(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、ブローキャビティ型にプリフォームを配置し、プリフォームを容器にブロー成形するブロー成形装置として、1.5ステージ方式と称される射出延伸ブロー成形装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この1.5ステージ方式の射出延伸ブロー成形装置は、射出成形とブロー成形とをインラインで接続した1ステージ方式であるが、同時射出成形個数と同時ブロー成形個数とを不一致とした2ステージの利点を有している。
【0003】
このようなブロー成形装置においては、連続的にプリフォームを搬送する搬送ラインが設けられている。搬送ラインは、例えば特許文献1では、複数のスプロケットと、複数のスプロケットに係合可能であって、プリフォームを保持する複数の搬送部材と、搬送部材を搬送方向にそって案内する案内レールを有するものである。
【0004】
ところで、容器の形状が上面視において略円状である等の径方向において均一な形状である場合にはプリフォームも上面視において略円状である均一な形状となる。しかし、容器の形状によってはプリフォームの形状がプリフォームの径方向において均一でない場合、例えばプリフォームが上面視において楕円形状である場合やプリフォームの厚みが均一でない場合がある。このようなプリフォームは、例えば、扁平容器や角形容器を成形する場合に用いられる。
【0005】
いわゆる2ステージ方式にて扁平容器を成形する場合には、プリフォームの長軸方向に熱分布を持たせる必要があり、例えば、特許文献2にあるような加熱手法が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この特許文献2にかかる手法は制御が複雑であったり、装置自体が高価であったりもする。また、プリフォームを室温状態から加熱するため、径方向で肉厚部があるプリフォームを用いる場合は、エネルギー面で不利となる。
【0008】
これに対し、特許文献1のような1〜1.5ステージ方式のブロー成形装置は、射出成形後のプリフォームに残存する熱、いわゆる保有熱を利用できる。この保有熱の値は肉厚部であるほど大きい。すなわち、特殊な加熱手法をとらなくても、容器長径にあたるプリフォーム側部を肉厚にするだけで、均一な肉厚分布を持つ扁平容器が成形可能になる。また、プリフォームに元来備わる保有熱を活用できる分、2ステージ方式よりエネルギー面で有利といえる。
【0009】
この場合に、1.5ステージ方式のブロー成形装置では、ブローキャビティ型の長径・短径に合わせ、プリフォームをその向きに整列させた整列状態とする必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1の装置では、搬送部材に保持されているプリフォームが、プリフォームと搬送部材とが互いにきっちりと嵌合した状態ではないために、搬送に伴う振動でプリフォームが搬送部材に対し回転していまい、搬送されているプリフォームの向きがずれてしまうことがある。例えばプリフォームが楕円形状である場合には、搬送されているプリフォームの長径方向がずれてしまうことがある。
【0011】
そうすると、搬送されている各プリフォームの向きが不均一である不整列状態になってしまい、この状態でブロー成形工程が実施されると所望のブロー成形を行うことができないという問題がある。
【0012】
なお、このような問題は、プリフォームがプリフォームの径方向において均一である形状とした場合にも、向きを揃えてブロー成形を行いたい場合にも共通する問題である。
【0013】
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、連続搬送中において各プリフォームの向きを同一に揃えることができる搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の搬送装置は、ブロー成形用のプリフォームを搬送する搬送装置であって、
ネック部を下向きとした倒立状態で前記プリフォームを保持する搬送治具を備え、前記搬送治具と共に前記プリフォームを水平方向に自転させながら搬送ライン上を連続的に搬送する搬送手段と、前記搬送手段による各プリフォームの搬送速度に合わせて前記搬送ラインに沿って移動可能に設けられ、前記プリフォームが
前記搬送治具と共に自転しながら移動している状態で、前記プリフォームの外周部に設けられた凸部又は凹部と係合して
前記プリフォームの自転を停止させて前記プリフォームの向きを所定の向きに整える係合手段と、を備えることを特徴とする。
前記搬送ラインには、所定半径で湾曲する湾曲搬送部が設けられ、前記係合手段は、前記湾曲搬送部の半径方向内側に、当該湾曲搬送部に沿って回転可能に設けられていることが好ましい。
【0015】
