(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103403
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】橈骨アクセスの方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61G 13/12 20060101AFI20170316BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
A61G13/12 B
A61M25/01
【請求項の数】27
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-556965(P2015-556965)
(86)(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公表番号】特表2016-509519(P2016-509519A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】US2014013416
(87)【国際公開番号】WO2014123729
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】61/850,097
(32)【優先日】2013年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/962,262
(32)【優先日】2013年11月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515214752
【氏名又は名称】ジー2 メディカル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】サンポニャーロ,グレゴリー
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−191868(JP,A)
【文献】
特表2006−507048(JP,A)
【文献】
特開2008−229117(JP,A)
【文献】
米国特許第5613254(US,A)
【文献】
米国特許第6260220(US,B1)
【文献】
米国特許第5133097(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0133980(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0172791(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0138065(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0052066(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0305431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00−13/12
A61B 6/00− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台アセンブリであって:
患者の肢を支持する大きさに形成された表面を画定する支持台;
前記支持台の遠位端部から延びた接合部分であって、放射線透過性であり、かつ前記支持台から一定距離延びている、接合部分;及び
前記接合部分に近接した位置で前記支持台に回動可能に接続されたクレードル部材であって、前記肢を支持した状態でも前記支持台に対して回動可能のままである、クレードル部材を含み、
前記接合部分が、前記支持台の前記遠位端部に接触している第1の縁、及び前記第1の縁の反対側の第2の傾斜縁も有し、前記第2の傾斜縁が前記第1の縁よりも長く、かつ
前記接合部分が、前記接合部分及び前記支持台を通る長手方向軸を中心に回動させて調整することが可能であり、これにより、前記接合部分が回動するときに前記第2の傾斜縁を反対方向に再構成可能である、アセンブリ。
【請求項2】
前記接合部分が、前記長手方向軸を中心とするさらなる回動が防止されるよう前記支持台に固定されるように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記接合部分の前記第2の傾斜縁が、前記接合部分が再構成されるときに追加の支持台の両側に配置可能である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記接合部分が、その下で他に接触せずにイメージング装置を収容できる距離まで延びている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記クレードル部材が、患者の肢を受容して支持するように構成された、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記クレードル部材を前記支持台に固定するように構成された接続接合部;及び
前記接続接合部から前記クレードル部材まで回動可能に延びた支持アームをさらに含む、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記接合部分及び/又は前記支持台から延びた放射線不透過性障壁をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
台アセンブリであって:
患者の肢を支持する大きさに形成された表面を画定する支持台;
前記支持台の遠位端部から延びた接合部分であって、前記支持台の前記遠位端部に接触している第1の縁、及び前記第1の縁の反対側の第2の傾斜縁も有し、前記第2の傾斜縁が、第1の向きにおいて前記支持台に対して非直角に傾斜している、接合部分を含み、
前記接合部分が、放射線透過性であり、かつ前記支持台から一定距離延びており、かつ
前記接合部分が、前記支持台から取り外して、前記支持台に対して回動した構成で再接続されるように構成されており、これにより、前記第2の傾斜縁が、前記第1の向きとは反対の第2の向きにおいて前記支持台に対して逆になる、アセンブリ。
【請求項9】
前記第2の傾斜縁が、前記接合部分が前記第1又は第2の向きにあるときに追加の支持台の両側に配置可能である、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記接合部分が、その下で他に接触せずにイメージング装置を収容できる距離まで延びている、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項11】
