【実施例】
【0065】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
尚、実施例中、特に断りの無い限り、「部」、「%」は、それぞれ、「重量部」、「重量%」を表す。
また、「分散組成物」は、「塗料用分散組成物」を意味する。
【0066】
まず、実施例および比較例で使用した材料等を以下に示す。
【0067】
<顔料>
・群青A:グンジョウ8600P(C.I.ピグメントブルー29/第一化成工業社製、D50平均粒子径=0.6μm、D99平均粒子径=1.6μm)
・群青B:Nubix G58(C.I.ピグメントブルー29/Nubiola社製、D50平均粒子径=0.7μm、D99平均粒子径=1.8μm)
・群青C:Nubix EP62(C.I.ピグメントブルー29/Nubiola社製、D50平均粒子径=0.5μm、D99平均粒子径=1.6μm)
・黒色無機顔料A:BAYFERROX 303T(C.I.ピグメントブラック33/LANXESS社製、D50平均粒子径=0.6μm、D99平均粒子径=1.6μm)
・黒色無機顔料B:BAYFERROX 360(C.I.ピグメントブラック11/LANXESS社製、D50平均粒子径=0.7μm、D99平均粒子径=1.7μm)
・黒色無機顔料C:TAROX BL−100(C.I.ピグメントブラック11/チタン工業社製、D50平均粒子径=0.7μm、D99平均粒子径=1.8μm)
・フタロシアニンブルー:LIONOL BLUE NCB TONER(C.I.ピグメントブルー15、P.B.15)
・カーボンブラック:Raven420(C.I.ピグメントブラック7/Columbian Carbon社製)
・ペリレンブラック:PALIOGENBLACK S0084(C.I.ピグメントブラック31/BASFジャパン社製)
【0068】
<分散剤>
・BYK110(樹脂型分散剤、BYK Chemie社製)
・BYK180(樹脂型分散剤、BYK Chemie社製)
・SOLSPERSE20000(樹脂型分散剤、Lubrizol社製、以下「SP」と略記することがある。)
【0069】
<樹脂>
・ダイヤナール HR−619(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製、以下「HR」と略記することがある。)
・ダイヤナール AR−2912(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製、以下「AR」と略記することがある。)
・CAB−551−0.2(30%−酢酸ブチル/MIBK溶液、セルロースアセテートブチレート系 樹脂、イーストマン社製、以下「CAB」と略記することがある。)
【0070】
<分散媒>
・酢酸ブチル(以下「BA」と略記することがある。)
・メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」と略記することがある。)
・キシレン
・ブタノール(以下「BuOH」と略記することがある。)
・ブチルセロソルブ(以下「BC」と略記することがある。)
・酢酸メトキシブチル(以下「MBA」と略記することがある。)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(以下「DEGMEE」と略記することがある。)
・プロピレングリコールモノエチルエーテル(以下「PEGMEE」と略記することがある。)
【0071】
<硬化剤>
・R−255(日本ビーケミカル社製、イソシアネート系硬化剤)
・R−271(日本ビーケミカル社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分75質量%、NCO15.9%)
・ユーバン20SE−60(三井東圧化学社製アミノ樹脂)(以下「SE」と略記することがある。)
【0072】
<基材>
[基材A(基材の製造例1)]
二酸化チタン(テイカ社製、JR−1000)2部と熱可塑性ポリプロピレン樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピンロンS3000)98部を、予備混合した上で、2軸押出機に投入した。次いで230℃で溶融混練し、さらに押し出すことで予備分散体を得た。この予備分散体を金型へ投入し、熱プレス機にて230〜250℃で加熱溶融した後、冷却することで幅100mm、長さ100mm、厚さ2mmの赤外線を反射できる白色基材Aを得た。
【0073】
[基材B]
幅100mm、長さ100mm、厚み1mmの銅板を基材Bとして用いた。
[基材C]
幅100mm、長さ100mm、厚み1mmのアルミ板を基材Cとして用いた。
【0074】
<平均粒子径の測定方法>
実施例で使用した群青、黒色無機顔料のD50平均粒子径、D99平均粒子径の測定方法を以下に示す。
群青または黒色無機顔料 40.00g
BYK110 3.85g
ダイヤナールAR−2912 14.29g
酢酸ブチル 20.93g
MIBK 20.93g
上記成分を、ユニビーズUB2022Sと共に、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)に仕込み、充填率80%、周速10m/秒、吐出量300〜500g/分、滞留時間15分間分散して分散組成物を得た。 次いで、得られた分散組成物を酢酸ブチルで10重量倍に希釈し、サンプル溶液を得た。日機装社製Nanotrac NPA150(動的光散乱式粒子径・粒度分布測定装置)の試料セル部に酢酸ブチルを投入し、反射光パワーが測定範囲内となるよう、上記サンプル溶液を2滴加えた。測定溶媒の酢酸ブチルの屈折率は1.394、粘度は0.734cPに設定した。測定粒子が群青の場合には、光透過性粒子で屈折率は1.81、形状は非球形、密度は2.35g/cm
3に、黒色無機顔料の場合には、光吸収性で形状は非球形、密度は5.117g/cm
3に設定して測定した。測定後、得られた粒度分布において、粒子を細かいものから数えて粒子数が全体の50%(50個数%)に達したときの粒径をD50平均粒子径、全体の99%に達した時の粒径(99個数%)をD99平均粒子径とした。一種類のサンプル溶液について3回測定し、それぞれの平均値を平均粒子径とした。
【0075】
<分散組成物の作製>
(実施例1)
群青B 1.72部
黒色無機顔料A 38.28部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、ユニビーズUB2022S(ユニチカ株式会社製ガラスビーズ)と共に、ビーズミル分散機(ダイノミルKDL型)に仕込み、充填率80%、周速10m/秒、吐出量300〜500g/分、滞留時間15分間分散して分散組成物1を得た。
【0076】
(実施例2)
群青B 10.32部
黒色無機顔料A 29.68部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物2を得た。
【0077】
