(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6102920
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】サンドイッチ構造を備えたプレスシート又はエンドレスベルト、プレスシート又はエンドレスベルトの製造方法、およびプレスシート又はエンドレスベルトを使用して製造される材料パネル
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20170316BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20170316BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20170316BHJP
B23K 101/20 20060101ALN20170316BHJP
【FI】
B29C59/02 B
B23K1/00 330B
B29C59/04 B
B23K101:20
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-516230(P2014-516230)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-522745(P2014-522745A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2012002684
(87)【国際公開番号】WO2013000563
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年12月18日
【審判番号】不服2015-11641(P2015-11641/J1)
【審判請求日】2015年6月19日
(31)【優先権主張番号】11005298.2
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513105535
【氏名又は名称】フエック レイニッシェ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】エスペ、オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】エスペ、ロルフ
【合議体】
【審判長】
加藤 友也
【審判官】
大島 祥吾
【審判官】
上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−219441(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/049530(WO,A1)
【文献】
特開2007−313894(JP,A)
【文献】
特開2006−130760(JP,A)
【文献】
特開2008−110496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00 - 59/18
B23K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面構造化(13)を使用して、木質材料又はプラスチック材料に化粧紙及び/又は上張紙を重ねてプレスしエンボス加工するためのプレスシート(1)又はエンドレスベルトであって、サポートボディ(10)とエンボスボディ(11)を備え、前記エンボスボディ(11)は、前記サポートボディ(10)の表面全体に広げられた接着剤(12)によって前記サポートボディ(10)に可逆的に結合され、
前記接着剤(12)は、
250℃までの温度に耐え、熱伝導率を高めるために金属粉末が添加された接着剤、または
木質材料又はプラスチック材料をエンボス加工する温度である220℃の温度に耐える磁性材料の添加物を有する磁石シートの形態の磁気を備えた接着剤であって、
前記サポートボディ(10)と前記エンボスボディ(11)は、前記接着剤(12)を250℃を上回る温度でアニールすることにより分離できることを特徴とする、プレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項2】
表面構造化(13)を使用して、木質材料又はプラスチック材料に化粧紙及び/又は上張紙を重ねてプレスしエンボス加工するためのプレスシート(1)又はエンドレスベルトであって、サポートボディ(10)とエンボスボディ(11)を備え、前記エンボスボディ(11)は、前記サポートボディ(10)の表面全体に広げられた接着剤(12)によって前記サポートボディ(10)に可逆的に結合され、
