(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
微細化に限界が見えてきたフラッシュメモリあるいはDRAMに代わり、近年、次世代不揮発性メモリとして抵抗変化型素子を利用してデータを記憶する抵抗変化型メモリが注目されている。この抵抗変化型素子としては、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory;磁気抵抗RAM)、PRAM(Phase change Random Access Memory;相変化RAM)、ReRAM(Resistance Random Access Memory;抵抗変化型RAM)等に用いられているものが挙げられる。このような抵抗変化型素子を利用したメモリは、フラッシュメモリのような複雑なプロセスを必要とせず、標準ロジックプロセスと相性が良く、微細化に向いていること、低電圧で動作することより、将来性を有望視されている。この種の抵抗変化型素子を利用したメモリの素子構成、特性およびアレイ構成は、例えば特許文献1または非特許文献1に開示されている。
【0003】
図20(a)および(b)は、抵抗変化型素子として代表的なMTJ(Magnetic Tunnel Junction;磁気トンネル接合)素子を利用した不揮発性メモリセルの構成と動作を示す図である。また、
図20(c)は、
図20(a)および(b)に示す回路を利用した不揮発性メモリセルの等価回路を示す図である。
【0004】
図20(a)および(b)に示すように、MTJ素子は、磁気の方向が一定のピン層と、トンネルバリア膜(絶縁膜)と、磁気の方向が変化するフリー層とからなる。
図20(a)に示すように、フリー層からピン層に向かう方向の電流を流すと、フリー層の磁化方向がピン層と同一となり、MTJ素子は低抵抗となり、データ“0”を記憶した状態となる。逆に、
図20(b)に示すように、ピン層からフリー層に向かう方向の電流を流すと、フリー層の磁化方向がピン層と反対になり、MTJ素子は高抵抗となり、データ“1”を記憶した状態になる。
【0005】
このようなMTJ素子により不揮発性メモリセルを構成する場合には、
図20(a)および(b)に例示するように、MTJ素子を選択するためのスイッチとして、Nチャネル選択トランジスタT1がMTJ素子に直列接続される。
図20(c)に示す不揮発性メモリセルは、抵抗変化型素子R1とNチャネル選択トランジスタT1とにより構成されている。ここで、抵抗変化型素子R1は、
図20(a)および(b)のMTJ素子である。この抵抗変化型素子R1では、矢印の先端側にフリー層があり、後端側はピン層がある。従って、
図20(c)において矢印と逆方向の電流を抵抗変化型素子R1に流すと、抵抗変化型素子R1は低抵抗化し、矢印と同方向の電流を抵抗変化型素子R1に流すと、抵抗変化型素子R1は高抵抗化する。
【0006】
図20(c)に示す例では、MTJ素子である抵抗変化型素子R1のフリー層にビット線BLが接続され、Nチャネル選択トランジスタT1のソースにソース線SLが接続されている。そして、ビット線BLおよびソース線SL間に書き込みデータに対応した電圧を印加し、かつ、Nチャネル選択トランジスタT1にワード線WLを介して所定の行選択電圧を与え、Nチャネル選択トランジスタT1をONさせることにより、抵抗変化型素子R1に電流を流し、抵抗変化型素子R1に対するデータ“1”または“0”の書き込みが行われる。このような不揮発性メモリセルの構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0007】
図21は、
図20(a)および(b)に示すような不揮発性メモリセルにより構成された従来の不揮発性メモリセルアレイの断面構造を例示する図である。
図21に示す例では、半導体基板に
図20(a)および(b)に示すNチャネル選択トランジスタT1が2個形成されている。そして、1不揮発性メモリセルを構成する2つのNチャネル選択トランジスタT1のゲートがワード線WLとなっている。これらのNチャネル選択トランジスタT1のソースは、コンタクトホールCSと第1メタル層1Mと第1層および第2層間のビアV1を介して第2メタル層2Mによるソース線SLに接続されている。また、2つのNチャネル選択トランジスタT1の共用のドレインは、コンタクトホールCSを介してMTJ素子のピン層に接続され、このMTJ素子のフリー層はビアV1を介して第2メタル層2Mによるビット線BLに接続されている。
【0008】
図22は、
図20および
図21に示す不揮発性メモリセルの動作例を示している。MTJ素子に“0”を書き込む場合、その不揮発性メモリセルのNチャネル選択トランジスタのゲートにワード線WLを介して1.2Vの選択電圧を与え、ビット線BLに1.2Vを、ソース線SLに0Vを与える。この結果、不揮発性メモリセルのMTJ素子にフリー層からピン層に向かう方向の約49μAの電流が流れ、MTJ素子が低抵抗となり、“0”を記憶した状態となる。一方、所望の不揮発性メモリセルのMTJ素子に“1”を書き込む場合、その不揮発性メモリセルのNチャネルトランジスタのゲートに1.2Vの選択電圧WLを与え、ビット線BLに0Vを、ソース線SLに1.2Vを与える。この結果、不揮発性メモリセルのMTJ素子にピン層からフリー層に向かう方向の約49μAの電流が流れ、MTJ素子が高抵抗となり、“1”を記憶した状態となる。
【0009】
所望の不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合は、その不揮発性メモリセルのNチャネルトランジスタのゲートに1.2Vの選択電圧WLを与え、ビット線BLに0.15Vを、ソース線SLに0Vを与える。そして、ビット線BLから不揮発性メモリセルのMTJ素子に流れ込む電流を検出する。MTJ素子が“0”を記憶しており、低抵抗となっている場合、MTJ素子には15μA程度の電流が流れる。一方、MTJ素子が“1”を記憶しており、高抵抗となっている場合、MTJ素子には10μA程度の電流が流れる。従って、MTJ素子に流れ込む電流を検出して閾値と比較することにより、MTJ素子が“0”を記憶しているか“1”を記憶しているかを判定することができる。
【0010】
特許文献1は、抵抗変化型素子を用いた書き換え可能な不揮発性RAMを開示している。この特許文献1の不揮発性RAMでは、抵抗変化型素子として、相変化メモリ素子を使用している。
【0011】
図23は、特許文献1の
図3に開示された不揮発性RAMのメモリセルの構成を示す回路図である。
図23では、PチャネルトランジスタP0およびNチャネルトランジスタN0からなるインバータと、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータとによりフリップフロップが構成されている。PチャネルトランジスタP0およびNチャネルトランジスタN0からなるインバータの出力ノードS0はNチャネルトランジスタNa0を介してビット線BL0に接続されている。また、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータの出力ノードS1はNチャネルトランジスタNa1を介してビット線BL1に接続されている。そして、NチャネルトランジスタNa0およびNa1には、選択電圧WLが与えられる。以上の回路は、通常のSRAM用のメモリセルである。
図23に示すメモリセルでは、このSRAM用メモリセルに対して、相変化メモリ素子RrおよびRmと、NチャネルトランジスタNsが追加されている。ここで、相変化メモリ素子RrはPチャネルトランジスタP0のソースと電源線PWRの間に、相変化メモリ素子RmはPチャネルトランジスタP1のソースと電源線PWRの間に各々介挿されている。NチャネルトランジスタNsは、PチャネルトランジスタP1および相変化メモリ素子Rmの接続点とストア線STRとの間に介挿されており、そのゲートにはノードS0の電圧が与えられる。
【0012】
特許文献1によると、相変化メモリ素子の一方(Rr)は参照(リファレンス)抵抗であり、他の一方の相変化メモリ(論理記憶抵抗Rm)が変化する高抵抗(論理値1)と低抵抗(論理値0)との間の抵抗値に予め設定されている。論理記憶抵抗Rmは、電源線PWR、スイッチング素子(トランジスタNs)、ストア線STRにより、相変化を起こす電流を印加される。読み出し時は、点線で示したSRAM回路部を通常のSRAMとして動作させている。この動作のときの論理記憶抵抗Rmは低抵抗値に設定されている。そして、電源が消える前に、ストア線STRの電圧を変化させ、トランジスタNsにより論理記憶抵抗Rmに電流を流すことで、SRAM回路部に記憶されている論理値を移す(ストア)。電源が入ると、相変化メモリ素子Rmに移された記憶内容を、SRAM回路部に戻す(リコール)。このように電源がOFFするときとONするときに、相変化メモリの論理記憶抵抗RmとSRAM回路部とで記憶内容を移したり戻したりすることで、不揮発性メモリとして動作する(以上、特許文献1の段落0012、0013参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した特許文献1の不揮発性RAMには、幾つかの問題がある。まず、特許文献1の不揮発性RAMでは、抵抗変化型素子として、相変化メモリ素子を使用しているが、この相変化メモリ素子は、いわゆるモノポーラ型の抵抗変化素子であり、データ“1”を書き込む場合も、データ“0”を書き込む場合も同一方向の電流を流す必要がある。このため、データの書き込みのための制御が複雑になる。また、相変化メモリ素子は、書き込み特性と消去特性が大きく異なるので、高速に書き換えることができない。また、
