(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103258
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】新規コーティングシステム
(51)【国際特許分類】
A61K 47/12 20060101AFI20170316BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20170316BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20170316BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20170316BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20170316BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20170316BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20170316BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/215 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20170316BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20170316BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20170316BHJP
A61K 31/59 20060101ALI20170316BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20170316BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20170316BHJP
A23L 33/155 20160101ALI20170316BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20170316BHJP
A23K 20/174 20160101ALI20170316BHJP
A23K 40/30 20160101ALI20170316BHJP
【FI】
A61K47/12
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/14
A61K31/07
A61K31/215
A61K31/355
A61P3/02
A61P3/02 102
A61P3/02 109
A61K31/202
A61K9/28
A61K31/015
A61K31/122
A61K31/59
A23L5/00 F
A23L33/15
A23L33/155
A23K20/158
A23K20/174
A23K40/30
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-535067(P2014-535067)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2014-534959(P2014-534959A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2012070119
(87)【国際公開番号】WO2013053793
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年8月14日
(31)【優先権主張番号】11185187.9
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ディグエ, シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ロイエンベルガー, ブルーノ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ラボルフィ, ファビエン
(72)【発明者】
【氏名】ヘマティ, メルディジ
【審査官】
鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−508321(JP,A)
【文献】
特開平07−109219(JP,A)
【文献】
特表2003−516926(JP,A)
【文献】
特開昭64−002554(JP,A)
【文献】
特開平02−200639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/12
A23K 20/158
A23K 20/174
A23K 40/30
A23L 5/00
A23L 33/15
A23L 33/155
A61K 9/28
A61K 31/015
A61K 31/07
A61K 31/122
A61K 31/202
A61K 31/215
A61K 31/355
A61K 31/59
A61K 47/10
A61K 47/14
A61K 47/22
A61K 47/26
A61K 47/34
A61K 47/36
A61K 47/38
A61P 3/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの脂質化合物、および
(ii)乳化特性を有する少なくとも1つのガム、および
(iii)少なくとも1つの皮膜形成化合物
を含んでなり、前記脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステム。
【請求項2】
前記脂質化合物の質量中央径が0.8μm未満である、請求項1に記載のコーティングシステム。
【請求項3】
前記脂質化合物が、飽和脂肪酸ならびにそれらの塩である、請求項1〜2のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項4】
前記乳化特性を有するガムが、アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項5】
