(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
エンジン駆動式の空気調和装置は、エンジンの動力により駆動されるコンプレッサで冷媒を圧縮するとともに、圧縮された冷媒の相変化を利用して室内を空調する。そのためこの種の空気調和装置は冷媒を凝縮させる凝縮機と蒸発させる蒸発器とを備える。室内暖房時には室内に設置される室内熱交換器が凝縮機として機能し、室外に設置される室外熱交換器が蒸発器として機能する。一方、室内冷房時には室内熱交換器が蒸発器として機能し、室外熱交換器が凝縮器として機能する。
【0003】
また、エンジン排熱回収器を備えたエンジン駆動式空気調和装置も知られている。エンジン排熱回収器には、室外熱交換器から吐出される冷媒の一部が供給される。エンジン排熱回収器に供給された冷媒はエンジンの排熱(例えばエンジンを冷却した後のエンジン冷却水)と熱交換される。エンジン排熱回収器により冷媒が過熱される。
【0004】
上記したように暖房時に室外熱交換器は蒸発器として機能するが、外気温が極端に低い場合(例えば外気温が冷媒の蒸発温度未満の場合)は、室外熱交換器で外気の熱を冷媒に取り込ませることが困難になる。このような場合、室外熱交換器の上流側に取付けられている電子膨張弁の開度を調整して室外熱交換器に供給される冷媒の流量を調整する。これにより冷媒圧力を低下させ、外気温が低い場合でも室外熱交換機で冷媒を蒸発させることができるようにしている。
【0005】
しかし、冷媒を過熱するためのエンジン排熱回収器が設けられている場合には、エンジン排熱回収器内の冷媒圧力が室外熱交換器内の冷媒圧力に影響を及ぼすため、外気温度が極端に低いときに室外熱交換器内の冷媒が蒸発し易いように電子膨張弁で冷媒流量を調整して室外熱交換器内の冷媒圧力を低下させようとしても、エンジン排熱回収器内の冷媒圧力に引っ張られて室外熱交換器内の冷媒圧力を所望の圧力まで低下させることができない。すなわち冷媒の蒸発に必要な低圧を得ることができない。このため室外熱交換器内で冷媒をうまく蒸発させることができない。そればかりか、エンジン排熱回収器での蒸発能力が室外熱交換器での蒸発能力を上回り、その結果、室外熱交換器内で冷媒が凝縮することもある。このような状況である場合、室外熱交換器内に液冷媒がトラップされて、室外熱交換器内に液冷媒が溜まる現象、すなわち寝込みが発生する。寝込みの発生は、冷媒回路内を循環する冷媒量の減少を引き起こし、ひいては空調運転の停止に至る。
【0006】
特許文献1および2は、寝込みの発生を効果的に防止することができるエンジン駆動式空気調和装置を開示する。特許文献1および2に開示されたエンジン駆動式空気調和装置によれば、室外熱交換器の上流側および下流側に開閉弁が設けられる。そして、外気温が設定温度よりも低いとき、つまり寝込みが起きると予測されるときに、室外熱交換器の上流側及び下流側に設けられている開閉弁が共に閉弁されるとともに、室内熱交換器を出た冷媒が室外熱交換器を通らずにエンジン排熱回収器を通るように構成される。これによれば、室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生すると考えられる外気温が低いときに室外熱交換器の入口と出口を封鎖してしまうので、室外熱交換器内での寝込みの発生が効果的に抑えられる。
【発明の概要】
【0008】
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、特許文献1および2に記載のエンジン駆動式空気調和装置によれば、寝込みを防止するために室外熱交換器の使用を禁止しているので、室外熱交換器の持つ蒸発能力を全く活用することができない。そのため空調能力が低下する。また、室外熱交換器に液冷媒が溜まった状態で室外熱交換器の入口と出口を封鎖した場合は寝込みと同様な現象が起こり、冷媒不足運転となって運転を継続することができない。また、室外熱交換器内で寝込みが発生すると考えられるときには、まず冷媒を室外熱交換器から冷媒回路中に放出する運転(すなわち室外熱交換器から冷媒を排出する運転)が実行された後に、室外熱交換器の入口と出口が封鎖される。しかし、この場合には、室外熱交換器の入口と出口を封鎖した状態での運転開始までに時間がかかり、空調の快適性に支障を来す。
【0009】
本発明は、外気温が低い場合であっても室外熱交換器を使用して冷媒を蒸発させることができるとともに、室外熱交換器内での液冷媒の寝込みが効果的に抑えられたエンジン駆動式空気調和装置を提供することを目的とする。
【0010】
(課題を解決するための手段)
本発明は、エンジンにより駆動されることにより冷媒を吸入するとともに吸入した冷媒を圧縮して吐出する第1コンプレッサおよび第2コンプレッサと、室内に設けられ、暖房時に前記第1コンプレッサおよび前記第2コンプレッサで圧縮された冷媒が供給され、供給された冷媒と室内の空気とを熱交換させて冷媒を凝縮させる室内熱交換器と、暖房時に前記室内熱交換器から吐出された冷媒を膨張させる膨張弁と、室外に設けられ、暖房時に前記膨張弁で膨張した冷媒が供給され、供給された冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を蒸発させる室外熱交換器と、暖房時に前記室内熱交換器から吐出された冷媒が供給され、供給された冷媒と前記エンジンの排熱とを熱交換させるエンジン排熱回収器と、前記室外熱交換器から吐出された冷媒が前記第1コンプレッサに吸入されるように前記室外熱交換器と前記第1コンプレッサとを接続する室外熱交換器側吸入配管と、前記エンジン排熱回収器から吐出された冷媒が前記第2コンプレッサに吸入されるように前記エンジン排熱回収器と前記第2コンプレッサとを接続する排熱回収器側吸入配管と、前記室外熱交換器側吸入配管と前記排熱回収器側吸入配管とを接続する連結配管と、