(実施例3)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物3を得た。
【0078】
(実施例4)
群青B 16.08部
黒色無機顔料A 23.92部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物4を得た。
【0079】
(実施例5)
群青B 17.96部
黒色無機顔料A 22.04部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物5を得た。
【0080】
(実施例6)
群青B 21.24部
黒色無機顔料A 18.76部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物6を得た。
【0081】
(実施例7)
群青A 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物7を得た。
【0082】
(実施例8)
群青A 14.15部
黒色無機顔料B 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物8を得た。
【0083】
(実施例9)
群青A 14.15部
黒色無機顔料C 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物9を得た。
【0084】
(実施例10)
群青B 14.15部
黒色無機顔料B 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物10を得た。
【0085】
(実施例11)
群青B 14.15部
黒色無機顔料C 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物11を得た。
【0086】
(実施例12)
群青C 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物12を得た。
【0087】
(実施例13)
群青C 14.15部
黒色無機顔料B 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物13を得た。
【0088】
(実施例14)
群青C 14.15部
黒色無機顔料C 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物14を得た。
【0089】
(実施例15)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールHR−619 18.82部
酢酸ブチル 18.67部
MIBK 18.67部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物15を得た。
【0090】
(実施例16)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
CAB−551−0.2 26.67部
酢酸ブチル 14.74部
MIBK 14.74部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物16を得た。
【0091】
(実施例17)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物17を得た。
【0092】
(実施例18)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
MIBK 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物18を得た。
【0093】
(実施例19)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
キシレン 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物19を得た。
【0094】
(実施例20)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK180 2.00部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 21.86部
MIBK 21.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物20を得た。
【0095】
(実施例21)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
SOLSPERSE20000 2.00部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 21.86部
MIBK 21.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物21を得た。
【0096】
(実施例22)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
ダイヤナールAR−2912 17.86部
酢酸ブチル 21.07部
MIBK 21.07部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物22を得た。
【0097】
(比較例1)
群青B 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物23を得た。
【0098】
(比較例2)
黒色無機顔料A 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物24を得た。
【0099】
(比較例3)
P.B.15 20.60部
黒色無機顔料A 19.40部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物25を得た。
【0100】
(比較例4)
カーボンブラック 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物26を得た。
【0101】
(比較例5)
ペリレンブラック 40.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物27を得た。
【0102】
上記分散組成物に使用した材料と顔料の比率(重量比)を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
<塗料組成物の作製>
(実施例23)
分散組成物1 10.00部
ダイヤナールAR−2912 19.64部
硬化剤R−271 4.00部
上記成分を配合し、塗料組成物1を得た。
【0105】
(実施例24〜44、比較例6〜10)
分散組成物1を、表2に示すような組み合わせに変更した以外は、実施例23と同様にして、塗料組成物2〜27を得た。
