(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本技術を実施するための形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
1−1.カートリッジの全体構成
1−2.チップの構成
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
【0019】
1.第1の実施の形態
1−1.カートリッジの全体構成
図1は、本実施の形態におけるインクカートリッジ100の構成を示す概略斜視図である。また、
図2は、インクカートリッジ100の内部構成を説明する説明図である。
本実施形態のインクカートリッジ100は、例えばインクを内部に収容するインク収容部1と、インク収容部1内部のインクを外部に供給するインク供給部2と、チップ3とを備える。
【0020】
インク収容部1は、例えば内部にインク収容空間を有し、このインク収容空間が1方向の側面側に開放された平箱状のインクタンク本体10(
図2参照)と、インクタンク本体10のインク収容空間を覆って封止する蓋部11(
図1参照)とを有する。
インク収容部1は例えば扁平な直方体形状をしており、本実施形態では説明上、インクタンク本体10に対してチップ3が配置される側を前面側、その反対側を後面側と呼ぶ。また、インクタンク本体10に対してインク供給部2が配置される側を底面側、その反対側を上面側と呼ぶ。また、インクタンク本体10に対して蓋部11が配置される側を左側、その反対側を右側と呼ぶ。
【0021】
チップ3は、インク収容部1とは別体に設けられた載置台9に固定されている。載置台9は、例えば矢印A1に示す左右方向にスライド移動可能であり、載置台9をスライド移動させることで、インク収容部1から載置台9を取り外すことが可能である。
例えば、使用済みのインクカートリッジ100を回収し、リサイクルカートリッジとして再生する場合、インクの再充填時には、載置台9を取り外しておくことができる。
したがって、例えばインク注入ノズルの挿抜前後においてインク注入ノズルからインクが滴下しても、チップ3は載置台9と共にインク収容部1から取り外されているので、インクがチップ3に付着するのを防ぐことができる。
【0022】
また、回収された使用済みのインクカートリッジには、一部損傷を受けているものもあり、再利用ができない場合がある。しかし、本実施形態では、載置台9をインク収容部1から取り外すことができるので、回収された各カートリッジの中から、損傷の無いインク収容部1、チップ3を個別に選別し、組み合わせることで損傷の無いインクカートリッジを再生することが可能である。
なお、チップ3の詳細な構成については後述する。
【0023】
インク収容部1の上面側には、回動部材4が配置されている。この回動部材4は例えばL字型の形状をしており、上面側に位置する基端部4aと、全面側に位置する先端部4bと、先端部4bに設けられたレバー5を有する。
基端部4aは、インク収容部1に設けられた凸部6に軸支されており、これによって回動部材4は、矢印A2に示す方向に回動する。
また、レバー5は、画像形成装置のキャリッジ内の係合部に係合し、インクカートリッジ100をキャリッジ内に固定する。
レバー5は、インク収容部1とは独立して、突起部6を中心に回動する。したがって、インクカートリッジ100をキャリッジから取り外す際に、インクカートリッジ全体を動かす力を必要とすること無く、回動部材4を回動させるわずかな力で、レバーとキャリッジのとの係合を解除することができる。
【0024】
図2に示すように、インクタンク本体10の内部には、例えばインクを収容するインク室12と、インク室12内のインクの消費に伴って、インク室に外気を導入する大気連通路13とが形成されている。
例えばインクタンク本体10の上面側には大気連通口8が配設されており、この大気連通口から外気が大気連通路13に取り入れられる。
大気連通路13は、大気連通口8からインクタンク本体10の底面側に向かって形成されており、その最下部には長繊維状のフィルタ14が配置されている。大気連通路13は、このフィルタ14を介して、インク室12に連結される。
【0025】
インク室12内には、例えばインク残量応答部15とインク検出窓19が配置される。
