特許第6103645号(P6103645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103645
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】磁界特性評価装置及び磁界特性評価方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/455 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   G11B5/455 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-215917(P2013-215917)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-79551(P2015-79551A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100074550
【弁理士】
【氏名又は名称】林 實
(72)【発明者】
【氏名】浅井 裕理
(72)【発明者】
【氏名】和田 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 明彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 誠
(72)【発明者】
【氏名】松島 英紀
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222067(JP,A)
【文献】 特開平10−283614(JP,A)
【文献】 特開2008−065898(JP,A)
【文献】 特開2007−294007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/40 − 5/465
G11B 5/33 − 5/39
G11B 21/16 − 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部シールド層と上部シールド層の間に、磁気モーメントを持たない反強磁性材料から成る反強磁性層と、磁化方向が固定された固定層と、絶縁材から成る絶縁層と、磁化方向が外部磁界により変化する自由層とを積層し、ハードバイアス層により挟み込まれるように構成されたMR型磁気ヘッド素子に対する外部磁界の印加による絶縁層を通過するトンネル電流の抵抗変化を利用して複合型磁気ヘッドの特性を評価する磁界特性評価装置であって、
磁気ディスクを回転しながら支持するスピンドルモータと、該磁気ディスク上に浮上状態で支持される磁気ヘッドと、該磁気ディスクの上下面を挟み込むように概略コ字形状に形成されて磁気ヘッドに垂直方向の交流磁界を印加するため垂直コイルと、磁気ディスク上の磁気ヘッドに平行方向の直流磁界を印加するため平行コイルとを備え、前記平行コイルが、磁界を発生するための開口部を有し、一辺にスリット部を設けた概略ロ字形状のコイル本体部と、該コイル本体部の他三辺に巻成された複数の導線とから構成され、該スリット間の間隔に磁気ディスクを挿入配置するように構成されていることを特徴とする磁界特性評価装置。
【請求項2】
前記磁気ディスクを所定回転数で回転させて磁気ヘッドを磁気ディスク上に位置させ、磁気ディスク上にロードし、前記平行コイルにより磁気ヘッドに所定量の平行直流磁界を印加した状態において、垂直交流磁界変化時のMR型磁気ヘッド素子の絶縁層の抵抗値変化量の推移を測定することを特徴とする請求項1記載の磁界特性評価装置。
【請求項3】
前記磁気ヘッドが熱的ポールチップ膨脹現象を利用して磁気ディスクに対する浮上量を制御する発熱体を含み、磁気ヘッドの該発熱体の抵抗値変化量の推移を測定することを特徴とする請求項2記載の磁界特性評価装置。
【請求項4】
下部シールド層と上部シールド層の間に、磁気モーメントを持たない反強磁性材料から成る反強磁性層と、磁化方向が固定された固定層と、絶縁材から成る絶縁層と、磁化方向が外部磁界により変化する自由層とを積層し、ハードバイアス層により挟み込まれるように構成されたMR型磁気ヘッド素子に対する外部磁界の印加による絶縁層を通過するトンネル電流の抵抗変化を利用して複合型磁気ヘッドの特性を評価する磁界特性評価装置の磁界特性評価方法であって、