患者の肢を受容して支持するように構成され、前記接合部に近接した位置で前記支持台に回動可能に接続された、クレードル部材をさらに含む、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記クレードル部材を前記支持台に固定するように構成された接続接合部;及び
前記接続接合部から前記クレードル部材まで回動可能に延びた支持アームをさらに含む、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記接合部分及び/又は前記支持台から延びた放射線不透過性障壁をさらに含む、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項14】
支持アセンブリであって:
患者の肢を受容して支持するように構成されたクレードル部材;
前記アセンブリを第1の支持台に回動可能に固定するように構成された接続接合部;
前記第1の支持台の遠位端部に取り付けられた接合部分であって、放射線透過性であり、かつ前記支持台から一定距離延びている、接合部分;
前記患者を乗せることができる第2の支持台であって、前記第1の支持台から分離されている、第2の支持台;及び
前記接続接合部から回動可能に延び、前記クレードル部材に回動可能に連結された支持アームを含み、
前記クレードル部材が、前記第1の支持台に対して回動可能であり、かつ前記肢を支持した状態でも前記第1の支持台に対して回動可能のままであり、前記クレードル部材の位置及び向きが、前記肢が第2の支持台から延びて前記クレードル部材に支持されているときに、前記第2の支持台の位置及び向きに応じて変わり、
前記接合部分が、前記第1の支持台の前記遠位端部に接触している第1の縁、及び前記第1の縁とは反対側の第2の傾斜縁も有し、前記第2の傾斜縁が前記第1の縁よりも長く、かつ
前記接合部分が、前記接合部分及び前記第1の支持台を通る長手方向軸を中心に回動させて調整することが可能であり、これにより、前記接合部分が回動するときに前記第2の傾斜縁を反対方向に再構成可能である、アセンブリ。
【請求項15】
前記クレードル部材の位置及び向きが、前記第1の支持台と前記第2の支持台との間に延在する前記肢により前記第2の支持台の位置及び向きに応じて変わる、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記接続接合部と前記支持アームの近位端部との間に回動可能に連結された第1のピボット;及び
前記クレードル部材と前記支持アームの遠位端部との間に回動可能に連結された第2のピボットをさらに含む、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記接合部分が、前記長手方向軸を中心とするさらなる回動が防止されるよう前記第1の支持台に固定されるように構成されている、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記接合部分が、前記第1の支持台に対して折り曲げられるようにさらに構成されている、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記接合部分の前記第2の傾斜縁が、前記接合部分が再構成されるときに前記第2の支持台の両側に配置可能である、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記接続接合部が、その下で他に接触せずにイメージング装置を収容できる距離まで延びている、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記接合部分及び/又は前記支持台から延びた放射線不透過性障壁をさらに含む、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項22】
患者の体の位置を合わせる方法であって:
前記患者の体が乗せられる第2の支持台の近傍に第1の支持台を配置するステップであって、前記第1の支持台が前記第2の支持台から分離されている、ステップ;
前記第1の支持台と前記第2の支持台との間の距離を、前記第1の支持台から延びた接合部分によって維持するステップであって、前記接合部分が、前記第1の支持台の遠位端部に接触している第1の縁、及び前記第1の縁とは反対側の第2の傾斜縁も有し、前記第2の傾斜縁が前記第1の縁よりも長い、ステップ;
前記患者の体の肢を、前記第1の支持台に移動可能に取り付けられたクレードル部材に固定するステップ;
前記第1の支持台が前記第2の支持台に対して静止位置に維持した状態で、前記患者が乗せられ、前記肢が前記第2の支持台から延びたときに前記第2の支持台を再配置するステップ;及び
前記第2の支持台の再配置の動きに対応するように、前記第2の支持台から延びた前記肢により前記クレードル部材を前記第1の支持台に対して回動させるステップ、を含む、方法。
【請求項23】
前記第2の支持台を動かしながら、前記体を画像装置によって画像化するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記クレードル部材を移動させるステップの前に前記肢の一部の下の放射線透過性接合部分の位置を合わせるステップであって、前記接合部分が前記第1の支持台の遠位端部に取り付けられている、ステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の支持台を配置するステップが、前記接合部分及び前記支持台を通る長手方向軸を中心に前記接合部分を回動させて調整するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の支持台を再配置するステップが、前記第1の支持台の遠位端部に回動可能に取り付けられた接続接合部によって、前記クレードル部材を前記第1の支持台に対して回動させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記接続接合部から前記クレードル部材まで回動可能に延びた支持アームによって前記クレードル部材を前記第1の支持台に対して回動させるステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、それぞれ参照によりそれらの全開示内容が本明細書に組み入れられる2013年2月7日出願の特許文献1及び2013年11月4日出願の特許文献2の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、橈骨アクセス処置を容易にする方法及び装置に関する。