(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103441
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】和太鼓
(51)【国際特許分類】
G10D 13/00 20060101AFI20170316BHJP
G10D 13/02 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
G10D13/00 171
G10D13/02 101
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-114531(P2014-114531)
(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公開番号】特開2015-228008(P2015-228008A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】514138684
【氏名又は名称】株式会社千周
(74)【代理人】
【識別番号】100096839
【弁理士】
【氏名又は名称】曽々木 太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 周一
【審査官】
千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−146542(JP,A)
【文献】
特開2009−031359(JP,A)
【文献】
特開2009−294368(JP,A)
【文献】
特開2008−191486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/00
G10D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴の両端に鼓面を有する和太鼓であって、
皮をボルト・ナット留めする皮固定リングと、皮の張り具合を調節する張り調節用ロッドとを備え、
前記皮固定リングは、前記胴の端部の外径より大きな内径を有し、
前記張り調節用ロッドは、両端部に張り調節用ボルトと螺合される雌ネジ部を有し、かつ、前記皮固定リング間に配設され、
前記皮固定リングの外側に外側リングを一体化させて備えてなる
ことを特徴とする和太鼓。
【請求項2】
皮が耐水性を有するものとされてなることを特徴とする請求項1記載の和太鼓。
【請求項3】
皮固定リングの外周に飾り紐を通すための切欠きが形成されてなることを特徴とする請求項1記載の和太鼓。
【請求項4】
張り調節用ロッドに螺合されているボルトのネジ込量を調節することにより皮の張り具合が調整されてなることを特徴とする請求項1記載の和太鼓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は和太鼓に関する。さらに詳しくは、安価に制作でき、しかも皮の張り具合の調節も容易な和太鼓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、打楽器の一種として和太鼓が知られている。この和太鼓においては、木製胴の両端(または一端)側面に鼓面を構成する皮が張設状態で直接鋲留め固定されている。そのため、和太鼓の制作が煩雑となるとともに、制作に長期を要している。その結果、和太鼓の価格が高くなっている。
【0003】
また、皮が胴側面に直接鋲留めされているため、使用中に皮が緩んだ場合の張り直しなども煩雑となっている。
【0004】
かかる従来の和太鼓の欠点を解消すべく、特許文献1には、手軽に皮の張りが調節できる和太鼓が提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1には、ジャッキを和太鼓に装着するような構成とされているため、構成の複雑化を招来して価格のより一層の上昇を招来しているという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−263153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、制作期間が短縮でき、しかも手軽に皮の張りも調節できる和太鼓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の和太鼓は、胴の両端に鼓面を有する和太鼓であって、 皮をボルト・ナット留めする皮固定リングと、皮の張り具合を調節する張り調節用ロッドとを備え、前記皮固定リングは、前記胴の端部の外径より大きな内径を有し、前記張り調節用ロッドは、両端部に張り調節用ボルトと螺合される雌ネジ部を有し、かつ、前記皮固定リング間に配設され
、前記皮固定リングの外側に外側リングを一体化させて備えてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の和太鼓においては、皮が耐水性を有するものとされてなるのが好ましい。
【0011】