前記第1コンプレッサに吸入される冷媒及び前記第2コンプレッサに吸入される冷媒の温度のいずれか一方又は双方を検出する温度検出器と、前記連結配管の途中に介装され、
前記温度検出器により検出された温度に基づいて少なくとも前記室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生すると予測される時に
、前記排熱回収器側吸入配管から前記室外熱交換器側吸入配管に向かう前記連結配管内での冷媒の流れを遮断する弁部材と、を備えるエンジン駆動式空気調和装置を提供する。
【0011】
本発明によれば、寝込みが発生されると予測されるときには、排熱回収器側吸入配管から室外熱交換器側吸入配管に向かう連結配管内での冷媒の流れが遮断される。排熱回収器側吸入配管はエンジン排熱回収器に接続されており、室外熱交換器側吸入配管は室外熱交換器に接続されているので、寝込みの発生が予測されるときには、弁部材によって、エンジン排熱回収器内の冷媒が室外熱交換器側に向かうことが妨げられる。このためエンジン排熱回収器内の冷媒圧力が室外熱交換器内の冷媒圧力に影響を及ぼすことが妨げられる。よって、膨張弁で室外熱交換器に供給される冷媒の流量を調整することにより、エンジン排熱回収器内の冷媒圧力を気にすることなく、室外熱交換器内で冷媒が蒸発しやすくなるように室外熱交換器内の冷媒圧力を低下させることができる。その結果、寝込みが発生すると予測される外気温度が極端に低い場合であっても、室外熱交換器を蒸発器として機能させ、室外熱交換器内で冷媒を蒸発させることができる。また、室外熱交換器で冷媒が蒸発されるので、液冷媒が室外熱交換器内に寝込むことも防止できる。
【0012】
上記発明において、エンジン排熱回収器は、エンジンの排熱を利用して冷媒を蒸発させることができるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、エンジンを冷却した後の加熱された冷却水を冷媒と熱接触させて冷媒を蒸発させるようにエンジン排熱回収器を構成しても良いし、あるいは、エンジンの排気を冷媒と熱接触させて冷媒を蒸発させるようにエンジン排熱回収器を構成しても良い。
【0013】
また、弁部材は、排熱回収器側吸入配管から室外熱交換器側吸入配管に向かう冷媒の流れが遮断されるように構成されていれば、どのようなものでもよい。特に、前記弁部材が、前記室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生すると予測されるときに閉弁し、前記室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生しないと予測されるときに開弁する開閉弁であるのがよい。この場合、エンジン駆動式空気調和装置は、前記室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生するか否かを判断し、前記室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生すると判断したときに前記開閉弁が閉弁し、前記室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生しないと判断したときに前記開閉弁が開弁するように、前記開閉弁を制御する制御部をさらに備えるとよい。これによれば、制御部により開閉弁の開閉動作を制御することにより、確実に、室外熱交換器内での冷媒の寝込みが発生すると予測される時に、排熱回収器側吸入配管から室外熱交換器側吸入配管に向かう連結配管内での冷媒の流れが遮断される。
【0014】
また、前記弁部材が、前記室外熱交換器側吸入配管から前記排熱回収器側吸入配管に向かう冷媒の流れを許容し、前記排熱回収器側吸入配管から前記室外熱交換器側吸入配管に向かう冷媒の流れを遮断する逆止弁であってもよい。これによれば、逆止弁によって排熱回収器側吸入配管から室外熱交換器側吸入配管に向かう連結配管内での冷媒の流れが確実に遮断される。また、逆止弁は制御が不要であることから、エンジン駆動式空気調和装置を安価に構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1は、ガスエンジン11と、第1コンプレッサ12と、第2コンプレッサ13と、四方切り換え弁14と、室内熱交換器15と、室外熱交換器16と、電子膨張弁17a,17bと、エンジン排熱回収器18と、開閉弁21と、開閉弁21の開閉動作を制御するための開閉弁制御装置22とを主要構成として備える。
【0017】