前記皮膜形成化合物が、親水コロイド、好ましくはアルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、イナゴマメ(caroube)ガム、キサンタンガム、デンプン、改質デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項6】
前記コーティングシステムが少なくとも1つの可塑剤を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項7】
前記コーティングシステムの総重量を基準にして、10〜50重量%、好ましくは、20〜40重量%の少なくとも1つの脂質化合物を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項8】
前記コーティングシステムの総重量を基準にして、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の乳化特性を有する少なくとも1つのガムを含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項9】
前記コーティングシステムの総重量を基準にして、40〜80重量%、好ましくは45〜70重量%の少なくとも1つの皮膜形成化合物を含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項10】
前記コーティングシステムの総重量を基準にして、糖類(スクロースなど)、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、モノ−およびジグリセリド、アセチル化モノ−グリセリド、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、5〜20重量%の少なくとも1つの可塑剤を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項11】
前記コーティングシステムの総重量を基準にして、染料、抗酸化剤、増量剤、pH緩衝液、および味覚マスキング物質からなる群から選択される、5重量%までの少なくとも1つのさらなる成分を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のコーティングシステム。
【請求項12】
(a)少なくとも1つの脂溶性化合物を含んでなるコア、および
(b)請求項1〜11のいずれか一項に記載のコーティングシステム
を含んでなる組成物。
【請求項13】
前記脂溶性化合物が、ビタミンA、ビタミンA酢酸エステル、ビタミンAパルミチン酸エステル、ビタミンE、ビタミンE酢酸エステル、フィトメナジオン、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、PUFA、およびカロテノイドからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
(a)前記組成物総重量を基準にして50〜95重量%のコア、および
(b)前記組成物総重量を基準にして5〜50重量%の請求項1〜11のいずれか一項に記載のコーティングシステム
を含んでなる、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
食品、飼料、健康補助食品および/または医薬品の製造における、請求項12〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組成物を含んでなる、食品、飼料製品、健康補助食品および/または医薬品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本特許出願は、コーティングが、少なくとも1つの脂質化合物と、乳化特性を有する少なくとも1つのガムと、少なくとも1つの皮膜形成化合物とを含んでなり、脂質化合物が1μm未満の質量中央径(MMD)を有することを特徴とする、新規コーティングシステムに関する。さらにそれは、このようなコーティングシステムでコーティングされた組成物と、食品、飼料、健康補助食品および/または医薬品製剤の製造におけるこのような組成物の使用とに関する。
【0002】
本発明の目的は、このようなコーティングシステムで被覆された活性成分の特性を改善する、コーティングシステムを発見することである。
【0003】
驚くことに、
(i)少なくとも1つの脂質化合物、および
(ii)乳化特性を有する少なくとも1つのガム、および
(iii)少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムを使用して、被覆組成物が得られることが分かった。
【0004】
本発明によるコーティングシステムで被覆された組成物は、
(a)貯蔵安定性;
(b)感覚性(香りおよび匂い);(これは味に癖のある活性成分を使用する場合に重要である);
(c)活性成分の放出制御
が改善されている。
【0005】
したがって本発明は、
(i)少なくとも1つの脂質化合物、および
(ii)乳化特性を有する少なくとも1つのガム、および
(iii)少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムに関する。
【0006】
質量中央径または「MMD」は、平均粒度分布の測定値である。結果は、50%の総通過流における総体積分布の直径として表される。本特許出願に示される質量中央径(MMD)は、Malvern Mastersizer 2000を使用して測定される。平均径(MD)は、Coulter N4 Plusを使用して測定される。本許出願に示される全ての粒度は、平均粒度と言うべきである。粒子の単分散度は、本発明の必須の基準ではない。
【0007】
本発明による組成物のコーティングで使用される脂質化合物のMMDは、1μm未満である。好ましくは、MMDは0.95μm未満、より好ましくは0.8μm未満である。
【0008】
好ましくは本特許出願の全組成物について、最も好ましくはステアリン酸である脂質化合物のd50(超音波を用いてMalvern Mastersizer 200によって測定される)は、(懸濁液中で)0.10〜0.30μmである。
【0009】
本発明による好ましい脂質化合物は、飽和脂肪酸ならびにそれらの塩、より望ましくはステアリン酸またはパルミチン酸ならびにそれらの塩である。単一脂質化合物ならびに2つ以上の脂質化合物混和材料を使用し得ることが、明らかである。