本発明においては、搬送装置が自転されながら搬送されている前記プリフォームに係合し、前記プリフォームの向きを所定の向きに整える係合手段を備えることで、連続搬送中において各プリフォームの向きを同一に揃えることができる。
【0016】
前記係合手段は、転動部材を有し、該転動部材が搬送装置に形成された溝部を移動可能であるように構成され、前記溝部は所定位置で前記係合手段とプリフォームとの相対距離が長くなるように退避部が形成されていることが好ましい。退避部が形成されていることで、簡易に係合手段がプリフォームから離れることができるように構成でき、この結果連続搬送中において各プリフォームの向きをより同一に揃えることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態としては、前記係合手段は、前記プリフォームに形成された凹部に係合するように形成された突出部をその一端に備える支持部を有し、該支持部の他端は固定されて、かつ、前記一端が外側に付勢されていることが挙げられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の搬送装置によれば、連続搬送中において各プリフォームの向きを同一に揃えることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の搬送装置を有する成形装置について、
図1を用いて説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送装置を備える成形装置100は、容器本体となるプリフォーム200を射出成形する射出成形部110と、射出成形部110で成形されたプリフォーム200を冷却する冷却部120と、プリフォーム200を加熱する加熱部130と、ブローキャビティ型内に配されたプリフォーム200をブロー成形するブロー成形部140と、を備えている。
【0022】
また成形装置100は、冷却部120から加熱部130及びブロー成形部140を循環するループ状の搬送ラインを構成する搬送ライン151を含む搬送部150を備えている。そして搬送部150は、冷却部120から加熱部130にプリフォーム200を搬送すると共に、加熱部130で加熱されたプリフォーム200をブロー成形部140に搬送する。
【0023】
本発明に係る成形装置100は、これら搬送部150における搬送装置300に特徴を有するものであり、これら各部の構成について以下に詳しく説明する。なお射出成形部110、冷却部120、加熱部130及びブロー成形部140の構成は、公知のものであるため、ここでは簡単に説明する(必要であれば、本件出願人による国際公開第2013/027692号公報など参照)。
【0024】
射出成形部110は、型締め機構111を備え、図示は省略するが上方に配されたコア型と下方に配されたキャビティ型とをこの型締め機構111によって型締めする。そして射出成形部110では、これらコア型とキャビティ型とで画成される射出空間内に、射出装置によって樹脂材料(原材料)を充填することでプリフォーム200が射出成形される。ここで射出成形部110では、例えば、最大で24個(3列×8個)のプリフォーム200を同時に成形することができるとする。本実施形態では、プリフォーム200は、その厚みが径方向において異なるものであり、凹部201(
図2参照)がその外周面に設けられている。
【0025】
冷却部120は、射出成形されたプリフォーム200を強制冷却する。射出成形部110で射出成形されたプリフォーム200は、図示しない搬送装置によって射出成形部110から冷却部120に搬送され、この冷却部120で強制冷却される。冷却部120で所定温度まで冷却されたプリフォーム200は、搬送部150を構成する搬送ライン151に搬出されて連続的に搬送される。
【0026】
なおプリフォーム200は、射出成形部110にてネック部を上向きとした正立状態に成形され、この状態で射出成形部110から冷却部120に搬送される。冷却部120は、このように正立状態で搬送されたプリフォーム200を、ネック部を下向きとした倒立状態に反転させる反転機構(図示なし)を有する。そしてプリフォーム200は、冷却部120での冷却中に、この反転機構によって倒立状態に反転され、搬送部150が備える搬送治具152に保持される。
【0027】
搬送ライン151は、これら搬送治具152が、スプロケット154等の駆動力によって連続して順次搬送されるように構成されており、これにより搬送治具152に保持されたプリフォーム200が搬送される。
【0028】
冷却部120の下方には、これら搬送治具152が複数列に配置されている。そしてプリフォーム200を保持した搬送治具152が交互に搬送ライン151に搬出される。その後、搬送治具152に保持されたプリフォーム200は、搬送ライン151に沿って搬送されて加熱部130に搬入される。
【0029】
