特許第6102811号(P6102811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6102811-冷凍サイクル装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102811
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 5/04 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   F25B5/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-63220(P2014-63220)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-183976(P2015-183976A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】松原 恵子
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−003170(JP,A)
【文献】 特開2009−210174(JP,A)
【文献】 特開2006−118849(JP,A)
【文献】 特開2009−276051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室内熱交換器と、ノズル部と吸引部とディフューザ部を備えるエジェクタと、第1室外熱交換部と第2室外熱交換部と第3室外熱交換部を有する室外熱交換器とを冷媒配管によって環状に接続した冷凍サイクル装置であって、
暖房運転時に、
前記エジェクタの前記ディフューザ部より流出した冷媒を吸熱させて、前記圧縮機に流入させる前記室外熱交換器の前記第2室外熱交換部と、
前記室内熱交換器より流出し、前記エジェクタの前記ノズル部に流入する冷媒の一部を分岐させる分岐部と、
前記分岐部で分岐された冷媒を減圧させる第1膨張弁と、
前記第1膨張弁で減圧された冷媒を放熱させる前記室外熱交換器の前記第1室外熱交換部と、
前記第1室外熱交換部で放熱された冷媒を減圧させる第2膨張弁と、
前記第2膨張弁で減圧された冷媒を吸熱させて、前記エジェクタの前記吸引口に導く前記室外熱交換器の前記第3室外熱交換部を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍サイクル装置であって、
前記第1膨張弁は、流入した冷媒を高圧から中間圧にまで減圧し、
前記第2膨張弁は、流入した冷媒を中間圧から低圧にまで減圧したことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置であって、
第1室外熱交換部と前記第2室外熱交換部と前記第3室外熱交換部に空気を送る送風ファンが設けられ、
前記第1室外熱交換部が、前記送風ファンに対向し、前記第2室外熱交換部と前記第3室外熱交換部よりも風上側に配置されることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入口より吸入した冷媒を減圧する冷媒減圧手段の役割と吸引口より吸引した冷媒を昇圧して冷媒循環手段の役割を果たすエジェクタと、エジェクタの吸引口とディフューザに接続される複数の熱交換部を備える熱交換器とを有する冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸入口より吸入した冷媒を減圧する冷媒減圧手段の役割と吸引口より吸引した冷媒を昇圧して冷媒循環手段の役割を果たすエジェクタと、エジェクタの吸引口とディフューザに接続される複数の熱交換部を備える熱交換器とを有する冷凍サイクル装置は、特許文献1などで知られている。特許文献1の冷凍サイクル装置は、冷房運転時および暖房運転時にすべての熱交換器を有効に活用することを目的に、室内熱交換器が二つの熱交換部(第1熱交換部、第2熱交換部)を備え、第1熱交換部はエジェクタの吸引口に接続され、第2熱交換器はエジェクタのディフューザに接続されている。
【0003】