インク残量応答部15は、例えばアーム部16と浮き部17とを備える。アーム部16の一端側には貫通孔が設けられており、この貫通孔にインクタンク本体の内壁面から突出する軸18が挿入されている。
これにより、インク残量応答部15は、軸18を中心として、矢印A3に示す方向に回動可能に軸支されている。
【0026】
また、アーム部16のもう一方の一端には、浮き部17が設けられている。浮部17の底面側には図示しない光反射面が設けられている。この光反射面は、例えば浮き部17の底面にアルミ等の光反射フィルムを設けることで形成してもよい。
また、インク検出窓19はインクタンク本体の底面に設けられている。インク検出窓19は、例えば赤外線や可視光等の光を透過する光透過材料によって形成されており、画像形成装置から出射されるインク残量検出用の光をインク室12内に透過する。
【0027】
例えばこのインク残量応答部15は、インク室12内に収容されるインクよりも小さい質量密度を有する材料によって形成され、インク室内にインクが充填されている時には、浮力によって浮き部17が浮いた状態となる。
この時、画像形成装置から出射された光は、インク検出窓19を透ってインク室12内に入射するが、インク室12内のインクや、インク室を区画する壁面等によって散乱、吸収され光量が著しく減衰する。このため、一度インク検出窓19を透ってインク室12内に入射した光のうち、再びインク検出窓19を透ってインク室12の外に出射する光の光量は非常に小さいものとなる。
【0028】
一方、インクタンク本体10内のインクが消費されるにつれて、インク残量応答部15は矢印A3に示す右回り方向に回動し、これに伴って浮き部17は降下する。
そして、インク室12内のインクが無くなると、浮き部17の光反射面は例えばインクタンク本体10の底面及びインク検出窓19に平行な状態でインク検出窓19に接触し、インク検出窓19上を覆う。
このとき、画像形成装置からインク検出窓19に向かって出射された光は、浮き部17の光反射面によって反射されるため、インク室12内に入射することができない。
画像形成装置は、浮き部17の光反射面によって反射された光を検出することで、インク室12内のインクが無くなったことを検出することができる。
なお、インク残量検出の方法は特に限定するものでは無く、例えばプリズムを配置する等、既知の各種手法を用いてよい。
【0029】
また、インクタンク本体の例えば上面側には、インク室12とインクタンク本体10の外部を連通するインク注入口7が設けられている。このインク注入口を例えばゴム栓等で封止し、リサイクル時にはこのゴム栓を取り外すことで再びインク室12内にインク注入を行うようにしてもよい。
【0030】
インク室12内のインクは、インク供給部2を通って画像形成装置に供給される。インク供給部2は、バネ弁によってインクの供給を制御する構成としてもよいし、例えばスポンジ材等の負圧発生材によってインクを保持する構成としてもよい。
また、本実施形態では、インク供給部2は、インク室12内に配設された第1接続室21と、連絡通路22と、第2接続室23とに接続されている。
【0031】
第1接続室21、連絡通路22及び第2接続室23内にはインクが経由する空間が形成されており、これらの空間は連通している。
インク室12内のインクは、例えば微細メッシュ構造を有するフィルタ20を介して第2インク室23内に移動し、連絡通路22、第1接続室21を経由してインク供給部22から画像形成装置に供給される。
また一方で、インク室12からフィルタ20を介して第2接続室23内に移動し、インク供給部20へと流れる。
【0032】
1−2.チップの構成
図3Aは、本実施形態のチップ3の概略正面図であり、
図3Bは、チップ3の概略側面図である。本実施形態のチップ3は、例えば基板31と、基板31の一方の主面に設けられた端子群32と、基板31のもう一方の主面に配設されたメモリ34とを備える。
また、メモリ34は、例えば樹脂33によって被覆されている。メモリ34には、例えばインク色や、製造年月日、シリアルNo.等のインクカートリッジ100の識別情報が記憶される。
基板31に設けられた端子群32は、本実施形態において例えば端子321〜329の9個の端子によって構成される。
