特許第6103237号(P6103237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103237
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170316BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20170316BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20170316BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/12 101
   H01M2/10 A
   H01M2/10 S
   H01M2/34 B
   H01M2/20 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-221613(P2013-221613)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-82492(P2015-82492A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−346759(JP,A)
【文献】 特開2012−104471(JP,A)
【文献】 特開2008−117756(JP,A)
【文献】 特開2007−027011(JP,A)
【文献】 特開2005−150079(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0130073(US,A1)
【文献】 特開2006−080045(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/081173(WO,A1)
【文献】 特開2015−082493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/12
H01M 2/20
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が収容されたケースと該ケースの内圧をケース外に開放させる圧力開放弁を有する複数の電池セルを備えた電池モジュールと、
前記電池セルに接続されたハーネスと、
前記電池セル及び前記ハーネスが収容された筐体と、を備えた電池パックであって、
前記筐体は、該筐体の内圧を筐体外に開放させる開放部を有し、
前記ハーネスと前記筐体の内面との間には、緩衝材が設けられ
前記緩衝材は、前記筐体の内面に接合される基部と、前記基部から前記電池モジュールに向けて突出する突出部とを有し、
前記ハーネスは、前記基部と対向する位置に設けられるとともに、前記突出部の先端面と対向する位置には設けられず、
前記先端面と前記電池モジュールにおける前記先端面と対向する面とを結ぶ最短の仮想線の長さは、前記基部と前記ハーネスとを結ぶ最短の仮想線の長さよりも短いことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記緩衝材は、前記筐体と一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記筐体は、前記電池モジュールが固定される本体と、該本体に固定される固定部材とを有し、
前記緩衝材は、前記固定部材と一体化されていることを特徴とする請求項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材を有する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルに異常が生じると、電池セルの内部で気体が発生する場合があり、電池セルにはこの気体を外部に排出するための圧力開放弁が設けられている。複数の電池セルを筐体に収容した電池パックにおいては、電池セルから排出される気体によって筐体の内圧が上昇する場合がある。筐体に排出された気体を筐体の外部に排出するように構成した電池パックとしては、例えば、特許文献1に記載の電池モジュールが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の電池モジュールは、ハウジングの内部に複数の二次電池(電池セル)が収容されている。二次電池には、設定された圧力で開放されうる排気部材が設置されている。ハウジングには、排気ホールが形成されている。排気ホールには、排気ホールを塞ぐようにバルブ部材が設けられている。