特許第6102469号(P6102469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ トーヨーカラー株式会社の特許一覧

特許6102469分散組成物、塗料組成物、塗膜、および着色物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102469
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】分散組成物、塗料組成物、塗膜、および着色物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20170316BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D7/12
【請求項の数】11
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-94648(P2013-94648)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-156578(P2014-156578A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-6492(P2013-6492)
(32)【優先日】2013年1月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西中 健
(72)【発明者】
【氏名】大川 真弘
(72)【発明者】
【氏名】大泉 哲朗
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−207865(JP,A)
【文献】 特開平04−283275(JP,A)
【文献】 特開平06−172128(JP,A)
【文献】 特開平06−192038(JP,A)
【文献】 特開平08−283495(JP,A)
【文献】 特開2006−131887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
C09D 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
群青(A)、黒色無機顔料(B)(ただしカーボンブラックを除く)、樹脂(C)、および分散媒(D)を含んでなる、金属、木、ガラスまたは樹脂の基材を塗工するための塗料用分散組成物であって、分散媒(D)が、有機溶媒からなる分散媒であり、群青(A)/黒色無機顔料(B)の重量比が、80/20〜4.3/95.7であり、黒色無機顔料(B)が、金属酸化物からなる黒色無機顔料であることを特徴とする塗料用分散組成物。
【請求項2】
黒色無機顔料(B)が、鉄黒(C.I.ピグメントブラック11)またはC.I.ピグメントブラック33である請求項記載の塗料用分散組成物。
【請求項3】
群青(A)のD50平均粒子径が、0.1〜1μmであり、黒色無機顔料(B)のD50平均粒子径が0.1〜1μmあることを特徴とする請求項1または2記載の塗料用分散組成物。
【請求項4】
群青(A)のD99平均粒子径が、1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の塗料用分散組成物。
【請求項5】
黒色無機顔料(B)のD99平均粒子径が、1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の塗料用分散組成物。
【請求項6】
さらに、分散剤(E)を含んでなる請求項1〜いずれか記載の塗料用分散組成物。
【請求項7】
分散剤(E)が、樹脂型分散剤である請求項記載の塗料用分散組成物。
【請求項8】
請求項1〜いずれか記載の塗料用分散組成物と硬化剤(F)を含んでなる塗料組成物。
【請求項9】
請求項1〜いずれか記載の塗料用分散組成物または請求項記載の塗料組成物から形成されてなる塗膜。
【請求項10】
前記塗膜の明度(L値)が、22.0以下であることを特徴とする請求項記載の塗膜。
【請求項11】
基材と、請求項または10記載の塗膜とを備えた着色物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高表面抵抗率および高漆黒性であって、さらに貯蔵安定性が良好な分散組成物とその塗料組成物、塗膜、着色物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮光性および耐候性の優れた黒色顔料としてはカーボンブラックが主に用いられていた。しかし、カーボンブラックは漆黒性が不十分であること、塗膜の表面抵抗率が低いという問題があった。漆黒性に関しては、カーボンブラックは一般に赤味がかった黒色であるため、フタロシアニン顔料などの青色顔料(ブルーイング剤)の添加によって漆黒性を高める方法が提案されている(特許文献1)。しかし、フタロシアニン顔料を用いた場合、貯蔵安定性が悪く、分散組成物として十分ではなかった。
【0003】
また、近年、都市部においてはコンクリート等の人工建造物からの放射熱やエアコンの室外機から排気される熱風などにより、特に夏場において屋外温度は著しく上昇し、ヒートアイランド現象と呼ばれる問題が社会問題化している。これに呼応して建築物内部においては屋内温度を維持するために更なる冷房の使用によって多くの消費電量を増加させるだけでなく、室外機からの排気によって屋外の温度上昇を加速する結果になっている。
【0004】
建築物の温度上昇を抑制する方法として屋根、屋上、外壁等の建築物外装面基材に遮蔽塗料を使用する方法が知られている。一方、自動車車内の温度上昇を抑制する方法としても車内の部材に遮蔽塗料を使用する方法が知られている。そのような遮熱塗料としては、以下のような提案がなされている。例えば、上塗り塗料として太陽熱反射率が一定値以上の有機顔料を組み合わせることで加法混色によりカーボンに近似した低明度の遮蔽塗料が提案されている(特許文献2)。また、酸化鉄レッドと有機顔料を組み合わせることで加法混色によりカーボンに近似した低明度の遮蔽塗料が提案されている(特許文献3)。しかし、これら特許文献2、3の遮熱塗料は、耐候性の点において劣る有機顔料を使用しているために、経時劣化により、光沢の低下や色相の変化が起こる問題があった。
【0005】
また、一部の用途分野においては、帯電防止効果の高い(すなわち高い表面抵抗率を有する)優れた耐候性と漆黒性を有する塗膜や、それを形成するための分散組成物や塗料の需要が高まっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−167654号公報
【特許文献2】特開平5−293434号公報
