特許第6103387号(P6103387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6103387-保護ケース 図000002
  • 特許6103387-保護ケース 図000003
  • 特許6103387-保護ケース 図000004
  • 特許6103387-保護ケース 図000005
  • 特許6103387-保護ケース 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103387
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】保護ケース
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20170316BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170316BHJP
   H01R 13/46 20060101ALN20170316BHJP
【FI】
   H02G3/04 037
   H02G3/04 081
   B60R16/02 610A
   !H01R13/46 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-27692(P2014-27692)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-154649(P2015-154649A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 知秀
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−95185(JP,A)
【文献】 実開平6−28446(JP,U)
【文献】 実開昭62−84558(JP,U)
【文献】 特開2002−10440(JP,A)
【文献】 特開2014−82899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけて配置される第1ケース部及び第2ケース部と、
前記第1ケース部及び第2ケース部を互いに連結し、且つ前記第1ケース部及び第2ケース部の少なくとも一方に保持されるコネクタから引き出された電線を配索する電線通路を有するブリッジ部と、
前記ブリッジ部と並んで配置され、一端が前記第1ケース部に一体に連なり、他端が前記ブリッジ部又は前記第2ケース部に一体に連なる連結部とを備えることを特徴とする保護ケース。
【請求項2】
前記ブリッジ部の前記電線通路が、帯板状の基壁と、この基壁の両側縁から突出する一対の側壁とによって区画されていることを特徴とする請求項1記載の保護ケース。
【請求項3】
前記ブリッジ部の前記電線通路が、周辺部材との干渉を避けるべく前記第1ケース部及び第2ケースの連結方向と交差する方向に退避した湾曲路となっていることを特徴とする請求項1又は2記載の保護ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品等を保護する保護ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の保護ケースは、電気接続箱に備わるものであって、コネクタハウジングや電気部品装着部を有する合成樹脂製の上カバーと、金属線材と絶縁基板とからなる複数枚の回路配線板を上カバーとの間の空間内に収容する下カバーとで構成されている。上カバーと下カバーとは、係止手段を介して互いに係止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−32960号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の保護ケースにおいて、仮に、コネクタハウジングや電気部品装着部が間隔をあけた2位置に分かれて配置され、2位置間に電気部品等の部品がとくに存在しない場合には、2位置間の中間部分を細帯状の連結部となし、連結部に使用される樹脂量をなるべく少なくすることが求められる。一方、このような細帯状の連結部が設けられることになると、保護ケースの中間部分の剛性が低下し、所定の形状を保持し得ないおそれがある。これに鑑み、複数の連結部によって保護ケースの剛性を確保することが可能となるが、単に連結部が剛性確保のための機能しか有さないのであれば、構造の複雑化を招いて好ましくないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機能の集約化を図れて、所定の剛性を確保することが可能な保護ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保護ケースは、互いに間隔をあけて配置される第1ケース部及び第2ケース部と、前記第1ケース部及び第2ケース部を互いに連結し、且つ前記第1ケース部及び第2ケース部の少なくとも一方に保持されたコネクタから引き出された電線を配索する電線通路を有するブリッジ部と、前記ブリッジ部と並んで配置され、一端が前記第1ケース部に一体に連なり、他端が前記ブリッジ部又は前記第2ケース部に一体に連なる連結部とを備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
ブリッジ部が第1ケース部及び第2ケース部を互いに連結し、連結部の一端が第1ケース部に一体に連なり、連結部の他端がブリッジ部又は第2ケース部に一体に連なるため、第1ケース部及び第2ケース部の連結構造が連結部とブリッジ部のいずれか一方のみで構成される場合に比べ、保護ケースの剛性が高められる。とくに、ブリッジ部が単なる補強構造として機能するのみならず電線の配索機能を兼ね備えており、ブリッジ部に複数の機能(補強機能と配索機能)が集約されているため、保護ケース全体の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例において、複数のコネクタを保持した保護ケースの斜視図である。
