(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ミシン目のつなぎ目部分の左右方向位置を、前記複数の鍵を前記支持部材に支持させる際における前記複数の鍵の位置決め部分の左右方向位置の近傍とする請求項1乃至5のうちのいずれか一つに記載の鍵盤装置。
【発明の概要】
【0005】
しかし、上記第1加工処理であるVカット102を設ける場合には、連結基板100を金型で打ち抜いて形成する工程とは、別の工程でVカット102を形成する必要があり、製造工程が複雑化して基板101の製造コストが高くなる。また、Vカット102の場合には、連結基板100をVカット102の位置で割った際に、割った位置の基板101の端面にバリが残り易く、基板101の端面の精度が悪いという問題もある。
【0006】
これに対して、上記第2加工処理であるミシン目103を設ける場合には、連結基板100を金型で打ち抜いて形成する工程と同一工程でミシン目103を形成できるので、製造工程が簡略化されて基板101の製造コストを下げることができる。また、ミシン目103の場合には、連結基板100をミシン目103の位置で割った際に、割った位置の基板101の端面にはバリはほとんど残らず、基板101の端面の精度が良好となる。
【0007】
しかし、基板101を、ミシン目103の位置で割った際には、ミシン目103のつなぎ目部分103a(
図11(A)参照)が残る。特に、連結基板100の割り方によっては、大きなつなぎ目部分103aが基板101の前端面側に残る場合がある。この場合、上述した鍵盤装置において、複数の鍵の前端部の上方への変位を規制する突出部を有する係合片がミシン目103に対向する位置にあると、押離鍵操作による鍵の前端部の揺動時に、つなぎ目部分103aが係合片の後面に接触して、鍵の動作が不安定になったり、雑音が発生したりすることがある。したがって、基板101の前端面から係合片の後面までの距離をある程度大きくしておく必要があり、この場合には、係合片に設けた突出部の前後方向長さを大きくしておかなければならず、係合片を含む鍵の設計上の制約がある。また、突出部の前後方向長さが大きいと、鍵を支持部材に支持させる際に、突出部を基板の前端部下面側に侵入させ難くなり、鍵の支持部材への組み付け効率が悪くなるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、安価かつ簡単に製造できる基板を用いたうえで、係合片を含む鍵の設計上の制約及び鍵の支持部材への組み付け効率の問題を解消するようにした鍵盤装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の特徴は、前後方向に長尺状に形成され、前端部を上下方向に揺動可能に支持部材(12)に支持された白鍵(31,41)及び黒鍵(51)からなる複数の鍵と、平板状に形成され、複数の鍵の下面に対向するように配置されて固定された基板(20)とを備え、複数の鍵の下面から下方に延設され、下端部から後方に突出させた突出部(31a1,41a1,51a1)を有する係合片(31a,41a,51a)を複数の鍵にそれぞれ設けておき、基板の前端部を係合片における突出部よりも上部分の後方かつ突出部の上方に位置させて、基板の前端部下面への突出部の係合により複数の鍵の前端部の上方への変位を規制するようにした鍵盤装置において、複数の基板をミシン目(25)を介して連結した連結基板(20A)をミシン目位置で割って切り離した1枚の基板であって、ミシン目が複数の鍵の係合片側に位置するときに、ミシン目のつなぎ目部分(25a)が係合片に対向しないようにミシン目を形成した1枚の基板を、前記固定された基板として用いたことにある。
【0010】
この場合、前記固定された基板は、例えば、電気配線パターン及び鍵スイッチ(21)を備えている。また、係合片は、例えば、複数の鍵の下面から下方に延設された左右側壁を有し、突出部は左右側壁の下端部から後方に突出している。また、ミシン目のつなぎ目部分は、例えば、白鍵又は黒鍵に設けた係合片の左右側壁間に位置する。
【0011】
このように構成した本発明においては、ミシン目が複数の鍵の係合片側に位置するときに、ミシン目は、そのつなぎ目部分が係合片に対向しないように形成されている。したがって、基板の前端面から係合片の後面までの距離を大きくしなくても、押離鍵操作による鍵の前端部の揺動時に、連結基板を割った際に残るつなぎ目部分が係合片の後面に接触して、鍵の動作が不安定になったり、雑音が発生したりすることはない。その結果、本発明の特徴によれば、係合片に設けた突出部の前後方向長さを小さくでき、係合片を含む鍵の設計上の制約が解消される。また、突出部の前後方向長さを小さくできることにより、鍵を支持部材に支持させるために組み付ける際には、係合片の突出部を基板の前端部下面側に侵入させ易くなり、鍵の支持部材への組み付け効率も良好となる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、ミシン目のつなぎ目部分が白鍵に設けた係合片の左右側壁間に位置することにある。