図23にも示すように、特許文献1の不揮発性RAMでは、フリップフロップを構成する2つのインバータの電源電流経路上に抵抗値の変化する相変化メモリ素子(RrとRm)が介挿されている。このため、フリップフロップがアンバランスとなり、SRAMの特性として最も重要なSNM(Static Noise Margin;スタティックノイズマージン)に大きな悪影響を与える。
以下、このSNMへの悪影響について説明する。
【0016】
図24は一般的なSRAM用のメモリセルの構成を示す回路図である。図示の例では、PチャネルトランジスタP1、P2、NチャネルトランジスタN1、N2、Ta1およびTa2により1つのメモリセルが構成されている。
【0017】
図25(a)〜(d)は、
図24に示すメモリセルのSNMの特性を例示するものである。
図25(a)〜(d)において、横軸はトランジスタP1およびN1の共通接続点の電圧V0を示し、縦軸はトランジスタP2およびN2の共通接続点の電圧V1を示す。
【0018】
図25(a)〜(d)において破線の曲線および実線の曲線は各々バタフライ曲線と呼ばれる。これらの2本のバタフライ曲線は、途中で互いに交差して、上下および左右の位置関係が入れ替わる。そして、
図25(a)〜(d)の各々には、破線のバタフライ曲線と実線のバタフライ曲線との間に挟まれた2つの領域内に各々収まる2個の正方形が描かれているが、この正方形の大きさがSNMの大きさである。さらに詳述すると、破線のバタフライ曲線が右上、実線のバタフライ曲線が左下となる領域における両バタフライ曲線間の正方形は、トランジスタP1およびN1の両ドレインの接続点の電圧V0を上昇させるようなノイズが発生するとき、メモリセルの記憶内容を反転させないノイズレベルの許容値を示すSNM(以下、便宜上、第1のSNMという)である。また、実線のバタフライ曲線が右上、破線のバタフライ曲線が左下となる領域における両バタフライ曲線間の正方形は、トランジスタP2およびN2の両ドレインの接続点の電圧V1を上昇させるようなノイズが発生するとき、メモリセルの記憶内容を反転させないノイズレベルの許容値を示すSNM(以下、便宜上、第2のSNMという)である。
【0019】
図25(a)および(c)は、SRAMの電源電圧VDDを1.0VとしたときのSNM特性を各々例示している。
図25(a)に示す例では、メモリセルを構成する各トランジスタのベータ値βや閾値電圧Vtのバランスが取れており、第1のSNMおよび第2のSNMが同程度であり、かつ、いずれも十分な大きさとなっている。従って、このメモリセルでは、安定したライトアクセスおよびリードアクセスが可能である。
【0020】
ところが、バタフライ曲線は、トランジスタP1、N1、P2、N2の各々のベータ値のバランスや閾値電圧のバランスに左右される。例えば
図25(a)において、トランジスタP2のベータ値βpとトランジスタN2のベータ値βnとのベータレシオβp/βnが高くなると、破線のバタフライ曲線は右上方向に張り出す。逆にこのベータレシオβp/βnが低くなると、破線のバタフライ曲線は、左下方向に退行する。また、トランジスタN2の閾値電圧Vtnが増加して、トランジスタP2の閾値電圧Vtpが減少すると、破線のバタフライ曲線が急激に立ち下がる電圧V0が高くなる。逆にトランジスタN2の閾値電圧Vtnが減少して、トランジスタP2の閾値電圧Vtpが増加すると、破線のバタフライ曲線が急激に立ち下がる電圧V0は低くなる。
【0021】
また、電圧V0を0VからVDDまで上昇させる過程において、トランジスタN2がONするとき、このトランジスタN2にトランジスタTa2を介して電流が流れ込むため、電圧V1はVSSレベル(0V)まで下がり切らず、VSSレベルから浮く。仮にトランジスタTa2を介して流れ込む電流が一定である場合、このときの電圧V1のVSSレベルからの浮きは、トランジスタN2の閾値電圧Vtnが高いほど、あるいはトランジスタN2のベータ値βnが低いほど大きくなる。
【0022】
このように破線のバタフライ曲線は、トランジスタP2、N2の閾値電圧やベータ値の変化の影響を受ける。一方、実線のバタフライ曲線は、主にトランジスタP1、N1のベータ値のバランス、閾値電圧のバランスの変化の影響を受ける。このようにバタフライ曲線が各トランジスタの閾値電圧やベータ値の変化の影響を受けるため、第1および第2のSNMも、各トランジスタの閾値電圧やベータ値の変化の影響を受けることとなる。
【0023】
図25(c)に示す例では、メモリセルを構成する各トランジスタの閾値電圧Vtまたはベータ値間にアンバランスが生じており、第1のSNMは十分な大きさがあるが、第2のSNMがやや小さくなっている。
【0024】
このようにメモリセルを構成する各トランジスタの特性(具体的には閾値電圧VTやベータ値)がばらつくと、これに起因して第1および第2のSNMの各々の大きさにばらつきが生じる。
【0025】
また、SRAMの電源電圧VDDが小さくなると、メモリセルを構成する各トランジスタの特性ばらつきの第1および第2のSNMに対する影響の度合いが大きくなる。
図25(b)および(d)はその例を示すものである。この
図25(b)および(d)の例では、SRAMの電源電圧VDDを0.5Vとしている。
図25(b)に示す例では、電源電圧VDDが0.5Vであるため、第1および第2のSNMはかなり小さなものとなるが、メモリセルを構成する各トランジスタの特性のバランスが取れているため、第1および第2のSNMは、正常なライトアクセスおよびリードアクセスを可能ならしめる大きさとなっている。ところが、
図25(d)に示す例では、メモリセルを構成する各トランジスタの特性に微妙なアンバランスがあり、その影響により第2のSNMが殆どなくなっている。このように動作マージンが不足した状態ではライトアクセスおよびリードアクセスに支障が生じる。
【0026】
このようにメモリセルを構成する各トランジスタの特性にアンバランスが生じると、SRAMのSNMが悪影響を受け、特に電源電圧VDDが低いときにその悪影響が大きくなる。
【0027】
しかるに特許文献1の技術では、このようなSRAMのメモリセルを構成する2つのインバータの電源電流経路に抵抗値が変化する相変化メモリ素子を各々介挿している。このような相変化メモリ素子を介挿した場合、一方のインバータを構成するトランジスタP0およびN0と他方のインバータを構成するトランジスタP1およびN1(
図23参照)とで、バイアス条件にアンバランスが生じる。この結果、各インバータを構成するトランジスタの特性にアンバランスが生じ、メモリセルのSNMを大きく劣化させるのである。以上はSRAMの静的動作の分析であるが、さらに加えて、動的な動作を鑑みても、ノードS0にトランジスタNsのゲート容量が加わり、ノードS0とノードS1とで容量がアンバランスになっており、この容量のアンバランスが動的な動作マージンを低下させる。
【0028】
また、通常のSRAMと同様、不揮発性メモリについてもチップ面積を増大させることなくメモリ容量を増加させたいという要求がある。特許文献2は、抵抗変化型素子を用いた不揮発性メモリにおいてSNMを改善する技術を開示している。しかし、特許文献2のものは、揮発性記憶部および不揮発性記憶部間のデータ転送を制御するためのトランジスタが必要であり、メモリセルの面積が多少増加する欠点がある。
【0029】
メモリ容量を増大させるためには、不揮発性メモリセルの素子数を減らすことが求められる。そこで、特許文献3は、面積を縮小するために、選択用のトランジスタを省略して1個の抵抗のみでメモリセルを構成したクロスポイント型メモリを提案している(特許文献3の
図3(a)(b)(c)参照)。また、特許文献4も、同様なクロスポイント型メモリを提案している(特許文献3の
図46〜
図48参照)。しかし、特許文献3に記載の構成は、不揮発性メモリセルへのアクセス時に、不必要な回り込みの電流が他の不揮発性メモリセルに流れ、消費電流が多くなるという問題がある。また、不揮発性メモリセルの記憶素子としてMTJ素子のようなバイポーラ型抵抗素子を使用した場合、書き込み時に不揮発性メモリセルに対して双方向電流を流す必要があるが、このような書き込み方法を実現するための技術が特許文献3には開示されていない。特許文献4も同様であり、不揮発性メモリセルの記憶素子としてバイポーラ型抵抗素子を使用することを可能にする技術を開示していない。
【0030】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、SRAMとしての機能を損なうことなく、揮発性記憶部の記憶データの書き換え、記憶データを不揮発性記憶部に書き込むストア、不揮発性記憶部から揮発性記憶部にデータを書き込むリコールの動作を容易に行うことができる不揮発性メモリを提供することにある。また、この発明の第2の目的は、セルを構成する素子の特性ばらつきに強い不揮発性メモリを提供することにある。また、この発明の第3の目的は、少ない素子数(小さい面積)で、より具体的にはトランジスタ数を増やすことなく高速動作可能な不揮発性メモリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
この発明は、揮発性記憶部と不揮発性記憶部とを有し、前記揮発性記憶部は、互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、前記第1および第2のインバータの各出力ノードと2本のビット線との間に各々介挿され、前記2本のビット線を介して前記フリップフロップに対してデータ書き込みを行う場合または前記フリップフロップから前記2本のビット線を介してデータ読み出しを行う場合にONとされる第1および第2のスイッチとを有し、前記不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードとソース線との間に介挿された第1の不揮発性メモリ素子と、前記第2のインバータの出力ノードと前記ソース線との間に介挿された第2の不揮発性メモリ素子とを有し、前記第1および第2の不揮発性メモリ素子の各々は、通電方向により異なった方向に抵抗値が変化する抵抗変化型素子と、絶対値が閾値電圧以上である電圧が印加された場合に該電圧と同一極性の電流を通過させる双方向の閾素子とを直列接続してなり、前記第1および第2の不揮発性メモリ素子の抵抗変化型素子の各々は、前記第1または第2のインバータの出力ノードから前記ソース線に向かう電流を通過させたときに第1の方向に抵抗値が変化し、前記ソース線から前記第1または第2のインバータの出力ノードに向かう電流を通過させたときに前記第1の方向と逆方向の第2の方向に抵抗値が変化する抵抗変化素子であることを特徴とする不揮発性メモリセルを提供する。
