(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体側部材に固定された第1板を含み、前記第1板に、第1樹脂ピン挿通孔と二次衝突時のコラム移動方向に延びる長孔からなる第1ボルト挿通孔とが形成された固定ブラケットと、
一端に操舵部材が連結されたステアリングシャフトを回転可能に支持する可動ジャケットと、
二次衝突時に前記可動ジャケットと共に前記コラム移動方向に移動するように前記可動ジャケットを支持し、前記第1板の下面に対向する第2板を含み、前記第2板に、第2樹脂ピン挿通孔と第2ボルト挿通孔とが形成された可動ブラケットと、
前記第1板の上面に沿い第3ボルト挿通孔と樹脂ピン視認孔とが形成されたスライド板と、前記第3ボルト挿通孔と前記第1ボルト挿通孔と前記第2ボルト挿通孔とを順次に挿通して前記第1板と前記第2板とを連結することで前記可動ブラケットを介して前記可動ジャケットを吊り下げる吊り下げボルトと、を含み、二次衝突時に対応するコラム移動方向に移動可能な吊り下げ機構と、
前記樹脂ピン視認孔に対向する軸方向端面を有し、前記第1樹脂ピン挿通孔と前記第2樹脂ピン挿通孔とを挿通して前記第2板を前記第1板の所定位置に連結し、二次衝突時に前記第2板を前記所定位置から前記コラム移動方向へ離脱させる樹脂ピンと、
前記吊り下げ機構により吊り下げられた部材によって直接または間接的に受けられた状態で前記樹脂ピンに嵌合された、前記樹脂ピンよりも高硬度のカラーと、を備え、
前記樹脂ピンまたは前記カラーの何れか一方は、前記スライド板を直接または間接的に付勢する軸方向の弾性突起を二次衝突の際に樹脂ピン視認孔がコラム移動方向を通過する範囲を避けた位置に設けていることを特徴とするステアリング装置。
請求項1において、前記第1樹脂ピン挿通孔の内周および前記カラーの外周が、前記コラム移動方向とは直交する方向に長い横長形状とされることにより、前記第1樹脂ピン挿通孔によって前記カラーの回転が規制され、
前記樹脂ピンは、前記カラーを挿通する軸部と、前記軸部の一端に連結された頭部フランジと、を含み、
前記頭部フランジは、前記スライド板に対向する第1面と、前記カラーの端面に対向する第2面と、有し、
前記弾性突起は、前記頭部フランジの第1面において、前記樹脂ピン視認孔を避けた位置に配置され、
前記頭部フランジの第2面と前記カラーの端面との少なくとも一方に設けられた回転規制凸部が他方に設けられた回転規制凹部に嵌合することにより、前記樹脂ピンと前記カラーとの相対回転が規制されているステアリング装置。
請求項1において、前記カラーは、前記第1樹脂ピン挿通孔に配置されて前記樹脂ピンにプレスフィットされた第1カラーと、前記第2樹脂ピン挿通孔に配置されて前記樹脂ピンにルーズフィットされた第2カラーと、を含み、
前記弾性突起は、前記第1カラーと前記第2カラーとの対向面の少なくとも一方に設けられているステアリング装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施形態の添付図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結されたステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有する転舵軸としてのラック軸8とを備えている。
【0019】
ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、操舵機構A1が構成されている。ラック軸8は、車体側部材9に固定されたハウジング10によって、車両の左右方向に沿う軸方向(紙面とは直交する方向)に移動可能に、支持されている。ラック軸8の各端部は、図示していないが、対応するタイロッドおよび対応するナックルアームを介して対応する転舵輪に連結されている。
【0020】
ステアリングシャフト3は、例えばスプライン結合を用いて、同行回転可能に且つ軸方向に相対移動可能に連結されたアッパーシャフト11およびロアーシャフト12を有している。ステアリングシャフト3は、車体側部材13,14に固定されたステアリングコラム15によって、図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。
ステアリングコラム15は、軸方向に相対移動可能に嵌め合わされた筒状のアッパージャケット16(可動ジャケット)と、筒状のロアージャケット17と、ロアージャケット17の軸方向下端に連結されたハウジング18とを備えている。ハウジング18内には、操舵補助用の電動モータ19の動力を減速してロアーシャフト12に伝達する減速機構20が収容されている。減速機構20は、電動モータ19の回転軸(図示せず)と同行回転可能に連結された駆動ギヤ21と、駆動ギヤ21に噛み合いロアーシャフト12と同行回転する被動ギヤ22とを有している。
【0021】
本実施の形態では、ステアリング装置1が電動パワーステアリング装置に適用された例に則して説明するが、本発明をマニュアルステアリング装置に適用するようにしてもよい。また、本実施の形態では、ステアリング装置1がチルト調節可能である場合に則して説明するが、本発明をチルト調整機能を持たないステアリング装置に適用するようにしてもよいし、チルト調整可能でテレスコピック調整可能なステアリング装置に適用してもよい。
【0022】
概略断面図である
図2に示すように、ステアリング装置1は、固定ブラケット23によって、可動ブラケットとしてのチルトブラケット24を介してアッパージャケット16を吊り下げる一対の吊り下げ機構T1,T2を備えている。すなわち、
図1および
図2に示すように、車体側部材13に固定された固定ブラケット23に、可動ブラケットとしてのチルトブラケット24が、一対の吊り下げ機構T1,T2の吊り下げ軸としての吊り下げボルト25を介して吊り下げられている。一方、ステアリングコラム15のアッパージャケット16には、コラムブラケット26が固定されている。