特許文献1の冷凍サイクル装置において、冷房運転時ではエジェクタは吸入口と吸引口の両方より冷媒が流入し、ディフューザより冷媒が噴出されることで動作している。しかし、暖房運転時ではエジェクタの吸入口は閉じられ、エジェクタのディフューザより冷媒が流入し、吸引口より冷媒が流出するようになっているため、エジェクタとしては機能していない。また、除霜運転時ではエジェクタの吸入口は閉じられ、冷媒がエジェクタの吸引口より流入し、ディフューザより流出するようになっているため、エジェクタとしては機能していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る冷凍サイクル装置では、除霜運転時は冷房運転時の冷凍サイクルと同じサイクルに切替わるため暖房運転が止まる問題があった。この問題を解決するため、特許文献1の冷凍サイクル装置とは、室外熱交換器と室内熱交換器の使い方を変えて、室外熱交換器が二つの熱交換部(第1熱交換部、第2熱交換部)を備えることで、例えば、室外熱交換器を着霜しにくくすることで、除霜運転に切替わりにくくするために、室外熱交換器の第1熱交換部を放熱器として機能させ、第2熱交換部を蒸発器として機能させることが考えられる。
【0006】
しかし、この方法では、エジェクタの吸引口に吸引される冷媒が、蒸発器として機能する第2熱交換部で放熱し冷却され、二相状態になる可能性がある。そのため、エジェクタを正常に動作させることができず、暖房運転時の効率を向上させることができないおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、暖房運転時に除霜運転に切替わりにくくすると共に、エジェクタを動作させて暖房運転の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機と、室内熱交換器と、ノズル部と吸引部とディフューザ部を備えるエジェクタと、第1室外熱交換部と第2室外熱交換部と第3室外熱交換部を有する室外熱交換器とを冷媒配管によって環状に順次接続した冷凍サイクル装置であって、暖房運転時に、エジェクタのディフューザ部より流出した冷媒を吸熱させて、圧縮機に流入させる室外熱交換器の第2室外熱交換部と、室内熱交換器より流出し、エジェクタのノズル部に流入する冷媒の一部を分岐させる分岐部と、分岐部で分岐された冷媒を減圧させる第1膨張弁と、第1膨張弁で減圧された冷媒を放熱させる室外熱交換器の第1室外熱交換部と、第1室外熱交換部で放熱された冷媒を減圧させる第2膨張弁と、第2膨張弁で減圧された冷媒を吸熱させて、エジェクタの吸引口に導く室外熱交換器の第3室外熱交換部を備えた。
【0009】
また、第1膨張弁は、流入した冷媒を高圧から中間圧にまで減圧し、第2膨張弁は、流入した冷媒を中間圧から低圧にまで減圧した。
【0010】
また、第1室外熱交換部と第2室外熱交換部と第3室外熱交換部に空気を送る送風ファンが設けられ、第1室外熱交換部が、送風ファンに対向し、第2室外熱交換部と第3室外熱交換部よりも風上側に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、暖房運転時に除霜運転に入りにくくすると共に、エジェクタを動作させて暖房運転の効率を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る暖房運転時の冷凍サイクル装置を示す図である。
図2】本発明に係る冷房運転時の冷凍サイクル装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1図2は、本発明に係る本実施形態の冷凍サイクル装置100を示す図である。なお、本実施形態は、本発明におけるエジェクタ140を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクル装置を、二酸化炭素(CO2)を冷媒とする空気調和装置に適用したものとして説明する。
【0015】
冷凍サイクル装置100は、図1に示すように、吐出口110aと吸入口110bを備えた圧縮機110と、四方弁120と、室内熱交換器130と、ノズル部141と吸引部142と混合部143とディフューザ部144を備えるエジェクタ140と、第1室外熱交換部151と第2室外熱交換部152と第3室外熱交換部153を備えた室外熱交換器150と、第1膨張弁161と、第2膨張弁162とを有する。
【0016】
以上の各構成は、以下に記載する冷媒流路によって接続される。
圧縮機110の吐出口110aと四方弁120は第1冷媒流路201で接続される。四方弁120と室内熱交換器130は第2冷媒流路202で接続される。室内熱交換器130とエジェクタ140のノズル部141は第3冷媒流路203で接続される。エジェクタ140のディフューザ部144と室外熱交換器150の第2室外熱交換部152は第4冷媒流路204で接続される。室外熱交換器150の第2室外熱交換部152と四方弁120は第5冷媒流路205で接続される。四方弁120と圧縮機110の吸入口110bは第6冷媒流路206で接続される。
【0017】