前記接着剤(12)は、硬ろう又は軟ろうからなる金属質の接着剤であって、
前記硬ろう又は軟ろうは、木質材料又はプラスチック材料をエンボス加工する温度である220℃において、前記サポートボディ(10)と前記エンボスボディ(11)を安定して結合できる物質から選ばれ、
前記サポートボディ(10)と前記エンボスボディ(11)は、前記接着剤(12)を250℃を上回る温度でアニールすることにより分離できることを特徴とする、プレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項3】
前記エンボスボディ(11)が表面構造化(13)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項4】
前記サポートボディ(10)が少なくとも部分的にアルミニウム、ニッケル、亜鉛、銅、黄銅、又はステンレス鋼からなるか、もしくは前記エンボスボディ(11)が少なくとも部分的に磁性材料からなる、請求項1または2に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項5】
前記エンボスボディ(11)の厚みが0.3〜3.0mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項6】
前記220℃の温度に耐える磁性材料は、サマリウム/コバルト、アルミニウム/ニッケル/コバルト、ネオジム/鉄/ホウ素、バリウムフェライト又はストロンチウムフェライト、又はマンガン/亜鉛コンパウンドの形態のソフトフェライトである、ことを特徴とする請求項1に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項7】
前記硬ろう又は軟ろうからなる金属質の接着剤が、金ろう、スズはんだ、銀ろう、白金ろう、黄銅ろう、リンろう、アンチモン含有、鉛含有、アルミニウム含有又はケイ素含有ろう、もしくははんだペーストであることを特徴とする、請求項2に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項8】
前記エンボスボディ(11)が、除去可能な金属層としてバラードスキンで形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項9】
前記バラードスキンが金属のシート又は薄板からなるか、もしくは、厚さ約100μmの電気めっきされた金属層からなる、ことを特徴とする、請求項8に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項10】
前記エンボスボディ(11)の前記表面構造化(13)がエッチング技術又はレーザー彫刻法によって作られることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレスシート(1)又はエンドレスベルト。
【請求項11】
木質材料又はプラスチック材料に化粧紙及び/又は上張紙を重ねてプレスしエンボス加工するためのプレスシート(1)又はエンドレスベルトの製造方法において、前記プレスシート(1)又はエンドレスベルトはサポートボディ(10)及びエンボスボディ(11)を含み、
前記製造方法は以下のステップ、すなわち
前記エンボスボディ(11)に、エッチング技術、圧延法、プレス法又はレーザー彫刻を使用して表面構造化を施すステップ、および
前記エンボスボディ(11)を、前記サポートボディ(10)の表面全体に広げられた接着剤によって前記サポートボディ(10)に可逆的に結合するステップを備え、
前記接着剤(12)は、
250℃までの温度に耐え、熱伝導率を高めるために金属粉末が添加された接着剤、または
木質材料又はプラスチック材料をエンボス加工する温度である220℃の温度に耐える磁性材料の添加物を有する磁石シートの形態の磁気を備えた接着剤であって、
前記サポートボディ(10)と前記エンボスボディ(11)は、前記接着剤(12)を250℃を上回る温度でアニールすることにより分離できることを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
木質材料又はプラスチック材料に化粧紙及び/又は上張紙を重ねてプレスしエンボス加工するためのプレスシート(1)又はエンドレスベルトの製造方法において、前記プレスシート(1)又はエンドレスベルトはサポートボディ(10)及びエンボスボディ(11)を含み、
前記製造方法は以下のステップ、すなわち
前記エンボスボディ(11)に、エッチング技術、圧延法、プレス法又はレーザー彫刻を使用して表面構造化を施すステップ、および
