(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外周面に空気吸込口と上面に空気吹出口とを有し、上記空気吸込口と空気吹出口とを結ぶ空気通路内に空気清浄手段と送風ファンとが収納されている筐体を備え、上記送風ファンの運転により上記空気吸込口から上記筐体内に吸い込まれた空気を上記空気清浄手段にて清浄して上記空気吹出口から上記筐体外に吹き出す空気調和装置において、
上記筐体には、円筒型に形成された下部筐体と、上記下部筐体の上部に配置され、上記下部筐体の軸線と直交する横断面の前後左右の幅が上記下部筐体の直径よりも大きく形成された上部筐体とが含まれており、上記上部筐体は、その外周面に少なくとも一つの平坦面を備え、
上記筐体とは別に、上記空気吹出口を塞ぎ得る大きさを有する第1平板部と、上記下部筐体が挿通可能な挿通孔を有する第2平板部とを、それらの各一端側を連結部で連結してなるL字状をなすアタッチメント板をさらに備え、上記上部筐体の上記平坦面側には、上記第1平板部と上記第2平板部のいずれか一方を選択的に上記平坦面と平行に摺動可能に保持するガイド部が設けられていることを特徴とする空気調和装置。
上記連結部で上記第1平板部側には突起が形成され、上記筐体を横置きする際には、上記第2平板部の上記挿通孔内に上記下部筐体が挿通された状態で、上記第1平板部が上記ガイド部に摺動可能に保持され、上記第1平板部の一部分が上記ガイド部から上記下部筐体の底面側に向けて引き出され、上記突起が上記第1平板部を上記被設置面と平行に保つことにより、上記アタッチメント板が上記横置き状態のスタンド脚として用いられることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
上記平坦面を上記被設置面に対して垂直として上記筐体を縦置きする際には、上記第1平板部が上記空気吹出口と対向するように、上記第2平板部が上記ガイド部に摺動可能に保持され、当該空気調和装置の不使用時には、上記第1平板部が上記空気吹出口を塞ぐ蓋板として用いられ、当該空気調和装置の運転時には、上記第1平板部が上記空気吹出口から所定距離持ち上げられて風向板として用いられることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
上記第1および第2平板部と上記ガイド部との間には、上記各平板部を所定の摺動位置に保持する係合手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
上記係合手段が、上記第1と第2平板部もしくは上記ガイド部のいずれか一方に形成された凹凸を含む波形面と、いずれか他方において上記波形面に含まれている凹部に係合するように形成された凸部との組合せからなることを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の一実施形態に係る空気調和装置について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
図1および
図2に示すように、この空気調和装置1は、底面12を有する円筒型に形成された下部筐体10と、下部筐体10の上部に配置された上部筐体20とを有する筐体1Aを備え、筐体1Aにはアタッチメント板30が別体として付属している。この実施形態において、下部筐体10および上部筐体20は、合成樹脂の成形品によって一体成形されてよい。
【0016】
下部筐体10は、下端から上端に至るまでほぼ同一径の円筒型であって、その底面12は、空気調和装置1を縦置きすることができるように平坦面に形成されている。下部筐体10は、下端から上端に至るまで同一径であるが、これに限らず少なくとも一般的な自動車用カップホルダーに搭載可能な筒状であればよい。
【0017】
下部筐体10の外周面には、空気吸込口11が設けられている。空気吸込口11は下部筐体10の外周面に沿って環状に形成されたスリット孔からなり、空気吸込口11から筐体1Aの内部に空気が吸い込まれるようになっている。
【0018】
上部筐体20は、下部筐体10の軸線Lと直交する横断面の前後左右の幅が下部筐体10の直径よりも大きく形成され、この例では、四角柱状に形成されている。この実施形態において、下部筐体10と上部筐体20とは、下部筐体10の軸線Lを中心に同軸的に配置されている。
【0019】
この実施形態において、上部筐体20は四角柱状に形成されているが、外周面に少なくとも1つの平坦面21を備えていればよく、平坦面21を有していれば例えば三角形状や多角形状であってもよい。さらには、円柱の一部を平坦面に切り欠いたいわゆるDカット形状であってもよく、平坦面21に沿って空気調和装置1を横置きすることができれば上部筐体20の形状は任意に選択されて良い。