ガスエンジン11は、燃料ガス(例えばLPG)を燃焼させることにより駆動する。ガスエンジン11の駆動力が第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13に伝達されることにより、第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13が駆動される。これらのコンプレッサはそれぞれ独立して駆動できるように構成されているとよい。
【0018】
第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13は、それぞれ吸入ポート12a,13aと吐出ポート12b,13bとを有し、吸入ポート12a,13aからガス冷媒を吸入し、内部でガス冷媒を圧縮し、圧縮した高温高圧のガス冷媒を吐出ポート12b,13bから吐出する。
【0019】
第1コンプレッサ12の吐出ポート12bには第1配管L1の一方端が、第2コンプレッサ13の吐出ポート13bには第2配管L2の一方端が、それぞれ接続される。第1配管L1の他方端および第2配管L2の他方端は図の点Aで一本の第3配管L3に合流する。第3配管L3の途中にオイルセパレータ20が介装される。
【0020】
第3配管L3は四方切り換え弁14に接続される。四方切り換え弁14は、第1ポート14a、第2ポート14b、第3ポート14cおよび第4ポート14dを有し、第1ポート14aと第2ポート14bが連通し且つ第3ポート14cと第4ポート14dが連通する暖房時切り換え位置と、第1ポート14aと第4ポート14dが連通し且つ第2ポート14bと第3ポート14cが連通する冷房時切り換え位置とに切り換え可能に構成される。第3配管L3は、四方切り換え弁14の第1ポート14aに接続される。
【0021】
四方切り換え弁14の第2ポート14bには第4配管L4の一方端が接続される。第4配管L4の他方端は室内熱交換器15の吸入ポート15aに接続される。室内熱交換器15は吸入ポート15aから冷媒を供給するとともに供給した冷媒を室内の空気と熱交換する。そして、熱交換した冷媒を吐出ポート15bから吐出する。
【0022】
室内熱交換器15の吐出ポート15bに第5配管L5が接続される。第5配管L5は図の点Bにて第6配管L6と第7配管L7とに分岐する。第6配管L6は室外熱交換器16の吸入ポート16aに接続され、第7配管L7はエンジン排熱回収器18に接続される。第6配管L6の途中に電子膨張弁17aが、第7配管L7の途中に電子膨張弁17bがそれぞれ介装される。電子膨張弁17a、17bはその開度を調整することができるように構成されている。冷媒が電子膨張弁17a,17bを通過する際に膨張する。
【0023】
室外熱交換器16は吸入ポート16a及び吐出ポート16bを有し、吸入ポート16aから冷媒を供給するとともに供給した冷媒を外気と熱交換する。そして、熱交換した冷媒を吐出ポート16bから吐出する。
【0024】
エンジン排熱回収器18は冷媒流通管181と冷却水流通管182とを備える。冷媒流通管181には冷媒吸入ポート181aと冷媒吐出ポート181bが形成される。冷媒吸入ポート181aに第7配管L7が接続される。したがって、第7配管L7側から冷媒が冷媒吸入ポート181aを経て冷媒流通管181内に供給される。供給された冷媒は冷媒流通管181内を流れ、冷媒吐出ポート181bから吐出される。また、冷却水流通管182には冷却水吸入ポート182aと冷却水吐出ポート182bとが形成される。冷却水吸入ポート182aからガスエンジンを冷却した冷却水が冷却水流通管182に供給される。供給された冷却水は冷却水流通管182内を流れる。このとき冷媒流通管181を流れる冷媒と熱交換する。冷却水流通管182を流れた冷却水は冷却水吐出ポート182bから吐出され、ガスエンジン11側に帰還する。
【0025】
室外熱交換器16の吐出ポート16bには第8配管L8の一方端が接続される。第8配管L8の他方端は四方切り換え弁14の第4ポート14dに接続される。また、四方切り換え弁14の第3ポート14cは第9配管L9の一方端に接続される。第9配管L9の他方端はアキュムレータ19に接続される。アキュムレータ19は液冷媒とガス冷媒とを分離させる装置である。このアキュムレータ19には冷媒吸入ポート19aと冷媒吐出ポート19bとが形成されており、第4配管L9の他方端は冷媒吸入ポート19aに接続される。一方、冷媒吐出ポート19bは第10配管L10の一方端に接続される。第10配管L10の他方端は第1コンプレッサ12の吸入ポート12aに接続される。
図1からわかるように、第8配管L8、第9配管L9および第10配管L10により、室外熱交換器16から吐出された冷媒が第1コンプレッサ12に吸入されるように室外熱交換器16と第1コンプレッサ12とが接続される。第8配管L8、第9配管L9および第10配管L10が本発明の室外熱交換器側吸入配管に相当する。
【0026】
エンジン排熱回収器18の冷媒流通管181に形成された冷媒吐出ポート181bには、第11配管L11の一方端が接続される。第11配管L11の他方端は、第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに接続される。
図1からわかるように、第11配管L11により、エンジン排熱回収器18から吐出された冷媒が第2コンプレッサ13に吸入されるように、エンジン排熱回収器18と第2コンプレッサ13とが接続される。第11配管L11が本発明の排熱回収器側吸入配管に相当する。
