【実施例1】
【0044】
図1は、この発明の実施例1に係る半導体装置100の要部断面図である。
図1においては、
図8のFWD88に相当するFWDの要部断面であり、活性部端部付近から半導体基板の外周部までの半導体装置の要部断面を示している。
図1において、半導体装置100は、nドリフト領域2の上面に配置されるpアノード領域4を備えている。nドリフト領域2上には、pアノード領域4と接して配置され、pアノード領域4よりも低濃度で拡散深さの深いp拡散領域5が設けられている。nドリフト領域2の外延部のn
-領域3には、エッジ終端構造17などが形成される。
【0045】
n
-領域3上には、p拡散領域5と接して配置される抵抗領域6と、抵抗領域6と接して配置される抵抗端部領域7と、抵抗端部領域7と離して配置される複数本のpガードリング領域8と、pガードリング領域8と離して配置されるpストッパ領域9と、が設けられている。n半導体基板1に形成される各領域は、n半導体基板1におけるnドリフト領域2とその外延部のn
-領域3には形成されない。
【0046】
また、半導体装置100は、pアノード領域4とp拡散領域5に電気的に接続して配置されるアノード電極10を備える。以下の説明においては、アノード電極10が、pアノード領域4またはそれに接続するp型の拡散層の表面に接続している接触面の端の部分を、コンタクト端30と呼ぶ。また、以下の説明においては、さらに、コンタクト端30からチップ外周側に向かって抵抗端部領域7の外周端部までの領域を、緩衝領域18と呼ぶ。
【0047】
半導体装置100は、緩衝領域18に電気抵抗(以下、単に抵抗と呼ぶ)の異なる3つかそれ以上のp型領域を有することを特徴の一つとしている。実施例1の半導体装置100は、コンタクト端30に接続しているp拡散領域5と、p型拡散領域とその外周側で接続する抵抗領域6と、抵抗領域6とその外周側に接続する抵抗端部領域7の3つの領域を有している。
【0048】
これらの抵抗が異なるとは、具体的には各3領域の不純物(ドーピング)濃度を半導体基板の表面から深さ方向に積分した積分濃度が異なることである。また、各3領域のシート抵抗は、積分濃度にキャリア移動度(p型層の場合は正孔)と電荷素量を掛けた値の逆数であるので、各3領域のシート抵抗が異なると言っても良い。尚、各3領域のうち2つが同じ抵抗(積分濃度、シート抵抗)であってもよい。緩衝領域18には、少なくとも異なる2種類の抵抗値を有する3つのp型領域があればよい。
【0049】
半導体装置100は、n
-領域3上、抵抗領域6上、抵抗端部領域7上、pガードリング領域8上、pストッパ領域9上に配置される絶縁膜11を備える。また、半導体装置100は、pガードリング領域8上に電気的に接続して絶縁膜11上に配置されるガードリング電極12と、pストッパ領域9上に電気的に接続して配置されるストップ電極13を備える。絶縁膜11としては、PSG(リンガラス)膜、熱酸化膜(フィールド酸化膜も含む)、および酸化膜とPSG膜の積層膜などがある。
図1は一層の絶縁膜で示したが、その中で、例えば、厚さが薄い箇所は熱酸化膜だけで、厚さが厚い箇所は熱酸化膜の上にPSG膜を堆積させた複合膜であってもよい。
【0050】
半導体装置100は、nドリフト領域2の下とその延在部のn
-領域3下に配置されるnカソード領域15と、nカソード領域15に電気的に接続して配置されるカソード電極16を備える。前記のnドリフト領域2と延在部のn
-領域3は、n半導体基板1で各拡散領域が形成されない。nドリフト領域2と延在部のn
-領域3の不純物濃度は、n半導体基板1の不純物濃度と同じであり、例えば10
13cm
-3程度である。nドリフト領域2と延在部のn
-領域3の不純物濃度は、n半導体基板1の不純物濃度と異なっていてもよい。
【0051】
前記のpアノード領域4は、不純物濃度を例えば2×10
16cm
-3程度(例えば3×10
15cm
-3〜1×10
17cm