前記エンボスボディ(11)を、前記サポートボディ(10)の表面全体に広げられた接着剤によって前記サポートボディ(10)に可逆的に結合するステップを備え、
前記接着剤(12)は、硬ろう又は軟ろうからなる金属質の接着剤であって、
前記硬ろう又は軟ろうは、木質材料又はプラスチック材料をエンボス加工する温度である220℃において、前記サポートボディ(10)と前記エンボスボディ(11)を安定して結合できる物質から選ばれ、
前記サポートボディ(10)と前記エンボスボディ(11)は、前記接着剤(12)を250℃を上回る温度でアニールすることにより分離できることを特徴とする、製造方法。
【請求項13】
前記エンボスボディ(11)が表面構造化のために金属シリンダ上に取り付けられるか又はめっきされ、及び金属シリンダから外された後に前記サポートボディ(10)と結合されることを特徴とする、請求項11または12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記エンボスボディ(11)が銅のベース層上に電気めっきされ、その後前記銅のベース層が前記エンボスボディ(11)の表面構造化のために金属シリンダ上に取り付けられ、
前記銅のベース層と電気めっきされたエンボスボディの間に分離層が配置される、ことを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原材料、特に木質材料又はプラスチック材料を、表面構造化を使用してエンボス加工するためのプレスシート又はエンドレスベルトに関し、並びに本発明によるプレスシート又はエンドレスベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレスシート又はエンドレスベルトは、木質材料プレートを化粧紙及び/又は上張紙でプレス加工するために必要である。この場合、全体にわたって、熱硬化性樹脂とも呼ばれるアミノ樹脂フィルムで木質材料プレートを被膜加工する。加工は例えば単層短周期プレス、多層プレス、又はダブルベルトプレスで行われる。完成したプレスシート又はエンドレスベルトは製造するべき木質材料を所望の表面構造にするためプレスに使用される。しかし好ましくは被覆に適合したエンボス加工にのみ使用されるのではない。つまり、使用された化粧紙が被覆に適合したプレスシート又はエンドレスベルトと共に使用され、その結果化粧紙の構造がレリーフのように表面にエンボス加工され得る。ここで使用された構造は例えば木の気孔構造又は岩石の表面を模したような天然由来であってよい。同様に、任意の所望の構造を顧客の要望に合わせて製造することもできる。
【0003】
使用される化粧紙及び上張紙は、好ましくは熱硬化性樹脂からなり、この熱硬化性樹脂は圧力及び温度によってプレス装置内で液状の形に移行し、架橋度合が上がるにつれて、同時に最終状態で樹脂粘性が上昇し、木質材料と固定的に結合する。使用される熱硬化性樹脂には、メラミン樹脂、フェノール樹脂又はメラミン/尿素樹脂があり、これらが特に適していることが判明している。プレス過程中に圧力及び温度下でメラミン樹脂が液状になりさらなる重縮合が生じる。プレス時間と温度は、メラミン樹脂の架橋度合及びその表面品質を決定する。プレス時間が経過すると、メラミン樹脂は所望の架橋度合を備え、及び固相に移行し、その際行われた、同時に構造化するエンボス加工により、メラミン樹脂表面に、自然を模したエンボス工具の表面が複製された表面形成が得られる。
【0004】
従来技術により、エンボス工具はプレスシート又はエンドレスベルトの形で鋼板から製造され、この鋼板は適切な加工によって必要な表面構造を獲得する。このために、さまざまな方法が公知であり、その次にプレスシートのエッチングを行うために、例えばスクリーン印刷法で塗布することでエッチングレジストが作り出される。ここで使用されるシートメタルは非常に大きなフォーマットであり、その結果複数の作業手順が必要である場合に非常に正確な加工と、特に被覆に適合したさらなる加工が重要となる。特に深い構造がエッチングされなければならない場合及びそのためにあらかじめ塗布されたエッチングレジストを備えた複数のエッチング過程が必要である場合に、複数の作業手順が常に付随的に発生する。エッチング技術では、表面構造の盛り上がった範囲が後で形成されなければならないすべての範囲がマスクによってカバーされ、その結果表面エッチングは直接エッチング液で腐食され得る範囲でだけ行われる。エッチングされた範囲は、所望の構造のプロフィールの谷間を形成し、その際エッチング過程の完了後に表面が清掃され、及び特にマスクが除去される。
【0005】