白鍵に設けた係合片の左右側壁間の距離は、一般的には、黒鍵に設けた係合片の左右側壁間の距離よりも長い。したがって、ミシン目の左右方向の多少の位置ずれがあっても、本発明の他の特徴によれば、ミシン目のつなぎ目部分の係合片の後面への接触による、鍵の動作の不安定及び雑音の発生がより良好に防止される。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、ミシン目のつなぎ目部分の左右方向位置を、複数の鍵を支持部材に支持させる際における複数の鍵の位置決め部分(33c)の左右方向位置の近傍とすることにある。この場合、複数の鍵の位置決め部分の左右方向位置の近傍とは、例えば、前記位置決め部分から左右方向に1つの白鍵又は黒鍵の横幅の2倍以下である。鍵の横幅は寸法公差及び成型条件の違いにより、ある程度の誤差を考慮しておかなければならない。この場合、複数の鍵のうちの位置決め部分から遠い鍵では、左右位置がより大きくずれて、ミシン目のつなぎ目部分が係合片の後面に接触する可能性が高くなる。したがって、前記本発明の他の特徴によれば、ミシン目のつなぎ目部分の係合片の後面への接触による、鍵の動作の不安定及び雑音の発生がより良好に防止される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各種実施形態について説明する。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係る鍵盤装置について、図面を用いて説明する。
図1は、鍵盤装置の1オクターブを示す概略斜視図である。
図2(A)は
図1の上カバーを外した状態にある鍵盤装置の平面図であり、
図2(B)は
図1の上カバーを外した状態にある鍵盤装置の側面図である。なお、本明細書においては、演奏者側(
図1の左下側及び
図2の下側)を鍵盤装置の前方とし、演奏者と反対側(
図1の右上側及び
図2の上側)を鍵盤装置の後方とする。そして、演奏者の左右方向(
図1の左上から右下方向及び
図2の左右方向)を鍵盤装置の左右方向とする。
【0016】
鍵盤装置は、鍵盤の下方にて、鍵盤楽器内に固定された鍵フレーム10を有する。鍵フレーム10は、金属、樹脂などにより一体的に形成され、左右及び前後方向に水平に延設されて左右方向に長尺状の平板状部材である。鍵フレーム10の前後方向の中間部及び後端部には、左右方向の適宜箇所にて、複数の支持部11,12がそれぞれ設けられている。支持部11,12は、円筒状に鍵フレーム10と一体的に形成されて、鍵フレーム10の上面から上方に突出し、内部に雌ねじが形成されている。支持部11の上面には、電気回路基板20が載置されて固定されている。支持部12の上面には、電気回路基板20に加えて、詳しくは後述する樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第3鍵ユニット30,40,50からなる鍵盤も載置されて固定されている。
【0017】
鍵フレーム10における支持部11よりも若干前方に位置する部分には、白鍵31,41及び黒鍵51の押鍵時に白鍵31,41及び黒鍵51の前端部の下方への変位を規制する下限ストッパ部13が設けられている。下限ストッパ部13は、前端が後端より若干低くなるように上方にコ字状に突出するとともに、左右方向に延設されて鍵フレーム10と一体的に形成されている。下限ストッパ部13の上面には、白鍵31,41及び黒鍵51との衝突緩和のために、左右方向に延設された長尺状のフェルト等の緩衝材14が張り付けられている。
【0018】
電気回路基板20は、樹脂などにより一体的に平板状かつ左右方向に長い長方形状に形成され、その上面には、ラバードームスイッチで構成した鍵スイッチ21が配置されるとともに、図示しない電気回路部品、電気配線パターン(銅箔パターン)などが設けられている。電気回路基板20の前端部であって支持部11の前方位置の下面には、白鍵31,41及び黒鍵51との衝突緩和のために、左右方向に延設された長尺状のフェルト等の緩衝材22が張り付けられている。電気回路基板20及び緩衝材22は、白鍵31,41及び黒鍵51の離鍵時に白鍵31,41及び黒鍵51の前端部の上方への変位を規制する。
【0019】
電気回路基板20の前部には、鍵フレーム10の支持部11の位置に対応した位置に、支持部11の雌ねじに螺合する雄ねじを貫通させるためのねじ用の貫通孔22aが設けられている。また、電気回路基板20の後端部には、鍵フレーム10の支持部12に対応した位置に、支持部12の雌ねじに螺合する雄ねじを貫通させるためのねじ用の貫通孔22bも設けられている。さらに、電気回路基板20の後端部の適宜箇所には、第1鍵ユニット30の後述する共通取付け部33の下面に設けた位置決め用の突起33cを圧入させるための貫通孔22cも設けられているとともに、共通取付け部33の下面に設けた突出片33fを貫通させるための貫通孔22dも設けられている。なお、前記雄ねじに関しては、図示省略されている。また、電気回路基板20の構成に関しては、貫通孔22a,22b,22c,22dも含めて、