図2図1に示す保護ケースをバルブボディの上方に配置した状態を示す斜視図である。
図3図2の状態の平面図である。
図4図2の状態の正面図である。
図5】複数のコネクタを保持した保護ケースの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい形態を示す。
前記ブリッジ部の前記電線通路が、帯板状の基壁と、この基壁の両側縁から突出する一対の側壁とによって区画されている。これにより、電線がブリッジ部の電線通路に安定して収容される。また、電線通路が単に基壁の壁面で構成されるよりも、ブリッジ部の剛性が高められる。
【0010】
前記ブリッジ部の前記電線通路が、周辺部材との干渉を避けるべく前記第1ケース部及び第2ケースの連結方向と交差する方向に退避した湾曲路となっている。仮に、電線通路が第1ケースと第2ケースとの間に直線状に延びる直線路である場合には、電線通路に配索される電線に余長が生じて、電線通路から電線がはみ出るおそれがある。しかし、本構成のように電線通路が湾曲路となっていれば、電線の長さに応じた電線通路を形成することができ、電線通路から電線がはみ出るのを防止することができる。しかも、電線通路が周辺部材との干渉を避ける機能を兼ね備えるため、さらなる機能の集約化を図ることができる。
【0011】
<実施例>
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例の保護ケース10は、自動車のオートマチックトランスミッションの油圧制御装置90に備わる合成樹脂製のケースを例示するものである。
【0012】
油圧制御装置90は、詳細は図示しないが、図2に示すように、保護ケース10の下方に、この保護ケース10によって覆われるバルブボディ60を備えている。バルブボディ60には、ソレノイド80が装着されるバルブ挿入部61が設けられている。
【0013】
ソレノイド80は、略円筒状をなし、電磁部81と電磁部81から突出する図示しない弁部とを有している。電磁部81の外周面の上端には、相手コネクタ70が突設されている。
バルブ挿入部61は、円筒状をなし、内部にソレノイド80の弁部が嵌合して挿入可能とされている。バルブ挿入部61の内部に弁部が挿入されることにより、バルブボディ60に油圧回路が形成される。バルブボディ60の上面には、バルブ挿入部61に連続して断面弧状の凹面62が設けられている。図4に示すように、バルブボディ60の凹面62には、電磁部81の下端部が嵌合して保持される。
【0014】
図1及び図5に示すように、保護ケース10は、板状をなし、互いに間隔をあけて配置される第1ケース部11及び第2ケース部12と、第1ケース部11及び第2ケース部12の間となる中間部位に位置して、第1ケース部11及び第2ケース部12を互いに連結するブリッジ部13と、同じく中間部位に位置して、一端が第1ケース部11に一体に連なり、他端がブリッジ部13に一体に連なる連結部14とを備えている。ブリッジ部13の延出長さは、連結部14の延出長さよりも長くなるように設定されている。また、保護ケース10は、ほぼ全面に亘って設けられた基壁15と、基壁15の外縁から下方へ一体に突出する周壁16とを有し、下方に開放されている。本実施例の場合、保護ケース10は、主として電線Wを保護する役割を果たしている。
【0015】
図3及び図5に示すように、ブリッジ部13の基壁15は、第1ケース部11から第2ケース部12にかけて両ケース部11、12の並び方向と交差する斜め方向にほぼ真っ直ぐ延びる帯板状の形態とされている。また、連結部14の基壁15は、第1ケース部11からブリッジ部13の第2ケース部12寄りの端部にかけてほぼ湾曲状に延びる帯板状の形態とされている。
【0016】
図5に示すように、ブリッジ部13の周壁16は、互いにほぼ平行に対向して配置される一対の側壁16Aとして構成されている。両側壁16Aは、一端が第1ケース部11の周壁16に一体に連なり、他端が第2ケース部12の周壁16に一体に連なる形態になっている。ブリッジ部13は、両側壁16Aと基壁15とによって断面略U字形に画成され、内部に、電線Wを挿通可能な電線通路17を有している。電線通路17は、一端が第1ケース部11に開放され、他端が第2ケース部12に開放されている。
【0017】
図5に示すように、連結部14の周壁16は、互いに対向して配置される一対の側板壁16Bとして構成されている。両側板壁16Bは、一端が第1ケース部11の周壁16に一体に連なり、他端がブリッジ部13の側壁16Aに一体に連なる形態になっている。連結部14の内部は、一端が第1ケース部11に開放されている一方、延び方向途中が後述するコネクタ装着部18で閉塞され、他端がブリッジ部13の側壁16Aで閉塞されている。
【0018】
また、図3及び図5に示すように、保護ケース10には、第1ケース部11、第2ケース部12及び連結部14のそれぞれに、複数のコネクタ装着部18が点在して設けられている。コネクタ装着部18は、下方に開放される角箱状をなし、内部に、コネクタ50が変位可能に保持されている。図5に示すように、コネクタ装着部18には、保護ケース10の周壁16(連結部14の場合は側板壁16B)の下端を切り欠くようにして凹部19が設けられている。コネクタ50は、一部をコネクタ装着部18内に挿入させた状態で、凹部19を通して保護ケース10から外部に突出して配置される。コネクタ50における保護ケース10から外部に突出する部分(以下、突出部51という)が、相手コネクタ70と嵌合可能とされている。コネクタ50が嵌合過程でコネクタ装着部18内で変位することにより、相手コネクタ70に対する嵌合軸の位置ずれが補正されるようになっている。なお、複数のコネクタ50のうち、連結部14のコネクタ装着部18に装着されたコネクタ50は、突出部51をブリッジ部13側に向けて配置されている。
【0019】