別法として、その後で露光が行われる、写真層を塗布する方法があり、その場合最終的に写真層を現像した後に、写真層の一部がエッチングレジストとして残り、プレスシート又はエンドレスベルトにエッチング過程が実行される。このような方法で作られたマスクの再現性は困難で問題が多い。なぜなら特に深い構造をエッチングしなければならない場合、塗布するべきエッチングレジスト層は常に正確に同じ位置に配置されなければならないからである。
【0006】
その上、従来技術ではスクリーン印刷法の代わりにマスクをワックス塗布によって作るか又は別法としてUVラッカーを使用することが公知であり、これはデジタル印刷法で加工するべきプレスシート及びエンドレスベルトに直接印刷される。場合によっては数回繰り返さなければならないエッチングが完了すると、ここでは特に深い構造を得ることができ、これはデジタル化された印刷方法を使用することで非常に被覆に適している。
【0007】
その他の別法として、従来技術ではレーザー法を使用して直接必要な構造を表面に生じさせることが公知であり、その際作られるべき深い構造は直接レーザーを使用して作り出される。この方法でも、デジタル印刷技術を使用してレーザーが正確に制御され、その結果プレスシート又はエンドレスベルトの完成後にこれが化粧紙と100%一致する。近年開発された表面構造化方法によって初めて、必要なプレスシート構造が化粧紙と一致するために、必要なレベルで達成される。
【0008】
プレスシート又はエンドレスベルトの完成後、例えば光沢度に影響を与えるような特殊な効果を得るためにこれをさらなるプロセス工程にかけ得る。光沢度は、マット、シルクマット、光沢に仕上げられることが可能であり、それによってプレス過程実行後に光沢効果を備えた木質材料プレートが所望の表面構造を有し、その表面構造は成長した天然の木材に大変近くなる。好ましくはこの方法に従って木の気孔構造が作られるが、同様に創造性豊かな表面形成が行われるか又は皮革表面、タイル表面、又は天然石表面が複製されてもよい。考えられるいずれの構造も、この方法で製造され得る。
【0009】
使用目的に応じて製造される木質材料プレートは、例えば壁面範囲で、しかし同様に床範囲でも、上張紙に耐摩耗性粒子、例えばコランダムが添加されてよく、その結果末端消費者に高い耐摩耗性が提供される。しかしこの耐摩耗性は、使用されているプレスシート又はエンドレスベルトにマイナスの効果を与え得る。各プレス過程及びプレスが解除された後、プレス加工された表面を備えた加工済み木質材料とプレスシート又はエンドレスベルトの間に相対運動が行われ、その結果徐々に表面構造の摩耗が生じる。このような場合、プレスシートを完全に再加工するか、又は新しいプレスシートと取り替えることが必要である。例えばHDF板(高密度繊維板、High−density−fiberboard)と積層床材の被膜加工において、プレスシートは比較的短い使用期間で早くも再生する必要がある。理由はメラミン樹脂フィルム中のコランダムの比率が高いことであり、これは耐摩耗性を向上させるために使用されており、それによってクロムめっきされた表面が比較的早期に摩耗してしまう。プレスシートの製造は非常に手間で費用がかかり、耐用年数が終了するとスクラップにされる。その原因は特に、新しい構造化が実施できるようになる前に、プレスシート又はエンドレスベルトのブランクディスクにまず全方向性の中間研磨が施され、表面構造化の前に追加研磨が必要であることにあり、その結果何度も後加工を行ううちに徐々にプレスシート又はエンドレスベルトの厚みがもはや要求される寸法に達しなくなる。その後で初めて、手間のかかる構造製作が行われ、例えば古典的なエッチング技術により、エッチングレジストを塗布し、例えば塩化鉄(III)を使ったエッチング、サンドブラストによる光沢度の調整とそれに続く表面のシーリング、例えばクロムめっき、又は別法としてレーザー彫刻を使用して構造が製作される。同様に、機械的な損傷の場合は、たいていプレスシート表面を完全に研磨して再加工が必要になる。これにより、比較的高価なベースプレスシートが制限付きでしか使用可能状態に維持されず、約4回から6回の再生で廃棄せざるを得ない。なぜならその厚みが原因で不安定になり、及びプレス装置内で均等に固定できないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、単段又は多段プレス又はダブルベルトプレスのための新しい種類のプレスシート又はエンドレスベルトを提示することであり、これらは従来のプレスシート又はエンドレスベルトと比べて製造が安価で、しかもキャリアプレートの使用期間をより長期間にすることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、この課題を解決するために、表面構造化を具備したエンボスボディと接着剤で結合されるサポートボディを備えることが企図される。本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項によって開示される。