第3冷媒流路203上に分岐部170が設けられ、この分岐部170によって室内熱交換器130とエジェクタ140のノズル部141との間に流れる冷媒の一部を分岐させる。
分岐部170と第1膨張弁161は第7冷媒流路207で接続される。第1膨張弁161と室外熱交換器150の第1室外熱交換部151は第8冷媒流路208で接続される。室外熱交換器150の第1室外熱交換部151と第2膨張弁162は第9冷媒流路209で接続される。第2膨張弁162と室外熱交換器150の第3室外熱交換部153は第10冷媒流路210で接続される。室外熱交換器150の第3室外熱交換部153とエジェクタ140の吸引部142は第11冷媒流路211で接続される。第1冷媒流路から第11冷媒流路までの各々の冷媒流路は冷媒配管が用いられる。
【0018】
次に、本実施形態の冷凍サイクル装置100の各構成について説明する。
圧縮機110は吸入口110bから吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒として吐出口110aから吐出するものである。
【0019】
四方弁120は冷房運転と暖房運転で冷凍サイクル装置100内を流れる冷媒の向きを切り替えるものである。四方弁120は、冷房運転時は図2に示すように圧縮機110から吐出される高温高圧の冷媒を室外熱交換器150の第2室外熱交換部152へ流入させ、室内熱交換器130から流出した冷媒を圧縮機110へ流入させる。また、暖房運転時は図1示すように圧縮機110から吐出される高温高圧の冷媒を室内熱交換器130へ流入させ、室外熱交換器150の第2室外熱交換部152から流出した冷媒を圧縮機110へ流入させる。
【0020】
室内熱交換器130は図示しない室内機に設けられるもので、室内の空気と冷媒との間で熱交換させるものであり、冷房運転時は蒸発器として機能し、暖房運転時は放熱器として機能する。
【0021】
室外熱交換器150は図示しない室外機に設けられるもので、室外の空気と冷媒との間で熱交換させるものである。この室外熱交換器150は第1室外熱交換部151と第2室外熱交換部152と第3室外熱交換部153を備えている。また、室外熱交換器150には、室外熱交換器150に空気を吹き付ける送風ファン180が設けられている。第1室外熱交換部151、第2室外熱交換部152、第3室外熱交換部153は送風ファン180に対して対向し、第1室外熱交換部151は、第2室外熱交換部152と第3室外熱交換部153より風上側に配置される。低外気温時の暖房運転では、第2室外熱交換部152は第3室外熱交換部153よりも高温になるため、第2室外熱交換部152は第3室外熱交換部153よりも風上側に配置される。なお、本発明はこれに限定したものでなく、第2室外熱交換部152は第3室外熱交換部153の下方に配置されても良い。
【0022】
エジェクタ140は、ノズル部141と、ノズル部141の入口141aと、ノズル部141の出口部141bと、吸引部142と、混合部143と、ディフューザ部144と、ディフューザ部144の出口144aとから構成される。なお、ノズル部141の出口部141bは開度を調整できる構造となっており、この出口部141bの開度をゼロにすることでノズル部141を全閉状態にできる。
【0023】
暖房運転時ではエジェクタ140はエジェクタとして機能しており、室内熱交換器130より流出した気冷媒は第3冷媒流路203を経由してノズル部141の入口141aから吸入される。また、室外熱交換器150の第3室外熱交換部153より流出した冷媒は第11冷媒流路211を経由して吸引部142から吸引される。ノズル部141から吸入された冷媒と吸引部142から吸引された冷媒とが混合部143で混合される。混合された冷媒はディフューザ部144で冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して冷媒の圧力が昇圧される。
【0024】
冷房運転時ではエジェクタのノズル部141の出口141bが閉じられるため、エジェクタ140は冷媒配管として機能する。室外熱交換器150の第2室外熱交換部152より流出した気冷媒は第4冷媒流路204を経由してディフューザ部144の出口144aから吸入される。ノズル部141に吸入された冷媒は混合部143を経由して吸引部142より流出する。
【0025】
次に、上記構成のエジェクタ140を用いた冷凍サイクル装置100の動作について説明する。
(暖房運転)
まず初めに、冷凍サイクル装置100が通常の暖房運転をしている場合について図1を基に説明する。この場合、第1膨張弁161では冷媒が高圧から低圧に減圧するよう所定の開度に絞られ、第2膨張弁162は全開になっている。なお、点線の矢印は冷媒の流れを示している。