詳細には、本発明は、患者の体の位置を変更する必要がある又は体の位置を変更するのが望ましい場合に、橈骨アクセス処置を容易にする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓カテーテル処置は、通常は、患者の心臓にアクセスするために主幹動脈、例えば、大腿動脈に通されるカテーテルを利用する。しかしながら、血管内及び心臓系へのアクセスは、橈骨動脈に通しても達成することができ、通常はより便利であると考えられ、しかも処置の時間を短縮し、かつ処置中の合併症のリスクも低減することができる。しかしながら、心臓カテーテル処置は、しばしば、ガイドワイヤ、血管内バルーン、ステントなどを含む様々な外科器具の使用を必要とする。
【0004】
さらに、イメージングシステム、例えば、透視装置又は他のイメージング装置が、典型的には心臓カテーテル処置の最中に利用される。これらの装置のサイズ及び重量により、患者の体内の様々な組織領域のイメージングでは、しばしば、イメージングシステムに対して体の位置を変更する必要がある。これにより、患者の体を物理的に移動させる必要がある。しかしながら、橈骨アクセス処置中に使用される器具の数により、患者の体の位置を変更することは困難であり、面倒である。
【0005】
従来のデバイスは、橈骨アクセスを容易にするために開発されたものである。このようなデバイスは、患者が乗せられる支持台から延びたボード又は表面の使用を含む。このようなボードは、典型的には、橈骨アクセスを行う際に患者の肢、例えば、腕を支持して体から伸ばすために支持台に留める又は他の方法で固定される。しかしながら、このようなボードは、外科手術の現場で使用するのは面倒であり、器具を配置できる安定した支持台を提供することができない。
【0006】
他のデバイスは、カテーテル検査台又は別個の支持構造に留めることができるピボットアーム又は関節アームによって支持されるアームボード又は支持台の使用を含む。このようなピボットアーム又は関節アームは、橈骨処置のために患者の腕を支持することができるが、これらのデバイスは、器具用の安定した支持台を未だ実現することができず、しかもイメージングシステムに対して患者の体を移動させる又は位置を変更する必要性に対処することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/850,097号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第61/962,262号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、橈骨アクセス用の様々な器具を支持することができ、かつ橈骨アクセス処置中に患者の体の位置の変更を容易にする方法及びデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば、介入処置のために橈骨血管にアクセスする際は、患者の肢、例えば、腕の位置が、通常は、手首が伸びて橈骨静脈が露出するように合わせられる。橈骨処置のための患者の肢の固定を容易にすると共に患者の体の位置の変更に対応するために、記載される橈骨台アセンブリを利用することができる。橈骨台アセンブリは、通常は、患者の肢を支持する大きさに形成された表面を画定する支持台、この支持台の遠位端部に取り付けられた接合部分であって、放射線透過性であり、かつこの支持台から一定距離延びている、接合部分、及びこの接合部分に近接した位置で支持台に回動可能に接続されたクレードル部材を含み得る。他のバリエーションでは、接合部分は、傾斜縁が支持台に対して逆向きになるようにこの支持台に対して構成を変更可能である。
【0010】
クレードルアセンブリ自体は、通常は、患者の肢を受容して支持するように構成されたクレードル部材、このアセンブリを第1の支持台に回動可能に固定するように構成された接続接合部、及びこの接続接合部から回動可能に延びて、クレードル部材に回動可能に連結された支持アームから構成することができ、クレードル部材の位置及び向きは、第2の支持台の位置及び向きに応じて変わる。
【0011】
使用の際、橈骨台アセンブリに対して患者の体の位置を合わせる1つの方法は、患者の体の肢を支持する大きさに形成され、第1の支持台に移動可能に取り付けられたクレードル部材にこの肢の位置を合わせるステップ、患者の体が乗せられた第2の支持台を移動させるステップであって、この第2の支持台が第1の支持台に近接している、ステップ、及びクレードル部材の位置又は向きが、肢の位置がこのクレードル部材に合わせられたときの第2の支持台の位置又は向きに応じて変わるように、クレードル部材を、第2の支持台の動きに対応するように第1の支持台に対して移動させるステップを通常は含み得る
【0012】
橈骨台アセンブリの一例は、1つ以上の脚によって支持された後方台、この後方台から延びた橈骨台部分、及びこの橈骨台部分から、例えば、片持ち式にさらに延びた接合部分を通常は含み得る。この接合部分は、傾斜縁を画定することができ、この傾斜縁により、台アセンブリをカテーテル検査台に対して極めて近接して又は隣接して所定の角度で相対的に配置することができ、これにより、患者の肢(例えば、腕)を台に乗せられた患者の体から伸ばすことができる支持台が得られる。この台アセンブリにより、外科医及び開業医が、橈骨動脈を介して処置、例えば、血管造影、経皮的介入などを容易にする楽なやり方で行うことができる。
【0013】
後方台は、手術台又は支持台を含むことができ、橈骨台部分は、任意選択でヒンジ結合される接合部又はピボット接合部に沿って後方台の遠位縁に取り付けることができ、例えば、40.48〜21.92cm(12〜48インチ)以上の幅、及び、例えば、最大50.8cm(20インチ)以上の長さを有する。接合部分は、同様に、任意選択でヒンジ結合される接合部又はピボット接合部に沿って橈骨台部分の遠位端部に固定することができ、橈骨台部分と同様の幅を有することができる。接合部分は、一定距離延びて、その傾斜縁の遠位端部で終端することができ、この傾斜縁は、台アセンブリの長さ方向に対して、例えば、10度〜最大90度(又は特に45〜55度)の範囲の任意の角度を有することができる。後方台及び橈骨台部分はそれぞれ、放射線不透過性である様々な材料、例えば、ステンレス鋼から構成することができ、接合部分は、任意選択で抗菌性である又は殺菌することができる放射線透過性材料、例えば、様々なポリカーボネート材料、例えば、Lexan(登録商標)(SABIC Innovative Plastics)、超高分子量ポリエチレン(UHMW)などから構成することができる。接合部分を放射線透過性材料から構成することにより、イメージング装置、例えば、透視装置(又はその他の適切なイメージング装置)が、必要に応じて、患者の肢の近位上部を透過して画像化することができる。