これらの端子は、インクカートリッジ100が画像形成装置に装着されると、画像形成装置に配置された接触ピンに接触し、これによりチップ3と画像形成装置の制御部とが電気的に接続される。
【0033】
本実施形態において、この端子群32の各端子の用途は例えば以下のように分類できる。
端子321・・・第1の装着確認端子
端子322・・・IC選択信号入力端子
端子323・・・クロック信号入力端子
端子324・・・第1の装着確認端子
端子325・・・第2の装着確認端子
端子326・・・VDD端子
端子327・・・GND端子
端子328・・・データ入力端子
端子329・・・第2の装着確認端子
【0034】
端子321と端子324は図示しない配線によって接続されている。
また
図4に示すように、例えば、本実施形態のインクカートリッジ100を画像形成装置に装着すると、装着された各インク色のインクカートリッジの第1の装着確認端子は直列に接続される。
例えば、ブラックのインク色のインクカートリッジの端子324Bkは、イエローのインク色のインクカートリッジの端子321Yに接続される。同様にして、イエローのインク色のインクカートリッジの端子324Yは、マゼンタのインク色のインクカートリッジの端子321Mに接続され、マゼンタのインク色のインクカートリッジの端子324Mは、シアンのインク色の端子321Cに接続される。
【0035】
そして、画像形成装置は全装着信号出力部36から端子321Bkに全装着確認信号を出力する。また、端子324Cには全装着信号検出部37が接続され、端子321Bkから入力された全装着確認信号を検出する。
画像形成装置は、例えばこの全装着信号検出部37において全装着確認信号を検出した場合には、全てのインクカートリッジが装着されていると判定し、検出できなかった場合には、いずれかのインクカートリッジが装着されていないと判定する。
【0036】
一方、本実施の形態における第2の装着確認端子325と329もまた、
図3に示すように配線35によって接続されている。
また、第2の装着確認端子325、329は、導電性を有する非金属材料によって形成される。
本技術において、導電性を有するとは、画像形成装置が認識可能な程度に信号を導通可能であることを意味する。例えば抵抗値でこの導電性を表現すると、例えば第2の装着確認端子325、329の抵抗値を70KΩ以下とすることが好ましい。
【0037】
この導電性を有する非金属材料としては、例えばシリコンや炭化ケイ素等の半導体材料や、カーボン等の導電性ペーストを用いることができる。また他にも、導電性高分子を用いた導電性塗料や、金属酸化膜によって第2の装着確認端子325、329を形成してもよい。
【0038】
また、第2の装着確認端子325、329には、所定の抵抗値を持たせることが好ましい。この抵抗値は、本実施形態のインクカートリッジ100を画像記録装置のキャリッジに装着した際に、第2の装着確認端子325、329に接触するキャリッジ側の端子間の抵抗値が、例えば25KΩ〜70KΩの範囲となる値とすることが望ましい。
この抵抗値は、例えば端子材料に導電性ペーストを用いる場合には、導電性フィラーの種類や径、含有量、導電性ペーストの膜厚等を調整することで設定することができる。
【0039】
また、導電性フィラーには、非金属フィラーを用いることが好ましい。例えば非金属導電性フィラーには、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック等のカーボンを用いることができる。
また、カーボンのかわりに金属酸化物系フィラーを用いてもよい。
【0040】
なお、導電性フィラーとして、上述の非金属フィラーと、例えばチタンブラックや酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属フィラーを混合したものを用いても構わない。
金属フィラーのみによって導電性フィラーを構成する場合に比べて、非金属フィラーを混合した分だけ金属フィラーの使用量が低減できるので、金属フィラーによるイオン化マイグレーションの発生を抑制できる。
【0041】
また、導電性フィラーのバインダーとしては、エポキシ樹脂、アクリル、ポリイミド、ウレタン、シリコーン等の樹脂バインダーや、低融点ガラス等の高温焼成型の無機バインダーを用いることができる。
