(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正極及び負極が絶縁された層状の構造を成し、前記正極及び前記負極はそれぞれ複数枚の正極タブ及び負極タブが導電部材を介して電極端子と電気的に接続された電極組立体を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記正極タブ及び前記負極タブをそれぞれ積層した状態で前記導電部材に対して抵抗溶接で接合する抵抗溶接工程において、前記正極タブ及び前記負極タブは、前記正極タブ及び前記負極タブの基端側に位置する治具により、前記電極組立体における前記正極及び前記負極の積層方向の一端側に集められ、前記電極組立体の端面から突出する方向に延びる状態に支持され、
前記治具は、前記正極タブ及び前記負極タブの基端側が溶接箇所に対して露出しないように前記電極組立体の端面に沿って配置されており、
前記正極タブ及び前記負極タブの幅方向の少なくとも一方の側を前記幅方向に延長した延在部を、前記正極タブ及び前記負極タブの積層方向でかつ前記導電部材と離れる側へ起立するように折り曲げた状態で抵抗溶接を行い、
抵抗溶接後に起立状態の前記延在部を、溶接箇所を覆い、かつ前記電極組立体の前記端面に沿うように折り畳む折畳工程を備えていることを特徴とする蓄電装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。一般に、容量の大きな蓄電装置は電極組立体を収容するケースを備え、そのケース内に電極組立体が収容されている。そして、蓄電装置からの電力の取り出しは、電極組立体の正極及び負極に接続された電極端子を通して行われている。
【0003】
電極組立体には、例えば、複数の正極と複数の負極との間にセパレータを介在させた状態で積層した積層型の電極組立体や、帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた状態で捲回した捲回型の電極組立体がある。正極及び負極は、それぞれ複数枚のタブと呼ばれる金属箔の部分を有し、複数枚のタブが導電部材を介して正極端子あるいは負極端子に電気的に接続されている。複数枚のタブは、導電部材に対して複数枚積層された状態で抵抗溶接により溶接されている。
【0004】
複数枚のタブと導電部材とを抵抗溶接で接合する場合、溶接の際にスパッタが発生する。従来、発電要素(電極組立体)の芯体(電極)と集電体(導電部材)とを抵抗溶接した際、スパッタとして発生した金属のチリが電極組立体の内部に移動することを防止して、内部短絡の発生が少なく、信頼性の高い密閉電池及びその製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図13及び
図14に示すように、特許文献1の密閉電池は捲回型の電極組立体61の捲回軸方向(
図13の左右方向)の一端に複数枚の負極タブ(芯体露出部)62を有し、他端に正極タブ(図示せず)を有する。負極タブ62は負極導電部材63及び負極導電部材受け部品64に抵抗溶接で接合されている。負極タブ62と負極導電部材63及び負極導電部材受け部品64とを溶接する場合、負極タブ62の溶接箇所の両面に、中央部に開口65aが形成された熱溶着性樹脂製テープ65を介して、負極導電部材63及び負極導電部材受け部品64を当接させる。負極導電部材63の突起63aが下側の熱溶着性樹脂製テープ65の開口65aの中心に一致するように配置し、上側の熱溶着性樹脂製テープ65の開口65aを塞ぐように負極導電部材受け部品64を配置した状態で、電極棒66a,66bにより負極導電部材63及び負極導電部材受け部品64間に所定時間電流を流して抵抗溶接する。
【0006】
抵抗溶接する部分の周囲に熱溶着性樹脂製テープ65が存在する状態で抵抗溶接すると、スパッタとして発生した金属のチリが熱溶着性樹脂製テープ65の内部に捕獲されるため、スパッタとして発生した金属のチリが外部に飛散することが少なくなる。正極タブと正極導電部材及び正極導電部材受け部品とを抵抗溶接で接合する場合も同様である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を積層型の電極組立体を備えた二次電池に具体化した一実施形態を
図1〜
図8にしたがって説明する。
図1及び