【0020】
上部筐体20の外周面のうち、平坦面21を除く外周面には、空気吸込口22が設けられている。空気吸込口22は、外周面に沿って形成されたスリット孔である。
【0021】
上部筐体20の上面20aには、後述する空気清浄手段50によって清浄化された空気を吹き出す空気吹出口23が設けられている。この実施形態において、空気吹出口23は、上部筐体20の上面20aに沿って環状に開口された格子桟である。
【0022】
上部筐体20の平坦面21は、上部筐体20の背面20b側(
図2(b)では右側面)に配置されている。上部筐体20の平坦面21側には、後述するアタッチメント板30を保持するガイド部24が設けられている。
【0023】
ここで、本実施形態において「縦置き」とは、被設置面F(
図8参照)に対して底面12が設置面となるように設置する態様をいい、「横置き」とは、被設置面Fに対して平坦面21が設置面となるように設置する態様をいう。
【0024】
図1および
図2(c)と
図2(d)に示すように、ガイド部24は、上面視で上部筐体20の背面20bと、左右両端(
図2(c)(d)では左右方向)から平坦面21側に突き出したL字形状の側壁20cとの内側に形成される。ガイド部24の左右端でL字状の側壁20cの内側に形成される隙間がカイド溝24aとなり、左右のカイド溝24aの間にアタッチメント板30が挿通され、摺動可能に保持されるようになっている。
ガイド溝24aは、上部筐体20の上面20aから底面20dまで貫通している。
【0025】
第1平板部31および第2平板部32とガイド部24との間には、第1平板部31または第2平板部32を所定の摺動位置に保持する係合手段が設けられている。係合手段は、ガイド部24のガイド溝24aの内周面、またはアタッチメント板30の側面のいずれか一方に形成された凹凸を含む波形面と、いずれか他方において波形面に含まれている凹部に係合するように形成された凸部との組合せからなる。
具体的には
図4に示すように、ガイド溝24aの底部24a1に形成された係合凸部241と、アタッチメント板30の側面に形成された凹凸を含む波形面34の凹部の組み合わせである。
【0026】
係合凸部241は、ガイド溝24aの底部24a1からガイド部24内に向かって突設された半円状の凸部であって、軸線L方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。これによれば、アタッチメント板30の波形面34の凹部と係合凸部241とが係合することで、アタッチメント板30の引出量をアタッチメント板30の波形面34の凹部のピッチで細かく調節することができる。
【0027】
図3に示すように、アタッチメント板30は、扁平な矩形状の板片からなる第1平板部31と、第1平板部31に対して直交する第2平板部32とを有し、それらの各一端側が連結部36でL字状に一体的に連結されている。この実施形態において、アタッチメント板30は合成樹脂の成形品である。
【0028】
第1平板部31は、長さがガイド溝24aのスライド方向の溝長さとほぼ同一で、幅がガイド部24の幅とほぼ同一の矩形状に形成されているとともに、第1平板部31は、上部筐体20の上端面の空気吹出口23を塞ぐ風向板として用いるため、その面積が空気吹出口23の開口面積と同一かそれよりも大きく形成されている。
【0029】
第2平板部32は、第1平板部31とほぼ同じ大きさを有する板体であり、その中央には、少なくとも下部筐体10が挿通可能な大きさを有する挿通孔33が設けられている。挿通孔33は、第1平板部31をガイド溝24aに沿って差し込んだ際に、下部筐体10と同軸となる位置に設けられている。
【0030】
アタッチメント板30の側面は、上述したガイド溝24の係合凸部241に係合するように凹凸を有する波形面34に形成されている。波形面34は、係合凸部241に係合可能であれば、波形の形状やピッチは任意に変更されて良い。
【0031】
第1平板部31と第2平板部32との連結部36には、筐体1Aを横置きに設置した際、第1平板部31と平坦面21とが被設置面F(
図8参照)と平行となるように作用する突起35が設けられている。突起35は、付け根部から第2平板部31の延在方向に沿って第1平板部31側に突設されている。
【0032】
次に、
図5を参照して、空気調和装置1の内部について説明する。空気調和装置1の内部には、空気吸込口11,22から筐体1A内に吸い込まれた空気を、上部の空気吹出口23へと導くケーシング40が設けられており、ケーシング40内に空気清浄手段50が設けられている。
【0033】
この実施形態において、ケーシング40は円筒状を呈し、ケーシング40の外周面の一部には、空気吸込口11,22から筐体1A内に吸い込まれた空気を内部に取り込む吸込口401が設けられている。
