるy/Tの範囲を格納する。「判定」フィールドは、「y/T」フィールドの範囲に該当する場合のユーザの睡眠障害の危険性の判定結果を格納する。「アドバイス」フィールドは、「判定」フィールドの判定結果に対応するアドバイス情報を格納する。
【0046】
通信部45は、モデム、ルータ、ネットワークカード等により構成され、通信ネットワークNを介して携帯端末3等の外部装置と通信接続し、データ送受信を行う。
【0047】
<睡眠障害判定システムの動作>
次に、本実施形態における睡眠障害判定システム100の動作について説明する。
【0048】
(眼鏡型デバイス1の動作)
まず、眼鏡型デバイス1の動作について説明する。
図7に、眼鏡型デバイス1により実行される光測定処理のフローチャートを示す。光測定処理は、眼鏡型デバイス1の図示しない電源がONの間、制御部10のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0049】
まず、制御部10は、計時部12からの時刻に基づいて、データ取得時刻であるか否かを判断する(ステップS1)。ここで、眼鏡型デバイス1は、予め定められた時刻(例えば、10分ごと)にデータ取得時刻が到来するようになっている。本実施形態において、データ取得時刻はリスト端末2のデータ取得時刻と同じとする。
【0050】
データ取得時刻であると判断した場合(ステップS1;YES)、制御部10は、光センサ11から短波長、中波長、長波長のそれぞれの光の強さの測定結果データx1、x2、x3を取得する(ステップS2)。なお、短波長、中波長、長波長のそれぞれについて、データ取得時刻から予め定められた期間、所定時間間隔毎に光センサ11からの光の強さを取得し、その平均値を測定結果データとしてもよい。
【0051】
次いで、制御部10は、測定結果のデータをデータ取得時刻と対応付けて記憶部13の光情報記憶部130に保存する(ステップS3)。
【0052】
次いで、制御部10は、計時部12からの時刻に基づいて、データ送信時刻であるか否かを判断する(ステップS4)。ここで、眼鏡型デバイス1は、予め定められた時刻(例えば、0時から2時間おき)にデータ送信時刻が到来するように設定されている。本実施形態において、データ送信時刻はリスト端末2のデータ送信時刻と同じとする。
データ送信時刻ではないと判断した場合(ステップS4;NO)、制御部10は、ステップS1の処理に戻る。
【0053】
データ送信時刻であると判断した場合(ステップS4;YES)、制御部10は、光情報記憶部130に書き込まれているデータを通信部14により携帯端末3に送信し(ステップS5)、記憶部13の光情報記憶部130を初期化し(ステップS6)、ステップS1の処理に移行する。
電源がOFFとなるまで制御部10はステップS1〜S6の処理を繰り返し実行する。
【0054】
(リスト端末2の動作)
次に、リスト端末2の動作について説明する。
図8に、リスト端末2により実行される睡眠情報生成処理のフローチャートを示す。睡眠情報生成処理は、リスト端末2の電源がONの間、制御部20のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0055】
まず、制御部20は計時部23からの時刻に基づいて、データ取得時刻であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0056】
データ取得時刻であると判断した場合(ステップS11;YES)、制御部20は、加速度センサ21から加速度の測定結果データを取得するとともに、心拍計22に1分間当たりの心拍数の計測を行わせ、測定結果データを取得する(ステップS12)。なお、データ取得時刻から予め定められた期間、所定時間間隔毎に加速度センサ21からの加速度の測定結果データを取得し、その平均値を測定結果データとしてもよい。心拍数についても複数データの平均をとるようにしてもよい。
【0057】
次いで、制御部20は、加速度センサ21から取得した測定結果データ及び心拍計22から取得した測定結果データに基づいて、ユーザが睡眠しているか否かの判別(睡眠・覚醒の判別)を行う(ステップS13)。加速度及び心拍数は、起きている(睡眠していない)ときの方が睡眠しているときよりも大きい。そこで、例えば、取得した加速度と心拍数をそれぞれ予め定められた閾値と比較し、何れかが閾値より大きい場合は、起きている(睡眠してない)と判別する。両方とも閾値より小さい場合は、睡眠していると判別する。