図7を用いて詳しく後述する。
【0020】
鍵フレーム10の後端部の上方には、左右方向に延設された上カバー15が設けられている。上カバー15は、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50の後端部(白鍵31,41及び黒鍵51の後端よりも若干後方位置から後方の部分)を覆って、外観を良好に保つための部材である。
【0021】
次に、第1鍵ユニット30について、
図3(A)の平面図及び
図3(B)の側面図を用いて説明する。第1鍵ユニット30は、音名C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない4つの白鍵31を有する。白鍵31は、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。上壁及び左右側壁には、黒鍵51のスペースを確保するための段部が設けられている。
【0022】
白鍵31の下面における前後方向の中間位置には、白鍵31の下面から下方に延設されて後方を開放させた前壁及び左右側壁からなる横断面コ字状の係合片31aが、白鍵31と一体的に形成されている。係合片31aの下面は、白鍵31の押鍵時に緩衝材14に当接して白鍵31の前端部の下方への変位を規制する。係合片31aの左右側壁の後面には、その下端部にて後方に突出した一対の突出部31a1が設けられている。この突出部31a1は、その上面を白鍵31の離鍵時に緩衝材22に当接させて、すなわち緩衝材22を介して電気回路基板20の前端部に係合させて、白鍵31の前端部の上方への変位を規制する。また、白鍵31の下面における前後方向の中間位置であって、電気回路基板20に設けた鍵スイッチ21と対向する位置には、白鍵31の押鍵時に鍵スイッチ21を押圧する押圧部31bが設けられている。
【0023】
これらの4つの白鍵31の後壁は、ヒンジ部32を介して共通取付け部(レール部)33にそれぞれ接続されている。ヒンジ部32及び共通取付け部33は、白鍵31と一体成型されている。ヒンジ部32は、厚肉に形成された前部分で白鍵31の後壁に接続されるとともに、薄肉に形成された後部分で共通取付け部33に接続され、上下方向に弾性変形して、白鍵31の押離鍵時に白鍵31の前端部を上下に揺動させる。
【0024】
共通取付け部33は、前後方向の縦断面を略方形状とする左右方向に長尺状の部材であり、下面に左右方向に延設された凹部33aを有するとともに、上面に左右方向に延設された凸部33bを有する。共通取付け部33の下面には、左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の両端部と中間部の1箇所)にて、下方に突出した突起33cが設けられている。突起33cは、下端を面取りした円柱状に形成されており、共通取付け部33を電気回路基板20の後端部に組み付ける際に電気回路基板20に設けた貫通孔22c(
図2(B)及び
図7参照)に圧入される。共通取付け部33における左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の1箇所)には、貫通孔33dが設けられている。貫通孔33dは、円形に形成されており、第2鍵ユニット40を第1鍵ユニット30上に組み付ける際に第2鍵ユニット40に設けた後述する突起43cを圧入させる。また、共通取付け部33における鍵フレーム10の支持部12と対応する左右方向位置には、貫通孔33eも設けられている。貫通孔33eは、貫通孔33dよりも若干大径の円形に形成されており、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50を鍵フレーム10に組み付ける際に、図示しない雄ねじを貫通させる。
【0025】
さらに、共通取付け部33の下面の左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の2箇所)には、下方に突出した突出片33fも設けられている。この突出片33fは、共通取付け部33を電気回路基板20の後端部に組み付ける際に電気回路基板20に設けた貫通孔22d(
図2(B)及び
図7参照)に多少の隙間をもって挿入されてガイド機能を果たす。
【0026】
次に、第2鍵ユニット40について、
図4(A)の平面図及び
図4(B)の側面図を用いて説明する。第2鍵ユニット40は、音名D,F,Aにそれぞれ対応した3つの白鍵41を有する。白鍵41も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。白鍵41の前後方向長さ及び高さは白鍵31の場合と同じであり、上壁及び左右側壁には黒鍵51のスペースを確保するための段部が設けられている。また、白鍵41の下面における前後方向の中間位置には、白鍵31の係合片31a及び押圧部31bと同様な突出部41a1を有する係合片41a及び押圧部41bが設けられている。