【0034】
ケーシング40の下部には、電源コード41が引き込まれるようになっている。電源コード41は、先端に電源プラグ41aを有し、他端が図示しない電源供給手段に接続されている。この実施形態において、電源供給手段は、商用電源から給電されたACアダプターなどが一般的であるが、例えばシガーソケットやコンピュータのUSBポートなどからの給電であってもよい。
【0035】
空気清浄手段50は、フィルタユニット51と、オゾナイザユニット52と、ファンユニット53と、基板ユニット54と、表示/操作基板55と、塵埃フィルタ56とを備えている。
【0036】
フィルタユニット51は、脱臭フィルタである触媒フィルタ51aと、ヒータ51bと、フィルタホルダ51cとを備えている。触媒フィルタ51aは、例えば、蜂の巣(ハニカム)構造を取り入れることで通気性を持たせた円板形状のハニアカムコアボードを心材とし、その表面に金属触媒を所定の厚さで設けたものであり、空気に含まれる臭気成分を吸着して分解する。
【0037】
ヒータ51bは、例えば、PTCヒータであり、触媒フィルタ51aを加熱して吸着した臭気成分の分解を促進する。フィルタホルダ51cは、合成樹脂材で触媒フィルタに応じた略円筒形状に形成されており、触媒フィルタ51aやヒータ51bを保持する。フィルタホルダ51cは、ケーシング40に固定される。
【0038】
オゾナイザユニット52は、オゾナイザ52aと、拡散板52bと、給電コード52cとで構成されている。オゾナイザ52aは、例えば、高電圧電極と誘電電極とを有する沿面放電方式のものであり、電極間における放電によりケーシング40を流れる空気にエネルギーを付与することで活性化させ、解離または励起された酸素の一部をオゾンに変化させることによってオゾンを生成する。
【0039】
拡散板52bは、合成樹脂材で形成されており、オゾナイザ52aを保持する。拡散板52bは、ケーシング40に固定される。給電コード52cは、一端がオゾナイザ52aに接続され、他端が後述する第2電源基板54bに接続される。給電コード52cは、第2電源基板54bから供給される電力をオゾナイザ52aに導く。
【0040】
ファンユニット53は、ファン53aと、ファンホルダ53bと、ファンモータ53cとで構成されている。ファン53aは、合成樹脂材で形成された軸流ファンであり、内部にファンモータ53cを備えている。ファンホルダ53bは、合成樹脂材で形成されており、ファン53aを保持する。ファンホルダ53bは、ケーシング40に固定される。
【0041】
基板ユニット54は、第1電源基板54aと、第2電源基板54bと、基板ホルダ54cとで構成されている。第1電源基板54aは、電源コード41の電源プラグ41aが接続される基板側コネクタ54dを有し、電源コード41を介して外部から電力が供給される。
【0042】
また、第1電源基板54aは、第2電源基板54b、ファンモータ53c、ヒータ51b、および、後述する表示/操作基板55に電力を供給する。第2電源基板54bは、第1電源基板54aから供給される電力を受け、給電コード52cを介してオゾナイザ52aに給電する。
【0043】
基板ホルダ54cは、合成樹脂材で形成されており、第1電源基板54aや第2電源基板54bを保持する。基板ホルダ54cは、ケーシング40に固定される。また、基板ホルダ54cは、空気取入口11,22および空気吹出口23から筐体1Aの内部に浸入する水が第1電源基板54aや第2電源基板54bにかかることを防ぐ役目を果たす。
【0044】
表示/操作基板55は、上部筐体20の上面中央に空気吹出口23に囲まれるように配置されている。表示/操作基板55には、パイロットランプ55a(発光ダイオード)やスイッチ55b等が適宜配置されている。
【0045】
集塵フィルタ56は、ケーシングの吸込口401の外周に沿って配置された環状のフィルタであり、この例では合成繊維不織布を用いたフィルタが用いられている。集塵フィルタ56の種類については、仕様に応じて任意に選択されてよい。
【0046】
以上説明した構成を有する空気調和装置1で、使用者がスイッチ55bを操作して空気調和装置1の運転を開始すると、第1電源基板54aからファンユニット53に電力が供給されて、ファン53aが回転を開始する。また、第2電源基板54bからオゾナイザユニット52に電力が供給されて、オゾナイザ52aがオゾンの生成を開始する。
【0047】
ファン53aが回転を開始すると、空気吸込口11,22から取り込まれた空気は、吸込口401で合流して塵埃フィルタ56で塵や埃を取り除き、ケーシング40の内部に導かれる。
【0048】