【0010】
コーティングシステムは、乳化特性を有する少なくとも1つのガムを含んでなる。乳化特性は、水中油型エマルジョンを生成できるようにする。本発明の文脈で、ガムは、特定の植物および樹木によって排出される粘質物であり、空気に曝されると硬化して、水溶性で非結晶性の脆い固体または粘質塊に乾燥する。
【0011】
本発明による適切なガムは、アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムである。これらのガムはまた、好ましいガムでもある。
【0012】
より望ましいのは、アカシアガムである。
【0013】
したがって本発明は、
(i)少なくとも1つの脂質化合物、および
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、少なくとも1つのガム、および
(iii)少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムに関する。
【0014】
本発明による好ましい皮膜形成化合物は、親水コロイドである。親水コロイドは、多糖類またはタンパク質のいずれかであり得る。多糖類という用語は、乳化特性を有するガムを除くガム(アルギン酸塩、ペクチン、グアー、イナゴマメ(caroube)、キサンタン)と、デンプンおよび改質デンプンと、カルボキシメチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロースおよびセルロース誘導体とを含む。単一皮膜形成化合物、ならびに2つ以上の皮膜形成化合物の混合物を使用し得ることが明らかである。
【0015】
本発明による好ましい乳化剤は、スクロースエステル、パルミチン酸アスコルビル、ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル(商品名Tweenの下に入手できる)である。単一乳化剤、ならびに2つ以上の乳化剤の混合物を使用し得ることが明らかである。
【0016】
したがって本発明の好ましい実施形態は、
(i)ステアリン酸またはパルミチン酸からなる群から選択される、少なくとも1つの脂質化合物、ならびにそれらの塩、および
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、少なくとも1つのガム、および
(iii)アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、イナゴマメ(caroube)ガム、キサンタン、デンプン、改質デンプン、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)、スクロースエステル、パルミチン酸アスコルビル、およびポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルからなる群から選択される、少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムに関する。
【0017】
任意選択的に、本発明によるコーティングシステムはまた、少なくとも1つの可塑剤をを含んでなる。
【0018】
本発明による好ましい可塑剤は、スクロースのような糖類または糖誘導体(マンニトール、ソルビトール)、グリセロール、モノ−およびジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールである。好ましくはPEGは200〜6000の分子量を有する。単一可塑剤、ならびに2つ以上の可塑剤の混合物を使用し得ることが明らかである。
【0019】
したがって本発明はまた、
(i)ステアリン酸またはパルミチン酸からなる群から選択される、少なくとも1つの脂質化合物、ならびにそれらの塩、および
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、少なくとも1つのガム、および
(iii)アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、イナゴマメ(caroube)ガム、キサンタン、デンプン、改質デンプン、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)、スクロースエステル、パルミチン酸アスコルビル、およびポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルからなる群から選択される、少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤、および
(iv)糖類(スクロースのような)、誘導体(マンニトール、ソルビトール)、グリセロール、モノ−およびジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、少なくとも1つの可塑剤
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムにも関する。
【0020】
コーティングシステムは、任意選択的にさらなる構成要素を含んでなり得る。これらの構成要素は、コーティングの製造、被覆組成物の製造、食品、飼料、健康補助食品または医薬品の製造に有用たり得て、またはそれは、その他の理由で添加し得る。このような構成要素は、例えば染料、抗酸化剤、増量剤、pH緩衝液、味覚マスキング物質などであり得る。存在する場合、このような成分は、コーティングシステムの総重量を基準にして、5重量パーセント(重量%)(好ましくは0.5〜5重量%)までの量で使用される。
【0021】
本発明によるコーティングシステムは、コーティングシステムの総重量を基準にして、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の少なくとも1つの脂質化合物を好ましくは含んでなる。
【0022】
本発明によるコーティングシステムは、コーティングシステムの総重量を基準にして、5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の乳化特性を有する少なくとも1つのガムを好ましくは含んでなる。
【0023】
