特許第6103191号(P6103191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103191
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】磁性粉を原料とする造粒粉の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20170316BHJP
   H01F 1/26 20060101ALI20170316BHJP
   B22F 3/00 20060101ALI20170316BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B22F1/00 Y
   H01F1/26
   B22F3/00 F
   B22F9/04 E
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-283477(P2012-283477)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-125655(P2014-125655A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100134153
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 富士子
(74)【代理人】
【識別番号】100112760
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 五雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元己
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/048211(WO,A1)
【文献】 特開2000−119702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
B22F 3/00
B22F 9/04
H01F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粉末と、樹脂と、低沸点溶剤、高沸点溶剤とを混合し、スラリー状混合物を製造する混合物製造工程と;
前記スラリー状混合物を加熱して、前記低沸点溶剤を蒸発させ、ペースト状混合物を製造する第1乾燥工程と;
前記ペースト状混合物を、メッシュを通して解砕することによって製粒し、粒子を得る整粒工程と;
前記粒子を加熱して前記高沸点溶剤を蒸発させて、磁性粒子を得る第2乾燥工程と;
を備え、
前記低沸点溶剤は、沸点が90℃以下の有機溶剤であり、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選ばれるいずれかのものであり、
前記高沸点溶剤は、沸点が110〜200℃の範囲内にある有機溶剤であり、ブチルセロソルブ、ジイソブチルケトン、ペンタノール、イソペンタノール、キシレン、及び酢酸n−ブチルからなる群から選ばれるいずれかのものであり、
前記樹脂は、その硬化温度が前記沸点溶剤の沸点よりも高い、造粒物の製造方法。
造粒物の製造方法。
【請求項2】
前記磁性粉末は、カルボニル鉄粉、アモルファス鉄粉、ケイ素鋼、パーマロイ及びセンダストからなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の造粒物の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂は、硬化温度が150℃以上の樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びアミノ樹脂からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
【請求項5】
前記高沸点溶剤は前記樹脂重量に対して、10〜60重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
【請求項6】
前記高沸点溶剤は前記樹脂重量に対して、10〜45重量%であることを特徴する、請求項に記載の造粒物の製造方法。
【請求項7】
前記第1乾燥工程は、50〜60℃で加熱することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
【請求項8】
前記第2乾燥工程は、110〜130℃で加熱することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
【請求項9】
前記整粒工程で使用するメッシュは、前記造粒物の粒子径よりも2〜5倍大きな目開き径を有するメッシュであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法で製造され、以下の特性を有する造粒物:
(1)粒径が75μm未満である造粒物の割合が10%以下;
(2)粒径が500μmを超える造粒物の割合が20%以下;
(3)第1乾燥温度及び第2乾燥温度における乾燥性が良好。
【請求項11】
請求項10に記載の造粒物中に、巻線が組み入れられたインダクタ。
【請求項12】
組み入れられた巻き線を含む前記造粒物を150〜200℃で硬化させた、請求項11に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧粉磁芯の材料となる金属磁性粒子の製造方法に関する。より詳細には、主としてインダクタリアクトル等の電子機器の製造に使用する金属磁性粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家電及び電子機器の省エネルギー化と小型化に伴って、これらに使用される磁芯に対しても、高出力かつ電力変換効率の高い、小型のものが求められている。サイズが小さいにもかかわらず、高出力、かつ電力変換効率の高い磁芯とするためには、動作周波数を高くすることが有効であることが知られており、高周波領域においても、磁束密度と透磁率とが高く、鉄損が低い材料粉末が求められている。
【0003】
従来、このような磁芯としては、鉄とケイ素との混合物である軟磁性粉末が使用されてきた。
一般的に、圧粉磁芯は、シリコン系樹脂被膜を有する軟磁性粉末を加圧成形し、得られた圧粉体を高温で熱処理し、前記シリコン系樹脂被膜をSiOx系絶縁体に変性させることによって製造されている。このようにして得られた圧粉磁芯の磁気特性や機械的特性は、通常、出発材料として使用した軟磁性粉末の組成・形状、成形条件、熱処理条件等に依存する。このため、圧粉磁芯に用いられる材料やその製造方法に関して、特開2007−12744号公報(以下、「従来技術1」という。)に記載された発明のように、従来から、種々の提案がなされている。
【0004】
また、粒子径が3〜5μmと非常に小さい磁性粉を使用した造粒物は、(1)磁性粉と樹脂とを混合するスラリー製造工程と、(2)加熱によって有機溶剤を揮発させる乾燥工程と、(3)磁性粉と樹脂との混合物を、メッシュを通して解砕し、整粒する整粒工程と、を備える方法によって、磁性粉が製造されていた。
【0005】
一方、積層セラミックコンデンサ等の積層型セラミック電子部品を使用する際には、セラミックスラリー、導電性ペースト、セラミックペーストが使用されることが、特許第4714996号公報(以下、「従来技術2」という。)に開示されている。ここで、上記セラミックスラリーは、セラミックグリーンシートの形成に使用される。また、導電性ペーストは、上記セラミックグリーンシートの主面上部分的に付与され、内部導体回路要素膜を形成する。そして、セラミックペーストは、上記導電性ペーストを付与したことによって生じた、セラミックグリーンシートの主面と内部導体回路要素膜との段差を埋めるために使用される。
【0006】
そして、セラミックペーストは、第2のセラミック粉末と第2の樹脂成分とを含み、第1次分散工程と第2次分散工程とを行うことによって製造される。第1次分散工程では、低沸点の有機溶剤と第2のセラミック粉末とからなる1次混合物が分散処理される。次に、第2次分散工程では、第1次工程で分散された混合物に第2の有機バインダーを加えて分散処理が行われる。ここで使用されるセラミック粉末は磁性セラミック粉末である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−12744号公報
【特許文献2】特許第4714996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、磁性粉末が使用される電子部品の小型化に伴って、使用される磁性粉末の粒子径も小さくなるが、磁性粉末は、粒子径が小さくなると個々の粒子の凝集力が強まることが知られている。
上述した製造方法を採用すると、磁性体と樹脂との混合物が乾燥工程の後に強固に凝集する。このため、得られた乾燥物をメッシュに通しても、粒径が不揃いになってしまい、均一な粒径を有する造粒物(以下、「造粒粉」ということがある。)を得ることができないという問題点があった。
【0009】
上述した従来例1は、第1次分散工程では、有機バインダーを添加していないことから、低粘度下での分散処理が可能となり、セラミックペーストに含まれるセラミック粉末の分散性を高めることができること、及びセラミック粉末の凝集状態を十分に解砕できるという点では優れた技術である。しかし、粒径分布に関しては考慮されていない。
一方で、金型に巻線を配置し、上記のような粒径が不均一な造粒粉を入れてプレス形成を行って磁性素子を製造すると、造粒粉の流れが悪くなり、成形不良を起こす。さらに、粒径の小さい造粒粉が金型のパンチとダイとの隙間に入ると、金型が摩損することがある。このため、粒径が不均一な造粒粉を使用すると、生産効率が悪くなるという問題点があった。