【0014】
クレードルアセンブリは、接続接合部のいずれか1つの中に入れて、橈骨台アセンブリに回動可能に取り付けることができ、これらの接続接合部は、例えば、橈骨台部分の近位縁に沿って整合させることができる。クレードルアセンブリは、任意選択で、カテーテル検査台に沿った患者の体の位置によって決まる接続接合部のいずれか1つの中に配置することができる。クレードルアセンブリ自体は、通常は、例えば、最大25.4cm(10インチ)以上の長さ及び、15.24cm(6インチ)以上の幅を有するクレードル部材を含むことができ、このクレードル部材は、患者の手首、前腕、及び手を楽に受容する凹部を画定するように構成されている。任意選択の近位クレードル部材は、必要に応じて又は所望に応じて、患者の上腕を支持するために、クレードル部材から延長アームを介して調整可能に伸ばすことができる。クレードル部材及び任意選択の近位クレードル部材はそれぞれ、同様に所望に応じて、患者の前腕及び手の画像化をさらに可能にするために、放射線不透過性材料(例えば、ステンレス鋼)又は放射線透過性材料(例えば、ポリカーボネート)のいずれかから形成することができる。
【0015】
クレードルアセンブリは、2つの回動点又は関節点を画定することができ、この2つの回動点又は関節点により、クレードルアセンブリを接続接合部に連結する支持アームに対するクレードル部材の回動が可能となり、かつ接続接合部及び橈骨台に対する支持アームの回動も可能となる。患者の体がカテーテル検査台に乗せられた状態で、肢及び特に手及び手首を伸ばしてクレードル部材上に固定して、任意選択で患者の指をクレードル部材の遠位端部に固定して手首を伸ばすことができる。肢を固定して、また任意選択でもたれた状態で、様々な経皮アクセス又は外科処置によって橈骨動脈に容易にアクセスすることができる。様々な器具又は介入具を、橈骨台部分及び/又は後方台に乗せる又は広げることができ、その状態で、外科医及び/又は開業医が、カテーテル検査台又は手術台と橈骨台アセンブリとの間に入ることができる。
【0016】
しかしながら、患者の体及び検査台の上及び下に配置されたイメージング装置に対してこの患者の体の位置を変更する必要がある場合は、肢をクレードル部材に固定したまま、検査台をその長さ又は幅のいずれかに沿って移動させることができる。従って、患者の体がイメージング装置に対して及び橈骨台アセンブリに対して移動するときに、外科医又は開業医の邪魔にならずに、クレードル部材(及びこのクレードル部材に乗せられた手及び手首)の支持アームに対する回動及びこの支持アームの橈骨台部分に対する回動によって、患者の肢も、患者の体の位置の変更に対応するように位置が変更され得る。クレードル部材及び支持アームの橈骨台に対するこれらの2つの回動点により、全360度の運動が可能となり得る。あるいは、クレードル部材及び支持アームの一方又は両方の橈骨台部分に対する回動は、所望に応じて、指定の範囲内の回動に限定しても良い。いずれの場合も、患者の体がイメージング装置及び/又は橈骨台アセンブリに対してどのように移動しても、患者の肢の向きが、患者の体に対して自動的に維持され得るため、患者の肢から延びて後方台に乗せられたどの器具又は道具も、患者の体の動きに対応するように動かすのではなく放置することができる。
【0017】
橈骨台アセンブリは、様々なイメージング装置を用いて利用することができるため、このアセンブリは、イメージングシステム、例えば、透視装置を収容するように設計することができる。このようなシステムは、典型的にはCアームを利用し、このCアームは、その両端部に互いに相対して配置された検出器及びX線放射装置を有する。イメージングシステムは、通常は、検査台及び橈骨台アセンブリに対して固定されているが、Cアームは、様々な角度で、下に位置する患者の体の画像を得るために回動調整可能とすることができる。イメージングシステムのこのような動きに対応するために、橈骨台アセンブリは、橈骨台部分及び接合部分を有するように構成することができ、この接合部分は、後方台から一定の距離、例えば、30.48cm(1フィート)から数百cm(数フィート)(又は特に152.4〜182.88cm(5〜6フィート))の任意の距離、片持ち式に延びて、放射装置(又はその他の器具)がこのアセンブリの下に配置されるときにこの台の下に十分なクリアランス距離が画定される。この片持ち機構は、本明細書に図示又は記載される台アセンブリの様々な実施形態のいずれにも採用することができる。橈骨台アセンブリに対する寸法及び大きさは、例示的な例として示され、所望に応じて様々な患者に適合させるために変更又はカスタマイズすることができる。
【0018】
接合部分は、傾斜縁を画定するため、橈骨台部分に調整可能に取り付けることができる。なお別の特徴は、その接合部に沿って後方台に対して折り曲げられる橈骨台部分を含み得る。橈骨台の他のバリエーションは、傾斜縁に沿って整合された1つ以上の固定機構(例えば、クランプなど)によって橈骨台をカテーテル検査台に直接的に固定する又は留めることができる実施形態も含み得る。しかしながら、他のバリエーションは、別個の後方台に取り付けることができる橈骨台アセンブリを含む。
【0019】
追加の特徴及び/又は補助具を組み合わせて使用することができる。例えば、放射線シールドを、橈骨台の縁に沿って取り付けることができる。この放射線シールドを、外科医又は開業医に近い台アセンブリの任意の縁に沿って取り付けて、典型的には患者の体を映像化するために使用されるイメージング装置によって放射され得る、例えば、X線からさらに保護することができる。他の特徴は、クレードル部材に沿って使用されるように構成及び形成された1つ以上のクッション支持体を含むことができ、このクッション支持体は、橈骨台アセンブリに設けても良いし、又は別個としても良い。加えて、台アセンブリもしくは様々な器具と共に使用されるように構成された外科ドレープ、又は後方台もしくは橈骨台に配置可能なディスプレイを、所望に応じて設けることもできる。これらの補助具の全て又はいずれか1つを、橈骨台アセンブリと共にキットに含めて提供しても良いし、又は別個に提供しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】患者支持台に近接して配置され、患者の腕用の回動可能な支持アセンブリを有する橈骨アクセス台の1つのバリエーションの斜視図を示している。