【0032】
かかる発明によれば、第1および第2のスイッチをOFFとし、揮発性記憶部に適切な電源電圧を与え、揮発性記憶部においてデータ“1”/“0”を表現するための2種類の電圧の中間の電圧をソース線に与えることにより、揮発性記憶部の記憶データに対応した電流であって、互いに逆方向の電流を第1および第2の抵抗変化型素子に流し、第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値を互いに逆方向に変化させることができる(ストア動作)。この場合、第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値の大小関係が不揮発性記憶部の記憶データを表す。
【0033】
また、第1および第2のスイッチをOFFとし、ソース線に所定の電圧を与えて揮発性記憶部に対する電源電圧を立ち上げると、揮発性記憶部の第1のインバータの出力ノードに対する電流と第2のインバータの出力ノードに対する電流との間に不揮発性記憶部の記憶データ(第1および第2の不揮発性メモリ素子の各抵抗変化型素子の各抵抗値の大小関係)に応じた差を生じさせ、揮発性記憶部に不揮発性記憶部の記憶データを書き込むことができる(リコール動作)。
【0034】
そして、揮発性記憶部の電源電圧およびソース線の電圧を適切な電圧にすることにより、第1および第2の不揮発性メモリ素子の各閾素子をOFFさせ、不揮発性記憶部を揮発性記憶部から切り離し、揮発性記憶部を通常のSRAMのメモリセルとして動作させることができる。この場合、揮発性記憶部には、その機能を損なう余分な回路が接続されていないので、高いSNMが得られる。
【0035】
従って、この発明によれば、SRAMとしての機能を損なうことなく、揮発性記憶部の記憶データの書き換え、記憶データを不揮発性記憶部に書き込むストア、不揮発性記憶部から揮発性記憶部にデータを書き込むリコールの動作を容易に行うことができる不揮発性メモリセルおよび不揮発性メモリを実現することができる。また、この発明において、不揮発性記憶部では、2つの抵抗変化型素子の抵抗値の大小関係が記憶データを示す。また、ストア時には、互いに逆方向の電流を第1および第2の不揮発性メモリ素子の各抵抗変化型素子に流し、各抵抗変化型素子の各抵抗値を互いに逆方向に変化させる。従って、抵抗変化型素子の特性ばらつきが大きくても、ストア時には、第1および第2の不揮発性メモリ素子の各抵抗変化型素子の各抵抗値の大小関係を揮発性記憶部の記憶データに応じた大小関係とすることができる。よって、この発明によれば、セルを構成する素子の特性ばらつきに強い不揮発性メモリセルおよび不揮発性メモリを実現することができる。
【0036】
好ましい態様では、抵抗変化型素子として、MTJ素子や電界誘起巨大抵抗変化の発生する抵抗素子が用いられる。この態様によれば、高速にストアおよびリコールを行うことができる。
【0037】
また、この発明は、上記不揮発性メモリセルに好適な不揮発性メモリ素子を提供する。
好ましい態様において、この発明による不揮発性メモリ素子は、第1メタル層および第2メタル層間に並列に介挿され、互いに逆並列接続された第1および第2のダイオードと、前記第2メタル層および第3メタル層間に介挿された抵抗変化型素子とを具備する。
【0038】
他の好ましい態様において、この発明による不揮発性メモリ素子は、第1メタル層および第2メタル層間に介挿された抵抗変化型素子と、前記第2メタル層および第3メタル層間に並列に介挿され、互いに逆並列接続された第1および第2のダイオードとを具備する。
【0039】
他の好ましい態様において、この発明による不揮発性メモリ素子は、半導体基板の深さ方向に沿ったP型拡散層およびN型拡散層の並び方向が互いに同じであり、第1メタル層および第2メタル層間に並列に介挿され、かつ、互いに逆並列接続された第1および第2のダイオードと、前記第2メタル層および第3メタル層間に介挿された抵抗変化型素子とを具備する。
【0040】
他の好ましい態様において、この発明による不揮発性メモリ素子は、半導体基板の深さ方向に沿ったP型拡散層およびN型拡散層の並び方向が互いに同じであり、第1メタル層の第1の配線および第2メタル層の第2の配線間に並列に介挿され、かつ、互いに逆並列接続された第1および第2のダイオードと、前記第1メタル層の第3の配線および前記第2メタル層の第4の配線間に介挿された抵抗変化型素子とを具備し、前記第1の配線と前記第3の配線が接続され、または前記第2の配線と前記第4の配線が接続されている。
【0041】
これらの態様によれば、不揮発性メモリ素子を第1メタル層よりも上層に構成することができるので、不揮発性メモリの半導体基板表面のトランジスタの密度を高めることができ、チップ面積を広げることなく、メモリの大容量化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、トランジスタはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;金属−酸化膜−半導体構造の電界効果トランジスタ)を指す。
【0044】
<不揮発性メモリ素子の構成および動作>
図1はこの発明の各実施形態による不揮発性メモリセルにおいて使用する不揮発性メモリ素子の構成を示す回路図である。
図1に示すように、不揮発性メモリ素子は、抵抗変化型素子Rと、互いに逆並列接続されたダイオードD1およびD2からなる閾素子とをノードVXおよびソース線SL間に直列接続してなるものである。抵抗変化型素子Rとしては、MRAM、PRAM、ReRAM等に用いられるものと同様なバイポーラ型抵抗変化型素子を使用することができる。図示の例において、抵抗変化型素子RはMRAMに使用されるMTJ素子である。そして、抵抗変化型素子RであるMTJ素子のフリー層はノードVXに接続され、ピン層はダイオードD1のカソードおよびダイオードD2のアノードの共通接続点に接続されている。そして、ダイオードD1のアノードおよびダイオードD2のカソードがソース線SLに共通接続されている。
【0045】
図2はダイオードD1およびD2からなる閾素子の電圧−電流特性を示す図である。この
図2において、横軸は抵抗変化型素子Rおよび閾素子間のノードNの電位VNからソース線SLの電位VSLを減算した電圧VN−VSLを示しており、縦軸はノードNからソース線SLに向けて流れる電流を示している。この例では、ダイオードD1およびD2の順方向電圧が閾素子の閾値電圧となる。電圧VN−VSLの絶対値がこの閾値電圧(図示の例では約0.5V)以下の領域では、電流Iは0である。しかし、電圧VN−VSLが正であり、かつ、閾値電圧(この場合、ダイオードD2の順方向電圧)よりも大きい領域では、閾素子にダイオードD2の順方向電流が流れる。また、電圧VN−VSLが負であり、かつ、その絶対値が閾値電圧(この場合、ダイオードD1の順方向電圧)よりも大きい領域では、閾素子にダイオードD1の順方向電流が流れる。
【0046】
図3は不揮発性メモリ素子の動作条件を示す図である。
図3に示すように、“0”書き込みの場合は、ノードVXに1.0V、ソース線SLに0Vを印加する。この場合、ダイオードD2がONし、ノードNおよびソース線SL間に略0.5Vの電圧が印加され、ノードVXおよびノードN間の抵抗変化型素子Rには略0.5Vの電圧が印加される。この結果、抵抗変化型素子Rにフリー層からピン層に向かう順方向の電流が流れて低抵抗となり、“0”が書き込まれた状態となる。一方、“1”書き込みの場合は、ノードVXに0V、ソース線SLに1.0Vを印加する。この場合、ダイオードD1がONし、ノードNおよびソース線SL間に略−0.5Vの電圧が印加され、ノードVXおよびノードN間の抵抗変化型素子Rに略−0.5Vの電圧が印加される。この結果、抵抗変化型素子Rにピン層からフリー層に向かう逆方向の電流が流れ、高抵抗化し、“1”が書き込まれた状態となる。
【0047】
データ読み出し動作では、例えばノードVXに0.5V、ソース線SLに0Vが印加される。この場合、ダイオードD2がONし、ノードNおよびソース線SL間の抵抗変化型素子Rに正の微小電圧が印加される。このとき抵抗変化型素子Rに記憶されたデータに応じた電流がノードVXおよびソース線SL間に流れる。すなわち、抵抗変化型素子Rがデータ“0”を記憶しており、抵抗値が低い場合は、ノードNおよびソース線SL間に流れる電流が大きくなり、抵抗変化型素子Rがデータ“1”を記憶しており、抵抗値が高い場合は、ノードNおよびソース線SL間に流れる電流が小さくなる。不揮発性メモリ素子を利用した不揮発性メモリでは、この点を利用して抵抗変化型素子Rに記憶されたデータが読み出される。
【0048】
図4は不揮発性メモリ素子の他の構成例を示す回路図である。
図1に示す例では、ダイオードD1およびD2を逆並列接続したものにより閾素子を構成したが、この構成例ではツェナーダイオードDZにより閾素子を構成した。この構成例においても、ツェナーダイオードDZの降伏電圧をダイオードの順方向電圧である0.5V程度にすることにより
図1に示すものと同様な効果が得られる。
【0049】
<不揮発性メモリセルの実施形態>
