(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103451
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】カバン
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
A45C3/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-119144(P2015-119144)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-531(P2017-531A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】396020006
【氏名又は名称】株式会社ウノフク
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】卯野 隆也
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−124821(JP,U)
【文献】
実開平06−081323(JP,U)
【文献】
実開平01−170124(JP,U)
【文献】
国際公開第2005/089590(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3167299(JP,U)
【文献】
特開2003−102531(JP,A)
【文献】
特開平09−173120(JP,A)
【文献】
実開平04−128624(JP,U)
【文献】
*.archive.org,2012年 6月 7日,URL,https://web.archive.org/web/20120607045847/http://www.yoshidakaban.com/product102344.html?
【文献】
*.archive.org,2015年 5月25日,URL,https://web.archive.org/web/20150525051058/http://www.ace-company.net/shop/item/?shop_id=coolcat&item_number=707-06127
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納するカバン本体部と、
前記カバン本体部の一の面に一端が固設され、他端が係止具を有し、使用者の右肩又 は左肩のいずれか一方に掛ける背負いベルトと、
前記カバン本体部の一の面に一端が固設され、他端が前記係止具と着脱可能に係止す る取付具を有する支持部と、
前記カバン本体部の一の面と一端側で固設され、他端側にカバン本体係合部と着脱可 能に止着する止着部を有し、対向する二辺にそれぞれ設けられた前記カバン本体部と 係止可能である係止線ファスナーにより前記カバン本体部との間に前記取付具及び前 記支持部の全てを収容して覆い得る背当て部と、
前記カバン本体部の側面に設けられた第一ハンドルと、
前記第一ハンドルが設けられた側面とは異なる側面に設けられた第二ハンドル
を備えることを特徴とするカバン。
【請求項2】
前記背負いベルトを使用するときに、
前記取付具及び前記支持部が前記背当て部から露出した状態で、前記背当て部が、前 記止着部とカバン本体係合部の止着により前記カバン本体部を覆っていることを特徴 とする請求項1に記載のカバン。
【請求項3】
前記取付具及び前記支持部が、前記カバン本体部の一の面における対向する辺に一対 設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカバン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手提げ、肩掛け、背負いなどの複数の保持方法を使い分けることができる鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手に提げたり、肩に掛けたり、背中で背負ったりなどの使用者の好みに応じて複数の形態に変化させて使用することができるカバンが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、手提げバッグとして使用するときに用いられる取手4や、補助側面体3の周囲のオープンファスナー6を開いて補助側面体3を取り外してバッグ本体1から完全に分離して、背負いバッグとして使用するために用いられる背負紐2を備えたバッグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−81323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のバッグでは、背負いバッグにするために、背負紐2などを隠ぺいする補助側面体3の周囲のオープンファスナー6を開いて補助側面体3を取り外してバッグ本体1から完全に分離する必要があるため、補助側面体3をそのバッグに収納するが他の場所に直しておかなければならないので、補助側面体3を紛失しやすいという問題があった。
【0006】
そして、特許文献1のバッグでは、背負いバッグとして使用するときには、左右両方に位置する背負紐2を使用者の右肩及び左肩の両方に掛けることとなるが、背負紐2を右肩及び左肩の両方に掛けた状態で走ったりすると、背負紐2が両肩から外れそうになるために両手で左右両方の背負紐2を手で押させておく必要があり走りにくいなどの課題があった。
【0007】
