(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変速機の変速段を切り替えるための切替操作部、前記切替操作部を作動させるための遠隔操作部、および前記切替操作部と前記遠隔操作部とを接続する接続部材をさらに備え、
前記切替操作部は、前記一対の後輪の間に位置するように前記駆動輪の側方に配置される、請求項1または2に記載の車両。
前記フレームは、前記前輪を回転可能に支持する前フレーム部と、前記一対の後輪を回転可能に支持するとともに前記前フレーム部をローリング可能に支持する後フレーム部とを含み、
前記遠隔操作部は前記前フレーム部に設けられ、
前記接続部材は、前記遠隔操作部と前記切替操作部との間において少なくとも前記後フレーム部に支持される、請求項3に記載の車両。
前記第1回転部材は前記フレームの前記左右方向における中心線に対して一方側に設けられ、前記変速機は前記中心線に対して他方側に設けられる、請求項9に記載の車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように、上記の電動補助三輪車では、変速機ユニットが第1のチェーンと第2のチェーンとの間に設けられているので、変速機ユニットに比較的大きなトルクがかかる。特に、トレーラーを牽引する車両において上記の構成と同様に変速機ユニットを設けた場合には、トレーラーの重量およびトレーラーに積載される荷物の重量によって、変速機ユニットにかかるトルクが大きくなる。そのため、変速機ユニットの強度を高くする必要があり、車両の製造コストが上昇する。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、変速機を備えかつ安価に構成できる車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の車両は、前輪、一対の後輪、および前輪と一対の後輪との間を前後方向に延びるフレームを含み、一対の後輪のうちの少なくとも一輪が駆動輪である車両であって、回転可能にフレームに支持されるクランクと、フレームに支持されかつ駆動輪を支持する車軸と、クランクの回転を増速して駆動輪に伝達する伝達機構とを備え、伝達機構は、クランクから伝達される回転に基づいて回転する第1回転部材、第1回転部材から伝達される回転に基づいて回転する第2回転部材、第1回転部材と第2回転部材とを連結しかつ第1回転部材の回転を第2回転部材に伝達する連結部材、および第2回転部材の回転を駆動輪に伝達するために車軸に設けられる内装式の変速機を含み、変速機は、平面視において駆動輪と重なり、当該車両には荷台部を含むトレーラーが連結可能であり、当該車両にトレーラーを連結したとき、トレーラーの荷台部の前端は、
側面視において一対の後輪と重なるように、一対の後輪の間でかつ車軸よりも前方に位置
し、当該車両にトレーラーを連結するための左右一対の連結部をさらに備え、左右一対の連結部は側面視において変速機と重なることを特徴とする。
請求項2に記載の車両は、請求項1に記載の車両において
、左右一対の連結部のうちの一方は平面視において変速機よりも当該車両の幅方向の内側に位置しかつ変速機の近傍に設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項
3に記載の車両は、請求項1
または2に記載の車両において、変速機の変速段を切り替えるための切替操作部、切替操作部を作動させるための遠隔操作部、および切替操作部と遠隔操作部とを接続する接続部材をさらに備え、切替操作部は、一対の後輪の間に位置するように駆動輪の側方に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項
4に記載の車両は、請求項1
から3のいずれかに記載の車両において、第1回転部材は第1無端状部材を含み、第2回転部材は第2無端状部材を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項
5に記載の車両は、請求項
4に記載の車両において、伝達機構は、クランクに設けられかつクランクから伝達される回転に基づいて回転する第1スプロケットをさらに含み、連結部材は、左右方向に延びかつ回転可能にフレームに支持される軸部材、軸部材と同軸状に設けられる第2スプロケット、および軸部材と同軸状に設けられる第3スプロケットを含み、変速機は、車軸と同軸状に設けられる第4スプロケットを含み、第1無端状部材は、第1スプロケットの回転を第2スプロケットに伝達する第1チェーンを含み、第2無端状部材は、第3スプロケットの回転を第4スプロケットに伝達する第2チェーンを含み、第2スプロケットの回転は軸部材を介して第3スプロケットに伝達され、第2スプロケットのピッチ円直径は第1スプロケットのピッチ円直径よりも小さく、第4スプロケットのピッチ円直径は第3スプロケットのピッチ円直径よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
請求項
6に記載の車両は、請求項
5に記載の車両において、第2スプロケットのピッチ円直径は、第3スプロケットのピッチ円直径よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
請求項
7に記載の車両は、請求項
5または
6に記載の車両において、第2チェーンに張力を付与する張力付与装置をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
請求項
8に記載の車両は、請求項
7に記載の車両において、第4スプロケットにおける第2チェーンの巻付け角は180度以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の車両は、請求項