【0012】
プレスシート又はエンドレスベルトを形成し及び表面構造化がなされたベース材料による従来の方法と異なり、本発明によりエンボスボディと接着剤結合されるサポートボディを使用し、その際エンボスボディだけが表面構造化を有していることが提示される。こうしてエンボスボディはサポートボディから独立して安価に製造することができ、及び単段又は多段プレスのために、用途に従って使用できるように、接着剤によってサポートボディに結合され得る。表面構造化が摩耗した後、エンボスボディをサポートボディから再び外し、引き続き新しいエンボスボディと交換することが可能である。この場合必要な原料消費量は格段に低減される。なぜならサポートボディは繰り返し使用でき、エンボスボディの形で差し替える必要があるのは極度に薄い層だけだからである。
【0013】
このために、まず例えばAISINo.630、AISI410又はAISI304のステンレス鋼製又は黄銅製のサポートボディが従来技術従って準備される。プレスシート又はエンドレスベルトの普通の表面構造化の代わりに、エッチング技術又はデジタルレーザー彫刻を使用して、サポートボディとは無関係にエンボスボディが作られる、つまり表面構造が与えられる。それに続いて、サポートボディ及びエンボスボディが接着剤を使用して互いに平坦に及び固定的に、しかし可逆的に結合され、その結果サンドイッチ構造が生じる。このサンドイッチ構造は特に、後日再生の際により高価なサポートボディは引き続いて保持され、交換の必要があるのはエンボスボディだけであるという利点を備えている。この処置により、製造費用と原料コストが格段に節約される。さらに、原則としてサポートボディよりもはるかに薄く安価なエンボスボディをすでに前もって作っておき、それぞれの顧客のために倉庫に保管しておくことができる。これによって時間が節約でき、納期が大幅に短縮できる。
【0014】
本発明の実施形態では、サポートボディが少なくとも1つの滑らかな、又は構造化された表面を備えていることが企図される。本発明によるプレスシートはサンドイッチとして、例えば滑らかな表面のエンボス加工のために使用することができるが、同様に構造化された表面を型押しするためにも使用できる。方法は顧客の要望次第であるが、その際有利には2種類のエンボス加工がサンドイッチ構造を使用して実行可能である。滑らかなエンボスボディでも、使用期間が進むにつれて汚れで損傷する可能性があり、それゆえにもはや使用不可能になることが背景にある。しかしエンボスボディを交換することで、同じサポートボディを再度使用でき、上述の利点がもたらされる。
【0015】
別法として例えば金ろう、スズはんだ、銀ろう、白金ろう、黄銅ろう、リンろう、アンチモン含有、鉛含有、アルミニウム含有又はケイ素含有ろうからなるはんだペースト又はそれに類似したろうからなるはんだを接着剤として、少なくとも部分的に、好ましくは全体にわたってサポートボディとエンボスボディとの間に配置するという方法がある。はんだを使用して可逆的結合がサポートボディとエンボスボディとの間で可能になり、その際、使用されたはんだが非常に優れた熱導体であり、及びそれによってプレス過程の際に熱が直接材料パネルの表面に伝えられ得、その結果上張紙が重縮合によって木質材料と結合されるという特別な利点がある。さらに、シートはんだを使用してサポートボディをエンボスボディと、部分的に又は完全に結合する方法がある。その際両方のボディを、使用するはんだの融点より高い温度まで熱することで簡単にサポートボディとエンボスボディを分離することができる。フィルム形状のはんだが使用されると、同時に、層の厚さが薄いこと、さらにプレス加工のために生じる力だけでなく必要な熱も、加工するべき材料の上に伝えられることが確保される。
【0016】
これに関して、まずサポートボディが少なくとも部分的に金属、好ましくはアルミニウム、ニッケル、亜鉛、銅、黄銅又は例えばAISINo.630、AISI410あるいはAISI304のステンレス鋼からなり、及び/又はエンボスボディが少なくとも部分的に磁性材料からなり、その際厚さは構造深さに応じて選択可能であり、好ましくは0.3〜3.0mm、特に好ましくは0.3〜1.5mmである。
【0017】