また、本発明の和太鼓においては、皮固定リングの外周に飾り紐を通すための切欠きが形成されてなるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の和太鼓においては、張り調節用ロッドに螺合されているボルトのネジ込量を調節することにより皮の張り具合が調節されてなるものとされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の和太鼓は、前記の如く構成されているので、和太鼓の制作期間を短縮でき、その制作コストも低減されるという優れた効果を奏する。また、本発明の和太鼓は、前記の如く構成されているので、皮の張り具合の調節も容易になし得るという優れた効果を奏する
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1に係る和太鼓の正面図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係るリングの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0016】
実施形態1
本発明の実施形態1に係る和太鼓Dを
図1ないし
図4に示す。
【0017】
和太鼓Dは、
図1ないし
図4に示すように、胴1と、皮2と、皮2を固定する皮固定リング3と、張り調節用ロッド4とを主要構成要素として備え、皮2を皮固定リング3にボルトBとナットNとによるボルト・ナット留めするとともに、皮2の張り具合を張り調節用ロッド4へのボルト(張り調節用ボルト)Bのネジ込量によって調節するようにされてなるものとされる。
図3中、符号Wは座金を示す。
【0018】
胴1は、合板を円筒状に成形してなるものとされる。
【0019】
皮2は円盤状素材の周囲にボルト用孔(明瞭には図示はされていない)が所要数形成されてなるものとされる。皮2の素材としては、従来より和太鼓に用いられているものを用いてもよいが、ドーム球場の屋根に用いられている天幕用素材とされるのが、雨天の屋外でも使用できる耐水性を備える点から好ましい。
【0020】
皮固定リング3は、皮2に設けられたボルト用孔に対応させたボルト用孔(
図5参照)が所要数形成されてなる平板状とされる。皮固定リング3の外周にはパイプをリング状に形成してなるリングパイプ(外側リング)5が溶接などにより一体化させて配設されている。このリングパイプ5は、例えば把持用取っ手として利用される。なお、このリングパイプ5は、必要に応じて設けられればよく、必ずしも設けられる必要はない。また、外側リングは中実材とされてもよい。
【0021】
張り調節用ロッド4は、両端部に雌ネジが形成されてなるものとされる。張り調節用ロッド4の長さは、皮固定リング3,3間に配設されるように調節されている。張り調節用ロッド4の本数は、図示例においては、5本とされているが、張り調節用ロッド4の本数は5本に限定されるものではなく、4本から10本の範囲で適宜とされる。なお、張り調節用ロッド4は、中空材とされてもよく、中実材とされてもよい。
【0022】
次に、かかる構成とされた和太鼓Dの制作手順の一例について説明する。
【0023】
手順1:皮2を皮固定リング3にボルト・ナット留めする。
【0024】
手順2:ボルト・ナット留めされた皮2の一方を台の上に裏面(ナット側)を上に向けて載置する。
【0025】
手順3:胴1を台に載せられた2の上に載置する。
【0027】
手順5:張り調節用ロッド4を胴1に沿わせて皮固定リング3,3間に配設する。
【0028】
手順6:張り調節用ロッド4の両端に皮固定リング3を挿通させたボルト(張り調節用ボルト)Bを螺合する。
【0029】
手順7:ボルト(張り調節用ボルト)Bのネジ込量を調節して皮2の張り具合を調節する。
【0030】
これにより、和太鼓Dの制作が終了する。
【0031】
このように、本実施形態によれば、和太鼓Dを手軽に制作することができ、和太鼓Dの制作期間および制作コストを著しく低減できる。また、使用して皮2が弛んでもボルト(張り調節用ボルト)Bをネジ込むだけで弛みを解消できるので、素人でも手軽に張り具合の調節がなし得る。さらに、皮2の固定がボルト・ナット留めによりなされているので、皮2の張り替えも手軽にできる。
【0032】
実施形態2
本発明の実施形態2の要部を
図5に示す。実施形態2は実施形態1を改変してなるものであって、
図5に示すように、皮固定リング3の外周に飾り紐を通す切欠き3aを所要数形成してなるものとされる。
図5中、符号3bはボルト用孔を示す。
【0033】
なお、実施形態2のその余の構成および作用・効果は実施形態1と同様とされている。
【0034】
図6に、飾り紐が装着された和太鼓Dを写真で示す。
【0035】
このように、本実施形態によれば、和太鼓Dの周囲に飾り紐が装着されているので、和太鼓Dの意匠性が向上する。
【0036】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。
【0037】
例えば、和太鼓Dの制作手順は前記に限定されるものではなく、他の手順とすることもできる。例えば、数本の張り調節用ロッド4,4,・・・の両端にボルトBを螺合させた後に、胴1を皮2,2間にセットするようにされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は太鼓産業に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 胴
2 皮
3 皮固定リング
3a 切欠き
4 張り調節用ロッド
5 リングパイプ(外側リング)
D 和太鼓