特許第6102410号(P6102410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6102410-誘電体磁器組成物、および誘電体素子 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102410
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】誘電体磁器組成物、および誘電体素子
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/462 20060101AFI20170316BHJP
   H01B 3/12 20060101ALI20170316BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20170316BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C04B35/462
   H01B3/12 303
   H01B3/12 313E
   H01B3/12 331
   H01G4/12 358
   H01G4/30 301E
   H01G4/12 415
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-67857(P2013-67857)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189465(P2014-189465A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井村 友哉
(72)【発明者】
【氏名】田内 剛士
(72)【発明者】
【氏名】古川 正仁
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−220280(JP,A)
【文献】 DITTMER,Robert et al.,Lead-free high-temperature dielectrics with wide operational range,Journal of Applied Physics,米国,AIP Publ.;Melville, N.Y.,2011年,Vol.109, pp.034107-1 to 034107-5
【文献】 DITTMER,Robert et al.,A High-Temperature-Capacitor Dielectric Based on K0.5Na0.5NbO3-Modified Bi1/2Na1/2TiO3-Bi1/2K1/2TiO3,Journal of the American Ceramic Society,米国,Wiley;American Ceramic Society;Hoboken, N.J.;Weste,2012年11月,Vol.95, No.11, pp.3519-3524
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の組成を有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
{[(BiNa (BiBa1−dTi1−dNb…(1)
式(1)中、AはLi、Na、Kのいずれかの元素を示す。a、b、c、d、s、t、u、v及びxは、それぞれ、下記式を満たす数である。
0.10≦a<0.95
0.00<b≦0.85
0.05≦c≦0.70
0.99≦a+b+c≦1
0.10≦d≦0.50
0.90≦s+u≦1.00
t=0.50
v=0.50
0.95≦x≦1.05
【請求項2】
請求項1に記載の誘電体磁器組成物を備える誘電体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体磁器組成物およびこれを用いた電子部品に係り、さらに詳しくは、比較的に定格電圧が高い中高圧用途に好適に用いられる誘電体磁器組成物および誘電体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサの小型・大容量化が急速に進むとともに、用途も拡大し、要求される特性は様々である。
【0003】
例えば、ECM(エンジンエレクトリックコンピュータモジュール)、燃料噴射装置、電子制御スロットル、インバータ、コンバータ、HIDヘッドランプユニット、ハイブリッドエンジンのバッテリコントロールユニット、デジタルスチールカメラ等の機器に用いられる定格電圧が100Vを超えるような中高圧用コンデンサには、高い電界強度下において高い静電容量が要求される。
【0004】
しかしながら、従来の誘電体磁器組成物は、例えば1V/μm程度の低電界強度の直流電圧下で使用されることを前提に設計されていたので、用いられる積層セラミックコンデンサの薄層化が進んで、高い電界強度下で使用されると、印加直流電界に対する静電容量の変化率(以下DCバイアス変化率)が大きくなるという問題があった。
【0005】
DCバイアス変化率が大きいと、積層セラミックコンデンサの実効容量が低下してしまい、設計の段階で必要としていた静電容量を満たさなくなるため、それが用いられている電子機器の動作が不安定になり、延いては動作しなくなるという不具合が発生することが懸念される。
