特許第6103203号(P6103203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103203
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】給水加温システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20170316BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20170316BHJP
   F25B 27/02 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   F24H1/00 631B
   F25B27/00 A
   F25B27/02 C
   F25B27/02 F
   F24H1/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-43597(P2013-43597)
(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-173740(P2014-173740A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】大沢 智也
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−084409(JP,U)
【文献】 特開昭62−077570(JP,A)
【文献】 特開昭60−101228(JP,A)
【文献】 特開昭61−096373(JP,A)
【文献】 実開昭59−195413(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F25B 27/00
F25B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器において熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器において給水路の水を加温するヒートポンプと、
このヒートポンプの圧縮機を駆動するエンジンと、
前記凝縮器を通過後の水を、前記エンジンのジャケットの冷却に用いて加温する第一ジャケット熱交換器と、
前記凝縮器を通過後の水とは異なる水であって、前記凝縮器を通過後の給水よりも低温の水を、前記エンジンのジャケットの冷却に用いて加温する第二ジャケット熱交換器と、
前記第一ジャケット熱交換器を通過後の水を、前記エンジンからの排ガスで加温する第一排ガス熱交換器と
を備えることを特徴とする給水加温システム。
【請求項2】
記エンジンのジャケットまたはその冷却水の温度に基づき、前記第一ジャケット熱交換器または前記第二ジャケット熱交換器への通水量を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の給水加温システム。
【請求項3】
前記第二ジャケット熱交換器で加温された水は、前記凝縮器の上流側において前記給水路の水へ合流される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システム。
【請求項4】
前記給水路には、第一ジャケット熱交換器の前後を接続してバイパス路が設けられ、
前記ジャケット内の温度または前記第一ジャケット熱交換器を通過後の水温に基づき、前記凝縮器からの水を前記第一ジャケット熱交換器に通すか前記バイパス路に通すかの分配割合を調整するか、前記第二ジャケット熱交換器への通水の有無または量を調整する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給水加温システム。
【請求項5】
前記第一排ガス熱交換器を通過後の排ガスと前記第二ジャケット熱交換器を通過後の水とを熱交換する第二排ガス熱交換器をさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の給水加温システム。
【請求項6】
前記給水路の水は、サイクル外熱交換器、過冷却器および前記凝縮器を順に通され、
前記サイクル外熱交換器は、前記給水路の給水と、前記蒸発器を通過後の熱源流体との間接熱交換器であり、
前記過冷却器は、前記給水路の給水と、前記凝縮器から前記膨張弁への冷媒との間接熱交換器である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給水加温システム。
【請求項7】
前記給水路の水は、過冷却器、前記凝縮器およびサイクル外熱交換器を順に通され、
前記サイクル外熱交換器は、前記給水路の給水と、前記蒸発器への熱源流体との間接熱交換器であり、
前記過冷却器は、前記給水路の給水と、前記凝縮器から前記膨張弁への冷媒との間接熱交換器である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給水加温システム。
【請求項8】
前記サイクル外熱交換器または前記蒸発器を通過後の熱源流体の温度に基づき、前記蒸発器への熱源流体の供給流量を調整する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給水加温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンで駆動されるヒートポンプを用いた給水加温システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、ボイラ(24)の給水タンク(23)への給水を、ヒートポンプ(12)を用いて加温できるシステムが知られている。また、出願人は、この従来技術に比べてヒートポンプの効率をさらに向上した給水加温システムを提案し、既に特許出願を済ませている(特願2012−79191)。