図2に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース本体11a及びその開口部を覆う蓋体11bとで構成された四角箱状のケース11内に、積層型の電極組立体12及び電解液(図示せず)が収容されている。以下の説明では、説明の便宜のため、矢印Xで示す方向を左方向とし、矢印Yで示す方向を前方向とし、矢印Zで示す方向を上方向とする。
【0020】
図1及び
図3に示すように、電極組立体12は、金属箔13の両面に活物質層14aを有する複数の正極14と、金属箔13の両面に活物質層15aを有する複数の負極15とが、両者の間にセパレータ16が介在する状態で積層されている。正極14及び負極15は、活物質層14a,15aが形成された部分が矩形状に形成されている。各正極14には、電極組立体12の一端面(
図1及び
図3において上端面)の左側寄りに電極タブとしての正極タブ14bが突設されている。正極タブ14bは金属箔13の一部が活物質層14aの一端から突出するようにして形成されている。各負極15には、電極組立体12の一端面(
図1及び
図3において上端面)の右側寄りに電極タブとしての負極タブ15bが突設されている。負極タブ15bは金属箔13の一部が活物質層15aの一端から突出するようにして形成されている。
【0021】
セパレータ16は、正極14と負極15との間の電気的絶縁性を確保するため、正極タブ14b及び負極タブ15bを除いた正極14及び負極15の矩形部より大きな矩形状に形成されている。二次電池10がリチウムイオン二次電池の場合、正極14用の金属箔13はアルミニウム箔が好ましく、負極15用の金属箔13は銅箔が好ましい。
【0022】
図1及び
図2に示すように、ケース11には、電極端子としての正極端子21及び負極端子22が蓋体11bから突出する状態で設けられている。正極端子21及び負極端子22は、蓋体11bに形成された孔11cに取り付けられたリング状の絶縁部材23を貫通する状態で設けられている。この実施形態では、正極端子21は導電部材としての正極用導電部材24と別体に形成され、負極端子22は導電部材としての負極用導電部材25と別体に形成されている。正極端子21は板状の接続部21aを介して正極用導電部材24に溶接され、負極端子22は板状の接続部22aを介して負極用導電部材25に溶接されている。
【0023】
図1に示すように、正極タブ14bは積層された状態で正極用導電部材24に抵抗溶接により電気的に接続されている。負極タブ15bは積層された状態で負極用導電部材25に抵抗溶接により電気的に接続されている。即ち、電極組立体12は、正極14及び負極15が絶縁された層状の構造を成し、正極14及び負極15はそれぞれ複数枚の正極タブ14b及び負極タブ15bが導電部材(正極用導電部材24及び負極用導電部材25)を介して電極端子(正極端子21及び負極端子22)と電気的に接続されている。
【0024】
図1に示すように、正極タブ14bと正極用導電部材24との接合構造及び負極タブ15bと負極用導電部材25との接合構造は対称に構成されている。正極用導電部材24は、電極組立体12の前側で上下方向に延びる起立部24aにおいて正極タブ14bに抵抗溶接されている。負極用導電部材25は、電極組立体12の前側で上下方向に延びる起立部25aにおいて負極タブ15bに抵抗溶接されている。
【0025】
正極用導電部材24は、起立部24aより上側の部分の幅が起立部24aより左側に大きく形成され、その幅広部24bが電極組立体12の上端面に沿って延びるように電極組立体12の後側に向かって折り曲げられている。正極用導電部材24は幅広部24bにおいて正極端子21の接続部21aに溶接されている。
【0026】
負極用導電部材25は、起立部25aより上側の部分の幅が起立部25aより右側に大きく形成され、その幅広部25bが電極組立体12の上端面に沿って延びるように電極組立体12の後側に向かって折り曲げられている。負極用導電部材25は幅広部25bにおいて負極端子22の接続部22aに溶接されている。
【0027】