【0006】
したがって、高電界下での利用を目的としたコンデンサにはDCバイアス変化率が小さく、また、高電界印加時に高い誘電率を有する誘電体磁器組成物を用いることが望ましい。なお、ここで言う「高電界」とはたとえば5V/μmの電界強度、高い誘電率とは例えば1000を指す。
【0007】
このような課題を解決するべく、下記の特許文献1では、アルカリ金属酸化物の含有量が0.02重量%以下のチタン酸バリウムと、酸化ユーロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウムおよび酸化イッテルビウムの中から選ばれる少なくとも1種と、ジルコン酸バリウムと、酸化マグネシウムと、酸化マンガンとからなり、かつ、次の組成式、{BaO}m TiO2 +αR2 O3 +βBaZrO3 +γMgO+gMnO(ただし、R2 O3 はEu2 O3 、Gd2 O3 、Tb2O3 、Dy2 O3 、Ho2 O3 、Er2 O3 、Tm2 O3 およびYb2 O3 の中から選ばれる少なくとも1種であり、α、β、γおよびgはモル比を表し、0.001≦α≦0.06、0.005≦β≦0.06、0.001<γ≦0.12、0.001<g≦0.12、γ+g≦0.13、1.000<m≦1.035の範囲内にある。)で表される主成分を含有するとともに、副成分として酸化珪素を、前記主成分100モルに対して、SiO2 に換算して0.2〜5.0モル含有していることを特徴とする誘電体磁器組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に示すような誘電体磁器組成物を誘電体としたセラミックコンデンサは、比誘電率が1500程度と比較的大きいものの、5V/μmのDCバイアス変化率が−45%以内と大きいため、更なるDCバイアス特性の改善が望まれていた。
【0009】
また、特許文献2では、CaとSrとMgとMnと希土類元素を含有するとともに、Aサイトの一部が該Caで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒子)に、前記CaとSrとMgとMnと希土類元素の少なくとも一部が固溶してなる主結晶粒子を含有し、Al元素の含有量が酸化物換算で0.01質量%以下である誘電体磁器であって、前記主結晶粒子は、Ca濃度が粒子中心よりも粒子表面側において大きく、SrとMgとMn及び希土類元素が粒子表面側に偏在したコアシェル型構造であり、平均粒径が0.1〜0.5μmであることを特徴とする誘電体磁器組成物が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献2に示されるようなBCT型の誘電体磁器組成物では、比誘電率は2500以上と大きいが、5V/μmのDCバイアス変化率が−70%以内と大きいため、DCバイアス特性が良好であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−322414号公報
【特許文献2】特開2006−206362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、比較的に定格電圧が高い中高圧用途に好適に用いられ、5V/μmのDCバイアス変化率が−15%以内と非常に小さく、かつ1000以上の比較的高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物と、その誘電体磁器組成物を用いた誘電体素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、下記式(1)で表される複合酸化物である誘電体磁器組成物を提供する。
【0014】
{[(BiNa (BiBa1−dTi1−dNb…(1)
【0015】
式(1)中、AはLi、Na、Kから選ばれる少なくとも一種の元素を示す。a、b、c、d、s、t、u、v及びxは、それぞれ、下記式を満たす数である。
【0016】
0.10≦a<0.95
0.00<b≦0.85
0.05≦c≦0.70
a+b+c=1
0.10≦d≦0.50
0.90≦s+u≦1.00
0.45≦t≦0.50
0.45≦v≦0.50
0.95≦x≦1.05
【0017】
本発明の誘電体磁器組成物は、上記構成を有することにより、5V/μmのDCバイアス変化率が−15%以内と非常に小さく、かつ1000以上の比較的高い比誘電率が得られる。
【0018】
また、本発明は、上記誘電体磁器組成物を備える誘電体素子を提供する。
【0019】
このような誘電体素子は上記誘電体磁器組成物を備えるため、高電界を印加した場合に大きな誘電率を必要とする、例えば高電界印加回路に使用される回路保護用などのコンデンサに有用である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、比較的に定格電圧が高い中高圧用途に好適に用いられ、5V/μmのDCバイアス変化率が−15%以内と非常に小さく、かつ1000以上の比較的高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物と、その誘電体磁器組成物を用いた誘電体素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る誘電体素子の好適な一実施形態である。