【0027】
また、第10配管L10(室外熱交換器側吸入配管)と第11配管L11(排熱回収器側吸入配管)が、第12配管L12(連結配管)で連結される。この第12配管L12の途中に開閉弁21(弁部材)が介装される。開閉弁21は開閉弁制御装置22に電気的に接続されており、開閉弁制御装置22からの開閉指令信号に基づいて、その開閉動作が制御される。
【0028】
また、第10配管L10のうち第1コンプレッサ12の吸入ポート12aの近接位置に第1温度センサ23aが取付けられ、第11配管L11のうち第2コンプレッサ13の吸入ポート13aの近接位置に第2温度センサ23bが取付けられる。第1温度センサ23aは第1コンプレッサ12に吸入されるガス冷媒の温度(冷媒吸入温度)T1を検出し、第2温度センサ23aは第2コンプレッサ13に吸入されるガス冷媒の温度(冷媒吸入温度T2)を検出する。これらのセンサで検出された温度を表す信号が開閉弁制御装置22に出力される。さらに、室外熱交換器16の近傍に第3温度センサ23cが設置されている。この第3温度センサ23cは室外熱交換器16近辺の外気温度T3を検出する。第3温度センサ23cにより検出された温度を表す信号が開閉弁制御装置22に出力される。
【0029】
上記構成のエンジン駆動式空気調和装置1において、以下、暖房時の作動について説明する。
【0030】
ガスエンジン11が駆動することによって第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13が駆動する。第1コンプレッサ12が駆動すると、第1コンプレッサ12は吸入ポート12aからガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出ポート12bから吐出する。吐出された高温高圧のガス冷媒は第1配管L1を流れる。また、第2コンプレッサ13が駆動すると、第2コンプレッサ13は吸入ポート13aからガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出ポート13bから吐出する。吐出された高温高圧のガス冷媒は第2配管L2を流れる。
【0031】
第1配管L1を流れる高温高圧のガス冷媒と第2配管L2を流れる高温高圧のガス冷媒は点Aで合流し、さらに第3配管L3を通ってオイルセパレータ20に供給される。オイルセパレータ20ではガス冷媒中に混入したオイルが分離される。分離されたオイルはアキュムレータ19に戻され、第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13の潤滑に供される。オイルセパレータ20でオイルが分離された高温高圧のガス冷媒はさらに四方切り替え弁14の第1ポート14aから四方切り換え弁14に導入される。暖房時には四方切り換え弁14の第1ポート14aと第2ポート14bが連通しているので、第1ポート14aから四方切り換え弁14に導入された冷媒ガスは第2ポート14bから排出される。
【0032】
四方切り換え弁14の第2ポート14bから排出された高温高圧の冷媒ガスは、第4配管L4を通り、室内熱交換器15の吸入ポート15aから室内熱交換器15に供給される。室内熱交換器15に供給された高温高圧のガス冷媒は室内の空気と熱交換することにより凝縮する。凝縮されたガス冷媒は低温高圧の気液二相冷媒に相変化する。このとき室内熱交換器15内で冷媒が凝縮する過程で室内に熱を吐き出すことにより室内を暖房する。室内熱交換器15を流れた冷媒は室内熱交換器15の吐出ポート15bから吐出される。吐出された冷媒は第5配管L5を流れる。
【0033】
第5配管L5内の冷媒は点Bで第6配管L6を流れる冷媒と第7配管L7を流れる冷媒に分かれる。第6配管L6を流れる冷媒は電子膨張弁17aを通過する。通過時に冷媒は膨張して低温低圧状態にされ、その後、室外熱交換器16の吸入ポート16aから室外熱交換器16に供給される。室外熱交換器16では低温低圧の気液二相冷媒は外気と熱交換することにより蒸発する。このとき室外熱交換器16内で冷媒が蒸発する過程で外気から熱を奪う。その後、室外熱交換器16内の冷媒は吐出ポート16bから吐出される。吐出された冷媒は第8配管L8を流れる。
【0034】
第8配管L8を流れる気液二相冷媒は、四方切り換え弁14の第4ポート14dから四方切り換え弁14に導入される。暖房時には第3ポート14cと第4ポート14dが連通しているので、第4ポート14dから四方切り換え弁14に導入された気液二相冷媒は第3ポート14cから排出される。排出された気液二相冷媒は第9配管L9を通り、冷媒吸入ポート19aからアキュムレータ19に吸入される。アキュムレータ19に吸入された冷媒はガス冷媒と液冷媒に分離され、ガス冷媒のみが第10配管L10に吸引されて第10配管L10を流れる。
【0035】
一方、室内熱交換器15を出た後に第5配管L5を経て第7配管L7を流れる低温高圧の気液二相冷媒は、電子膨張弁17bを通ることにより膨張されて低温低圧の気液二相冷媒とされ、さらにエンジン排熱回収器18の冷媒流通管181の冷媒吸入ポート181aから冷媒流通管181に供給される。そして、冷媒流通管181内を流れる。冷媒流通管181内の気液二相冷媒は冷却水流通管182を流れる冷却水に加熱されて低温低圧のガス冷媒にされる。そして、冷媒吐出ポート181bから吐出される。なお、エンジン排熱回収器18内で気液二相冷媒が全てガス冷媒に相変化するように、電子膨張弁17bの開度が調整される。エンジン排熱回収器18から吐出されたガス冷媒は第11配管L11を流れる。