図3に示すように、電極組立体12の最も前側に配置される正極14の正極タブ14bには、正極用導電部材24に対する抵抗溶接時に正極タブ14bの延びる方向と交差する方向へのスパッタの飛散を防止する役割を果たす遮蔽部14cが設けられている。電極組立体12の最も前側に配置される負極15の負極タブ15bには、負極用導電部材25に対する抵抗溶接時に負極タブ15bの延びる方向と交差する方向へのスパッタの飛散を防止する役割を果たす遮蔽部15cが設けられている。遮蔽部14c,15cは、それぞれ正極タブ14b及び負極タブ15bの幅方向の両側に設けられている。遮蔽部14c,15cは、それぞれ正極タブ14b及び負極タブ15bのほぼ全長にわたって設けられている。遮蔽部14c,15cは、正極タブ14bあるいは負極タブ15bの一部を幅方向に延長した延在部として形成されている。
【0028】
図1に示すように、正極タブ14b及び負極タブ15bは、遮蔽部14c,15cがそれぞれ溶接箇所を覆い、正極タブ14bあるいは負極タブ15bに重なるように折り畳まれた状態で正極用導電部材24あるいは負極用導電部材25の下側において正極用導電部材24あるいは負極用導電部材25に沿うように折り曲げられている。
【0029】
次に正極タブ14b及び負極タブ15bと導電部材(正極用導電部材24、負極用導電部材25)とを接合する抵抗溶接工程について説明する。正極タブ14bと正極用導電部材24との接合構造及び負極タブ15bと負極用導電部材25との接合構造は対称に構成されているため、正極用導電部材24と正極タブ14bとの溶接工程は負極用導電部材25と負極タブ15bとの溶接工程と、基本的に同様に行われる。図示の都合上、正極用導電部材24と正極タブ14bとの溶接工程について説明する。
【0030】
溶接工程では、
図4及び
図5に示すように、電極組立体12の最前部に位置する正極タブ14bが下側になる状態で、かつその正極タブ14bの基端寄りの箇所が正極用導電部材24の溶接箇所となる部分の上に位置する状態で電極組立体12を支持台30上に配置する。その状態で、正極用導電部材24上に、他の正極タブ14bが電極組立体12における積層方向の上側から、下側に向かって集められる。具体的に言えば、最も上側に位置する正極タブ14bが、治具31(
図5に図示)に当接される状態で集められる。
【0031】
図5に示すように、正極用導電部材24は起立部24aに連続する幅広部24bが折り曲げられる前の状態で配置される。正極用導電部材24に接触して配置された正極タブ14bと一体に形成された遮蔽部14cは、各正極タブ14bを挟んで位置する状態に配置される。
【0032】
次に
図6に示すように、溶接電極32,33が正極タブ14b及び正極用導電部材24を挟む状態で配置され、一方の溶接電極32は正極用導電部材24に当接し、他方の溶接電極33は積層された最も上側の正極タブ14bと当接する。この状態における正極タブ14b、正極用導電部材24、溶接電極32,33との関係を模式的に示すと、
図7(a)のようになる。次に
図7(b)に示すように、正極タブ14bの遮蔽部15cを上側に折り曲げる。
【0033】
次に溶接電極32,33が正極タブ14b及び正極用導電部材24を押圧する状態で電圧が印加されると、正極タブ14b及び正極用導電部材24は溶接箇所26となる部分が溶融して抵抗溶接される。抵抗溶接の際、治具31は正極タブ14bの基端側に位置するため、抵抗溶接時に発生するスパッタのうち、治具31の方向へ飛散したスパッタは治具31に付着する。正極タブ14bの幅方向へ飛散したスパッタは、遮蔽部14cが無い場合は、スパッタの一部が電極組立体12の外側に付着したり、セパレータ16を損傷したりする。しかし、遮蔽部14cが存在する場合は、正極タブ14bの幅方向へ飛散したスパッタは遮蔽部14cに付着するため、飛散したスパッタの一部が電極組立体12の外側に付着したり、セパレータ16を損傷したりすることが防止される。
【0034】
図8(a)に示すように、正極タブ14bと正極用導電部材24との溶接終了後、先ず正極タブ14bの遮蔽部14cが各正極タブ14bを覆うように折り曲げられて正極タブ14bに重ねられた状態になる。次に
図8(b)に示すように、溶接箇所26より正極タブ14bの先端側の部分が遮蔽部14cと共に電極組立体12の端面に沿うように折り曲げられる。次に正極用導電部材24が溶接箇所26より先端側の部分が電極組立体12の上端面に沿って延びるように折り曲げられて、
図1及び
図8(b)に示す状態になる。
【0035】