【0023】
図1および
図2に示すように、ステアリング装置1は、操作レバー27の操作に応じて、締付軸28によってチルトブラケット24を介して、チルト調整後のコラムブラケット26の位置(ひいてはアッパージャケット16および操舵部材2の位置)をロックしたりロックを解除したりするロック機構29を備えている。
図2、
図3に示すように、チルトブラケット24は、一対の側板41を備えており、
図2に示すように、コラムブラケット26は、チルトブラケット24の一対の側板41にそれぞれ対向する一対の側板71と、一対の側板71の下端間を連結する連結板72とを備えた溝形をなしている。
【0024】
図2を参照して、締付軸28は、チルトブラケット24およびコラムブラケット26の側板41,71を貫通するボルトからなる。締付軸28に螺合するナット73を、操作レバー27の回転操作によって回転させることにより、締付軸28としてのボルトの頭部とナット73との間に、両側板41,71を締め付け、両側板41,71をロックする。これにより、チルト調整後の操舵部材2の位置をロックし、チルトロックを達成するようにしている。
【0025】
また、ステアリング装置1は、固定ブラケット23の第1板30とチルトブラケット24の第2板32とを連結し、二次衝突時に、第2板32を第1板30の所定位置(
図9に示される位置)から
図10に示すようにコラム移動方向X1へ離脱させる連結・離脱機構R1とを備えている。
図2並びに一部破断概略平面図である
図4および
図5に示すように、連結・離脱機構R1は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の吊り下げ機構T1,T2の間(すなわち固定ブラケット23の第1板30の後述する一対の第1ボルト挿通孔31の間)に配置されている。具体的には、連結・離脱機構R1は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の第1ボルト挿通孔31の間(すなわち一対の吊り下げボルト25の間)の中央位置に配置されている。
【0026】
図1を参照して、固定ブラケット23は、二次衝突時のコラム移動方向X1(ステアリングシャフト3の軸方向に相当)に平行な第1板30を備えている。第1板30には、コラム移動方向X1に平行に延びる長孔からなる、吊り下げ機構T1,T2用の第1ボルト挿通孔31が形成されている。一方、チルトブラケット24(可動ブラケット)は、第1板30に対向する第2板32を備えている。第2板32には、第1ボルト挿通孔31の一部と対向する、吊り下げ機構T1,T2用の第2ボルト挿通孔33が形成されている。
【0027】
吊り下げボルト25は、第1板30の第1ボルト挿通孔31および第2板32の第2ボルト挿通孔33を挿通して、ナット34に螺合するボルトにより構成されている。ナット34と共同して第1板30と第2板32とを連結した吊り下げボルト25が、チルトブラケット24(可動ブラケット)およびコラムブラケット26を介してアッパージャケット16(可動ジャケット)を吊り下げている。また、吊り下げボルト25は、二次衝突時に、第1ボルト挿通孔31に沿って、チルトブラケット24(可動ブラケット)、コラムブラケット26およびアッパージャケット16と共に、コラム移動方向X1に移動可能である。
【0028】
車体側部材14に固定されたロアーブラケット35が、ピボット軸であるチルト中心軸36を支持している。チルト中心軸36は、ステアリングコラム15のハウジング18を介して、ロアージャケット17を、当該チルト中心軸36の回りに揺動可能に支持している。
図2および
図3に示すように、各吊り下げ機構T1,T2は、吊り下げボルト25と、例えば皿ばねからなる板ばね42と、ナット34等により構成されている。連結・離脱機構R1は、二次衝突時に剪断する樹脂ピン61と、樹脂ピン61の軸方向の一部に嵌合して外周が例えば長円形等の横長形状をなすカラー62とで構成されている。なお、カラー62の材質として、鉄等の金属を用いてもよいし、樹脂ピン61よりも高硬度の樹脂やセラミック等を用いてもよい。例えば、樹脂ピン61をポリアセタール樹脂(POM)で形成し、カラー62をポリアセタール樹脂よりも高硬度のポリアミド樹脂(PA)で形成してもよい。
【0029】
図3を参照して、固定ブラケット23は、第1板30の一対の側縁からそれぞれ下向きに延設された一対の側板37と、一対の側板37からそれぞれ外側方へ延設された一対の取付板38とを備えている。固定ブラケット23は、例えば板金により形成されている。各取付板38に設けられたねじ挿通孔39(
図3および
図4参照)を挿通した固定ボルト40(
図4参照)によって、各取付板38が、車体側部材13に固定されている。これにより、
図1に示すように、固定ブラケット23が車体側部材13に固定されている。
【0030】
図2〜
図4を参照して、固定ブラケット23の第1板30において、第1ボルト挿通孔31は、一対の吊り下げボルト25に対応して一対設けられている。一対の第1ボルト挿通孔31は、二次衝突時のコラム移動方向X1と平行に延び、また、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に離隔している。
図2、
図3に示すように、チルトブラケット24(可動ブラケット)は、例えば板金により形成されている。チルトブラケット24は、第2板32と、第2板32の一対の側縁から下向きに延設された一対の側板41とを備えており、溝形をなしている。第2板32と各側板41との連結部は、
図2、
図3に示すように湾曲状に形成されていてもよい。
【0031】