磁気ディスクを回転しながら支持するスピンドルモータと、該磁気ディスク上に浮上状態で支持される磁気ヘッドと、該磁気ディスクの上下面を挟み込むように概略コ字形状に形成されて磁気ヘッドに垂直方向の交流磁界を印加するため垂直コイルと、磁気ディスク上の磁気ヘッドに平行方向の直流磁界を印加するために磁界を発生するための開口部を有し、一辺にスリット部を設けた概略ロ字形状のコイル本体部と、該コイル本体部の他三辺に巻成された複数の導線とから構成され、該スリット間の間隔に磁気ディスクを挿入配置するように構成された平行コイル部とを設け、前記磁気ディスクを所定回転数で回転させて磁気ヘッドを磁気ディスク上に位置させ、磁気ディスク上にロードし、前記平行コイルにより磁気ヘッドに所定量の平行直流磁界を印加した状態において、垂直交流磁界変化時のMR型磁気ヘッド素子の絶縁層の抵抗値変化量の推移を測定することを特徴とする磁界特性評価方法。
【請求項5】
前記磁気ヘッドが熱的ポールチップ膨脹現象を利用して磁気ディスクに対する浮上量を制御する発熱体を含み、磁気ヘッドの該発熱体の抵抗値変化量の推移を測定することを特徴とする請求項4記載の磁界特性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗効果(MR)型磁気ヘッド素子の磁界特性を評価する磁界特性評価装置及び磁界特性評価方法に係り、特にMR型磁気ヘッド素子に平行及び垂直磁界を印加した状態おけるMR型磁気ヘッド素子の磁界特性を評価する磁界特性評価装置及び磁界特性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に磁気ディスク装置に採用されるMR型磁気ヘッド素子は、磁気ディスク上の磁界変化によって電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子を利用した再生専用の素子であり、磁気ディスクにデータを書き込むための磁気記録(WR)素子と共に磁気ヘッドアーム先端のスライダに支持される複合型磁気ヘッドを構成し、磁気ディスク上に微小間隔で浮上しながら磁気記録(WR)素子及びMR型磁気ヘッド素子が磁気ディスクへのデータ記録再生を行うように構成されている。特に浮上量が極小化した近年の複合型磁気ヘッドにおいては、スライダに発熱体を設けてTPTP(熱的ポールチップ膨脹:Thermal Pole Tip Protrusion)現象を積極的に利用することによって磁気ヘッド素子個々の浮上量ばらつきを調整し、微小な浮上量を精度良く制御する技術が採用されている。
【0003】
このMR型磁気ヘッド素子は、磁気ディスク面に対向する下部シールド層と上部シールド層の間に、磁気モーメントを持たない反強磁性材料から成る反強磁性層と、磁化方向が固定された固定層と、絶縁材から成る絶縁層と、磁化方向が外部磁界により変化する自由層とを積層し、ハードバイアス層により挟み込まれるように構成され、下部シールド層側から磁界が印加された場合は図5(a)に示す如く自由層の磁化方向が固定層の磁化方向と平行になり、上部シールド層側から磁界が印加された場合は図5(b)に示す如く自由層の磁化方向が固定層の磁化方向が反平行になる特性があり、この各磁性膜の磁化の角度に依存して絶縁層を通過するトンネル電流が変化すること(抵抗変化)を利用してデータ再生を行うものである。
【0004】
このように構成された磁気記録素子(WR素子)と磁気抵抗効果素子(MR素子)と発熱体であるTFC素子を搭載した複合型磁気ヘッドは、製品化の過程として磁気的特性を評価する必要があり、この複合型磁気ヘッドの磁気特性を評価(検査)する技術が記載された文献としては下記の特許文献1が挙げられ、この特許文献1には、特定条件の略垂直磁界を複合型磁気ヘッドに印加して磁気ヘッドの出力電圧を測定し、ノイズストレス磁界を印加した後に、再び特定条件の略垂直磁界を複合型磁気ヘッドに印加して磁気ヘッドの出力電圧を測定し、最後にこれらの出力電圧の差と規格値を比較して良否判定を行うことによって、外部からの影響による磁気出力不安定性不良を検出する技術が記載されている、