-3)とし、その拡散深さを例えば5μm程度(例えば3μm〜7μm)とすることができる。この場合、pアノード領域4の積分濃度は、拡散分布がガウシアンであると仮定すると、積分濃度は約4×10
12cm
-2(例えば4×10
11cm
-2〜3×10
13cm
-2)で、シート抵抗は約4000Ω/□(1000Ω/□〜30000Ω/□)である。
【0052】
前記のpガードリング領域8は、不純物濃度が高いp領域(p
+)である。pガードリング領域8は、不純物濃度を例えば10
18cm
-3〜10
19cm
-3程度またはそれ以上とし、その拡散深さを例えば10μm(例えば7μm〜15μm)程度とすることができる。この場合、pガードリング領域8の積分濃度は約3×10
14cm
-2(例えば2×10
14cm
-2〜4×10
15cm
-2)で、シート抵抗は約220Ω/□(例えば30Ω/□〜300Ω/□)である。
【0053】
前記の抵抗端部領域7は、pガードリング領域8と不純物濃度および拡散深さが同じp領域である。この抵抗端部領域7は、pガードリング領域8の一部と見なすこともできる。前記の抵抗領域6は、不純物濃度を10
17cm
-3程度(例えば3×10
16cm
-3〜3×10
17cm
-3)とし、その拡散深さを例えば7μm程度(例えば5μm〜10μm)のp領域(p)とすることができる。この場合、抵抗領域6の積分濃度は約2.5×10
13cm
-2(例えば5×10
12cm
-2〜1×10
14cm
-2)で、シート抵抗は約1100Ω/□(例えば400Ω/□〜3000Ω/□)である。
【0054】
p拡散領域5は、低濃度のp領域(p
-)である。p拡散領域5は、不純物濃度を例えば3×10
15cm
-3程度(例えば10
15cm
-3〜10
16cm
-3)とし、その拡散深さを例えば10μm程度(8μm以上15μm以下)の低濃度のp領域(p
-)とすることができる。この場合、p拡散領域5の積分濃度は約1.4×10
12cm
-2(例えば4×10
11cm
-2〜6×10
12cm
-2)で、シート抵抗は約10000Ω/□(例えば2000Ω/□〜30000Ω/□)である。これは、前記の抵抗領域6の不純物濃度より低く、拡散深さは深い。このp拡散領域5はn
-領域3への正孔の注入を抑えて蓄積する正孔量を少なくする働きがあり、逆回復時のpアノード領域4での電流集中を緩和する働きがある。
【0055】
このp拡散領域5の底部5aを平坦化するために、その幅Wを5μm〜50μmの範囲にするとよい。5μm未満では平坦化の程度が小さ過ぎて、この箇所での電流集中が大きくなる。一方、50μm超ではpアノード領域4の面積が小さくなり、FWDのオン電圧を上昇させる。また、好ましくは、10μm〜30μmの範囲がよい。半導体装置100において、pアノード領域4と、p拡散領域5のうちコンタクト端30までを活性部14とする。また、pガードリング領域8、pストッパ領域9、絶縁膜11が形成される領域をエッジ終端構造17とする。
【0056】
n半導体基板1の裏面には、nドリフト領域2の下とその延在部のn
-領域3の下に不純物濃度が10
18cm
-3程度で拡散深さが1μm程度の高濃度のnカソード領域15が配置され、このnカソード領域15に電気的に接続するカソード電極16が配置される。カソード電極16は、例えばTi/Ni/Auの3層金属膜で形成される。アノード電極10、ガードリング電極12およびストップ電極13は、例えばAl−Si膜で形成される。
【0057】
図2は、
図1の構造での正孔の挙動を説明する図であり、(a)は通電時の図、(b)は逆回復時の図である。
図2においては、
図11と同様に、通電時には活性部14の下部のnドリフト領域2においても正孔・電子対の蓄積が生じるが、図示は省略している。
図2(a)において、通電時は、抵抗領域6に接するp拡散領域5からの正孔の注入21はpアノード領域4よりも小さい。また、抵抗領域6からの正孔の注入21は、コンタクト端30からエッジ終端構造17側に向かって小さくなる。
【0058】