チルトブラケット24の第2板32において、第2ボルト挿通孔33は、一対の吊り下げボルト25に対応して一対設けられている。各吊り下げボルト25は、例えば皿ばねからなる環状の板ばね42と、スライド板43の対応する第3ボルト挿通孔44と、第1板30の対応する第1ボルト挿通孔31と、第2板32の対応する第2ボルト挿通孔33とを順次に挿通して、ナット34にねじ込まれている。これにより、吊り下げボルト25がチルトブラケット24を吊り下げている。
【0032】
スライド板43は、
図3および
図4に示すように、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長板からなり、
図2に示すように、両板ばね42と第1板30の上面30aとの間に介在している。スライド板43の少なくとも第1板30側の面が、例えばフッ素樹脂等の低摩擦材で形成されている。すなわち、スライド板43全体が、低摩擦材で形成されていてもよいし、スライド板43の第1板30側の面に、低摩擦材が被覆されていてもよい。
【0033】
図3および
図9に示すように、第1板30と第2板32との間には、二次衝突時に第2板32が第1板30に対して、コラム移動方向X1に移動するときの摺動抵抗を低減させる働きをする第1介在板45と第2介在板46とが介在している。
第1介在板45は、第2板32のコラム移動方向X1側の端部である第1端部321に係止された溝形のユニット45Uを構成している。すなわち、ユニット45Uは、第2板32の上面32aおよび第1板30の下面30bに沿う第1介在板45と、第1介在板45と対向し且つ第2板32の下面32bに沿う対向板47と、第1介在板45と対向板47とを連結し且つ第2板32のコラム移動方向X1側の端縁に当接する連結板48とを備えている。
【0034】
第1介在板45の少なくとも第1板30側の面が、例えばフッ素樹脂等の低摩擦材で形成されている。すなわち、第1介在板45ないしユニット45Uが、低摩擦材で形成されていてもよいし、第1介在板45の第1板30側の面に、低摩擦材が被覆されていてもよい。
第2介在板46は、第1板30のコラム移動方向X1とは反対側の端部である第2端部302および第2板32のコラム移動方向X1とは反対側の端部である第2端部322に係止されたユニット46Uを構成している。すなわち、ユニット46Uは、第2板32の上面32aおよび第1板30の下面30bに沿う第2介在板46と、第2介在板46に対向し且つ第1板30の上面30aに沿う対向板49とを備えている。また、ユニット46Uは、第2介在板46と対向板49とを連結し且つ第1板30のコラム移動方向X1とは反対側の端縁に当接する連結板50と、第2板32の第2端部322に引っ掛け係止される例えば鉤形フック状の係止部51とを備えている。
【0035】
第2介在板46の少なくとも第2板32側の面が、例えばフッ素樹脂等の低摩擦材で形成されている。すなわち、第2介在板46ないしユニット46Uが、低摩擦材で形成されていてもよいし、第2介在板46の第2板32側の面に、低摩擦材が被覆されていてもよい。
図2および
図3に示すように、各吊り下げボルト25は、頭部52と、頭部52に連なり頭部52より小径の大径部53と、大径部53に連なり大径部53より小径の小径部54と、大径部53と小径部54との間に形成された段部55と、小径部54に設けられたねじ部56とを備えている。頭部52には、例えば六角孔形状の工具係合部57が設けられている。
【0036】
図2に示すように、大径部53が、環状の板ばね42と、スライド板43の第3ボルト挿通孔44と、第1板30の第1ボルト挿通孔31とを挿通している。段部55は、第2板32の上面32aに当接し、上面32aによって受けられている。段部55とナット34との間で第2板32が挟持されて、吊り下げボルト25と第2板32とが固定されている。
【0037】
頭部52と段部55との間隔H1(大径部53の軸長に相当)は、第1板30と第2板32との間に介在する第1介在板45の板厚(ないし第2介在板46の板厚)と、第1板30の板厚と、第1板30の上面30aに沿うスライド板43の板厚と、最圧縮時の板ばね42の板厚との合計よりも大きくされている。これにより、板ばね42が、スライド板43を介して第1板30を第2板32側へ弾性的に付勢している。
【0038】
図4に示すように、第1板30の連結・離脱機構R1用の樹脂ピン61は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、吊り下げ機構T1,T2用の第1ボルト挿通孔31間の中央位置に配置されている。すなわち、樹脂ピン61は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、一対の吊り下げボルト25間の中央位置に配置されている。
【0039】
また、
図4のスライド板43の一部を破断した
図5に示すように、第1板30の連結・離脱機構R1用の第1樹脂ピン挿通孔66は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に長い横長孔に形成されている。これにより、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に関して、カラー62の外周と第1樹脂ピン挿通孔66の内周との間に隙間S1,S2が設けられている。
【0040】
図2、連結・離脱機構R1の分解斜視図である
図7および連結・離脱機構R1の、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1の断面図である
図8を参照して、連結・離脱機構R1の樹脂ピン61は、例えば断面円形の頭部フランジ63と、頭部フランジ63よりも小径の円柱状の軸部64とを備えている。