【0058】
次いで、制御部20は、計時部23から現在時刻を取得し、睡眠しているか否かを示す情報と判別した時刻とを対応付けて睡眠情報として記憶部24の睡眠情報記憶部240に保存する(ステップS14)。
【0059】
次いで、制御部20は、計時部23からの時刻に基づいて、データ送信時刻であるか否かを判断する(ステップS15)。データ送信時刻ではないと判断した場合(ステップS15;NO)、制御部20は、ステップS11の処理に戻る。
【0060】
データ送信時刻であると判断した場合(ステップS15;YES)、制御部20は、睡眠情報記憶部240に書き込まれているデータを通信部25により携帯端末3に送信し(ステップS16)、睡眠情報記憶部240を初期化し(ステップS17)、ステップS11の処理に戻る。
電源がOFFとなるまで制御部20はステップS11〜S17の処理を繰り返し実行する。
【0061】
(携帯端末3の動作)
次に、携帯端末3の動作について説明する。
図9に、携帯端末3において実行される重み付け処理のフローチャートを示す。重み付け処理は、予め定められた時刻(例えば、眼鏡型デバイス1とリスト端末2のデータ送信時刻)が到来した際に、制御部30のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0062】
まず、制御部30は、通信部35により、眼鏡型デバイス1からの各波長帯の光の強さを示す情報x1、x2、x3を受信するとともに、リスト端末2からの睡眠情報を受信する(ステップS21)。
【0063】
次いで、制御部30は、通信部35を介してサーバ装置4から睡眠リズムによる重みγを取得する(ステップS22)。
【0064】
次いで、制御部30は、受信した短波長の光の強さx1の平均値、中波長の光の強さx2の平均値、長波長の光の強さx3の平均値をそれぞれ算出し、平均値をそれぞれx1、x2、x3とする(ステップS23)。
【0065】
次いで、制御部30は、受信した光の強さを示す情報の測定時間帯が日中であるか又は深夜帯であるかを判別する(ステップS24)。ここでは、朝4時〜夜22時までを日中、夜22時〜朝4時までを深夜帯として判別する。測定時間帯が日中であると判別した場合(ステップS24;日中)、制御部30は、重みαをα<1(例えば、α=0.8)に設定し(ステップS26)、ステップS27の処理に移行する。測定時間帯が深夜帯であると判別した場合(ステップS24;深夜帯)、制御部30は、重みαをα>1(例えば、α=1.2)に設定し(ステップS25)、ステップS27の処理に移行する。
【0066】
ステップS27において、制御部30は、x1、x2、x3のそれぞれに重みα、β、γを掛け合わせたy1、y2、y3を算出する(ステップS27)。
重みαは、光の強さの測定時間帯による重みであり、測定時間帯が日中か深夜帯かによって異なる。深夜帯の光については睡眠障害への影響が大きいことから、重みαが1より大きくなっている。逆に、日中活動している時間帯の光については睡眠障害への影響が小さいことから、重みαが1より小さくなっている。
重みβは、波長による重みであり、波長帯によって異なる。短波長、中波長、長波長は、この順に光のエネルギーが大きい。また、短波長は、眠りを誘うホルモンであるメラトニンを抑制する働きがあることが知られている。そこで、短波長の重みβ1>中波長の重みβ2>長波長の重みβ3とする。ここでは、β1=1.2、β2=1、β3=0.8とする。
重みγは、睡眠リズムによる重みである。この重みγは、サーバ装置4において後述する学習処理で算出されるものであり、睡眠が規則正しく取れているときの重みがγ<1、睡眠が規則正しくとれていないときの重みがγ>1となっている。睡眠リズムの乱れが大きいほどγの値は大きくなる。
【0067】
なお、時間帯に応じた重みα、睡眠リズムに応じた重みγに基づく重み付けは、よりユーザの状況により即した判定を行うためのものであり、簡易な構成としては、波長帯に応じた重みβのみの重み付けを行うこととしてもよい。また、重みβと重みα、重みβと重みγの組み合わせの重み付けを行うこととしてもよい。