【0036】
上記したように第10配管L10と第11配管L11は第12配管L12により連通されている。したがって、第12配管L12に介装されている開閉弁21が開弁している場合には、第10配管L10を流れるガス冷媒はそのまま第1コンプレッサ12の吸入ポート12aに吸入されるか、あるいは第12配管L12を通って第11配管L11に導入されて、第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに吸入される。同様に、第11配管L11を流れる冷媒はそのまま第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに供給されるか、あるいは第12配管L12を通って第10配管L10に導入され、第1コンプレッサ12の吸入ポート12aに吸入される。一方、開閉弁21が閉弁している場合には、第10配管L10を流れるガス冷媒は全て第1コンプレッサ12の吸入ポート12aに吸入され、第11配管L11を流れるガス冷媒は全て第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに吸入される。
【0037】
以上が、暖房時におけるエンジン駆動式空気調和装置1の基本的な動作である。なお、冷房時には、四方切り換え弁14の切り換え位置が冷房時切り換え位置に切り換わる。このため第1、第2コンプレッサ12,13からの冷媒はまず室外熱交換器16に供給されて凝縮し、その後、室内熱交換器15に供給されて蒸発する。冷媒蒸発時に室内から熱を奪うことにより室内が冷却される。なお、室外熱交換器16から吐出された冷媒は、圧力損失を低減させるために電子膨張弁17aを通らずに迂回配管L13を通って室内熱交換器15に供給される。
【0038】
エンジン駆動式空気調和装置1の運転中、開閉弁制御装置22は第1温度センサ23a、第2温度センサ23bおよび第3温度センサ23cが検出する温度情報を取得し、取得した温度情報に基づいて開閉弁21の開閉動作を制御する。
図2は、開閉弁制御装置22が開閉弁21の開閉動作を制御するために実行する開閉弁制御ルーチンを示すフローチャートである。開閉弁制御装置22は、エンジン駆動式空気調和装置1の運転中、開閉弁制御ルーチンを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。
【0039】
この開閉弁制御ルーチンが起動すると、まず、開閉弁制御装置22は、
図2のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)101にて、現在のエンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転をしているか否かを判断する。暖房運転ではない場合(S101:No)、すなわち例えば冷房運転である場合、開閉弁制御装置22はS107に処理を進めて、開弁信号を開閉弁21に出力する。これにより開閉弁21が開く。なお、既に開閉弁21が開いているときは、その状態を維持する。その後、開閉弁制御装置22はこのルーチンを一旦終了する。したがって、暖房運転ではないとき(例えば冷房運転時)には、常に開閉弁21が開いている。
【0040】
また、S101で暖房運転であると判断した場合(S101:Yes)、開閉弁制御装置22はS102にて第1温度センサ23aが検出した冷媒吸入温度T1を取得し、次いで、S103にて第2温度センサ23bが検出した冷媒吸入温度T2を取得し、さらにS104にて第3温度センサ23cが検出した外気温度T3を取得する。続いて開閉弁制御装置22は、取得した各温度に基づいて、室外熱交換器16内で液冷媒の寝込みが起きるか否かを判断する(S105)。この場合、開閉弁制御装置22は、例えば外気温度が低いほど室外熱交換器16内で液冷媒の寝込みが起きやすいことに基づいて寝込みの有無を判断してもよい。例えば、外気温度T3が所定の温度以下(例えばマイナス20度以下)であるときに寝込みが起きると判断し、所定の温度よりも高いときに寝込みが起きないと判断しても良い。あるいは、開閉弁制御装置22は、冷媒吸入温度が高いときに室外熱交換器16内で寝込みが起きている可能性が高いことに基づいて寝込みの有無を判断してもよい。例えば、冷媒吸入温度T1と冷媒吸入温度T2の平均温度Tが閾値温度以上であるときに寝込みが起きると判断し、閾値温度未満であるときに寝込みが起きないと判断してもよい。ちなみに、寝込みが起きると冷媒回路内を循環する冷媒の密度が低下する。冷媒の密度が低下すると、例えば冷媒配管中に混入しているオイル(冷凍機油)で冷媒が加熱されたときの温度上昇が大きい。このため寝込みが起きている場合、コンプレッサに吸入される冷媒の温度やコンプレッサから吐出される冷媒の温度が高くなる傾向にある。
【0041】