したがって、均一な粒径を有する造粒粉を、効率良く製造することができる方法に対する強い社会的要請があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、上記のような状況の下で鋭意研究を進め、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、磁性粉末と、樹脂と、低沸点溶剤、高沸点溶剤とを混合し、スラリー状混合物を製造する混合物製造工程と;前記スラリー状混合物を加熱して、前記低沸点溶剤を蒸発させ、ペースト状混合物を製造する第1乾燥工程と;前記ペースト状混合物を、メッシュを通して解砕することによって製粒し、粒子を得る整粒工程と;前記粒子を加熱して前記高沸点溶剤を蒸発させて、磁性粒子を得る第2乾燥工程と;
を備え、前記低沸点溶剤は、沸点が90℃以下の有機溶剤であり、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選ばれるいずれかのものであり、前記高沸点溶剤は、沸点が110〜200℃の範囲内にある有機溶剤であり、ブチルセロソルブ、ジイソブチルケトン、ペンタノール、イソペンタノール、キシレン、及び酢酸n−ブチルからなる群から選ばれるいずれかのものであり、前記樹脂は、その硬化温度が前記沸点溶剤の沸点よりも高い、造粒物の製造方法。である。
【0011】
ここで、前記磁性粉末は、カルボニル鉄粉、アモルファス鉄粉、ケイ素鋼、パーマロイ及びセンダストからなる群から選ばれるいずれかであることが好ましい。また、前記樹脂は、硬化温度が150℃以上の樹脂であることが好ましい。さらにまた、前記高沸点溶剤は、前記樹脂量に対して、10〜60重量%であることが好ましく、10〜45重量%(以下、「wt%」ということがある。)であることが、さらに好ましい。
【0012】
前記樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びアミド樹脂からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
前記低沸点溶剤は、沸点が90℃以下の有機溶剤であることが好ましく、前記低沸点溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、酢酸エチル、ベンゼン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。
【0013】
前記高沸点溶剤は、沸点が110〜200℃の範囲内にある有機溶剤であることが好ましく、前記高沸点溶剤は、ブチルセロソルブ、ジイソブチルケトン、テルピネオール、ペンタノール、イソペンタノール、キシレン、及び酢酸n−ブチルからなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。
また、前記第1乾燥工程は、50〜60℃で加熱することが好ましく、前記第2乾燥工程は、110〜130℃で加熱することが好ましい。前記整粒工程で使用するメッシュは、前記造粒物の粒子径よりも2〜5倍大きな目開き径を有するメッシュであることが好ましい。
スラリー状混合物は、スラリーの総重量に対して、80〜95重量%の磁性粉末と、4〜15重量%の低沸点溶剤と、0.2〜1.5重量%の高沸点溶剤と、1.5〜3.5重量%の樹脂とを使用することが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様は、上述したいずれかの方法によって製造され、以下の特性を有する造粒物である:
(1)粒径が75μm未満である造粒物の割合が10%以下;
(2)粒径が500μmを超える造粒物の割合が20%以下;
(3)第1乾燥温度及び第2乾燥温度における乾燥性が良好。
また、本発明の第3の態様は、上記のようにして得られた造粒物中に、巻線が組み入れられたインダクタである。ここで、上記インダクタは、組み入れられた巻き線を含む前記造粒物を150〜200℃で硬化させたものであることが好ましい。


【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、磁性体と樹脂とが強固に凝集することを防ぎつつ、メッシュによる安定した解砕が可能となる。それによって、均一な粒径を有する造粒物(以下、「造粒粉」ということがある。)を、効率良く製造することができる。
さらに、こうして得られた造粒粉は、流れがよく、成形不良を起こさないばかりでなく、成形金型を傷めることもなく、生産効率を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、カルボニル鉄粉又はケイ素鋼を原料として本発明の造粒物の製造方法によって、造粒粉を製造し、これらをそれぞれ使用して製造したトロイダルコアの比透磁率が、成形圧力の増加につれてどのように変化するかを示すグラフである。
図2図2は、上記2つのトロイダルコアのΔμ(%)が、周波数の上昇につれてどのように変化するかを示すグラフである。
図3A図3Aは、上記2つのトロイダルコアの100kHzにおける比透磁率が印加した磁界の強度が上昇するにつれてどのように変化するかを示すグラフである。