図2】本発明に係る誘電体素子の別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は本発明に係る誘電体素子の好適な一実施形態である。図1に示す誘電体素子100は、円盤状の誘電体1と、この誘電体1の両面に形成された一対の電極2および3を備えたコンデンサを形成している。
【0024】
誘電体1は、下記式(1)で示される誘電体磁器組成物で形成される。
【0025】
{[(BiNa (BiBa1−dTi1−dNb…(1)
【0026】
式(1)中、AはLi、Na、Kから選ばれる少なくとも一種の元素を示す。a、b、c、d、s、t、u、v及びxは、それぞれ、下記式を満たす数である。
【0027】
0.10≦a<0.95
0.00<b≦0.85
0.05≦c≦0.70
a+b+c=1
0.10≦d≦0.50
0.90≦s+u≦1.00
0.45≦t≦0.50
0.45≦v≦0.50
0.95≦x≦1.05
【0028】
このような誘電体磁器組成物は、上記構成を有することにより、比誘電率を1000以上としつつ、5V/μmのDCバイアス変化率を−15%以内と非常に小さくすることができる。
【0029】
本発明の誘電体磁器は強誘電体および反強誘電体組成物の組み合わせであり、この特定の組み合わせを有することにより比誘電率が比較的高く、DCバイアス特性が良好な誘電体磁器組成物が得られる。
【0030】
a、b、cが上記範囲をはずれると、比誘電率が1000以下となってしまったり、5V/μmのDCバイアス変化率が−15%以上となってしまったり、耐電圧が低くなってしまうため好ましくない。
【0031】
dが0.10未満ではDCバイアス特性が悪くなってしまい、0.50より大きくなると誘電率が1000未満となってしまうため好ましくない。
【0032】
s+u、t、vが上記範囲を外れると欠陥が生成されたり、十分な焼結密度が得られず、電荷のリークが生じたり、耐電圧が低くなってしまうため好ましくない。
【0033】
xが0.95未満又は1.05を超えると十分な焼結密度を得られず、絶縁抵抗が低くなるため、高電界を印加して使用することは困難になる。
【0034】
誘電体磁器組成物として実用に十分な誘電率が得られる等の観点から、式(1)で表される複合酸化物の含有量は、誘電体磁器組成物全体を基準として、90質量%以上であることが好ましく、残部には常誘電体磁器組成物などの副成分のほか、作製プロセス上混入する可能性がある、PやZrなどの不純物を含んでいても良い。
【0035】
ここで、誘電体磁器組成物の組成は、例えば、蛍光X線分析やICP発光分光分析で測定することができる。
【0036】
上記誘電体磁器組成物の相対密度は、95%以上の相対密度を有することが好ましい。ここで、本明細書において、相対密度とは、理論密度に対する、密度の実測値をいう。なお、理論密度は、X線回折によって求めた格子定数と、完全結晶を仮定して求めた量論比により計算される。誘電体磁器組成物の相対密度は、例えば、アルキメデス法によって測定することができる。ここで、誘電体磁器組成物の相対密度は、焼成温度や焼成時間を変えることによって調整することができる。
【0037】
次に、図1に示す誘電体素子の製造方法の一例について以下に説明する。
【0038】
まず、誘電体1の出発原料として、酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化チタン(TiO)及び酸化二オブ(Nb)等の粉末を準備する。
【0039】
そして、本焼成後の誘電体磁器組成物(焼結体)が、本実施形態に係る誘電体磁器組成物の組成を満たすものとなるように、上記粉末原料を秤量する。
【0040】
次に、秤量した各原料粉末を、ボールミル等により湿式混合する。そして、湿式混合により得られた混合物を仮焼することにより仮焼物を得る。ここで、仮焼は、通常空気中で施される。また、仮焼温度は700〜900℃であることが好ましく、仮焼時間は1〜10時間が好ましい。
【0041】
得られた仮焼物を、ボールミル等で湿式粉砕した後、これを乾燥させることにより、仮焼物粉体を得る。次いで、得られた仮焼物粉体に少量の結合剤を添加し、プレス成形することにより、成形体を得る。ここで、成形圧力は5t/cm程度であることが好ましい。成形体の形状に特に制限はなく、例えば、平面寸法Φ17mm、厚さ1mm程度の円板状成形体とすることができる。
【0042】
そして、得られた成形体を焼成することにより誘電体磁器組成物試料を得る。ここで、焼成は、通常空気中で施される。また、焼成温度は950〜1300℃であることが好ましく、焼成時間は2〜10時間であることが好ましい。
【0043】
次いで、得られた誘電体磁器組成物試料の両面に、銀等の金属電極を形成する。電極の形成は蒸着、スパッタリング、焼付け、無電解めっき等の方法による。
【0044】
図2は本発明に係る誘電体素子の別の実施形態を示す断面図である。図2に示す積層型誘電体素子200は、直方体状の積層体5と、この積層体5の対向する端面にそれぞれ形成された一対の端子電極11A、11Bとを備えている。