開閉弁制御装置22は、S105にて室外熱交換器16内で液冷媒の寝込みが起きないと判断した場合(S105:No)、S107に処理を進め、開弁信号を開閉弁21に出力する。これにより開閉弁21が開く。なお、既に開閉弁21が開いているときは、その状態を維持する。その後、開閉弁制御装置22はこのルーチンを一旦終了する。一方、寝込みが起きると判断した場合(S105:Yes)、開閉弁制御装置22はS106に処理を進め、閉弁信号を開閉弁21に出力する。これにより開閉弁21が閉じる。なお、既に開閉弁21が閉じているときは、その状態を維持する。その後、開閉弁制御装置22はこのルーチンを一旦終了する。
【0042】
開閉弁制御装置22が上記した開閉弁制御ルーチンを実行することにより、寝込みが起きると予測されるときに開閉弁21が閉じ、寝込みが起きると予測されないときに開閉弁21が開く。
【0043】
ところで、エンジン駆動式空気調和装置1が暖房運転している冬場等の寒い時期は外気温度が低い。室外熱交換器16は温度が低い外気から熱を汲み上げて内部の冷媒と熱交換させることにより冷媒を蒸発させる。一般に冷媒の蒸発温度はかなり低い(例えばマイナス20度)ので、よほど外気温度が低くても(例えばマイナス15度程度であっても)、外気から熱を汲み上げて冷媒を蒸発させることができる。また、極めて外気温度が低くても(例えばマイナス25度程度であっても)、電子膨張弁17aにより室外熱交換器16内を流れる冷媒の流量を調整して室外熱交換器16内の冷媒圧力を低下させれば、外気から熱を汲み上げて冷媒を蒸発させることができる。
【0044】
しかし、室外熱交換器以外にも冷媒を蒸発させるための装置、具体的にはエンジン排熱回収器が設けられていて、室外熱交換器とエンジン排熱回収器が冷媒回路内で繋がっている場合、エンジン排熱回収器内の冷媒の比較的高い圧力が室外熱交換器内の冷媒圧力に影響を及ぼす。このため、外気温度が極端に低いときに電子膨張弁で室外熱交換器を流れる冷媒の流量を調整しても、室外熱交換器内の冷媒圧力がエンジン排熱回収器内の冷媒圧力の影響を受けてしまい、室外熱交換器内の冷媒圧力を蒸発し易い圧力まで低下させることができない。そのため室外熱交換器で冷媒を蒸発させることができない。そればかりか、エンジン排熱回収器の冷媒蒸発能力が室外熱交換器の冷媒蒸発能力を上回り、室外熱交換器内の冷媒の熱が外気に奪われて室外熱交換器が蒸発器としてよりもむしろ凝縮器として機能してしまうことがある。すると、室外熱交換器内で液冷媒が溜まる現象、すなわち寝込みが発生する。寝込みが発生した場合、冷媒回路内を循環する冷媒量が減少し、冷媒不足運転となって暖房運転ができない状況を引き起こす。このような寝込みが発生する状況は、上述したように、外気温度T3が極めて低い場合に起こり得る。また、寝込みが起きた場合、冷媒吸入温度T1,T2が上昇する傾向にある。
【0045】
本実施形態においては、寝込みが起きると予測される場合(S105:Yes)、開閉弁21を閉弁する。開閉弁21が閉弁した場合、第11配管L11から第10配管L10に向かう第12配管内での冷媒の流れが遮断されるとともに、第10配管L10から第11配管L11に向かう第12配管内での冷媒の流れが遮断される。このため、室外熱交換器16を流れた冷媒は、第8配管L8−四方切り換え弁14−第9配管L9−アキュムレータ19−第10配管を経由して第1コンプレッサ12の吸入ポート12aに吸入される。一方、エンジン排熱回収器18の冷媒流通管181を流れた冷媒は、第11配管L11を経由して第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに吸入される。つまり、室外熱交換器16を流れる冷媒とエンジン排熱回収器18を流れる冷媒は、それぞれ別のコンプレッサに吸入される。
【0046】
このような冷媒回路構成とすることで、室外熱交換器16を流れる冷媒が第1コンプレッサ12に吸入されるまでの流通経路と、エンジン排熱回収器18を流れる冷媒が第2コンプレッサ13に吸入されるまでの流通経路が分離される。両者の流通経路が分離された結果、エンジン排熱回収器18側の冷媒が室外熱交換器16側に向かうことが妨げられる。このため、エンジン排熱回収器18内の冷媒圧力が、室外熱交換器16内の冷媒圧力に影響を及ぼすことが妨げられる。よって、電子膨張弁17aにより室外熱交換器16を流れる冷媒流量を調整することによって、エンジン排熱回収器18内の冷媒圧力を気にすることなく、室外熱交換器16で冷媒が蒸発しやすくなるように室外熱交換器16内の冷媒圧力を低下させることができる。その結果、外気温が極めて低い場合であっても室外熱交換器16が蒸発器として正常に機能し、室外熱交換器16内で冷媒が蒸発する。室外熱交換器16内で冷媒が蒸発するので、室外熱交換器16内に液冷媒が溜まることもない。すなわち寝込みが起きない。このように、本実施形態においては、外気温度が極端に低い場合においても、室外熱交換器16を蒸発器として正常に作動させて室外熱交換器16で冷媒を蒸発させることができるとともに、室外熱交換器16内での液冷媒の寝込みを防止することができる。
【0047】