【0027】
これらの3つの白鍵41の後壁は、ヒンジ部42を介して共通取付け部43にそれぞれ接続されている。ヒンジ部42及び共通取付け部43は、白鍵41と一体成型されている。ヒンジ部42及び共通取付け部43は、第1鍵ユニット30のヒンジ部32及び共通取付け部33と同様に構成されている。そして、共通取付け部43には、前述した凹部33a、凸部33b、突起33c、貫通孔33d及び貫通孔33eと同様な、凹部43a、凸部43b、突起43c、貫通孔43d及び貫通孔43eを有する。ただし、突起43cは、第1鍵ユニット30の貫通孔33dと左右方向の対向する位置に設けられ、貫通孔33dの内径とほぼ同じ外径を有し、第2鍵ユニット40の共通取付け部43を第1鍵ユニット30の共通取付け部33上に組み付ける際に、貫通孔33dに圧入される。貫通孔43dは、共通取付け部43における左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の1箇所)に設けられている。貫通孔43dは、円形に形成されており、第3鍵ユニット50を第2鍵ユニット30上に組み付ける際に、第3鍵ユニット50に設けた後述する突起53cを圧入させる。また、ヒンジ部42及び共通取付け部43は、第1鍵ユニット30のヒンジ部32及び共通取付け部33よりも上方に位置する。
【0028】
次に、第3鍵ユニット50について、
図5(A)の平面図及び
図5(B)の側面図を用いて説明する。第3鍵ユニット50は、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応した5つの黒鍵51を有する。黒鍵51も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。ただし、黒鍵51の前後方向長さは白鍵31,41の前後方向長さよりも小さく、黒鍵51の高さは白鍵31,41の高さよりも高い。黒鍵51の前壁の上部は、下方に向かって前方に位置するように傾斜している。黒鍵51の下面における前端位置には、白鍵31の係合片31aと同様な突出部51a1を有する係合片51aが設けられている。また、黒鍵51の下面における中間位置には、白鍵31の押圧部31bと同様な押圧部51bが設けられている。
【0029】
さらに、黒鍵51の後端部の下面には、平板状かつ方形状に形成されるとともに左右方向の長さを黒鍵51の左右方向の幅とほぼ同じにして、下方に突出した突出片51cが設けられている。突出片51cは、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50を鍵フレーム10及び電気回路基板20に組み付けた状態では、E音及びF音に対応した白鍵31,41の間を除く他の隣接した白鍵31,41の間にて、第1及び第2鍵ユニット30,40のヒンジ部32,42の前方に上方から侵入している。
【0030】
これらの5つの黒鍵51の後壁は、ヒンジ部52を介して共通取付け部53にそれぞれ接続されている。ヒンジ部52及び共通取付け部53は、黒鍵51と一体成型されている。ヒンジ部52及び共通取付け部53は、第1及び第2鍵ユニット30,40のヒンジ部32,42及び共通取付け部33,43と同様に構成されている。そして、共通取付け部53には、前述した凹部33a、凸部33b、突起33c及び貫通孔33eと同様な凹部53a、凸部53b、突起53c及び貫通孔53eを有する。ただし、突起53cは、第2鍵ユニット30の貫通孔43dと左右方向の対向する位置に設けられ、貫通孔43dの内径とほぼ同じ外径を有し、第3鍵ユニット50の共通取付け部53を第2鍵ユニット40の共通取付け部43上に組み付ける際に、貫通孔43dに圧入される。また、ヒンジ部52及び共通取付け部53は、第2鍵ユニット40のヒンジ部42及び共通取付け部43よりも上方に位置する。
【0031】
共通取付け部53の後端部における左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の2箇所)には、フック部53fが下方に延設されている。フック部53fの下端部には、前方に突出され、上面を平面にして縦断面形状を3角形状とする係止用爪が設けられている。第1乃至第3鍵ユニット30,40,50を電気回路基板20に組み付ける際に、このフック部53fの係止用爪が電気回路基板20の下面後端部に係合する。ただし、図示しない雄ねじにより第1乃至第3鍵ユニット30,40,50及び電気回路基板20を鍵フレーム10に固定した状態では、フック部53fの係止用爪は電気回路基板20の下面後端部に係合(すなわち接触)していない。
【0032】
次に、電気回路基板20について説明する。この電気回路基板20は、