図8に示すように、スライド板43が、樹脂ピン61の頭部フランジ63の上方を覆うように配置されることで、樹脂ピン61の上方への脱落が防止されている。また、スライド板43には、樹脂ピン61の頭部フランジ63に対向して、頭部フランジ63の外径よりも小さい樹脂ピン視認孔65が形成されている。連結・離脱機構R1の組立後に、スライド板43の樹脂ピン視認孔65を通して樹脂ピン61の頭部フランジ63を視認することにより、樹脂ピン61の組み付け忘れ等の作業不良を容易に判断することができる。
【0041】
樹脂ピン61の頭部フランジ63とカラー62の大部分とは、固定ブラケット23の第1板30の、連結・離脱機構R1用の第1樹脂ピン挿通孔66に挿通されている。カラー62の一部は、第1樹脂ピン挿通孔66から突出している。樹脂ピン61の軸部64のうち、カラー62から突出した部分が、チルトブラケット24(可動ブラケット)の第2板32の、連結・離脱機構R1用の第2樹脂ピン挿通孔67に挿通されている。
【0042】
頭部フランジ63は、スライド板43に対向する第1面631と、カラー62の第1端面621(上端面)に対向する第2面632とを有している。
図6および
図7に示すように、第1面631には、樹脂ピン61の軸方向に突出する複数の弾性突起81を、初期組み付け状態において、平面視でスライド板43の樹脂ピン視認孔65と干渉しない位置で、かつ、二次衝突の際に樹脂ピン視認孔65がコラム移動方向X1を通過する範囲を避けた位置に配置されている。具体的には、複数の弾性突起81は、平面視で樹脂ピン視認孔65を取り囲む円周上に周方向に等間隔に並ぶように、かつ、その位相が二次衝突の際に樹脂ピン視認孔65がコラム移動方向X1を通過する範囲を避けた位置になるように、環状に配列されている。
図8に示すように、複数の弾性突起81は、弾性的に圧縮された状態でスライド板43の下面に接しており、弾性反発力によりスライド板43を直接、押圧付勢している。
【0043】
また、
図7および
図8に示すように、頭部フランジ63の第2面632には、カラー62の第1端面621側に向けて突出する少なくとも1つの回転規制凸部82が設けられている。また、カラー62の第1端面621には、回転規制凸部82に係合する回転規制凹部83が設けられている。回転規制凸部82が回転規制凹部83に係合することにより、樹脂ピン61とカラー62との相対回転(樹脂ピン61の中心軸線の回りの回転)が規制されている。
【0044】
一方、
図6に示すように、カラー62の外周は、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に長い長円形等の横長形状をなしており、第1板30のコラム移動方向X1とは直交する方向Y1に長い横長孔である第1樹脂ピン挿通孔66に嵌合している。これにより、第1樹脂ピン挿通孔66によって、カラー62の回転が規制されている。すなわち、第1樹脂ピン挿通孔66が、カラー62を介して樹脂ピン61の中心軸線回りの回転を規制している。
【0045】
図6、
図7および
図8に示すように、カラー62の中心孔623に、樹脂ピン61の軸部64が挿入されている。
図6に示すように、カラー62の外径は、樹脂ピン61の頭部フランジ63の外径よりも大きくされている。
図8に示すように、カラー62の軸方向の第1端面621が、樹脂ピン61の頭部フランジ63に当接し、カラー62の軸方向の第2端面622が、吊り下げ機構T1,T2により吊り下げられた部材としての第2板32の上面32aによって受けられている。これにより、樹脂ピン61および金属カラー62が、第2板32の下方へ脱落することが防止されている。
【0046】
二次衝突時には、
図9から
図10に示すように、第1板30に対する第2板32の移動に伴う、カラー62の第2端面622と第2板32との合わせ面のずれによって、樹脂ピン61の軸部64が剪断される。すなわち、軸部64の一部641が、残りの部分から分離する。カラー62の第2端面622の内周縁で構成される剪断刃は、円弧状であり、第2板32の第2樹脂ピン挿通孔67の縁部で構成される剪断刃も、円弧状である。
【0047】
本第1実施形態によれば、樹脂ピン61が、スライド板43に弾性反発力(押圧付勢力)を与える軸方向の弾性突起81を、初期組み付け状態において、樹脂ピン視認孔65との干渉を避けた位置で、かつ、二次衝突の際に樹脂ピン視認孔65がコラム移動方向X1を通過する範囲を避けた位置に設けているので、二次衝突時に樹脂ピン61の軸方向弾性突起81と樹脂ピン視認孔65とが引っ掛ることを抑制することができる。ひいては、二次衝突時の樹脂ピン61の軸方向弾性突起81と樹脂ピン視認孔65とが引っ掛ることに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
【0048】
具体的には、互いに嵌合する第1樹脂ピン挿通孔66の内周およびカラー62の外周が、コラム移動方向X1とは直交する方向に長い横長形状とされているので、第1樹脂ピン挿通孔66によってカラー62の回転が規制される。また、回転規制凸部82と回転規制凹部83との係合によって、カラー62によって樹脂ピン61の回転が規制されている。したがって、二次衝突時に、樹脂ピン61がその中心軸線回りに回転して弾性突起81が樹脂ピン視認孔65に引っ掛ることを確実に防止することができる。可及的に二次衝突時の樹脂ピン61の姿勢を安定させることができる。
【0049】
なお、図示していないが、回転規制凸部をカラー62の第1端面621に設け、回転規制凹部を頭部フランジ63の第2面632に設けてもよい。
(第2実施形態)
次いで、
図11は本発明の第2実施形態の連結・離脱機構R1Aの樹脂ピン61Aとカラー62Aの分解斜視図である。
図12は、第2実施形態において、第1板30と第2板32との連結状態の断面図であり、樹脂ピン61Aの軸線を含む前後方向(コラム移動方向X1)の断面を示している。