本発明によるコーティングシステムは、コーティングシステムの総重量を基準にして、40〜80重量%、好ましくは45〜70重量%の少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤を好ましくは含んでなる。
【0024】
コーティングシステムの前述の百分率の合計が、常に100になることは明らかである。
【0025】
したがって本発明の好ましい実施形態はまた、
(i)ステアリン酸またはパルミチン酸からなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして10〜50重量%の少なくとも1つの脂質化合物、ならびにそれらの塩、
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして5〜30重量%の少なくとも1つのガム、および
(iii)アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、イナゴマメ(caroube)ガム、キサンタン、デンプン、改質デンプン、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)、スクロースエステル、パルミチン酸アスコルビル、およびポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして40〜80重量%の少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムにも関する。
【0026】
したがって本発明はまた、
(i)ステアリン酸またはパルミチン酸からなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして10〜50重量%の少なくとも1つの脂質化合物、ならびにそれらの塩、
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして5〜30重量%の少なくとも1つのガム、および
(iii)アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、イナゴマメ(caroube)ガム、キサンタン、デンプン、改質デンプン、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)、スクロースエステル、パルミチン酸アスコルビル、およびポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして40〜80重量%の少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤、および任意選択的に
(iv)糖類(スクロースのような)、誘導体(マンニトール、ソルビトール)、グリセロール、モノ−およびジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして5〜20重量%の少なくとも1つの可塑剤、および任意選択的に
(v)染料、抗酸化剤、増量剤、pH緩衝液、および味覚マスキング物質からなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして5重量%までの少なくとも1つのさらなる成分
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、コーティングシステムにも関する。
【0027】
本発明によるコーティングシステムは、活性成分(または少なくとも1つの活性成分を含んでなる製剤)を被覆するために使用される。このような被覆システムは、コア(活性成分を含んでなる)およびコーティングシステムを含んでなる。被覆される活性成分は、脂溶性化合物である。
【0028】
したがって本発明はまた、
(a)少なくとも1つの脂溶性化合物を含んでなるコアと、
(b)(i)少なくとも1つの脂質化合物、および
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、少なくとも1つのガム、および
(iii)少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなるコーティングシステムと
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、組成物にも関する。
【0029】
コーティングシステムに関する全ての優先度は、前述の組成物にも当てはまる。
【0030】
少なくとも1つの脂溶性化合物が、本発明によるコーティングシステムで被覆される。好ましくは脂溶性化合物は、ビタミンAまたはそのエステル(例えばビタミンA酢酸エステルおよびビタミンAパルミチン酸エステル)、ビタミンEまたはそのエステル(例えばビタミンE酢酸エステル)、ビタミンK(フィトメナジオン)およびビタミンD3(コレカルシフェロール)、PUFA(多価不飽和脂肪酸)またはカロテノイド(α−またはβ−カロテン、8’−アポ−β−カロテナール、8’−アポ−β−カロテン酸エステル、カンタキサンチン、アスタキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンまたはクロセチンなど)などの脂溶性ビタミン(またはビタミン誘導体)である。最も望ましい脂溶性化合物は、ビタミンAまたはそのエステル(例えばビタミンA酢酸エステルおよびビタミンAパルミチン酸エステル)、ビタミンEまたはそのエステル(例えばビタミンE酢酸エステル)、ビタミンK(フィトメナジオン)、およびビタミンD3(コレカルシフェロール)などのビタミンである。
【0031】
したがって本発明はまた、
(a)ビタミンA、ビタミンA酢酸エステル、ビタミンAパルミチン酸エステル、ビタミンE、ビタミンE酢酸エステル、ビタミンK(フィトメナジオン)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、PUFAおよびカロテノイド(α−またはβ−カロテン、8’−アポ−β−カロテナール、8’−アポ−β−カロテン酸エステル、カンタキサンチン、アスタキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンまたはクロセチンなど)からなる群から選択される、少なくとも1つの脂溶性化合物を含んでなるコアと、
(b)(i)少なくとも1つの脂質化合物、および