図6に示すように、複数枚の電気回路基板20を連結した連結基板20Aを1枚ずつ切り離して使用する。この場合、電気回路基板20の左右方向長さは、3オクターブ分である。なお、本実施形態では、3枚の電気回路基板20を連結した連結基板20Aについて説明するが、この連結基板20Aは2枚又は4枚以上の電気回路基板20を連結したものであってもよい。連結基板20Aの製造においては、まず、樹脂により成型した平板状部材の上面に電気配線パターンを形成し、その後、電気配線パターンが形成された平板状部材を金型で打ち抜いて、連結基板20Aの原形を形成する。なお、必要に応じて、前記樹脂により成型した平板状部材の下面にも電気配線パターンを形成しておくようにしてもよい。また、金型による連結基板20Aの原形の形成と同時に、複数の電気回路基板20の原形に相当する複数の部位の各間に、金型で打ち抜いてミシン目25を形成しておく。ミシン目25は、長尺状の複数の貫通孔(スリット)25aと、隣合う貫通孔25a間に前記複数の部位を連結している細いつなぎ目部分25bとからなる。この場合、鍵盤装置を完成させた状態では、詳しくは
図7を用いて後述するが、つなぎ目部分25bは黒鍵51の係合片51aの左右側壁間に位置するように形成されている。
【0033】
また、前記金型による連結基板20Aの原形の形成と同時に、前記複数の部位には貫通孔22a,22b,22c,22d(
図2(B)及び
図7参照)も金型で打ち抜いて形成しておく。そして、この電気配線パターンの形成された連結基板20Aの原形の上面に、鍵スイッチ21を含む電気部品を装着する。これにより、複数の電気回路基板20をミシン目25を介して連結した連結基板20Aが完成する。なお、
図6においては、貫通孔22a,22b,22c,22d、電気配線パターン、及び鍵スイッチ21を含む電気部品は省略されている。このようにして製造された連結基板20Aをミシン目25の位置で割って切り離すことにより、複数の電気回路基板20がそれぞれ製造される。なお、前述した鍵スイッチ21を含む電気部品の装着を、ミシン目25の位置で切り離した複数の電気回路基板20の製造後に行うようにしてもよい。このようにして切り離された電気回路基板20においては、連結基板20Aを割って1枚の電気回路基板20を切離した際に、ミシン目25のつなぎ目部分25bの一部が残って電気回路基板20の端面外側に突出する。すなわち、
図6において、最上位置の電気回路基板20の下側端面にはつなぎ目部分25bの一部が残り、中間位置の電気回路基板20の上側及び下側端面にはつなぎ目部分25bの一部が残り、最下位置の電気回路基板20の上側端面にはつなぎ目部分25bの一部が残る。
【0034】
このように構成した第1乃至第3鍵ユニット30,40,50及び電気回路基板20の鍵フレーム10への組み付けについて説明しておく。まず、第1鍵ユニット30の共通取付け部33の上面に第2鍵ユニット40の共通取付け部43を載置して、第2鍵ユニット40を第1鍵ユニット30に組み付ける。この場合、共通取付け部33の凸部33bを共通取付け部43の凹部43aに勘合させるとともに、共通取付け部43の下面に設けた位置決め用の突起43cを共通取付け部33の位置決め用の貫通孔33dに圧入する。次に、第1鍵ユニット30上に組み付けられた第2鍵ユニット40の共通取付け部43上に第3鍵ユニット50の共通取付け部53を載置して、第3鍵ユニット50を第2鍵ユニット40に組み付ける。この場合、共通取付け部43の凸部43bを共通取付け部53の凹部53aに勘合させるとともに、共通取付け部53の下面に設けた位置決め用の突起53cを共通取付け部43の位置決め用の貫通孔43dに圧入する。これにより、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50からなる鍵盤が完成する。
【0035】
次に、鍵フレーム10の支持部11に電気回路基板20の前部に設けたねじ用の貫通孔22aを合わせて、電気回路基板20を支持部11,12上に載置する。そして、図示しない雄ねじを電気回路基板20の上面から貫通孔22aに貫通させて、支持部11に設けた雌ねじに侵入させるとともに螺合させて、電気回路基板20を鍵フレーム10に組み付ける。なお、緩衝材14,22に関しては、鍵フレーム10の下限ストッパ部13及び電気回路基板20の前端部の下面に事前にそれぞれ固着されている。
【0036】
次に、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50からなる鍵盤を、電気回路基板20上に組み付ける。この場合、白鍵31,41及び黒鍵51の係合片31a,41a,51aの突出部31a1,41a1,51a1を電気回路基板20の前端部の下方にそれぞれ侵入させて、第1鍵ユニット30の突出片33fを電気回路基板20の貫通孔22dに貫通させる。そして、第1鍵ユニット30の共通取付け部33を電気回路基板20の後端部上に載置し、第3鍵ユニット50のフック部53fの係止用爪を電気回路基板20の後端部の下面に係合させる。また、共通取付け部33の下面に設けた位置決め用の突起33cを、電気回路基板20の後端部に設けた位置決め用の貫通孔22cに圧入する。