(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、関節の疾患(関節摺動面の摩耗や骨棘の形成、靭帯断裂等)に対して治療を行うにあたって、患部を観察することができれば、治療に正確さを期すうえで、極めて有用である。
【0003】
体内の患部を観察するための装置として、例えば特許文献1のような内視鏡が開示されている。
図9は特許文献1に開示された内視鏡900の断面図である。内視鏡900は、注射針910と、注射針910に挿通された鏡筒920と、注射針910と鏡筒920とが接続された接続体930とを備えている。
【0004】
接続体930には、注射針接続部931と、鏡筒固定部932と、注射液注入部933とが設けられている。注射針910は、注射針接続部931に着脱自在に取り付けられている。
【0005】
鏡筒920は、補強ガイド921を介してロックナット940に支持されており、ロックナット940は鏡筒固定部932に螺着されている。ロックナット940を回転させることで、鏡筒920が軸線方向に移動して、鏡筒920の先端部の注射針910からの突出長を調整することができる。鏡筒920の後端部はCCDカメラ(図示せず)に光学的に接続され、CCDカメラはモニター(図示せず)に接続されている。
【0006】
注射液注入部933には、注射液供給用のチューブ950が接続される。
【0007】
患部の観察を行う際には、注射針910の先端部を患者の皮膚に刺し通し、CCDカメラで撮像した患部の映像をモニターで観察する。患部の観察が終了すると、注射針910、鏡筒920、ロックナット940及びチューブ950を接続体930から取り外す。そして、注射針910を廃棄し、その他の部品は、感染症を予防するためにクリーニングした後、再度使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の内視鏡900は、注射針910を除く各部品が繰り返し使用される。そのため、使用する毎に内視鏡900を分解して注射針910を除く各部品をクリーニングする作業が必要である。したがって、内視鏡900を連続して使用する場合において、クリーニングに手間がかかるという問題があった。そのうえ、クリーニングしたままの内視鏡を保管するコストが高いという問題もあった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みて創案されたものであり、その目的は、使用後のクリーニングの手間と保管コストとを低減することができる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の発明は、観察対象物を観察する内視鏡であって、前記観察対象物からの反射光を伝送する鏡筒と、前記鏡筒を前記観察対象物にガイドするガイド管と、前記反射光を伝送する接続ケーブルと、前記接続ケーブルを前記鏡筒に光学的に接続する接続具とを備え、前記接続具は、前記鏡筒及び前記ガイド管が取り付けられたコネクタと、前記接続ケーブルの一端に取り付けられ、前記コネクタが着脱自在のコネクタ受けとを含む。
【0012】
ある実施形態において、前記コネクタ受けに、前記鏡筒によって伝送された前記反射光を結像させる結像レンズが設置される。
【0013】
ある実施形態において、前記鏡筒を介して前記観察対象物を撮像する撮像手段を備え、前記撮像手段が前記接続具の外部に設置され、前記撮像手段が前記接続ケーブルを介して前記反射光を受光する。
【0014】
ある実施形態において、前記鏡筒は、前記反射光を伝送するイメージガイドと、前記観察対象物に照射する光を伝送するライトガイドとを含む。
【0015】
ある実施形態において、前記ガイド管が注射針である。
【0016】
ある実施形態において、前記注射針の直径が0.6mm〜1.2mmである。
【0017】
ある実施形態において、前記鏡筒の先端部が前記ガイド管から突出した状態と前記鏡筒の先端部が前記ガイド管内に収納された状態とを取り得るように構成された突出長調節手段を備える。
【0018】
また、第2の発明は、観察対象物を観察する内視鏡に備えられ、光を伝送する接続ケーブルの一端に取り付けられたコネクタ受けに着脱自在の内視鏡用アタッチメントであって、前記観察対象物からの反射光を伝送する鏡筒と、前記鏡筒を前記観察対象物にガイドするガイド管と、前記鏡筒及び前記ガイド管が取り付けられ、前記コネクタ受けに着脱自在のコネクタとを含むことを特徴とする。
【0019】
ある実施形態において、前記鏡筒は、前記反射光を伝送するイメージガイドと、前記観察対象物に照射する光を伝送するライトガイドとを含む。
【0020】
ある実施形態において、前記ガイド管が注射針である。
【0021】