図5はこの発明の一実施形態である不揮発性メモリセルの構成を示す回路図である。不揮発性メモリでは、この不揮発性メモリセルを行列状に配列し、例えば不揮発性メモリセルの行毎にワード線WLおよびソース線SLを配線するとともに、不揮発性メモリセルの列毎にビット線BLおよび反転ビット線BLBを配線することにより不揮発性メモリセルアレイを構成する。
【0050】
不揮発性メモリセルは、揮発性記憶部10と、不揮発性記憶部20とに大別することができる。揮発性記憶部10は、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなる第1のインバータと、PチャネルトランジスタP2およびNチャネルトランジスタN2からなる第2のインバータとを有している。これらの第1および第2のインバータは、互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号としており、フリップフロップを構成している。このフリップフロップにおいて、第1のインバータの出力ノードV1とビット線BLとの間には第1のスイッチであるNチャネルトランジスタTa1が介挿され、第2のインバータの出力ノードV2と反転ビット線BLBとの間には第2のスイッチであるNチャネルトランジスタTa2が介挿されている。これらのNチャネルトランジスタTa1およびTa2の各ゲートにはワード線WLが接続されている。フリップフロップの低電位電源ノード(すなわち、NチャネルトランジスタN1およびN2の各ソース)は基準電位VSS=0Vに固定されており、高電位電源ノード(すなわち、PチャネルトランジスタP1およびP2の各ソース)には、可変の電源電圧VDCが与えられる。
以上が揮発性記憶部10の構成である。
【0051】
不揮発性記憶部20は、不揮発性メモリ素子21および22により構成されている。ここで、不揮発性メモリ素子21は、揮発性記憶部10における第1のインバータの出力ノードV1とソース線SLとの間に介挿されている。また、不揮発性メモリ素子22は、揮発性記憶部10における第2のインバータの出力ノードV2とソース線SLとの間に介挿されている。この例では、前掲
図1の不揮発性メモリ素子が不揮発性メモリ素子21および22として使用されている。そして、不揮発性メモリ素子21において、ダイオードD1aのカソードとダイオードD1bのアノードは第1のインバータの出力ノードV1に共通接続され、ダイオードD1aのアノードとダイオードD1bのカソードは抵抗変化型素子R1のピン層に接続され、抵抗変化型素子R1のフリー層はソース線SLに接続されている。また、不揮発性メモリ素子22において、ダイオードD2aのカソードとダイオードD2bのアノードは第2のインバータの出力ノードV2に共通接続され、ダイオードD2aのアノードとダイオードD2bのカソードは抵抗変化型素子R2のピン層に接続され、抵抗変化型素子R2のフリー層はソース線SLに接続されている。
以上が不揮発性記憶部20の構成である。
【0052】
不揮発性メモリにおいて、不揮発性メモリセルの揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCを切断するときは、それに先立って揮発性記憶部10の記憶データを不揮発性記憶部20に書き込むストア動作が行われる。このストア動作では、揮発性記憶部10の電源電圧VDCを通常よりも高くして揮発性記憶部10の記憶データを不揮発性記憶部20に書き込む。また、電源投入時は、まず、不揮発性記憶部20に記憶されたデータを揮発性記憶部10に転送するリコール動作を行った後、揮発性記憶部10を通常のSRAMのメモリセルとして動作させる。
【0053】
図6は本実施形態による不揮発性メモリセルの詳細な動作条件を例示する図である。この例において、不揮発性メモリセルの揮発性記憶部10は、1.0Vの電源電圧VDCでSRAMのメモリセルとして動作する。
【0054】
不揮発性メモリセルにストア動作を行わせる場合、揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCを2.0V(昇圧電圧)とし、ワード線WLに0Vを与え、ビット線BLおよび反転ビット線BLBを不揮発性メモリセルから切り離す。この場合、ビット線BLおよび反転ビット線BLBはオープンにしても構わない。
【0055】
VDC=2.0Vにおいて揮発性記憶部10がデータ“1”を記憶している場合、第1のインバータの出力ノードV1は2.0V、第2のインバータの出力ノードV2は0Vとなる。そこで、ソース線SLに1.0Vを与える。この状態では、V1=2.0V、SL=1.0Vなので、不揮発性メモリ素子21の抵抗変化型素子R1にピン層からフリー層に向かう逆方向電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は“1”書き込みとなり、高抵抗となる。一方、SL=1.0V、V2=0Vとなるので、不揮発性メモリ素子22の抵抗変化型素子R2にはフリー層からピン層に向かう順方向電流が流れ、抵抗変化型素子R2は“0”書き込みとなり、低抵抗となる。
【0056】
VDC=2.0Vにおいて揮発性記憶部10がデータ“0”を記憶している場合、第1のインバータの出力ノードV1は0V、第2のインバータの出力ノードV2は2.0Vとなる。この場合、V1=0V、V2=2.0V、SL=1.0Vとなるので、抵抗変化型素子R1には順方向電流が流れ、抵抗変化型素子R2には逆方向電流が流れ、抵抗変化型R1は低抵抗で“0”が書き込まれた状態となり、抵抗変化型素子R2は高抵抗で“1”が書き込まれた状態となる。
【0057】
抵抗変化型素子R1およびR2として、非特許文献1に記載の素子を用いた場合は、抵抗変化型素子R1およびR2の各々に対する印加電圧を0.5V以上確保できれば書き込みが行われ、そのとき抵抗変化型素子に流れる電流は49μAとなる。
【0058】
次に、不揮発性記憶部20から揮発性記憶部10へデータ転送を行うリコール動作について説明する。不揮発性メモリセルにリコール動作を行わせる場合、ワード線WLに0Vを与えてビット線BLおよび反転ビット線BLBをオープンとし、ソース線SLに−0.3〜−0.5Vの電圧を与え、揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCを0Vから1Vまで立ち上げる。ソース線SLに負電圧を与えるのは、次の理由による。
【0059】
まず、電源電圧VDCが立ち上がって、第1および第2のインバータの出力ノードV1およびV2の電圧が上昇するときに、この出力ノードV1およびV2の電圧がNチャネルトランジスタN1およびN2の閾値電圧VthN(例えば0.3V)を越えると、NチャネルトランジスタN1およびN2がONし始める。
【0060】
ここで、NチャネルトランジスタN1およびN2がONすると、PチャネルトランジスタP1およびP2から出力される各電流が不揮発性メモリ素子21および22に流れず、NチャネルトランジスタN1およびN2に流れるため、抵抗変化型素子R1およびR2の抵抗値の大小関係の影響が第1および第2のインバータの出力ノードV1およびV2の電圧の変化となって現れず、リコール動作に支障が生じる。
【0061】
そこで、出力ノードV1およびV2の電圧がNチャネルトランジスタN1およびN2の閾値電圧VthNを越える前に、出力ノードV1およびソース線SL間の電圧と出力ノードV2およびソース線SL間の電圧が閾値電圧VF(=0.5V)を越えてダイオードD1b、D2bがONするように、ソース線SLに−0.3V〜―0.5V程度の負電圧を与えるのである。
【0062】
不揮発性記憶部20が“1”を記憶しており、抵抗変化型素子R1が高抵抗、抵抗変化型素子R2が低抵抗となっている場合、電源電圧VDCが0Vから1.0Vに徐々に変化すると、NチャネルトランジスタN1およびN2はOFFしているので、出力ノードV1およびV2がPチャネルトランジスタP1およびP2を介して充電される。
【0063】
ここで、ソース線SLの電圧SLが、VthN−VF=0.3V−0.5V=−0.2Vより低い負電圧であると、NチャネルトランジスタN1およびN2がONする前に、抵抗変化型素子R1およびR2に電流が流れる。そして、この例では、SL=−0.3Vとしている。従って、電源電圧VDCを0Vから徐々に立ち上げると、出力ノードV1、V2が0.2Vまで充電されたときに、ダイオードD1b、D2bがONして抵抗変化型素子R1、R2に電流が流れる。このとき、抵抗変化型素子R1が高抵抗、抵抗変化型素子R2が低抵抗になっていると、出力ノードV1およびV2の電圧の関係がV1>V2となり、その後、電源電圧VDCがさらに高くなったときに、揮発性記憶部10であるフリップフロップの出力ノードV1がHレベル(1.0V)、出力ノードV2がLレベル(0V)となり、揮発性記憶部10に“1”がラッチされる。
【0064】
このリコール動作において、抵抗変化型素子R1およびR2に流れる電流は、非特許文献1の素子を用いれば、それぞれ10μA、15μA程度になる。
【0065】
電源電圧VDCが1.0Vに立ち上がった後は、速やかにソース線SLの電圧が0.5Vとされ、リコール動作が終了する。
【0066】
このようにリコール動作が終了したら速やかにソース線SLを0.5Vとするのが好ましいが、もし、比較的長い時間、ソース線SLを−0.3Vのままにすると、抵抗変化型素子R1に電流が流れ続けて、抵抗変化型素子R1が“1”書き込み状態になる。しかしながら、この場合、もともと抵抗変化型素子R1は“1”書き込み状態であって高抵抗であったので、再書き込みがされることになり、特に問題はない。一方、低抵抗の抵抗変化型素子R2については、その接続先である出力ノードV2が0Vなので、誤書き込みは起きない。
【0067】
不揮発性記憶部20が“0”を記憶しており、抵抗変化型素子R1が低抵抗、抵抗変化型素子R2が高抵抗となっている場合のリコール動作は次のようになる。すなわち、この場合には揮発性記憶部10の出力ノードV1に低抵抗の抵抗変化型素子R1が接続され、出力ノードV2に高抵抗の抵抗変化型素子R2が接続されて電源電圧VDCが立ち上げられるので、リコール動作後、揮発性記憶部10の出力ノードV1はLレベル、出力ノードV2はHレベルとなり、揮発性記憶部10に“0”がラッチされる。