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−302414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の特許文献1に記載された技術は、垂直磁界の印加後にノイズストレス磁界を印加し更に略垂直磁界を印加し、出力電圧差と規格値を比較することによって磁気出力不安定性不良を検出することができるものの、近年の複合型磁気ヘッドは、前記した上部及び下部シールド層が磁気ディスク以外からの外部磁界の影響を防止するために設けられているものの、磁気ディスクの大容量化の要望によって複合型磁気ヘッドも極小化しており、垂直磁界の印加による磁気ヘッド特性の評価だけでは製品化したMR型磁気ヘッド素子を搭載した複合型磁気ヘッド特性を正確に評価することが困難であり、このために水平磁界をMR型磁気ヘッド素子に印加することが考えられるが、磁界を印加するための磁気コイルを複合型磁気ヘッド近傍に接近して配置することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題しようとするものであり、MR型磁気ヘッド素子を搭載する複合型磁気ヘッドの磁気特性を正確に評価することができる磁界特性評価装置及び磁界特性評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、下部シールド層と上部シールド層の間に、磁気モーメントを持たない反強磁性材料から成る反強磁性層と、磁化方向が固定された固定層と、絶縁材から成る絶縁層と、磁化方向が外部磁界により変化する自由層とを積層し、ハードバイアス層により挟み込まれるように構成されたMR型磁気ヘッド素子に対する外部磁界の印加による絶縁層を通過するトンネル電流の抵抗変化を利用して複合型磁気ヘッドの特性を評価する磁界特性評価装置であって、磁気ディスクを回転しながら支持するスピンドルモータと、該磁気ディスク上に浮上状態で支持される磁気ヘッドと、該磁気ディスクの上下面を挟み込むように概略コ字形状に形成されて磁気ヘッドに垂直方向の交流磁界を印加するため垂直コイルと、磁気ディスク上の磁気ヘッドに平行方向の直流磁界を印加するため平行コイルとを備え、前記平行コイルが、磁界を発生するための開口部を有し、一辺にスリット部を設けた概略ロ字形状のコイル本体部と、該コイル本体部の他三辺に巻成された複数の導線とから構成され、該スリット間の間隔に磁気ディスクを挿入配置するように構成されていることを第1の特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、第1の特徴の磁界特性評価装置において、前記磁気ディスクを所定回転数で回転させて磁気ヘッドを磁気ディスク上に位置させ、磁気ディスク上にロードし、前記平行コイルにより磁気ヘッドに所定量の平行直流磁界を印加した状態において、垂直交流磁界変化時のMR型磁気ヘッド素子の絶縁層の抵抗値変化量の推移を測定することを第2の特徴とし、請求項3記載の発明は、前記何れかの特徴の磁界特性評価装置において、前記磁気ヘッドが熱的ポールチップ膨脹現象を利用して磁気ディスクに対する浮上量を制御する発熱体を含み、磁気ヘッドの該発熱体の抵抗値変化量の推移を測定することを第3の特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、下部シールド層と上部シールド層の間に、磁気モーメントを持たない反強磁性材料から成る反強磁性層と、磁化方向が固定された固定層と、絶縁材から成る絶縁層と、磁化方向が外部磁界により変化する自由層とを積層し、ハードバイアス層により挟み込まれるように構成されたMR型磁気ヘッド素子に対する外部磁界の印加による絶縁層を通過するトンネル電流の抵抗変化を利用して複合型磁気ヘッドの特性を評価する磁界特性評価装置の磁界特性評価方法であって、磁気ディスクを回転しながら支持するスピンドルモータと、該磁気ディスク上に浮上状態で支持される磁気ヘッドと、該磁気ディスクの上下面を挟み込むように概略コ字形状に形成されて磁気ヘッドに垂直方向の交流磁界を印加するため垂直コイルと、磁気ディスク上の磁気ヘッドに平行方向の直流磁界を印加するために磁界を発生するための開口部を有し、一辺にスリット部