ある実施形態において、前記注射針の直径が0.6mm〜1.2mmである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使用後の内視鏡のクリーニングの手間を低減することができるとともに、クリーニング後の内視鏡の保管コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。
【0025】
図1は本発明の第1実施形態に係る内視鏡を備えた内視システム1の全体構成図であり、
図2は
図1に示される内視鏡10の断面図である。
【0026】
図1に示す内視システム1は、観察対象物としての関節疾患(関節摺動面の摩耗や骨棘の形成、靭帯断裂等で、以下「患部」と称する。)を観察する。内視システム1は、内視鏡10と、画像制御部300と、モニター500と、光源700とを備えている。
【0027】
画像制御部300は接続ケーブル100及び電気ケーブル200を介して内視鏡10と接続されている。モニター500は電気ケーブル400を介して画像制御部300と接続されている。光源700は接続ケーブル100及び光ケーブル600を介して内視鏡10と接続されている。
【0028】
画像制御部300は、後述するコネクタ受け60の内部に設置されたCCDカメラ90(
図2参照)から伝送されてくる電気信号を制御してモニター500に患部の映像を映し出す。
【0029】
光源700はLEDランプ等により構成され、光量を調節可能となっている。光源700が発した光は光ケーブル600及び接続ケーブル100を介して内視鏡10に伝送され、鏡筒30の先端部から患部に照射される。
【0030】
図2に示すように、内視鏡10は、ガイド管としての注射針20と、鏡筒30と、接続具40と、接続ケーブル100とを備えている。
【0031】
注射針20は、関節に差し込まれるとともに鏡筒30を患部にガイドする機能を有する。注射針20は直径1.2mmの筒状で、先端部が軸線方向に対して斜めにカットされて突刺部21を形成している。注射針20の後端部は接続具40のコネクタ50(詳細は後述)に固定されている。突刺部21を患者の皮膚に刺し通して注射針20を患者の体に差し込むことにより、鏡筒30の先端部を患部に接近させる。
【0032】
なお、注射針20は細いので、注射針20を患者の体に差し込む際に患者が痛みを感じることは少なく、注射針20を患者の体に差し込む際に患者の麻酔は不要である。また、注射針20によって生じた傷口の縫合が不要であるので、手術室を持たない診療所においても内視鏡10を使用可能である。また、注射針20によって生じた傷口の縫合が不要であるので、内視鏡10を再生医療に用いると、極めて有用である。内視鏡10が斯かる作用効果を奏するためには、注射針20の直径は0.6mm〜1.2mm程度であることが好ましい。
【0033】
鏡筒30は、患部に照射する光源700(
図1参照)の光を伝送する機能と、患部からの反射光を伝送する機能とを有する。鏡筒30は、先端部が注射針20の突刺部21から突出した状態でコネクタ50に固定されている。鏡筒30の先端面には対物レンズ31が設けられている。鏡筒30の後端部は拡径して連結部32を形成している。鏡筒30の内部の詳細構造については後述する。
【0034】
接続具40は接続ケーブル100を鏡筒30に光学的に接続する機能を有する。また、接続具40は、内視鏡10の使用時にユーザが把持する把持部を兼ねている。接続具40はコネクタ50とコネクタ受け60とを備えている。
【0035】
コネクタ50は有底筒状で、コネクタ50の先端部には注射針20が固定されている。コネクタ50の内部には鏡筒30の連結部32が固定されている。また、コネクタ50の内部の後端側には結像レンズ70が設置されている。コネクタ50と注射針20と鏡筒30とによって本発明の内視鏡用アタッチメントATが構成されている。
【0036】
コネクタ受け60は筒状で、接続ケーブル100の一端に取り付けられている。コネクタ受け60の先端部には、コネクタ50の後端部が、螺合や嵌合等の適宜の結合構造を介して着脱自在に結合されている。コネクタ受け60の内部にはCCDカメラ90が設置されている。
【0037】
CCDカメラ90は、鏡筒30及び結像レンズ70を介して入射した患部からの反射光を受光面上に結像させ、得られた光学像を電気信号に変換する。
【0038】
接続ケーブル100は、鏡筒30によって伝送された患部からの反射光を伝送する機能と、CCDカメラ90が生成した電気信号を伝送する機能とを有する。接続ケーブル100は、電線110と、光ファイバーにより形成された導光部材120とを含んでいる。
【0039】
電線110の一端はコネクタ受け60の内部に突出してCCDカメラ90に接続されている。電線110はCCDカメラ90が生成した電気信号を伝送する。
【0040】
導光部材120の一端はコネクタ受け60を貫通して先端部が鏡筒30の連結部32の後端面に対向している。導光部材120は患部に照射される光源700(
図1参照)の光を伝送する。
【0041】
図3は