【0068】
次いで、制御部30は、ユーザID、y1、y2、y3を加算したyの値、リスト端末2から受信した睡眠情報を通信部35によりサーバ装置4に送信する(ステップS28)。
【0069】
サーバ装置4においては、携帯端末3からの情報を受信すると、後述する判定処理を実行し、受信した情報に基づいてユーザの睡眠障害の危険性を判定する。そして、判定結果及び判定結果に応じたアドバイス情報を携帯端末3に送信する。アドバイス情報は睡眠障害を抑制するためのアドバイス情報であり、例えば、睡眠障害の危険性の大きいユーザには「夜間にテレビやPCなどの画面を見ることはやめ、早めに寝ましょう」等のアドバイス情報を送信する。睡眠障害の危険性が中程度のユーザには「睡眠を規則正しくとりましょう」等のアドバイス情報を送信する。睡眠障害の危険性のないユーザには「このままの生活リズムを続けましょう」等のアドバイス情報を送信する。
【0070】
通信部35によりサーバ装置4からの判定結果及びアドバイス情報を受信すると(ステップS29)、制御部30は、表示部32に判定結果及びアドバイス情報を表示し(ステップS30)、重み付け処理を終了する。
【0071】
(サーバ装置4の動作)
次に、サーバ装置4の動作について説明する。
図10に、サーバ装置4において実行される判定処理のフローチャートを示す。判定処理は、携帯端末3からyの値や睡眠リズムの情報等のデータを受信した場合に、制御部40のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0072】
まず、制御部40は、携帯端末3から受信したデータからyの値を取得し(ステップS41)、y/Tの値を算出する(ステップS42)。Tの値は、記憶部44の閾値T記憶部443に記憶されている閾値である。なお、受信したユーザIDに対応する1日或いは数日分のyの値を受信データベース441から読み出し、これらのyの値の平均値をyとしてy/Tを算出してもよい。
【0073】
次いで、制御部40は、y/Tの値に基づいて、睡眠障害の危険性を判定する(ステップS43)。具体的に、制御部40は、記憶部44から判定テーブル444を参照し、y/Tの値に基づいて、睡眠障害の危険性を判定する。即ち、制御部40は、重み付けされた光の強さを示す情報yと閾値Tの値を比較し、比較結果(y/T)に基づいて、睡眠障害の危険性を判定する。
【0074】
次いで、制御部40は、判定した危険性に応じたアドバイス情報を判定テーブル444から読み出して、判定結果とともに通信部45によりデータ送信元の携帯端末3に送信する(ステップS44)。アドバイス情報は、上述のように、睡眠障害を抑制するためのアドバイス情報である。なお、危険性がない場合はアドバイス情報はなしとしてもよい。
そして、制御部40は、記憶部44の受信データベース441にレコードを追加し、携帯端末3から受信したデータを格納し(ステップS45)、判定処理を終了する。
【0075】
次に、サーバ装置4において実行される学習処理について説明する。
図11に、サーバ装置4において実行される学習処理のフローチャートを示す。学習処理は、所定時刻が到来した際に、制御部40のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0076】
まず、制御部40は、一人のユーザについて、受信データベース441に蓄積されているデータに基づいて、入眠の平均時間帯のずれが2時間以上であるか2時間未満であるかを判断する(ステップS50)。即ち、一のユーザIDに対応するレコードを受信データベース441から抽出し、抽出したデータに基づいて、入眠の平均時間帯のずれが2時間以上であるか2時間未満であるかを判断する。入眠の平均時間帯のずれとは、予め定められた最適な入眠時間からの入眠の平均時間帯(例えば、直近2〜3日の平均時間帯)のずれをさす。最適な入眠時間は、例えば、ユーザ毎に携帯端末3から設定することとしてもよいし、受信データベース441に基づいて算出した直近nヶ月(nは正の数)の入眠平均時間としてもよい。
【0077】