3に記載の車両において、フレームは、前輪を回転可能に支持する前フレーム部と、一対の後輪を回転可能に支持するとともに前フレーム部をローリング可能に支持する後フレーム部とを含み、遠隔操作部は前フレーム部に設けられ、接続部材は、遠隔操作部と切替操作部との間において少なくとも後フレーム部に支持されることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の車両は、請求項9に記載の車両において、第1回転部材はフレームの左右方向における中心線に対して一方側に設けられ、変速機は中心線に対して他方側に設けられることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の車両は、請求項
5から
8のいずれかに記載の車両において、第2スプロケットは、軸部材の軸方向に移動可能に設けられることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の車両は、請求項
5から
8および11のいずれかに記載の車両において、第3スプロケットは、軸部材の軸方向に移動可能に設けられることを特徴とする。
【0019】
請求項1
,2に記載の車両では、変速機は、第2回転部材の回転を駆動輪に伝達するために車軸に設けられる。言い換えると、クランクから駆動輪への回転の伝達経路において、第2回転部材よりも下流側に変速機が設けられる。ここで、一般に、クランクの回転を増速して駆動輪に伝達する車両では、クランクから駆動輪へ伝達される回転が下流側に行くほど増速されるように伝達機構が構成される。この場合、変速機を上記伝達経路においてできるだけ下流側に設けることによって、変速機にかかるトルクを小さくできる。したがって、クランクから駆動輪への回転の伝達経路において第2回転部材よりも下流側に変速機が設けられる請求項1に記載の車両では、変速機にかかるトルクを小さくできる。特に、請求項1に記載の車両によれば、トレーラーを牽引する場合でも変速機に大きなトルクがかかることを十分に抑制できる。これにより、変速機に必要な強度を確保しつつ変速機を安価に構成できるので、車両の製造コストを低減できる。
【0020】
請求項
3に記載の車両では、切替操作部が一対の後輪の間に位置するように駆動輪の側方に配置される。この場合、接続部材を駆動輪の外側まで延ばさなくてよいので、遠隔操作部と切替操作部との間における接続部材の敷設が容易になる。
【0021】
請求項
4に記載の車両では、第1回転部材および第2回転部材としてそれぞれ、チェーンまたはベルト等の無端状部材を用いることによって、伝達機構の構成を簡単にできる。
また、変速時に第2無端状部材を左右方向に移動させなくてよいので、円滑な変速が可能になる。
【0022】
請求項
5に記載の車両では、第4スプロケットにかかるトルクを十分に小さくできるので、変速機を十分に安価に構成できる。
【0023】
請求項
6に記載の車両では、クランクから駆動輪に伝達される回転を、第3スプロケットによっても増速できる。これにより、第4スプロケットにかかるトルクをさらに小さくできるので、変速機をさらに安価に構成できる。
【0024】
チェーンの張力は、たとえば、車軸を前後方向に移動させることによって調整できる。しかし、車軸を移動させてチェーンの張力を付与する場合には、一対の後輪を移動させなければならないので、作業が煩雑になる。これに対して請求項
7に記載の車両では、一対の後輪を移動させることなく張力付与装置によってチェーンの張力を簡単に調整できる。
【0025】
請求項
8に記載の車両では、チェーンの歯飛びを防止でき、第4スプロケットのピッチ円直径を十分に小さくできる。これにより、変速機にかかるトルクをより小さくできるので、変速機をより安価に構成できる。
【0027】
請求項9に記載の車両では、遠隔操作部を前フレーム部に配置しつつ、後フレーム部によって接続部材を確実に支持できる。また、前フレーム部が後フレーム部に対してローリングしても、後フレーム部によって接続部材を確実に支持できる。
【0028】
請求項10に記載の車両では、フレームの左右方向における中心線を基準として、第1回転部材と変速機とが反対側に設けられるので、接続部材をフレームに取り付ける際に第1回転部材が邪魔にならない。これにより、接続部材をフレームに容易に取り付けることができる。
【0029】
請求項11に記載の車両では、車両の各構成部材に寸法誤差等があることによって軸部材の位置が設計上の位置から左右方向にずれていたとしても、第2スプロケットを軸部材の軸方向に移動させることによって、第1スプロケットに対して適切な位置に第2スプロケットを配置することができる。これにより、第1チェーンを第1スプロケットおよび第2スプロケットに適切かつ容易に接続することができる。また、第1スプロケットの回転を第2スプロケットに円滑に伝達できる。
【0030】
請求項12に記載の車両では、車両の各構成部材に寸法誤差等があることによって軸部材の位置が設計上の位置から左右方向にずれていたとしても、第3スプロケットを軸部材の軸方向に移動させることによって、第4スプロケットに対して適切な位置に第3スプロケットを配置することができる。これにより、第2チェーンを第3スプロケットおよび第4スプロケットに適切かつ容易に接続することができる。また、第3スプロケットの回転を第4スプロケットに円滑に伝達できる。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、変速機を備えかつ安価に構成できる車両が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。以下においては、この発明に係る車両の一実施形態である自転車10について説明する。この発明の実施形態の左右、前後、上下とは、自転車10のサドル44に運転者がハンドル34に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0034】
図1は、この発明の一実施形態にかかる自転車10および自転車10に連結されたトレーラー12を示す側面図である。
【0035】
図1を参照して、自転車10は、電動アシスト三輪車であり、前後方向に延びるフレーム14を有する。フレーム14は、前フレーム部16および後フレーム部18を有する。
【0036】
前フレーム部16は、ヘッドチューブ20、ダウンチューブ22、サドルチューブ24、ブラケット部26、チェーンステイ28、一対のサドルステイ30(
図1では1本のみ図示)、ハンドルステム32、ハンドル34、フロントフォーク36、およびサドルパイプ38を含む。
【0037】
ヘッドチューブ20は、前フレーム部16の前端部に設けられる。ダウンチューブ22は、ヘッドチューブ20から後方斜め下方に向かって延びるように設けられる。サドルチューブ24は、ダウンチューブ22の後端部から上方斜め後方に向かって延びるように設けられる。ブラケット部26は、ダウンチューブ22の後端部およびサドルチューブ24の下端部から後方に向かって延びるように設けられる。
【0038】
チェーンステイ28は、ブラケット部26の後端部から後方に向かって延びるように設けられる。一対のサドルステイ30は、サドルチューブ24の上端部から後方斜め下方に向かって延びるように設けられる。一対のサドルステイ30の下端部は、チェーンステイ28にそれぞれ接続される。
【0039】
ハンドルステム32は、ヘッドチューブ20に回転可能に挿入される。ハンドル34は、ハンドルステム32の上端部に固定される。ハンドル34には、後述する変速機140の変速段を切り替える際に操作される遠隔操作部40が設けられる。遠隔操作部40としては、公知の種々のシフターを用いることができるので詳細な説明は省略する。
【0040】
フロントフォーク36は、ハンドルステム32の下端部に固定される。フロントフォーク36の下端部には、前輪42が回転可能に支持される。サドルパイプ38は、サドルチューブ24に挿入される。サドルパイプ38の上端部には、運転者用のサドル44が設けられる。
【0041】
図2は、前フレーム部16の後端部および後フレーム部18を示す平面図であり、
図3は、前フレーム部16の後端部および後フレーム部18を示す後方斜視図であり、
図4は、前フレーム部16の後端部および後フレーム部18を示す背面図であり、
図5は、後フレーム部18を示す前方斜視図である。なお、
図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、後述の荷台部48の図示を省略している。
【0042】
図1〜
図5を参照して、後フレーム部18は、本体部46および荷台部48を含む。
図2〜
図5を参照して、本体部46は、一対の後輪50,52(
図2および
図4参照)を支持する一対の支持フレーム部54,56、および支持フレーム部54,56を支持しかつ支持フレーム部54,56の間を左右方向に延びる複数(この実施形態では3本)のクロスフレーム部58,60,62(
図4においてはクロスフレーム部60,62のみ図示)を含む。なお、
図1においては、図面が煩雑になることを避けるために後輪50のスポークの図示は省略している。
【0043】
図3を参照して、支持フレーム部54は、板状の爪部54a,54b、平面視略C字状(略U字状)の保護フレーム部54c,54d、および保護フレーム部54cと保護フレーム部54dとを連結する連結フレーム部54e部を含む。
【0044】
図2および
図4を参照して、爪部54aと爪部54bとは、左右方向において互いに対向するように設けられる。後輪50は、車軸64aを介して爪部54a,54bに回転可能に支持される。この実施形態では、車軸64aは、図示しない締結部材(たとえばナット)によって爪部54a,54bに取り付けられる。これにより、車軸64aが爪部54a,54bに支持される。
【0045】
図3を参照して、保護フレーム部54cは、爪部54aと爪部54bとを連結しかつ爪部54a,54bから前方斜め上方に延びるように設けられる。保護フレーム部54dは、爪部54aと爪部54bとを連結しかつ保護フレーム部54cよりも下方において爪部54a,54bから前方斜め下方に延びるように設けられる。連結フレーム部54eは、爪部54bの前方において上下方向に延びて保護フレーム部54c,54dを連結する。
【0046】
支持フレーム部56は、支持フレーム部54と略左右対称となる構成を有し、爪部54a,54b、保護フレーム部54c,54dおよび連結フレーム部54eと略同様の爪部56a,56b、保護フレーム部56c,56dおよび連結フレーム部56eを有する。
図2および
図4を参照して、後輪52は、車軸64bを介して爪部56a,56bに回転可能に支持される。これにより、一対の後輪50,52は、左右方向に並んで配置されかつ後フレーム部18に支持される。この実施形態では、車軸64bは、図示しない締結部材(たとえばナット)によって爪部56a,56bに取り付けられる。これにより、車軸64bが爪部56a,56bに支持される。
【0047】
図3を参照して、クロスフレーム部58の一端(左端)は連結フレーム部54eに接続され、他端(右端)は連結フレーム部56eに接続される。クロスフレーム部60は、クロスフレーム部58よりも下方に設けられる。クロスフレーム部60の一端(左端)は保護フレーム部54dに接続され、他端(右端)は保護フレーム部56dに接続される。クロスフレーム部62はクロスフレーム部58,60よりも後方に設けられる。クロスフレーム部62の一端(左端)は爪部54bに接続され、他端(右端)は爪部56bに接続される。
【0048】
図2〜
図5を参照して、後フレーム部18はさらに、前後方向に延びる連結フレーム部66,68(
図2、
図3および
図5参照)および上下方向に延びる連結フレーム部70,72(
図4および
図5参照)を含む。
図2および
図5を参照して、連結フレーム部66,68の一端(前端)はそれぞれクロスフレーム部58に接続され、他端(後端)はそれぞれクロスフレーム部62に接続される。
図3、
図4および
図5を参照して、連結フレーム部70,72の一端(上端)はそれぞれクロスフレーム部58に接続され、他端(下端)はそれぞれクロスフレーム部60に接続される。連結フレーム部70,72はそれぞれ、自転車10の左右方向(幅方向)における中心側に傾くように下から上に延びる。
【0049】
図2および
図5を参照して、クロスフレーム部58および連結フレーム部66に接続されるように板状の支持部材74aが設けられ、クロスフレーム部62および連結フレーム部66に接続されるように板状の支持部材74bが設けられる。
図2、
図3および
図5を参照して、クロスフレーム部58および連結フレーム部68に接続されるように板状の支持部材74cが設けられ、クロスフレーム部62および連結フレーム部68に接続されるように板状の支持部材74dが設けられる。
【0050】
図2〜
図4を参照して、支持部材74a,74b,74c,74dに支持されるように軸受部材76が設けられる。なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図5においては軸受部材76の図示を省略している。軸受部材76は、板状部76a、板状部76aの前端部から上方に延びる軸受部76b、および板状部76aの後端部から上方に延びる軸受部76cを含む。
図3を参照して、軸受部76bは、左右方向における中央部に半円状の凹部76dを有する。同様に、軸受部76cは、左右方向における中央部に凹部(図示せず)を有する。
【0051】
図2〜
図4を参照して、チェーンステイ28に一対のブラケット部78a,78bが設けられる。ブラケット部78aは、クロスフレーム部58,60の上方においてチェーンステイ28に固定され、ブラケット部78bは、チェーンステイ28の後端部に固定される。
【0052】
図3および
図4を参照して、ブラケット部78aとブラケット部78bとの間に、前後方向に延びる円柱状の軸部材80が設けられる。軸部材80の前端部は、締結部材(図示せず:たとえばボルト)を介してブラケット部78aに支持され、軸部材80の後端部は、締結部材82(たとえばボルト)を介してブラケット部78bに支持される。軸部材80は、周方向に回動できるように軸受部76b(
図3参照)の凹部76d(
図3参照)および軸受部76cの凹部(図示せず)に嵌められる。これにより、前フレーム部16は、軸部材80を中心としてローリング(揺動)できるように後フレーム部18によって支持される。
【0053】
図2を参照して、チェーンステイ28の後端部から左右方向に延びるように一対の取付部84a,84bが設けられる。クロスフレーム部62から前方に延びるように一対の取付部86a,86bが設けられる。取付部84aと取付部86aとを連結するようにスプリング88aが設けられ、取付部84bと取付部86bとを連結するようにスプリング88bが設けられる。この実施形態では、前フレーム部16が軸部材80を中心としてローリング(揺動)した場合には、前フレーム部16を元の位置に戻そうとする力がスプリング88a,88bによって発生される。
【0054】
なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図2においてはスプリング88a,88bを簡略化して示し、
図3および
図4においては取付部84a,84b,86a,86bおよびスプリング88a,88bを図示しておらず、
図5においては取付部86a,86bを図示していない。また、上記においては詳細な説明は省略したが、取付部84a,84b,86a,86bは、スプリング88a,88bを取り付けることができる構成であればよい。
【0055】
なお、スプリング88a,88bをチェーンステイ28およびクロスフレーム部62に直接取り付けることができる場合には、取付部84a,84b,86a,86bは設けなくてもよい。また、スプリング88a,88bの代わりに他の弾性部材を用いることによって、前フレーム部16を元の位置に戻そうとする力を発生してもよい。
【0056】
図2および
図4を参照して、複数(この実施形態では2つ)の連結部90,92が後フレーム部18に設けられる。より具体的には、クロスフレーム部62の一端部(左端部)に連結部90が設けられ、クロスフレーム部62の他端部(右端部)に連結部92が設けられる。この実施形態では、連結部90,92は、クロスフレーム部62よりも後方に延びるようにクロスフレーム部62に設けられる。
【0057】
図2を参照して、連結部90は、平面視において鉤状に屈曲した形状を有する支持部材90a、支持部材90aに支持される筒状の係止部材90b、および支持部材90aが取り付けられる取付部材90cを含む。詳細な説明は省略するが、取付部材90cは、クロスフレーム部62を後方から挟むことができるように側面視略C字形状を有する。この実施形態では、支持部材90aは複数(この実施形態では2つ)の締結部材94によって取付部材90cに取り付けられる。締結部材94は、たとえばボルトおよびナットを含む。係止部材90bは、ボルト96およびナット98を介して支持部材90aに支持される。取付部材90cは、クロスフレーム部62に溶接される。連結部92は、連結部90と左右対称となる構成を有し、支持部材90a、係止部材90bおよび取付部材90cと同様の支持部材92a、係止部材92bおよび取付部材92cを有する。支持部材92aは複数の締結部材94によって取付部材92cに取り付けられ、係止部材92bは、ボルト96およびナット98を介して支持部材92aに支持される。
【0058】
トレーラー12(
図1参照)は、係止部材90b,92bに着脱可能に接続される。トレーラー12としては公知の種々のトレーラーを用いることができるので詳細な説明は省略するが、トレーラー12は、たとえば、係止部材90b,92bに係止可能な係止部材(図示せず)を有する。たとえば、トレーラー12の係止部材を自転車10の係止部材90b,92bに引っ掛けることによって自転車10にトレーラー12を連結することができる。
図1を参照して、この実施形態では、トレーラー12の前端部が一対の後輪50,52(
図2参照)の間に位置するように、自転車10とトレーラー12とが連結される。
【0059】
図3〜
図5を参照して、後フレーム部18の荷台部48は、平面視略U字形状の枠部100、左右方向に延びかつ枠部100に接続されるクロスフレーム部102、枠部100とクロスフレーム部102とを連結するように前後方向に延びる縦フレーム部104,106,108、および枠部100の前端部から後方斜め下方に延びる支持フレーム部110,112を有する。
【0060】
枠部100は、左右対称となる形状を有する。枠部100は、左右方向に延びるフロントフレーム部100a、フロントフレーム部100aの左端から後方に延びるサイドフレーム部100b、フロントフレーム部100aの右端から後方に延びるサイドフレーム部100c、サイドフレーム部100bの後端から下方に延びるリアフレーム部100d、およびサイドフレーム部100cの後端から下方に延びるリアフレーム部100eを含む。リアフレーム部100dは、その下端部にフランジ部100fを有し、リアフレーム部100eは、その下端部にフランジ部100gを有する。
【0061】
図3および
図5を参照して、フロントフレーム部100aの中央部は、後方に向かって凹むように略U字状に屈曲している。正面視逆U字状の一対の柵部材114a,114bがフロントフレーム部100aに設けられる。柵部材114a,114bは、フロントフレーム部100aから前方に延びた後、上方に延びる。
【0062】
クロスフレーム部102の中央部は、後方に向かって凹むように略U字状に屈曲している。正面視逆U字状の柵部材114cがクロスフレーム部102に設けられる。柵部材114cは、クロスフレーム部102から後方に延びた後、上方に延びる。
【0063】
縦フレーム部104は、フロントフレーム部100aの左端部とクロスフレーム部102の左端部とを連結し、縦フレーム部106は、フロントフレーム部100aの中央部とクロスフレーム部102の中央部とを連結し、縦フレーム部108は、フロントフレーム部100aの右端部とクロスフレーム部102の右端部とを連結する。側面視逆U字状の柵部材114dが縦フレーム部104に設けられ、側面視逆U字状の柵部材114eが縦フレーム部108に設けられる。柵部材114dは、縦フレーム部104から左方向に延びた後、上方に延びる。柵部材114eは、縦フレーム部108から右方向に延びた後、上方に延びる。
【0064】
荷台部48に荷物(図示せず)を積む場合には、荷物は、たとえば、柵部材114a,114b,114c,114d,114eの内側において、フロントフレーム部100a、クロスフレーム部102、および縦フレーム部104,106,108に支持される。
【0065】
図3〜
図5を参照して、支持フレーム部110は、その下端部にフランジ部110aを有し、支持フレーム部112は、その下端部にフランジ部112aを有する。
【0066】
枠部100のフランジ部100fは、正面視逆U字状の取付部材116aを介して保護フレーム部54cに取り付けられ、枠部100のフランジ部100gは、正面視逆U字状の取付部材116bを介して保護フレーム部56cに取り付けられる。支持フレーム部110のフランジ部110aは、側面視逆U字状の取付部材116cを介してクロスフレーム部60に取り付けられ、支持フレーム部112のフランジ部112aは、側面視逆U字状の取付部材116dを介してクロスフレーム部60に取り付けられる。これにより、荷台部48が本体部46に支持される。
【0067】
取付部材116aは、たとえば、保護フレーム部54cに溶接され、取付部材116bは、たとえば、保護フレーム部56cに溶接される。取付部材116c,116dはそれぞれ、たとえば、クロスフレーム部60に溶接される。フランジ部100f,100g,110a,112aはそれぞれ、たとえば、図示しない締結部材(ボルトおよびナット等)によって取付部材116a,116b,116c,116dに固定されてもよく、取付部材116a,116b,116c,116dに溶接されてもよい。
【0068】
図5を参照して、後フレーム部18はさらに、本体部46の前端部に設けられる板状の支持部材118,120を含む。支持部材118は、クロスフレーム部58の略中央部およびクロスフレーム部60の略中央部を連結しかつクロスフレーム部58,60よりも前方に延びる。支持部材118は、その中央部に貫通孔118aを有する。支持部材118は、たとえば、クロスフレーム部58,60に溶接される。支持部材120は、保護フレーム部54cの前端部および保護フレーム部54dの前端部を連結しかつ保護フレーム部54c,54dよりも前方に延びる。支持部材120は、その中央部に貫通孔120aを有する。支持部材120は、たとえば、保護フレーム部54c,54dに溶接される。なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図2〜
図4においては、支持部材118,120の図示を省略している。
【0069】
図1を参照して、ブラケット部26に、駆動ユニット122が設けられる。駆動ユニット122は、クランク124、一対のペダル126a,126b、および電動モータ128を含む。
【0070】
この実施形態では、クランク124は、クランク軸および一対のクランクアームを含む。クランク124は、回転可能にブラケット部26に支持される。ペダル126aは、クランク124の一端部(左端部)に設けられ、ペダル126bは、クランク124の他端部(右端部)に設けられる。電動モータ128は、クランク124の回転を補助する。駆動ユニット122には、電動モータ128の駆動等に用いられる電力を蓄えるためのバッテリ130が設けられる。
【0071】
クランク124の回転は、伝達機構Tを介して後輪50に伝達される。すなわち、この実施形態では、後輪50が駆動輪として機能する。伝達機構Tは、クランク124のクランク軸と同軸状に設けられるスプロケット132、およびスプロケット132に接続される無端状(環状)のチェーン134を含む。スプロケット132は、クランク124から伝達される回転に基づいて回転し、チェーン134は、スプロケット132から伝達される回転に基づいて回転する。
【0072】
図2を参照して、伝達機構Tはさらに、スプロケット132よりも後方において自転車10の幅方向(左右方向)に延びかつチェーン134に接続される連結部材136、連結部材136に接続される無端状(環状)のチェーン138、および車軸64aと同軸状に設けられかつチェーン138と後輪50とを連結する変速機140を含む。この実施形態では、チェーン134はフレーム14の左右方向における中心線Cに対して一方側(この実施形態では右側)に設けられ、変速機140は中心線Cに対して他方側(この実施形態では左側)に設けられる。連結部材136は、チェーン134とチェーン138とを連結しかつチェーン134の回転をチェーン138に伝達する。
【0073】
図6は、連結部材136を示す断面図解図である。
図6を参照して、連結部材136は、自転車10の幅方向に延びる円筒状の軸部材136a、軸部材136aと同軸状に軸部材136aの一端部(右端部)に設けられる伝達部材136b、伝達部材136bを軸部材136aに固定するために軸部材136aの一端部に設けられる締結部材136c、軸部材136aと同軸状に軸部材136aの他端部(左端部)に設けられる伝達部材136d、および伝達部材136dを軸部材136aに固定するために軸部材136aの他端部に設けられる締結部材136eを含む。なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図2においては、締結部材136c,136eの図示を省略している。また、
図2においては、軸部材136a、伝達部材136bおよび伝達部材136dを簡略化して示している。
【0074】
図6を参照して、軸部材136aの一端部は支持部材118の貫通孔118aに通され、軸部材136aの他端部は支持部材120の貫通孔120aに通される。軸部材136aの一端部は、軸受ユニット142を介して支持部材118に回転可能に支持され、軸部材136aの他端部は、軸受ユニット144を介して支持部材120に回転可能に支持される。なお、
図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、軸受ユニット142,144の図示を省略している。
【0075】
図6を参照して、軸受ユニット142は、中空板状の一対の保持部材142a,142bおよび軸受部材142cを含む。この実施形態では、保持部材142aの内縁部は右方向に屈曲し、保持部材142bの内縁部は左方向に屈曲する。保持部材142a,142bは、支持部材118に固定される。保持部材142a,142bは、たとえば図示しない締結部材(ボルトおよびナット等)によって支持部材118に取り付けられてもよく、支持部材118に溶接されてもよい。この実施形態では、軸受部材142cとして、転がり軸受(より具体的には玉軸受)が用いられる。軸受部材142cは、軸部材136aの一端部に嵌められるとともに、保持部材142a,142bによって保持される。このような構成によって、軸部材136aの一端部が軸受ユニット142を介して支持部材118に回転可能に支持される。
【0076】
詳細な説明は省略するが、軸受ユニット144は軸受ユニット142と同様の構成を有し、一対の保持部材144a,144bおよび軸受部材144cを含む。保持部材144a,144bは、支持部材120に固定される。軸受部材144cは、軸部材136aの他端部に嵌められるとともに、保持部材144a,144bによって保持される。このような構成によって、軸部材136aの他端部が軸受ユニット144を介して支持部材120に回転可能に支持される。
【0077】
伝達部材136bは、移動部材146およびスプロケット148を含む。スプロケット148は、移動部材146と一体的に回転するように移動部材146に取り付けられる。移動部材146は中空形状を有し、軸部材136aの軸方向(左右方向)に移動できるように軸部材136aに取り付けられる。この実施形態では、移動部材146は、軸部材136aの外周面に螺合される。軸部材136aに対して移動部材146を回転させることによって、移動部材146を軸部材136aの軸方向に移動させることができる。これにより、スプロケット148を軸部材136aの軸方向に移動させることができる。
【0078】
締結部材136cは中空形状を有し、軸部材136aの軸方向(左右方向)に移動できるように軸部材136aに取り付けられる。この実施形態では、締結部材136cは、移動部材146の側方(この実施形態では左側)において軸部材136aの外周面に螺合される。軸部材136aに対して締結部材136cを回転させることによって、締結部材136cを軸部材136aの軸方向に移動させることができる。
【0079】
この実施形態では、締結部材136cおよび移動部材146がダブルナットとして機能する。すなわち、締結部材136cが移動部材146に接触するように締結部材136cを締め付けることによって、移動部材146を軸部材136aに固定することができる。これにより、伝達部材136bを軸部材136aに固定することができる。
【0080】
スプロケット148には、チェーン134(
図2参照)が接続される。スプロケット132の回転は、チェーン134を介してスプロケット148に伝達される。これにより、スプロケット148が回転する。スプロケット148の回転は、移動部材146を介して軸部材136aに伝達される。これにより、軸部材136aが回転する。
【0081】
伝達部材136dは、移動部材150およびスプロケット152を含む。スプロケット152は、移動部材150と一体的に回転するように移動部材150に取り付けられる。移動部材150は中空形状を有し、軸部材136aの軸方向(左右方向)に移動できるように軸部材136aに取り付けられる。この実施形態では、移動部材150は、軸部材136aの外周面に螺合される。軸部材136aに対して移動部材150を回転させることによって、移動部材150を軸部材136aの軸方向に移動させることができる。これにより、スプロケット152を軸部材136aの軸方向に移動させることができる。
【0082】
締結部材136eは中空形状を有し、軸部材136aの軸方向(左右方向)に移動できるように軸部材136aに取り付けられる。この実施形態では、締結部材136eは、移動部材150の側方(この実施形態では右側)において軸部材136aの外周面に螺合される。軸部材136aに対して締結部材136eを回転させることによって、締結部材136eを軸部材136aの軸方向に移動させることができる。
【0083】
この実施形態では、締結部材136eおよび移動部材150がダブルナットとして機能する。すなわち、締結部材136eが移動部材150に接触するように締結部材136eを締め付けることによって、移動部材150を軸部材136aに固定することができる。これにより、伝達部材136dを軸部材136aに固定することができる。
【0084】
軸部材136aの回転は、移動部材150を介してスプロケット152に伝達される。これにより、スプロケット152が回転する。スプロケット152には、チェーン138(
図2参照)が接続される。チェーン138は、スプロケット152から伝達される回転に基づいて回転する。
【0085】
図2を参照して、この実施形態では、変速機140として内装式の変速機が用いられる。変速機140は、車軸64aと同軸状に設けられるスプロケット140aおよび変速機140の変速段を切り替えるための切替部140bを有する。なお、変速機140としては公知の種々の内装式変速機を用いることができるので詳細な説明は省略するが、この実施形態では、切替部140bとしてプッシュロッドが用いられる。また、内装式変速機が設けられる公知の自転車の車軸と同様に、車軸64aには切替部140bを差し込むための孔が設けられる。切替部140bは、左右方向に移動可能に車軸64aに差し込まれる。変速機140の変速段は、後述する切替操作部154によって切替部140bを操作することによって切り替えることができる。
【0086】
スプロケット140aにはチェーン138が接続される。スプロケット152(
図6参照)の回転は、チェーン138を介してスプロケット140aに伝達される。これにより、スプロケット140aが回転する。変速機140は、スプロケット140aを介してチェーン138から伝達された回転を後輪50に伝達する。これにより、後輪50が回転する。
【0087】
この実施形態では、伝達機構Tは、クランク124の回転を増速して後輪50に伝達するように構成される。具体的には、スプロケット148(
図6参照)のピッチ円直径はスプロケット132(
図1参照)のピッチ円直径よりも小さく設定され、スプロケット140a(
図2参照)のピッチ円直径はスプロケット152(
図6参照)のピッチ円直径よりも小さく設定される。また、スプロケット148のピッチ円直径は、スプロケット152のピッチ円直径よりも小さく設定される。
【0088】
切替部140bの一端部(この実施形態では右端部)は、車軸64aから右側に突出する。切替部140bを操作するための切替操作部154が爪部54bに設けられる。切替操作部154は、切替部140bを左方向に押すことによって変速機140の変速段を切り替える。切替操作部154は、一対の後輪50,52の間に位置するように後輪50の側方(この実施形態では右側)に設けられる。この実施形態では、切替操作部154は、爪部54bの右側面に設けられる。切替操作部154は、たとえば切替部140bを押すためのレバー(図示せず)を含む。なお、
図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、切替操作部154を簡略化して図示している。切替操作部154としては、公知の内装式変速機のプッシュロッドを操作するために公知の自転車に設けられている公知の装置を用いることができる。したがって、切替操作部154の詳細な説明は省略する。
【0089】
図1および
図2を参照して、遠隔操作部40(
図1参照)と切替操作部154(
図2参照)とを接続するように、接続部材156が設けられる。接続部材156は、複数の取付部材158を介して前フレーム部16および後フレーム部18に支持される。この実施形態では、接続部材156は、1または複数のワイヤを含む。
【0090】
自転車10では、運転者が遠隔操作部40を操作することによって、接続部材156を介して切替操作部154が作動され、切替部140bが操作される。これにより、変速機140の変速段が切り替えられる。
【0091】
図1を参照して、張力付与装置160,162が後フレーム部18に設けられる。張力付与装置160,162としては、公知の自転車に用いられている公知のチェーンテンショナを用いることができる。張力付与装置160は、後フレーム部18のクロスフレーム部60(
図2参照)に支持されて、チェーン134の張力を調整する。なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図2においては張力付与装置160の図示を省略している。
【0092】
図2を参照して、張力付与装置162は、爪部54bの前端部に支持されて、チェーン138の張力を調整する。この実施形態では、スプロケット140aにおけるチェーン138の巻付け角が180度以上になるように張力付与装置162が設けられる。
【0093】
この実施形態では、チェーン134が第1回転部材および第1無端状部材に含まれ、チェーン138が第2回転部材および第2無端状部材に含まれる。チェーン134が第1チェーンに相当し、チェーン138が第2チェーンに相当する。スプロケット132が第1スプロケットに相当し、スプロケット148が第2スプロケットに相当し、スプロケット152が第3スプロケットに相当し、スプロケット140aが第4スプロケットに相当する。
【0094】
以下、自転車10の作用効果を説明する。
自転車10では、変速機140は、チェーン138の回転を後輪50に伝達するために車軸64aに設けられる。言い換えると、クランク124から後輪50への回転の伝達経路において、チェーン138よりも下流側に変速機140が設けられる。ここで、自転車10においては、クランク124から後輪50へ伝達される回転が下流側に行くほど増速されるように伝達機構Tが構成される。この場合、変速機140をできるだけ下流側に設けることによって、変速機140にかかるトルクを小さくできる。したがって、クランク124から後輪50への回転の伝達経路においてチェーン138よりも下流側に変速機140が設けられる自転車10では、変速機140にかかるトルクを小さくできる。特に、自転車10によれば、トレーラー12を牽引する場合でも、変速機140に大きなトルクがかかることを十分に抑制できる。これにより、変速機140に必要な強度を確保しつつ変速機140を安価に構成できるので、自転車10の製造コストを低減できる。
【0095】
自転車10では、切替操作部154は、一対の後輪50,52の間に位置するように後輪50の側方(この実施形態では右側)に配置される。この場合、接続部材156を後輪50の外側(この実施形態では左側)まで延ばさなくてよいので、遠隔操作部40と切替操作部154との間における接続部材156の敷設が容易になる。
【0096】
自転車10では、伝達機構Tの構成要素として無端状部材(この実施形態ではチェーン134,138)が用いられる。これにより、伝達機構Tの構成を簡単にできる。
【0097】
自転車10では、スプロケット148のピッチ円直径はスプロケット132のピッチ円直径よりも小さく、スプロケット140aのピッチ円直径はスプロケット152のピッチ円直径よりも小さい。この場合、スプロケット140aにかかるトルクを十分に小さくできるので、変速機140を十分に安価に構成できる。
【0098】
自転車10では、スプロケット148のピッチ円直径はスプロケット152のピッチ円直径よりも小さい。この場合、クランク124から後輪50に伝達される回転を、スプロケット152によっても増速できる。これにより、スプロケット140aにかかるトルクをさらに小さくできるので、変速機140をさらに安価に構成できる。
【0099】
自転車10では、一対の後輪50,52を前後方向に移動させることなく張力付与装置162によってチェーン138の張力を簡単に調整できる。
【0100】
自転車10では、スプロケット140aにおけるチェーン138の巻付け角が180度以上に設定される。この場合、チェーン138の歯飛びを防止でき、スプロケット140aのピッチ円直径を十分に小さくできる。これにより、変速機140にかかるトルクをより小さくできるので、変速機140をより安価に構成できる。
【0101】
自転車10では、変速機140として内装式の変速機が用いられるので、変速機140の変速段を切り替える際に、チェーン138を左右方向に移動させなくてよい。これにより、円滑な変速が可能になる。
【0102】
自転車10では、遠隔操作部40を前フレーム部16に配置しつつ、後フレーム部18によって接続部材156を確実に支持できる。また、前フレーム部16が後フレーム部18に対してローリングしても、後フレーム部18によって接続部材156を確実に支持できる。
【0103】
自転車10では、フレーム14の左右方向における中心線Cを基準として、チェーン134と変速機140とが反対側に設けられるので、接続部材156をフレーム14に取り付ける際にチェーン134が邪魔にならない。これにより、接続部材156をフレーム14に容易に取り付けることができる。
【0104】
自転車10では、自転車10の各構成部材に寸法誤差等があることによって軸部材136aの位置が設計上の位置から左右方向にずれていたとしても、スプロケット148を軸部材136aの軸方向に移動させることによって、スプロケット132に対して適切な位置にスプロケット148を配置することができる。これにより、チェーン134をスプロケット132およびスプロケット148に適切かつ容易に接続することができる。また、スプロケット132の回転をスプロケット148に円滑に伝達できる。
【0105】
自転車10では、軸部材136aの位置が設計上の位置から左右方向にずれていたとしても、スプロケット152を軸部材136aの軸方向に移動させることによって、スプロケット140aに対して適切な位置にスプロケット152を配置することができる。これにより、チェーン138をスプロケット152およびスプロケット140aに適切かつ容易に接続することができる。また、スプロケット152の回転をスプロケット140aに円滑に伝達できる。
【0106】
上述の実施形態では、後輪50が駆動輪として機能するように伝達機構Tが構成されているが、伝達機構の構成は上述の例に限定されず、後輪50および後輪52のうちの少なくとも一輪が駆動輪として機能するように伝達機構が構成されていればよい。したがって、たとえば、後輪52が駆動輪として機能するように伝達機構が構成されてもよく、後輪50および後輪52の両輪が駆動輪として機能するように伝達機構が構成されてもよい。なお、後輪52を駆動輪として機能させる場合には、たとえば、変速機は車軸64bに設けられる。
【0107】
上述の実施形態では、後輪50,52は、別個の車軸64a,64bによってそれぞれ支持されているが、後輪50,52が共通の1つの車軸によって支持されてもよい。この場合、変速機は共通の1つの車軸に設けられる。
【0108】
上述の実施形態では、伝達機構Tが複数のスプロケット132,140a,148,152および複数のチェーン134,138を含む場合について説明したが、伝達機構の構成は上述の構成に限定されない。スプロケット132,140a,148,152の代わりにそれぞれプーリーを用い、複数のチェーン134,138の代わりにそれぞれ無端状のベルトを用いて伝達機構を構成してもよい。また、伝達機構がスプロケット、プーリー、チェーンおよびベルトを含んで構成されてもよい。
【0109】
上述の実施形態では伝達機構Tが内装式の変速機140を含む場合について説明したが、変速機140の代わりに複数のスプロケットを有する外装式の変速機を用いてもよい。
【0110】
上述の実施形態では、この発明を電動アシスト三輪車である自転車10に適用する場合について説明したが、この発明が適用される車両は自転車10に限定されない。たとえば、この発明は、電動モータ128を有さない通常の三輪自転車にも適用できる。