加熱部130では、冷却部120で冷却されたプリフォーム200を保持する搬送治具152を搬送ライン151に沿って移動させながら延伸適正温度まで加熱する。本実施形態では、加熱部130内でプリフォーム200を自転させながら加熱することで、プリフォーム200全体を均一に加熱するようにしている。
【0030】
このように加熱部130によってプリフォーム200が加熱された後、搬送ライン151には、加熱部130の下流側に所定半径で湾曲する湾曲搬送部155が設けられており、この湾曲搬送部155に対応して搬送装置300が設けられている。この搬送装置300は、詳しくは後述するように、搬送されているプリフォーム200の向きを全て所定の向きに整えるものである。従って、湾曲搬送部155を通過した各プリフォーム200は、全て所定の方向を向いた状態に整列させられる。その後、プリフォーム200が保持された搬送治具152は、湾曲搬送部155から搬送ライン151に沿って搬送されてブロー成形部140に搬入される。
【0031】
転送部160では、倒立状態で保持されているプリフォーム200を、図示しない搬送アームによって所定個数(例えば、8個)ずつ反転させて正立状態として取り出す。ブロー成形部140では、転送部160より受け取った所定個数のプリフォーム200を、一対の割型からなるブローキャビティ型141に搬送し、ブローキャビティ型141でプリフォーム200をブロー成形する。この場合に、本実施形態では、以下説明する搬送装置300があることで径方向における厚みの異なるプリフォームの向きを揃えることができ、その結果所望のブロー成形を行うことができる。
【0032】
以下、本実施形態における搬送装置300について
図2〜
図5を用いて説明する。
図2は、搬送装置を説明するための
図1の湾曲搬送部付近の一部拡大図であり、
図3は、搬送装置を説明するために
図2からプリフォームを除去したものである。
【0033】
湾曲搬送部155に対応して設けられた搬送装置300は、搬送されているプリフォーム200の向きを全て所定の向きに整えるための係合装置301を備える。係合装置301は、搬送ライン151に沿って搬送されているプリフォーム200に係合し、プリフォーム200の向きを所定の向きに整える係合手段310を複数備える。本発明における搬送装置300は、かかる搬送ライン151と、搬送ライン151上の搬送治具152を搬送する搬送手段と、複数の係合手段310からなる。
【0034】
係合装置301は、湾曲搬送部155に対応して形成されており、湾曲搬送部155の湾曲している部分に対応して湾曲した湾曲部302を有する台座部303を有する。台座部303には、柱状部304が設けられている。柱状部304は、その中心を軸中心として水平方向に自転可能であるように構成されている。柱状部304のこの自転方向は、搬送方向と同一となるように設定されている。即ち、
図2、3、5中では反時計回りである。この柱状部304には、各係合手段310が互いに所定の距離離間した状態で固定されている。柱状部304は、上面視において略円形状ともいえる多角形状であるから、各係合手段310は、周方向に所定の間隔で設けられているといえる。
【0035】
また、台座部303は、上面視において略円形状の溝部305が形成されている。溝部305はカム構造を有するものである。詳しくは後述する係合手段310の転動部材314がこの溝部305に挿入される。溝部305は所定の位置において柱状部304側に、即ち内側に凹んだ退避部306を有する。
【0036】
ここで、係合手段310について、
図4を用いて説明する。
【0037】
各係合手段310は、第1支持部312を備える。第1支持部312は、側面視においてコの字状の部材である。第1支持部312の底面を構成する底面部313には、例えばカムフォロア等の転動部材314が垂直下方に向かって延在するように設けられている。転動部材314は、底面部313において締結部材315により締結されている。この転動部材314が上述したようにカム構造を有する溝部305(
図2参照)に挿入される。
【0038】
また、第1支持部312の上面を構成する上面部316の上方には第2支持部317が設けられている。第2支持部317の搬送ライン151(
図2、3参照)側の先端318には係合部319が設けられている。係合部319は、その一端が先端318に支持されており、他端が支持されていない、いわゆる片持ち状態であり、他端が外側(第2支持部317とは逆側)に付勢されている。
【0039】
係合部319の他端は、搬送ライン151(
図2、3参照)側に向かって突出した突出部320となっている。この突出部320は、詳しくは後述するように凹部201(
図2参照)に対応した形状となっている。係合部319の突出部320は、搬送ライン151に対向する領域において搬送ライン151にかかるように構成されている(
図3参照)。
【0040】
各係合手段310では、第1支持部312の底面部313と上面部316との間を構成する背面部321には二つの貫通孔322が形成され、各貫通孔322を二つの円柱部323が貫通して設けられている。各円柱部323の基端側(少なくとも一方)は柱状部304(