【0050】
図11および
図12を参照して、樹脂ピン61Aは、円環状のカラー62Aの中心孔623Aを挿通する円柱状の軸部64Aと、軸部64Aの一端に連結された頭部フランジ63Aとを備えている。頭部フランジ63Aは、
図12に示すようにスライド板43に対向する第1面63A1と、カラー62Aの第1端面62A1に対向する環状の第2面63A2と有している。
【0051】
頭部フランジ63Aの第2面63A2には、軸部64Aを取り囲む円周上に周方向に等間隔で環状に配列された複数の軸方向の弾性突起81Aとを有している。弾性突起81Aは、弾性的に圧縮された状態で、カラー62Aの第1端面62A1に接しており、カラー62Aに弾性反発力を付与している。結果として、樹脂ピン61の頭部フランジ63の第1面63A1がスライド板43に付勢され、且つカラー62Aの第2端面62A2が第2板32の上面32aに付勢されている。
【0052】
頭部フランジ63Aおよびカラー62Aの大部分が、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66に挿通されている。また、軸部64Aの一部が、カラー62Aから突出して、第2板32の第2樹脂ピン挿通孔67に挿通されている。
カラー62Aは、樹脂ピン61Aよりも高硬度の樹脂、セラミック、金属等により形成されている。例えば樹脂ピン61Aをポリアセタール樹脂(POM)で形成し、カラー62Aを、ポリアセタール樹脂よりも高硬度のポリアミド樹脂(PA)で形成してもよい。
【0053】
図12の第2実施形態の構成要素において、
図9の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には、
図9の第1実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
本第2実施形態によれば、樹脂ピン61Aの頭部フランジ63Aが、スライド板43に対向する第1面63A1と、カラー62Aに対向する第2面63A2とを有しており、軸方向の弾性突起81Aが、第1面63A1ではなく、第2面63A2に設けられている。弾性突起81Aは、第2板32(吊り下げられた部材)によって第2面62A2が受けられたカラー62Aの第1面62A1に対して、弾性的に圧縮された状態で接している。弾性突起81Aは、樹脂ピン61Aの頭部フランジ63Aの第1面63A1を介して間接的にスライド板43に押圧付勢力(弾性反発力)を付与している。
【0054】
スライド板43とは対向しない第2面63A2に設けられた軸方向の弾性突起81Aが樹脂ピン視認孔65に引っ掛ること自体が起こり得るべくもないので、前記引っ掛りに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。図示していないが、本第2実施形態において、カラー62Aの第1端面62A1に設けられた軸方向の弾性突起を樹脂ピン61Aの頭部フランジ63Aの第2面63A2に当接させるようにしてもよい。
(第3実施形態)
次いで、
図13は本発明の第3実施形態の連結・離脱機構R1Bの樹脂ピン90と2段のカラー(第1カラー91と第2カラー92)の分解斜視図である。
図14は、第3実施形態において、第1板30と第2板32との連結状態の断面図であり、樹脂ピン90の軸線を含む前後方向(コラム移動方向X1)の断面を示している。
【0055】
図13に示すように、樹脂ピン90は、円柱状をなしている。スライド板43側の第1カラー91は、樹脂ピン90にプレスフィットされており、樹脂ピン90と第1カラー91とは、軸方向に一体移動可能である。第2板32(吊り下げられた部材)側の第2カラー92は、樹脂ピン90にルーズフィットされており、樹脂ピン90と第2カラー92とは、軸方向に相対移動可能である。
【0056】
樹脂ピン90は、軸方向に対向する第1端面901と第2端面902とを有している。樹脂ピン90の両端は、両カラー91,92の中心孔913,923に当該樹脂ピン90を挿入し易くするために先細りの円錐テーパ状に形成されていてもよい(図示せず)。
第1カラー91および第2カラー92は、ともに円環状をなしている。第1カラー91は、軸方向に対向する第1端面911と第2端面912とを有している。第2カラー92は、軸方向に対向する第1端面921と第2端面922とを有している。
【0057】
両カラー91,92は、樹脂ピン90よりも高硬度の樹脂、セラミック、金属等により形成されている。例えば樹脂ピン90をポリアセタール樹脂(POM)で形成し、各カラー91,92を、ポリアセタール樹脂よりも高硬度のポリアミド樹脂(PA)で形成してもよい。
図14に示すように、第1カラー91が第1樹脂ピン挿通孔66に配置され、第2カラー92が第2樹脂ピン挿通孔67に配置されている。第1カラー91の軸方向の第1端面911と樹脂ピン90の軸方向の第1端面901とが、スライド板43と対向している。樹脂ピン90の第1端面901は、第1カラー91の第1端面911と面一であってもよいし、第1カラー91の第1端面911よりもスライド板43側に突出していてもよい。第1カラー91の軸方向の第2端面912が、第2カラー92の第1端面921に対向している。第1カラー91の第2端面912に設けられた軸方向の弾性突起81Bが、第2カラー92の第2端面921に当接している。
【0058】
また、第2板32の下面32bに沿って、下板93が設けられている。下板93は、
図14では示されていない吊り下げ機構(
図1の吊り下げ機構T1,T2に相当)の吊り下げボルトによってスライド板43と共締めされている。下板93は、二次衝突時に第2板32およびスライド板43とともに、コラム移動方向X1にスライドするスライド板として機能する。また、下板93(吊り下げ機構T1,T2により吊り下げられた部材に相当)は、樹脂ピン90の下端面および第2カラー92の第2端面922を受けており、連結・離脱機構R1Bが下方へ脱落しないように支持している。