【
図2A】橈骨アクセス台に回動可能に取り付けられた支持アセンブリの別のバリエーションを例示している。
【
図2B】橈骨アクセス台に回動可能に取り付けられた支持アセンブリの別のバリエーションを例示している。
【
図3A】支持アセンブリに支持され、カテーテル検査台から延びた患者の腕の斜視図を示し、どのようにして患者の腕が、カテーテル検査台の動きに対応して固定橈骨アクセス台に対して移動できるかをさらに例示している。
【
図3B】支持アセンブリに支持され、カテーテル検査台から延びた患者の腕の斜視図を示し、どのようにして患者の腕が、カテーテル検査台の動きに対応して固定橈骨アクセス台に対して移動できるかをさらに例示している。
【
図4】どのようにしてイメージングシステム、例えば、透視装置を橈骨アクセス台に対して配置できるかの例示的な図を示している。
【
図5】どのようにして橈骨アクセス台の接合部分をその台の残りの部分に対して構成を変更できるかの斜視図を示している。
【
図6】接合部分及び橈骨台が後方台に対して畳むために構成を変更可能である別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図7】後方台の下に十分なクリアランスを画定する台の脚によって支持されたこの台を例示する別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図8】どのようにして接合部分を橈骨台部分に固定できるかの一例の斜視図を示している。
【
図9】どのようにして橈骨台及び接合部分を後方台に再構成可能に固定できるかの一例の斜視図を示している。
【
図10】どのようにして橈骨台及び接合部分を後方台に再構成可能に固定できるかを例示する別の例の斜視図を示している。
【
図11】支持アセンブリの別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図12A】支持アセンブリを回動可能に固定するための支持アームのバリエーションの側面図を示している。
【
図12B】支持アセンブリを回動可能に固定するための支持アームのバリエーションの端面図を示している。
【
図13A】支持アセンブリの別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図13B】支持アセンブリの別のバリエーションの組立図を示している。
【
図14】橈骨アクセス台に配置された
図13Aの支持アセンブリの斜視図を示している。
【
図15A】カテーテル検査台に固定することができる橈骨アクセス台のなお別のバリエーションの側面図を示している。
【
図15B】カテーテル検査台に固定することができる橈骨アクセス台のなお別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図15C】支持脚を橈骨台に旋回可能又は折り畳み可能に接続することができる別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図15D】どのようにして
図15Aの台をカテーテル検査台に固定できるかの一例を例示する斜視図を示している。
【
図16A】後方台に留める又は固定することができる橈骨アクセス台のなお別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図16B】後方台に留める又は固定することができる橈骨アクセス台のなお別のバリエーションの斜視図を示している。
【
図16D】後方台に固定され、カテーテル検査台に近接して配置された
図16Aの台の斜視図を示している。
【
図17】任意選択のドレープ又はシールドを含む橈骨アクセス台の斜視図を示している。
【
図18】橈骨アクセス台及びこの台と共に使用するために専用に構成することができる任意選択の補助具の組立図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例えば、介入処置での橈骨血管へのアクセスでは、様々な器具、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、血管内バルーン、ステント足場などの安定した挿入経路を形成するために、患者の肢が、典型的には体から離れる方向に伸ばされて固定される。患者の肢、例えば、腕は、通常は、手首が伸びて橈骨静脈が露出するように配置される。
【0022】
橈骨台アセンブリ10の一例が
図1の斜視図に例示されている。
図1は、1つ以上の脚によって支持された後方台12、この後方台12から延びた橈骨台部分14、及びこの橈骨台部分14から、例えば、片持ち式にさらに延びた接合部分16を通常は含む台アセンブリ10を示している。接合部分16は、傾斜縁18を画定することができ、この傾斜縁18により、台アセンブリ10を、カテーテル検査台40に極めて近接して又は隣接して所定の角度で相対的に配置して、患者の肢LM(例えば、腕)を、台40に乗せられた患者の体PTから伸ばすことができる支持台を得ることができる。この台アセンブリ10により、外科医及び開業医が、橈骨動脈を介して処置、例えば、血管造影、経皮的介入などを容易にする楽なやり方で行うことができる。
【0023】
後方台12は、手術台又は支持台を含むことができ、橈骨台部分14は、任意選択でヒンジ結合される接合部又はピボット接合部20に沿って後方台12の遠位縁に取り付けることができ、例えば、30.48〜121.92cm(12〜48インチ)以上の幅、及び、例えば、最大50.8cm(20インチ)以上の長さを有する。接合部分16は、同様に、任意選択でヒンジ結合される接合部又はピボット接合部22に沿って橈骨台部分14の遠位端部に固定することができ、橈骨台部分14と同様の幅を有することができる。接合部分16は、一定距離延びて、その傾斜縁18の遠位端部で終端することができ、この傾斜縁18は、台アセンブリ10の長さ方向に対して、例えば、10度〜90度(又は特に45〜55度)の任意の範囲の角度を有することができる。後方台12及び橈骨台部分14はそれぞれ、放射線不透過性である様々な材料、例えば、ステンレス鋼から構成することができ、接合部分16は、任意選択で抗菌性である又は殺菌することができる放射線透過性材料、例えば、様々なポリカーボネート材料、例えば、Lexan(登録商標)(SABIC Innovative Plastics)、超高分子量ポリエチレン(UHMW)などから構成することができる。接合部分16を放射線透過性材料から構成することにより、イメージング装置、例えば、透視装置(又はその他の適切なイメージング装置)が、必要に応じて患者の肢LMの近位上部を透過して画像化することができる。
