(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、包装袋に収納されたコーヒー粉、紅茶や緑茶の葉、その他の食品等の内容物を濾過するために、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要で、使い勝手もよいといったことから、使い捨てタイプのフィルターを有するドリッパーが色々と市販されている。
【0003】
このようなドリッパーの一つとして、フィルター内にコーヒー粉等の内容物を密封状態で収納した包装袋を添付したものが市販されている。例えば、特許文献1に開示されているように、ドリッパー内に予めコーヒー粉等の内容物を収納したものがあり、使用者にとっては、コーヒー粉を別途用意する手間や前記内容物をドリッパー内に充填する手間が省かれ、ドリッパーを起立させ、ドリッパーに設けられた凸起あるいは切込や切欠部を利用してカップ壁面にドリッパーを載置固定し、熱湯をドリッパー内に注ぐだけでカップ内にレギュラーコーヒーを得ることができる(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ドリッパーは、ドリッパー内に収納されたコーヒー粉が外気の影響を受けて変質するものであり、販売者は品質保証の意味からも、通常はコーヒー粉等を収納したドリッパーを気密性に優れた包装袋に封入して販売している。そのため、包装袋内において、コーヒー粉等の内容物に、ドリッパーを形成する素材の臭いが移ってしまい、内容物の風味が損なわれる惧れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物を漉すために、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要とするとともに、内容物が、外気の影響を受けて変質したり、フィルター等の臭いが移ったりするのを防止して、内容物の風味を保つことができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の包装容器は、
開口を有する濾紙又は透水性を有する不織布で構成された袋状のフィルター部と、
開口を有し、気密性の素材で形成された袋状のパック部と、
前記フィルター部の開口と前記パック部の開口とを接続することにより形成され、前記フィルター部及び前記パック部の双方に連通する連通部と、
前記パック部の開口における内面に形成され貼り合わせることで、当該パック部を密封する密封部と、
前記密封部を開閉させるための開閉操作部と
を有
し、
前記包装容器は気密性の包装パック内に真空パックされ、
前記開閉操作部は、前記連通部の前記パック部側において、前記パック部の開口に対応する前記パック部の外側表面に取付けられる棒状のマドラー部であり、
前記マドラー部は、一対の棒状部材で形成され、
前記一対の棒状部材で、前記パック部の外側表面から、前記パック部の開口を挟み込み、前記一対の棒状部材を相互に固着することにより、前記パック部の開口を封止する
ことを特徴とする。
【0008】
なお、本発明の包装容器に収納される内容物としては、例えば、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉、その他の食品はもとより、薬品、化粧品、化学品の他電子部品など空気に触れないようにして保存する必要のある物のすべてが含まれる。
【0009】
このような本発明によれば、包装時にあっては、パック部に、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物を収納し、開閉操作部を用いて密封部を封止して、当該パック部内を密封する。
【0010】
パック部に内容物を収納することにより、内容物が外気に触れて酸化するのを防ぐことができ、内容物の変質をよくしすることができる。このときフィルター部は、パック部の外にあり、内容物に接触することがない。これにより、フィルター部の臭いなどが内容物に移ることにより内容物の風味が損なわれることがない。
【0011】
一方、使用時にあっては、開閉操作部を用いて密封部を開放して、当該パック部の密封を解除することで、パック部内の内容物を、連通部を介し、フィルター部側に移動させて、フィルター部において内容物を濾過することができる。内容物をフィルター部側へ移動させた後のパック部は、例えば切り取り線などを設けておくことによって、パック部を連通部から切り離すようにしてもよい。
【0013】
上記の本発明によれば、包装時にあっては、パック部に、内容物を収納し、開閉操作部である一対の棒状部材で、パック部の外側表面から、パック部の開口を挟み込み、一対の棒状部材を相互に固着することにより、パック部の開口を封止する。これにより、パック部に内容物を収納することにより、内容物が外気に触れて酸化するのを防ぐことができ、内容物の変質をよくしすることができる。