(ii)アカシアガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、少なくとも1つのガム、および
(iii)少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤
を含んでなるコーティングシステムと
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする、組成物にも関する。
【0032】
これに加えて、コアはさらなる成分を含んでなり得て、それは通常は、このような化合物の製造で使用される添加剤であり、またはその中に本発明による組成物が組み込まれる製品に有用な添加剤である。組成物のコアは、あらゆる形態であり得る。それは例えば、活性成分を含んでなる微小ビーズの形態であり得る。本発明によるコーティングシステムで被覆し得る適切な微小ビーズは、国際公開第2007/045488号パンフレットにある。
【0033】
さらに本発明による組成物は、
(a)組成物総重量を基準にして50〜95重量%のコア、および
(b)組成物総重量を基準にして5〜50重量%のコーティングシステム
を含んでなる。
【0034】
さらに本発明による組成物は、
(a)ビタミンA、ビタミンA酢酸エステル、ビタミンAパルミチン酸エステル、ビタミンE、ビタミンE酢酸エステル、ビタミンK(フィトメナジオン)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、PUFAおよびカロテノイド(α−またはβ−カロテン、8’−アポ−β−カロテナール、8’−アポ−β−カロテン酸エステル、カンタキサンチン、アスタキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンまたはクロセチンなど)からなる群から選択される、少なくとも1つの脂溶性化合物を含んでなる、組成物総重量を基準にして50〜95重量の%コアと、
(b)(i)ステアリン酸またはパルミチン酸からなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして10〜50重量%の少なくとも1つの脂質化合物、ならびにそれらの塩、および
(ii)アカシア(accacia)ガム、ガティガム、およびチック(tic)ガムからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして5〜30重量%の少なくとも1つのガム、および
(iii)アルギン酸塩、ペクチン、グアーガム、イナゴマメ(caroube)ガム、キサンタン、デンプン、改質デンプン、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような)、スクロースエステル、パルミチン酸アスコルビル、およびポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして40〜80重量%の少なくとも1つの皮膜形成化合物および/または少なくとも1つの乳化剤、および任意選択的に
(iv)糖類(スクロースのような)、誘導体(マンニトール、ソルビトール)、グリセロール、モノ−およびジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、コーティングシステムの総重量を基準にして5〜20重量%の少なくとも1つの可塑剤、および任意選択的に
(v)染料、抗酸化剤、増量剤、pH緩衝液、および味覚マスキング物質からなる群から選択されるコーティングシステムの総重量を基準にして5重量%までの少なくとも1つのさらなる成分
を含んでなる、組成物総重量を基準にして5〜50重量%のコーティングシステムと
を含んでなり、脂質化合物の質量中央径が1μm未満であることを特徴とする。
【0035】
上述したような組成物は、任意選択的に例えば脂肪層によってさらに被覆し得る。
【0036】
被覆された(単一コーティングまたは複数コーティング)本発明による組成物は、あらゆる種類の製剤で使用し得て、このような脂溶性成分の使用は有用である。通常は、このような組成物は、食品で使用し得る。食品は、あらゆる形態であり得る。
【0037】
本発明による被覆組成物はまた、家禽、ブタ、魚、反芻動物などの動物用飼料製品で使用し得る。飼料製品は、あらゆる形態であり得る。
【0038】
本発明による組成物はまた、健康補助食品として使用され、またはその中で使用され得る。健康補助食品は、あらゆる形態であり得る。
【0039】
本発明による被覆組成物はまた、医薬品でも使用し得る。医薬品は任意のガレヌス形態であり得て、通常は錠剤形態である。
【0040】
本発明のさらなる実施形態は、上で定義されるような少なくとも1つの被覆組成物を含む、食品、飼料製品、栄養補助食品および/または医薬品に関する。
【0041】
本発明を以下の実施例によって例証する。全ての温度は℃で示され、全ての部および百分率は重量に関する。
【0042】
[実施例]
[実施例1:ビタミンAを含んでなる被覆粒子]
[ステップ1:コーティング調合物]
100gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)タイプメトセルE19を1550gの脱イオン水(80〜90℃)に添加して、約1時間放置する。次に40gのガムアカシア・セネガル(Benecke)を添加する。次に脱気するために、溶液を室温で一晩放置する。先の溶液の676gを50〜60℃に加熱する。24gのステアリン酸(メルク(Merck)、「植物性」)を添加して混合する。次に20000rpmで10分間のPolytron 6000ローターステーターシステムによって、ステアリン酸を確実に微粉化する。懸濁液を284gの水/氷混合(約250gの氷と34gの水)に添加して、それを確実に迅速冷却する。コーティング調合物の最終組成は、次のとおりである:40gのHPMC、24gのステアリン酸、16gのアカシアガム、904gの脱ミネラル水。
【0043】
懸濁液中のステアリン酸粒度は、超音波によってMalvern Mastersizer 2000で、d3,2=0.144μm、d10=0.075μm、d50=0.17μm、d90=0.83μmと測定される。
【0044】
[ステップ2:コア表面へのコーティング調合物の塗布]