【0024】
クレードルアセンブリ24は、接続接合部34、36、38のいずれか1つの中に入れて、橈骨台アセンブリ10に回動可能に固定することができ、これらの接続接合部34、36、38は、例えば、図示されているように橈骨台部分14の近位縁に沿って整合させることができる。クレードルアセンブリ24は、任意選択で、カテーテル検査台40に沿った患者の体PTの位置によって決まる接続接合部34、36、38のいずれか1つの中に配置することができる。クレードルアセンブリ24自体は、通常は、例えば、最大25.4cm(10インチ)以上の長さ及び、例えば、15.24cm(6インチ)以上の幅を有するクレードル部材26を含むことができ、このクレードル部材26は、患者の手首、前腕、及び手HNを楽に受容する凹部を画定するように構成されている。任意選択の近位クレードル部材28は、必要に応じて又は所望に応じて、患者の上腕を支持するために延長アーム30によってクレードル部材26から調整可能に伸ばすことができる。クレードル部材26及び任意選択の近位クレードル部材28はそれぞれ、同様に所望に応じて患者の前腕及び手の画像化をさらに可能にするために、放射線不透過性材料(例えば、ステンレス鋼)又は放射線透過性材料(例えば、ポリカーボネート)のいずれかから形成することができる。
【0025】
クレードルアセンブリ24は、2つの回動点又は関節点を画定することができ、この2つの回動点又は関節点により、クレードルアセンブリ24を接続接合部34に連結する支持アーム32に対するクレードル部材26の回動が可能にとなり、かつ接続接合部34及び橈骨台14に対する支持部材32の回動も可能となる。患者の体PTがカテーテル検査台40に乗せられた状態で、肢LM及び特に手及び手首を伸ばしてクレードル部材26に固定することができ、任意選択で患者の指をクレードル部材26の遠位端部に固定して手首を伸ばす。肢LMを固定して、任意選択でもたれた状態では、様々な経皮アクセス又は外科処置によって橈骨動脈に容易にアクセスすることができる。様々な器具又は介入具を、橈骨台部分14及び/又は後方台12に乗せる又は広げることができ、その状態で、外科医及び/又は開業医が、カテーテル検査台40(又は手術台)と橈骨台アセンブリ10との間に入ることができる。
【0026】
しかしながら、患者の体PT及び検査台40の上及び下に配置されたイメージング装置に対してこの患者の体PTの位置を変更する必要がある場合は、肢LMをクレードル部材26に固定したまま、検査台40をその長さ又は幅のいずれかに沿って移動させることができる。従って、患者の体PTがイメージング装置に対して及び橈骨台アセンブリ10に対して移動するときに、外科医又は開業医の邪魔にならずに、クレードル部材26(及びこのクレードル部材26に乗せられた手及び手首)の支持アーム32に対する回動及び支持アーム32の橈骨台部分14に対する回動によって、患者の肢LMも、患者の体PTの位置の変更に対応するように位置が変更され得る。クレードル部材26及び支持アーム32の橈骨台に対するこれらの2つの回動点により、全360度の運動が可能となり得る。あるいは、クレードル部材26及び支持アーム32の一方又は両方の橈骨台部分14に対する回動は、所望に応じて、指定の範囲内の回動に限定しても良い。いずれの場合も、患者の体PTがイメージング装置及び/又は橈骨台アセンブリ10に対してどのように移動しても、患者の肢LMの向きが、患者の体PTに対して自動的に維持され得るため、患者の肢LMから延びて後方台12に乗せられたどの器具又は道具も、患者の体PTの動きに対応するように動かすのではなく放置することができる。
【0027】
図2A及び
図2Bは、クレードルアセンブリの別のバリエーションの相対運動を例示するこのバリエーションの詳細な斜視図(見やすくするために患者の肢PTは不図示)である。このバリエーションでは、クレードル部材26は、支持アーム52に対して垂直に延びた挿入ロッドを有する支持アーム52(以下に詳述される)を介して橈骨台部分14に連結することができる。支持アーム52の挿入ロッドを受容するための受容開口54を画定する受容支持体50は、接続接合部34内に固定することができる。この例では1つの接続接合部34が示されているが、任意選択で、様々な向きに対応するために橈骨台部分14に沿った様々な位置に様々な追加の接続接合部を配置することができる。第2の受容支持体56がクレードル部材26から延びて、第2の受容支持体56は、支持アーム52から延びた第2の垂直挿入ロッドを受容するための第2の受容開口58を画定することができる。
【0028】
橈骨台アセンブリの中心線60が例示目的で示され、クレードルアセンブリの中心線62も例示目的で示されている。
図2Aは、クレードルアセンブリの中心線62が、橈骨台アセンブリの中心線60に対して最初はどのように向いていたかを示している。検査台40及び患者の体PTが、固定イメージング装置及び固定橈骨台アセンブリ10に対して位置が変更されるときに、患者の腕が、クレードル部材26をそのクレードル回転軸64及びクレードル部材回転軸66を中心に相応に回動させることができる。
図2Bに示されている変更された位置であっても、クレードルアセンブリの中心線62の向きは、橈骨台アセンブリの中心線60に対してなお維持されている。
【0029】
別の例が
図3A及び
図3Bの斜視図に示されている。
図3A及び
図3Bは、検査台40に接触して又は近接して配置された橈骨アクセス台アセンブリ10を例示している。検査台40から延びた患者の肢LMの一例が、最初はクレードル部材26に固定されていることが分かるであろう。検査台40が、例えば、運動方向68及び68’に移動するときに、クレードル部材26が、そのクレードル回転軸64及びそのクレードル部材回転軸66を中心に相応に回動することができ、これにより、クレードル部材26は、橈骨台部分14に対して向き位置が変更されるが、肢LMの向きは、このクレードル部材の維持された向きによって患者の体PTに対して維持される。
【0030】
橈骨台アセンブリ10は、様々なイメージング装置を用いて利用することができるため、このアセンブリ10は、