治具31は繰り返し使用されるため、抵抗溶接時に治具31に付着したスパッタは適宜除去される。正極14に遮蔽部14cを設けずに、正極タブ14bの幅方向へ飛散したスパッタを受け止める遮蔽部を治具31に設けても、スパッタが電極組立体12の外側に付着したり、セパレータ16を損傷したりすることを防止することはできる。しかし、その場合は、治具31に設けた遮蔽部に付着したスパッタの除去が必要になり、スパッタ除去作業の工数が増加する。一方、正極14の遮蔽部14cに付着したスパッタは除去する必要はない。負極15の遮蔽部15cに付着したスパッタも除去する必要はない。
【0036】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)二次電池10(蓄電装置)は、正極14及び負極15が絶縁された層状の構造を成し、正極14及び負極15はそれぞれ複数枚の正極タブ14b及び負極タブ15bが正極用導電部材24及び負極用導電部材25を介して電極端子(正極端子21、負極端子22)と電気的に接続された電極組立体12を備える。正極タブ14b及び負極タブ15bの少なくとも一方は、積層された状態で導電部材と抵抗溶接で接合され、抵抗溶接されたタブは、導電部材とタブとの溶接箇所の、タブの幅方向の少なくとも一方の側に積層される部位より延びる延在部を有し、延在部は溶接箇所を覆うように折り畳まれた状態で設けられている。したがって、製造工程において、電極(正極14及び負極15)の複数枚の電極タブ(正極タブ14b及び負極タブ15b)を導電部材(正極用導電部材24及び負極用導電部材25)に対し複数枚積層された状態で溶接する際に、電極組立体12が飛散したスパッタで損傷するのを防止することができる。
【0037】
(2)延在部は、導電部材に対する抵抗溶接時に正極タブ14b及び負極タブ15bの延びる方向と交差する方向へのスパッタの飛散を防止する遮蔽部14c,15cである。この構成では、製造工程において、電極の複数枚の電極タブを導電部材に対し複数枚積層された状態で抵抗溶接する際に、延在部が電極タブの延びる方向と交差する方向へ飛散しようとするスパッタを遮蔽して、電極組立体12が飛散したスパッタで損傷するのを阻止する。
【0038】
(3)遮蔽部14c,15cは、正極タブ14b及び負極タブ15bの幅方向の両側に設けられている。正極タブ14b及び負極タブ15bの正極14及び負極15からの突出位置が電極組立体12における端部であれば、遮蔽部14c,15cを溶接箇所の片側に設けることで、電極組立体12が飛散したスパッタで損傷することを防止することができる。しかし、一般に正極タブ14b及び負極タブ15bは電極組立体12の端部ではなく端部から距離を有する状態で形成される。遮蔽部14c,15cが正極タブ14b及び負極タブ15bの幅方向の両側に設けられている場合は、正極タブ14b及び負極タブ15bの電極(正極14及び負極15)からの突出位置に関わりなく対応することができる。
【0039】
(4)遮蔽部14c,15cは、正極タブ14b及び負極タブ15bのそれぞれ1枚に設けられている。遮蔽部14c,15cは、1枚の正極タブ14bあるいは負極タブ15bの厚さで遮蔽効果を有し、遮蔽部14c,15cがそれぞれ1枚の正極タブ14b及び負極タブ15bに設けられた場合は、複数枚の正極タブ及び負極タブに設けられた場合に比べて、抵抗溶接後の折り畳み作業が容易になる。また、遮蔽部14c,15cがそれぞれ1枚の正極タブ14b及び負極タブ15bに設けられた場合は、遮蔽部14c,15cの重量が小さくなり、二次電池10の重量当たりのエネルギー密度が高くなる。
【0040】
(5)二次電池10の製造方法は、正極タブ14b及び負極タブ15bを正極用導電部材24及び負極用導電部材25に対して抵抗溶接で接合する抵抗溶接工程において、正極タブ14b及び負極タブ15bはその基端側に位置する治具31により、それぞれ積層された状態で電極組立体12の端面から突出する方向に延びる状態に支持される。そして、正極タブ14b及び負極タブ15bの幅方向の少なくとも一方の側に設けられた遮蔽部14c,15cを、正極タブ14b及び負極タブ15bの積層方向でかつ正極用導電部材24及び負極用導電部材25と離れる側へ起立するように折り曲げた状態で抵抗溶接を行う。そのため、製造工程において、電極(正極14及び負極15)の複数枚の電極タブ(14b及び負極タブ15b)を導電部材(正極用導電部材24及び負極用導電部材25)に対し複数枚積層された状態で溶接する際に、電極組立体12が飛散したスパッタで損傷するのを防止することができる。