【0014】
一方、使用時にあっては、開口を挟み込んでいる一対の棒状部材を離間させることにより取り外し、これによりパック部開口の封止を解除することができるので、パック部内の内容物を、連通部を介し、フィルター部側に移動させて、フィルター部において内容物を濾過することができる。
【0015】
なお、取り外した一対の棒状部材、すなわちマドラー部は、一対の棒状部材を直線状に連結できる仕組みを設け、取り外した後に直線状に連結し、マドラーとして使用することができる。例えば、フィルター部において内容物を濾過している最中に、マドラー部により内容物を撹拌することにより、内容物の濾過を促進させることができるとともに、内容物の風味を引き出すことができる。
【0016】
さらに、フィルター部の両側に、上下に回動可能なツマミ部を設け、フィルター部をパック部から切り離した後に、ツマミ部を上方に折り曲げてつまみ上げることにより、フィルター部を持ち上げることができ、ツマミ部を保持してフィルター部を上下させることにより、内容物の濾過を促進させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、この発明によれば、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物を濾過するために、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要とするとともに、内容物が、外気の影響を受けて変質したり、フィルター等の臭いが移ったりして内容物の風味が損なわれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る包装容器の包装時における全体構成を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る包装容器の開封時における全体構成を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る包装容器の切り離し時における全体構成を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る包装容器の使用時における全体構成を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る包装容器を用いた内容物の濾過方法を模式的に示す説明図であり、(a)は撹拌作業時の説明図であり、(b)は濾過作業時の説明図である。
【
図6】変更例に係る包装容器の全体構成を側部より示す断面図であり、(a)は、包装容器の切り離し前の断面図であり、(b)は、包装容器の切り離し後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る包装容器の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態においては、包装容器内に収納される内容物としてコーヒー粉を例に説明するが、発明の包装容器はこれに限定されるものではなく、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉、その他の食品はもとより、薬品、化粧品、化学品の他電子部品など空気に触れないようにして保存する必要のある物のすべてに利用可能である。
【0020】
(包装容器の構成)
図1は、本実施形態に係る包装容器10の全体構成を示す斜視図である。同図に示すように、本実施形態に係る包装容器10は、フィルター部2と、パック部1と、連通部11と、マドラー部3とから概略構成される。なお、
図1は、本発明の包装容器10をさらに透明な気密性の包装パック5内に真空パックした状態を示している。
【0021】
前記フィルター部2は、内容物6を濾過する袋状の濾過材であり、コーヒーフィルターに用いられる濾紙や、ポリエチレン系やポリプロピレン系、あるいは、ポリエステル系等の透水性を有する不織布を用いて構成することができる。このフィルター部2の上部には、開口2aが設けられており、この開口2aを介してパック部1が連結されている。
【0022】
なお、本実施形態では、フィルター部2の両側に、上下に回動可能なツマミ部4,4を設け、フィルター部2をパック部1から切り離した後に、ツマミ部4,4を上方に折り曲げてつまみ上げることにより、フィルター部2を持ち上げることができるようになっている。さらに、このツマミ部4,4には、切込4aがそれぞれ設けられており、
図4に示すように、ツマミ部4,4を左右に若干拡げて、この切込4aをマグカップの縁などに引っ掛けることにより、フィルター部2をマグカップ上に設置することができる。