本実施形態において第2の装着確認端子325、329はキャリッジ側の端子と接触するため、バインダーとしては基板31への密着性が高いことが望ましい。樹脂バインダーを用いる場合には、例えば熱硬化性樹脂を用いることが密着性、硬度の点から好ましい。
例えば、高分子量の共重合ポリエステル樹脂にブロックイソシアネート化合物やエポキシ樹脂を配合し、熱硬化させることにより密着性を向上させることができ、キャリッジ側端子との接触圧に対する耐性を高めることが可能である。
【0042】
また、配線35も導電性非金属材料によって形成してもよい。特に、第2の装着確認端子325、329と同一の材料を用いることにより、第2の装着確認端子325、329と配線35を同時に形成することができる。
また、配線35を導電性非金属材料によって形成する場合には、第2の装着確認端子325、329におけるキャリッジ側端子との接触部間の抵抗値を、配線幅、配線長さによって調節することができる。また、配線長さを長くして、その分だけ体積抵抗率の小さい導電性非金属材料を用いることが可能であり、製造時における抵抗値のばらつきを低減することができるので好ましい。
【0043】
この第2の装着確認端子325、329は、例えば各インク色のインクカートリッジのうち、どのインクカートリッジが装着されていないのかを判別するために用いられる。
この装着確認は、例えば
図5に示す回路構成によって行うことができる。
図5は、インクカートリッジの個別装着確認を行う回路の一例を示す説明図である。
この回路は、画像形成装置に内蔵されるものであり、この図では、ブラックのインク色のインクカートリッジ3Bk、イエローのインク色のインクカートリッジ3Y、マゼンタのインク色のインクカートリッジ3M、シアンのインク色のインクカートリッジ3Cがキャリッジに装着されることにより、各インクカートリッジの第2の装着確認端子がこの回路に接続される。
【0044】
なお、ここでは、ブラックのインク色のインクカートリッジ3Bkの装着確認が行われる場合について説明する。また、インクカートリッジ3Y、3M、3Cの装着確認については、インクカートリッジ3Bkと同様であるのでここでは省略する。
【0045】
インクカートリッジ3Bkは、キャリッジに装着されることにより、第2の装着確認端子325Bk及び329Bkが画像形成装置に接続される。本実施の形態において、端子325Bkと端子329Bkは導電性非金属材料によって形成されており、この端子間には、所定の抵抗値Rが存在する。この抵抗値Rは、上述のように、例えば25KΩ〜70KΩの範囲で設定できる。
また、ここではインクカートリッジ3Y、3M、3Cのチップにおいても、2つの第2の装着確認端子間に同じ値の抵抗値Rを有しているものとする。
【0046】
また、各カートリッジがキャリッジに装着されると、それぞれのカートリッジのチップの第2の装着確認端子は、それぞれ抵抗R1に接続される。この抵抗R1は、例えば24.3KΩに設定される。
図5に示すように、キャリッジに装着された各カートリッジは、抵抗R1を介して並列に接続される。
【0047】
個別装着確認信号発生部38は、例えば40Vの電圧信号である個別装着確認信号S1を生成する。この個別装着確認信号S1は、例えばインクカートリッジ3Bkが装着されている場合には、第2の装着確認端子325Bk、329Bkによって電圧降下された後、例えばOPアンプ40の+端子に入力される。なお、ここでは簡略のため、OPアンプ40を理想OPアンプとし、電流検出部39の内部抵抗はゼロとする。
また、OPアンプ40の−端子には、第2の装着確認信号S1の40Vが、抵抗R2、R3によって分圧された電圧が入力される。
【0048】
例えば、第2の装着確認端子325Bk、329Bkによる抵抗値Rが62.5KΩ、抵抗R1を24.3KΩとすると、個別装着確認信号S1の電圧40VをR、R1によって分圧した11.2Vの信号がOPアンプ40の+端子に入力される。
一方、インクカートリッジ3Bkが装着されていない時には、OPアンプ40の+端子への入力は0Vとなる。
したがって、インクカートリッジ3Bkの装着時と未装着時とで、OPアンプ40からの出力が異なるので、これを検出することによりインクカートリッジ3Bkの装着を確認することができる。