図3B図3Bは、上記2つのトロイダルコアの100kHzにおけるΔμ(%)が印加した磁界の強度が上昇するにつれてどのように変化するかを示すグラフである。
図4図4は、上記2つのトロイダルコアの50mTにおけるPcv(kW/m3)が、周波数の上昇につれてどのように変化するかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明をより具体的に説明する。上述した通り、本発明は、(A)混合物製造工程と;(B)第1乾燥工程と;(C)整粒工程と;(D)第2乾燥工程と;を備える造粒物の製造方法である。
ここで、上記混合物製造工程では、(a1)磁性粉末と、(a2)樹脂と、(a3)低沸点溶剤、(a4)高沸点溶剤とを混合し、スラリー状混合物を製造する。また、上記第1乾燥工程では、(b1)前記スラリー状混合物を加熱して、(b2)前記低沸点溶剤を蒸発させ、(b3)ペースト状混合物を製造する。次いで上記整粒工程では、(c1)前記ペースト状混合物を、メッシュを通して解砕し、(c2)整粒して粒子を得る。最後に、上記第2乾燥工程では、(d1)前記粒子を加熱し、(d2)前記高沸点溶剤を蒸発させて、磁性粒子を得る。
【0018】
ここで、上記磁性粉末としては、カルボニル鉄粉(Carbonyl Iron Powder、以下、「CIP」ということがある。)、アモルファス純鉄粉、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト等を使用することができる。
CIPは、真球状の均質な鉄粉であり、直径1〜8μmの粒度分布を有する。アモルファス純鉄粉は、結晶構造を持たない低損失な金属材料の一種であり、Feを主成分とするFe基アモルファス金属材料は、方向性ケイ素鋼板に比べて、無負荷損が小さいという特性を有する。
ケイ素鋼は、鉄にケイ素が3%前後含まれた軟質磁性材料であり、透磁率・電気抵抗が高く、磁気ヒステリシス損失が少ないという特性を有する。
【0019】
パーマロイは、鉄ニッケル合金であり、軟磁性合金であるとともに強磁性材である。透磁性が非常に高く、磁気を通し易い性質を有する。
センダストは、高透磁率合金の1つである。ケイ素9.5%,アルミニウム55.5%を含む鉄合金で,パーマロイに匹敵する高い透磁率を示す。また飽和磁束密度も高い。非常に硬くて脆いため、鍛造や圧延などの加工はできないという特性を有する。
上記の磁性粉末のうち、CIPを主として使用することが、透磁率が高く、直流重畳特性が上がるために好ましい。
【0020】
上述した樹脂は、磁性粉同士をつなぎ合わせるバインダーとして使用される。こうした樹脂としては、硬化温度が150℃以上の熱硬化性樹脂を、耐熱性があり、強度が高いことから好適に使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂等を使用することができる。
【0021】
上述した低沸点溶剤は、磁性粉に対する樹脂の分散を向上させるために使用する。沸点が90℃以下の有機溶剤であることが、低沸点溶剤として使用することができる溶剤の種類が多くなることから好ましい。
こうした低沸点溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、酢酸エチル、ベンゼン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選ばれるいずれかのものであることが、取り扱いの容易さ及び安全性の面から好ましい。これらの中でも、メチルエチルケトン及びアセトンを使用することが、揮発性が高く工程時間の短縮ができることからさらに好ましい。
【0022】
上述した高沸点溶剤は、均一な粒度分布の造粒粉を製造するために使用する。沸点が110〜200℃の範囲内にある有機溶剤であることが、第1乾燥工程で揮発せず、樹脂の硬化が開始されない温度であることから好ましい。145〜175℃の範囲にある溶剤を使用することが、さらに好ましい。
こうした高沸点溶剤としては、ブチルセロソルブ、ジイソブチルケトン、テルピネオール、ペンタノール、イソペンタノール、キシレン、及び酢酸n−ブチルからなる群から選ばれるいずれかのものであることが、取り扱いの容易さ及び安全性の面から好ましい。これらの中でも、ブチルセロソルブ及びジイソブチルケトンを使用することが、蒸気圧が高く、110〜130℃前後の低い温度で乾燥造粒粉を乾燥させることができるため、さらに好ましい。
【0023】
上述した樹脂、低沸点溶剤及び高沸点溶剤の混合物を磁性粉と混合して、スラリーを製造する。樹脂と磁性粉とが均一に混ざり合って分散するようにするために、このスラリー中の樹脂濃度は、スラリーの総重量の1.5〜3.5重量%とすることが好ましい。この範囲で使用することによって、磁性粉に対して樹脂を十分に分散させることができるからである。
さらに、スラリー中の樹脂濃度は、スラリー総重量の2.6〜3.4重量%であることが、均質な造粒粉を得ることができるため、より好ましい。