二次電池の排気部材から気体が排出され、ハウジングの内圧が上昇すると、バルブ部材が開放されることでハウジングの内圧が開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−104471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池モジュールには、二次電池の電力を送電するハーネスが設けられる。電池モジュールに振動が加わると、このハーネスがハウジングと擦れてハーネスが破損するおそれがある。また、ハウジング内の換気性を向上させるために、ハウジングの内部に排出された気体を円滑に排出することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、ハーネスを保護することができ、かつ、筐体に排出された気体を円滑に排出することができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電池パックは、電極組立体が収容されたケースと該ケースの内圧をケース外に開放させる圧力開放弁を有する複数の電池セルを備えた電池モジュールと、前記電池セルに接続されたハーネスと、前記電池セル及び前記ハーネスが収容された筐体と、を備えた電池パックであって、前記筐体は、該筐体の内圧を筐体外に開放させる開放部を有し、前記ハーネスと前記筐体の内面との間には、緩衝材が設けられ、前記緩衝材は、前記筐体の内面に接合される基部と、前記基部から前記電池モジュールに向けて突出する突出部とを有し、前記ハーネスは、前記基部と対向する位置に設けられるとともに、前記突出部の先端面と対向する位置には設けられず、前記先端面と前記電池モジュールにおける前記先端面と対向する面とを結ぶ最短の仮想線の長さは、前記基部と前記ハーネスとを結ぶ最短の仮想線の長さよりも短いことを要旨とする。
【0008】
これによれば、電池パックに振動が加わり、ハーネスが筐体に接触しようとしても、ハーネスは緩衝材と接触する。このため、ハーネスが筐体と擦れにくく、ハーネスを保護することができる。また、緩衝材を筐体の内部に設けていることで、筐体の内部の空間が狭くなる。このため、電池セルから気体が排出されたときに、筐体の内圧が上昇しやすく、開放部が開放されやすい。したがって、筐体に排出された気体を円滑に排出することができる。また、電池モジュールが筐体の内面に向けて移動すると、緩衝材は、ハーネスよりも先に電池モジュールに接触する。具体的にいえば、基部がハーネスと接触するよりも先に、突出部が電池モジュールと接触する。ハーネスは、電池モジュールに比べて強度が低い。電池モジュールがハーネスよりも先に緩衝材に接触することで、衝撃が緩和されるため、ハーネスに加わる衝撃が小さく、ハーネスを保護することができる。
【0011】
上記電池パックについて、前記緩衝材は、前記筐体と一体化されていることが好ましい。
これによれば、緩衝材は、筐体と一体化されているため、振動や衝撃が加わっても、位置ずれしにくい。このため、緩衝材の位置ずれに伴いハーネスが筐体の内面に擦れることを抑制することができる。
【0012】
上記電池パックについて、前記筐体は、前記電池モジュールが固定される本体と、該本体に固定される固定部材とを有し、前記緩衝材は、前記固定部材と一体化されていることが好ましい。
【0013】
これによれば、本体及び固定部材に別々に電池モジュールと緩衝材を固定することができるため、緩衝材を固定部材に容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハーネスを保護することができ、かつ、筐体に排出された気体を円滑に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における電池パックを示す斜視図。
図2】実施形態における電池モジュールを示す斜視図。
図3】実施形態における電池モジュールを示す平面図。
図4】実施形態における電池セルを示す断面図。
図5】実施形態における電池パックを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電池パックの一実施形態について説明する。
図1に示すように、電池パック10は、四角箱状の筐体11と、筐体11の内部に収容された複数の電池モジュール21を有している。筐体11は、L字状をなす本体12に蓋部材13,14,15及び天板18を固定することで構成されている。具体的にいえば、本体12は、矩形平板状の底板16と、底板16の短手方向第1端部16aから立設する矩形平板状の立設部17を有している。そして、底板16の短手方向第2端部16bには蓋部材13が固定されるとともに、長手方向両端には蓋部材14,15が固定されている。筐体11は、立設部17及び蓋部材13,14,15によって囲まれる開口部を閉塞する天板18を有している。筐体11の内部には、積層された二つの電池モジュール21が二組設けられている。