そして、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50の共通取付け部33,43,53に設けたねじ用の貫通孔33e,43e,53e及び電気回路基板20に設けたねじ用の貫通孔22bに、図示しない雄ねじを上方から貫通させて、支持部12に設けた雌ねじに侵入させるとともに螺合させる。これにより、複数の白鍵31,41及び黒鍵51は、それらの前端部を上下方向に揺動可能にした状態で、それらの後端部にて、支持部12上に電気回路基板20を介して支持される。また、この状態では、電気回路基板20は、複数の白鍵31,41及び黒鍵51からなる鍵盤の下方にて、その上面を鍵盤の下面に対向させて位置する。その後、上カバー15を鍵フレーム10の図示しない接合部に接続して、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50の後端部を覆う。
【0037】
このようにして構成された鍵盤装置における電気回路基板20に設けた貫通孔22a,22b,22c,22d及びミシン目25のつなぎ目部分25bの位置について、
図7を用いて説明しておく。
図7は、電気回路基板20、白鍵31,41及び黒鍵51を、鍵盤装置の下から見た概略図である。なお、
図7は鍵盤装置を下から見ているので、
図2、
図3(A)及び
図6の平面図とは左右方向が逆になっている。
【0038】
この
図7からも明らかなように、電気回路基板20の前側端面に残ったミシン目25のつなぎ目部分25bは、黒鍵51の係合片51の左右側壁及び一対の突出部51a1の間の位置であって、係合片51aにおける突出部51a1よりも上部分の後方かつ突出部51a1の上方に位置する。なお、電気回路基板20を鍵盤装置に組み込んだ状態で、
図6の最上位置又は中間位置の電気回路基板20の下側が鍵盤装置の前側(すなわち係合片51a側)に位置する場合には、端面に残るつなぎ目部分25bは係合片51aに対向するように位置する。しかし、最下位置の電気回路基板20の下側が鍵盤装置の前側に位置する場合には、端面に残るつなぎ目部分25bは係合片51aに対向しない。また、逆に、電気回路基板20を鍵盤装置に組み込んだ状態で、
図6の最下位置又は中間位置の電気回路基板20の上側が鍵盤装置の前側(すなわち係合片51a側)に位置する場合には、端面に残るつなぎ目部分25bは係合片51aに対向するように位置する。しかし、最上位置の電気回路基板20の上側が鍵盤装置の前側に位置する場合には、端面に残るつなぎ目部分25bは係合片51aに対向しない。
【0039】
また、ねじ用の貫通孔22aは突出部31a1,41a1,51a1の若干後方に位置している。ねじ用の貫通孔22bは電気回路基板20の後部であって、破線で示す第1鍵ユニット30の共通取付け部33の貫通孔33eに対向して位置している。位置決め用の貫通孔22cは、第1鍵ユニット30の共通取付け部33の位置決め用の突起33cに対向して位置している。第1鍵ユニット33の突出片33fを貫通させる貫通孔22dは、共通取付け部33の後端面よりも若干前側に位置する。
【0040】
このように構成した鍵盤装置においては、演奏者が白鍵31,41及び黒鍵51を押鍵操作すると、白鍵31,41及び黒鍵51はヒンジ部32,42,52の弾性変形により、共通取付け部33,43,53を中心に揺動して、それらの前端部を下方へ変位させる。そして、白鍵31,41及び黒鍵51の係合片31a,41a,51aの下面が緩衝材14の上面に当接すると、白鍵31,41及び黒鍵51の揺動は停止される。一方、前記押鍵された白鍵31,41及び黒鍵51が離鍵されると、白鍵31,41及び黒鍵51はヒンジ部32,42,52及び鍵スイッチ21の復元力により、それらの前端部を上方へ変位させる。そして、白鍵31,41及び黒鍵51の係合片31a,41a,51aの突出部31a1,41a1,51a1の上面が緩衝材22の下面に当接すると、白鍵31,41及び黒鍵51は元の位置(離鍵状態)に復帰する。
【0041】
このような白鍵31,41及び黒鍵51の押離鍵操作により、押圧部31bが電気回路基板20上に設けた鍵スイッチ21をオン・オフさせる。この鍵スイッチ21のオン・オフにより、押離鍵操作された白鍵31,41及び黒鍵51に対応した楽音信号の発生が制御される。
【0042】
上記のように構成されかつ動作する鍵盤装置においては、ミシン目25が白鍵31,41及び黒鍵51の係合片31a,41a,51a側に位置するときに、ミシン目25は、そのつなぎ目部分25bが黒鍵51の係合片51aの左右側壁間にあって、係合片31a,41a,51aの後面に対向しないように形成されている。したがって、電気回路基板20の前端面から係合片31a,41a,51aの後面までの距離を大きくしなくても、押離鍵操作による白鍵31,41及び黒鍵51の前端部の揺動時に、連結基板20Aを割った際に残るミシン目25のつなぎ目部分25bが係合片31a,41a,51aの後面に接触して、白鍵31,41及び黒鍵51の動作が不安定になったり、雑音が発生したりすることはない。その結果、上記第1実施形態によれば、係合片31a,41a,51aに設けた突出部31a1,41a1,51a1の前後方向長さを小さくでき、係合片31a,41a,51aを含む白鍵31,41及び黒鍵51の設計上の制約が解消される。また、白鍵31,41及び黒鍵51を鍵フレーム10への組み付ける際には、係合片31a,41a,51aの突出部31a1,41a1,51a1を電気回路基板20の前端部下面側に侵入させ易くなり、白鍵31,41及び黒鍵51の鍵フレーム10への組み付け効率も良好となる。
