(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0017】
まず、本実施の形態の通信システムの構成について説明する。
図1には、本実施の形態の通信システム10の一例の概略構成を表したブロック図を示す。本実施の形態の通信システム10は、
図1に示すように、第1通信装置12及び第2通信装置14を備える。
【0018】
第1通信装置12は、システム制御部20、電源21、入出力制御部22、パケット制御部24、リンク制御部26、ビット変換部28A、28B、ビット逆変換部30、パラレル/シリアル変換部32A、32B、シリアル/パラレル変換部34、抵抗36、及びトランジスタ37を備えている。
【0019】
また、第2通信装置14は、システム制御部40、電源41、入出力制御部42、パケット制御部44、リンク制御部46、ビット逆変換部48A、48B、ビット変換部50、シリアル/パラレル変換部52A、52B、パラレル/シリアル変換部54、抵抗56、及びトランジスタ57を備えている。
【0020】
第1通信装置12及び第2通信装置14は、第1レーン60A、第2レーン60B、及び第3レーン60Cを含む伝送路60と、第4レーン70と、第5レーン72と、により接続される。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、第1通信装置12及び第2通信装置14内部に備えられた、第4レーン70及び第5レーン72の各々に接続される信号線についても、各々第4レーン70及び第5レーン72と称する。
【0021】
第1通信装置12の電源21は、自装置の電源であり、当該電源が投入されることにより、下記に説明する各機能部が動作する。同様に、第2通信装置14の電源41は、自装置の電源であり、当該電源が投入されることにより、下記に説明する各機能部が動作する。
【0022】
第1通信装置12のシステム制御部20は、第1通信装置12全体の動作を制御する機能を有する。また、本実施の形態のシステム制御部20は、電源21から入力される電源投入状態を示す信号に基づいて、トランジスタ37のオン・オフを制御する機能を有している。同様に、第2通信装置14のシステム制御部40は、第2通信装置14全体の動作を制御する機能を有する。また、本実施の形態のシステム制御部40は、電源41から入力される電源投入状態を示す信号に基づいて、トランジスタ57のオン・オフを制御する機能を有している。
【0023】
第1通信装置12の入出力制御部22は、例えば、再生装置(図示省略)との間でデータの授受を行う機能を有する。また、第2通信装置14の入出力制御部42は、例えば、映像表示装置(図示省略)との間でデータの授受を行う機能を有する。
【0024】
第1通信装置12のパケット制御部24は、第1通信装置12から第2通信装置14に向かうデータの方向(下り方向)については、シリアルデータ転送を行うためのデータのパケット化を行う機能を有する。また、パケット制御部24は、第2通信装置14から第1通信装置12に向かうデータの方向(上り方向)については、パケットデータからデータの抽出を行う機能を有する。同様に、第2通信装置14のパケット制御部44は、下り方向については、パケットデータからデータの抽出を行う機能を有する。また、パケット制御部44は、上り方向については、シリアルデータ転送を行うためのデータのパケット化を行う機能を有する。
【0025】
第1通信装置12のリンク制御部26は、電源投入(オン状態)時にパラレル/シリアル変換部32A、32B及びシリアル/パラレル変換部34に対する初期設定を行い、第1通信装置12及び第2通信装置14間においてシリアル伝送を行う際のリンク確立動作等を含むリンク制御を行う機能を有する。同様に、第2通信装置14のリンク制御部46は、電源投入(オン状態)時にシリアル/パラレル変換部52A、52B及びパラレル/シリアル変換部54に対する初期設定を行い、第1通信装置12及び第2通信装置14間においてシリアル伝送を行う際のリンク確立動作等を含むリンク制御を行う機能を有する。
【0026】
第1通信装置12のビット変換部28A、28B、及び第2通信装置14のビット変換部50は、各々リンク制御部26及びリンク制御部46から受け取った16ビットのデータのうち上位8ビット、下位8ビットをそれぞれ10ビットに変換する8B10B変換を行う機能を有している。第1通信装置12のビット逆変換部30、及び第2通信装置14のビット逆変換部48A、48Bは、各々シリアル/パラレル変換部34及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bから受け取った20ビットのデータのうち上位10ビット、下位10ビットをそれぞれ8ビットに逆変換する10B8B変換を行う機能を有している。8B10B変換は、伝送データが適度に0と1が含まれるようにDCバランス調整を行うものであり、8B10Bとして知れられる方式では、8ビットごとのデータの塊をあらかじめ決められた0と1の割合が50%に近い10ビットのデータに変換することによってDCバランスを調整している。