また、スラリー中の高沸点溶剤と低沸点溶剤の総重量は、樹脂の重量の400〜500重量%であることが、スラリーに対する樹脂の分散性が向上すること、及び工程時間が短縮されることから好ましい。
【0024】
後述する状態のペーストを得るために、スラリーを製造する際に使用する高沸点溶剤の量は、樹脂の重量に対して10〜45重量%であることが、後述するペーストを、造粒の際に柔らかい状態に保つことができるため、好ましい。
さらに、高沸点溶剤の量は、樹脂の重量に対して20〜30重量%であることが、均質な造粒粉を得ることができるため、より好ましい。
換言すると、このスラリー状混合物は、スラリーの総重量に対して、80〜95重量%の磁性粉末と、4〜15重量%の低沸点溶剤と、0.2〜1.5重量%の高沸点溶剤と、1.5〜3.5重量%の樹脂とを使用して製造することが好ましい。
さらに、このスラリーは、80〜90重量%の磁性粉末と、6.9〜14.2重量%の低沸点溶剤と、0.5〜1.0重量%の高沸点溶剤と、2.6〜3.4重量%の樹脂とを使用することが、均質な造粒粉を得ることができるために、さらに好ましい。
【0025】
以上のようにして製造したスラリーを、約50〜60℃にて15〜30分乾燥させ、低沸点溶剤を蒸発させてペーストとする。すなわち、ペーストは、磁性粉と樹脂と高沸点溶剤とを含み、磁性粉同士が強固に凝集しないようになっている。
このペーストをメッシュ(金網)に擦りつけて解砕し、整粒する。目標とする造粒粉の粒径の2〜5倍の目開き径を有する上記メッシュを使用することが好ましい。さらに、目標とする造粒粉の粒径の2〜4倍の目開き径を有するものであることが、均質な所望の粒径の造粒粉が得られることから、より好ましい。
例えば、目開き径が約200〜500μmの篩を用いると、約100μmの粒径の造粒粉を得ることができる。
【0026】
解砕され、整粒されたペーストを、上記ペースト中の樹脂が硬化しない程度に加熱して高沸点溶剤を蒸発させ、造粒する。具体的には、110〜130℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。以上のようにして、均一な粒径を有する造粒粉を得ることができる。また、本発明の方法で得られた造粒粉は、磁性粉が樹脂で被覆されているため、熱硬化後の強度が向上するとともに、絶縁性も向上する。さらに、防錆効果も高い。
【0027】
次いで、以上のようにして得られた造粒粉を用いて、電子部品を製造する。以下に、インダクタを製造する場合を例に挙げて説明する。
まず、金型に、上述したようにして得た造粒粉を所定の量で入れる。ここに、所望の数で巻いた巻線を組み入れ、さらに造粒粉を入れて、巻線を覆う。金型をプレスし、造粒粉中の樹脂が硬化する温度以上の温度で、所望の時間加熱して、樹脂を硬化させる。
加熱温度は150〜200℃が好ましい。さらに、樹脂がエポキシ樹脂では150℃、樹脂がシリコン樹脂では200℃が、より好ましい。
【0028】
本発明の造粒粉は流れが良く、分散状態も向上しているため、金型に入れたときの充填密度を高くすることができる。これによって、透磁率の向上を図ることができるとともに、上記のような電子部品を製造したときの歩留まりも良くなるという利点がある。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に何等限定されるものではない。
(実施例1)本発明例1〜3の造粒粉の製造
本発明では、磁性粉として、粒子径が3〜5μmのカルボニル鉄粉を使用した。この鉄粉の組成は、Fe:Si:Cr=100:0:0であった。この磁性粉を、目開き径255〜500μmの篩で分級して使用した。
ガラス転移点が130〜140℃である熱硬化性エポキシ樹脂を使用した。低沸点溶剤としてはメチルエチルケトンを、また、高沸点溶剤としてはブチルセロソルブを、それぞれ使用した。
【0030】
15.0gのメチルエチルケトンと、1.0gのブチルセロソルブと、3.2gのエポキシ樹脂とを高分子製カップの中で混合し、十分に撹拌して混合液とした。(これらの混合の割合は、スラリーの総重量に対して、メチルエチルケトンが12%(w/w)、ブチルセロソルブが約1%(w/w)、エポキシ樹脂が約2%(w/w)であった。)
次いで、100gのカルボニル鉄粉と、上記の混合液の全量とを混合し、十分に撹拌してエポキシ樹脂をカルボニル鉄粉に対して十分に分散させ、スラリーを製造した。カルボニル鉄粉の混合割合は、スラリーの総重量に対して、約85%(w/w)であった。
【0031】
次いで、このスラリーを高温槽に入れて約50℃(第1乾燥温度)で30分加熱してメチルエチルケトンを蒸発させ、柔らかい固体状態のペーストを製造した。
次いで、目開き径355μmのメッシュ(篩)に、このペーストを擦りつけて解砕し、粒子を得た。
引き続き、上記で得られた粒子を高温槽に入れて110℃(第2乾燥温度)で25〜35分加熱してメチルセロソルブを蒸発させて整粒し、造粒粉を得た。以上のようにして、本発明例1の造粒粉を得た。