【0017】
蓋部材15には、筐体11の内圧が閾値まで上昇したときに、筐体11の内圧を開放させる開放部19が設けられている。開放部19としては、破断式の弁が用いられている。「閾値」は、筐体11の内圧が高まったときに、筐体11の内圧によって筐体11が破損する前に開放部19が破断するような圧力に設定される。
【0018】
図2及び図3に示すように、電池モジュール21は、電池セル22が電池ホルダ25に保持された状態で並設されている。電池セル22は、隣り合う接続端子35をバスバー28で接続することで直列接続されている。電池モジュール21における電池セル22の並設方向両端には、エンドプレート23が設けられている。エンドプレート23には、ブラケット24が設けられている。電池モジュール21は、ブラケット24がボルトなどで立設部17に取り付けられることで立設部17に固定されている。
【0019】
図4に示すように、電池セル22は、ケース31を備え、このケース31には電極組立体32が収容されている。電極組立体32は正極と負極を備えている。ケース31は、電極組立体32を収容する有底箱状のケース本体33と、ケース本体33の開口部を閉塞する板状の蓋部34とから構成されている。蓋部34には、接続端子35(正極端子及び負極端子)が設けられている。蓋部34には、ケース31の内圧が閾値まで上昇したときに、破断して開放される圧力開放弁36が設けられている。「閾値」は、ケース31の内圧が高まったときに、ケース31の内圧によってケース31が破損する前に圧力開放弁36が破断するような圧力に設定される。接続端子35は、導電部材37を介して電極組立体32に電気的に接続されている。
【0020】
図2に示すように、電池モジュール21には、電池モジュール21の電力を伝送するためのハーネス41が設けられている。ハーネス41は、電池セル22の並設方向の両端の電池セル22の接続端子35に接続されている。各ハーネス41は、電池セル22の並設方向において、互いに離れる方向に突出するように設けられている。これにより、電池モジュール21からは、底板16の長手方向に対向する蓋部材14,15に向けてハーネス41が突出している。
【0021】
図1に示すように、立設部17には、二つの端子台51,52が固定されている。それぞれの端子台51,52には、同一極性のハーネス41が接続されている。これにより、各電池モジュール21は、並列接続されている。そして、各端子台51,52に設けられる図示しないパワー線は、負荷に接続される。
【0022】
図5に示すように、蓋部材14,15における電池モジュール21側の面には、それぞれ緩衝材61が接着剤やボルトなどで固定されており、蓋部材14,15と緩衝材61とは一体化されている。これにより、緩衝材61は、蓋部材14,15と電池モジュール21に設けられたハーネス41との間に位置している。すなわち、筐体11の内面とハーネス41との間には、緩衝材61が設けられている。蓋部材15に固定される緩衝材61は、開放部19と対向しない位置に設けられている。
【0023】
緩衝材61は、例えば、合成樹脂やゴム、発泡材などの弾性体によって形成されており、蓋部材14,15における電池モジュール21と対向する面14a,15a(筐体11の内面)に固定される矩形平板状の基部62と、基部62の蓋部材14,15に固定される面とは反対側の反対面62aから基部62の厚み方向(電池モジュール21に向かう方向)に突出する矩形平板状の突出部63とを有している。
【0024】
詳述すると、突出部63は、基部62の反対面62aにおける短手方向中央部分から基部62の厚み方向に突出部63の先端面63aが電池モジュール21と対向するように突出するとともに基部62の反対面62aの長手方向に亘って延びている。したがって、突出部63の短手方向の寸法は、基部62の短手方向の寸法よりも短くなっている。また、突出部63の長手方向の寸法と基部62の長手方向の寸法は同一となっている。
【0025】
上記のように形成された緩衝材61は、基部62の長手方向及び突出部63の長手方向が電池モジュール21の積層方向と一致し、基部62の短手方向及び突出部63の短手方向が電池セル22における接続端子35(正極及び負極)の並設方向と一致するように蓋部材14,15に固定されている。
【0026】