図2に示されたA−A’線の断面図である。
図3に示すように、鏡筒30はライトガイド33とイメージガイド34とを含んでいる。
【0042】
ライトガイド33は、多数の細い光ファイバー33aの束を円筒状の被覆層33bで被覆したものである。ライトガイド33は、患部に照射される光源700(
図1参照)の光を伝送する。
【0043】
イメージガイド34は、例えば、コアとクラッドとから成る多数の画素を有するガラス部34aを円筒状の被覆層34bで被覆したものである。イメージガイド34は患部からの反射光を伝送する。
【0044】
図示しないが、鏡筒30の連結部32(
図2参照)の内部でライトガイド33とイメージガイド34とが分岐して後方に延び、ライトガイド33の後端面とイメージガイド34の後端面とが連結部32の後端面に露出している。
【0045】
次に、
図1〜
図3を参照しながら、内視システム1の使用方法と作用効果を説明する。
【0046】
内視システム1のユーザは、内視鏡10の接続具40を手で持ち、注射針20の突刺部21を患者の皮膚に刺し通す。
【0047】
光源700が発光する光が光ケーブル600及び接続ケーブル100を介して内視鏡10に伝送され、鏡筒30の先端部から患者の患部に照射される。
【0048】
患部に照射されて反射した光は、鏡筒30の先端部に取り付けられた対物レンズ31に入射する。対物レンズ31に入射した光は鏡筒30のイメージガイド34を介して鏡筒30の連結部32の後端面から射出される。そして、鏡筒30の連結部32の後端面から射出された光は結像レンズ70を介してCCDカメラ90に入射する。
【0049】
CCDカメラ90に入射した患部からの反射光は受光面で結像して光学像を形成する。その光学像は電気信号に変換され、接続ケーブル100及び電気ケーブル200を介して画像制御部300に伝送される。
【0050】
画像制御部300は、CCDカメラ90から伝送されてくる電気信号を制御してモニター500に患部の映像を映し出す。
【0051】
内視システム1のユーザは、モニター500に映し出された患部の映像を視認しつつ内視鏡10を操作して患部の観察を行う。
【0052】
患部の観察の終了後、ユーザは、コネクタ50をコネクタ受け60から取り外し、注射針20及び鏡筒30とともに廃棄する。
【0053】
以上のように、コネクタ50と注射針20と鏡筒30とから成る内視鏡用アタッチメントATをディスポーザブルユニットとすることにより、内視鏡10の使用後のクリーニングが容易になり、内視鏡10を続けて使用する場合の手間が低減する。
【0054】
また、使用済みの内視鏡用アタッチメントATの保管が不要であるので、保管コストが低減する。
【0055】
また、内視鏡10を用いることによって、レントゲン撮影による間接的な診断ではなく、患部の直接視による診断が簡便かつ迅速に可能となる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図4は本発明の第2実施形態に係る内視鏡11の断面図であり、
図5は本発明の第2実施形態に係る内視鏡11の接続部材800の断面図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と対応する部分には同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0057】
第2実施形態の内視鏡11では、鏡筒30を介して患部を撮像するCCDカメラ90が接続具40の外部に設置され、CCDカメラ90は接続ケーブル100を介して患部からの反射光を受光する。
【0058】
図4に示すように、コネクタ受け60の内部には対物レンズ80が設置されている。そして、接続ケーブル100の一端から対物レンズ80に向けて延出する棒状の導光部材130が設けられている。導光部材130は光ファイバーにより形成されている。導光部材130の先端面には、対物レンズ80を介して患部からの反射光が入射する。
【0059】
図5に示すように、接続ケーブル100の他端の接続部101には筒状の接続部材800が固着されている。接続部材800の内部には結像レンズ85とCCDカメラ90とが設置されている。
【0060】
導光部材130(
図4参照)の一端に入射した患部の反射光は、接続ケーブル100の接続部101の後端面から射出されて結像レンズ85に入射し、CCDカメラ90に導かれる。本実施形態のその他の構成は第1実施形態と同じである。
【0061】
本実施形態では、コネクタ受け60の内部にCCDカメラ90が設置されていないため、第1実施形態の内視鏡10と比べて接続具40を軽量かつコンパクトにすることができ、操作性が向上するという利点を有する。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図6は本発明の第3実施形態に係る内視鏡12の断面図である。なお、第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と対応する部分には同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0063】