【0003】
さて、ヒートポンプをエンジンで駆動する場合、その排熱の有効活用が望まれる。そして、エンジンからの排熱を給水の加温に用いようとすれば、いかなる順序で給水を加温していくべきかの課題がある。また、エンジンのジャケット冷却時の排熱で給水を加温しようする場合、エンジンを冷却し過ぎたり、逆に冷却が足りなかったりすることがないようにしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−25431号公報(図2図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、エンジンで駆動されるヒートポンプを用いた給水加温システムにおいて、エンジンからの排熱も有効活用することにある。また、エンジンを所望に冷却できる給水加温システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器において熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器において給水路の水を加温するヒートポンプと、このヒートポンプの圧縮機を駆動するエンジンと、前記凝縮器を通過後の水を、前記エンジンのジャケットの冷却に用いて加温する第一ジャケット熱交換器と、前記凝縮器を通過後の水とは異なる水であって、前記凝縮器を通過後の給水よりも低温の水を、前記エンジンのジャケットの冷却に用いて加温する第二ジャケット熱交換器と、前記第一ジャケット熱交換器を通過後の水を、前記エンジンからの排ガスで加温する第一排ガス熱交換器とを備えることを特徴とする給水加温システムである。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、給水は、ヒートポンプで加温された後、エンジンのジャケット冷却時の排熱で加温され、さらにエンジンからの排ガスで加温される。このような順序で加温することで、給水を効率よく昇温することができる。また、このようにして、エンジンの排熱を回収することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記エンジンのジャケットまたはその冷却水の温度に基づき、前記第一ジャケット熱交換器または前記第二ジャケット熱交換器への通水量を調整することを特徴とする請求項1に記載の給水加温システムである。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、エンジンのジャケットまたはその冷却水の温度に基づき、第一ジャケット熱交換器または第二ジャケット熱交換器への通水量を調整することで、エンジンを所望に冷却することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記第二ジャケット熱交換器で加温された水は、前記凝縮器の上流側において前記給水路の水へ合流されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
請求項4に記載の発明は、前記給水路には、第一ジャケット熱交換器の前後を接続してバイパス路が設けられ、前記ジャケット内の温度または前記第一ジャケット熱交換器を通過後の水温に基づき、前記凝縮器からの水を前記第一ジャケット熱交換器に通すか前記バイパス路に通すかの分配割合を調整するか、前記第二ジャケット熱交換器への通水の有無または量を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給水加温システムである。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、ジャケット内の温度または第一ジャケット熱交換器を通過後の水温に基づき、バイパス路へ流すバイパス量を調整することで、エンジンの冷やし過ぎを防止することができる。また、第一ジャケット熱交換器への通水だけではエンジンを所望に冷却できない場合には、第二ジャケット熱交換器へ通水することで、エンジンを所望に冷却することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記第一排ガス熱交換器を通過後の排ガスと前記第二ジャケット熱交換器を通過後の水とを熱交換する第二排ガス熱交換器をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の給水加温システムである。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、第一排ガス熱交換器を通過後の排ガスの排熱を、第二排ガス熱交換器により回収することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記給水路の水は、サイクル外熱交換器、過冷却器および前記凝縮器を順に通され、前記サイクル外熱交換器は、前記給水路の給水と、前記蒸発器を通過後の熱源流体との間接熱交換器であり、前記過冷却器は、前記給水路の給水と、前記凝縮器から前記膨張弁への冷媒との間接熱交換器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給水加温システムである。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、給水路の給水は、サイクル外熱交換器、過冷却器および凝縮器を順に通される一方、ヒートポンプの熱源流体は、蒸発器およびサイクル外熱交換器を順に通される。蒸発器を通過後の熱源流体の廃熱や、凝縮器を通過後の冷媒の熱を用いて、凝縮器への給水を予熱しておくことで、ヒートポンプの効率を向上することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記給水路の水は、過冷却器、前記凝縮器およびサイクル外熱交換器を順に通され、前記サイクル外熱交換器は、前記給水路の給水と、前記蒸発器への熱源流体との間接熱交換器であり、前記過冷却器は、前記給水路の給水と、前記凝縮器から前記膨張弁への冷媒との間接熱交換器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給水加温システムである。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、給水路の給水は、過冷却器、凝縮器およびサイクル外熱交換器を順に通される一方、ヒートポンプの熱源流体は、サイクル外熱交換器および蒸発器を順に通される。従って、凝縮器を通過後の冷媒の熱や、蒸発器への熱源流体の熱を用いても給水を加温することができる。