【0026】
圧縮機110が起動すると、圧縮機110は吸入口110bから気相冷媒を吸入し、圧縮した後に吐出口110aより吐出する。圧縮機110から吐出された冷媒は第1冷媒流路201、四方弁120、第2冷媒流路202を経由して放熱器として機能する室内熱交換器130に流入する。室内熱交換器130に流入した冷媒は室内空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は第3冷媒流路203を経由して分岐部170で、エジェクタ140のノズル部141の入口141aに流入される流入冷媒と、室外熱交換器150の第1室外熱交換部151と第3室外熱交換部153を経由して吸引部142より吸引される吸引冷媒とに分岐される。
【0027】
吸引冷媒は、分岐部170で分岐された後、第7冷媒流路207を経由して所定の開度に調整された第1膨張弁161で高圧から低圧にまで減圧される。減圧された冷媒は第8冷媒流路208を経由して室外熱交換器150の蒸発器として機能する第1室外熱交換部151に流入し、室外空気と熱交換して吸熱する。吸熱した冷媒は第9冷媒流路209を経由して第2膨張弁162を通過した後、第10冷媒流路210を経由して室外熱交換器150の蒸発器として機能する第3室外熱交換部153に流入し、再度室外空気と熱交換して吸熱し蒸発する。蒸発した冷媒は第11冷媒流路211を経由してエジェクタ140の吸引部142から吸引される。
【0028】
一方、ノズル部141の入口141aに流入する流入冷媒は、ノズル部141により減圧膨張して吸引部142から室外熱交換器150の第3室外熱交換部153で蒸発した冷媒を吸引する。
【0029】
そして、吸引部142から吸引された吸引冷媒と、ノズル部141の出口141bから吹き出される流入冷媒とを混合部143で混合しながらディフューザ部144でその動圧が静圧に変換されて室外熱交換器150の第2室外熱交換部152に吐出される。このとき、混合部143においては、流入冷媒の運動量と吸引冷媒の運動量との和が保存されるように流入冷媒と吸引冷媒とが混合されるので、混合部143においても冷媒の圧力が上昇する。ディフューザ部144で、通路断面積を徐々に拡大することにより、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換するので、冷媒の圧力はさらに昇圧される。
【0030】
室外熱交換器150の第2室外熱交換部152に流入した冷媒は室外空気と熱交換して吸熱する。吸熱した冷媒は第5冷媒流路205、四方弁120、第6冷媒流路206を経由して圧縮機110の吸入口110bより吸入される。冷媒は以上のように説明した各構成を循環する。
【0031】
(低外気温時の暖房運転)
次に、室外熱交換器150に霜が付きやすい条件、例えば、図示しない外気温センサにより検出される外気温度が所定の温度以下になった時に冷凍サイクル装置100が暖房運転をしている場合について図1を基に説明する。この場合、第1膨張弁161では冷媒が高圧から中間圧に減圧するよう所定の開度に絞られ、第2膨張弁162では中間圧から低圧に減圧するよう所定の開度に絞られている。なお、点線の矢印は冷媒の流れを示している。
【0032】
圧縮機110が起動すると、圧縮機110は吸入口110bから気相冷媒を吸入し、圧縮した後に吐出口110aより吐出する。圧縮機110から吐出された冷媒は第1冷媒流路201、四方弁120、第2冷媒流路202を経由して放熱器として機能する室内熱交換器130に流入する。室内熱交換器130に流入した冷媒は室内空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は第3冷媒流路203を経由して分岐部170で、エジェクタ140のノズル部141の入口141aに流入される流入冷媒と、室外熱交換器150の第1室外熱交換部151と第3室外熱交換部153を経由して吸引部142より吸引される吸引冷媒とに分岐される。
【0033】
吸引冷媒は、分岐部170で分岐された後、第7冷媒流路207を経由して所定の開度に調整された第1膨張弁161で高圧から中間圧にまで減圧される。減圧された冷媒は第8冷媒流路208を経由して放熱器として機能する室外熱交換器150の第1室外熱交換部151に流入し、室外空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は第9冷媒流路209を経由して所定の開度に調整された第2膨張弁162で中間圧から低圧にまで減圧される。減圧された冷媒は第10冷媒流路210を経由して室外熱交換器150の蒸発器として機能する第3室外熱交換部153に流入し、室外空気と熱交換して吸熱し蒸発する。蒸発した冷媒は第11冷媒流路211を経由してエジェクタ140の吸引部142から吸引される。この第1室外熱交換部151で放熱された熱によって、第2室外熱交換部152と第3室外熱交換部153が加熱され、霜が付きにくくなる。