【0023】
パック部1は、内容物6を収納する気密性の素材で形成された袋状の部材であり、下部に開口1aを有し、この開口1aを介して、下方に位置されるフィルター部2と連結されている。このパック部1としては、気密性を有する素材であれば、ビニールやアルミパックなどの他、完全に密封しないように不織布や紙で形成することもできる。
【0024】
連通部11は、フィルター部2の開口2aとパック部1の開口1aとを接続することにより形成され、フィルター部2及びパック部1の双方に連通する部分であり、この連通部11のパック部1側にミシン目や、線状のガイドフィルムによって形成された切り取り線7を設け、この切り取り線7に沿って、パック部1をフィルター部2から切り離せるようになっている。
【0025】
マドラー部3は、連通部11の密封部12を開閉させるための開閉操作手段であり、連通部11のパック部1側に配置され、パック部1の開口1aに対応する外側表面1bに取付けられる棒状の部材である。本実施形態では、一対の棒状部材3a,3aで形成され、この一対の棒状部材3a,3aで、パック部1の外側表面1bから、パック部1の開口1aを挟み込み、一対の棒状部材3a,3aを相互に固着することにより、パック部1の開口1aを封止する。なお、マドラー部3の一対の棒状部材3a,3a相互の固定は、例えば、連通部11におけるパック部1の部材及びフィルター部2の部材を貫通させて点線状に熱溶着させ、一方の棒状部材3a,3aをパック部1の表面から引き剥がすことにより、相互の熱溶着部分が切断され、連通部11が開放され、パック部1とフィルター部2とが連通するようにしている。
【0026】
連通部11の密封部12は、パック部1の開口1aにおける内側表面1cに形成され貼り合わせ、開口1aを封止することで、パック部1を密封する密封手段である。この密封部12は、一方の棒状部材3a,3aをパック部1の表面から引き剥がすことにより連通部11が開放されるような方式であれば種々のものを採用することができ、例えば、マドラー部3に対応する部位、若しくはマドラー部3よりもパック部1側の部位を熱溶着(ヒートシール)、その他の圧着方法、または粘着シートなどの粘着性の材料によりパック部1表裏のシート材を密着させる他、連通部11内面にゴム等の可撓性部材からなるパッキンを接着し、これをマドラー部3により外方より挟み込んで密着させるようにしてもよい。また、凹凸形状を噛み合わせて密着させる樹脂製ジッパーを備えた合成樹脂製袋(例えば、旭化成工業株式会社,エス・シー・ジョンソン・ホーム・ストーリッジインコーポレーテッド所有登録商標「ジップロック」で知られている合成樹脂製袋など)を用いてもよい。
【0027】
なお、取り外した一対の棒状部材3a,3a、すなわちマドラー部3は、一対の棒状部材3a,3aを直線状に連結できる仕組みを設け、取り外した後に直線状に連結し、マドラーとして使用することができる。例えば、フィルター部2において内容物6を濾過している最中に、マドラー部3により内容物6を撹拌することにより、内容物6の濾過を促進させることができるとともに、内容物6の風味を引き出すことができる。
【0028】
また、包装パック5の上部には、ミシン目や、線状のガイドフィルムによって形成された切り取り線5bが設けられており、切り取り線5bの両側部には切欠部5a,5aが設けられている。この切欠部5a,5a、及び切り取り線5bに沿って切り離すことで、包装容器10を取り出すことができる。
【0029】
(使用方法)
このような本実施形態に係る包装容器10では、先ず、包装時にあっては、
図1に示すように、パック部1に、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物6を収納し、マドラー部3の一対の棒状部材3a,3aで、パック部1の外側表面1bから、パック部1の開口1aを挟み込み、一対の棒状部材3a,3aを相互に固着することにより、連通部11において、パック部1の開口1aを封止する。
【0030】
一方、使用時にあっては、パック部1の開口1aの封止を解除することで、パック部1内の内容物6を、連通部11を介し、フィルター部2側に移動させて、フィルター部2において内容物6を濾過することができる。このとき、
図2に示すように、開口1aを挟み込んでいる一対の棒状部材3a,3aを離間させることにより取り外し、これによりパック部1の開口1aの封止を解除することができる。このとき、取り外した一対の棒状部材3a,3aを直線状に連結することにより、マドラーとして使用することができる。
【0031】
その後、
図3に示すように、内容物6をフィルター部2側へ移動させた後、パック部1を取り線7を引きちぎるなどして、パック部1を連通部11から切り離す。そして、