【0043】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る鍵盤装置について、
図8を用いて説明する。
図8も、電気回路基板20、白鍵31,41及び黒鍵51を、鍵盤装置の下から見た概略図である。この第2実施形態では、鍵盤装置を組み立てた状態で、電気回路基板20の前側端面に残ったミシン目25のつなぎ目部分25bが、白鍵31,41の係合片31a,41aの左右側壁及び一対の突出部31a1,41a1の間の位置であって、係合片31a,41aにおける突出部31a1,41a1よりも上部分の後方かつ突出部31a1,41a1の上方に位置するようにする。この場合、
図6に示す連結基板20Aの原形を製造する際に、ミシン目25における長尺状の複数の貫通孔(スリット)25a及びつなぎ目部分25bの位置を上記第1実施形態とは異ならせる。他の構成は、上記第1実施形態と同じであるので、その説明は省略する。
【0044】
このような第2実施形態においても、ミシン目25のつなぎ目部分25bが、白鍵31,41における係合片31a,41aの左右側壁間にそれぞれ位置するので、押離鍵操作による白鍵31,41及び黒鍵51の前端部の揺動時に、連結基板20Aを割った際に残るミシン目25のつなぎ目部分25bが係合片31a,41a,51aの後面に接触して、黒鍵51の動作が不安定になったり、雑音が発生したりすることはない。したがって、上記第1実施形態と同じ効果が期待される。
【0045】
また、この鍵盤装置においては、白鍵31,41における係合片31a,41aの左右側壁間の距離は、黒鍵51における係合片51aの左右側壁間の距離よりも長い。したがって、ミシン目25の左右方向における多少の位置ずれがあっても、上記第1実施形態の場合と比べて、ミシン目25のつなぎ目部分25bの係合片31a,41aの後面への接触による、白鍵31,41の動作の不安定及び雑音の発生がより良好に防止される。
【0046】
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る鍵盤装置について、
図9を用いて説明する。
図9も、電気回路基板20、白鍵31,41及び黒鍵51を、鍵盤装置の下から見た概略図である。この第3実施形態では、上記第2実施形態の
図8の右側のミシン目25のつなぎ目部分25bをなくして、つなぎ目部分25bを一つにした。そして、鍵盤装置を組み立てた状態で、このつなぎ目部分25bの左右方向位置と、電気回路基板20に設けた位置決め用の貫通孔22c及び第1鍵ユニット30に設けた位置決め用の突起33cの左右方向位置とを一致させた。なお、この場合も、つなぎ目部分25bは、白鍵41における係合片41aの左右側壁間の位置であって、係合片41aにおける突出部41a1よりも上部分の後方かつ突出部41a1の上方に位置するようにする。
【0047】
この場合も、
図6に示す連結基板20Aの原形を製造する際に、第2実施形態の場合と同様に、ミシン目25における長尺状の複数の貫通孔(スリット)25a及びつなぎ目部分25bの位置を上記第1実施形態とは異ならせる。さらに、
図8の右側のつなぎ目部分25b(
図6(A)の左から1番目、3番目及び5番目のつなぎ目部分25b)をなくして、その部分の長尺状の貫通孔(スリット)25aをさらに長くする。
【0048】
また、貫通孔22b,22cの位置も上記第2実施形態の貫通孔22b,22cとは異ならせる。さらに、この場合には、第1鍵ユニット30の共通取付け部33に設けた突起33cの左右位置を変更して、貫通孔22cの左右方向位置に合わせる。また、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50の共通取付け部33,43,53に設けた一部の貫通孔33e,43e,53eの左右位置も変更して、貫通孔22bの左右方向位置に合わせる。他の構成は、上記第2実施形態と同じであるので、その説明は省略する。
【0049】
このような第3実施形態においても、ミシン目25のつなぎ目部分25bが、白鍵41における係合片41aの左右側壁間に位置するので、押離鍵操作による白鍵31,41及び黒鍵51の前端部の揺動時に、連結基板20Aを割った際に残るミシン目25のつなぎ目部分25bが係合片31a,41a,51aの後面に接触して、白鍵31,41及び黒鍵51の動作が不安定になったり、雑音が発生したりすることはない。したがって、上記第2実施形態と同じ効果が期待される。
【0050】