ケーシング40内に流入した空気は、ファン53aに向かって流れる途中でオゾナイザ52aが生成したオゾンにより脱臭されて、フィルタユニット51を通過し、触媒フィルタ51aの働きにより脱臭される。フィルタユニット51を通過した空気は、ファンユニット23へと流れ、空気吹出口23から外に放出される
【0049】
以上の実施例では、空気清浄手段50としてフィルタユニット51を用いた脱臭ユニットとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、空気清浄フィルタ、イオン発生ユニット、加湿フィルタ等でもあってもよい。
【0050】
次に、本発明の空気調和装置1の標準的な使用形態について、
図6を用いて説明する。まず、空気調和装置1にアタッチメント板30を取り付ける。アタッチメント板30の第2平板部の挿通孔33内に下部筐体10が挿通された状態で、第1平板部31を上部筐体20のガイド部24の下端から挿入すると第1平板部31がガイド部24に摺動可能に保持される。そして上部筐体20の底面20dに第2平板部32が当接する位置まで差し込む。これにより、アタッチメント板30が筐体1Aから突出することなく取り付けられる。この状態を標準状態とする。
【0051】
この標準状態において、空気調和装置1の下部筐体10を一般的なカップホルダーHに差し込むことにより、下部筐体10の底面12がカップホルダーHの底面(被設置面F)に置かれる。また、カップホルダーH以外にも机の上などの平坦な面に対して下部筐体10の底面12を設置することで、縦置きに設置することができる。
【0052】
図7,8に示すように、空気調和装置1を横置きで設置するに当たっては、標準状態で収納されているアタッチメント板30を下部筐体10の底面12側に向けて引き出し出す。その際、アタッチメント板30は、波形面34に沿って係止凸部241とが凹部に交互に係合することにより、クリック感を伴って引き出される。
【0053】
アタッチメント板30を適度な位置まで引き出したのち、平坦面21を下にして被設置面Fに設置する。その際、アタッチメント板30の突起35の先端部35aと平坦面21とが同一面となることで、空気調和装置1を水平状態で横置き設置することができる。
【0054】
その際、空気調和装置1を横置きに設置した状態であっても、各空気吸込口11,22は被設置面Fによって隠されることが無いため、吸気効率が低下することもない。これによれば、引き出されたアタッチメント板30を横置き設置用のスタンドとして用いることができる。
【0055】
上述した標準状態において、アタッチメント板30は、上部筐体20の底面20dからガイド部24に沿って差し込まれているが、アタッチメント板30は、反対側の上部筐体20の上面20aからガイド部24に差し込むことができる。
【0056】
すなわち、
図9に示すように、アタッチメント板30は、第2平板部32が空気調和装置1の上部筐体20の上面20aからガイド部24のガイド溝24に沿って差し込むことができ、摺動可能に保持される。第2平板部32を奥まで差し込むと、第1平板部31が空気吹出口23を塞ぐように取り付けられる。
【0057】
これによれば、空気調和装置1の不使用時には、第1平板部31が空気吹出口23を塞ぐ蓋板として用いられるため、筐体1Aの内部に埃が入らず清潔に保つことができる。また、運転時には、
図10に示すように、第1平板部31を所定距離上に持ち上げることにより、第1平板部31は空気吹出口23から吹き出された空気を水平方向に拡散させる風向板としても機能する。
【0058】
すなわち、空気吹出口23から吹き出された空気が第1平板部31に当たり、その板面に沿って水平方向に室内に拡散される。その際、空気吹出口23と第1平板部31との距離を短くすると前方に風向範囲が狭く吹出スピードが早い風を吹き出すことができる。逆に、距離を長くすると前方に風向範囲が広く吹出スピードがやや遅い風を吹き出すことができる。
【0059】
以上説明したように、有底な円筒型に形成された下部筐体と、下部筐体の上部に配置され、外周面の少なくとも1辺に平坦面を含む上部筐体とからなる筐体と、下部筐体が挿通可能な挿通孔を有する第1平板部と、空気吹出口を塞ぎ得る大きさを有する第2平板部とからなるL字状をなすアタッチメント板をさらに備えることで、カップホルダーなどへの縦置き設置ばかりでなく、アタッチメント板30をスタンド脚として平坦面を下にして横置きすることができる。
【0060】
また、アタッチメント板30の取り付け位置を逆にすることで、アタッチメント板30を不使用時に空気吹出口を塞ぐとともに、使用時には吹出方向を変える風向板としての役割も果たすことができる。また、アタッチメント板30は標準状態では筐体1Aから突出することなく取り付けられることにより、使用状況に合わせてアタッチメント板30を引き出したり仕舞うことができ、使用中の管理も簡単である。