を設けた概略ロ字形状のコイル本体部と、該コイル本体部の他三辺に巻成された複数の導線とから構成され、該スリット間の間隔に磁気ディスクを挿入配置するように構成された平行コイル部とを設け、前記磁気ディスクを所定回転数で回転させて磁気ヘッドを磁気ディスク上に位置させ、磁気ディスク上にロードし、前記平行コイルにより磁気ヘッドに所定量の平行直流磁界を印加した状態において、垂直交流磁界変化時のMR型磁気ヘッド素子の絶縁層の抵抗値変化量の推移を測定することを第4の特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、第4の特徴の磁界特性評価方法において、前記磁気ヘッドが熱的ポールチップ膨脹現象を利用して磁気ディスクに対する浮上量を制御する発熱体を含み、磁気ヘッドの該発熱体の抵抗値変化量の推移を測定することを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による磁界特性評価装置及び磁界特性評価方法は、平行コイルが、一辺に設けたスリット部に磁気ディスクを挿入してMR型磁気ヘッド素子に平行直流磁界を印加した状態で垂直コイルから発生する垂直交流磁界を変化させたときのMR型磁気ヘッド素子の絶縁層の抵抗値変化の推移を測定することによって、MR型磁気ヘッド素子を搭載した複合型磁気ヘッド素子の平行磁界に対する評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による磁界特性評価装置の概略構造を説明するための図。
図2】本実施形態による磁界特性評価装置の回路構成を説明するための図。
図3A】本実施形態による平行コイルを説明するための図。
図3B】本実施形態による平行コイルのケイ素鋼板を説明するための図。
図4A】本実施形態による垂直コイルを説明するための図。
図4B】本実施形態による垂直コイルのケイ素鋼板を説明するための図。
図5】本実施形態の対象となるMR型磁気ヘッド素子を説明するための図。
図6】本実施形態の課題を説明するための図。
図7】本実施形態の対象となるMR型磁気ヘッド素子の抵抗値変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による磁界特性評価方法を適用した磁界特性評価装置の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
[課題の説明]
まず、本発明の解決しようとする課題の詳細について説明する。前記したようにMR型磁気ヘッド素子の上部シールド及び下部シールドは、磁気ディスク以外からの外乱磁界が反強磁性層・固定層・絶縁層・自由層に影響することを防止するために設けられているが、複合型磁気ヘッドの極小化に伴って各層が薄く小さくなってきているため、図6(a)に示すMR型磁気ヘッド素子に磁気ディスク以外からの従来では問題とならなかった程度の平行外部磁界が印加された場合、上下シールド層の磁区構造によっては、図6(b)に示す如く、磁化方向が反対方向に容易に反転し、自由層の磁化方向も変化し、安定的に磁気情報を読み込むことが困難になる。
【0015】
[構成]
本実施形態によるMR型磁気ヘッド素子を搭載した複合型磁気ヘッドの磁界特性評価装置の機械的構成は、図1に示す如く、磁気ディスク10を回転しながら支持するスピンドルモータ19と、該磁気ディスク10上に浮上状態で支持される磁気ヘッド11(後述するコイルの陰になり図示されていない)と、該磁気ヘッド11を磁気ディスク10の表面に対して直交するXY方向に移動させるためのXYステージ21と、前記磁気ヘッド11を磁気ディスク10の表面に対して垂直Z方向に移動させるためのZステージ22と、磁気ディスク10の上下面を挟み込むように概略コ字形状に形成されて磁気ヘッド11に垂直方向のAC(交流)磁界を印加するため垂直コイル60と、磁気ディスク10上の磁気ヘッド11に平行方向のDC(直流)磁界を印加するため平行コイル50とを備える。
【0016】
前記垂直コイル60は、図4A(a)の斜視図及び図4Bに示す如く、開口部61bを有する概略ロ字形状のコイル本体部61aと、該コイル本体部61aの開口部61bを設けた以外の3辺に巻成された3つの導線62とから構成され、該コイル本体部61aの開口部61b間にAC(交流)磁界を発生するように構成されている。尚、図4A(b)から(d)は、垂直コイル60の斜視図に対する上面図、左側面図、右側面図である。