材料パネルの昇温は単段又は多段プレスにおいて不可欠であり、本発明によるプレスシート又はエンドレスベルトの伝熱係数を高めるために、例えば銅、黄銅、アルミニウム又は鉄の金属粉が添加された接着剤が使用される。ここで使用される接着剤は最高温度250℃で使用可能であり、その結果例えば材料パネルを製造するために発生した温度が約220℃であってもエンボスボディの剥離が予定より早まることはない。しかし同時に、接着剤が250℃を上回る温度にされると、エンボスボディがサポートボディから簡単にはがれ得る。
【0018】
別法として接着剤が磁性材料からなるという手段がある。このような接着剤は、サポートボディ及びエンボスボディの両方が鋼製であり、それによって磁性特性を備えている場合に常に適している。サポートボディとエンボスボディを結合するために、例えば高温耐熱性の磁石シートが使用されてよく、この磁石シートは接着剤として2つのボディの間で平らな固定結合を保証する。磁石シートが使用される場合、例えば架橋シリコンエラストマーが使用され、これには高温耐熱性の磁性材料、例えばサマリウム/コバルト、アルミニウム/ニッケル/コバルト、ネオジム/鉄/ホウ素、バリウムフェライト又はストロンチウムフェライト又はマンガン/亜鉛のようなソフトフェライトが添加されている。上述のすべての永久磁性材料は、維持される運転温度の約220℃でもその保持力を約15%〜20%とわずかしか失わない。磁性材料の比率はそれぞれ原材料の所望の接着力によって異なり、各運転温度及びエンボスボディの総重量での保持力損失を差し引く。しかしこの周辺条件は、問題なく考慮され得、その結果すでに磁石シートを使用して恒久的で可逆的な結合がサポートボディとエンボスボディの間に作られ得る。同時に磁石シートにより、2つのボディを残留物なしで互いに分離することができ、その結果エンボスボディが摩耗した際の迅速な交換が可能になる。
【0019】
エンボスボディを製造するために、従来技術で公知の方法、例えばエッチング技術又はレーザー彫刻が使用され、その際これは好ましくは厚さがわずかしかなく、それによってはるかに簡単に加工することができる。この場合、エンボスボディが金属シート又は薄板の形で、鋼製シリンダの上に表面構造化のために固定され、その際鋼製シリンダの直径はプレスシートの最大幅に適合可能であり、その結果、エンボスボディの製造後に、及び鋼製シリンダの取外し後にエンボスボディをサポートボディと結合し得る。
【0020】
金属シート若しくは薄板又は他の材料、例えば鋼又は黄銅を使用する場合、これを鋼製シリンダ上に固定し、次に相応に彫刻を施し、その際上述の工程を表面構造化が完成するまで行う。このようにして製造された金属シート又は薄板は、次にサポートボディの寸法に裁断され、これと結合され、その結果プレスシート又はエンドレスベルトはさらなる使用のために提供される。
【0021】
別法として、約100μmのバラードスキンを銅ベース層にめっきし、その際ベース層とバラードスキンの間に分離層が配置されていてよく、その結果後でバラードスキンを外すことが可能であるという方法がある。バラードスキンとは、グラビア印刷でグラビアシリンダ上の除去可能な銅層を指す。鋼からなるグラビアシリンダを厚さ約2mmのベース銅層が覆い、この層の上に第二の銅層、いわゆるバラードスキンがめっきされる。薄さ100μmのバラードスキンとベースボディの間に分離層があるので、バラードスキンはグラビア後に簡単に除去して新しいものと交換され得る。銅層をめっきした後、これをさらに研磨することができ、次に表面構造化が例えばレーザーを使って行われる。彫刻が仕上がった表面は、続いて耐摩耗性を向上させるために電気めっきでクロムメッキ被膜コートし、その際個々の事例で例えば光沢度を調整するためのさらなる加工工程が行われてよい。バラードスキンを除去するために、原則として鋼製シリンダの前端部が開かれ、続いてプライヤーを使用して引き下ろされ除去される。その後で、鋼製シリンダ自体は次の製造に再び使用され得る。
【0022】
サポートボディのために、好ましくは金属が、例えばAISINo.630、AISI410又はAISI304のようなステンレス鋼、又はその代わりに黄銅プレートが使用される。これに対してエンボスボディは、銅、黄銅又はステンレス鋼からなり、その際厚さは必要な構造深さに応じて自由に選択可能であり、好ましくは0.3〜3.0mm、特に好ましくは0.3〜1.5mmである。
【0023】
新しく形成されたプレスシート又はエンドレスベルトの重要な利点は、この場合後の、サポートボディとエンボスボディとの分離であり、その際サポートボディに比べてエンボスボディは格段に高い摩耗にさらされる。そのため、サポートボディは繰り返し使用することができ、何度もエンボスボディと新たに結合され、その際好ましくは硬ろう又は軟ろう又ははんだペーストが使用される。別法として、所望の利点を得るために磁性材料、特に磁石接着シートを使用して結合される。