【0027】
第1通信装置12のパラレル/シリアル変換部32A、32B、及び第2通信装置14のパラレル/シリアル変換部54は、パラレルデータをシリアルデータに変換(P/S変換)する機能を有する。本実施の形態のパラレル/シリアル変換部32A、32B、及びパラレル/シリアル変換部54は、電源投入時の初期設定として信号波形の直流成分を減衰させるディエンファシス(de-emphasis)、信号波形の高周波成分を強調させるプリエンファシス(pre-emphasis)、差動電圧等を設定するためのレジスタ(いずれも図示省略)を備えている。なお、P/S変換及びS/P変換は、一般に、SERDES(Serialize Deserialize)と称されている。
【0028】
第1通信装置12のシリアル/パラレル変換部34、及び第2通信装置14のシリアル/パラレル変換部52A、52Bは、シリアルデータをパラレルデータに変換(S/P変換)する機能を有する。本実施の形態のシリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bは、電源投入時の初期設定として伝送路60で生じた信号波形の劣化を補正するイコライザ(Equalizer)等を設定するためのレジスタ(いずれも図示省略)を備えている。
【0029】
第1通信装置12及び第2通信装置14の各々が備える上記各機能部(システム制御部20及びシステム制御部40等)は、それぞれ一部または全部を再構成可能回路(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、専用LSI(Large Scale Integration)等のハードウエア回路によって構成してもよい。また、第1通信装置12及び第2通信装置14の各々が備える上記各機能部(システム制御部20及びシステム制御部40等)は、各々第1通信装置12及び第2通信装置14において、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータにより実現し、CPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各機能部における各機能が実行されるように構成してもよい。
【0030】
第1通信装置12のトランジスタ37は、ベースが、リンク制御部26を介してシステム制御部20に接続されており、エミッタがグランドに接続されており、コレクタが第4レーン70に接続されている。本実施の形態のトランジスタ37は、電源21が電源投入状態である場合は、ベースがオン状態になり、第4レーン70に、電源投入状態を示すLレベルのステータス信号(第1状態信号)を出力する。一方、トランジスタ37は、電源21が電源未投入状態である場合は、ベースがオフであるため出力はハイインピーダンス状態となる。そのため第4レーン70は、第2通信装置14に設けられた抵抗56により、電源投入状態を示すHレベルのステータス信号(第1状態信号)となる。同様に、第2通信装置14のトランジスタ57は、ベースが、リンク制御部46を介してシステム制御部40に接続されており、エミッタがグランドに接続されており、コレクタが第5レーン72に接続されている。本実施の形態のトランジスタ57は、電源41が電源投入状態である場合は、ベースがオン状態になり、第5レーン72に、電源投入状態を示すLレベルのステータス信号(第2状態信号)を出力する。一方、トランジスタ57は、電源41が電源未投入状態である場合は、ベースがオフであるため出力はハイインピーダンス状態となる。そのため第5レーン72は、第1通信装置12に設けられた抵抗36により、電源投入状態を示すHレベルのステータス信号(第1状態信号)となる。
【0031】
第1通信装置12の抵抗36は、第5レーン72に一端が接続されており、他端が電源に接続されている。抵抗36により、第5レーン72に第2通信装置14が接続されていない場合は、リンク制御部26には、第5レーン72を介してHレベルのステータス信号が流入する。同様に、第2通信装置14の抵抗56は、第4レーン70に一端が接続されており、他端が電源に接続されている。抵抗56により、第4レーン70に第1通信装置12が接続されていない場合は、リンク制御部46には、第4レーン70を介してHレベルのステータス信号が流入する。