図4の斜視図に示されているイメージングシステム70、例えば、透視装置を対応するように設計することができる。このようなシステム70は、典型的にはCアーム72を利用し、このCアーム72は、その両端部に互いに相対して配置された検出器74及びX線放射装置76を有する。イメージングシステム70は、通常は、検査台40及び橈骨台アセンブリ10に対して固定されているが、Cアーム72は、様々な角度で、下に位置する患者の体の画像を得るために回動調整可能とすることができる。イメージングシステム70のこのような動きに対応するために、橈骨台アセンブリ10は、橈骨台部分14及び接合部分16を有するように構成することができ、この橈骨台部分14及び接合部分16は、後方台12から一定距離、例えば、30.48cm(1フィート)から数百cm(数フィート)(又は特に152.4〜182.88cm(5〜6フィート))の任意の距離、片持ち式に延びて、放射装置76(又はその他の器具)がこのアセンブリ10の下に配置されるときにこの台の下に十分なクリアランス距離78が画定される。この片持ち機構は、本明細書に図示又は記載される台アセンブリの様々な実施形態のいずれにも採用することができる。橈骨台アセンブリに対する寸法及び大きさは、例示的な例として示され、所望に応じて様々な患者に適合させるために変更又はカスタマイズすることができる。
【0031】
台アセンブリ10の別の特徴が、
図5の斜視図に示されている。
図5は、構成を変更可能な接合部分16を例示している。接合部分は傾斜縁18を画定しているため、接合部分16は、橈骨台部分14に調整可能に取り付けることができる。接合部分16は、橈骨台部分14から完全に取り外すことができるが、図示されているバリエーションは、橈骨台部分14に回動可能に連結することができる接合部分16を例示している。接合部分16は、回動点80を介して橈骨台部分に連結することができ、この回動点80により、傾斜縁18の構成を変更して反対方向にし、橈骨台アセンブリ10を検査台40の反対側、例えば、検査台40の左側から右側に配置できるようになり、患者のどちらの腕からのアクセスも容易になる。1つ以上の嵌め合い要素(mating feature)82、84を接合部22に沿って延出させてこの接合部22を固定し、使用中の接合部分16の橈骨台部分14に対する自由回転を防止することができる。
【0032】
なお別の特徴が、
図6の斜視図に示されている。
図6は、橈骨台部分14を、後方台12に対してその接合部20に沿ってどのようにして折り畳めるかを示している。橈骨台部分14の後方台12に対する固定を解除することにより、この台部分14及び接続接合部16の両方を、保管するため又は後方台12のみが処置に利用される場合に接合部20に沿った1つ以上のピボット又はヒンジによって折り畳むことができる。使用する際は、1つ以上の橈骨台嵌め合い要素86、88を接合部20に沿って延出させて、この接合部20を橈骨台部分14と後方台12との間に固定することができる。
【0033】
図5に示されている回動可能な接合部分16及びピボット橈骨台部分14の両方を一緒に又は別々に、本明細書に記載の任意の実施形態に実施可能な任意の組み合わせで含めることができることを意図する。例えば、
図3A〜
図3B及び
図4〜
図6に示され、説明されている各特徴を、所望に応じて橈骨台アセンブリの1つの実施形態にまとめることができる。
【0034】
図7は、橈骨台アセンブリのなお別のバリエーションの斜視図を示している。この例では、後方台12は、その遠位端部から垂直に延出した1つの台支持体90を利用することができる。遠位端部での台支持体90の位置調整により、橈骨台部分14及び接合部分16の下並びに後方台12の下にも十分なクリアランス空間92を画定することができる。
【0035】
図8は、接合部分16と橈骨台部分14との間にある、上記の
図5に示されている回動のピボット点を実施するための1つのバリエーションの斜視図を示している。支持部材100は、橈骨台部分に沿って画定された受容カラー102内への回動可能な挿入のために接合部分16から剛性に延ばすことができる。支持部材100の遠位部分は、カラー102との間に付勢部材104、例えば、ばねを固定できるようにこのカラー102を超えて延出することができる。付勢部材104は、接合部分16を橈骨台部分14に対して維持するが、支持部材100及び接合部分16のカラー102を中心とした回動をなお許容する付勢力を加えることができる。
【0036】
接合部分16の回動に加えて、
図9は、上記の
図6に示されている橈骨台部分14と後方台12との間にあるピボット接合部を実施するための1つのバリエーションの斜視図を示している。このバリエーションでは、ロックブラケット106を、橈骨台部分14と後方台12との間に固定することができる。このようなブラケット106は、橈骨台部分14の片持ち位置及び折り畳まれた位置への位置変更を選択的に行えるようにヒンジ結合することができる。
図10は、橈骨台部分14と後方台12との間のピボット接合部を実施するための別のバリエーションを示している。このバリエーションでは、1つ以上のスライドボルト108、108’を、橈骨台部分14又は後方台12のいずれかに沿って画定された対応する受容溝110、110’内に固定するために後方台12に対して延出させる又は引き戻すことができる。1つ以上のスライドボルト108、108’が引き戻されると、橈骨台部分14を下げることができる、1つ以上のスライドボルト108、108’が延出すると、橈骨台部分14をその片持ち構造に固定することができる。
【0037】
ここでクレードルアセンブリに戻ると、
図11は、1つ以上の任意選択のロックつまみ120、122を有するクレードルアセンブリの別のバリエーションの斜視図を示している。このようなロックつまみ122は、必要に応じて、クレードル部材26の自由回動もしくは抵抗のある回動、又はクレードル部材26の完全なロックを行うことができる。ロックつまみ120はまた、近位クレードル部材28の位置を調整する際に延長アーム30の選択的なロックを行うことができる。このバリエーションにはまた、湾曲支持アーム124も示されており、この湾曲支持アーム124は、橈骨台部分内に画定された接続接合部とクレードル部材26との間に回動可能に延在させることができる。支持アーム124は、下側の橈骨台部分14からのクレードル部材26の高さを変更するために、曲げたり伸ばしたりすることができる弓状アームとすることができる。
【0038】