以上のようにして得られた本発明例1の造粒粉の粒径を、ふるいを用いて測定したところ、粒径が75μm未満の粒子(D)の含有量は約5%、500μmを越える粒子(D)の含有量は約10%、平均粒径は約100μmであった。
【0032】
(実施例2)本発明例2の造粒粉の製造
実施例1における第2乾燥温度を120℃に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明例2の造粒粉を得た。得られた本発明例2の造粒粉中のD及びDの割合、及び平均粒径は実施例1と同様であった。
(実施例3)本発明例3の造粒粉の製造
実施例1における第2乾燥温度を130℃に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明例3の造粒粉を得た。得られた本発明例3の造粒粉中のD及びDの割合、及び平均粒径は実施例1と同様であった。
【0033】
(実施例4)本発明例4の造粒粉の製造
実施例1で約50℃とした第1乾燥工程の温度を約60℃に上げた以外は実施例1と同様にして、本発明例4の造粒粉を製造した。得られた本発明例4の造粒粉中のD及びDの割合、及び平均粒径は実施例1と同様であった。
(実施例5)本発明例5の造粒粉の製造
実施例2で約50℃とした第1乾燥工程の温度を約60℃に上げた以外は実施例2と同様にして、本発明例5の造粒粉を製造した。得られた本発明例5の造粒粉中のD及びDの割合、及び平均粒径は実施例1と同様であった。
【0034】
(実施例6)本発明例6の造粒粉の製造
実施例3で約50℃とした第1乾燥工程の温度を約60℃に上げた以外は実施例3と同様にして、本発明例6の造粒粉を製造した。得られた本発明例6の造粒粉中のD及びDの割合、及び平均粒径は実施例1と同様であった。
(実施例7)本発明例7の造粒粉の製造
実施例2で、樹脂量に対して30wt%とした高沸点溶剤の添加量を、10wt%にした以外は実施例2と同様にして、本発明例7の造粒粉を得た。得られた本発明例7の造粒粉中のDの割合は約9%、Dの割合は約11%であった。
【0035】
(実施例8)本発明例8の造粒粉の製造
実施例2で、樹脂量に対して30wt%とした高沸点溶剤の添加量を、20wt%にした以外は実施例2と同様にして、本発明例8の造粒粉を得た。得られた本発明例8の造粒粉中のDの割合は約7%、Dの割合は約11%であった。本発明例8の造粒粉の性質は実施例1で得られた造粒粉1とほぼ同等であった
(実施例9)本発明例9の造粒粉の製造
実施例2で、樹脂量に対して30wt%とした高沸点溶剤の添加量を、40wt%にした以外は実施例2と同様にして、本発明例9の造粒粉を得た。得られた本発明例9の造粒粉中のDの割合は約4%、Dの割合は約14%であった。
【0036】
(実施例10)本発明例10の造粒粉の製造
実施例2で、樹脂量に対して30wt%とした高沸点溶剤の添加量を、45wt%にした以外は実施例2と同様にして、本発明例8の造粒粉を得た。得られた本発明例8の造粒粉中のDの割合は約4%、Dの割合は約18%であった。
(実施例11)本発明例11の造粒粉の製造
実施例2で、樹脂量に対して350wt%とした低沸点溶剤添加量を、250wt%にした以外は、実施例2と同様にして本発明例11の造粒粉を得た。
【0037】
(実施例12)本発明例12の造粒粉の製造
実施例2で、樹脂量に対して350wt%とした低沸点溶剤添加量を、450wt%にした以外は実施例2と同様にして、本発明例12の造粒粉を得た。
(実施例13)本発明例13の造粒粉の製造
実施例2で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに代えた以外は、実施例2と同様にして、本発明例13の造粒粉を得た。
【0038】
(実施例14)本発明例14の造粒粉の製造
実施例2で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからシクロヘキサンに代えた以外は実施例2と同様にして、本発明例14の造粒粉を得た。
(実施例15)本発明例15の造粒粉の製造
実施例2で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからジイソブチルケトンにした以外は実施例2と同様にして、本発明例15の造粒粉を得た。
【0039】
(実施例16)本発明例16の造粒粉の製造
実施例2で使用した低沸点溶剤をメチルエチルケトンからアセトンに代え、低沸点溶剤の対樹脂重量を250wt%とした以外は、実施例2と同様にして本発明例16の造粒粉を得た。
(実施例17)本発明例17の造粒粉の製造
実施例2で使用した低沸点溶剤をメチルエチルケトンからアセトンに代えた以外は、実施例2と同様にして本発明例17の造粒粉を得た。
【0040】
(実施例18)本発明例17の造粒粉の製造
実施例2で使用した低沸点溶剤をメチルエチルケトンからアセトンに代え、低沸点溶剤の対樹脂重量を450wt%とした以外は、実施例2と同様にして本発明例18の造粒粉を得た。
(実施例19)本発明例19の造粒粉の製造
実施例2で造粒粉に対して3.5wt%としたエポキシ樹脂添加量を2.0wt%とした以外は、実施例2と同様にして、本発明例19の造粒粉を得た。
(実施例20)本発明例20の造粒粉の製造
実施例2で造粒粉に対して3.5wt%としたエポキシ樹脂添加量を2.5wt%とした以外は、実施例2と同様にして、本発明例20の造粒粉を得た。
【0041】
(実施例21)本発明例21の造粒粉の製造
実施例2で造粒粉に対して3.5wt%としたエポキシ樹脂添加量を3.0wt%とした以外は、実施例2と同様にして、本発明例21の造粒粉を得た。
(実施例22)本発明例22の造粒粉の製造
実施例2で使用したエポキシ樹脂をシリコン樹脂に代えるとともに樹脂添加量を3.5重量%から3.7重量%にした以外は実施例2と同様にして、本発明例22の造粒粉を得た。
【0042】
(実施例23)本発明例23の造粒粉の製造
実施例22で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに代えた以外は実施例22と同様にして、本発明例23の造粒粉を得た。
(実施例24)本発明例24の造粒粉の製造
実施例22で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからシクロヘキサンに代えた以外は実施例22と同様にして、本発明例24の造粒粉を得た。
(実施例25)本発明例25の造粒粉の製造
実施例22で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからジイソブチルケトンに代えた以外は実施例22と同様にして本発明例25の造粒粉を得た。
【0043】
(比較例1)比較例1の造粒粉の製造
実施例1で使用したブチルセロソルブをメチルエチルケトンに代えてメチオルエチルケトンのみとした以外は実施例1と同様にして、比較例1の造粒粉を得た。
(比較例2)比較例2の造粒粉の製造
実施例1で110℃とした第2乾燥温度を100℃にした以外は実施例1と同様にして、比較例2の造粒粉を得た。
【0044】
(比較例3)比較例3の造粒粉の製造
実施例1で、110℃とした第2乾燥温度を140℃にした以外は実施例1と同様にして、比較例3の造粒粉を得た。
(比較例4)比較例4の造粒粉の製造
実施例2で樹脂量に対して30wt%とした高沸点溶剤の添加量を8wt%にした以外は実施例2と同様にして、比較例4の造粒粉を得た。
【0045】
(比較例5)比較例5の造粒粉の製造
実施例2で樹脂量に対して30wt%とした高沸点溶剤の添加量を、50wt%にした以外は実施例2と同様にして、比較例5の造粒粉を得た。
(比較例6)比較例6の造粒粉の製造
実施例2で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからメチルイソブチルケトンに代えた以外は実施例2と同様にして、比較例6の造粒粉を得た。
【0046】
(比較例7)比較例7の造粒粉の製造
実施例2で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからn-ブチルアルコールに代えた以外は、実施例2と同様にして比較例7の造粒粉を得た。
(比較例8)比較例8の造粒粉の製造
実施例2で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブから2-2ブトキシエトキシエタノールに代えた以外は、実施例2と同様にして比較例8の造粒粉を得た。
【0047】
(比較例9)比較例9の造粒粉の製造
実施例2で3.5重量%としていた樹脂添加量を1.5%重量にした以外は、実施例2と同様にして比較例9の造粒粉を得た。
(比較例10)比較例10の造粒粉の製造
実施例2で使用した樹脂をエポキシからシリコンとし、高沸点溶剤をブチルセロソルブからメチルイソブチルケトンとした以外は、実施例2と同様にして比較例10の造粒粉を得た。
【0048】
(比較例11)比較例11の造粒粉の製造
比較例10で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブからn-ブチルアルコールとした以外は、比較例10と同様にして比較例11の造粒粉を得た。
(比較例12)比較例12の造粒粉の製造
比較例10で使用した高沸点溶剤をブチルセロソルブから2-2ブトキシエトキシエタノールとした以外は、比較例10と同様にして比較例12の造粒粉を得た。
本発明例1〜25及び比較例1〜12の造粒粉の製造条件を各造粒粉の物性とともに表1及び表2に示す。
【0049】
表1及び表2中の略号等は下記の通りである。
*1:対造粒粉重量
*2:MEK:メチルエチルケトン
BCS:ブチルセロソルブ
PGM: プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
CHEX: シクロヘキサン
DIB: ジイソブチルケトン
ACT: アセトン
MIB: メチルイソブチルケトン
NBA: n-ブチルアルコール
BEE: 2-2ブトキシエトキシエタノール
【0050】
*3:低沸点溶剤(LBS)/高沸点溶剤(HBS)
*4:粒径が75μm未満の粒子の量(D)及び500μmの粒子の量(D)の粒子全体に占める割合で評価した。
=Dが5%以下、かつDが10%以下
=Dが10%以下、かつDが10%以上、20%以下
=Dが10%以上、かつDが20%超
*5:透磁率は、100kHzで測定した。成形圧は4ton/cm2とした。
*6:直流重畳特性は、100kHzで測定した(Δμ-20%)
*7:Pcvは100kHz、50mTの条件で測定した。
【0051】
乾燥性は、A(良好)、B(やや良好)、又はC(不良)で評価した。
透磁率は、A(良好)、B(やや良好)、又はC(不良)で評価した。
直流重畳性は、A(良好)、B(やや良好)、又はC(不良)で評価した。
Pcvは、A(良好)、B(やや良好)、又はC(不良)で評価した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
製造された各造粒粉の評価
本発明例1〜25の造粒粉はいずれも、Dが10%以下かつDが20%以下という粒径範囲にあり、粒径のばらつきは少なかった。
これに対し、比較例1〜12の造粒粉は、第1乾燥工程での乾燥は良好であったが、比較例1及び9の造粒粉を除き、第2乾燥工程での乾燥状態が不良であった。第2乾燥工程の温度が100℃の場合には高沸点溶剤の残留が多く、製造されたペーストをメッシュに通すことができなかった。このことは、所望の粒径の造粒粉を得ることができないことを示す。
【0055】
また、第2乾燥工程の温度が140℃の場合には、エポキシ樹脂が硬化した状態となっており、プレス成形時の成形性が悪くなり、透磁率が低下することが予想された。
比較例1、4、6、7、10及び11の造粒粉は、乾燥工程でペーストの乾燥が進み過ぎ、粒径にバラつきが大きくなっていた。また、比較例5、8及び12の造粒粉は高沸点溶剤の残存量が多く、メッシュを通すことができなかったため、後述する成形を行うことができなかった。
【0056】
(実施例26)電子部品の製造
本発明例1と一般的な磁性粉(Fe:Si:Cr=92:4:4)を用いて、以下の条件でトロイダルコアを製造し、特性を比較した。
(1)材料
本発明例1と引用文献2と似たような造粒粉で、それぞれトロイダルコアを作製し、比透磁率、μ周波数、直流重畳特性及びコアロス特性を測定し比較した。
トロイダルコア:φ15mm×2.5mmt(成形圧力 4t/cm2
巻数:本発明例1の磁性粉末(CIP)=19T
一般的な磁性粉末(Fe-Si-Cr)=10T
【0057】
透磁率は、成形圧力(トン/cm2)と100kHzにおける透磁率との関係を、インピーダンスアナライザを用いて、測定した。また、μ周波数は、周波数と100kHzにおける透磁率の変化を、インピーダンスアナライザを用いて、周波数を100kHz〜10MHzまでの間で、調べた。直流重畳特性は、印加磁界と透磁率との変化を、インピーダンスアナライザを用いて、コイルに供給する直流電流を除除に加えるようにして調べた。
コアロスは、B−Hアナライザを用いて、周波数を100kHz〜10MHzまでの間で調べた。結果を、上記表1及び2、並びに図1図4に示す。
【0058】
図1に示すように、上記2つのトロイダルコアの透磁率は、成形圧力2トン/cm2の時点で一般的な磁性粉末を使用した方が高く、成形圧が高くなっても、その差は縮まらなかった。
このことから、製品として同じインダクタンス(L)を得るためには、巻数を多くするか、より高い成形圧を欠けることが必要になることが示された。
一方、図4に示すように、コアロスについては、100kHzの時点における本発明例1の磁性粉末を用いたトロイダルコアの方が、一般的な磁性粉末を用いたトロイダルコアよりも、コアロスが少なく、周波数が高くなると、その差が大きくなることが示された。
このことから、図2に示すように1.5MHzを越える領域では、本発明例1の磁性粉末を用いたトロイダルコアの方が、コアロスが少ないため、コイルの自己共振周波数の近傍で比透磁率が大きく上昇したが、一般的な磁性粉末を用いたトロイダルコアでは、コアロスが大きいため逆に低下傾向が認められた。
【0059】
図3(A)及び(B)で示すように、直流重畳特性は、本発明例1の磁性粉末を用いたトロイダルコアの方が、一般的な磁性粉末を用いたトロイダルコアよりもよい結果が得られた。
図3(A)は、上述したFe-Si-Crの巻数を10T、CIPの巻数を19Tとして測定したため、初期透磁率に相違がみられた。しかし、透磁率が同じであると想定した場合でも、本発明例1の磁性粉末と一般的な磁性粉末の透磁率の差は約1.3倍であるので、磁性粉末を用いたトロイダルコアの方が良好な直流重畳特性を得られると考えられた。
以上より、本発明の方法で製造された磁性粉末は、比透磁率を除き、良好な特性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、電子部品の製造の分野において有用である。
図1
図2
図3A
図3B
図4