【0032】
本実施の形態の伝送路60は、第1通信装置12から第2通信装置14への伝送用(下り方向用)の第1レーン60A及び第2レーン60Bと、第2通信装置14から第1通信装置12への伝送用(上り方向用)の第3レーン60Cと、を含んでいる。例えば、第1通信装置12は、再生装置(図示省略)で再生した画像情報を第1レーン60A及び第2レーン60Bを介して第2通信装置14に送信する。また、第2通信装置14は、第1通信装置12から送信された画像情報を、例えば映像表示装置(図示省略)に出力し、ステータス情報を第3レーン60Cを介して第1通信装置12に送信する。
【0033】
また、本実施の形態の通信システム10では、上述したように電源投入状態を表すステータス信号を送受信するための第4レーン70及び第5レーン72を備えている。第1通信装置12は、自装置の電源投入状態を表すステータス信号を第4レーン70を介して第2通信装置14に送信し、また、第2通信装置14の電源投入状態を表すステータス信号を第2通信装置14から受信する。第2通信装置14は、自装置の電源投入状態を表すステータス信号を第5レーン72を介して第1通信装置12に送信し、また、第1通信装置12の電源投入状態を表すステータス信号を第1通信装置12から受信する。
【0034】
本実施の形態では、伝送路60、第4レーン70、及び第5レーン72には、電気信号を伝送する電気ケーブルを用いている。なお、本字紙の形態では、伝送路60の第1レーン60A、第2レーン60B、及び第3レーン60Cは、2本の線により構成され、差動信号が伝送される差動線路を用いている(
図2参照)が、これに限定されない。なお、伝送路60のレーン数も本実施の形態に限定されず、上り方向用と下り方向用のレーン数が同一でもよく、下り方向用のレーン数が上り方向用のレーン数よりも多くてもよい。また、本実施の形態に限らず、伝送路60には、光信号を伝送する光ケーブルを用いてもよいが、第4レーン70及び第5レーン72には、本実施の形態と同様に電気ケーブルを用いることが好ましい。
【0035】
次に、本実施の形態の通信システム10の第1通信装置12及び第2通信装置14におけるリンク確立動作について説明する。
図2には、第1通信装置12及び第2通信装置14におけるリンク確立動作のための構成を送信機能を中心に示した概略構成図を示す。
【0036】
図2に示すように、第1通信装置12は、リンク制御部26、ビット変換部28A、28B、ビット逆変換部30、パラレル/シリアル変換部32A、32B、及びシリアル/パラレル変換部34の各機能がデバイス80上に備えられている。第1通信装置12では、デバイス80が、第5レーン72、バッファ85、レジスタ81Aを介して、第2通信装置14からステータス信号STATUS_2_Nを受信する。システム制御部20は、デバイス80のレジスタ81Aを介して、ステータス信号STATUS_2_Nを受信する。また、第1通信装置12では、システム制御部20の指示に基づき、デバイス80(レジスタ81B)、バッファ86、トランジスタ37、及び第4レーン70を介して、第2通信装置14にステータス信号STATUS_1_Nを送信する。
【0037】
同様に、
図2に示すように、第2通信装置14は、リンク制御部46、ビット逆変換部48A、48B、ビット変換部50、シリアル/パラレル変換部52A、52B、及びパラレル/シリアル変換部54の各機能がデバイス90上に備えられている。第2通信装置14では、デバイス90が、第4レーン70、バッファ95、レジスタ91Aを介して、第1通信装置12からステータス信号STATUS_1_Nを受信する。システム制御部40は、デバイス90のレジスタ91Aを介して、ステータス信号STATUS_1_Nを受信する。また、第2通信装置14では、システム制御部40の指示に基づき、デバイス90(レジスタ91B)、バッファ96、トランジスタ57、及び第5レーン72を介して、第1通信装置12にステータス信号STATUS_2_Nを送信する。
【0038】
第1通信装置12では、送信信号出力許可部(TX output Enable)82A、82Bが、レジスタ81Cから受信した信号TX_output_enable_Nに基づいて、信号TX_outputを送信バッファ84A、84B、第1レーン60A、及び第2レーン60Bを介して、第2通信装置14に送信する。同様に、第2通信装置14では、送信信号出力許可部(TX output Enable)92が、レジスタ91Cから受信した信号TX_output_enable_Nに基づいて、信号TX_outputを送信バッファ94及び第3レーン60Cを介して、第1通信装置12に送信する。