【0041】
(6)二次電池10の製造方法は、抵抗溶接後に起立状態の遮蔽部14c,15cを、溶接箇所26を覆い、かつ電極組立体12の端面に沿うように折り畳む折畳工程を備えている。したがって、抵抗溶接後に起立状態の遮蔽部14c,15cを折り畳まない場合に比べて遮蔽部14c,15cが電極組立体12の端面から突出する量が少なくなり、電極組立体12を収容するケース11の体積を小さくでき、二次電池10の体積当たりのエネルギー密度が高くなる。
【0042】
(6)遮蔽部14c及び遮蔽部15cは、正極タブ14b及び負極タブ15bが積層された状態で正極用導電部材24及び負極用導電部材25に対してそれぞれ抵抗溶接で接合される際に、正極用導電部材24及び負極用導電部材25に対して当接する状態の正極タブ14b及び負極タブ15bに設けられている。そのため、正極用導電部材24及び負極用導電部材25に対して積層された状態で抵抗溶接される正極タブ14b及び負極タブ15bのいずれの箇所で発生して飛散するスパッタも遮蔽することができる。
【0043】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○
図9に示すように、正極14は、活物質層14aの上縁と金属箔13の上縁との間に活物質層14aが形成されない領域14dが存在し、その領域14dに連続して正極タブ14bが形成された構成でもよい。同様に負極15においても、活物質層15aの上縁と金属箔13の上縁との間に活物質層15aが形成されない領域が存在し、その領域に連続して負極タブ15bが形成された構成でもよい。
【0044】
○
図9に示すように、正極14は、遮蔽部14cが正極タブ14bの全長ではなく一部に設けられた構成であってもよい。遮蔽部14cは、抵抗溶接時に発生したスパッタのうち正極タブ14bの幅方向端部を通過して電極組立体12に向かうように進むスパッタを遮蔽すればよく、それ以外のスパッタを遮蔽する機能はなくてもよいため、その箇所に存在すればよい。同様に、負極15においても、遮蔽部15cが負極タブ15bの全長ではなく一部に設けられた構成であってもよい。
【0045】
○
図10に示すように、正極タブ14b及び負極タブ15bの正極14及び負極15からの突出位置が電極組立体12における左端部と右端部であってもよい。
○ 電極タブ(正極タブ14b及び負極タブ15b)の電極(正極14及び負極15)からの突出位置が電極組立体12の端部である場合、遮蔽部14c,15cは電極タブの幅方向両側に設ける必要はない。例えば、電極組立体12の左端部に正極タブ14bが設けられる場合、
図11に示すように、正極14は、その上縁左端に正極タブ14bが突設され、正極タブ14bの右側に遮蔽部14cが形成される。この場合、図示しないが、負極15は、その上縁右端に負極タブ15bが突設され、負極タブ15bの左側に遮蔽部15cが形成される。
【0046】
○ 積層型の電極組立体12に限らず、捲回型の電極組立体を備えた二次電池10に適用してもよい。例えば、
図12に示すように、電極組立体40は、正極タブ41及び負極タブ42がそれぞれ電極組立体12の捲回軸方向の一端側の端面に、捲回中心に対して回転対称の位置に突設されている。正極タブ41及び負極タブ42には遮蔽部41a,42aがそれぞれ形成されている。正極用導電部材43及び負極用導電部材44は、複数枚積層された正極タブ41及び負極タブ42のうち電極の捲回部最外周側に位置する正極タブ41及び負極タブ42に当接する状態で溶接され、かつ電極組立体40の軸方向に延びる状態で設けられている。
図12は抵抗溶接後、遮蔽部41a,42aが折り曲げられていない状態を示しており、遮蔽部41a,42aは電極組立体12の左右方向に沿って延びる状態に折り曲げられる。
【0047】
○ 遮蔽部14c,15c,41a,42aは、それぞれ正極用導電部材24,43及び負極用導電部材25,44に対して当接する状態の正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42に設けられる構成に限らず、それぞれ積層された正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42のいずれかに設けられていればよい。