【0049】
また、個別装着確認信号発生部38から電流検出部39までの合成抵抗の値は、インクカートリッジ3Bk、3Y、3M、3Cの装着、未装着によって異なる。したがって、電流検出部39によって検出される電流値はインクカートリッジ3Bk、3Y、3M、3Cの装着、未装着によって異なるので、これにより装着確認を行うこともできる。
本実施形態では、各インクカートリッジの第2の装着確認端子の抵抗値R、は同一の値となっているので、電流検出部39によって検出された電流値により、未装着のインクカートリッジの個数が検出可能となる。
【0050】
このように、本実施の形態では、例えば第2の装着確認端子325には40Vの高い電圧が印加される。なお、本技術において、高電圧とは、メモリ34に接続される端子322、323、326〜328に印加される電圧よりも高い電圧を指すものとする。
一方、第2の装着確認端子325に隣接する端子326(
図3参照)は、例えばVDD端子であるため、例えば3.3Vの電圧が入力されている。このため、第2の装着確認端子325と端子326の間には、この電位差36.7V分の強力な電界が生じる。
【0051】
しかし、本実施形態の第2の装着確認端子325は、導電性を有する非金属材料によって形成されている。このため、本実施の形態のインクカートリッジ100が多湿環境において使用されたとしても、第2の装着確認端子325はイオン化を起こしにくい。したがって、たとえ第2の端子325とその他の端子との間に強力な電界が生じても、これらの端子間にイオンマイグレーションが生じるのを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、第2の装着確認端子325そのものに所定の抵抗値を持たせ、この抵抗を用いてカートリッジの装着確認を行うことができる。
例えば、上述の特許文献2では、装着確認用の2つの端子間に抵抗器を接続し、この抵抗器を用いて装着確認を行っている。しかし、本実施形態では、第2の装着確認端子そのものに装着確認用の抵抗値を持たせているため抵抗器を必要とせず、部品点数を減らすことが可能である。
【0053】
なお、本実施形態では、2つの第2の装着確認端子325、329の両方を導電性を有する非金属材料によって形成しているが、どちらか一方を導電性非金属材料によって形成してもよい。少なくとも導電性非金属材料によって形成された端子については、マイグレーションの発生を抑制することが可能である。
また、端子325のみを導電性非金属材料によって形成し、この端子そのものに例えば高抵抗値を持たせる場合には、端子329での電位は低くなる。このような場合には、端子329においてイオンマイグレーションが生じる可能性を低くすることができるので、必ずしも端子329を導電性非金属材料によって形成しなくてもよい。
【0054】
2.第2の実施の形態
図6は、第2の実施の形態にかかるインクカートリッジに配設されるチップ40を示す概略構成図である。また、インク収容部やインク供給部の構成はとくに限定するものではなく、第1の実施の形態(
図1参照)と同様であってよいので、ここでは省略する。
【0055】
本実施形態のチップ40は、基板42と基板の一方の主面側に配置された端子群41と、配線43とを備える。また、ここでは図示を省略するが、基板42のもう一方の主面側には、メモリ等を備えたICチップが配設される。
本実施形態においても、端子群41は例えば9個の端子から構成されており、これらの端子の用途及び配置位置は、第1の実施の形態と同じである。
【0056】
本実施の形態においても、第2の装着確認端子425、429は、導電性を有する非金属材料によって構成される。この導電性非金属材料には、例えば第1の実施の形態において挙げたものを用いてよい。
【0057】
また、第2の装着確認端子425、429は、配線43によって電気的に接続されている。本実施形態では、この配線43と、第2の装着確認端子425、429との接続部において、配線43が第2の装着確認端子425、429の上に配置されているところが第1の実施の形態と異なる。
【0058】
図7Aは、第1の実施の形態に係るチップ3における第2の装着確認端子325と配線35の接続部の様子を示す説明図である。