【0039】
図3には、第1通信装置12及び第2通信装置14におけるリンク確立動作の流れの一例を示す。本実施の形態の通信システム10では、第1通信装置12及び第2通信装置14の電源投入のタイミングにかかわらず、リンクが確実に確立される。
図4には、第1通信装置12が第2通信装置14よりも先に電源投入状態になった場合の、リンク確立動作を説明するためのタイムチャートを示す。
図5には、第2通信装置14が第1通信装置12よりも先に電源投入状態になった場合の、リンク確立動作を説明するためのタイムチャートを示す。
【0040】
まず、
図3及び
図4を参照して、第1通信装置12が第2通信装置14よりも先に電源投入状態になった場合について説明する。
【0041】
図3に示すように、第1通信装置12と第2通信装置14との間では、ステータス信号STATUS_1_N、STATUS_2_Nが送受信されている。
【0042】
第1通信装置12では、電源投入状態になると、ステータス信号STATUS_1_NのレベルがHレベルからLレベルに変化する(
図4、タイミングt1参照)。タイミングt1では、第2通信装置14は未だ電源未投入状態であるため、第1通信装置12が受信するステータス信号STATUS_2_Nは、Hレベルである。そのため、信号TX_output_enable_Nは、Hレベルのままである。なお、本実施の形態の第1通信装置12では、上述したように、第1通信装置12と第2通信装置14とが、第5レーン72を介して接続されていない場合は、抵抗36により、デバイス80(リンク制御部26)が受信するステータス信号STATUS_2_Nは、Hレベルである。そのため、第5レーン72を介して接続されていない場合も、信号TX_output_enable_Nは、Hレベルのままである。
【0043】
一方、第2通信装置14では、第1通信装置12から受信するステータス信号STATUS_1_NはLレベルであるものの、ステータス信号STATUS_2_Nは、Hレベルであるため、信号TX_output_enable_Nは、Hレベルのままである。
【0044】
第2通信装置14が電源投入状態になると、ステータス信号STATUS_2_Nは、HレベルからLレベルに変化する(
図4、タイミングt2参照)。第1通信装置12及び第2通信装置14は、ステータス信号STATUS_1_N、STATUS_2_Nが両方共にLレベルであることを検出することにより、両装置が電源投入状態であることを確認する。ステータス信号STATUS_1_N、STATUS_2_Nが共にLレベルに変化してから(ここでは、具体的には、STATUS_2_NがHレベルからLレベルに変化したタイミングから)予め定められた期間内に、信号TX_output_enable_Nの信号レベルを反転し、Lレベルに切り替える(
図4、タイミングt3参照)。なお、
図4では、STATUS_2_NがHレベルからLレベルに変化したタイミングから期間A経過後のタイミングt3に信号TX_output_enable_Nの信号レベルを反転しているが、信号を反転するタイミングは、期間A内であればよい。
【0045】
第1通信装置12及び第2通信装置14では、信号TX_output_enable_Nのレベルの反転に応じて、リンク確立準備を行うための準備信号の送信を開始する。具体的には、第1通信装置12では、第1レーン60A及び第2レーン60Bを介して、信号TX_outoputとして、準備信号を第2通信装置14に送信する。また、第2通信装置14では、第3レーン60Cを介して、信号TX_outoputとして、準備信号を第1通信装置12に送信する。準備信号は、受信側の通信装置がリンク確立動作に入るまでの準備期間に送信される信号である。そのため、リンク確立用信号(詳細後述)と異なるシリアル信号としている。なお、準備信号は、リンク確立用信号と異なる信号であれば特に限定されず、例えば、DコードやKコードを用いた符号化されたシリアル信号が用いられる。
【0046】
第1通信装置12及び第2通信装置14では、信号TX_output_enable_Nのレベルが反転したタイミングt3から、予め定められた期間Bの経過後に、第1通信装置12はシリアル/パラレル変換部34に、第2通信装置14はシリアル/パラレル変換部52A、52Bに、それぞれリセット信号を出力する。当該リセット信号により、シリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bは、初期化(リセット)される。