【0017】
本実施形態の特徴である平行コイル50は、図3A(a)の斜視図及び図3Bに示す如く、開口部51bを有し、一辺にスリット部51cを設けた概略ロ字形状のコイル本体部51aと、該コイル本体部51aの他三辺に巻成された3つの導線52とから構成され、該スリット部51c間の間隔に磁気ディスク10を挿入配置することによって、コイル本体部51aの開口部51b間にDC(直流)磁界を発生し、磁気ヘッド11に印加するように構成されている。尚、図3A(b)から(d)は、平行コイル50の斜視図に対する上面図、左側面図、右側面図である。
【0018】
この水平コイル50は、ケイ素鋼板51のコイル本体部51aの幅を60mm、高さを60mm、厚さを10mmとし、スリット部51cの幅を2.5mm、深さを40mmとし、開口部51b間を12mmとし、コイル本体部51aを覆う導線52の幅を7mm(外径では24mm)とすることによって、最大500[Oe]の水平磁界を発生することができる。なお、水平垂直コイルの材質は前記したものに限られるものではない。
【0019】
このように構成された磁界特性評価装置の回路的構成は、図2に示す如く、磁気ヘッド11を支持するHGA(Head Gimbal Assembly)治具を搭載したXYXステージ21及びZステージ22を駆動するステージモータドライバ201と、スピンドルモータ19を駆動するためのスピンドルモータドライバ206と、磁気ヘッド11のMR型磁気ヘッド素子の抵抗値を測定するMR抵抗測定器203と、磁気ヘッド11のTFC素子の抵抗値を測定するTFC抵抗測定器204と、磁気ヘッド11のMR型磁気ヘッド素子の抵抗値変化分を測定するDVH測定アンプ202と、前記垂直コイル60の開口部61bにAC磁界を発生させると共に平行コイル50の開口部51bにDC磁界を発生させるように駆動するコイルドライバ205と、前記ステージモータドライバ201とスピンドルモータドライバ206とMR抵抗測定器203とスピンドルモータドライバ206とTFC抵抗測定器204とDVH測定アンプ202とコイルドライバ205とを制御する制御回路200とを備える。
【0020】
[動作]
このように構成された磁界特性評価装置は、制御回路200が、スピンドルモータドライバ206の制御によりスピンドルモータ19を所定回転数で回転させて磁気ヘッド11を磁気ディスク10上に位置させ、ステージモータドライバ201の制御によりXYステージ21及びZステージ22によりXYZ方向に移動させて磁気ヘッド11を磁気ディスク10上にロードし、コイルドライバ205の制御によって平行コイル50により磁気ヘッド11に所定量のDC磁界を印加すると共に垂直コイル60により磁気ヘッド11に垂直AC磁界を変化させながら印加し、この垂直AC磁界変化時のDVH測定アンプ202によるMR型磁気ヘッド素子の抵抗値変化量の推移と、TFC素子の抵抗値変化量の推移とを、例えば、X軸に垂直コイル60によるAC磁界、Y軸にAC磁界に対するMR型磁気ヘッド素子の抵抗値変化量をプロットした図7に示す如く、測定して評価するように動作する。
【0021】
特に本実施形態においては、コイルドライバ205が平行コイル50の開口部51aに所定の平行DC磁界を印加することによって、MR型磁気ヘッド素子内に影響する平行磁界の影響を増幅又は打ち消すことができ、上下シールド層の磁化方向が反転するか否か等の評価を行うことができる。
【符号の説明】
【0022】
10 磁気ディスク、11 磁気ヘッド、19 スピンドルモータ、
21 XYステージ、22 Zステージ、50 垂直コイル、
51a コイル本体部、51b 開口部、51c スリット部、52 導線、
60 垂直コイル、61a コイル本体部、61b 開口部、62 導線、
200 制御回路、201 ステージモータドライバ、
202 DVH測定アンプ、203 MR抵抗測定器、
204 TFC抵抗測定器、205 コイルドライバ、
206 スピンドルモータドライバ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7