【0034】
一方、ノズル部141の入口141aに流入する流入冷媒は、ノズル部141により減圧膨張して吸引部142から室外熱交換器150の第3室外熱交換部153で蒸発した冷媒を吸引する。
【0035】
そして、吸引部142から吸引された吸引冷媒と、ノズル部141の出口141bから吹き出される流入冷媒とを混合部143で混合しながらディフューザ部144でその動圧が静圧に変換されて室外熱交換器150の第2室外熱交換部152に吐出される。このとき、混合部143においては、流入冷媒の運動量と吸引冷媒の運動量との和が保存されるように流入冷媒と吸引冷媒とが混合されるので、混合部143においても冷媒の圧力が上昇する。ディフューザ部144で、通路断面積を徐々に拡大することにより、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換するので、冷媒の圧力はさらに昇圧される。
【0036】
室外熱交換器150の第2室外熱交換部152に流入した冷媒は室外空気と熱交換して吸熱し蒸発する。蒸発した冷媒は第5冷媒流路205、四方弁120、第6冷媒流路206を経由して圧縮機110の吸入口110bより吸引される。冷媒は以上のように説明した各構成を循環する。
【0037】
(冷房運転)
次に、冷凍サイクル装置100が冷房運転をしている場合について図2を基に説明する。この場合、エジェクタ140のノズル部141の出口141bが閉じられ、第1膨張弁161では冷媒が高圧から低圧に減圧するよう所定の開度に絞られ、第2膨張弁162は全開になっている。なお、点線の矢印は冷媒の流れを示している。
【0038】
圧縮機110が起動すると、圧縮機110は吸入口110bから気相冷媒を吸入し、圧縮した後に吐出口110aより吐出する。圧縮機110から吐出された冷媒は第1冷媒流路201、四方弁120、第5冷媒流路205を経由して室外熱交換器150の放熱器として機能する第2室外熱交換部152に流入する。第2室外熱交換部152に流入した冷媒は室外空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は第4冷媒流路204を経由して冷媒配管として機能するエジェクタ140のディフューザ部144の出口144aより流入され、ディフューザ部144と混合部143を経由して、吸引部142より流出する。
【0039】
吸引部142より流出した冷媒は第11冷媒流路211を経由して室外熱交換器150の放熱器として機能する第3室外熱交換部153に流入する。第3室外熱交換部153に流入した冷媒は室外空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は第10冷媒流路210を経由して第2膨張弁162を通過した後、第9冷媒流路209を経由して放熱器として機能する第1室外熱交換部151に流入する。第1室外熱交換部151に流入した冷媒は室外空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は第8冷媒流路208を経由して所定の開度に調整された第1膨張弁161で高圧から低圧にまで減圧される。減圧された冷媒は第7冷媒流路207を経由して、分岐部170で第3冷媒流路203に流入し、蒸発器として機能する室内熱交換器130に流入する。
【0040】
室内熱交換器130に流入した冷媒は室内空気と熱交換して吸熱し蒸発する。蒸発した冷媒は第2冷媒流路202、四方弁120、第6冷媒流路206を経由して圧縮機110の吸入口110bより吸引される。冷媒は以上のように説明した各構成を循環する。
【0041】
以上より、本発明の冷凍サイクル装置100は、室外熱交換器150が着霜し易い低外気温時に、室外熱交換器150の一部である第1室外熱交換部151を放熱器として機能させて、蒸発器として機能する他の熱交換部(第2室外熱交換部152と第3室外熱交換部153)の着霜を抑えることが出来る。これにより、除霜運転に切替わりにくくなる。
【符号の説明】
【0042】
100 冷凍サイクル装置
110 圧縮機
120 四方弁
130 室内熱交換器
140 エジェクタ
150 室外熱交換器
161 第1膨張弁
162 第2膨張弁
170 分岐部
180 送風ファン
図1
図2