【0068】
不揮発性メモリセルでは、例えば電源電圧VDCが1.0Vの状態において、ソース線SLの電圧を0.5Vとすることにより、不揮発性メモリ素子21および22の全てのダイオードD1a、D1b、D2a、D2bをOFFさせ、不揮発性メモリ素子21および22を揮発性記憶部10から切り離すことが可能である。この不揮発性メモリ素子21および22が切り離された状態において、揮発性記憶部10は通常のSRAMのメモリセルとして動作する。この場合の動作は通常のSRAMと同様であり、完全対称性のある、6Tr構成のSRAMとして動作する。従って、スタティックノイズマージンの広いSRAMとして動作する。
【0069】
図7は、電源電圧VDCを0.5Vの極低電圧で動作させる場合の動作条件を示す図である。抵抗変化型素子への書き込み時は、2.0Vの電源電圧VDCが必要である。一方、不揮発性メモリのチップの電源電圧は0.5Vである。そこで、昇圧回路を用いて、VDC=2.0V、SL=1.0Vとする。ストア動作の動作条件は
図6に示すものと同様である。
【0070】
次にリコール動作について説明する。リコール動作を行わせる場合、ワード線WLに0Vを与え、ソース線SLに−0.3Vを与え、揮発性記憶部10の電源電圧VDCを0Vから0.5Vに立ち上げる。不揮発性記憶部20が“1”を記憶しており、抵抗変化型素子R1が高抵抗、抵抗変化型素子R2が低抵抗となっている場合、電源電圧VDCを立ち上げると、揮発性記憶部10の出力ノードV1がHレベル、出力ノードV2がLレベルとなり、揮発性記憶部10に“1”がラッチされる。リコール動作終了後は、ソース線SLが0Vとされ、ダイオードD1a、D1b、D2a、D2bがOFFとされ、抵抗変化型素子R1、R2が揮発性記憶部10から分離される。
不揮発性記憶部20が“0”を記憶している場合のリコール動作も同様である。
【0071】
揮発性記憶部10をSRAMのメモリセルとして読み出し、書き込みを行わせる場合は、VDD=VDC=0.5V、SL=0Vとする。これによりダイオードD1a、D1b、D2a、D2bがOFFとされ、抵抗変化型素子R1、R2が揮発性記憶部10から分離され、通常のSRAMとしての動作が可能になる。
【0072】
<不揮発性メモリの実施形態>
図8はこの発明の一実施形態である不揮発性RAMの構成を示すブロック図である。この不揮発性RAMのメモリ容量は、64Mbit(4M×16bit)である。通常のSRAMの機能ブロックに加えて、抵抗変化型素子へのストア、抵抗変化型素子からのリコールの制御を行うために、制御信号STRおよびRCLを受け付ける機能、昇圧回路、降圧回路を含む電源制御回路500が設けられている。この例では、STR=Hレベルでストア動作を行い、RCL=Hレベルでリコール動作を行う構成となっている。
【0073】
図9は本実施形態による不揮発性RAMの具体的な構成例を示すブロック図である。
図9において、メモリセルアレイ100は、行列状に配列された不揮発性メモリセルMjk(j=0〜m、k=0〜n)により構成されている。このメモリセルアレイ100の各行j(j=0〜m)に沿ってワード線WLj(j=0〜m)およびソース線SLj(j=0〜m)が配線されている。また、メモリセルアレイ100の各列k(k=0〜n)に沿ってビット線BLkおよび反転ビット線BLkB(k=0〜n)が配線されている。そして、各行jに対応したワード線WLjおよびソース線SLjと、各列kに対応したビット線BLkおよび反転ビット線BLkBとの交差部に対応付けて不揮発性メモリセルMjkが各々配置されている。
【0074】
行デコーダ200は、メモリセルアレイ100の各行j(j=0〜m)に対応した行選択回路200−j(j=0〜m)により構成されている。各行jに対応した行選択回路200−jは、メモリセルアレイ100の当該行jに属する各不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)に対して電源電圧VDCjを出力するとともに、行選択電圧をワード線WLjに、ソース電圧をソース線SLjに出力する。
【0075】
列デコーダ300は、メモリセルアレイ100の各列k(k=0〜n)に対応した列選択回路300−k(k=0〜n)により構成されている。カラムスイッチ400は、Nチャネルトランジスタである列選択トランジスタCGkおよびCGkB(k=0〜n)により構成されている。ここで、列選択トランジスタCGk(k=0〜n)は、データ線DLとメモリセルアレイ100のビット線BLk(k=0〜n)との間に各々介挿され、列選択トランジスタCGkB(k=0〜n)は、反転データ線DLBとメモリセルアレイ100の反転ビット線BLkB(k=0〜n)との間に各々介挿されている。各列kに対応した列選択回路300−kは、列アドレスが当該列kを示す場合にHレベルの列選択信号COLkを当該列kに対応した列選択トランジスタCGkおよびCGkBの各ゲートに供給し、列選択トランジスタCGkおよびCGkをONさせ、当該列kに対応したビット線BLkおよび反転ビット線BLkBをデータ線DLおよび反転データ線DLBに各々接続する。
【0076】
電源制御回路500は、メモリセルアレイ100内の揮発性記憶部10に電源電圧VDCj(j=0〜m)として供給する電圧VDCおよびVSS、ソース線SLj(j=0〜m)に対して供給する電圧VSLおよびVBBを発生し、行デコーダ200に供給する回路である。
【0077】
センスアンプ600は、データ線DLおよび反転データ線DLBを介してメモリセルアレイ100内の任意の不揮発性メモリセルMjkの揮発性記憶部10からデータを読み出し、増幅して出力するアンプである。出力バッファ700は、センスアンプ600からの出力信号をチップ外部にデータDoutとして出力するための出力回路である。
【0078】
書込回路800は、書き込みデータDinに応じた電圧をデータ線DLおよびDLBに出力する回路である。この書込回路800の出力部は、出力ディセーブル機能を有する3ステートバッファにより構成されており、メモリセルアレイ100からのデータ読み出しを行うリードサイクルでは、書込回路800の出力部はディセーブル状態とされ、データ線DLおよび反転データ線DLBから切り離される。なお、
図9では、図面が煩雑になるのを防ぐため、I/O(Din、Dout)が1ビットのみが示されているが、実際には、16個のメモリアレイ100と、16ビット分のI/O(Din、Dout)が設けられている。
【0079】
また、本実施形態では、抵抗変化型素子へのデータ書き込み(ストア)および抵抗変化型素子からのデータの読み出し(リコール)は、行方向に共通に接続された不揮発性メモリセルM00〜M0nについて同時に行うページモードに設定している。
【0080】
メモリセルアレイ100の最小単位は、高速性、メモリ容量の規模にもよるが、一般的には、例えば、m+1=1024、n+1=512として、512Kビット位に分割する。本例の場合には、メモリ容量が64Mビットなので、この最小メモリセルアレイ100を128個設けることになる。
【0081】
図10は本実施形態における電源制御回路500の構成例を示すブロック図である。この図に示すように、電源制御回路500は、制御回路501と、昇圧回路502と、降圧回路503と、負電圧回路504と、出力調整回路505とを有する。昇圧回路502は、制御回路501による制御の下、この不揮発性RAMのチップに対する電源電圧を昇圧して出力する。降圧回路503は、制御回路501による制御の下、この不揮発性RAMのチップに対する電源電圧を降圧して出力する。負電圧回路504は、制御回路501による制御の下、この不揮発性RAMのチップに対する電源電圧から負電圧を発生して出力する。制御回路501は、パワーオンパルスPON、制御信号STRおよびRCLに基づき、出力調整回路500に昇圧回路502、降圧回路503、負電圧回路504の各出力電圧を選択させ、行デコーダ200に対して電圧VDC、VDS、VSL、VBBとして供給させる。
【0082】
図11は本実施形態による不揮発性RAMの動作を示すタイムチャートである。以下、このタイムチャートを参照し、本実施形態の動作を説明する。この例において、不揮発性RAMは
図6に示す動作条件に従って動作している。期間t1において、不揮発性RAMにおけるメモリセルアレイ100は、1.0Vの電源電圧VDCを受け、SRAMとして動作している。期間t2では、メモリセルアレイ100においてストア動作が行われている。期間t3では、電源電圧VDCが遮断されている。
【0083】
メモリセルアレイ100にストア動作を行わせる場合、制御信号STRがHレベルに立ち上げられる。これにより出力調整回路505は、行デコーダ200に供給する電源電圧VDCを1.0Vから昇圧回路502の出力電圧である2.0Vに切り換え、電圧VDSをチップの電源電圧1.0Vに切り換える。また、図示は省略したが、STR=Hレベルの状態において、出力調整回路505は、行デコーダ200に対し、降圧回路503の出力電圧である0.5Vを電圧VSLとして供給し、チップの電源電圧である1.0Vを電圧VBBとして供給する。
【0084】
制御信号STRがHレベルである場合、各行jに対応した行選択回路200−jは、行アドレスADDXが当該行jを示さない場合、当該行jに対応した電源電圧VDCjをVDS=1.0Vとし、ソース線SLjに対する電圧をVSL=0.5Vとする。また、各行jに対応した行選択回路200−jは、行アドレスADDXが当該行jを示す場合、当該行jに対応した電源電圧VDCjをVDC=2.0Vとし、ソース線SLjに対する電圧をVBB=1.0Vとする。
【0085】