【0018】
さらに、請求項8に記載の発明は、前記サイクル外熱交換器または前記蒸発器を通過後の熱源流体の温度に基づき、前記蒸発器への熱源流体の供給流量を調整することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給水加温システムである。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、熱源流体の排出温度を所望に調整することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エンジンで駆動されるヒートポンプを用いた給水加温システムにおいて、エンジンからの排熱も有効活用することができる。また、エンジンを過不足なく所望に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の給水加温システムの実施例1を示す概略図である。
図2】本発明の給水加温システムの実施例2を示す概略図である。
図3】本発明の給水加温システムの実施例3を示す概略図である。
図4】本発明の給水加温システムの実施例4を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の給水加温システム1の実施例1を示す概略図である。
本実施例の給水加温システム1は、蒸気圧縮式のヒートポンプ2と、このヒートポンプ2を駆動するエンジン3とを備える。そして、給水加温システム1は、給水路4の水を、ヒートポンプ2で加温すると共に、エンジン3の排熱を用いて加温する。このようにして加温された水は、その用途を特に問わないが、たとえばボイラへの給水として用いられる。
【0024】
ヒートポンプ2は、圧縮機5、凝縮器6、膨張弁7および蒸発器8が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機5は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器6は、圧縮機5からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁7は、凝縮器6からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器8は、膨張弁7からの冷媒の蒸発を図る。
【0025】
従って、ヒートポンプ2は、蒸発器8において、冷媒が外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器6において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、ヒートポンプ2は、蒸発器8において熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器6において給水路4の水を加温する。なお、熱源流体は、特に問わないが、本実施例では熱源水(たとえば廃温水)である。
【0026】
ヒートポンプ2は、さらに、凝縮器6と膨張弁7との間に、過冷却器9を備えるのが好ましい。過冷却器9は、凝縮器6から膨張弁7への冷媒と、凝縮器6への給水との間接熱交換器である。過冷却器9により、凝縮器6への給水で、凝縮器6から膨張弁7への冷媒を過冷却することができると共に、凝縮器6から膨張弁7への冷媒で、凝縮器6への給水を加温することができる。ヒートポンプ2の冷媒は、好適には、凝縮器6において潜熱を放出し、過冷却器9において顕熱を放出する。
【0027】
つまり、凝縮器6において、ガス冷媒は凝縮して液冷媒となり、その液冷媒が過冷却器9に供給されて、過冷却器9において、液冷媒はさらに冷却(過冷却)される。冷媒の凝縮用と過冷却用とで熱交換器を分けることで、熱交換器の設計が容易となり、熱交換器を簡易な構造で小型化でき、コストの削減を図ることができる。また、汎用の熱交換器の利用も可能となる。
【0028】
その他、ヒートポンプ2には、圧縮機5の入口側にアキュムレータを設置したり、圧縮機5の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器6の出口側(凝縮器6と過冷却器9との間)に受液器を設置したりしてもよい。
【0029】
給水加温システム1は、さらに、サイクル外熱交換器10を備えるのが好ましい。このサイクル外熱交換器10は、過冷却器9への給水と、蒸発器8を通過後の熱源水との間接熱交換器である。従って、給水路4の水は、給水ポンプ11により、サイクル外熱交換器10、過冷却器9および凝縮器6へと順に通されることになる。
【0030】
一方、熱源水は、熱源供給路12を介して、蒸発器8を通された後、サイクル外熱交換器10に通される。本実施例では、熱源供給路12には、蒸発器8より上流側に熱源供給ポンプ25が設けられており、この熱源供給ポンプ25を作動させることで、熱源水を、蒸発器8とサイクル外熱交換器10とに順に通すことができる。
【0031】