コネクタ50の内部には、図示しない端子金具が複数収容されている。各端子金具は、電線Wの端末部に接続されている。コネクタ50の突出部51が相手コネクタ70に嵌合されると、相手コネクタ70に装着された図示しない相手端子金具に端子金具が電気的に接続されるようになっている。図5に示すように、各端子金具に接続された電線Wは、コネクタ50から引き出されて保護ケース10内に収容され、さらに第2ケース部12の端部外側に導出させられる。このうち、第1ケース部11及び連結部14のそれぞれのコネクタ装着部18に装着されたコネクタ50から引き出される電線Wは、ブリッジ部13の電線通路17内に収容されて、第2ケース部12側に向けて配索される。
【0020】
図4に示すように、ブリッジ部13は、高さ方向(上下方向)に関して、第1ケース部11及び第2ケース部12よりも一段高い位置に配置されている。一方、連結部14は、第1ケース部11及び第2ケース部12とほぼ同じ高さ位置に配置されている。詳細には、ブリッジ部13の基壁15は、第1ケース部11及び第2ケース部12のそれぞれの基壁15に曲面状に連なることで上方にシフトして配置されている。また、ブリッジ部13の両側壁16Aの下縁には、上方へ抉られた形態の退避凹所21が設けられている。ブリッジ部13の退避凹所21には、連結部14のコネクタ装着部18に装着されたコネクタ50(以下、周辺コネクタ50Aという)が進入して逃がされるとともに、保護ケース10がバルブボディ60の上方に配置された場合に、ソレノイド80に設けられた相手コネクタ70が進入して逃がされるようになっている。端的に言えば、ブリッジ部13は、そのブリッジ部13の周辺に配置された周辺部材となる周辺コネクタ50Aや相手コネクタ70との干渉を回避するように、全体が第1ケース部11及び第2ケース部12の連結方向と交差する方向となる上方へ退避した形状になっている。このため、ブリッジ部13の電線通路17は、周辺コネクタ50A及び相手コネクタ70との干渉を回避するべく上方へ退避した湾曲路として構成されるようになっている。
【0021】
さて、図5に示すように、第1ケース部11のコネクタ装着部18に装着されたコネクタ50及び周辺コネクタ50Aのそれぞれから引き出された各電線Wは、ブリッジ部13の電線通路17に一括して挿入され、基壁15に沿って第2ケース部12側に配索される。このとき、周辺コネクタ50Aから引き出された電線Wは、折り返し状に回曲されて、電線通路17内に導入される。また、第2ケース部12のコネクタ装着部18に装着されたコネクタ50から引き出された電線Wは、基壁15に沿って第2ケース部12の端部外側に配索される。
【0022】
本実施例の場合、電線通路17は、湾曲路として構成されるため、第1ケース部11と第2ケース部12とを直線状につなぐ直線路として構成されるよりも、全長が長くなる。したがって、電線通路17内に収容される電線Wが長くても、その電線Wの長さに電線通路17を対応させることができ、電線通路17に電線Wを適正な長さで配索することができる。
【0023】
以上説明したように、本実施例によれば、ブリッジ部13が第1ケース部11及び第2ケース部12を互いに連結し、連結部14の一端が第1ケース部11に一体に連なり、連結部14の他端がブリッジ部13に一体に連なるため、ブリッジ部13のみで第1ケース部11及び第2ケース部12を連結するよりも、保護ケース10の剛性が高められる。とくに、ブリッジ部13が単なる補強構造として機能するのみならず電線Wの配索機能を兼ね備えているため、補強機能と配索機能とをそれぞれ別々の部位で分担するよりも、機能の集約化を図ることができる。その結果、保護ケース10全体の構成を簡素化することができる。
【0024】
また、ブリッジ部13の電線通路17が基壁15と一対の側壁16Aとによって区画されているため、電線通路17に電線Wが安定して収容される。また、ブリッジ部13が断面略U字形に形成されることで、ブリッジ部13自体の剛性も高められる。
【0025】
さらに、ブリッジ部13の電線通路17が周辺コネクタ50Aや相手コネクタ70との干渉を避けるべく上方に退避した湾曲路となっているため、電線Wの長さに応じた電線通路17を形成することができ、電線通路17から電線Wがはみ出るのを防止することができる。しかも、電線通路17が周辺コネクタ50Aや相手コネクタ70との干渉を避ける機能を兼ね備えるため、さらなる機能の集約化を図ることができる。
【0026】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した上記実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)連結部の他端は、ブリッジ部ではなく、第2ケース部に一体に連なるようにしてもよい。こうすると、連結部は、ブリッジ部と同様、第1ケース部及び第2ケース部を互いに連結する構造として構成される。
(2)第1ケース部及び第2ケース部のいずれか一方に、コネクタを装着可能なコネクタ装着部が設けられていればよい。例えば、第2ケース部のみにコネクタ装着部が設けられ、このコネクタ装着部に装着されたコネクタから引き出された電線が電線通路を通して第1ケース部側に導出させられるものであってもよい。
(3)連結部からコネクタ装着部を省略してもよい。
(4)保護ケースには、コネクタ以外の電気部品が保持されるようにしてもよい。
(5)周辺部材は、ブリッジ部の周辺に存する部材であれば周辺コネクタや相手コネクタに限定されず、例えば、保護ケースの外部に配置される外装部材であっても構わない。
(6)保護ケースは、ヒューズやリレー等を収容する電気接続箱に備わるものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
10…保護ケース
11…第1ケース部
12…第2ケース部
13…ブリッジ部
14…連結部
15…基壁
16…周壁
16A…側壁
17…電線通路
50A…周辺コネクタ(周辺部材)
70…相手コネクタ(周辺部材)
80…ソレノイド
W…電線
図1
図2
図3
図4
図5