支持アームのなお別のバリエーションにおいて、
図12A及び
図12Bはそれぞれ、長方形の断面積及び長さ、例えば、約15.24〜17.78cm(6〜7インチ)の長さを有する支持アーム52の側面図及び端面図を示している。挿入ロッド130は、支持アーム52から垂直に延ばすことができ、かつクレードルアセンブリ24の受容支持体56内に回動可能に挿入することができる。同様に、挿入ロッド132は、挿入ロッド130とは反対の方向に支持アーム52から垂直に延ばすことができ、かつ接続接合部34の中に、又は橈骨台14内に画定された他の接続接合部のいずれか1つの中に回動可能に挿入することができる。接合カラー134を、受容支持体50に接触するように、支持アームに隣接した挿入ロッド132の周りに画定することもできる。1つ以上の接触突出部136を接合カラー134から突出させて、特に患者の肢LMの重量が支持アーム52に支持される場合に、支持アーム52の接続接合部34に対する回動を容易にすることもできる。
【0039】
図13A及び
図13Bはそれぞれ、クレードルアセンブリのなお別のバリエーションの斜視図及び組立図を示している。このバリエーションでは、クレードル部材26及び支持アーム52を、橈骨台部分14とは別個のベース140に回動可能に連結することができる。図示されているベース140は、構造的完全性を得るために1つ以上のガセット144を有することができ、挿入ロッド通路142、及びこの挿入ロッド通路142から延びた任意選択の固定機構146をさらに画定することができる。このバリエーションでは、クレードル部材26及びベース140は、橈骨台又は別の支持台に配置することができる。
図14は、台支持体152によって支持された後方台12に配置されたクレードル部材26及びベース140を有する橈骨台アセンブリの斜視図を示している。接合部分150は、このバリエーションでは放射線透過性であり、後方台12よりも厚く形成されているが、接合部分150の厚さは適宜薄くすることができる。
【0040】
ここで台アセンブリに戻ると、
図15A及び
図15Bはそれぞれ、他のバリエーションに類似した橈骨台部分162及び接合部分164から通常は構成される橈骨台アセンブリ160のなお別のバリエーションの側面図及び斜視図を示している。しかしながら、このバリエーションは、傾斜縁に沿って整合された1つ以上の固定機構166(例えば、クランプなど)を介してカテーテル検査台40に直接的に固定する又は留めるように構成することができる。橈骨台部分162の遠位端部は、任意選択の折り畳み又はピボット機構170を介して台に連結することができる支持体168によって支持することができ、この折り畳み又はピボット機構170により、支持体168を台部分162に対して旋回させて、
図15Cの斜視図に示されている固定機構172、例えば、クランプによって固定することができる。
図15Dは、接合部分164を、どのように固定機構166によって検査台40の側面に沿って取り付けて一定の角度で延在させることができるか例示する斜視図を示している。患者PTは、必要に応じて橈骨にアクセスできるように自身の腕を接合部分164に沿って伸ばすことができる。また、検査台40を移動させて患者のイメージング装置に対する位置を変更するときに、橈骨台アセンブリ160がこの台40と共に移動することができる。このバリエーションでもなお、クレードルアセンブリを、既に記載されたように使用するために橈骨台部分162に配置することができる。
【0041】
図16A及び
図16Bは、別個の後方台に固定することができる別の台アセンブリのバリエーションの斜視図を示している。図示されている橈骨台アセンブリ180は、通常は、接合部分150及び後方台に固定するための固定機構192、194並びに支持アーム184、186を有する橈骨台182を含むことができ、この支持アーム184、186は、対応するクランプ機構188、190を介した後方台の脚又は支持体へのさらなる固定のために、例えば、一定の角度で橈骨台182から延ばすことができる。
図16Cは、どのように橈骨台182を固定機構192、194を介して別個の後方台198に留めることができるかを例示している。支持アーム184、186は、後方台198の台の脚196への取り付けのために橈骨台182から延びていることが分かるであろう。使用の際は、
図16Dの斜視図に示されているように、後方台198に取り付けられた橈骨台アセンブリ180を、傾斜接合部分150を検査台40に位置合わせして検査台40に配置することができる。クレードルアセンブリは、本明細書に記載される要領で患者PTに使用するために橈骨台182上に配置する、又は橈骨台182に回動可能に固定することができる。
【0042】
台アセンブリに加えて、追加の特徴及び/又は補助具を組み合わせて使用することができる。一例が、
図17の斜視図に示されている。
図17は、橈骨台の縁204に沿って取り付けることができる1枚のカーテンもしくはシート又は多数の個々のシールドストリップ202から構成することができる放射線シールド200を示している。この放射線シールド200を、外科医又は開業医に近い台アセンブリの任意の縁に沿って取り付けて、典型的には患者の体を映像化するために使用されるイメージング装置によって放射され得る、例えば、X線からさらに保護することができる。
【0043】
図18は、橈骨台アセンブリと組み合わせて使用することもできる追加の特徴及び/又は補助具の組立図を示している。例えば、クレードル部材26に沿って使用されるように構成及び形成された1つ以上のクッション支持体210を橈骨台アセンブリに設けても良いし、又は別個としても良い。加えて、台アセンブリもしくは様々な器具と共に使用されるように構成された外科ドレープ212、又は後方台12もしくは橈骨台14に配置可能なディスプレイ214を、所望に応じて設けることもできる。これらの補助具の全て又はいずれか1つを、橈骨台アセンブリと共にキットに含めて提供しても良いし、又は別個に提供しても良い。
【0044】
さらに、本明細書に記載される個々の特徴のいずれも、実施可能なその他の特徴との様々な組み合わせで利用できることをさらに意図するものである。
【0045】
上述のデバイス及び方法の適用は、腕の支持に限定されるものではなく、様々なさらなる適用を含み得る。さらに、このようなデバイス及び方法は、体の他の部分にも適用することができる。本発明を実施するための上記のアセンブリ及び方法の変更、実施可能な様々なバリエーションの組み合わせ、並びに当業者に明らかな本発明の態様のバリエーションは、特許請求の範囲内であるものとする。