蒸発器8を先に通した後にサイクル外熱交換器10に熱源水を通すことで、サイクル外熱交換器10を先に通した後に蒸発器8に熱源水を通す場合と比較して、蒸発器8における冷媒の蒸発温度(つまり蒸発圧力)を高めることができ、圧縮機5の圧力比を小さくすることができ、省エネルギーを図ることができる。
【0032】
エンジン3は、ヒートポンプ2の圧縮機5を駆動する。図示例では、エンジン3の動力は、ベルト13を介して圧縮機5を駆動する。エンジン3は、その構成を特に問わないが、たとえばガスエンジンまたはディーゼルエンジンであり、駆動に伴い排ガスを排出する。また、本実施例のエンジン3は、後述するように、ジャケット14を備える水冷式とされている。
【0033】
給水加温システム1は、エンジン3のジャケット冷却水や排ガスから熱回収して、給水路4の水を加温可能に構成される。そのために、第一ジャケット熱交換器15と第一排ガス熱交換器16を少なくとも備える。第一ジャケット熱交換器15は、凝縮器6を通過後の水を、エンジン3のジャケット14の冷却に用いて加温するための間接熱交換器である。この際、凝縮器6からの水は、エンジン3のジャケット14に直接に流してもよい(つまりジャケット14自体を第一ジャケット熱交換器15としてもよい)が、ジャケット14と第一ジャケット熱交換器15との間に液体(ジャケット冷却水)を循環させ、その循環液と給水路4の水とを第一ジャケット熱交換器15で熱交換するのがよい。一方、第一排ガス熱交換器16は、エンジン3からの排ガス路17に設けられ、第一ジャケット熱交換器15を通過後の水を、エンジン3からの排ガスで加温する間接熱交換器である。
【0034】
より具体的に説明すると、本実施例では、第一ジャケット熱交換器15の他、第二ジャケット熱交換器18を備え、各ジャケット熱交換器15,18とジャケット14との間で液体(ジャケット冷却水)が循環される。そして、第一ジャケット熱交換器15では、その循環液で、凝縮器6からの給水が加温される。逆に、凝縮器6からの給水により、循環液は冷却され、ひいてはジャケット14やエンジン3の冷却が図られる。
【0035】
第一ジャケット熱交換器15で加温後の給水は、第一排ガス熱交換器16へ供給され、エンジン3からの排ガスと熱交換してさらに加温され、温水使用設備(たとえばボイラ給水タンク)へ送られる。
【0036】
ところで、第一ジャケット熱交換器15において、エンジン3を冷やし過ぎることは避けなければならない。そこで、本実施例では、給水路4には、第一ジャケット熱交換器15の前後を接続してバイパス路19が設けられており、給水路4とバイパス路19との分岐部に三方弁20が設けられている。この三方弁20を制御することで、凝縮器6からの水を、第一ジャケット熱交換器15に通すかバイパス路19に通すかの分配割合を調整可能とされている。但し、この分配割合の調整は、給水路4とバイパス路19との分岐部と、その後の合流部との間において、給水路4および/またはバイパス路19に弁を設け、その弁の開度を調整することで行ってもよい。
【0037】
分配割合の調整制御について、より具体的に説明すると、本実施例では、第一ジャケット熱交換器15を通過後の水温を第一温度センサ21で監視し、その検出温度を所望温度に維持するように三方弁20を制御して、凝縮器6からの水を第一ジャケット熱交換器15に通すかバイパス路19に通すかの分配割合を調整する。なお、図示例では、第一温度センサ21は、給水路4とバイパス路19との合流部より下流に設けているが、合流部よりも上流の給水路4に設けてもよい。また、第一温度センサ21は、給水路4ではなく、前記循環液の温度を検出(言い換えればジャケット14内の温度を検出)するようにしてもよい。いずれにしても、第一ジャケット熱交換器15への通水流量を調整することで、エンジン3を所望に冷却することができる。これにより、エンジン3を過度に冷却するのを防止することができる。
【0038】
一方、凝縮器6の出口側の水温によっては、凝縮器6からの水を全量、第一ジャケット熱交換器15に通しても、ジャケット14の循環液を所望に冷却できないおそれがある。そこで、第一ジャケット熱交換器15に加えて、第二ジャケット熱交換器18を設けておくのがよい。第二ジャケット熱交換器18も、第一ジャケット熱交換器15と同様に、ジャケット14との間で液体(ジャケット冷却水)が循環され、その循環液と給水とが間接熱交換される。第二ジャケット熱交換器18への給水は、本実施例では、凝縮器6を通過後の水とは異なる水であり、凝縮器6を通過後の給水よりも低温(たとえば常温)である。
【0039】
第二ジャケット熱交換器18には、送水ポンプ22により通水され、その水は、前記循環液により加温される。その加温された水は、送水路23を介して、たとえば、サイクル外熱交換器10の入口側または出口側において、給水路4の水へ合流される。
【0040】
第二ジャケット熱交換器18への給水の有無または量は、後述する実施例2と同様にして、前記第一温度センサ21の検出温度により制御される。第二ジャケット熱交換器18への給水を制御することで、エンジン3の冷却不足が生じるおそれがない。
【0041】
ところで、サイクル外熱交換器10を通過後の熱源水の温度に基づき、蒸発器8への熱源水の供給流量を調整可能としてもよい。具体的には、熱源供給路12にはサイクル外熱交換器10の出口側に第二温度センサ26を設けておき、この第二温度センサ26の検出温度に基づき熱源供給ポンプ25をインバータ制御するか、熱源供給路12に設けた弁の開度を調整すればよい。これにより、熱源水の排出温度を所望に調整することができる。
【実施例2】
【0042】
図2は、本発明の給水加温システム1の実施例2を示す概略図である。本実施例2の給水加温システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0043】