一方、抵抗領域6の外端部6aと接するエッジ終端構造17の最内周に隣接して設けられた抵抗端部領域7からの正孔の注入21は、抵抗端部領域7の不純物濃度が高いため、抵抗領域6の内端部6bからの正孔の注入21より大きくなる。そのため、正孔の注入21が大きくなる箇所は抵抗領域6の外端部6aおよび内端部6bに分散される。また、p拡散領域5からの正孔の注入21aは、不純物濃度が低いため抑制される。また、不純物濃度が低いために、p拡散領域5自体は、電流制限抵抗体Rとして機能する。そのため、抵抗領域6に接するp拡散領域5からの正孔の注入21aは、p拡散領域5を設けない場合に比べて抑制されて、電流集中が抑えられる。
【0059】
図2(b)において、逆回復時は、エッジ終端構造17の下部に蓄積した正孔の蓄積22は、抵抗端部領域7や抵抗領域6から引き抜かれる。この正孔の引き抜き(
図2(b)における符号23を参照)は抵抗端部領域7や抵抗領域6では抵抗値Rpが高いため、正孔が抵抗領域6を通ってpアノード領域4に異動するときに電位差が生じる。この電位差は、抵抗領域6の抵抗にもよるが、およそ100〜200Vである。
【0060】
このため、正孔の引き抜き(
図2(b)における符号23aを参照)の量は少なく、蓄積した正孔の蓄積22の殆どはp拡散領域5およびpアノード領域4で引き抜かれる。また、p拡散領域5の濃度は、pアノード領域4よりも低濃度で、かつ、拡散深さが深い。そのため、蓄積した正孔の蓄積22は、コンタクト端30へ向かうだけでなく、p拡散領域5よりも内周側のpアノード領域4に分流されるこの分流が、コンタクト端30への電流集中を緩和するために、逆回復耐量が向上する。
【0061】
この逆回復電流の「分流」が生じる理由について、
図16を用いて説明する。
図16は、実施例1のダイオードの断面において、逆回復時の等電位線41と正孔の引き抜き(
図16における符号23を参照)の関係を示した模式図である。等電位線41は、特に低電圧側のみ記載し、高電圧側(nカソード領域15側)の方は図示を省略する。
【0062】
逆回復時に、p拡散領域5におけるアノード電極10と同電位の線(空乏層端となる)は、pアノード領域4よりも低濃度のために浅く分布する。一方、電位が高くなると、p拡散領域5が深い拡散のため、等電位線41は深さ方向に伸びる。すなわち、pアノード領域4および抵抗領域6よりも深く等電位線41が分布する。これにより、このp拡散領域5のpn接合近辺では、電位の勾配は緩やかになる。つまり電界強度が緩和される。正孔は、電位勾配に沿って空間電荷領域を駆け下りるので、正孔はこの緩和領域を避けて電位勾配の急な方、すなわちpアノード領域4の側に落ちるようになる。
【0063】
さらに、コンタクト端30は、低濃度のp拡散領域5内部に位置している。そのため、正孔は、このp拡散領域5の高抵抗の影響を受け、それより低抵抗であるpアノード領域4の方からアノード電極10に流れるようになる。すなわち、正孔電流がp拡散領域5よりもpアノード領域4の方に分流されるようになる。尚、緩衝領域18の3つのp型拡散領域は、前述のように、積分濃度の他に少なくとも2つの異なる拡散深さを有するようにしてもよく、分流の効果を一層強くできる。
【0064】
以上の理由により、正孔はコンタクト端30に集中せずにpアノード領域4からアノード電極10に流れ、コンタクト端30への電流集中が緩和され素子破壊は防止される。また、前記したように、p拡散領域5を設けることで、通電時と共に逆回復時での電流集中を防止することができる。その結果、高い逆回復耐量を有する半導体装置100を製作することができる。
【実施例3】
【0068】
図4は、この発明の実施例3に係る半導体装置300の要部断面図である。この半導体装置300の実施例1との違いは、以下の2点である。1点目は、pアノード領域4および抵抗領域6の拡散深さより深く、pガードリング領域8の拡散深さより浅い抵抗領域26をpアノード領域4と抵抗端部領域7に接して配置することである。2点目は、pアノード領域4がアノード電極10と接触する箇所の端部を抵抗領域26から離した(後退させた)ことである。