図3は、第2実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置2の全体構成を示す概略図である。このエンジン駆動式空気調和装置2が上記第1実施形態で説明したエンジン駆動式空気調和装置1と異なるところは、第12配管L12に開閉弁ではなく逆止弁24が介装されている点、及び、第1実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1が備えている開閉弁制御装置22が備えられていない点である。その他の構成は第1実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1と同一であるので、同一構成について同一の符号で示してその具体的説明は省略する。
【0048】
上述のように、このエンジン駆動式空気調和装置2の第12配管L12には逆止弁24が介装されている。この逆止弁24は、第10配管L10から第11配管L11側に向かう第12配管L12内での冷媒の流れを許容し、第11配管L11から第10配管L10側に向かう第12配管L12内での冷媒の流れを遮断する。
【0049】
第10配管L10から第11配管L11側に向かう第12配管L12内での冷媒の流れは許容されているので、室外熱交換器16から吐出されて第8配管L8−四方切り換え弁14−第9配管L9−アキュムレータ19を経由して第10配管L10に流れた冷媒は、そのまま第1コンプレッサ12の吸入ポート12aに吸入される冷媒と、第12配管L12を通って第11配管L11に至り、そこから第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに吸入される冷媒とに分かれる。これに対し、第11配管L11から第10配管L10側に向かう第12配管L12内での冷媒の流れは逆止弁24で遮断されているので、エンジン排熱回収器18の冷媒流通管181を流れた冷媒は、第11配管L11を経由して第2コンプレッサ13の吸入ポート13aに吸入される。つまり、エンジン排熱回収器18を流れた冷媒は第2コンプレッサ13にのみ吸入され、第1コンプレッサ12に吸入されない。
【0050】
外気温が極端に低い場合には、電子膨張弁17aを絞って室外熱交換器16に流れる冷媒流量を低下させて、室外熱交換器16内の冷媒圧力を低下させる。しかし、エンジン排熱回収器18内の比較的高い冷媒圧力が室外熱交換器16内の冷媒圧力に作用するような冷媒回路構成である場合、室外熱交換器16内の冷媒圧力を、蒸発しやすい圧力まで低下させることが困難である。これに対し、本実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置2においては、第12配管L12に介装された逆止弁24によって、第11配管L11側、すなわちエンジン排熱回収器18側の冷媒が、第10配管L10側、すなわち室外熱交換器16側に流通することが妨げられている。このためエンジン排熱回収器18側の冷媒圧力が室外熱交換器16内の冷媒圧力に作用することはない。
【0051】
よって、電子膨張弁17aにより室外熱交換器16を流れる冷媒流量を調整することによって、エンジン排熱回収器18内の冷媒圧力を気にすることなく、室外熱交換器16で冷媒が蒸発しやすくなるように室外熱交換器16内の冷媒圧力を低下させることができる。その結果、外気温が極めて低い場合であっても室外熱交換器16が蒸発器として正常に機能し、室外熱交換器16内で冷媒が蒸発する。室外熱交換器16内で冷媒が蒸発するので、室外熱交換器16内に液冷媒が溜まることもない。すなわち寝込みが起きない。このように、本実施形態においては、外気温度が極端に低い場合においても、室外熱交換器16を蒸発器として正常に作動させて室外熱交換器16で冷媒を蒸発させることができるとともに、室外熱交換器16内での液冷媒の寝込みを防止することができる。
【0052】
また、逆止弁は制御が不要であることから、上記第1実施形態で示した開閉弁制御装置22のようなものを必要としない。このためエンジン駆動式空気調和装置を安価に構成できる。
【0053】
図4は、第3実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置3の全体構成を示す概略図である。このエンジン駆動式空気調和装置3が上記第2実施形態で説明したエンジン駆動式空気調和装置2と異なるところは、第9配管L9と第11配管L11が第14配管L14で接続されている点、及び、第14配管L14に電子膨張弁25が介装されている点である。その他の構成は第2実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1と同一であるので、同一構成について同一の符号で示してその具体的説明は省略する。
【0054】
第3実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置3によれば、例えば外気温度が極端に低くて室外熱交換器16内で寝込みが発生すると予測されるときには、第14配管L14に介装された電子膨張弁25が閉じる。電子膨張弁25が閉じた場合、
図4に示す冷媒回路が