【0106】
上記塗料組成物に使用した材料とその比率(重量比)を表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
<分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性>
分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性は、25℃及び50℃にて、それぞれ、1週間放置したものを目視にて観察し、下記の4段階で評価した。
◎:分離及び沈降物が認められない(極めて優れている)
○:やや分離及び沈降物が認められるが攪拌により均一になる(優れている)
△:若干分離及び沈降物が認められる(やや劣る)
×:多量に分離及び、沈降物が認められる(極めて劣る)
【0109】
以下に、分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性の結果を表3および表4に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
<塗膜の作製>
(実施例45)
実施例23で得た塗料組成物1を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、7ミルのアプリケーター(塗工時の膜厚が180〜200μm)を用いて塗布した後、乾燥して塗膜1を得た。乾燥条件は、25℃にて10分間、次いで、105℃で30分間の順で乾燥した。
【0113】
(実施例46〜66、比較例11〜15)
実施例45と同様に、塗料組成物1の代わりに、塗料組成物2〜27を用いた以外は実施例45と同様にして、塗膜2〜27を得た。
【0114】
<着色物の作製>
(実施例67)
基材Aに、塗料組成物1をスプレーガン(W-100、ANEST IWATA社製)を用いてスプレー塗装し、水平を保ったまま、室温で30分間自然乾燥した後、105℃のオーブンで30分焼成し、厚さ15μmの着色物1を得た。
【0115】
(実施例68〜88)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物2〜22をそれぞれ使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物2〜22を得た。
【0116】
(実施例89)
基材Aの代わりに、基材Bを使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物23を得た。
【0117】
(実施例90)
基材Aの代わりに、基材Cを使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物24を得た。
【0118】
(比較例16〜20)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物23〜27をそれぞれ使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物25〜29を得た。
【0119】
以下に、塗膜及び着色物の表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、および日射反射率の評価方法と、評価結果を表6および表7に示す。
【0120】
<表面抵抗率の測定と評価方法>
塗膜及び着色物の表面抵抗率は、電流計(ADC社製デジタル・エレクトロメーターTR8652)および円環式の電極を有する超高抵抗測定用試料箱(ADC社製チャンバーTR42)を用いて測定した。塗膜上に円環式電極をセットし、印加電圧1.0V、測定時間60秒で測定を行った。得られた抵抗値Rxに対して、下記式1で算出した表面抵抗率をもって評価した。
表面抵抗率は下記の4段階で評価した。
◎:10
10Ω/□以上 (極めて優れている)
○:10
7〜10
9Ω/□(優れている)
△:10
5〜10
6Ω/□(やや劣る)
×:10
4Ω/□以下 (極めて劣る)
【0121】
式1
【数1】
【0122】
<耐候性の測定と評価方法>
塗膜及び着色物の耐候性は、キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機社製、WEL75X−HC・B・EC・S型)を用い、塗膜の面を2000時間照射した。照射前と2000時間照射後の塗膜について、塗膜面の色相をカラーメーター(日本電色社製、SE2000)を用いて測定し、下記式2で算出した色相差をもって評価した。
耐候性は下記の4段階の色相差で評価した。
◎:1.0未満 (塗膜に劣化が観察されない)
○:1.0以上3.0未満 (塗膜にやや劣化が観察されるが実用上支障ない)
△:3.0以上5.0未満 (塗膜に劣化が若干観察される)
×:5.0以上 (塗膜に大きな劣化が観察される)
【0123】
式2
【数2】
【0124】
L
1 :照射前の塗膜面の明度
L
2 :照射後の塗膜面の明度
a
1 :照射前の塗膜面の赤味/緑味指標
a
2 :照射後の塗膜面の赤味/緑味指標
b
1 :照射前の塗膜面の黄味/青味指標
b
2 :照射後の塗膜面の黄味/青味指標
【0125】
<明度(L値)の測定と評価方法>
塗膜及び着色物の明度は、スペクトロカラーメーター(日本電色工業社製、SQ−2000)を用いて、塗膜の面から明度(L値)測定した。測定は、D65光源を用い、測定波長範囲を380nm〜780nmとした。
明度は下記の4段階で評価した。明度が低いもの程、反射率が低く、漆黒性に優れる事を示す。
◎:22.0以下 (漆黒性に極めて優れている)
○:22.1〜24.0 (漆黒性に優れている)
△:24.1〜26.0 (漆黒性にやや劣る)
×:26.1以上 (漆黒性に極めて劣る)
【0126】
<目視の評価方法>
目視試験は塗膜を目視にて観察し、下記の4段階で評価した。
◎:漆黒性に極めて優れている
○:漆黒性に優れている
△:漆黒性にやや劣る
×:漆黒性に極めて劣る
【0127】
<日射反射率の測定と評価方法>
評価試料を着色層側に、分光光度計UV−3600(島津社製)と積分球付属装置ISR−240A(島津社製)を用いて、拡散反射法にて300〜2500nmの分光反射率を測定した。得られた分光反射率のデータより、JIS(日本工業規格)R3106で規定される300〜2500nmの領域における表5に示す重価係数を用いて、式3より日射反射率を算出した。日射反射率が高いと赤外線反射が良好であり、試料が過熱しにくい。
【0128】
式3
【数3】
【0129】
ρe:日射反射率(%)
ρ(λ):分光反射率
Eλ: 日射の相対分光分布
△λ: 波長間隔
【0130】
表5
【0131】
【表5】
【0132】
日射反射率(ρe)は、下記の4段階によって評価した。
◎:20%以上 (きわめて優れている)
○:15%以上、20%未満 (優れている)
△:10%以上、15%未満 (実用上問題ない)
×:10%未満 (不良)
【0133】
【表6】
【0134】