【0045】
積層体5は、誘電体層7を介して内部電極層(電極層)6A、6Bを交互に積層してなる素体8と、この素体8をその積層方向の両端面側(図中上下方向)から挟み込むように設けられた一対の保護層9及び10とから構成される。素体8においては、誘電体層7と内部電極層6A、6Bとが交互に積層されている。
【0046】
誘電体層7は、本発明に係る誘電体磁器組成物からなる層である。
【0047】
誘電体層7の1層当たりの厚さは、任意に設定することができるが、例えば1〜100μmにすることができる。
【0048】
内部電極層6A、6Bはそれぞれ平行となるように設けられている。内部電極層6Aは、一方の端部が積層体5における端子電極11Aが形成された端面に露出するように形成されている。また、内部電極層6Bは、一方の端部が積層体5における端子電極11Bが形成された端面に露出するように形成されている。さらに、内部電極層6Aと内部電極層6Bとは、これらの大部分が積層方向に重なり合うように配置されている。
【0049】
内部電極層6A、6Bの材質としては、例えば、Au,Pt若しくはAg等の金属が用いられる。
【0050】
端子電極11A,11Bは、これらが設けられている積層体5の端面において、当該端面に露出している内部電極層6A、6Bの端部とそれぞれ接している。これにより、端子電極11A,11Bは、内部電極層6A、6Bとそれぞれ電気的に接続される。この端子電極11A,11Bは、Ag,Au,Cu等を主成分とする導電材料から構成することができる。端子電極11A,11Bの厚さは、用途や積層型誘電素子のサイズ等によって適宜設定されるが、例えば10〜50μmにすることができる。
【0051】
以上、本実施形態の誘電体磁器組成物および誘電体素子について説明したが、当該誘電体磁器組成物は、高電界を印加した時のDCバイアス特性が良好であるため、例えば、比較的に定格電圧が高い中高圧コンデンサに好適に用いることができる。
【0052】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記誘電体素子において、誘電体磁器組成物以外の構成として、公知のものを用いることもできる。また、例えば、上記誘電体素子の製造において、当該仮焼物粉体を水熱合成法等により製造することもできる。また、前駆体として(BiNa)TiO、(BiK)TiO、BaTiO、およびNaNbOを作製し、混合、焼結することもできる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1〜26、比較例1〜16、参考例1〜2
誘電体磁器組成物を作製するため、出発原料として、酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化チタン(TiO)及び酸化二オブ(Nb)の粉末を準備した。実施例15については上記に加えさらに炭酸リチウム(LiCO)の粉末も準備した。実施例16については炭酸カリウム(KCOの粉末も準備した。
【0055】
本焼成後の誘電体磁器組成物(焼結体)が、表1の組成を満たすものとなるように、上記粉末原料を秤量した。なお、ここで、表1中のa、b、c、d、s+u、t、v及びxは、それぞれ下記式(1)におけるa、b、c、d、s+u、t、v及びxの数値を示す。実施例15〜17以外の実施例および比較例については、A成分がNaであり、実施例15はA成分がLi、実施例16はK、実施例17はNaとなる。
【0056】
{[(BiNa (BiBa1−dTi1−dNb…(1)
【0057】
次に、秤量した各原料粉末を、ボールミルにより湿式混合した後、得られた混合物を、空気中において850℃で2時間仮焼して仮焼物を得た。そして、得られた仮焼物をボールミルで湿式粉砕して、仮焼物粉体を得た。次いで、仮焼物粉体に少量の結合剤を添加し、約5t/cmの圧力で成形し、平面寸法Φ17mm、厚さ1mm程度の円板状成形体を得た。
【0058】
次に、得られた成形体を空気中において、焼成温度950〜1300℃、焼成時間2〜10時間の範囲で、相対密度95%となる条件で焼成して、誘電体磁器組成物試料を得た。得られた誘電磁器試料について密度測定を行ったところ、すべての試料の密度が、理論密度に対し95%以上であった。
【0059】
得られた誘電体磁器組成物試料の組成を分析したところ、秤量した組成比と等しかった。
【0060】
得られた誘電体磁器組成物試料の両面にAg電極を蒸着し、誘電体素子を作製した。
【0061】
得られた各誘電体素子のDCバイアス特性を最大印加電界Emax=5V/μmの条件で測定を実施した。
【0062】
また、各誘電体素子に10V/μmの直流電界を印加し、耐電圧試験を実施した。
【0063】
(表1)
【0064】
以上より、実施例01〜26の誘電体磁器組成物はDCバイアス変化率が小さく、また、高電界印加時の誘電率が実用上十分大きいことを確認した。
【符号の説明】
【0065】
1…誘電体、2,3…電極、5…積層体、6A、6B…内部電極層、7…誘電体層、8…素体、9、10…保護層、11A,11B…端子電極、100…誘電体素子、200…積層誘電体素子
図1
図2