入眠の平均時間帯のずれが2時間未満であると判断した場合(ステップS50;2時間未満)、制御部40は、重みγ記憶部442から重みγを読み出してγ1=γ×0.8を算出し(ステップS51)、ステップS53に移行する。入眠の平均時間帯のずれが2時間以上であると判断した場合(ステップS50;2時間以上)、制御部40は、重みγ記憶部442から重みγを読み出してγ1=γ×1.2を算出し(ステップS52)、ステップS53の処理に移行する。ここで重みγの初期値は1とする。
【0078】
ステップS53において、制御部40は、同じユーザについて、受信データベース441に蓄積されているデータに基づいて、起床の平均時間帯のずれが2時間以上であるか2時間未満であるかを判断する(ステップS53)。起床の平均時間帯のずれとは、予め定められた最適な起床時間からの起床の平均時間帯(例えば、直近2〜3日の平均時間帯)のずれをさす。最適な起床時間は、例えば、ユーザ毎に携帯端末3から設定することとしてもよいし、受信データベース441に基づいて算出した過去nヶ月(nは正の数)の起床平均時間としてもよい。
【0079】
起床の平均時間帯のずれが2時間未満であると判断した場合(ステップS53;2時間未満)、制御部40は、γ2=γ1×0.8を算出し(ステップS54)、ステップS56に移行する。起床の平均時間帯のずれが2時間以上であると判断した場合(ステップS53;2時間以上)、制御部40は、γ2=γ1×1.2を算出し(ステップS55)、ステップS56の処理に移行する。
【0080】
ステップS56において、制御部40は、同じユーザについて、受信データベース441に蓄積されているデータに基づいて、睡眠の乱れ(途中で起きる、うたた寝)の平均頻度が3回以上であるか3回未満であるかを判断する(ステップS56)。例えば、途中で起きた回数は、過去nヶ月の受信データから算出した平均的な睡眠時間帯において、睡眠と判定された後に睡眠していないと判定された回数の平均(例えば、直近2〜3日の平均)である。うたた寝の回数は、上記の睡眠時間帯以外で予め定められた時間帯(例えば、15時〜21時)に30分以上連続して睡眠と判定された回数の平均(例えば、直近2〜3日の平均)である。なお、上記の、睡眠の乱れのカウントの方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0081】
睡眠の乱れの平均頻度が3回未満であると判断した場合(ステップS56;3回未満)、制御部40は、γ3=γ2×0.8を算出し(ステップS57)、ステップS59に移行する。睡眠の乱れの平均頻度が3回以上であると判断した場合(ステップS56;3回以上)、制御部40は、γ3=γ2×1.2を算出し(ステップS58)、ステップS59の処理に移行する。
【0082】
ステップS59において、制御部40は、重みγ記憶部442に記憶されている睡眠リズムによる重みγをγ3に更新し、閾値T記憶部443に記憶されている閾値TをT÷γ3に更新する(ステップS59)。
【0083】
次いで、制御部40は、全てのユーザについてステップS50〜S59の処理を実行したか否かを判断し、実行していないと判断した場合(ステップS60;NO)、ステップS50の処理に戻り、次のユーザについてステップS50〜S59の処理を実行する。全てのユーザについてステップS50〜S59の処理を実行したと判断した場合(ステップS60;YES)、制御部40は、学習処理を終了する。
【0084】
以上説明したように、睡眠障害判定システム100によれば、携帯端末3の制御部30は、眼鏡型デバイス1において測定されたユーザが受けた光の強さを示す情報を複数の波長帯毎に通信部35を介して取得し、取得された波長帯毎の光の強さを示す情報に対し波長帯に応じた重み付けを行い、通信部35によりサーバ装置4に送信する。サーバ装置4の制御部40は、重み付けされた光の強さを示す情報に基づいてユーザの睡眠障害の危険性を判定し、通信部45により送信元の携帯端末3に送信する。携帯端末3の制御部30は、通信部35によりサーバ装置4からの判定結果を受信すると、判定結果を表示部32に出力する。
従って、睡眠障害の危険性の判断材料をユーザに提供することが可能となる。
【0085】