【特許文献3】特開2009−286862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐候性、高い漆黒性を有し、貯蔵安定性に優れた塗料用分散組成物を提供することである。また、各種ディスプレイに使用するカラーフィルタ用ブラックマトリックスや、自動車用塗料等の分野において、高い表面抵抗率(帯電防止効果)を上記耐候性、漆黒性及び貯蔵安定性と同時に満足することができる塗膜や着色物、また、遮熱塗料の分野において、簡便な方法で製造でき、赤外線を透過しやすいため太陽光により過熱しにくい塗膜や着色物を形成することができる塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、群青(A)と黒色無機顔料(B)を組み合わせた貯蔵安定性に優れた塗料用分散組成物と、それを使用して得られる塗膜、着色物が、優れた耐候性、高い漆黒性を有し、さらには高い表面抵抗率(帯電防止効果)、赤外線透過性(日射反射性)に優れることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、群青(A)、黒色無機顔料(B)(ただしカーボンブラックを除く)、樹脂(C)、および分散媒(D)を含んでなる、金属、木、ガラスまたは樹脂の基材を塗工するための塗料用分散組成物であって、分散媒(D)が、有機溶媒からなる分散であり、群青(A)/黒色無機顔料(B)の重量比が、80/20〜4.3/95.7であり、黒色無機顔料(B)が、金属酸化物からなる黒色無機顔料であることを特徴とする塗料用分散組成物に関する。
【0011】
また、本発明の実施態様は、黒色無機顔料(B)が、鉄黒(C.I.ピグメントブラック11)またはC.I.ピグメントブラック33である前記塗料用分散組成物に関する。
【0012】
また、本発明の実施態様は、群青(A)のD50平均粒子径が、0.1〜1μmであり、黒色無機顔料(B)のD50平均粒子径が0.1〜1μmである前記塗料用分散組成物に関する。
【0013】
また、本発明の実施態様は、群青(A)のD99平均粒子径が、1〜10μmである前記塗料用分散組成物に関する。
【0014】
また、本発明の実施態様は、黒色無機顔料(B)のD99平均粒子径が、1〜10μmである前記塗料用分散組成物に関する。
【0015】
また、本発明の実施態様は、さらに、分散剤(E)を含んでなる前記塗料用分散組成物に関する。
【0016】
また、本発明の実施態様は、分散剤(E)が、樹脂型分散剤である前記塗料用分散組成物に関する。
【0017】
また、本発明の実施態様は、前記塗料用分散組成物と硬化剤(F)を含んでなる塗料組成物に関する。
【0018】
また、本発明の実施態様は、前記塗料用分散組成物または塗料組成物から形成されてなる塗膜に関する。
【0019】
また、本発明の実施態様は、前記塗膜の明度(L値)が、22.0以下である前記塗膜に関する。
【0020】
また、本発明の実施態様は、基材と、前記塗膜とを備えた着色物に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、貯蔵安定性、漆黒性および耐候性に優れる塗料用分散組成物、黒色塗料組成物を提供することができる。更には、高い表面抵抗率(帯電防止効果)を持つ黒色塗料用分散組成物、黒色塗料組成物、および塗膜を提供できる。これらは、漆黒性と高い表面抵抗率が要求される各種ディスプレイに使用するカラーフィルタ用ブラックマトリックスや、自動車用内外装塗料等の分野で有用である。また、本発明は、更に赤外線透過性に優れる黒色塗料用分散組成物を提供することができるため、漆黒性と高い赤外線透過性が要求される遮蔽塗料等の分野で有用である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。尚、特に断りのない限り、本明細書における「C.I.」とは、カラーインデックス(C.I.)を意味する。また、本明細書において、「黒色無機顔料」とは、カーボンブラックではない黒色無機顔料を意味する。
【0023】
<群青(A)>
本発明で使用される群青(A)は、C.I.ピグメントブルー29で表わされる顔料であり、この範囲において特に限定されるものではない。「ウルトラマリン」という呼称でも知られ、硫黄を含んだケイ酸ナトリウムの錯体であり、化学組成は、Na8-10Al6Si6242-4であるが、代表的な組成は、Na6(Al6Si624)・2NaS3が知られている。具体的には、グンジョウ8600P(第一化成工業社製)、ED−05S(第一化成工業社製)、ED−10S(第一化成工業社製)、Nubix G58、Nubix EP62、Nubcoat HWR(以上、Nubiola社製)、Ultramarin Blue 07T、Ultramarin 17、Ultramarin 32T、Ultramarin 51T、Ultramarin 56、Ultramarin 57Ultramarin 62Ultramarin 63/05、Ultramarin 74、Ultramarin 75、Ultramarin 91(以上、Holliday Pigments社製)などが挙げられる。
【0024】
赤外線透過性の観点からは、群青(A)は、D50平均粒子径が0.1〜1μmが好ましい。当該範囲内であることで、後述する黒色無機顔料(B)との組み合わせにより赤外線を透過しやすく、太陽光により加熱しにくい塗膜が形成できる。なおD50平均粒子径とは、積算値が50%である粒度の直径の平均粒径のことである。
【0025】
また、群青(A)は、D99平均粒子径が1〜10μmであることが好ましく、1〜4μmがより好ましい。当該範囲内であることで、黒色無機顔料(B)との組み合わせ効果をより高めることができる。なおD99平均粒子径とは、積算値が99%である粒度の直径の平均粒径のことである。
【0026】
<黒色無機顔料(B)>
本発明で使用される黒色無機顔料(B)としては、可視光領域(波長400〜800nm)の光を吸収しつつ、赤外光の吸収による温度上昇が起こらない性質が求められることから、カーボンブラックではない黒色無機顔料があげられ、そのようなものとしては、金属酸化物、金属硫化物、金属ケイ化物等の黒色無機顔料が挙げられるが、金属酸化物からなる黒色無機顔料が好ましい。金属酸化物からなる黒色無機顔料とは、具体的には、4〜11族かつ第4周期の金属群(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu)から選択されるいずれか1種の金属の酸化物や、上記金属群から選択される2種以上の金属を含有する酸化物を主成分として含有する黒色無機顔料が挙げられる。前述の金属群から選択された2種以上の複合金属酸化物としては、例えば、Mn−Cu、Cr−Mn、Cu−Cr、Ni−Cu、Cr−Fe、Fe−Co、Fe−Cu、Fe−Mn、Ti−Mn−Cu、Mn−Fe−Cu、Co−Fe−Cr、Cr−Mn−CuおよびCr−Cu−Fe等を含有する酸化物が挙げられる。
【0027】
したがって、具体的には、酸化鉄(Fe23)、四酸化三鉄(Fe34)、酸化コバルト(CoO)、酸化コバルト(II)、Co23(H2O)、酸化コバルト(III)、Co34、、酸化二コバルト(III)コバルト(II)、酸化クロム(Cr23)、酸化マンガン(MnO2)、酸化銅(CuO)、酸化アルミニウム、酸化ニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の金属酸化物である黒色無機顔料が挙げられる。また、酸化鉄・酸化クロム・酸化アルミニウムの混合物、酸化鉄・酸化クロム・酸化ニッケル・酸化コバルトの混合物、酸化鉄・酸化クロム・酸化コバルト・酸化アルミニウムの混合物、酸化鉄・酸化マンガンの混合物および前記各混合物を主成分として含有する黒色無機顔料が挙げられる。上記の黒色無機顔料は、何れかを単独で用いてもよく、二種類以上を併せて用いてもよい。上記のうち、酸化鉄、酸化マンガンやそれらの混合物を主成分として含有する黒色無機顔料が好ましく用いられる。
【0028】