図4においては、絶縁膜11は、リンガラスのPSG膜11bと熱酸化膜11aの二層絶縁膜で示した。
【0069】
実施例3の緩衝領域18も、3つの異なる抵抗領域を有する。第1の抵抗領域は、コンタクト端30からチップ外周に距離Tだけ延在する(あるいは後退する)pアノード領域4である。第2の抵抗領域は、pアノード領域4の外延部と接続する抵抗領域26である。第3の抵抗領域は、抵抗領域26の外周側に接続する抵抗端部領域7である。
【0070】
前記した抵抗領域26を前記のpアノード領域4の拡散深さより深くすることで、この抵抗領域26で引き抜かれる正孔量は多くなり、pアノード領域4も含めて正孔の引き抜きが均等化される。また、前記の抵抗領域26の表面不純物濃度を抵抗領域6の表面不純物濃度と等しくした場合には、抵抗領域26の拡散深さが抵抗領域6の拡散深さより深いために、抵抗領域26の抵抗値Rp1は抵抗領域6の抵抗値Rp(
図3参照)より小さくなる。
【0071】
すなわち、pアノード領域4と抵抗領域26のそれぞれの積分濃度が異なる。抵抗端部領域7は、pガードリング領域8と同じ程度に高濃度で拡散深さが深いため、抵抗値は低くなる。その結果、抵抗領域6より抵抗領域26の方が正孔の引き抜き効果が高くなり、pアノード領域4も含めて正孔の引き抜きが均等化される。
【0072】
尚、抵抗領域26を前記の抵抗領域6と拡散深さを同じにする場合もある。但し、抵抗領域26を前記の抵抗領域6と拡散深さを同じにする場合、pアノード領域4の拡散深さよりは深くする。この素子構成においては、アノード電極10と接触しないpアノード領域4の外周部は抵抗体Raとして働く。つまり、抵抗領域26から後退したpアノード領域4の後退箇所27は、実施例1および2のp拡散領域5のような働きをする。
【0073】
実施例3のダイオードが、コンタクト端30への電流集中を緩和できる理由について、
図17を用いて説明する。
図17は、実施例3のダイオードの断面において、逆回復時の等電位線41と正孔の引き抜き(
図17における符号23を参照)の関係を示した模式図である。等電位線41は、特に低電圧側のみ記載し、高電圧側(nカソード領域15側)の方は図示を省略する。
【0074】
逆回復時の等電位線41は、pアノード領域4よりも拡散深さが深い抵抗領域26において、nドリフト領域2の方に押し出される。すなわち、実施例1と同様に、pアノード領域4と抵抗領域26の境界近傍で、等電位線41の分布が広くなり、電位勾配が緩和される。その結果、正孔の引き抜き(
図17における符号23を参照)は、コンタクト端30よりもpアノード領域4の方に分流される。さらに、コンタクト端30を、pアノード領域4と抵抗領域26の境界よりも後退させているために、コンタクト端30への電流集中は回避されるようになる。これにより、正孔はコンタクト端30に集中せずにpアノード領域4からアノード電極に流れ、コンタクト端30への電流集中が緩和され素子破壊は防止される。この後退箇所27の幅(後退量Tとする)を適正な値に設定することで、逆回復時において、pアノード領域4での電流集中が抑制されて素子破壊を防止できる。
【0075】
つぎに、後退量Tと電界強度Eの関係を説明する。
図5は、アノードコンタクト後退量と電界強度の関係を示す図である。縦軸のEは任意スケールである。電界強度Eは逆回復時の電界強度である。素子が破壊する電界強度は図の範囲外であるが、高い信頼性で確保するためには、図示した発明の範囲にする必要がある。つまり、後退量Tを2μm〜35μmの範囲にするとよい。この範囲を超えると電界強度が高くなり、高い信頼性が得られなくなる。また、さらに好ましい範囲は、3μm〜10μmである。
【0076】
以上のように、緩衝領域18の3つのp型拡散領域は、積分濃度の他に少なくとも2つの異なる拡散深さを有するようにしてもよく、分流の効果を一層強くできる。
【実施例4】
【0077】