【表7】
【0135】
実施例1〜90、および比較例1〜24に示されるように、本発明の分散組成物を用いた塗膜及び着色物は、表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、日射反射率の全ての評価結果において、実用上問題なく優れていることが明らかとなった。これに対して、顔料として群青のみを用いた場合(比較例11、16)は、耐候性、日射反射率には優れるものの、明度と目視において劣っており、顔料として黒色無機顔料のみを用いた場合(比較例12,17)は、耐候性、目視、日射反射率が劣っていることが明らかとなった。また、群青の代わりにフタロシアニンブルーを用いた場合(比較例13、18)は、表面抵抗率、耐候性、日射反射率が劣っていることが明らかとなった。顔料としてカーボンブラックを用いた場合(比較例14、19)は、表面抵抗率と日射反射率が劣っていることが明らかとなった。顔料としてペリレンブラックを用いた場合(比較例15、20)は、表面抵抗率、耐候性、明度が劣っていることが明らかとなった。
【0136】
次に、実施例101〜115で群青/黒色無機顔料の比率及び溶媒の種類を変更した。
<分散組成物の作製>
(実施例101)
群青A 28.00部
黒色無機顔料A 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物101を得た。
【0137】
(実施例102)
群青A 28.00部
黒色無機顔料B 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物102を得た。
【0138】
(実施例103)
群青A 28.00部
黒色無機顔料C 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物103を得た。
【0139】
(実施例104)
群青B 28.00部
黒色無機顔料A 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物104を得た。
【0140】
(実施例105)
群青B 28.00部
黒色無機顔料B 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物105を得た。
【0141】
(実施例106)
群青B 28.00部
黒色無機顔料C 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物106を得た。
【0142】
(実施例107)
群青C 28.00部
黒色無機顔料A 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物107を得た。
【0143】
(実施例108)
群青C 28.00部
黒色無機顔料B 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物108を得た。
【0144】
(実施例109)
群青C 28.00部
黒色無機顔料C 12.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物109を得た。
【0145】
(実施例110)
群青B 32.00部
黒色無機顔料A 8.00部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸ブチル 20.93部
MIBK 20.93部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物110を得た。
【0146】
(以下、溶剤種変更)
(実施例111)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
ブタノール 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物111を得た。
【0147】
(実施例112)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
ブチルセロソルブ 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物112を得た。
【0148】
(実施例113)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
酢酸メトキシブチル 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物113を得た。
【0149】
(実施例114)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
DEGMEE 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物114を得た。
【0150】
(実施例115)
群青B 14.15部
黒色無機顔料A 25.85部
BYK110 3.85部
ダイヤナールAR−2912 14.29部
PEGMEE 41.86部
上記成分を、実施例1と同様に分散し、分散組成物115を得た。
上記分散組成物に使用した材料と顔料の比率(重量比)を表8に示す。
【0151】
【表8】
【0152】
<塗料組成物の作製>
(実施例116〜129)
分散組成物1を、表9に示すような組み合わせに変更した以外は、実施例23と同様にして、塗料組成物101〜114を得た。上記塗料組成物に使用した材料とその比率(重量比)を表9に示す。
【0153】
【表9】
【0154】
<分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性>
前記と同様に、分散組成物および塗料組成物の貯蔵安定性を評価した結果を表10および表11に示す。
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
<塗膜の作製>
(実施例130〜143)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物101〜115を用いた以外は実施例45と同様にして、それぞれ塗膜101〜115を得た。
【0158】
<着色物の作製>
(実施例144〜157)
塗料組成物1の代わりに、塗料組成物101〜115をそれぞれ使用した以外は、実施例67と同様な方法により、着色物101〜115を得た。
以下に、塗膜及び着色物の表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、および日射反射率の評価方法と、評価結果を表12および表13に示す。
【0159】
【表12】
【0160】
【表13】
【0161】
上記結果から明らかなとおり、本発明の分散組成物および塗料組成物を用いた塗膜、着色物は、表面抵抗率、耐候性、漆黒性(明度および目視)、日射反射率の全ての評価結果において、実用上問題なく優れていることが明らかとなった。