また、緩衝材61は、基部62の反対面62aとハーネス41とが対向し、エンドプレート23(電池モジュール22)と突出部63の先端面63aとが対向するように蓋部材14,15に固定されている。また、緩衝材61は、突出部63の先端面63aとハーネス41が対向しないように蓋部材14,15に固定されている。基部62の反対面62aとハーネス41は近接して配置されている。なお、緩衝材61は、突出部63の先端面63aと電池モジュール21における先端面63aと対向する面(エンドプレート23)とを結ぶ最短の仮想線L1の長さ(先端面63aとエンドプレート23間の距離)が、基部62の反対面62aとハーネス41の外周面とを結ぶ最短の仮想線L2の長さ(反対面62aとハーネス41の外周面間の距離)よりも短くなるように固定されている。
【0027】
緩衝材61の寸法は、基部62の長手方向の寸法及び突出部63の長手方向の寸法が、2個の電池モジュール21を積層したときの電池モジュール21の高さ(積層方向の寸法)程度であり、突出部63の短手方向の寸法が、電池セル22における接続端子35(正極及び負極)間の寸法よりも若干短くなっている。
【0028】
上記した電池パック10は、まず、ブラケット24によって立設部17に電池モジュール21が固定された後に、蓋部材13及び緩衝材61が固定された蓋部材14,15を本体12に固定することで製造される。したがって、蓋部材14,15が固定部材となる。
【0029】
次に、本実施形態の電池パック10の作用について説明する。
電池パック10に振動や衝撃が加わると、ハーネス41が振動や衝撃によって筐体11の内面に向けて移動する場合がある。ハーネス41が筐体11の内面に接触すると、ハーネス41の外表面が擦れて、ハーネス41の破損を招くおそれがあるが、緩衝材61を設けているため、ハーネス41が筐体11の内面に接触しにくい。特に、本実施形態では、ハーネス41が、電池モジュール21から蓋部材14,15に向けて突出しているため、ハーネス41が筐体11の内面に接触しやすいが、緩衝材61によってハーネス41が保護されている。
【0030】
衝撃や振動などによって、緩衝材61に位置ずれが生じると、緩衝材61が予め定められた位置から離間し、ハーネス41が筐体11の内面に接触するおそれがあるが、蓋部材14,15に緩衝材61を一体化しているため、緩衝材61の位置ずれが抑制されている。
【0031】
また、外部からの衝撃によって、電池モジュール21が蓋部材14,15に向けて移動する場合がある。特に、衝撃に伴って筐体11が変形したり、電池モジュール21が脱落すると、電池モジュール21と筐体11によってハーネス41が挟まれ、ハーネス41が断線するおそれがある。本実施形態では、蓋部材14,15に緩衝材61を設けているため、電池モジュール21が蓋部材14,15に向けて移動し、電池モジュール21と緩衝材61によってハーネス41が挟まれても、ハーネス41が断線しにくく、短絡が抑制される。
【0032】
電池モジュール21が蓋部材14,15に向けて移動すると、電池モジュール21がハーネス41よりも先に緩衝材61に接触する。具体的にいえば、基部62にハーネス41が接触するよりも先に突出部63に電池モジュール21が接触する。電池モジュール21が緩衝材61に接触すると、電池モジュール21と緩衝材61の接触によって衝撃が緩和されるため、ハーネス41に加わる衝撃が小さくなる。
【0033】
ところで、電池パック10の筐体11に開放部19が設けられている場合、筐体11の内圧が上昇すると、開放部19が破断して、筐体11の内圧が開放される。筐体11の内圧は、電池セル22の圧力開放弁36から排出される気体によって上昇する。このとき、筐体11内の空間が多いと、筐体11の内圧が上昇しにくい。結果として、電池セル22に異常が生じて、電池セル22から気体が排出されても、開放部19が破断しにくく、筐体11内のガス換気性が悪化するおそれがある。本実施形態では、緩衝材61を設けることで、筐体11の内部の空間が、緩衝材61の分だけ少なくなっている。このため、電池セル22から気体が排出されると、筐体11の内圧が上昇しやすく、開放部19が破断しやすい。
【0034】
また、電池モジュール21同士を互いに近づけ、筐体11をその分だけ小さくしたり、電池モジュール21を筐体11の内面にできるだけ近接させることで筐体11内の空間を小さくすることも考えられる。しかしながら、ブラケット24を立設部17に取り付けるために、電池モジュール21と筐体11の内面との間には取付作業を行うための空間を確保する必要があり、電池モジュール21同士を近付けすぎると、ハーネス41同士が接触して、短絡の原因となるおそれがある。これらの空間に緩衝材61を設けることで、筐体11内の空間を小さくしつつ、ハーネス41の保護を図ることができる。
【0035】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)緩衝材61を筐体11の内部に設けているため、筐体11内の空間が少なくなり、筐体11の内圧が上昇しやすい。電池セル22に異常が生じて、気体が排出されたときには、開放部19が開放されやすい。したがって、筐体11に排出された気体を円滑に排出することができ、筐体11内の換気性が向上される。