図7Aに示すように、第1の実施の形態では、配線35と第2の装着確認端子325との接続部においては、配線35上に第2の装着確認端子325が配置されている。
一方で、このチップ3をとりつけたインクカートリッジ100を画像形成装置のキャリッジに装着する際には、キャリッジ側の端子が矢印A5の方向にチップ3上を摺動する。このため、キャリッジ側の端子によって、第2の装着確認端子325の端部325Aや段差部325Bにおいて、剥がれが生じる可能性がある。
【0059】
例えば、第2の装着確認端子325がカーボンペーストや、導電性塗料によって形成されていた場合、こうした材料は一般的な端子材料である銅や金に比べて密着性や強度を確保するのが困難であるので、上述の箇所において端子剥がれが起こる恐れがある。
【0060】
これに対して、
図7Bは本実施形態に係るチップ40の配線425と第2の装着確認端子325との接続部の様子を示す説明図である。
本実施の形態のチップ40では、配線43と第2の装着確認端子425の接続部分において、配線43が第2の装着確認端子425上に配設されている。
【0061】
このため、このチップ40を取り付けたインクカートリッジをキャリッジ内に装着する際に、キャリッジ内の端子が矢印A6の方向にチップ40上を摺動したとしても、キャリッジ内の端子は第2の装着確認端子425の端部425Aに接触しない。また、第2の装着確認端子425には段差も存在しない。
したがって、キャリッジ内の端子がチップ40上を摺動する時に第2の装着確認端子425が剥がれるのを防ぐことが可能である。
【0062】
また、
図6に示すように、第2の装着確認端子425、429と配線43の接続部においては、キャリッジへの装着時にキャリッジ内の端子がチップ40上を摺動する方向に垂直な矢印A4の方向に対して、配線43が第2の装着確認端子425、429上の全面を覆うことが好ましい。
これにより、キャリッジへの装着時において、矢印A4の方向にインクカートリッジがずれたとしても、キャリッジ内の端子が第2の装着確認端子425、429の端部に接触するのを防ぐことができる。
なお、その他の構成、作用、効果については第1の実施の形態と同様である。
【0063】
3.第3の実施の形態
図8は、本実施形態に係るチップ50と、装着確認ユニット60の概略構成を示す模式図である。
端子群51に示すように、本実施形態のチップ50の基板52上には、第2の装着確認端子625、629以外の端子が配置される。すなわち、チップ50上には、第2の装着確認端子625、629、及びこれら2つの端子を接続する配線63が形成されていないこと以外は、第1、2の実施と同様である。
【0064】
また、装着確認ユニット60は、例えば基板64上に第2の装着確認端子625、629、及び配線63が配置されている。第2の装着確認端子625、629、及び配線63の構成については、第1の実施形態や第2の実施の形態と同様であってよい。
【0065】
本実施の形態においては、チップ50とは別体に設けられた装着確認ユニット60上に第2の装着確認端子625、629が配置されている。これにより、例えば
図8に示すように、チップ50と装着確認ユニット60との間に間隙を介在させることができる。
したがって、第2の装着確認端子625、629に高電圧を印加したとしても、第2の装着確認端子625、629とチップ50上の端子群51との間にはこの空隙が存在するため、第2の装着確認端子625、629と端子群52との間にイオンマイグレーションが生じるのを確実に防ぐことが可能である。
【0066】
なお、この装着確認ユニット60は、必ずしもインクカートリッジに取り付ける必要は無い。例えば、キャリッジ内に予め装着確認ユニット60のみを固定しておく構成であってもよい。
また、本実施の形態においては、第2の装着確認端子625、629と端子群51との間に間隙を介在させることでイオンマイグレーションを抑制できるので、第2の装着確認端子625、629を導電性非金属材料で形成せず、例えば金や銅等の一般的な端子材料で構成してもよい。
【0067】
以上、本発明によるインクカートリッジ、チップの実施の形態について説明した。本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、考えられる種々の形態を含むものである。