そして、ストア動作では、行アドレスADDXが順次切り換えられる。期間t2では、最初に時間Δt1に亙って行アドレスADDXが最初の行j=0を示す行アドレスAX0に設定される。この時間Δt1の間、行選択回路200−0は、第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)に対する電源電圧VDC0をVDC=2.0Vとし、ソース線SL0にVBB=1.0Vを印加する。この結果、第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)では、揮発性記憶部10の記憶データが不揮発性記憶部20に書き込まれる。一方、第0行以外の各行に対応した行選択回路200−j(j=1〜m)は、第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)に対する電源電圧VDCjをVDS=1.0Vとし、ソース線SLjにVSL=0.5Vを印加する。このため、これらの不揮発性メモリセルMjk(j=1〜m、k=0〜n)では、ストア動作は行われない。
【0086】
次に所定時間に亙って行アドレスADDXが次の行j=1を示す行アドレスAX1に設定される。この間は、第1行の不揮発性メモリセルM1k(k=0〜n)に対する電源電圧VDC1のみが2.0Vとされ、第1行のソース線SL1のみにVBB=1.0Vが印加される。この結果、第1行の不揮発性メモリセルM1k(k=0〜n)のみにおいてストア動作が行われる。
【0087】
以下同様であり、行アドレスADDXがAX2、AX3、〜、AXmと順次切り換えられ、全ての行の不揮発性メモリセルについてのストア動作が完了する。
【0088】
そして、ストア動作が完了し、期間t3になると、制御信号STRがLレベルとされる。これにより出力調整回路500は、行デコーダ200に供給する電圧VDC、VDSを0Vに立ち下げる。なお、図示は省略したが、このとき出力調整回路505は、行デコーダ200に供給する電圧VSLも0Vに立ち下げる。この結果、メモリセルアレイ100内の全ての揮発性記憶部10が電源遮断状態となる。
【0089】
以上のストア動作において、1行当たりの不揮発性メモリセルの個数n+1を512とすれば、1セルのストア動作に49μAの電流を要するので、1行同時にストア動作を行うのに必要な電流は25mAとなる。これは許容範囲内の電流である。
【0090】
なお、消費電流、電源電圧VDCの配線、ソース線SLの配線抵抗を考慮すると、現状では、これ以上の数の不揮発性メモリセルの同時ストア動作を行わせるのは厳しい。しかし、将来的に抵抗変化型素子の特性が改良されて、もう少し低電圧、低電流にてストア動作を行うことができれば、例えば同時ストア動作を行うセル数を1024まで拡大することは可能である。
【0091】
図12は本実施形態におけるリコール動作を示すタイムチャートである。この例でも、不揮発性RAMは
図6に示す動作条件に従って動作している。
【0092】
チップの電源電圧VDDが1.0Vに立ち上がると、この電源立ち上がりが検知されることによりパワーオンパルスPONが発生する。このパワーオンパルスPONの発生後、制御信号RCLがHレベルとなることにより、不揮発性RAMはリコールモードとなる。このリコールモードでは、行アドレスADDXが順次切り換えられる。その際、各行jに対応した行選択回路200−jは、行アドレスADDXが当該行jを示さない場合に当該行jのソース線SLjを+0.5Vとする。また、各行jに対応した行選択回路200−jは、行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjになった場合に当該行jのソース線SLjを−0.5Vとし、その後、時間Δt1だけ経過したタイミングにおいて、当該行jの不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCjを0Vから1.0Vに立ち上げる。
【0093】
図12に示す例では、リコールモード(RCL=Hレベル)において、まず、行アドレスADDXが最初の行j=0を示す行アドレスAX0となる。このようにADDX=AX0になると、第0行に対応した行選択回路200−0は、ソース線SL0を−0.5Vにする。その後、時間Δt1だけ置いて、行選択回路200−0は、第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDC0を1.0Vとする。これにより第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)では、リコール動作が行われ、不揮発性記憶部20の記憶データが揮発性記憶部10にラッチされる。
【0094】
その後、時間Δ2が経過すると、行アドレスADDXが次の行の行アドレスAX1に切り換えられる。これにより第0行の行選択回路200−0は、第0行のソース線SL0の電圧を0.5Vに戻す。
【0095】
一方、ADDX=AX1になると、第1行に対応した行選択回路200−1は、ソース線SL1を−0.5Vにする。その後、時間Δt1だけ置いて、行選択回路200−1は、第1行の不揮発性メモリセルM1k(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDC1を1.0Vとする。これにより第1行の不揮発性メモリセルM1k(k=0〜n)では、リコール動作が行われ、不揮発性記憶部20の記憶データが揮発性記憶部10にラッチされる。
【0096】
以下同様であり、行アドレスADDXが行アドレスAX2〜行アドレスAXmまで順次切り換えられ、全ての行についてのリコール動作が完了する。
その後、不揮発性RAMは通常のSRAMと同一の動作を行う。
【0097】
不揮発性記憶部20の記憶データを揮発性記憶部10にラッチさせる動作は非常に高速に行わせることが可能であり、1サイクルのリコール動作の所要時間を10ns以下にすることができる。すなわち、Δ1+Δt2<10nsとすることができる。
【0098】
従って、メモリセルアレイ100のサイズをm+1=1024、n+1=512とすると、1つのメモリセルアレイのリコール動作を完了するための所要時間は、10ns×1024行=10.2usとなる。64Mビットのメモリの場合、このメモリセルアレイが128個あるので、10.2us×128ブロック=1.3msが全メモリのリコール動作の所要時間となる。
【0099】
図13は本実施形態における行選択回路200−jの具体的構成例を示す回路図である。
図13において、NANDゲート201およびインバータ202は、行アドレスADDXが行jを表す行アドレスAXjである場合にHレベルを出力するアドレス一致検出回路を構成している。
【0100】
Pチャネルトランジスタ203と、Nチャネルトランジスタ204および206と、インバータ205は、ラッチ回路L1を構成している。ここで、Pチャネルトランジスタ203およびNチャネルトランジスタ204は、電源VDDおよび接地間に直列に介挿されている。Nチャネルトランジスタ204のゲートは、アドレス一致検出回路の出力ノードN1に接続されている。インバータ205は、Pチャネルトランジスタ203およびNチャネルトランジスタ204のドレイン同士の接続点の信号を反転して出力する。Nチャネルトランジスタ206は、インバータ205の出力ノードN2と接地との間に介挿されている。このNチャネルトランジスタ206のゲートにはパワーオンパルスPONが入力される。Pチャネルトランジスタ203のゲートには、インバータ205の出力ノードN2が接続されている。このインバータ205の出力ノードN2がラッチ回路L1の出力ノードである。
【0101】
遅延回路207は、ラッチ回路L1の出力ノードN2に発生する信号を時間Δt1だけ遅延させて出力する。インバータ208は、遅延回路207の出力信号を反転して出力する。Nチャネルトランジスタ221は、制御信号RCLがHレベルのときONとなり、インバータ208の出力信号をレベルシフタ209に供給する。Nチャネルトランジスタ222は、制御信号RCLをインバータ213によって反転した信号がHレベルのときONとなり、アドレス一致検出回路の出力ノードN1の信号をインバータ223により反転した信号をレベルシフタ209に供給する。レベルシフタ209は、Nチャネルトランジスタ221または222を介して供給される信号がLレベルである場合、出力調整回路505が出力する電圧VDCを第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCjとして出力し、同信号がHレベルである場合、出力調整回路505が出力する電圧VDSを同電源電圧VDCjとして出力する。
【0102】
NORゲート210は、制御信号STRおよびRCL信号の両方がLレベルの場合にHレベルを、それ以外の場合にLレベルを出力する。NANDゲート218は、NORゲート210の出力信号がHレベルであり、かつ、アドレス一致検出回路の出力ノードN1がHレベルである場合にLレベルを出力する。インバータ219は、NANDゲート218の出力信号がLレベルである場合、すなわち、制御信号STRおよびRCL信号の両方がLレベルであり、かつ、行アドレスADDXが行jを表す行アドレスAXjである場合に、Hレベルを第j行のワード線WLjに出力する。
【0103】
インバータ211は、NORゲート210の出力信号を反転して出力する。NANDゲート212は、インバータ211の出力信号がLレベルであり、かつ、アドレス一致検出回路の出力ノードN1の信号がHレベルである場合、すなわち、制御信号STRまたはRCL信号がHレベルであり、かつ、行アドレスADDXが行jを表す行アドレスAXjである場合にLレベルを出力し、それ以外の場合はHレベルを出力する。インバータ215は、このNANDゲート212の出力信号を反転させて出力する。Nチャネルトランジスタ216は、制御信号RCLがHレベルであるときにONとなり、インバータ215の出力信号をレベルシフタ217に入力信号として供給する。Nチャネルトランジスタ214は、制御信号RCLをインバータ213によって反転した信号がHレベルであるときにONとなり、NANDゲート212の出力信号をレベルシフタ217に入力信号として供給する。レベルシフタ217は、入力信号がLレベルである場合に出力調整回路505が出力する電圧VSLを第j行のソース線SLjに出力し、入力信号がHレベルである場合に出力調整回路505が出力する電圧VBBを同ソース線SLjに出力する。