【0024】
本発明の課題はさらに、新しい種類のプレスシート又はエンドレスベルトの製造方法を提示することである。材料及び費用を節約するため、ここでは、原材料、特に木質材料又はプラスチック材料のエンボス加工のためのプレスシート又はエンドレスベルトをサポートボディ及びエンボスボディを使用して製造することが企図され、その際
−エンボスボディにエッチング技術、圧延法、プレス法又はレーザー彫刻を使用して表面構造化が施され、
−サポートボディ及び/又はエンボスボディに接着剤が付けられ、
−2つのボディ、サポートボディとエンボスボディが、互いに接着剤によって結合される。
【0025】
示された方法は、特に優れた経済性が特徴であり、さらに、ほぼまったく摩耗にさらされないサポートボディを何度も再使用することを可能にする。この場合、使用されるエンボスボディは薄い金属シート又は薄板の形で可逆的にサポートボディからはがすことが可能であり、そのためにサポートボディの再生はわずかな範囲でしか必要がない。これにより、加工時間が著しく節約でき、加えて表面構造化を備えた薄板又は金属シートを使用することで、例えば上張紙及び化粧紙を備えた木質材料のような加工するべき材料がエンボスボディの摩耗の原因になるという事実に基づき、特に著しい節約可能性が得られる。特別な利点は、ここではサポートボディとエンボスボディの可逆的な結合によってもたらされる。
【0026】
本発明によるプレスシート又はエンドレスベルトの別の利点は、サポートボディのためにそれほど高価値ではない金属が使用され、それによって製造コストが格段に低減され得ることにある。従来は必要な表面構造化を行うために高価なステンレス鋼を使用する必要があった。しかしこれに関してはもはや考慮に入れる必要はない。なぜなら表面構造化はエンボスボディの表面上でのみ行われるからである。
【0027】
この方法特徴及び方法を実行するために必要な装置を使用しながら、滑らかな又は少なくとも部分的に構造化された表面を備えることを特徴とする材料パネルが作られる。
【0028】
本発明はさらに、2つの図を使用して再度記述される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】木の気孔構造を備えて作られたプレスシートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明によるプレスシート1の斜視図であり、示された実施例では平らに形成されている。しかしエンドレスベルトの場合はこのエンボス工具が丸くカーブして仕上げられてもよい。プレスシート1は、例えば木の気孔構造の形を模倣した木目2を見せている。しかし別の木目又は別の表面状態が、このようにして、本発明による方法及びこのために必要なエッチング法又はレーザー法によって製造されることも考えられる。
【0031】
図2は、プレスシート1の前部のエッジ範囲及びそれに続いて存在する表面構造化の一部の拡大側面図である。特に
図2から読み取れるように、プレスシート1はサポートボディ10、エンボスボディ11及び接着剤12からなる。接着剤12は、エンボスボディ11をサポートボディ10からはがすことを可能にする。サポートボディ10はこれによって再度使用され得るが、それに対して摩耗したエンボスボディ11は交換される。エンボスボディ11上に存在する表面構造化13は、例えば公知のエッチング技術又はレーザー彫刻を使用して作られ、その際エンボスボディの層厚は0.3〜3mm、好ましくは0.3〜1.5mmが使用される。エンボスボディ11を作るために、エッチング技術又はレーザー法によって表面構造化13を作るために、これを鋼製シリンダ上に取り付けることができる。エンボスボディ11の製造及びさらなる処理、例えばクロムめっき及び光沢度を調節するためのその他の工程の後、これは接着層12を使用してサポートボディ10と結合される。
【0032】
本発明によるプレスシート又はエンドレスベルトの特別な利点は、サポートボディ10のためにそれほど高価値ではない金属が使用され得、それによって製造コストが格段に低減され得ることにある。従来は必要な表面構造化を行うために高価なステンレス鋼を使用する必要があった。しかしこれに関してはもはや考慮に入れる必要はない。なぜなら表面構造化はエンボスボディの表面上でのみ行われるからである。
【符号の説明】
【0033】
1 プレスシート
2 木目
10 サポートボディ
11 エンボスボディ
12 接着剤
13 表面構造化