また、第2鍵ユニット40の寸法公差及び成型条件の違いにより、白鍵41の横幅の誤差がある程度大きくなることもある。そして、位置決め用の突起33cから左右方向に遠い白鍵41では、左右位置がより大きくずれて、つなぎ目部分25bが白鍵41の係合片41aの後面に接触する可能性が高くなる。しかし、この第3実施形態では、ミシン目25のつなぎ目部分25bの左右方向位置を、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50を鍵フレーム10に組み付ける際における第1鍵ユニット30の位置決め用の突起33c、及び電気回路基板20の位置決め用の貫通孔22cの左右方向位置に合わせた。したがって、この第3実施形態によれば、つなぎ目部分25bの係合片41aの後面への接触による、白鍵41の動作の不安定及び雑音の発生が上記第2実施形態の場合に比べてより良好に防止される。
【0051】
なお、前記第3実施形態では、鍵盤装置を組み立てた状態で、つなぎ目部分25bの左右方向位置と、電気回路基板20における位置決め用の貫通孔22c及び第1鍵ユニット30における位置決め用の突起33cの左右方向位置とを一致させた。しかし、つなぎ目部分25bの左右方向位置と、位置決め用の貫通孔22c及び突起33cの左右方向位置とが多少ずれていても、つなぎ目部分25bが位置決め用の貫通孔22c及び突起33cの左右方向の近傍にあれば、前記第3実施形態の場合よりは劣るが、前記第3実施形態とある程度同様な効果が期待される。この位置のずれは、例えば、1つの白鍵31,41又は黒鍵51の横幅の2倍以下程度であればよい。
【0052】
また、図示しない雄ねじを貫通させる電気回路基板20の貫通孔22b及び第1鍵ユニット30の共通取付け部33に設けた貫通孔33eも位置決め機能を発揮するので、貫通孔22b,33eを位置決め部分として、つなぎ目部分25bの左右方向位置を貫通孔22b,33eの左右方向位置に一致させ又はその近傍位置にしてもよい。
【0053】
また、前記第3実施形態では、つなぎ目部分25bを一つにして、つなぎ目部分25bの左右方向位置と、電気回路基板20における位置決め用の貫通孔22c及び第1鍵ユニット30における位置決め用の突起33cの左右方向位置とを一致させた。しかし、複数のつなぎ目部分25bを設けるとともに、複数の貫通孔22c及び突起33cを設けて、複数のつなぎ目部分25bの左右方向位置を、複数の貫通孔22c及び突起33cの左右方向位置にそれぞれ合わせるようにしてもよい。また、複数のつなぎ目部分25bの左右方向位置を、それぞれ複数の貫通孔22c及び突起33cの左右方向位置の近傍位置にしてもよい。これによっても、前記と同様な理由により、前記第3実施形態による効果は期待できる。
【0054】
また、つなぎ目部分25bの左右方向位置と、電気回路基板20における位置決め用の貫通孔22c及び第1鍵ユニット30における位置決め用の突起33cの左右方向位置とを一致させた第3実施形態の構成は、つなぎ目部分25bが黒鍵51における係合片51aの左右側壁間に位置する、上述した第1実施形態にも適用され得る。これによれば、つなぎ目部分25bの係合片51aの後面への接触による、黒鍵51の動作の不安定及び雑音の発生が上記第1実施形態の場合に比べてより良好に防止される。
【0055】
d.その他の変形例
なお、本発明に係る鍵盤装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能である。
【0056】
上記第1乃至第3実施形態では、複数の白鍵31を有する第1鍵ユニット30を最下層とし、複数の白鍵41を有する第2鍵ユニット30を中間層とし、複数の黒鍵51を有する第3鍵ユニット50を最上層とした。しかし、この上下層の順番を変更してもよい。すなわち、複数の白鍵31を有する第1鍵ユニット30を最上層又は中間層とし、複数の白鍵41を有する第2鍵ユニット30を最上層又は最下層とし、複数の黒鍵51を有する第3鍵ユニット50を最下層又は中間層としてもよい。
【0057】
また、第1乃至第3鍵ユニット30,40,50を積層しなくても、白鍵31,41及び黒鍵51の係合片31a,41a,51aの突出部31a1,41a1,51a1が電気回路基板20の前端部の下面に係合することにより、白鍵31,41及び黒鍵51の前端部の上方への揺動が規制されるものであれば、どのような構造の鍵盤装置にも適用され得る。
【0058】
さらに、上記第1乃至第3実施形態では、鍵盤楽器のケースについての説明を省略した。しかしながら、鍵盤楽器は、白鍵31,41,51及び上カバー15の下方及び側方に位置して、鍵盤楽器の内部と外部とを隔離するケースを備えている。そして、上述した鍵フレーム10は、ケース内に配置されていてもよいし、ケースの下側部分で構成されていてもよい。すなわち、鍵フレーム10がケース内に配置されている場合には、ケースの底壁の上方位置に固定されている。また、ケース10がケースの下側部分で構成されている場合には、ケースの底壁の一部が鍵フレーム10を構成する。言い換えれば、鍵フレーム10自体がケースの下側部分を構成している。