図3に示す冷媒回路と同一になるので、第2実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置2と同様な作用効果を奏する。また、寝込みが発生すると予測されないときに電子膨張弁25を開くことによって、エンジン排熱回収器18側の冷媒を第2コンプレッサ13のみならず第1コンプレッサ12にも吸入させることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態のエンジン駆動式空気調和装置1,2,3は、ガスエンジン11により駆動されることにより冷媒を吸入するとともに吸入した冷媒を圧縮して吐出する第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13と、室内に設けられ、暖房時に第1コンプレッサ12および第2コンプレッサ13で圧縮された冷媒が供給され、供給された冷媒と室内の空気とを熱交換させて冷媒を凝縮させる室内熱交換器15と、暖房時に室内熱交換器15から吐出された冷媒を膨張させる電子膨張弁17aと、室外に設けられ、暖房時に電子膨張弁17aで膨張した冷媒が供給され、供給された冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を蒸発させる室外熱交換器16と、暖房時に室内熱交換器15から吐出された冷媒が供給され、供給された冷媒とエンジン冷却水とを熱交換させるエンジン排熱回収器18と、室外熱交換器16から吐出された冷媒が第1コンプレッサ12に吸入されるように室外熱交換器16と第1コンプレッサ12とを接続する室外熱交換器側吸入配管(第8配管L8、第9配管L9、第10配管L10)と、エンジン排熱回収器18から吐出された冷媒が第2コンプレッサ13に吸入されるようにエンジン排熱回収器18と第2コンプレッサ13とを接続する排熱回収器側吸入配管(第11配管L11)と、室外熱交換器側吸入配管と排熱回収器側吸入配管とを接続する連結配管(第12配管L12)と、連結配管の途中に介装され、少なくとも室外熱交換器16内での冷媒の寝込みが発生すると予測される時に排熱回収器側吸入配管から室外熱交換器側吸入配管に向かう連結配管内での冷媒の流れを遮断する弁部材(開閉弁21、逆止弁24)と、を備える。
【0056】
本実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1,2,3によれば、少なくとも寝込みが発生されると予測されるときには、第11配管L11から第10配管L10に向かう第12配管L12内での冷媒の流れが遮断される。第11配管L11はエンジン排熱回収器18に接続されており、第10配管L10は室外熱交換器16に接続されているので、寝込みの発生が予測されるときには、弁部材によって、エンジン排熱回収器18内の冷媒が室外熱交換器16側に向かうことが妨げられる。このためエンジン排熱回収器18内の冷媒圧力が室外熱交換器16内の冷媒圧力に影響を及ぼすことが妨げられる。よって、電子膨張弁17aで室外熱交換器16に供給される冷媒の流量を調整することにより、エンジン排熱回収器18内の冷媒圧力を気にすることなく、室外熱交換器16内で冷媒が蒸発しやすくなるように室外熱交換器16内の冷媒圧力を低下させることができる。その結果、寝込みが発生すると予測される外気温度が極端に低い場合であっても、室外熱交換器16を蒸発器として正常に機能させ、室外熱交換器16内で冷媒を蒸発させることができる。また、室外熱交換器16で冷媒が蒸発されるので、液冷媒が室外熱交換器16内に寝込むことも防止できる。
【0057】
また、上記第1実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置1によれば、第12配管L12に開閉弁21が介装されており、この開閉弁21が開閉弁制御装置22により開閉制御される。開閉弁制御装置22は、冷媒吸入温度T1やT2、あるいは外気温度T3に基づいて、室外熱交換器16内での冷媒の寝込みが発生するか否かを判断し、室外熱交換器16内での冷媒の寝込みが発生すると判断したときに開閉弁21が閉弁し、室外熱交換器16内での冷媒の寝込みが発生しないと判断したときに開閉弁21が開弁するように、開閉弁21を制御する。このため室外熱交換器16内での冷媒の寝込みが発生すると予測される時に、確実に、第11配管L11から第10配管L10に向かう第12配管L12内での冷媒の流れを遮断することができる。
【0058】
また、上記第2、第3実施形態に係るエンジン駆動式空気調和装置2,3によれば、第12配管L12に逆止弁24が介装されており、この逆止弁24により、第10配管L10から第11配管L11に向かう第12配管L12内での冷媒の流れが許容され、第11配管L11から第10配管L10に向かう第12配管L12内での冷媒の流れが遮断される。つまり、この逆止弁24によって、常に、第11配管L11から第10配管L10に向かう第12配管L12内での冷媒の流れが遮断されている。したがって、外気温度が極端に低いときにも上記冷媒の流れが確実に遮断される。また、逆止弁は制御が不要であることから、エンジン駆動式空気調和装置を安価に構成できる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においてはエンジン排熱回収器としてエンジン冷却水の熱を回収する例を示したが、エンジンの排気熱を回収してもよい。また、上記実施形態では、冷媒吸入温度T1,T2、あるいは外気温度T3に基づいて、室外熱交換器16内で寝込みが発生するか否かを判断した例を示したが、その他、寝込みの発生に起因して生じる変化に基づいて、寝込みが発生するか否かを判断してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。