【0059】
図14の第3実施形態の構成要素において、
図9の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には、
図9の第1実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
本第3実施形態によれば、スライド板43側に配置された樹脂ピン90にプレスフィットされた第1カラー91と、第2板32(吊り下げられた部材)側に配置されて樹脂ピン90にルーズフィットされた第2カラー92とを、樹脂ピン90の軸方向に2段に積み重ね、第1カラー91の第2端面912に、第2カラー92の第1端面921を付勢する軸方向の弾性突起81Bを設けている。
【0060】
これにより、第2カラー92の第2端面922が下板93に押圧付勢される。一方、第1カラー91の第1端面911および樹脂ピン90の第1端面901が、スライド板43に押圧付勢される。換言すると、弾性突起81Bは、第1カラー91および樹脂ピン90の第1端面901を介して間接的にスライド板43に押圧付勢力(弾性反発力)を付与する。したがって、両カラー91,92に挿通された樹脂ピン90の姿勢が安定する。また、軸方向の弾性突起81Bが樹脂ピン視認孔65に引っ掛ること自体が起こり得るべくもないので、前記引っ掛りに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
【0061】
図14の第3実施形態では、第1カラー91の第2端面912に軸方向の弾性突起81Bを設けているが、これに代えて、第2カラー92の第1端面921に設けられた軸方向の弾性突起(図示せず)を、第1カラー91の第2端面912に当接させるようにしてもよい。
また、
図14の第3実施形態では、第2カラー92を、吊り下げ機構T1,T2により吊り下げられた部材としての下板93によって受けているが、これに代えて、第2板32(吊り下げ機構T1,T2により吊り下げられた部材に相当)の第2樹脂ピン挿通孔67の内周に設けられた段差部(図示せず)によって、第2カラー92の第2端面922を受けるようにしてもよい。
(第4実施形態)
次いで、
図15は本発明の第4実施形態のスライド板43Cと、連結・離脱機構R1の樹脂ピン61とカラー62の分解斜視図である。
図16は、第4実施形態において、第1板30と第2板32との連結状態の断面図であり、樹脂ピン61の軸線を含む左右方向(コラム移動方向X1とは直交する方向Y1)の断面を示している。
【0062】
図15および
図16の第4実施形態は、
図7および
図8の第1実施形態の変更形態であるので、第4実施形態では、第1実施形態と異なる構成のみを説明する。
図15および
図16を参照して、本第4実施形態が、
図7および
図8の第1実施形態と異なるのは、下記である。すなわち、第1実施形態では、スライド板43が、丸孔からなる樹脂ピン視認孔65を単一で設けているのに対して、第4実施形態では、スライド板43Cが、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長孔からなる一対の樹脂ピン視認孔65C,65Dを形成している。
【0063】
一対の樹脂ピン視認孔65C,65Dは、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に離隔している。樹脂ピン61の頭部フランジ63の第1面631の弾性突起81は、二次衝突の際に一対の樹脂ピン視認孔65C,65Dがコラム移動方向X1を通過する範囲を避けた位置に配置されている。具体的には、弾性突起81は、二次衝突の際に、一対の樹脂ピン視認孔65C,65D間を通過する。
【0064】
カラー62は、樹脂ピン61の頭部フランジ63よりも横長であり、頭部フランジ63の両側から横方向(コラム移動方向X1とは直交する方向Y1)にはみ出している。一対の樹脂ピン視認孔65C,65Dは、それぞれ、カラー62の一部を視認可能なカラー視認領域65C1,65D1を含んでいる。すなわち、各樹脂ピン視認孔65C1,65Dを通して、樹脂ピン61の頭部フランジ63の第1面631の一部とカラー62の第1端面621の一部とが視認されることになる。
【0065】
本第4実施形態によれば、
図8の第1実施形態と同じく、二次衝突時の樹脂ピン61の軸方向弾性突起81と樹脂ピン視認孔65C,65Dとが引っ掛ることに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
また、カラー視認領域65C1,65D1を含む樹脂ピン視認孔65C,65Dを通して、樹脂ピン61の組み付けの有無(欠品の有無)のみならず、カラー62の組み付けの有無(欠品の有無)も確認することができる。ひいては、不良率の少ないステアリング装置を達成することができる。
【0066】
なお、一対の樹脂ピン視認孔65C,65Dのうちの何れか一方を廃止してもよい。樹脂ピン視認孔65C,65Dの形状は、樹脂ピン61の一部とカラー62の一部とを視認できる形状であれば、長孔ではなくて、丸孔や多角形孔であってもよい。
(第5実施形態)
次いで、
図17は本発明の第5実施形態において、第1板30と第2板32との連結状態の断面図であり、樹脂ピン61Aの軸線を含む左右方向(コラム移動方向X1とは直交する方向Y1)の断面を示している。
【0067】
図17の第5実施形態は、コラム移動方向X1の断面を示す
図12の第2実施形態の変更形態であるので、第5実施形態では、第2実施形態と異なる構成のみを説明する。
図17を参照して、本第5実施形態では、スライド板43Eが、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長孔からなる樹脂ピン視認孔65Eを形成している。