図6は、この発明の実施例4に係る半導体装置400の要部断面図である。前記の実施例1および実施例2との違いは、p拡散領域5を除去し、抵抗領域6の中間付近に高濃度のp拡散領域28を配置した点である。この高濃度のp拡散領域28は抵抗領域6の不純物濃度より高く、その拡散深さを深くしている。この高濃度のp拡散領域28は蓄積した正孔を効率よく引き抜けるため、電流集中が緩和されて、素子破壊を防止できる。
【0078】
尚、この高濃度のp拡散領域28は、抵抗領域6内であれば任意の箇所に配置することができる。また、p拡散領域28とpアノード領域4との間に配置される抵抗領域6をpアノード領域4と同時に形成して不純物濃度と拡散深さを同じにする場合もある。さらに、抵抗領域6全域をpアノード領域4と同時に形成して不純物濃度と拡散深さを同じにする場合もある。この場合は製造工程が簡略化されるので製造コストを低減できる。
【0079】
実施例4の緩衝領域18も、3つの異なる抵抗領域を有する。第1の抵抗領域は、コンタクト端30からpアノード領域4がチップ外周側に延在する抵抗領域6である。第2の抵抗領域は、pアノード領域4の外延部と接続するp拡散領域28である。第3の抵抗領域は、第1と同じ抵抗領域6である。この場合、緩衝領域18の抵抗値は、pアノード領域4と同じ濃度分布の抵抗領域6と、p拡散領域28の2種類である。
【0080】
実施例4のダイオードが、コンタクト端30への電流集中を緩和できる理由について、
図18を用いて説明する。
図18は、実施例4のダイオードの断面において、逆回復時の等電位線41と正孔の引き抜き(
図18における符号23を参照)の関係を示した模式図である。等電位線41は、特に低電圧側のみ記載し、高電圧側(nカソード領域15側)の方は図示を省略する。
【0081】
逆回復時の等電位線41は、pアノード領域4および抵抗領域6よりも拡散深さが深いp拡散領域28において、nドリフト領域2の方に押し出される。すなわち、実施例1と同様に、抵抗領域6とp拡散領域28の境界近傍で、等電位線41の分布が広くなり、電位勾配が緩和される。その結果、正孔の引き抜き23は、コンタクト端30よりもpアノード領域4の方に分流される。これにより、正孔はコンタクト端30に集中せずにpアノード領域4からアノード電極10に流れ、コンタクト端30への電流集中が緩和され素子破壊は防止される。
【0082】
また、p拡散領域28は、抵抗領域6のチップ外周方向における中間位置よりも、pアノード領域4側に形成すれば、分流の効果は大きくできる。さらに上述のように、緩衝領域18の3つのp型拡散領域は、積分濃度の他に少なくとも2つの異なる拡散深さを有するようにしてもよく、分流の効果を一層強くできる。
【0083】
上述した実施例1〜4における半導体装置100〜400のpアノード領域4付近の構成は、例えばつぎのような構成がある。
図7は、実施例1〜4の半導体装置100〜400のpアノード領域4付近の要部構成図である。ここでは8種類の例を示した。
(1)nドリフト領域2上に不純物濃度が低いp
-アノード領域31を配置し、その上にアノード電極10を配置する(同図(a))。
(2)(1)のp
-アノード領域31上全域に拡散深さの浅い高濃度のp領域32を配置し、その上にアノード電極10を配置する。この太線で示すp領域32は
図3に示すp領域25に相当する。(同図(b))。
(3)(2)のp領域32をp
-アノード領域31上の全域でなく選択的に配置する(同図(c))。
(4)(1)のp
-アノード領域31内に高濃度のp領域33を選択的に配置する(同図(d))。
(5)(1)のp
-アノード領域31を不純物濃度が高い、拡散深さが浅いpアノード領域34に置き換える(同図(e))。
(6)(5)のpアノード領域34上の全域に拡散深さの浅い高濃度のp領域32を配置し、その上にアノード電極10を配置する(同図(f))。
(7)(5)のpアノード領域34を選択的に配置する(同図(g))。
(8)(7)のアノード電極10下の全域に拡散深さの浅い高濃度のp領域32を配置する(同図(h))。