図2、3参照)に固定されており、また、各円柱部323の先端側には、各円柱部323に亘って板状部324が固定されている。
【0041】
図2,3に戻り、柱状部304に設けられた係合手段310間の所定の距離は、各搬送治具152間の距離、即ちプリフォーム200の距離に一致している。
【0042】
かかる搬送装置300の作動状態について以下説明する。
【0043】
柱状部304は柱状部304の中心を軸中心として自転を開始すると(自転方向を
図2、3において矢印で示す)、各係合手段310は、柱状部304に円柱部323により固定されていると共に、転動部材314が溝部305に挿入されているので柱状部304の自転に従って溝部305に沿って移動する。即ち、溝部305は係合手段310のガイド溝として機能する。ここで、溝部305は所定の位置において柱状部304側に(内側に)凹んだ退避部306を有するので、係合手段310は退避部306までくると、退避部306の形状に沿って内側へ退避する。そして、退避部306を通過すると、また略円状の溝部305に沿って移動する。
【0044】
他方で、この湾曲搬送部155近辺で搬送方向(
図2、3において矢印で示す)に搬送されるプリフォーム200について説明する。プリフォーム200の搬送速度と、柱状部304の回転速度は一致し、かつ、湾曲部302におけるプリフォーム200間の距離と係合手段310との距離は一致する。これにより、湾曲部302において常に係合手段310とプリフォーム200とは互いに対向しながら移動する。なお、このようなプリフォーム200と係合手段310との移動は、タイミングを合わせて行っている。
【0045】
台座部303の周辺においては、搬送治具152が搬送時にその中心を軸中心として水平方向に自転する。具体的には、例えば、搬送治具152に設けられたスプロケットが搬送ライン151に設けられたローラーチェーンと嵌合することで、搬送治具152が自転する。また、載置されたプリフォーム200が搬送治具152の自転に伴って自転するが、後述するようにプリフォーム200が係合手段310と係合した場合にはプリフォーム200は回転せずに搬送治具152のみが搬送されつつ自転する。
【0046】
この搬送ライン151の搬送方向における自転を開始する位置を自転開始位置R1とし、自転を終了する位置を自転終了位置R2とする。この自転開始位置R1から自転終了位置R2までを自転領域RRとする。自転領域RRは、本実施形態では退避部306に対向する位置よりも搬送方向の上流側で終了している。なお、例えば上記のように搬送治具152に設けられたスプロケットが搬送ライン151に設けられたローラーチェーンと嵌合することで、搬送治具152が自転するように構成されている場合には、この自転領域RRに亘ってローラーチェーンが設けられていることになる。そして、この自転領域RRは、プリフォーム200が係合手段310と係合しなければ自転開始位置R1から自転終了位置R2まで少なくとも一回転することができるように設定されている。
【0047】
図2に示すように、プリフォーム200は湾曲搬送部155近辺に搬送される際には、凹部201の位置がそれぞれ別の方向を向いてしまい(不整列状態)、プリフォーム200の向きが均一ではないといえる。このような状態でプリフォーム200が搬送されて、自転領域RRに流入する。そして、自転領域RRにおいては、プリフォーム200が自転しながら搬送される。このようにプリフォーム200が自転しながら搬送ライン151を搬送される間に、このプリフォーム200に設けられた凹部201に、係合手段310の突出部320が嵌合する。なお、凹部201に突出部320が嵌合すると、上記のように搬送治具152のみが自転し、プリフォーム200はこの係合により回転が停止する。
【0048】
そして、この自転領域RRからプリフォーム200が搬出されると同時に係合手段310が退避部306により退避するので、プリフォーム200から係合部319即ち、突出部320が外れ、プリフォーム200はその状態で搬送される。即ち、退避部306に対応する位置よりも搬送方向の下流側におけるプリフォーム200は、全て凹部201が同一の向きに揃った状態で搬送されている(整列状態)。
【0049】
この点について、
図5を用いてさらに具体的に説明する。
図5は、湾曲搬送部155における一のプリフォーム200の搬送状態を示すものであり、時間毎のプリフォーム200の搬送位置と、このプリフォーム200に対向して係合する一の係合手段310とを示している。即ち、この
図5には複数のプリフォーム200と係合手段310とが記載されているが、全て同一のプリフォーム200及び係合手段310であり、各時間におけるそれぞれの位置を示している。
【0050】