図4に示すように、ツマミ部4,4を左右に若干拡げて、各切込4aをマグカップの縁などに引っ掛けることにより、フィルター部2をマグカップ上に設置することができる。この状態において、
図5(a)に示すように、フィルター部2において内容物6を濾過している最中に、マドラー部3により内容物6を撹拌することにより、内容物6の濾過を促進させることができるとともに、内容物の風味を引き出すことができる。
【0032】
また、濾過作業時においては、
図5(b)に示すように、フィルター部2の両側に設けられたツマミ部4,4を上方に折り曲げてつまみ上げることにより、フィルター部2を持ち上げることができるようになっている。ツマミ部4,4を保持してフィルター部2を上下させることにより、内容物6の濾過を促進させることができる。
【0033】
(作用・効果)
このような本発明によれば、包装時にあっては、パック部1に内容物6を収納することにより、内容物6が外気に触れて酸化するのを防ぐことができ、内容物6の変質を抑止できる。このときフィルター部2は、パック部1の外にあり、内容物6に接触することがないことから、フィルター部2の臭いなどが内容物6に移ることがなく、内容物6の風味が損なわれることがない。
【0034】
一方、使用時にあっては、パック部1の開口1aの封止を解除することで、パック部1内の内容物6を、連通部11を介し、フィルター部2側に移動させて、フィルター部2において内容物6を容易に濾過することができる。このとき、
図5(a)に示すように、フィルター部2において内容物6を濾過している最中に、マドラー部3により内容物6を撹拌することにより、内容物6の濾過を促進させることができるとともに、内容物6の風味を引き出すことができる。また、濾過している最中に、
図5(b)に示すように、フィルター部2の両側に設けられたツマミ部4,4を上方に折り曲げてつまみ上げることにより、フィルター部2を持ち上げることができるようになっている。ツマミ部4,4を保持してフィルター部2を上下させることにより、内容物6の濾過を促進させることができる。
【0035】
以上述べたように、本実施形態によれば、コーヒー粉、紅茶や緑茶の葉等の内容物6を濾過するために、漉し器の準備や洗浄等の手間が不要とするとともに、内容物6が、外気の影響を受けて変質したり、フィルター等の臭いが移ったりして内容物6の風味が損なわれるのを防止することができる。
【0036】
(変更例)
なお、上述した実施形態では、開閉操作手段として、マドラー部3を用い、パック部1の開口1aを開閉させる構成としたが、本発明は、これに限定するものではなく、パック部1の密封状態を維持するとともに、利用時において、容易に連通部11を開放させることができればよく、異なる部材を用いてもよい。
【0037】
例えば、
図6(a)及び(b)に示すように、一対の取っ手部30a,30aを開閉操作手段として用いるとともに、樹脂製ジッパー13を密封手段として用いててもよい。具体的に、一対の取っ手部30a,30aは、パック部1の開口1aに対応する外側表面1b,1bに取付けられ、上下に回動可能な部材であり、
図6(a)及び(b)に示すように、使用者が一対の取っ手部30a,30aを把持して外方に引っ張ることが可能となっている。
【0038】
また、樹脂製ジッパー部13は、
図6(a)及び(b)に示すように、相互に嵌合可能な一対の凹条部13aと凸条部13bとを、パック部1の内側表面1c,1cに形成して構成させる。この凹条部13aと凸条部13bとは、パック部1の幅方向に設けられ、両シートが重なり合ったときに、相対向する位置に形成されている。
【0039】
このような構成によって、
図6(a)に示すように、使用者が取っ手部30a,30aを外方に向けて引っ張ることにより、嵌合された一対の凹条部13aと凸条部13bとは引き離され、パック部1の密封は解除される。そして、
図6(b)に示すように、パック部1の内容物6を、連通部11を介し、フィルター部2側に移動させて、フィルター部2において内容物6を濾過することができる。
【0040】
このような本変更例によれば、密封手段として、樹脂製ジッパー13を用いているので、包装時にあっては、内容物6が外気に触れて酸化するのを防ぐことができ、内容物6の変質を抑止できる。また、使用時にあっては、取っ手部30a,30aを左右に引っ張ることのみで、パック部1の密封を解除することができ、容易にパック部1内の内容物6をフィルター部2側に移動させて、フィルター部2において内容物6を濾過することができる。
【0041】
なお、本変更例では、開閉操作手段として、一対の取っ手部30a,30aを用いたが、これに限定するものではなく、例えば、ツマミ部4を開閉操作手段として用い、ツマミ部4を外方に引っ張ることで、嵌合された一対の凹条部13aと凸条部13bとを引き離す機能を持たせてもよい。