そのため、本発明では、手に提げたり、肩に掛けたり、背中で背負ったりなどの使用者の好みに応じて複数の形態に変化させて使用することができるカバンにおいて、背負いカバンとして使用するときにはカバン本体から完全に分離するような部材を設けず、さらに、背負った状態で走ったり激しい動きをしても体に保持できるカバンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、本発明は、物品を収納するカバン本体部1と、カバン本体部1の 一の面に一端が固設され、他端が係止具21を有し、使用者の右肩又は左肩のいずれ か一方に掛ける背負いベルト2と、カバン本体部1の一の面に一端が固設され、他端 が係止具21と着脱可能に係止する取付具31を有する支持部3と、カバン本体部1 の一の面と一端側で固設され、他端側にカバン本体係合部11と着脱可能に止着する 止着部41を有し、
対向する二辺にそれぞれ設けられた前記カバン本体部と係止可能 である係止線ファスナーにより前記カバン本体部との間に取付具31及び支持部3の 全てを
収容して覆い得る背当て部4と、前記カバン本体部の側面に設けられた第一ハ ンドル5と、前記第一ハンドルが設けられた側面とは異なる側面に設けられた第二ハ ンドル6を備えることを特徴とするカバンである。
【0009】
〔2〕そして、背負いベルト2を使用するときに、取付具31及び支持部3が背当て部4から露出した状態で、背当て部4が、止着部41とカバン本体係合部11の止着によりカバン本体部1を覆っていることを特徴とする前記〔1〕に記載のカバンである。
【0010】
〔3〕そして、取付具31及び支持部3が、カバン本体部1の一の面における対向する辺に一対設けられていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載のカバンである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカバンによれば、肩に掛けたり、背中で背負ったりなどの使用者の好みに応じて複数の形態に変化させて使用することができるカバンにおいて、背負いカバンとして使用するときにはカバン本体から完全に分離するような部材を設けず、さらに、背負った状態で走ったり激しい動きをしても体に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のカバンにおいて、手提げ形態における正面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明のカバンにおいて、手提げ形態における背面側から見た斜視図である。
【
図3】本発明のカバンにおいて、背当て部をカバン本体から開いた背面図である。
【
図4】本発明のカバンにおいて、背負い形態における背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るカバンに関する実施の形態について、添付の図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。そして、数値範囲を表す表現は下限と上限を含有するものである。
【0014】
図1〜
図4に示すように、本発明のカバンは、内部に種々の物品を収納し得るカバン本体部1と、背負いカバンとしてカバン本体部1を背負うときに用いる背負いベルト2と、背負いベルト2の端部を着脱可能に係止する取付具31と、その取付具31が設けられている支持部3と、カバン本体部1と着脱可能に設けられている背当て部4などを備えている。
【0015】
カバン本体部1は、物品を収納する部材であり、本実施形態において矩形状を有している。なお、カバン本体部1は、本実施形態において矩形状であるが、他の実施形態において略台形状、正方形などの矩形状以外の多角形状などとすることもできる。
【0016】
そして、カバン本体部1の一の面には、背当て部4を止着するために、磁気を有する円形状のカバン本体係合部11を有している。後述する背当て部4に設けられた止着部41と磁力により必要に応じて着脱することができる。また、カバン本体係合部11は、本実施形態において磁力により止着部41と着脱することができるが、止着部41と互いに嵌合して着脱できるボタンとすることもできるし、止着部41と着脱できる面ファスナーとすることもできるし、止着部41と係合しており着脱できるフックなどとすることもできる。
【0017】
そして、
図1、
図2に示すように、カバン本体部1の内部に種々の物品を収納したり、又は内部から種々の物品を取り出したりするために、カバン本体部1の3つの側面に亘り開閉線ファスナー12が設けられている。
【0018】
図3、
図4に示すように、背負いベルト2は、カバン本体部1の一の面に一端が固設されており、他端が係止具21を有しており、使用者の片側の肩に掛けうる部材であり、本実施形態において帯状を有している。カバン本体部1の側面に設けられた二つの第一ハンドル5やカバン本体部1の側面に設けられた一つの第二ハンドル6を用いて手提げカバンとして使用するときには、又は、カバン本体部1の側面両側に設けられたD字状の係止環7と係止する図示しない帯状ベルトを用いて片側の肩にひっかけて肩掛けカバンとして使用するときには、背負いベルト2は、背当て部4に覆われるようにして背当て部4とカバン本体部1との間に収められている。一方、背負いカバンとして使用するときには、
図3に示すように、背当て部4とカバン本体部1とをより確実に繋ぎとめている係止線ファスナー8を操作し開き止着部41をカバン本体係合部11から外して背当て部4をカバン本体部1の一の面より開けてから、背負いベルト2、係止具21、支持部3、取付具31が露出するようにして、