制御部30は、重み付けされた光の強さを示す情報と予め定められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、ユーザの睡眠障害の危険性を判定する。従って、重み付けされた光の強さを示す情報に基づいて容易にユーザの睡眠障害の危険性を判定することが可能となる。
【0086】
また、制御部30は、短波長側の波長帯に長波長側の波長帯よりも大きい重みを付ける。従って、睡眠に関係するメラトニンを抑制する効果が大きく、かつエネルギーの強い短波長側の波長帯に大きい重みを付けるので、睡眠障害の危険性をより精度よく判定することが可能となる。
【0087】
また、制御部30は、更に、光の強さを示す情報に対し、光の強さを示す情報の測定が行われた時間帯に応じた重み付けを行う。従って、ユーザが光を浴びた時間帯に応じてより精度よく睡眠障害の判定を行うことが可能となる。
【0088】
具体的に、制御部30は、深夜の時間帯に日中の時間帯よりも大きい重みを付ける。従って、睡眠障害への影響が大きい深夜帯の光に大きい重みを付けるので、睡眠障害の危険性をより精度よく判定することが可能となる。
【0089】
また、制御部30は、ユーザが睡眠しているか否かを示す情報と時刻とを対応付けた睡眠情報を通信部35を介してリスト端末2から取得し、サーバ装置4へ送信する。サーバ装置4の制御部40は、携帯端末3から送信された睡眠情報を受信データベース441に蓄積記憶させ、受信データベース441に記憶されている睡眠情報に基づいて、ユーザの睡眠リズムに応じた重みを算出する。携帯端末3の制御部30は、通信部35によりサーバ装置4から睡眠リズムに応じた重みを取得し、更に、光の強さを示す情報に、ユーザの睡眠リズムに応じた重みを用いて重み付けを行う。
従って、ユーザの睡眠リズムに応じてより精度よく睡眠障害の危険性を判定することができる。
【0090】
具体的に、サーバ装置4の制御部40は、受信データベース441に記憶されている睡眠情報に基づいて、ユーザの入眠時間帯のずれ、起床時間帯のずれ、及び睡眠の乱れの回数を算出し、入眠時間帯、起床時間帯のずれ、又は睡眠の乱れの回数が予め定められた基準より大きい場合に、睡眠リズムに応じた重みを大きくする。従って、ユーザの睡眠リズムに応じたより精度のよい判定を行うことが可能となる。
【0091】
また、携帯端末3の表示部32は、判定結果に応じて睡眠障害を抑制するためのアドバイス情報を表示するので、ユーザに睡眠障害を抑制するためのアドバイス情報を提供することが可能となる。
【0092】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明に係る睡眠障害判定システムの好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0093】
例えば、上記実施形態においては、携帯端末3が、光情報取得手段、睡眠情報取得手段、重み付け手段、出力手段を有し、サーバ装置4が判定手段、記憶手段、重み算出手段を備えることとして説明したが、1つの情報処理装置で全部の手段を備える構成としてもよい。この場合、その情報処理装置の記憶部には、情報処理装置のコンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0094】
また、各種重みや閾値の数値、睡眠障害の危険性の判定の基準やアドバイス情報は一例であり、上記実施形態に限定されるものではない。また、出力手段としては、表示部に限定されず、印刷装置等から出力する態様としてもよい。
【0095】
また、上記の各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROMやハードディスク等の他、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを所定の通信回線を介して提供する媒体としては、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【0096】
その他、睡眠障害判定システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0097】
(付記)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