【0036】
(2)緩衝材61は、蓋部材14,15とハーネス41との間に設けられているため、ハーネス41が筐体11の内面に擦れにくく、ハーネス41が保護されている。
(3)緩衝材61を、筐体11の内部の空間を少なくする充填材として兼用している。このため、緩衝材61を使って開放部19を開放しやすくすることができる。
【0037】
(4)緩衝材61は、筐体11と一体化されているため、位置ずれが生じにくく、緩衝材61の位置ずれに伴ってハーネス41が筐体11の内面に擦れることを抑制することができる。
【0038】
(5)緩衝材61は、突出部63の先端面63aと電池モジュール21における先端面63aと対向する面とを結ぶ最短の仮想線L1の長さが基部62とハーネス41とを結ぶ最短の仮想線L2の長さよりも短くなるように固定されている。このため、電池モジュール21が緩衝材61に向けて移動したときに、ハーネス41よりも先に電池モジュール21のエンドプレート23と緩衝材61が接触する。電池モジュール21が緩衝材61と接触することで、ハーネス41に加わる衝撃が緩和され、ハーネス41の保護を図ることができる。
【0039】
(6)緩衝材61は、蓋部材14,15に設けられている。本体12と蓋部材14,15に別々に電池モジュール21と緩衝材61を固定することができるため、蓋部材14,15に緩衝材61を取り付けやすい。
【0040】
(7)また、本体12に電池モジュール21を固定した後に、緩衝材61が一体化された蓋部材14,15を本体12に固定することで、緩衝材61の取り付け性が向上される。
【0041】
(8)蓋部材15に設けられた緩衝材61は、開放部19と対向しない位置に設けられているため、緩衝材61によって開放部19が閉塞されることが抑制される。
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
【0042】
○ 緩衝材61は、突出部63を有していなくてもよい。この場合、緩衝材61の寸法(基部62の短手方向の寸法)を、電池セル22の接続端子35間の寸法よりも短くすることで、緩衝材61とハーネス41が接触することを抑制することができる。すなわち、緩衝材61は、ハーネス41と対向していなくてもよい。
【0043】
○ 緩衝材61は、蓋部材14,15以外に設けられていてもよい。例えば、電池モジュール21が立設部17に固定されない場合には、立設部17に緩衝材61を設けてもよい。また、筐体として、蓋部材を有さない筐体を用いてもよい。
【0044】
○ 開放部19は、弁以外であってもよい。例えば、蓋部材をボルトで固定している場合には、複数のボルトのうち、特定の隣り合う二つのボルトの離間距離を他のボルトの離間距離よりも長くすることで、特定の隣り合う二つのボルトに挟まれる部分(開放部)が変形しやすくなる。そして、筐体11の内圧が上昇すると、蓋部材における特定の隣り合う二つのボルトの間の部分が変形し、隙間が形成される。この隙間から気体が筐体11の外部に排出されることで、筐体11の内圧が開放される。
【0045】
○ 開放部19は、蓋部材15以外に設けられていてもよく、例えば、蓋部材14や立設部17に設けられていてもよい。
○ 立設部17の厚み方向に対向する蓋部材13と、ハーネス41との間にも緩衝材61を設けてもよい。
【0046】
○ 緩衝材61は、蓋部材14,15に固定されていなくてもよい。すなわち、蓋部材14,15と一体となっていなくてもよい。
○ 電池セル22は並列接続されていてもよいし、電池モジュール21は直列接続されていてもよい。
【0047】
○ 筐体11の形状は、どのような形状でもよい。
○ ハーネス41は、電池モジュール21から互いに離れる方向に延びていなくてもよく、互いに近付く方向に延びていてもよい。この場合でも、電池パック10に振動が加わったときに、ハーネス41が移動しても緩衝材61によってハーネス41が保護される。
【0048】
○ 固定部材は、蓋部材14,15以外でもよい。例えば、本体12と別体の固定部材を本体12に固定したあとに溶接などで本体12と一体化してもよい。
○ 緩衝材61と開放部19とは、対向していてもよい。この場合、緩衝材61における開放部19と対向する部分に、凹部など、開放部19と筐体11内とを連通させる連通路を設ける。すなわち、緩衝材61によって開放部19が閉塞されていない状態であればよい。
【符号の説明】
【0049】
10…電池パック、11…筐体、19…開放部、22…電池セル、31…ケース、32…電極組立体、36…圧力開放弁、41…ハーネス、61…緩衝材。
図1
図2
図3
図4
図5