300gの微小ビーズビタミンA形態(国際公開第2007/045488号パンフレットに記載され、38%のビタミンA酢酸エステル、46%のcapsul HS、11%のスクロース、5%のケイ酸を含有する)を小型実験室流動床装置(DMR、WFP mini)内で流動化し、コア粒子として使用する。底部噴霧構成で二流体ノズル(空気圧:1.5バール)を用いて、ステップ1で得られた194gのコーティング調合物を微小ビーズ表面に噴霧する。噴霧時間は約75分間であり、流入空気温度は80℃である。得られた製品の最終組成は、次のとおりである:
【0046】
[実施例2:ビタミンAを含んでなる被覆粒子]
[ステップ1:コーティング調合物]
100gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)タイプメトセルE19を1300gの脱イオン水(80〜90℃)に添加して、約1時間放置する。次に40gのガムアカシア・セネガル(Benecke)を添加する。次に脱気するために、溶液を室温で一晩放置する。60gのステアリン酸(メルク、「植物性」)を添加して混合する。次に20000rpmで60分間のPolytron 6000ローターステーターシステムによって、ステアリン酸を確実に微粉化する。懸濁液を500gの水/氷混合(約450gの氷と50gの水)に添加して、それを確実に迅速冷却する。最後に96gの脱イオン水を添加する。コーティング調合物の最終組成は、次のとおりである:100gのHPMC、60gのステアリン酸、40gのアカシアガム、1800gの脱ミネラル水。
【0047】
懸濁液中のステアリン酸粒度は、超音波によってMalvern Mastersizer 2000で、d3,2=0.163μm、d10=0.078μm、d50=0.19μm、d90=7.3μmと測定される。
【0048】
[ステップ2:コア表面へのコーティング調合物の塗布]
300gの微小ビーズビタミンA形態(国際公開第2007/045488号パンフレットに記載され、26%のビタミンA酢酸エステル、1%の混合トコフェロール、55%のcapsul HS、14%の果糖、4%のデンプンを含有する)を小型実験室流動床装置(DMR、WFP mini)内で流動化し、コア粒子として使用する。上部噴霧構成で二流体ノズル(空気圧:1.5バール)を用いて、ステップ1で得られた410gのコーティング調合物を微小ビーズ表面に噴霧する。噴霧時間は約157分間であり、流入空気温度は80℃である。
【0049】
次に得られた50gの製品を9gの植物性ステアリン酸(メルク)と混合して、75℃以下で10分間加熱する。次に製品を混合によって、RTに冷却する。得られた製品の最終組成は、次のとおりである:
【0051】
25℃、80%r.H.で3ヶ月後における、典型的な飼料用プレミックス組成物中の保持
Rovimix(登録商標)A 500 WS(非被覆形態) 30%
実施例2の化合物 86.3%
【0052】
[実施例3:PUFAを含んでなる被覆粒子]
[ステップ1:コーティング調合物]
156gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)タイプメトセルE7を1044gの脱イオン水(80〜90℃)に添加して、約1時間放置する。次に脱気するために、溶液を室温で一晩放置する。先の溶液の1031g中に36gのステアリン酸(メルク、「植物性」)を添加して混合する。次に18000rpmで20分間のPolytron 6000ローターステーターシステムによって、ステアリン酸を確実に微粉化する。懸濁液を150gの冷水に添加して、確実に迅速冷却する。1015gの溶液中に、310gの氷/水混合物(250g氷/60g水)を添加する。次に26gアカシアガムを添加して、溶解するまで撹拌する。コーティング調合物の最終組成は、次のとおりである:112gのHPMC、30gのステアリン酸、26gのアカシアガム、1183gの脱ミネラル水。
【0053】
Coulter N4 Plusを使用して、懸濁液中のステアリン酸粒度は、平均径0.496μmと測定される。
【0054】
[ステップ2:コア表面へのコーティング調合物の塗布]
428.6gのRopufa(登録商標)‘10’n−3 INF粉末を71.4gの植物性ステアリン酸(メルク)と混合し、55〜60℃以下で30分間加熱する。次に混合物を混合しながら、RTに冷却する。
【0055】
250gの混合物を小型実験室流動床装置(DMR、WFPmini)内で流動化し、コア粒子として使用する。上部噴霧構成で二流体ノズル(空気圧:1.5バール)を用いて、ステップ1で得られた200gのコーティング調合物を微小ビーズ表面に噴霧する。噴霧時間は約121分間であり、流入空気温度は55℃である。
【0056】
得られた製品の最終組成は、次のとおりである:
【0058】
これらの粒子の感覚性を匂い嗅ぎ試験によって評価した。
【0059】
匂い嗅ぎ試験は、審査員パネルに用紙を渡して、製品の匂いを嗅いで、次に任意の尺度を使用して、いくつかの所与の特性(感覚的記述子)を評価するよう依頼することを含む。この場合、1〜7の尺度が使用された(1は魚臭の不在、7は極めて高い魚臭の存在を意味する)。
【0060】
Ropufa(登録商標)‘10’n−3 INF粉末(非被覆形態)
わずかに魚臭がある(レベル3)と中強度に魚臭がある(レベル4)の間
【0061】
実施例3の化合物
不検出(レベル1)と非常にわずかに魚臭がある(レベル2)の間
【0062】
[実施例4:ビタミンAを含んでなる被覆粒子]
[ステップ1:コーティング調合物]
[実施例1と同じコーティング調合物]
[ステップ2:コア表面へのコーティング調合物の塗布]
300gの微小ビーズビタミンA形態(国際公開第2007/045488号パンフレットに記載され、26%のビタミンA、45%のアカシア・セネガル・ガム、19%のマルトデキストリン、10%のデンプンを含有する)を小型実験室流動床装置(DMR、WFP mini)内で流動化し、コア粒子として使用する。底部噴霧構成で二流体ノズル(空気圧:1.5バール)を用いて、ステップ1で得られた270gのコーティング調合物を微小ビーズ表面に噴霧する。噴霧時間は約105分間であり、流入空気温度は80℃である。次に得られた50gの製品を16.7gのカンデリラ蝋と混合して、80℃以下で20分間加熱する。次に混合物(The mixed)を混合によって、RTに冷却する。
【0063】
得られた製品の最終組成は、次のとおりである: