特許第6103665号(P6103665)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6103665
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ガス置換包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/04 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   B65B31/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-29640(P2016-29640)
(22)【出願日】2016年2月19日
【審査請求日】2016年10月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597123870
【氏名又は名称】株式会社トーヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 祐輔
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2375518(GB,A)
【文献】 特開平2−159277(JP,A)
【文献】 特開2003−276708(JP,A)
【文献】 米国特許第4221101(US,A)
【文献】 国際公開第2005/075294(WO,A1)
【文献】 特開平3−275423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の吸引ノズルと、該吸引ノズルの両側に配置されたガス注入ノズルとのユニットからなるガス充填ノズルにおいて、
各ユニットの右側のガス注入ノズル同士が一つのプレート上に載っており、同様に各ユニットの左側のガス注入ノズル同士が一つのプレート上に載っており、前記各プレートは、前後に移動する揺動プレートの案内レールを左右摺動する案内台に取り付け固定されており、前記吸引ノズルも前記揺動プレートに固定されており、中央の吸引ノズルが固定状態で、左右のガス注入ノズルが前記吸引ノズルを中心に左右に拡開される構造となっていることを特徴とするガス置換包装機。
【請求項2】
前記吸引ノズルは、扁平筒状のノズル本体と、該ノズル本体の内部上下にピンで枢着され、先端から突き出て上向き及び下向きに曲げられた2枚の板バネ部材と、前記ノズル本体を支持する支持部材と、前記ノズル本体の末端に吸引ポンプに接続された接続管とからなることを特徴とする請求項1記載のガス置換包装機。
【請求項3】
前記ガス注入ノズルは、先端が扁平筒状のノズル本体と、該ノズル本体を支持する支持体と、前記ノズル本体の末端に不活性気体のガスボンベに接続された接続管とからなることを特徴とする請求項1記載のガス置換包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋内の空気を排出しながら不活性気体を充填することができるガス置換包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窒素ガスなどのガスを噴出する噴出ノズルの周囲に、袋内の気体を吸引する吸引ノズルを設けたノズル式ガス充填包装機が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、吸引ポンプに接続している切換弁を切換えて、吸引ノズルをエアー圧力源に接続すると、圧縮空気が真空エジェクタを通過して吸引ノズルに供給され、真空エジェクタがタンクから洗浄液を吸込むので、その洗浄液が圧縮空気とともに、吸引ノズルから噴出し、吸引ノズルにたまっていたゴミを洗浄するものである。
【0003】
前記ノズル式ガス充填包装機は、エアーを吸引するための吸引ノズルに、被包装物のカスやその包装物に付着したゴミなどがたまっても、洗浄液が圧縮空気とともに、吸引ノズルから噴出し、吸引ノズルを洗浄できるようにした点で効果があるが、窒素ガスなどのガスを噴出する噴出ノズルの周囲に、袋内の気体を吸引する吸引ノズルを設けるため、袋内のガス置換が効果的に行われない恐れがあった。
【0004】
また、種々のサイズの袋体に対応して袋体の位置出しを正確に行うことができるようにした袋体用減圧密封装置が知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、吸気と一緒に吸引されたダスト、水分、雑菌類が置換ガスに混入することがないようにしたものであるが、置換ガスを装填する置換ガス装填装置の近傍に、袋体内の気体を吸気する吸気装置を設けるため、袋体内のガス置換が効果的に行われない恐れがあった。
そこで、本出願人は、エアーを吸引するための吸引ノズルと、窒素ガスなどを噴出する噴出ノズルを離間し、エアーの吸引と窒素ガスの充填との置換に悪影響を及ぼさないとともに、吸引ノズルに袋口の密着を防ぐ工夫を凝らしてエアーの吸引を確実に行うガス置換包装機を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−20203号公報
【特許文献2】特開2000−247308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、包装袋内の空気を吸引しながら不活性気体を充填する動作を繰り返してガス置換し、包装袋内に不活性気体を残存させるガス置換包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス置換包装機は、中央の吸引ノズルと、該吸引ノズルの両側に配置されたガス注入ノズルとのユニットからなるガス充填ノズルにおいて、
各ユニットの右側のガス注入ノズル同士が一つのプレート上に載っており、同様に各ユニットの左側のガス注入ノズル同士が一つのプレート上に載っており、前記各プレートは、前後に移動する揺動プレートの案内レールを左右摺動する案内台に取り付け固定されており、前記吸引ノズルも前記揺動プレートに固定されており、中央の吸引ノズルが固定状態で、左右のガス注入ノズルが前記吸引ノズルを中心に左右に拡開される構造となっている。
前記吸引ノズルは、扁平筒状のノズル本体と、該ノズル本体の内部上下にピンで枢着され、先端から突き出て上向き及び下向きに曲げられた2枚の板バネ部材と、前記ノズル本体を支持する支持部材と、前記ノズル本体の末端に吸引ポンプに接続された接続管とからなる。
前記ガス注入ノズルは、先端が扁平筒状のノズル本体と、該ノズル本体を支持する支持体と、前記ノズル本体の末端に不活性気体のガスボンベに接続された接続管とからなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス置換包装機は、エアーを吸引するための吸引ノズルと、不活性気体を噴出するガス注入ノズルを離間し、包装袋内の空気を吸引しながら不活性気体を充填する動作を繰り返してガス置換し、包装袋内に不活性気体を残存させるため、エアーの吸引と不活性気体の充填とのガス置換に悪影響を及ぼすことがない。
また、吸引ノズルに袋口の密着を防ぐ板バネ部材を設けたので、エアーの吸引を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のガス置換包装機の正面図である。
図2】本発明のガス置換包装機の主要部説明図である。
図3】吸引ノズルの(a)平面図、(b)右側面図、(c)正面図である。
図4】ガス注入ノズルの(a)平面図、(b)右側面図、(c)正面図である。
図5】本発明のガス置換包装機の動作を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のガス置換包装機の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
本発明のガス置換包装機は、図1の正面図に示すように、直方体の機枠1と、該機枠1の四隅下端に配置されたキャスター2と、前記機枠1の正面に支持枠3を介して設置されたベルトコンベア機構4と、該ベルトコンベア機構4を駆動するモーター5と、前記ベルトコンベア機構4のガス置換包装位置に配置されたガス充填ノズル6と、該ガス充填ノズル6の上方位置に上下動自在に配置された袋口押え部材7と、該袋口押え部材7の奥側に上下動自在に配置されたシール部材(袋口押え部材7の裏側に位置するため図示されず)と、前記機枠1の上部に配置された制御装置8とから構成される。
【0011】
図2の主要部説明図に示すように、前記ガス置換包装位置に配置されるガス充填ノズル6は、中央の吸引ノズル9と該吸引ノズル9の両側に配置されたガス注入ノズル10,11とのユニットからなる。
各ユニットの右側のガス注入ノズル10同士が一つの右側のプレート12上に載っており、同様に各ユニットの左側のガス注入ノズル11同士が一つの左側のプレート13上に載っている。
前記各プレート12,13は、前後に移動する揺動プレート14の案内レール15を左右摺動する案内台16に取り付け固定されており、前記吸引ノズル9も揺動プレート14に固定されている。
前記案内台16は、ターンバックル17を介してプッシャーヘッド18に固定され、シリンダー19の往復動作が長さ調節可能なターンバックル17を介して左右摺動する案内台16に伝動される。
ガス充填ノズル6のガス注入ノズル10,11は、同時に左右に摺動され、中央の吸引ノズル9は固定状態で、吸引ノズル9を中心に左右に拡開される構造となっている。
本実施例では、ガス充填ノズル6は2組であるが、これに限定されない。
【0012】
前記吸引ノズル10は、図3の(a)平面図、(b)右側面図、(c)正面図に示すように、扁平筒状のノズル本体20と、該ノズル本体20の内部上下にピン21で枢着され、先端から突き出て上向き及び下向きに曲げられた2枚の板バネ部材22と、前記ノズル本体を支持する支持部材23と、前記ノズル本体20の末端に接続された接続管24とからなる。なお、前記接続管24は、図外の吸引ポンプに接続される。
【0013】
前記ガス注入ノズル10,11は、図4の(a)平面図、(b)右側面図、(c)正面図に示すように、先端が扁平筒状のノズル本体25と、該ノズル本体25を支持する支持体26と、前記ノズル本体25の末端に接続される接続管27とからなる。なお、前記接続管27は、図外の窒素ガスなどの不活性気体のガスボンベに接続される。
【0014】
本発明のガス置換包装機の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すベルトコンベア機構4のベルト上に被包装物を収納した包装袋28を載せ、ベルトコンベア機構4のモーター5を駆動してガス充填ノズル6の方向へ包装袋28を移送する。
ガス充填ノズル6の位置では、図2に示すガス充填ノズル6が揺動プレート14の前進により包装袋28の袋口方向へ前進し、吸引ノズル9及び左右のガス注入ノズル10,11が包装袋28の袋口に挿入される。
【0015】
そして、図5の概略斜視図に示すように、左右のガス注入ノズル10,11が左右に拡開され、包装袋28の袋口を拡げる。
さらに図示省略の袋口押え部材7が上下からガス充填ノズル6及び袋口を押えて包装袋28を密封する。
この密封状態で、ガス注入ノズル10,11から包装袋28内に不活性気体を噴き出すと共に吸引ノズル9で包装袋28から空気を吸引し、ガス置換を行う。
ガス注入ノズル10,11からのガス注入を停止し、吸引ノズル9からの吸引動作のみを行い、包装袋28内を真空状態にする。
その際、吸引ノズル9の板バネ部材22の上向き及び下向きに曲げられた部分が包装袋28の口縁部を上下に広げているので空気抜きが速やかに行われ、最終的には図外の吸引ポンプの吸引作用で板バネ部材22の上向き及び下向きに曲げられた部分が閉じて包装袋28内を真空状態にする。
【0016】
再び、ガス注入ノズル10,11から包装袋28内に不活性気体を噴き出すと共に板バネ部材22の上向き及び下向きに曲げられた部分が開き、吸引ノズル9で包装袋28から不活性気体を吸引し、その後ガス注入ノズル10,11からのガス注入を停止し、吸引ノズル9からの吸引動作のみを行い、ガス置換を行い、図外の吸引ポンプの吸引作用で板バネ部材22の上向き及び下向きに曲げられた部分が閉じて包装袋28内を真空状態にする。
【0017】
そして、吸引ノズル9を停止し、ガス注入ノズル10,11から少量の不活性気体を注入し、ガス充填ノズル6を包装袋28から引き出し、包装袋28の袋口を閉じた状態で図示省略のシール部材の上下動により袋口をシールする。
シールが終了すると、袋口押え部材7が上昇し、再びベルトコンベア機構4を駆動してガス置換包装された包装袋28を下流側へ搬送する。
【0018】
このようしにして、エアーを吸引するための吸引ノズル9と、不活性気体を噴出するガス注入ノズル10,11を離間し、包装袋28内の空気を吸引しながら不活性気体を充填する動作を繰り返してガス置換し、包装袋28内に不活性気体を残存させるため、エアーの吸引と不活性気体の充填とのガス置換に悪影響を及ぼすことがない。
また、吸引ノズル9に袋口の密着を防ぐ板バネ部材22を設けたので、エアーの吸引を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0019】
1 機枠
2 キャスター
3 支持枠
4 ベルトコンベア機構
5 モーター
6 ガス充填ノズル
7 袋口押え部材
8 制御装置
9 吸引ノズル
10 右側のガス注入ノズル
11 左側のガス注入ノズル
12 右側のプレート
13 左側のプレート
14 揺動プレート
15 案内レール
16 案内台
17 ターンバックル
18 プッシャーヘッド
19 シリンダー
20 ノズル本体
21 ピン
22 板バネ部材
23 支持部材
24 接続管
25 ノズル本体
26 支持体
27 接続管
28 包装袋
【要約】
【課題】本発明は、包装袋内の空気を吸引しながら不活性気体を充填する動作を繰り返してガス置換し、包装袋内に不活性気体を残存させるガス置換包装機を提供する。
【解決手段】ガス充填ノズル6が揺動プレート14の前進により包装袋28の袋口方向へ前進し、吸引ノズル9及び左右のガス注入ノズル10,11が包装袋28の袋口に挿入される。左右のガス注入ノズル10,11が左右に拡開され、包装袋28の袋口を拡げる。さらに袋口押え部材7が上下からガス充填ノズル6及び袋口を押えて包装袋28を密封する。この密封状態で、ガス注入ノズル10,11から包装袋28内に不活性気体を噴き出すと共に吸引ノズル9の板バネ部材22が包装袋28の口縁部を上下に広げているので、吸引ノズル9で包装袋28から空気を吸引し、ガス置換を行う。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5