【0047】
ここで、リンク確立動作について説明する。使用するSERDESによって、パラレル部のビット幅が10bit、20bit、36bit等のように幾つか選択できるものがある。例えば、16bitで使用するように設定した場合、第1通信装置12のビット変換部28A、28B及び第2通信装置14のビット変換部50では、16bitを20bit化した後、それぞれ第1通信装置12のパラレル/シリアル変換部32A、32B及び第2通信装置14のパラレル/シリアル変換部54により20bitを1bit化する。この場合は、20bitが1つの固まりとして扱われる。
【0048】
リンク確立動作を行う場合には、送信側からリンク確立用の情報としてリンク確立用信号を繰り返し送信して受信側に対してリンク確立の要求を行う。第2通信装置14が受信側の場合は、シリアル/パラレル変換部52A、52Bにより、また、第1通信装置12が受信側の場合は、シリアル/パラレル変換部34により、1bitを10bit単位に分け、それぞれ、ビット逆変換部48A、48B、及びビット逆変換部30にて上位8bit、下位8bitに変換する。シリアル/パラレル変換部52A、52B、及びシリアル/パラレル変換部34は、受信データと既知であるリンク確立用信号とを照合し、合致する位置の頭出し(アライメント調整)を行って、合致した位置に基づいてデータの同期制御等を行ってリンクを確立する。すなわち、第1通信装置12及び第2通信装置14では、送信したリンク確立用信号と、受信したリンク確立用信号とに基づいて、予め定められた調整を行うことにより、リンクが確立される。
【0049】
このように、リンク確立動作において、シリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bの設定を行う。そのため、タイミングt4では、シリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bを初期化しておく。
【0050】
シリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bを初期化したタイミングt4から期間Dの経過後に、第1通信装置12及び第2通信装置14では、リンク確立動作を開始する(
図4、タイミングt5参照)。このように、本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14では、同じタイミングで、リンク確立動作を開始する。
【0051】
第1通信装置12及び第2通信装置14では、リンク確立動作の開始に伴い、予め定められたリンク確立用信号の送信を開始する。具体的には、第1通信装置12では、第1レーン60A及び第2レーン60Bを介して、信号TX_outoputとして、リンク確立用信号を第2通信装置14に送信する。また、第2通信装置14では、第3レーン60Cを介して、信号TX_outoputとして、リンク確立用信号を第1通信装置12に送信する。なお、リンク確立用信号は、予め定めておけばよく、特に限定されない。リンク確立用信号としては、例えば、DコードやKコードを用いた符号化されたシリアル信号が用いられる。
【0052】
第1通信装置12及び第2通信装置14では、当該リンク確立用信号に基づいて、上述したように、予め定められたリンク確立動作が行われ、それぞれリンク確立動作が完了する(
図4、タイミングt6参照)。なお、上述したアライメント調整等の完了後、
図3に示すように、リンク確立完了信号を送信することが好ましく、受信側では、当該リンク確立完了信号の受信をもって、リンク確立動作の完了とすることが好ましい。なお、当該リンク確立完了信号は、特に限定されず、上述の準備信号及びリンク確立用信号と異なる信号であればよく、例えば、DコードやKコードを用いた符号化されたシリアル信号が用いられる。
【0053】
なお、本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14では、それぞれシリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bを初期化してから期間C内に、リンク確立動作が完了しない場合は、タイムアウトとなるようにしている。
図4に示した場合では、第1通信装置12及び第2通信装置14とも、タイミングt7までにリンク確立動作が完了しなかった場合は、タイムアウトになる。例えば、いずれかの受信装置に不具合が生じている場合等、リンク確立動作が完了しない、または完了しても時間がかかる場合がある。そのため、このように期間C内にリンク確立動作が完了しない場合は、本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14ではタイムアウトとして、リンク確立動作中の場合は、当該リンク確立動作を中止させる等、予め定められた処理を行うようにしている。