本実施形態の内視鏡12では、鏡筒30によって伝送された患部からの反射光を結像させる結像レンズ70がコネクタ受け60の内部に設置されている。本実施形態のその他の構成は第2実施形態と同じである。
【0064】
本実施形態では、コネクタ50の内部に結像レンズ70が設置されていないため、内視鏡用アタッチメントATが安価となり、ランニングコストが低減するという利点を有する。
【0065】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図7は本発明の第4実施形態に係る内視鏡13の断面図であり、鏡筒30の先端部が注射針20から突出した状態を示す。
図8は本発明の第4実施形態に係る内視鏡13の断面図であり、鏡筒30の先端部が注射針20内に収納された状態を示す。なお、第4実施形態において、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と対応する部分には同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0066】
本実施形態の内視鏡13では、コネクタ50がネジ部51、61を介してコネクタ受け60に回転自在に取り付けられており、コネクタ50を軸線周りに回転させると、コネクタ受け60からのコネクタ50の突出長が変化する。そして、係合溝52がコネクタ50の内面の全周に亘って設けられている。また、鏡筒30の連結部32に径外方向に突出する係合突起32aが設けられており、係合突起32aは係合溝52に摺動自在に係合している。さらに、導光部材120の先端が連結部32の後端面に形成された孔(図示せず)に挿脱自在に嵌合しており、鏡筒30は回転しない。係合突起32a、ネジ部51、61及び係合溝52によって突出長調節手段が構成されている。本実施形態のその他の構成は第3実施形態と同じである。
【0067】
図7に示す状態において、コネクタ受け60からのコネクタ50の突出長が大きくなる方向にコネクタ50を回転させたとしても、鏡筒30は回転しない。鏡筒30はコネクタ50と一緒に移動しないため、注射針20からの鏡筒30の先端部の突出長が徐々に小さくなってゆく。その結果、
図8に示すように、係合突起32aが係合溝52の端面に当接して鏡筒30の先端部が注射針20内に収納される。
【0068】
本実施形態では、注射針20を患者の体に突き刺す際には、鏡筒30の先端部を注射針20内に収納しておくことで、注射針20を患者の皮膚にスムーズに刺し通すことができる。また、注射針20を患者の体に突き刺した後にコネクタ50を回転させて鏡筒30の先端部を注射針20から突出させることで、患部の観察を支障なく行うことができる。
【0069】
内視の終了後、
図8に示す状態から、コネクタ受け60からコネクタ50が突出する方向にコネクタ50を回転させると、鏡筒30はコネクタ50と一緒に移動するため、導光部材120が連結部32から抜け出る。コネクタ50をさらに回転させると、鏡筒30はコネクタ50と一緒にコネクタ受け60から離脱する。
【0070】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記の実施形態に種々の改変を施すことができる。
【0071】
例えば、上記実施形態では、関節を被内視物とする関節内視鏡に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は、関節以外の部位を被内視物とする内視鏡(例えば、食道内視鏡、腹腔内視鏡、脊髄内視鏡)や、各種構造物(例えば、工場のパイプ)を被内視物とする内視鏡にも適用することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、撮像手段としてCCDカメラを使用しているが、CCDカメラ以外の撮像手段(例えば、C−MOS)を使用してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、鏡筒が、観察対象物に照射する光を伝送するとともに観察対象物からの反射光を伝送するように構成されている場合について説明したが、観察対象物に照射する光を伝送する手段を鏡筒とは別に設けるようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、鏡筒をガイドするガイド管として注射針を使用しているが、その他の管状部材(例えば、樹脂製チューブ等)をガイド管として使用してもよい。
【0075】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。