また、カラー62A0の外径は、樹脂ピン61Aの頭部フランジ63Aの外径よりも大きくされている。また、樹脂ピン視認孔65Eは、長手方向の両端に、カラー62の一部を視認可能な一対のカラー視認領域65E1,65E2を含んでいる。すなわち、カラー視認領域65E1,65E2を含む樹脂ピン視認孔65Eを通して、樹脂ピン61Aの頭部フランジ63Aの第1面63A1の一部とカラー62A0の第1端面62A1の一部とが視認されることになる。
【0068】
図17の第5実施形態の構成要素において、
図12の第2実施形態の構成要素と同じ構成要素には、
図12の第2実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。 本第5実施形態によれば、
図12の第2実施形態と同じく、スライド板43Eとは対向しない第2面63A2に設けられた軸方向の弾性突起81Aが樹脂ピン視認孔65Eに引っ掛ること自体が起こり得るべくもないので、前記引っ掛りに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
【0069】
また、カラー視認領域65E1,65E2を含む樹脂ピン視認孔65Eを通して、樹脂ピン61Aの組み付けの有無(欠品の有無)のみならず、カラー62A0の組み付けの有無(欠品の有無)も確認することができる。ひいては、不良率の少ないステアリング装置を達成することができる。
なお、樹脂ピン視認孔65Eは、コラム移動方向X1に延びる長孔であってもよい。樹脂ピン視認孔65Eの一対のカラー視認領域65E1,65E2のうちの何れか一方を廃止してもよい。また、樹脂ピン視認孔65Eの形状は、樹脂ピン61Aの一部とカラー62A0の一部を視認できる形状であれば、長孔ではなくて、丸孔や多角形孔であってもよい。
(第6実施形態)
次いで、
図18は本発明の第6実施形態において、第1板30と第2板32との連結状態の断面図であり、樹脂ピン90の軸線を含む左右方向(コラム移動方向X1とは直交する方向Y1)の断面を示している。
【0070】
図18の第6実施形態は、コラム移動方向X1の断面を示す
図14の第3実施形態の変更形態であるので、第6実施形態では、第3実施形態と異なる構成のみを説明する。
図18を参照して、本第6実施形態では、スライド板43Fが、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長孔からなる樹脂ピン視認孔65Fを形成している。
樹脂ピン視認孔65Fは、その長手方向の両端に、第1カラー91の一部を視認可能な一対のカラー視認領域65F1,65F2を含んでいる。すなわち、カラー視認領域65F1,65F2を含む樹脂ピン視認孔65Fを通して、樹脂ピン90の第1端面901の一部と第1カラー91の第1端面911の一部とが視認されることになる。
【0071】
図18の第6実施形態の構成要素において、
図14の第3実施形態の構成要素と同じ構成要素には、
図14の第3実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。 本第6実施形態によれば、
図14の第3実施形態と同じく、軸方向の弾性突起81Bが樹脂ピン視認孔65Fに引っ掛ること自体が起こり得るべくもないので、前記引っ掛りに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
【0072】
また、カラー視認領域65F1,65F2を含む樹脂ピン視認孔65Fを通して、樹脂ピン90の組み付けの有無(欠品の有無)のみならず、第1カラー91の組み付けの有無(欠品の有無)も確認することができる。ひいては、不良率の少ないステアリング装置を達成することができる。
なお、樹脂ピン視認孔65Fは、コラム移動方向X1に長い長孔であってもよい。また、樹脂ピン視認孔65Fの一対のカラー視認領域65F1,65F2のうちの何れか一方を廃止してもよい。また、樹脂ピン視認孔65Fの形状は、樹脂ピン90の一部と第1カラー91の一部とを視認できる形状であれば、長孔ではなくて、丸孔や多角形孔であってもよい。
(第7実施形態)
次いで、
図19は本発明の第7実施形態において、第1板30と第2板32との連結状態の断面図であり、樹脂ピン90の軸線を含む左右方向(コラム移動方向X1とは直交する方向Y1)の断面を示している。
【0073】
図19の第7実施形態は、
図18の第6実施形態の変更形態であるので、第7実施形態では、第6実施形態と異なる構成のみを説明する。
図19を参照して、本第7実施形態では、第2カラー92Gの外径が、第1カラー91の外径よりも大きくされている。第2カラー92Gは、
図18の第6実施形態の第2カラー92の第1端面921、第2端面9222および中心孔923にそれぞれ相当する第1端面921G、第2端面922Gおよび中心孔923Gを有している。
【0074】
また、スライド板43Gが、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長孔からなる樹脂ピン視認孔65Gを形成している。樹脂ピン視認孔65Gは、その長手方向の両端に、第1カラー91の一部および第2カラー92Gの一部を視認可能な一対のカラー視認領域65G1,65G2を含んでいる。すなわち、カラー視認領域65G1,65G2を含む樹脂ピン視認孔65Gを通して、樹脂ピン90の第1端面901の一部と、第1カラー91の第1端面911の一部と、第2カラー92Gの第1端面921Gの一部とが視認されることになる。
【0075】
図19の第7実施形態の構成要素において、
図18の第6実施形態の構成要素と同じ構成要素には、
図18の第6実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。 本第7実施形態によれば、
図18の第6実施形態と同じく、軸方向の弾性突起81Bが樹脂ピン視認孔65Gに引っ掛ること自体が起こり得るべくもないので、前記引っ掛りに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
【0076】
また、カラー視認領域65G1,65G2を含む樹脂ピン視認孔65Gを通して、樹脂ピン90の組み付けの有無(欠品の有無)のみならず、第1カラー91および第2カラー92Gの組み付けの有無(欠品の有無)も確認することができる。ひいては、不良率の少ないステアリング装置を達成することができる。
なお、樹脂ピン視認孔65Gは、コラム移動方向X1に長い長孔であってもよい。また、樹脂ピン視認孔65Gの一対のカラー視認領域65G1,65G2のうちの何れか一方を廃止してもよい。また、樹脂ピン視認孔65Gの形状は、樹脂ピン90の一部と第1カラー91の一部と第2カラー92の一部とを視認できる形状であれば、長孔ではなくて、丸孔や多角形孔であってもよい。
(第8実施形態)
次いで、
図20は本発明の第8実施形態において、連結・離脱機構R1Hの概略平面図を示している。
図20の第8実施形態は、
図6の第1実施形態の変更形態であるので、第8実施形態では、第1実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0077】
図20を参照して、樹脂ピン61Hの頭部フランジ63Hは、4つの角部に面取りが施された四角形形状をなしている。頭部フランジ63Hの外周は、樹脂ピン61Hの軸線回りの回転方向に僅かな遊びを設けて、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66に嵌合されている。頭部フランジ63Hの第1面63H1の四隅に、軸方向の弾性突起81Hが突出形成されている。
【0078】
頭部フランジ63Hの外周の4つの平坦部101,102,103,104(四角形の四辺部に相当)のうち、コラム移動方向X1に対向する一対の平坦部101,102が、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66の内周の長手方向に延びる一対の平坦部661,662にそれぞれ係合することにより、樹脂ピン61Hの回転が規制される。すなわち、樹脂ピン61Hは、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66によって、カラー62Hを介さずに直接、回転を規制される。
【0079】
一方、カラー62Hの外周は、円形をなしており、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66の一対の平坦部661,662に回転可能な状態で係合している。カラー62Hは、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66によって回転規制されていない。
頭部フランジ63Hの外周の各平坦部101〜104の中央部に、切欠き凹部111〜114がそれぞれ形成されている。一対の切欠き凹部111,112は、コラム移動方向X1に対向しており、他対の切欠き凹部113,114はコラム移動方向X1とは直交する方向Y1に対向している。
【0080】
スライド板43Hは、コラム移動方向X1に延びる長孔からなる樹脂ピン視認孔65Hを備えている。樹脂ピン視認孔65Hは、その長手方向の両端に、それぞれ、樹脂ピン61Hの頭部フランジ63Hの一対の切欠き凹部111,112をそれぞれ通して、カラー62Hの第1端面62H1を視認可能な一対のカラー視認領域65H1,65H2を備えている。
【0081】
図20の第8実施形態の構成要素において、
図6の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には、
図6の第1実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
本第8実施形態によれば、
図6の第1実施形態と同じく、軸方向の弾性突起81Hが樹脂ピン視認孔65Hに引っ掛ること自体が起こり得るべくもないので、前記引っ掛りに起因する離脱荷重への影響(離脱荷重が大きくなる)を抑制することができる。
【0082】
また、カラー視認領域65H1,65H2を含む樹脂ピン視認孔65Hを通して、樹脂ピン61Hの組み付けの有無(欠品の有無)のみならず、カラー62Hの組み付けの有無(欠品の有無)も確認することができる。ひいては、不良率の少ないステアリング装置を達成することができる。
また、第1板30の第1樹脂ピン挿通孔66によって、樹脂ピン61Hの回転を直接規制するので、
図7の第1実施形態のようにカラー62と樹脂ピン61との間に樹脂ピン61の回転を規制する回転規制要素(回転規制凸部82および回転規制凹部83)を設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
【0083】
なお、樹脂ピン視認孔65Hは、弾性突起81Hを二次衝突の際に当該樹脂ピン視認孔65Hがコラム移動方向X1を通過する範囲を避けた位置に配置していれば、コラム移動方向X1とは直交する方向Y1に延びる長孔とされ、一対の切欠き凹部113,114を通してカラー62Hの第1端面62H1が視認されてもよい。また、樹脂ピン視認孔65Hの一対のカラー視認領域65H1,65H2の何れか一方を廃止してもよい。樹脂ピン視認孔65Hの形状は、樹脂ピン61Hの一部およびカラー62Hの一部を視認できる形状であれば、長孔ではなく、丸孔や多角形孔であってもよい。
【0084】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。