上述したように、プリフォーム200は、上流側から湾曲搬送部155に搬送される。このプリフォーム200の搬送に併せて係合手段310も溝部305に沿って移動している。時刻t1において、プリフォーム200は湾曲搬送部155の自転開始位置R1の直前まで搬送されている。この時刻t1におけるプリフォーム200(t1)は、凹部201が外側を向いている。この場合、係合手段310(t1)はプリフォーム200(t1)と未だ対向していない。
【0051】
そして、プリフォーム200が自転開始位置R1に到達すると、この自転開始位置R1から搬送治具152(
図2参照)が自転を開始することでプリフォーム200も自転を開始する。自転方向は矢印で示す方向である。プリフォーム200は、自転領域RR中では、自転しながら搬送される。この自転開始位置R1近傍での時刻t2のプリフォーム200(t2)は、まだこの時点では係合手段310(t2)とは対向しない。
【0052】
プリフォーム200がさらに搬送されて、時刻t3において、プリフォーム200(t2)は、係合手段310(t3)と対向する。この場合に、係合手段310の突出部320はプリフォーム200(t3)の凹部201と係合していないので、プリフォーム200(t3)に押圧されて引っ込んだ状態となっている。
【0053】
その後、プリフォーム200(t3)が搬送されながら自転を続け、このプリフォーム200に係合手段310(t3)が対向しつつ、突出部320がプリフォーム200に押圧された状態で移動し、時刻t4で、プリフォーム200(t4)の凹部201が完全に内側を向き、係合手段310(t4)の突出部320と係合する。
【0054】
即ち、本実施形態では、プリフォーム200が自転領域RRにおいて自転することで、プリフォーム200がどの位置を向いて湾曲搬送部155に搬送されてきたとしても、かならずプリフォーム200の凹部201が係合手段310の係合部319と係合するように構成されているのである。
【0055】
そして、係合手段310は溝部305に沿って移動するので、時刻t4においては係合手段310が退避部306において退避する。これにより、搬送されるプリフォーム200の凹部201から係合手段310の係合部319が離れて、係合が終了する。この場合に、同時に搬送されているプリフォーム200はその向きを変えずに搬送されることが可能である。
【0056】
仮に溝部305に退避部306がないように構成されているとすれば、プリフォーム200の凹部201から突出部320が離れる際に突出部320が凹部201に引っ掛かってプリフォーム200が回転してしまい、プリフォーム200の向きが変わってしまう。そうすると、
図2に示すように湾曲搬送部155を通過したプリフォーム200の向きを同一方向に揃えることが難しいのである。従って、本実施形態のように溝部305には退避部306が形成されて、突出部320が凹部201から外れる際に引っ掛かることを防止することが望ましいのである。
【0057】
このようにして、係合が終了したプリフォーム200はその向きを揃えた状態で搬送される。
【0058】
本実施形態では、上述のようにプリフォーム200がその向きを揃えた状態で搬送されるので、ブロー成形部140に搬入された状態でもプリフォーム200の向きが揃っている。これにより、プリフォーム200の形状がプリフォーム200の径方向において均一でない場合、例えば楕円形状である場合や厚みが均一でない場合であっても全てのプリフォーム200の向きが揃っているので、ブロー成形部140において所望のブロー成形を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、係合部319はその一端が先端318に支持されており、他端が支持されていない状態で外側に付勢されていることで、プリフォーム200の凹部201に係合しやすい。
【0060】
かかる搬送装置300によれば、連続搬送中において各プリフォーム200の向きを同一に揃えることができる。
【0061】
本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、湾曲搬送部155が加熱部130とブロー成形部140との間に設けられているが、湾曲搬送部155の配置は、これに限定されない。例えば湾曲搬送部155は加熱部130の前に設けられていてもよい。
【0062】
本実施形態では、係合手段310の突出部320がプリフォーム200に形成された凹部201に係合する構成を例示したが、係合手段310がリフォーム200に係合するための構成は、特に限定されない。例えば、プリフォーム200に凸部が形成され、この凸部が係合部319に形成された凸部と互いに押圧して係合するようにしてもよい。
【0063】
本実施形態では、搬送装置300がプリフォーム200のみを連続搬送する例について説明したが、搬送装置の構成はこれに限定されない。例えば、把手付き容器を成形する場合には、搬送装置がプリフォームとボトルに供される把手とを交互に搬送するようにしてもよい。