本発明で使用される黒色無機顔料は、カラーインデックスでいえば、C.I.ピグメントブラック11、12、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、28、29、30、33、34、35等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブラック11、12、13、14、15、26、29、30、33、35が挙げられ、より好ましくは、C.I.ピグメントブラック11、14、15、29、33、35が挙げられ、特に好ましくは、C.I.ピグメントブラック11、33が挙げられる。
【0029】
C.I.ピグメントブラック11は、この範囲において特に限定されるものではない。一般には、「鉄黒」として知られている四酸化三鉄(Fe34)を主成分とする黒色無機顔料である。具体的には、BAYFEROX(登録商標) 306、318、318G、318M、318MB、320、330、330C、340、360、360Z、365GP(以上、LANXESS社製)、TAROX BL−100、BL−50、ABL−205、BL−10、BL−SP(以上、チタン工業株式会社製)などが挙げられる。
【0030】
C.I.ピグメントブラック33は、この範囲において特に限定されるものではない。一般には、酸化鉄(Fe23)を主成分とし、酸化マンガン(MnO)を含む黒色無機顔料である。製造上の理由により、微量の酸化アルミニウムと酸化ケイ素を含むことがある。具体的には、BAYFERROX(登録商標)306(LANXESS社製)、PIirox(登録商標)B5T(ピグメント・インターナショナル社製)等が挙げられる。
【0031】
黒色無機顔料(B)は、D50平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。当該範囲内であることで、塗膜内で群青(A)と黒色無機顔料(B)を均一に分散しやすくなる。
【0032】
また、黒色無機顔料(B)は、D99平均粒子径が1〜10μmであることが好ましく、1〜4μmがより好ましい。当該範囲内であることで、黒色無機顔料(B)との組み合わせ効果をより高めることができる。
【0033】
漆黒性、耐候性、および赤外線透過性を両立させる観点から、群青(A)/黒色無機顔料(B)の好ましい重量比率は、80/20〜4.3/95.7であり、より好ましくは、70/30〜25/75であり、さらに好ましくは、55/45〜35/65であり、特に好ましくは、45/55〜35/65である。
【0034】
上記、群青(A)や黒色無機顔料(B)は、シリカ等の無機材料で被覆されていたり、アルコキシシラン等のシランカップリング剤によって表面処理されていても良い。
【0035】
本発明では、色調を調整するために、以下に示す他の顔料を併用することが可能である。
【0036】
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、176、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272、279等が挙げられる。
【0037】
緑顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等が挙げられる。
【0038】
青顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
【0039】
黄顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、184、185、187、188、193、194、198、199、213、214等が挙げられる。
【0040】
紫顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。
【0041】
<樹脂(C)>
本発明で使用できる樹脂(C)は、大別すると、天然高分子樹脂と合成高分子樹脂に分類され、特に限定されるものではない。具体的には、天然高分子樹脂としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのたんぱく質類、アラビアゴム、トラガントゴム、キサンタンガムなどの天然ゴム類、サポニンなどのグルコシド類、アルギン酸およびアルギン酸プロピレングルコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体やシェラック樹脂などが挙げられる。
【0042】
合成高分子樹脂の例としては、アクリル系共重合体、スチレン・アクリル酸系共重合体、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリルカリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレンアクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン‐無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体およびこれらの塩などが挙げられる。
【0043】
樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、繊維強化樹脂、フッ素樹脂、セルロース樹脂、アクリルエマルジョン等が好ましい。これらの中でもアクリル樹脂がより好ましい。アクリル樹脂の例としては、メラミン硬化性アクリル樹脂、自己架橋アクリル樹脂、ポリイソシアネート硬化性アクリル樹脂、湿気硬化型シリコン・アクリル樹脂などが挙げられ、具体的には、三菱レイヨン社製ダイヤナールシリーズ、DIC社製アクリディックシリーズ、日立化成社製ヒタロイドシリーズなどが挙げられる。
【0044】
前述の樹脂(C)は1種または2種以上併用しても良く、塗料用分散組成物中での配合量は特に限定されるものではないが、群青(A)と黒色無機顔料(B)の総和に対して2〜5000重量%が好ましく、より好ましくは5〜900重量%である。
【0045】
<分散媒(D)>
本発明における分散媒(D)としては、有機溶媒からなる分散媒が挙げられるが、ケトン類、エステル類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒を使用することが好ましい。具体的には、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピ
ル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸3−エトキシエタノール、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸メトキシプロピル、プロピオン酸メトキシブチル、プロピオン酸セロソルブ、プロピオン酸アミル、プロピオン酸3−エトキシエタノール、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸メトキシプロピル、酪酸メトキシブチル、酪酸セロソルブ、酪酸アミル、酪酸3−エトキシエタノール、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチ
ル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸メトキシプロピル、イソ酪酸メトキシブチル、イソ酪酸セロソルブ、イソ酪酸アミル、イソ酪酸3−エトキシエタノール、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、1−メトキシプロピル−2−アセテートなどが挙げられる。アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール
、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、などが挙げられる。エーテル類としては、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジオキサンなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、スチレンなどが挙げられる。
更には、必要に応じて、上記以外の有機溶媒を併用することもできる。これらには例えば、石油ベンジン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサなどが挙げられる。 上記の有機溶媒は、所望する塗料用分散組成物や塗料組成物を得る目的で、1種のみ使用しても、2種以上を混合して使用しても差し支えない。
【0046】
<分散剤(E)>
群青(A)および黒色無機顔料(B)等の顔料は、分散剤を使用して塗料用分散組成物としてから使用することが好ましい。
本発明に用いられる分散剤(E)として、界面活性剤または樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性に分類され、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。好ましくは、樹脂型分散剤である。
【0047】
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
【0048】
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩などが挙げられる。
【0049】
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルなどが挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等などが挙げられる。
【0050】
界面活性剤の選択に際しては1種類に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤など、2種以上の界面活性剤を併用して使用することも可能である。その際の配合量は、それぞれの活性剤成分に対して前述した配合量とすることが好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の併用が良く、アニオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸塩、ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
【0051】
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、群青、黒色無機顔料に吸着する性質を有する親和性部位と、分散媒との相溶性部位とを有し、群青、黒色無機顔料に吸着して分散媒中での分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン;ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル;不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物;ポリエステル系樹脂、変性ポリアクリレート系樹脂、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系樹脂等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0052】
上記分散剤のうち少量の添加量で塗料用分散組成物の粘度が低くなり、高い分光透過率を示すという理由から、ポリカルボン酸のような酸性官能基を有する高分子分散剤が好ましい。樹脂型分散剤は、群青、黒色無機顔料全量に対して3〜200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0053】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等;日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等;味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0054】
<硬化剤(F)>
本発明で使用できる硬化剤(F)として、本発明の塗料用分散組成物中の樹脂の反応性官能基と反応することができる化合物が挙げられる。具体的には、使用する樹脂の種類によって異なるが、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物などが挙げられる。
【0055】
本発明における塗料用分散組成物中には、さらに組成物および塗料としての適性を付与するために種々の添加剤を配合してもよい。添加剤の種類を具体的に列挙すると、増粘剤、pH調整剤、乾燥防止剤、防腐・防かび剤、キレート剤、紫外線吸収材、酸化防止剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤等が挙げられる。

【0056】
本発明の塗料用分散組成物及び塗料組成物の調製に用いる分散装置は、従来公知の分散装置を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、サンドグラインダー、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、ナノマイザー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができる。コスト、処理能力を考えた場合、メディア型分散機を使用するのが好ましい。また、メディアとしてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ、プラスチックビーズ、チタニアビーズ等を用いることができる。塗料用分散組成物は、各顔料を一括して製造してもよいし、顔料ごとに顔料分散体を製造した後に混合することもできる。
【0057】
塗料用分散組成物と樹脂(C)及び/又は硬化剤(F)の混合方法は従来公知の方法を用いることが出来る。例えば、ディスパーマットで塗料用分散組成物を攪拌しながらバインダー樹脂を添加する。また、塗料用分散組成物の調製に引き続いてバインダー樹脂及び/又は硬化剤(F)を添加して分散してもよい。
【0058】
本発明の塗料組成物の用途は特に限定されないが、各種ディスプレイに使用するカラーフィルター用途や、自動車用途等、高い表面抵抗率が要求される用途に使用することができる。また、本発明の塗料組成物は、遮熱塗料等、赤外線透過性が要求される用途に使用することができる。遮熱塗料の場合は、被塗布物(基材ともいう)が反射した赤外線が塗膜を透過することで被塗布物の過熱を低減できる。
【0059】
<基材>
本発明の着色物は、基材に本発明の塗料組成物から形成してなる本発明の塗膜を備えていることが好ましい。具体的には、基材上に本発明の塗料組成物を塗工することで塗膜(着色層ともいう)を形成する。
【0060】
基材は、金属、木、ガラスまたは樹脂の素材が好ましく、これらの積層体でもよい。樹脂は天然樹脂でも合成樹脂でも良い。また、基材の形状は板状、フィルム状、シート状または成形体状でも良い。成形体の製造は、例えばインサート射出成形法、インモールド成形法、オーバーモールド成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法などの射出成形方法、Tダイラミネート成形法、多層インフレーション成形法、共押出成形法、押出被覆法などの押出成形法、そして多層ブロー成形法、多層カレンダー成形法、多層プレス成形法、スラッシュ成形法、溶融注型法などの成形法を使用することができる。
【0061】
基材として使用される前記金属は、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス等やこれらを含む合金、もしくは亜鉛メッキ鋼板またはアルミ亜鉛メッキ鋼板等のメッキ処理板が挙げられる。また、前記合成樹脂は、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、繊維強化樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0062】
前記塗工方法は、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等の公知の塗工方法を使用できる。着色層の厚さは1〜50μmが好ましい。
【0063】
本発明において基材は、基材が赤外線を反射しうることが好ましい。これは、当該着色層の黒色、耐候性および赤外線透過性という機能を効果的に発揮する点で好ましい。具体的には、赤外線を反射する化合物、例えば、二酸化チタンを含む樹脂や、表面が二酸化チタンを含む塗膜で形成された基材が好ましい。
【0064】
二酸化チタンは、ルチル型およびアナターゼ型が好ましく、赤外線を反射するのに適した粒径であれば、特に制限されない。また二酸化チタンは表面活性を抑制するために、SiO2等の無機物や有機物で表面処理することが好ましい。
【実施例】
【0065】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
尚、実施例中、特に断りの無い限り、「部」、「%」は、それぞれ、「重量部」、「重量%」を表す。また、「分散組成物」は、「塗料用分散組成物」を意味する。

【0066】
まず、実施例および比較例で使用した材料等を以下に示す。
【0067】
<顔料>
・群青A:グンジョウ8600P(C.I.ピグメントブルー29/第一化成工業社製、D50平均粒子径=0.6μm、D99平均粒子径=1.6μm)
・群青B:Nubix G58(C.I.ピグメントブルー29/Nubiola社製、D50平均粒子径=0.7μm、D99平均粒子径=1.8μm)
・群青C:Nubix EP62(C.I.ピグメントブルー29/Nubiola社製、D50平均粒子径=0.5μm、D99平均粒子径=1.6μm)
・黒色無機顔料A:BAYFERROX 303T(C.I.ピグメントブラック33/LANXESS社製、D50平均粒子径=0.6μm、D99平均粒子径=1.6μm)
・黒色無機顔料B:BAYFERROX 360(C.I.ピグメントブラック11/LANXESS社製、D50平均粒子径=0.7μm、D99平均粒子径=1.7μm)
・黒色無機顔料C:TAROX BL−100(C.I.ピグメントブラック11/チタン工業社製、D50平均粒子径=0.7μm、D99平均粒子径=1.8μm)
・フタロシアニンブルー:LIONOL BLUE NCB TONER(C.I.ピグメントブルー15、P.B.15)
・カーボンブラック:Raven420(C.I.ピグメントブラック7/Columbian Carbon社製)
・ペリレンブラック:PALIOGENBLACK S0084(C.I.ピグメントブラック31/BASFジャパン社製)
【0068】
<分散剤>
・BYK110(樹脂型分散剤、BYK Chemie社製)
・BYK180(樹脂型分散剤、BYK Chemie社製)
・SOLSPERSE20000(樹脂型分散剤、Lubrizol社製、以下「SP」と略記することがある。)
【0069】
<樹脂>
・ダイヤナール HR−619(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製、以下「HR」と略記することがある。)
・ダイヤナール AR−2912(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製、以下「AR」と略記することがある。)
・CAB−551−0.2(30%−酢酸ブチル/MIBK溶液、セルロースアセテートブチレート系 樹脂、イーストマン社製、以下「CAB」と略記することがある。)
【0070】
<分散媒>
・酢酸ブチル(以下「BA」と略記することがある。)
・メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」と略記することがある。)
・キシレン
・ブタノール(以下「BuOH」と略記することがある。)
・ブチルセロソルブ(以下「BC」と略記することがある。)
・酢酸メトキシブチル(以下「MBA」と略記することがある。)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(以下「DEGMEE」と略記することがある。)
・プロピレングリコールモノエチルエーテル(以下「PEGMEE」と略記することがある。)
【0071】
<硬化剤>
・R−255(日本ビーケミカル社製、イソシアネート系硬化剤)
・R−271(日本ビーケミカル社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分75質量%、NCO15.9%)
・ユーバン20SE−60(三井東圧化学社製アミノ樹脂)(以下「SE」と略記することがある。)
【0072】
<基材>
[基材A(基材の製造例1)]
二酸化チタン(テイカ社製、JR−1000)2部と熱可塑性ポリプロピレン樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピンロンS3000)98部を、予備混合した上で、2軸押出機に投入した。次いで230℃で溶融混練し、さらに押し出すことで予備分散体を得た。この予備分散体を金型へ投入し、熱プレス機にて230〜250℃で加熱溶融した後、冷却することで幅100mm、長さ100mm、厚さ2mmの赤外線を反射できる白色基材Aを得た。
【0073】
[基材B]
幅100mm、長さ100mm、厚み1mmの銅板を基材Bとして用いた。
[基材C]
幅100mm、長さ100mm、厚み1mmのアルミ板を基材Cとして用いた。
【0074】
<平均粒子径の測定方法>
実施例で使用した群青、黒色無機顔料のD50平均粒子径、D99平均粒子径の測定方法を以下に示す。
群青または黒色無機顔料 40.00g
BYK110 3.85g
ダイヤナールAR−2912 14.29g
酢酸ブチル 20.93g
MIBK 20.93g
上記成分を、ユニビーズUB2022Sと共に、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)に仕込み、充填率80%、周速10m/秒、吐出量300〜500g/分、滞留時間15分間分散して分散組成物を得た。 次いで、得られた分散組成物を酢酸ブチルで10重量倍に希釈し、サンプル溶液を得た。日機装社製Nanotrac NPA150(動的光散乱式粒子径・粒度分布測定装置)の試料セル部に酢酸ブチルを投入し、反射光パワーが測定範囲内となるよう、上記サンプル溶液を2滴加えた。測定溶媒の酢酸ブチルの屈折率は1.394、粘度は0.734cPに設定した。測定粒子が群青の場合には、光透過性粒子で屈折率は1.81、形状は非球形、密度は2.35g/cm3に、黒色無機顔料の場合には、光吸収性で形状は非球形、密度は5.117g/cm3に設定して測定した。測定後、得られた粒度分布において、粒子を細かいものから数えて粒子数が全体の50%(50個数%)に達したときの粒径をD50平均粒子径、全体の99%に達した時の粒径(99個数%)をD99平均粒子径とした。一種類のサンプル溶液について3回測定し、それぞれの平均値を平均粒子径とした。
【0075】
<分散組成物の作製>
(実施例1)
群青B 1.72部
黒色無機顔料A 38.28部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、ユニビーズUB2022S(ユニチカ株式会社製ガラスビーズ)と共に、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)に仕込み、充填率80%、周速10m/秒、吐出量300〜500g/分、滞留時間15分間分散して分散組成物1を得た。
【0076】
(実施例2)
群青B 10.32部
黒色無機顔料A 29.68部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物2を得た。
【0077】
(実施例3)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物3を得た。
【0078】
(実施例4)
群青B 16.08部
黒色無機顔料A 23.92部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物4を得た。
【0079】
(実施例5)
群青B 17.96部
黒色無機顔料A 22.04部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物5を得た。
【0080】
(実施例6)
群青B 21.24部
黒色無機顔料A 18.76部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物6を得た。
【0081】
(実施例7)
群青A 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物7を得た。
【0082】
(実施例8)
群青A 14.15部
黒色無機顔料B 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物8を得た。
【0083】
(実施例9)
群青A 14.15部
黒色無機顔料C 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物9を得た。
【0084】
(実施例10)
群青B 14.15部
黒色無機顔料B 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物10を得た。
【0085】
(実施例11)
群青B 14.15部
黒色無機顔料C 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物11を得た。
【0086】
(実施例12)
群青C 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物12を得た。
【0087】
(実施例13)
群青C 14.15部
黒色無機顔料B 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物13を得た。
【0088】
(実施例14)
群青C 14.15部
黒色無機顔料C 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物14を得た。
【0089】
(実施例15)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールHR−619 18.82部
酢酸ブチル 18.67部
MIBK 18.67部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物15を得た。
【0090】
(実施例16)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
CAB−551−0.2 26.67部
酢酸ブチル 14.74部
MIBK 14.74部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物16を得た。
【0091】
(実施例17)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物17を得た。
【0092】
(実施例18)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
MIBK 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物18を得た。
【0093】
(実施例19)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
キシレン 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物19を得た。
【0094】
(実施例20)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK180 2.00部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 21.86部
MIBK 21.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物20を得た。
【0095】
(実施例21)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
SOLSPERSE20000 2.00部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 21.86部
MIBK 21.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物21を得た。
【0096】
(実施例22)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
ダイヤナールAR−2912 17.86部
酢酸ブチル 21.07部
MIBK 21.07部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物22を得た。
【0097】
(比較例1)
群青B 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物23を得た。
【0098】
(比較例2)
黒色無機顔料A 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物24を得た。
【0099】
(比較例3)
P.B.15 20.60部
黒色無機顔料A 19.40部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物25を得た。
【0100】
(比較例4)