<請求項1>
ユーザが受けた光の強さを示す情報を複数の波長帯毎に取得する光情報取得手段と、
前記光情報取得手段により取得された波長帯毎の光の強さを示す情報に対し、波長帯に応じた重み付けを行う重み付け手段と、
前記重み付けされた光の強さを示す情報に基づいて、前記ユーザの睡眠障害の危険性を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備える情報処理装置。
<請求項2>
前記判定手段は、前記重み付けされた光の強さを示す情報と予め定められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、前記ユーザの睡眠障害の危険性を判定する請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項3>
前記重み付け手段は、短波長側の波長帯に長波長側の波長帯よりも大きい重みを付ける請求項1又は2に記載の情報処理装置。
<請求項4>
前記重み付け手段は、更に、前記光の強さを示す情報の測定が行われた時間帯に応じた重み付けを行う請求項1〜3の何れか一項に記載の情報処理装置。
<請求項5>
前記重み付け手段は、深夜の時間帯に日中の時間帯よりも大きい重みを付ける請求項4に記載の情報処理装置。
<請求項6>
前記ユーザが睡眠しているか否かを示す情報と時刻とを対応付けた睡眠情報を取得する睡眠情報取得手段と、
前記睡眠情報取得手段により取得された前記睡眠情報を蓄積記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている睡眠情報に基づいて、前記ユーザの睡眠リズムに応じた重みを算出する重み算出手段と、
を備え、
前記重み付け手段は、更に、前記重み算出手段により算出された前記ユーザの睡眠リズムに応じた重みを用いて重み付けを行う請求項1〜5の何れか一項に記載の情報処理装置。
<請求項7>
前記重み算出手段は、前記記憶手段に記憶されている睡眠情報に基づいて、前記ユーザの入眠時間帯のずれ、起床時間帯のずれ、及び睡眠の乱れの回数を算出し、前記ずれの時間又は前記乱れの回数が予め定められた基準より大きい場合に、睡眠リズムに応じた重みを大きくする請求項6に記載の情報処理装置。
<請求項8>
前記出力手段は、前記判定結果に応じて睡眠障害を抑制するためのアドバイス情報を出力する請求項1〜7の何れか一項に記載の情報処理装置。
<請求項9>
ユーザが受けた光の強さを複数の波長帯毎に測定する光センサ装置と、端末装置と、サーバ装置と、を備える睡眠障害判定システムであって、
前記端末装置は、
前記光センサ装置から前記ユーザが受けた光の強さを示す情報を複数の波長帯毎に取得する光情報取得手段と、
前記光情報取得手段により取得された波長帯毎の光の強さを示す情報に対し、波長帯に応じた重み付けを行う重み付け手段と、
前記重み付けされた光の強さを示す情報を前記サーバ装置に送信する光情報送信手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記端末装置から送信された前記重み付けされた光の強さを示す情報に基づいて、前記ユーザの睡眠障害の危険性を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を前記端末装置に送信する判定結果送信手段と、
を備える睡眠障害判定システム。
<請求項10>
コンピュータを、
ユーザが受けた光の強さを示す情報を複数の波長帯毎に取得する光情報取得手段、
前記光情報取得手段により取得された波長帯毎の光の強さを示す情報に対し、波長帯に応じた重み付けを行う重み付け手段、
前記重み付けされた光の強さを示す情報に基づいて、前記ユーザの睡眠障害の危険性を判定する判定手段、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
<請求項11>
ユーザが受けた光の強さを示す情報を複数の波長帯毎に取得する工程と、
前記取得された波長帯毎の光の強さを示す情報に対し、波長帯に応じた重み付けを行う工程と、
前記重み付けされた光の強さを示す情報に基づいて、前記ユーザの睡眠障害の危険性を判定する工程と、
前記判定結果を出力する工程と、
を含む睡眠障害判定方法。