【0048】
○ 各2枚の遮蔽部14c,15c,41a,42aは、それぞれ1枚の同じ正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42に設けられた構成に限らず、異なる正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42の異なる側に1枚ずつ設けられてもよい。
【0049】
○ 遮蔽部14c,15c,41a,42aは、正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42の片側にそれぞれ2枚以上ずつ設けられてもよく、例えば、全ての正極タブ14b,41及び負極タブ15b,42の幅方向の両側に設けられてもよい。しかし、遮蔽部14c,15c,41a,42aの枚数が少ない構成の方が、抵抗溶接後の折り曲げ作業が容易になる。
【0050】
○ 電極組立体12は、正極タブ14bと正極用導電部材24との接合構造及び負極タブ15bと負極用導電部材25との接合構造が左右対称ではなく、回転対称の状態で配置された構成としてもよい。
【0051】
○ 正極14及び負極15は、金属箔13に活物質が塗布されて活物質層14a,15aが形成された構造に限らない。例えば、積層型の電極組立体12の正極14あるいは負極15は、集電体として複数の空孔を備える三次元構造の金属多孔体の空孔に、活物質が充填されて活物質層が形成され、金属多孔体の一端の多孔部が押しつぶされて板状となった部分で電極タブが形成された構造であってもよい。
【0052】
○ 積層型の電極組立体12の正極14あるいは負極15の活物質層14a,15aとして、活物質を板状に賦形したものを使用してもよい。
○ 正極14及び負極15の活物質層14a,15aを保持する金属箔13に代えてメッシュ状の金属シートを使用してもよい。
【0053】
○ 正極タブ14b及び負極タブ15bは、金属箔13の一部を突出させて形成された構造に限らず、活物質層を支持(保持)する金属箔13の部分に別の金属箔を接合して形成してもよい。
【0054】
○ 遮蔽部14c,41a,15c,42aを正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42と一体形成する代わりに、金属箔で形成した遮蔽部14c,41a,15c,42aを正極タブ14b,41あるいは負極タブ15b,42に溶接したり、導電性接着材で接合したりしてもよい。
【0055】
○ 正極端子21及び負極端子22は、接続部21a,22aを介して正極用導電部材24あるいは負極用導電部材25に溶接あるいは導電性接着材等で接合された構成に限らない。例えば、正極端子21及び負極端子22が、それぞれ正極用導電部材24あるいは負極用導電部材25に直接溶接されたり、あるいは導電性接着材等で接合されたりした構成としてもよい。
【0056】
○ 積層型の電極組立体12において、正極タブ14b及び負極タブ15bがそれぞれ電極組立体12の異なる端面から突出する構成としてもよい。
○ 抵抗溶接終了後、電極組立体12,40をコンパクトな状態でケース11に収容可能に、遮蔽部14c,15c,41a,42aを折り曲げる代わりに遮蔽部14c,15c,41a,42aを切断除去してもよい。また、遮蔽部14c,15c,41a,42aを折り曲げたり除去したりせずに、電極組立体12,40をケース11に収容してもよい。
【0057】
○ 正極タブ14b及び負極タブ15bの少なくとも一方が、積層された状態で導電部材と抵抗溶接で接合された構成であってもよい。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等の他の二次電池であってもよい。
【0058】
○ 二次電池10は電解液が必須ではなく、例えば、セパレータ16が高分子電解質で形成されていてもよい。
○ 蓄電装置は、二次電池10に限らず、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のようなキャパシタであってもよい。
【0059】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の蓄電装置の構成を備えた二次電池。