本実施例2では、第一ジャケット熱交換器15への通水量はバイパス路19によっては調整しない(バイパス路19と三方弁20を設置しない)が、第二ジャケット熱交換器18への通水量は調整可能である。具体的には、凝縮器6からの給水は、全量、第一ジャケット熱交換器15に通された後、第一排ガス熱交換器16に通される。一方、第二ジャケット熱交換器18への通水流量は、送水ポンプ22をインバータ制御するか、送水ポンプ22の出口側に流量調整弁を設けその開度を調整することでなされる。そして、第一ジャケット熱交換器15を通過後の水温を第一温度センサ21で監視し、その温度を所望に維持するように第二ジャケット熱交換器18への通水量を調整すればよい。これにより、エンジン3を所望に冷却することができる。
【0044】
ところで、本実施例では、第一温度センサ21は、第一ジャケット熱交換器15の出口側の水温を検出しているが、第二ジャケット熱交換器18の出口側の水温を検出するか、あるいは、ジャケット14と各ジャケット熱交換器15,18との間の循環液の温度を検出(言い換えればジャケット内の温度を検出)するようにしてもよい。
【0045】
第二ジャケット熱交換器18で加温後の水は、本実施例2では、第二排ガス熱交換器24に通される。第二排ガス熱交換器24は、第一排ガス熱交換器16を通過後の排ガスと第二ジャケット熱交換器18を通過後の水との間接熱交換器である。この水は、前記実施例1と同様に、給水路4に合流して用いてもよい。
【0046】
なお、本実施例2において、前記実施例1と同様に、第二排ガス熱交換器24の設置を省略したり、逆に、前記実施例1において、本実施例2と同様に、第二排ガス熱交換器24を設置したりしてもよい。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【実施例3】
【0047】
図3は、本発明の給水加温システム1の実施例3を示す概略図である。本実施例3の給水加温システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0048】
本実施例3は、給水路4の構成において、前記実施例1と異なる。本実施例3では、給水ポンプ11からの給水は、サイクル外熱交換器10、第二ジャケット熱交換器18、過冷却器9、凝縮器6、第一ジャケット熱交換器15および第一排ガス熱交換器16の順に通される。比較的低温の水が第二ジャケット熱交換器18に通されるので、エンジン3を所望に冷却することができる。なお、本実施例の場合も、エンジン3のジャケット14またはその冷却水の温度に基づき、前記各実施例と同様に、各ジャケット熱交換器15,18への通水量を調整可能としてもよい。
【実施例4】
【0049】
図4は、本発明の給水加温システム1の実施例4を示す概略図である。本実施例4の給水加温システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0050】
本実施例4は、給水路4および熱源供給路12の構成において、前記実施例1と異なる。本実施例4では、給水ポンプ11からの給水は、過冷却器9、凝縮器6、サイクル外熱交換器10、第一ジャケット熱交換器15および第一排ガス熱交換器16の順に通される。一方、熱源水は、サイクル外熱交換器10および蒸発器8を順に通される。熱源供給ポンプ25は、熱源供給路12の内、サイクル外熱交換器10の入口側、またはサイクル外熱交換器10と蒸発器8との間に設けられる。
【0051】
なお、熱源水は、蒸発器8において冷却された後、冷熱利用機器(たとえばクーリングタワー)にて使用された後、再び熱源供給路12へ戻されてもよい。つまり、熱源水は、サイクル外熱交換器10および蒸発器8と、冷熱利用機器との間で循環使用されてもよい。
【0052】
本実施例4の場合、蒸発器8を通過後の熱源水の温度に基づき、蒸発器8への熱源水の供給流量を調整可能としてもよい。具体的には、熱源供給路12には蒸発器8の出口側に第二温度センサ26を設けておき、この第二温度センサ26の検出温度に基づき熱源供給ポンプ25をインバータ制御するか、熱源供給路12に設けた弁の開度を調整すればよい。これにより、熱源水の排出温度(冷水温度)を所望に調整することができる。
【0053】
本実施例4の場合も、エンジン3のジャケット14またはその冷却水の温度に基づき、前記各実施例と同様に、各ジャケット熱交換器15,18への通水量を調整可能としてもよい。また、本実施例4において、前記実施例2と同様に、第二排ガス熱交換器24を設置してもよい。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0054】
本発明の給水加温システム1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、ヒートポンプ2の熱源として熱源水を用いた例について説明したが、ヒートポンプ2の熱源流体として、熱源水に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。但し、熱源流体は、蒸発器8においてヒートポンプ2の冷媒に熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴い、その後、サイクル外熱交換器10において給水に熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴う流体が好ましい。
【符号の説明】
【0055】
1 給水加温システム
2 ヒートポンプ
3 エンジン
4 給水路
5 圧縮機
6 凝縮器
7 膨張弁
8 蒸発器
9 過冷却器
10 サイクル外熱交換器
11 給水ポンプ
12 熱源供給路
13 ベルト
14 ジャケット
15 第一ジャケット熱交換器
16 第一排ガス熱交換器
17 排ガス路
18 第二ジャケット熱交換器
19 バイパス路
20 三方弁
21 第一温度センサ
22 送水ポンプ
23 送水路
24 第二排ガス熱交換器
25 熱源供給ポンプ
26 第二温度センサ
図1
図2
図3
図4