【0104】
次に前掲
図11を参照し、ストア動作時における行選択回路200−jの動作を説明する。制御信号STRがHレベルとなってストアモードになると、出力調整回路505は、行デコーダ200に供給する電圧VDCを1.0V(VDD)から2.0Vに切り換え、電圧VDSを0Vから1.0Vに切り換える。また、図示しないが、VSL=1.0V、VBB=0.5Vとする。
【0105】
また、制御信号STRがHレベルになると、行選択回路200−jでは、NORゲート210の出力信号がLレベルとなり、ワード線WLjは常にLレベルとされる。また、制御信号STRがHレベルである期間は、インバータ211の出力信号はHレベルとなる。従って、NANDゲート212は、ノードN1の信号をレベル反転して出力する。そして、制御信号RCLがLレベルなので、NANDゲート212の出力信号はNチャネルトランジスタ214を介してレベルシフタ217に入力される。
【0106】
行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjでない場合、ノードN1はLレベルとなる。この場合、NANDゲート212は、Hレベルの信号をNチャネルトランジスタ214を介してレベルシフタ217に供給する。この結果、レベルシフタ217は、電圧VBB=0.5Vをソース線SLjに出力する。また、制御信号RCLがLレベルである場合は、Nチャネルトランジスタ222がONとなり、アドレス一致検出回路の出力ノードN1の信号(Lレベル)をインバータ223によって反転した信号(Hレベル)がNチャネルトランジスタ222を介してレベルシフタ209に供給される。従って、レベルシフタ209は、電圧VDS=1.0Vを第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCjとして出力する。
【0107】
そして、行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjになると、ノードN1がHレベルとなる。この場合、NANDゲート212は、Lレベルの信号をNチャネルトランジスタ214を介してレベルシフタ217に供給する。この結果、レベルシフタ217は、電圧VSL=1.0Vをソース線SLjに出力する。
【0108】
また、ノードN1がHレベルになると、レベルシフタ209は、第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に供給する電源電圧VDCjを電圧VDS=1.0Vから電圧VDC=2.0Vに切り換える。
【0109】
そして、所定時間が経過して行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjでなくなると、ノードN1がLレベルとなる。これによりレベルシフタ209は、第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に供給する電源電圧VDCjを電圧VDC=2.0Vから電圧VDS=1.0Vに戻す。これにより第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)ではストア動作が行われる。
他の行に対応した行選択回路200−jでも同様な動作が行われる。
【0110】
次に前掲
図12を参照して、リコール動作時における行選択回路200−jの動作を説明する。リコール動作の場合、まず、不揮発性RAMのチップの電源電圧VDDが投入される。チップへの電源電圧VDDが供給されると、図示しない電源検知回路によってパワーオンパルスPONが発生される。これによりラッチ回路L1が初期化される。すなわち、パワーオンパルスPONが発生すると、ラッチ回路L1では、Nチャネルトランジスタ206がONとなり、これによりPチャネルトランジスタ203がONとなり、インバータ205はNチャネルトランジスタ206のドレインが接続されたノードN2をLレベルとする。この結果、ラッチ回路L1は、ノードN2がLレベルである状態を保持する。
【0111】
次に、制御信号RCLがHレベルとなってリコールモードになると、出力調整回路505は、行デコーダ200に供給する電圧VDCを1.0V、電圧VDSを0V、電圧VSLを0.5V、電圧VBBを−0.5Vとする。
【0112】
また、制御信号RCLがHレベルになると、インバータ211の出力信号はHレベルとなる。従って、NANDゲート212は、ノードN1の信号を反転して出力する。そして、制御信号RCLがHレベルなので、NANDゲート212の出力信号をインバータ215により反転した信号がNチャネルトランジスタ216を介してレベルシフタ217に入力される。また、制御信号RCLがHレベルである場合、NORゲート210の出力信号がLレベルとなり、ワード線WLjはLレベルとなる。また、制御信号RCLがHレベルになると、インバータ208の出力信号がNチャネルトランジスタ221を介してレベルシフタ209に供給される。
【0113】
行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjでない場合、ノードN1はLレベルとなる。この場合、NANDゲート212は、Hレベルの信号を出力し、インバータ215はLレベルの信号をNチャネルトランジスタ216を介してレベルシフタ217に供給する。この結果、レベルシフタ217は、電圧VSL=0.5Vをソース線SLjに出力する。また、行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjになる前は、ラッチ回路L1の出力信号がLレベルであるため、インバータ208はHレベルを出力しており、この信号がNチャネルトランジスタ221を介してレベルシフタ209に供給される。従って、レベルシフタ209は、電圧VDS=0Vを第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDCjとして出力する。
【0114】
そして、行アドレスADDXが当該行jを示す行アドレスAXjになると、ノードN1がHレベルとなる。この場合、NANDゲート212は、Lレベルの信号を出力し、インバータ215はHレベルの信号をNチャネルトランジスタ216を介してレベルシフタ217に供給する。この結果、レベルシフタ217は、電圧VBB=−0.5Vをソース線SLjに出力する。
【0115】
また、ノードN1がHレベルになると、ラッチ回路L1では、Nチャネルトランジスタ204がONとなり、インバータ205はノードN2をHレベルとし、Pチャネルトランジスタ203をOFFにする。これによりラッチ回路L1は、ノードN2がHレベルである状態に転じ、以後、この状態を保持する。
【0116】
ラッチ回路L1の出力信号がHレベルになってからΔt1の時間が経過すると、遅延回路207の出力信号がLレベルからHレベルに変化する。この結果、レベルシフタ209は、第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)の揮発性記憶部10に供給する電源電圧VDCjを電圧VDS=0Vから電圧VDC=1.0Vに切り換える。これにより第j行の不揮発性メモリセルMjk(k=0〜n)ではリコール動作が行われる。
他の行に対応した行選択回路200−jでも同様な動作が行われる。
【0117】
<不揮発性メモリ素子の断面構造>
図14は本実施形態における不揮発性メモリ素子の断面構造を示す図である。この図では、前掲
図5のダイオードD1a、D1b、抵抗変化型素子R1の断面構造が示されている。
図14においてNチャネルトランジスタTRは、
図5におけるNチャネルトランジスタTa1であってもよいし、NチャネルトランジスタN1であってもよい。このNチャネルトランジスタTRのドレインの拡散層n+にコンタクトCSを介して第1メタル層1Mが接続されている。この第1メタル層1M上にダイオードD1aのカソードおよびダイオードD1bのアノードが配置されている。そして、ダイオードD1aのアノードとダイオードD1bのカソードは、第1ビアコンタクトV1を各々介して、第2メタル層2Mに接続されている。この第2メタル層2Mの上にMTJ抵抗素子R1のピン層が配置されている。そして、このMTJ素子R1のフリー層は第2ビアコンタクトV2を介して第3メタル層3Mに接続されている。この第3メタル層3Mはソース線SLである。一方、
図14の左側には、同じく拡散層から第3メタル層3Mまでを繋ぐ配線が示されている。
【0118】
この不揮発性メモリ素子の製造工程では、高温の熱工程の必要なダイオード素子D1a、D1bを先に製造したのち、抵抗変化型素子R1を製造するので、抵抗変化型素子R1は熱の影響を受けず、安定した素子特性が得られるが、メタル層1M、2M間でダイオード素子を構成するので、配線の自由度が少なくなる欠点がある。
【0119】
図15は、不揮発性メモリ素子の別の断面構造を示す。
図15に示す不揮発性メモリ素子の製造工程では、先に抵抗変化型素子R1を構成し、次にダイオードD1a、D1bを構成する。このように抵抗変化型素子R1を構成したあとで、ダイオードD1a、D1bを構成するので、余分な熱工程が抵抗変化型素子R1に加わり、特性がばらつき易いという欠点がある。しかし、