【0054】
第1通信装置12が第2通信装置14よりも先に電源投入状態にある場合は、このようにしてリンクが確立される。
【0055】
なお、上述した期間A、B、C、Dは、各々実験等により予め定めておけばよい。
【0056】
次に、
図3及び
図5を参照して、第2通信装置14が第1通信装置12よりも先に電源投入状態になった場合について説明する。なお、この場合についても、上述と同様の動作を行うため、同様の動作については、詳細な説明を省略する。
【0057】
第2通信装置14では、電源投入状態になると、ステータス信号STATUS_2_NのレベルがHレベルからLレベルに変化する(
図5、タイミングt1参照)。タイミングt1では、第1通信装置12は未だ電源未投入状態であるため、第2通信装置14が受信するステータス信号STATUS_1_Nは、Hレベルである。そのため、信号TX_output_enable_Nは、Hレベルのままである。
【0058】
一方、第1通信装置12では、第2通信装置14から受信するステータス信号STATUS_2_NはLレベルであるものの、ステータス信号STATUS_1_Nは、Hレベルであるため、信号TX_output_enable_Nは、Hレベルのままである。なお、本実施の形態の第2通信装置14でも上述したように、第1通信装置12と第2通信装置14とが、第4レーン70を介して接続されていない場合は、抵抗56により、デバイス90(リンク制御部46)が受信するステータス信号STATUS_1_Nは、Hレベルである。そのため、第4レーン70を介して接続されていない場合も、信号TX_output_enable_Nは、Hレベルのままである。
【0059】
第1通信装置12が電源投入状態になると、ステータス信号STATUS_1_Nは、HレベルからLレベルに変化する(
図5、タイミングt2参照)。第1通信装置12及び第2通信装置14は、ステータス信号STATUS_1_N、STATUS_2_Nが両方共にLレベルであることを検出することにより、両装置が電源投入状態であることを確認する。ステータス信号STATUS_1_N、STATUS_2_Nが共にLレベルに変化してから(ここでは、具体的には、STATUS_1_NがHレベルからLレベルに変化したタイミングから)予め定められた期間内に、信号TX_output_enable_Nの信号レベルを反転し、Lレベルに切り替える(
図5、タイミングt3参照)。
【0060】
上述した場合と同様に、第1通信装置12及び第2通信装置14では、信号TX_output_enable_Nのレベルの反転に応じて、リンク確立準備を行うための準備信号の送信を開始する。
【0061】
信号TX_output_enable_Nのレベルが反転したタイミングt3から、予め定められた期間Bの経過後に、第1通信装置12はシリアル/パラレル変換部34に、第2通信装置14はシリアル/パラレル変換部52A、52Bに、それぞれリセット信号を出力して初期化(リセット)を行う。初期化したタイミングt4から期間Dの経過後に、第1通信装置12及び第2通信装置14では、リンク確立動作を開始して(
図5、タイミングt5参照)、リンク確立用信号の送信を開始する。このように、本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14では、同じタイミングでリンク確立動作を開始し、当該リンク確立用信号に基づいて、予め定められたリンク確立動作が行われて、それぞれリンク確立動作が完了する(
図5、タイミングt6参照)。なお、ここでも、シリアル/パラレル変換部34、及びシリアル/パラレル変換部52A、52Bを初期化してから期間C内に、リンク確立動作が完了しない場合は、タイムアウトとなるようにしている。
【0062】
第2通信装置14が第1通信装置12よりも先に電源投入状態にある場合は、このようにしてリンクが確立される。
【0063】