図4に示すように、背当て部4をカバン本体部1の一面に覆い、係止線ファスナー8の一方を閉じ止着部41をカバン本体係合部11に止着する。このようにして、背負いベルト2を使用者の右肩又は左肩から、たすき掛けにして背負うことができる。
【0019】
上述したように、本実施形態のカバンを、カバン本体部1の側面に設けられた二つの第一ハンドル5を用いて手提げカバンとして使用することができ、第一ハンドル5とは異なるカバン本体部1の側面に設けられた一つの第二ハンドル6を用いて異なるタイプの手提げカバンとして使用することができ、そして、カバン本体部1の側面両側に設けられたD字状の係止環7と係止する図示しない帯状ベルトを用いて片側の肩にひっかけて肩掛けカバンとして使用することができ、さらに、カバン本体部1の一の面に設けられている背負いベルト2を用いて背負いカバンとして使用することができるので、合計4種類の使用方法がある。
【0020】
背負いベルト2の他端には、係止具21が取り付けられており、カバン本体部1に設けられた取付具31と着脱可能に係止することができる。係止具21は、
図3、
図4に示すように、本実施形態において、スナップフックを用いており、簡便に取付具21と着脱することができる。
【0021】
支持部3は、カバン本体部1の一の面に固設されており、取付具31を備える部材である。支持部3は、
図3に示すように、本実施形態において、カバン本体部1の一の面において、カバン本体部1の対向する辺の両方に取り付けられている。
【0022】
取付具31は、支持部3の他端側に取り付けられて、係止具21と着脱可能に係止する部材である。取付具31は、本実施形態において、環状の形状をしており、スナップフックである係止具21と容易に着脱することができるようになっている。そして、
図3に示すように、本実施形態において、取付具31も、支持部3と同様にカバン本体部1の一の面において、カバン本体部1の対向する辺の両方に取り付けられている。これにより、使用者は背負いベルト2に取り付けられた係止具21をどちらかの取付具31と係止させて、右肩に背負いベルト2を掛けてたすき掛けにするか、左肩に背負いベルト2を掛けてたすき掛けにするか選ぶことができる。
【0023】
さらに、
図2に示すように、支持部3及び取付具31は、手提げカバン、肩掛けカバンとして使用するときには、背当て部4に覆われているため露出していない。これにより、手提げカバン、肩掛けカバンとして使用するときに、支持部3及び取付具31が意図せずに突起物などに引っ掛かり、ちぎれたり、破損したりすることがないという効果を奏する。
【0024】
背当て部4は、カバン本体部1の一の面の一端側でカバン本体部1に固設され、カバン本体部1の一の面の他端側で、止着部41を介してカバン本体部1と着脱可能であり、カバン本体部1の一の面に設けられている支持部3と取付具31の全てを覆い得る部材である。本実施形態において、背当て部4は、カバン本体部1の一の面の面積より一回り小さい矩形状でカバン本体部1の厚みよりも薄い部材で構成されている。また、背当て部4には、背負いカバンとして使用するときに使用者の背中の痛みを緩和するためにクッション材が内包されている。
【0025】
そして、止着具41は、背当て部4におけるカバン本体部1と固設されている一端側とは異なる他端側に設けられており、カバン本体部1のカバン本体係合部11と着脱可能に止着しうる部材である。本実施形態において、カバン本体係合部11と磁力により必要に応じて着脱することができる。また、止着具41は、本実施形態において磁力により止着部41と着脱することができるが、カバン本体係合部11と互いに嵌合して着脱できるボタンとすることもできるし、カバン本体係合部11と着脱できる面ファスナーとすることもできるし、カバン本体係合部11と係合しており着脱できるフックなどとすることもできる。
【0026】
また、背当て部4における対向する二辺には、カバン本体部1と係止可能である係止線ファスナー8が設けられている。係止線ファスナー8により、手提げカバン、肩掛けカバンとして使用しているときなどにおいて、背当て部4とカバン本体部1とを確実に固定することができ、支持部3及び取付具31が背当て部4からはみ出して意図せずに突起物などに引っ掛かり、ちぎれたり、破損したりすることがないようにすることができる。
【0027】
図1、
図2などに示すように、第一ハンドル5は、矩形状のカバン本体部1における長手方向に沿う側面に設けられた略コの字状の部材であり、対向して二つ設けられている。カバン本体部1を横長状の手提げカバンとして使用するときに手で握る部材である。また、第二ハンドル6は、矩形状のカバン本体部1における短手方向に沿う側面に設けられた帯状の部材である。カバン本体部1を縦長状の手提げカバンとして使用するときに手で握る部材である。
【0028】
係止環7は、矩形状のカバン本体部1における短手方向に沿う側面に設けられたリング状の部材であり、カバン本体部1の両側に設けられている。図示しない長さ調節可能で両端にスナップフックなどを有する帯状のベルトを用いて両端を係止環7と係止して、肩掛けカバンとして使用するときに肩に掛ける部材である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・カバン本体部
11・・・カバン本体係合部
12・・・開閉線ファスナー
2・・・背負いベルト
21・・・係止具
3・・・支持部
31・・・取付具
4・・・背当て部
41・・・止着部
5・・・第一ハンドル
6・・・第二ハンドル
7・・・係止環
8・・・係止線ファスナー