カーボンブラック 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物26を得た。
【0101】
(比較例5)
ペリレンブラック 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物27を得た。
【0102】
上記分散組成物に使用した材料と顔料の比率(重量比)を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
<塗料組成物の作製>
(実施例23)
分散組成物1 10.00部
ダイヤナールAR−2912 19.64部
硬化剤R−271 4.00部
上記成分を配合し、塗料組成物1を得た。
【0105】
(実施例24〜44、比較例6〜10)
分散組成物1を、表2に示すような組み合わせに変更した以外は、実施例23と同様にして、塗料組成物2〜27を得た。
【0106】
上記塗料組成物に使用した材料とその比率(重量比)を表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
<分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性>
分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性は、25℃及び50℃にて、それぞれ、1週間放置したものを目視にて観察し、下記の4段階で評価した。
◎:分離及び沈降物が認められない(極めて優れている)
○:やや分離及び沈降物が認められるが攪拌により均一になる(優れている)
△:若干分離及び沈降物が認められる(やや劣る)
×:多量に分離及び、沈降物が認められる(極めて劣る)
【0109】
以下に、分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性の結果を表3および表4に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
<塗膜の作製>
(実施例45)
実施例23で得た塗料組成物1を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、7ミルのアプリケーター(塗工時の膜厚が180〜200μm)を用いて塗布した後、乾燥して塗膜1を得た。乾燥条件は、25℃にて10分間、次いで、105℃で30分間の順で乾燥した。
【0113】
(実施例46〜66、比較例11〜15)
実施例45と同様に、塗料組成物1の代わりに、塗料組成物2〜27を用いた以外は実施例45と同様にして、塗膜2〜27を得た。
【0114】
<着色物の作製>
(実施例67)
基材Aに、塗料組成物1をスプレーガン(W-100、ANEST IWATA社製)を用いてスプレー塗装し、水平を保ったまま、室温で30分間自然乾燥した後、105℃のオーブンで30分焼成し、厚さ15μmの着色物1を得た。
【0115】
(実施例68〜88)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物2〜22をそれぞれ使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物2〜22を得た。
【0116】
(実施例89)
基材Aの代わりに、基材Bを使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物23を得た。
【0117】
(実施例90)
基材Aの代わりに、基材Cを使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物24を得た。
【0118】
(比較例16〜20)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物23〜27をそれぞれ使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物25〜29を得た。
【0119】
以下に、塗膜及び着色物の表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、および日射反射率の評価方法と、評価結果を表6および表7に示す。
【0120】
<表面抵抗率の測定と評価方法>
塗膜及び着色物の表面抵抗率は、電流計(ADC社製デジタル・エレクトロメーターTR8652)および円環式の電極を有する超高抵抗測定用試料箱(ADC社製チャンバーTR42)を用いて測定した。塗膜上に円環式電極をセットし、印加電圧1.0V、測定時間60秒で測定を行った。得られた抵抗値Rxに対して、下記式1で算出した表面抵抗率をもって評価した。
表面抵抗率は下記の4段階で評価した。
◎:1010Ω/□以上 (極めて優れている)
○:107〜109Ω/□(優れている)
△:105〜106Ω/□(やや劣る)
×:104Ω/□以下 (極めて劣る)
【0121】
式1
【数1】
【0122】
<耐候性の測定と評価方法>
塗膜及び着色物の耐候性は、キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機社製、WEL75X−HC・B・EC・S型)を用い、塗膜の面を2000時間照射した。照射前と2000時間照射後の塗膜について、塗膜面の色相をカラーメーター(日本電色社製、SE2000)を用いて測定し、下記式2で算出した色相差をもって評価した。
耐候性は下記の4段階の色相差で評価した。
◎:1.0未満 (塗膜に劣化が観察されない)
○:1.0以上3.0未満 (塗膜にやや劣化が観察されるが実用上支障ない)
△:3.0以上5.0未満 (塗膜に劣化が若干観察される)
×:5.0以上 (塗膜に大きな劣化が観察される)
【0123】
式2
【数2】
【0124】
1 :照射前の塗膜面の明度
2 :照射後の塗膜面の明度
1 :照射前の塗膜面の赤味/緑味指標
2 :照射後の塗膜面の赤味/緑味指標
1 :照射前の塗膜面の黄味/青味指標
2 :照射後の塗膜面の黄味/青味指標
【0125】
<明度(L値)の測定と評価方法>
塗膜及び着色物の明度は、スペクトロカラーメーター(日本電色工業社製、SQ−2000)を用いて、塗膜の面から明度(L値)測定した。測定は、D65光源を用い、測定波長範囲を380nm〜780nmとした。
明度は下記の4段階で評価した。明度が低いもの程、反射率が低く、漆黒性に優れる事を示す。
◎:22.0以下 (漆黒性に極めて優れている)
○:22.1〜24.0 (漆黒性に優れている)
△:24.1〜26.0 (漆黒性にやや劣る)
×:26.1以上 (漆黒性に極めて劣る)
【0126】
<目視の評価方法>
目視試験は塗膜を目視にて観察し、下記の4段階で評価した。
◎:漆黒性に極めて優れている
○:漆黒性に優れている
△:漆黒性にやや劣る
×:漆黒性に極めて劣る
【0127】
<日射反射率の測定と評価方法>
評価試料を着色層側に、分光光度計UV−3600(島津社製)と積分球付属装置ISR−240A(島津社製)を用いて、拡散反射法にて300〜2500nmの分光反射率を測定した。得られた分光反射率のデータより、JIS(日本工業規格)R3106で規定される300〜2500nmの領域における表5に示す重価係数を用いて、式3より日射反射率を算出した。日射反射率が高いと赤外線反射が良好であり、試料が過熱しにくい。
【0128】
式3
【数3】
【0129】
ρe:日射反射率(%)
ρ(λ):分光反射率
Eλ: 日射の相対分光分布