以上説明したように本実施の形態の通信システム10に備えられた第1通信装置12では、リンク制御部26が、第4レーン70を介してステータス信号STATUS_1_Nによって、自装置の電源投入状態を第2通信装置14に通知する。同様に、通信システム10に備えられた第2通信装置14では、リンク制御部46が、第5レーン72を介してステータス信号STATUS_2_Nによって、自装置の電源投入状態を第1通信装置12に通知する。第1通信装置12及び第2通信装置14では、両装置が電源投入状態になり、かつ第4レーン70及び第5レーン72を介して接続されている場合は、期間A内に、信号TX_output_enable_Nのレベルが反転する。第1通信装置12及び第2通信装置14のリンク制御部26、46は、信号TX_output_enable_Nにより両装置が電源投入状態にあることを確認すると、受信側の通信装置に、準備信号を送信する。また、信号TX_output_enable_Nのレベルが反転したタイミングから期間Bが経過すると、リンク制御部26、46は、シリアル/パラレル変換部34、52A、52Bを初期化(リセット)する。当該初期化を行ったタイミングから、期間Dが経過すると、リンク制御部26、46は、リンク確立動作を開始し、受信側の通信装置にリンク確立用信号の送信を開始する。
【0064】
一般に、先に電源投入状態になった通信装置が、先にリンク確立動作を開始した場合、後から電源投入状態になった受信側の通信装置では、バイトアライメント(アライメント調整)が、ノイズにより誤ってリンク確立動作の完了となってしまう場合がある。これに対して本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14は、両装置が電源投入状態になり、かつ第4レーン70及び第5レーン72を介して接続されている場合に、リンク確立動作を行う。また、第1通信装置12及び第2通信装置14では、リンク確立動作を行うタイミングを揃えている。そのため、上述のように、ノイズにより誤ってリンク確立動作を完了してしまうことがない。
【0065】
従って、本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14は、電源投入状態を考慮しない場合と比較して、確実にリンクが確立される。
【0066】
また、一般に、受信側の通信装置の電源が未投入状態の場合に、送信側がリンク確立動作(リンク制御)を行うと、送信側から受信側に高速な信号(準備信号やリンク確立用信号等)を送信し続けることになる。そのため、受信側の通信装置の故障を誘発する懸念がある。
【0067】
これに対して本実施の形態の第1通信装置12及び第2通信装置14では、接続先の通信装置が電源未投入状態の場合、または、第4レーン70及び第5レーン72を介して非接続の場合、不要な信号(準備信号やリンク確立用信号等)の送信を抑制するため、受信側の通信装置の故障が回避される。また第1通信装置12及び第2通信装置14では、不要な信号の送信を抑制するため、電力の消費が低減される。また、第1通信装置12及び第2通信装置14では、放射ノイズの軽減が図られるため、環境に与える影響が抑制される。
【0068】
なお、本実施の形態では、第1通信装置12のリンク制御部26、及び第2通信装置14のリンク制御部46が上述のリンク確立動作を含むリンク制御を行う場合について説明したがこれに限らず、一部の動作(制御)をシステム制御部20やシステム制御部40等で行ってもよい。例えば、第1通信装置12及び第2通信装置14における、ステータス信号STATUS_1_N、STATUS_1_Nの信号レベルの切り替えや、受信側の通信装置への通知等を、リンク制御部26を介さずに、システム制御部20やシステム制御部40で行ってもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、通信システム10が、一対の第1通信装置12及び第2通信装置14を備える場合について説明したがこれに限らない。例えば、複数組の、第1通信装置12及び第2通信装置14を備えていてもよい。また例えば、複数の第1通信装置12及び1つの第2通信装置14を備えていてもよいし、1つの第1通信装置12及び複数の第2通信装置14を備えていてもよい。
【0070】
また、本実施の形態の第1通信装置12のトランジスタ37及び第2通信装置14のトランジスタ57は、各々システム制御部20及びシステム制御部40によりオン・オフを制御しているがこれに限らない。例えば、トランジスタ37及びトランジスタ57は、各々、電源21及び電源41の状態に応じて直接、オン・オフが制御されるように構成されていてもよい。
【0071】
なお、本実施の形態は本発明の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。本実施の形態で説明した通信システム10、第1通信装置12、及び第2通信装置14の構成、通信制御処理等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。