図15に示す不揮発性メモリ素子は、2つのダイオードD1a、D21bを接続する第3メタル層3Mが共通に配線するソース線SLなので、レイアウト上の自由度が広がる利点がある。
【0120】
以上説明した
図14、
図15の構成では、チップ(半導体基板)の深さ方向に沿ったP、N拡散層の並び方向が互いに逆方向であるダイオードD1aおよびD1bを同時に製造する必要があるため、複雑な製造工程が必要である。
【0121】
図16(a)、(b)および(c)に示す不揮発性メモリ素子では、チップ(半導体基板)の深さ方向に沿ってP、N拡散層が同一方向に並んだダイオードを同時に構成する。
図16(a)は不揮発性メモリ素子の平面図、
図16(b)は
図16(a)のIa−Ia’線断面図、
図16(c)は
図16(a)のIb−Ib’線断面図である。
【0122】
この例では、互いに分離された第1メタル層1M(1)、1M(2)上に、チップ(半導体基板)の深さ方向に沿ったP、N拡散層の並び方向が同一方向であるダイオードD1a、D1bが各々構成される(
図16(a)参照)。そして、第1メタル層1M(1)上のダイオードD1aはビアV1を介して第2メタル層2M(1)に接続され(
図16(c)参照)、第1メタル層1M(2)上のダイオードD1bはビアV1を介して第2メタル層2M(2)に接続される(
図16(b)参照)。また、第1メタル層1M(1)はビアV1を介して第2メタル層2M(2)に接続される(
図16(c)参照)。また、第1メタル層1M(2)はビアV1を介して第2メタル層2M(1)に接続される(
図16(b)参照)。この第2メタル層2M(1)は、前掲
図5においてダイオードD1aのカソードとダイオードD1bのアノードが共通接続されたノードV1に対応する。一方、第2メタル層2M(2)は、前掲
図5においてダイオードD1aのアノードとダイオードD1bのカソードが共通接続されたノードに対応する。この第2メタル層2M(2)上には抵抗変化型素子R1が構成され、この抵抗変化型素子R1はビアV2を介して第3メタル層3M(SL)に接続される。この第3メタル層3M(SL)はソース線に対応する。
【0123】
このように配置すれば、チップ深さ方向に沿ったダイオードD1a、D1bの断面構造が同じになるので、製造工程を容易にすることができ、
図16(a)に示すように、不揮発性メモリ素子のレイアウト面積を小さくすることができる。
【0124】
図17(a)、(b)および(c)は、不揮発性メモリ素子の他の構成例を示すものである。
図17(a)は不揮発性メモリ素子の平面図、
図17(b)は
図17(a)のIa−Ia’線断面図、
図17(c)は
図17(a)のIb−Ib’線断面図である。
図16に示す例では、第1メタル層〜第3メタル層を使用したが、この例ではメタル配線層として第1メタル層および第2メタル層のみを使用して不揮発性メモリ素子を構成している。
【0125】
この例においても、互いに分離された第1メタル層1M(1)、1M(2)上に、深さ方向に沿ったP、N拡散層の並び方向が同一方向であるダイオードD1a、D1bが各々構成される(
図17(a)参照)。そして、第1メタル層1M(1)上のダイオードD1aはビアV1を介して第2メタル層2M(1)に接続され(
図17(c)参照)、第1メタル層1M(2)上のダイオードD1bはビアV1を介して第2メタル層2M(2)に接続される(
図17(b)参照)。また、第1メタル層1M(1)はビアV1を介して第2メタル層2M(2)に接続される(
図17(c)参照)。この第1メタル層1M(1)および第2メタル層2M(2)は、前掲
図5においてダイオードD1aのアノードとダイオードD1bのカソードが共通接続されたノードに対応する。また、第1メタル層1M(2)はビアV1を介して第2メタル層2M(1)に接続される(
図17(b)参照)。この第2メタル層2M(1)および第1メタル層1M(2)は、前掲
図5においてダイオードD1aのカソードとダイオードD1bのアノードが共通接続されたノードに対応する。そして、第1メタル層1M(2)上には抵抗変化型素子R1が構成され、この抵抗変化型素子R1はビアV1を介して第2メタル層2M(SL)に接続される。この第2メタル層2M(SL)はソース線に対応する。
【0126】
このような構成にすれば、小さい面積で、第2メタル層までの配線にて不揮発性メモリ素子を構成することができる。なお、
図17(a)〜(c)では第1メタル層1(M2)の上に抵抗変化型素子R1を載せたが、第1メタル層1M(1)を水平方向に延ばして、その上に逆極性の抵抗変化型素子R1を載せ、その上に第2メタル層2M(SL)を載せてもよい。
【0127】
<不揮発性メモリの他の実施形態>
図18はこの発明の他の実施形態である不揮発性メモリのストア動作を示すタイムチャートである。また、
図19は同実施形態の動作条件を示す図である。本実施形態は、
図9に示す不揮発性メモリにおいて、VDC=1.0Vの低電圧でストア動作を行わせるようにしたものである。さらに詳述すると、本実施形態では、電源電圧VDCとソース電圧SLに2ステップでストア電圧を印加して、R1とR2それぞれに、2ステップでストアを行なう方式である。
【0128】
制御信号STRがHレベルとなり、ストアモードになると、出力調整回路505は、行デコーダ200に供給する電圧VDCを0.5Vから1Vに上昇させる。第0行に対応した行選択回路200−0は、行アドレスADDXが第0行を示す行アドレスAX0になると、第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDC0を0.5Vとし、第0行のソース線SL0を1.0Vとする。ここで、第0行に属する例えば不揮発性メモリセルM00の揮発性記憶部10が“1”を記憶しているものとすると、揮発性記憶部10の出力ノードV1は0.5V、出力ノードV2は0Vとなっている。従って、ソース線SL0の電圧を1.0Vにすると、ソース線SL0および出力ノードV1間の電圧は0.5Vであるため、不揮発性メモリ素子21には電流が流れない。従って、不揮発性メモリ素子21の記憶データは変化しない。一方、ソース線SL0および出力ノードV2間の電圧は1.0Vであるため、ソース線SLおよび出力ノードV2間の不揮発性メモリ素子22の抵抗変化型素子R2にはフリー層からピン層に向かう電流が流れる。この結果、抵抗変化型素子R2は低抵抗化する。
【0129】
行アドレスADDXが第0行を示す行アドレスAX0になってからΔt1の時間が経過すると、第0行に対応した行選択回路200−0は、第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)の揮発性記憶部10に対する電源電圧VDC0を1.0Vとし、第0行のソース線SL0を0Vとする。この結果、時間Δt1の後の時間Δt2の間、揮発性記憶部10の出力ノードV1は1.0V、出力ノードV2は0Vとなる。この場合、ソース線SL0および出力ノードV2間の電圧は0Vであるため、不揮発性メモリ素子22には電流が流れない。従って、不揮発性メモリ素子22の記憶データは変化しない。一方、ソース線SL0および出力ノードV1間の電圧は−1.0Vであるため、ソース線SLおよび出力ノードV1間の不揮発性メモリ素子21の抵抗変化型素子R1にはピン層からフリー層に向かう電流が流れる。この結果、抵抗変化型素子R1は高抵抗化する。
【0130】
このようにして不揮発性メモリセルM00の不揮発性記憶部20に揮発性記憶部10の記憶データ“1”が書き込まれる。第0行に属する他の不揮発性メモリセルM0k(k=1〜n)においても同様な動作が行われる。
【0131】
時間Δt2の期間が終了すると、行アドレスADDXが第1行を示す行アドレスAX1となる。そして、第0行と同様なストア動作が行われる。
【0132】
以下同様であり、行アドレスADDXが第2行を示す行アドレスAX2から第m行を示す行アドレスAXmまで切り換えられ、全行についてのストア動作が行われる。
【0133】
このように本実施形態では、行アドレスADDXが第j行を示す行アドレスAXjとなる期間の前半のΔt1の期間は、第0行の不揮発性メモリセルM0k(k=0〜n)において、揮発性記憶部20の出力ノードV1またはV2のうちLレベルとなっている方の出力ノードに接続された不揮発性メモリ素子の抵抗変化型素子が低抵抗化され、後半のΔt2の期間は、揮発性記憶部20の出力ノードV1またはV2のうちHレベルとなっている方の出力ノードに接続された不揮発性メモリ素子の抵抗変化型素子が高抵抗化され、ストア動作が行われる。
【0134】
従って、本実施形態によれば、不揮発性RAMを低い電源電圧VDC=1.0Vで動作させてストア動作を行わせることができる。
【0135】
<他の実施形態>
以上、この発明の各種実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0136】
(1)
図5の不揮発性メモリセルにおいて、ダイオードD1aおよびD1b(D2aおよびD2b)と抵抗変化型素子R1(R2)の位置関係を逆にしてもよい。
【0137】
(2)上記各実施形態では、ストア時、リコール時に、行アドレスを不揮発性RAMの外部から与え、この行アドレスを外部から切り換えることにより行単位でのストアおよびリコールを行った。しかし、そのようにする代わりに、例えばカウンタ等により順次変化する行アドレスを出力する行アドレス発生手段を不揮発性RAM内に設け、この行アドレス発生手段が出力する行アドレスを利用してストアおよびリコールを行うようにしてもよい。
【0138】
(3)上記各実施形態では、RAMセルアレイの全セルを揮発性記憶部と不揮発性記憶部からなる不揮発性メモリセルにより構成した。しかし、そのようにする代わりに、RAMセルアレイの一部の領域を不揮発性メモリセルにより構成し、残りの領域を通常のSRAMのメモリセルにより構成してもよい。すなわち、SRAMの全メモリ空間のうち一部の領域のみをストアおよびリコールの可能な領域にするのである。