△λ: 波長間隔
【0130】
表5
【0131】
【表5】
【0132】
日射反射率(ρe)は、下記の4段階によって評価した。
◎:20%以上 (きわめて優れている)
○:15%以上、20%未満 (優れている)
△:10%以上、15%未満 (実用上問題ない)
×:10%未満 (不良)
【0133】
【表6】
【0134】
【表7】
【0135】
実施例1〜90、および比較例1〜24に示されるように、本発明の分散組成物を用いた塗膜及び着色物は、表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、日射反射率の全ての評価結果において、実用上問題なく優れていることが明らかとなった。これに対して、顔料として群青のみを用いた場合(比較例11、16)は、耐候性、日射反射率には優れるものの、明度と目視において劣っており、顔料として黒色無機顔料のみを用いた場合(比較例12,17)は、耐候性、目視、日射反射率が劣っていることが明らかとなった。また、群青の代わりにフタロシアニンブルーを用いた場合(比較例13、18)は、表面抵抗率、耐候性、日射反射率が劣っていることが明らかとなった。顔料としてカーボンブラックを用いた場合(比較例14、19)は、表面抵抗率と日射反射率が劣っていることが明らかとなった。顔料としてペリレンブラックを用いた場合(比較例15、20)は、表面抵抗率、耐候性、明度が劣っていることが明らかとなった。
【0136】
次に、実施例101〜115で群青/黒色無機顔料の比率及び溶媒の種類を変更した。
<分散組成物の作製>
(実施例101)
群青A 28.00部
黒色無機顔料A 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物101を得た。
【0137】
(実施例102)
群青A 28.00部
黒色無機顔料B 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物102を得た。
【0138】
(実施例103)
群青A 28.00部
黒色無機顔料C 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物103を得た。
【0139】
(実施例104)
群青B 28.00部
黒色無機顔料A 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物104を得た。
【0140】
(実施例105)
群青B 28.00部
黒色無機顔料B 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物105を得た。
【0141】
(実施例106)
群青B 28.00部
黒色無機顔料C 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物106を得た。
【0142】
(実施例107)
群青C 28.00部
黒色無機顔料A 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物107を得た。
【0143】
(実施例108)
群青C 28.00部
黒色無機顔料B 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物108を得た。
【0144】
(実施例109)
群青C 28.00部
黒色無機顔料C 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物109を得た。
【0145】
(実施例110)
群青B 32.00部
黒色無機顔料A 8.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物110を得た。
【0146】
(以下、溶剤種変更)
(実施例111)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
ブタノール 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物111を得た。
【0147】
(実施例112)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
ブチルセロソルブ 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物112を得た。
【0148】
(実施例113)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸メトキシブチル 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物113を得た。
【0149】
(実施例114)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
DEGMEE 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物114を得た。
【0150】
(実施例115)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
PEGMEE 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物115を得た。
上記分散組成物に使用した材料と顔料の比率(重量比)を表8に示す。
【0151】
【表8】
【0152】
<塗料組成物の作製>
(実施例116〜129)
分散組成物1を、表9に示すような組み合わせに変更した以外は、実施例23と同様にして、塗料組成物101〜114を得た。上記塗料組成物に使用した材料とその比率(重量比)を表9に示す。
【0153】
【表9】
【0154】
<分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性>
前記と同様に、分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性を評価した結果を表10および表11に示す。
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
<塗膜の作製>
(実施例130〜143)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物101〜115を用いた以外は実施例45と同様にして、それぞれ塗膜101〜115を得た。
【0158】
<着色物の作製>
(実施例144〜157)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物101〜115をそれぞれ使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物101〜115を得た。
以下に、塗膜及び着色物の表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、および日射反射率の評価方法と、評価結果を表12および表13に示す。
【0159】
【表12】
【0160】
【表13】
【0161】
上記結果から明らかなとおり、本発明の分散組成物および塗料組成物を用いた塗膜、着色物は、表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、日射反射率の全ての評価結果において、実用上問題なく優れていることが明らかとなった。